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進路指導部長だより「高校三年間は大人になるための準備期間」

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進路指導部長だより「高校三年間は大人になるための準備期間」
高校三年間は大人になるための準備期間
進路指導部長 菊地信二
新しい進路指導部を紹介します。部長は私菊地です。三学年阿部先生、二学年堀内先生、
一学年昆先生の合計四名でみなさんの卒業後の希望進路実現のため必要な指導と情報提供、
支援を行います。どうぞよろしくお願いします。
進路指導は「生き方指導」です
進路指導部の仕事の大半は入学後無事 3 年間を過ごし、卒業後の生活の中心となる「進
学」
「就職」先を確保することに費やされます。もう一つの仕事は本校ならではの特徴です
が、卒業後の生活を安定的なものにするための「卒後支援」です。
一般社会から求められる高卒者のイメージは「やる気」と「元気」です。ある高校生対
象セミナーで株式会社山本忠信商店(音更)の社長山本英明さんは「高校三年生の皆さん
は、今正しく自らの人生の岐路に立っている。この時に一生懸命になれない者と一緒に仕
事はしたくない」と言い切りました。自分の人生をどうにかしたいと必死にもがき苦しみ
頑張っていることが大事だし、そういう姿勢や態度でなければ無駄な人生を送るという戒
めが込められた話でした。小学校卒業後は皆中学生になり、中学生は皆高校生になってい
きます。おそらくほとんどの人は何の迷いもなく高校まで進んでいきます。しかし、ここ
から先はそう簡単にはいきません。全日制普通科高校ですから、家庭の財政が許せば可能
な限り進学して欲しいと思います。よほど無茶な希望をしない限り、進学先はたくさんあ
り、実現できるでしょう。しかし、就職となるとそうも行きません。平成二七年三月卒業
生の求人倍率は一・七倍でした。仕事はたくさんあります。しかし、自分を理解し、自分
の能力や適性を考えない就職活動では内定を勝ち取ることはできません。そして「やる気」
と「元気」がなければ、どんな会社も受け入れてはくれません。だから「もう勉強はこり
ごりだ」
「進学したくないから就職する」という消極的な選択希望では、就職も進学も決ま
らない「無業卒業」になりかねません。そして気づいたときにはパート・アルバイト生活
から抜け出せなくなってしまいます。三〇才を過ぎると極端に正社員の道は閉ざされます。
高校卒業時点が正社員という形態で社会参加できる絶好の機会ですし、進学しない限り最
後のチャンスとなります。だから、何が何でも卒業後の次の「場」を決めて卒業する事が
重要なのです。
会社も若者に未来を託している
雇う側からすれば「だれでもいい」という会社はありません。高卒初任給は業種にもよ
りますが、月額一二万円から一四万円くらいが相場です。会社は高校を卒業したばかりの
若者にこれだけの給料を支払うのです。道外企業なら入社するかどうか分からない者に帯
広-東京間の往復航空券(選考旅費)を用意してくれるのです。つまり、未来への投資で
す。近い将来会社のために利益を上げてくれることを期待しているのです。会社の期待に
応えるべく活躍してくれる素養があるのか。入社前にユニフォームをそろえたり、デスク
を用意したり、歓迎会を催してくれたり、すべて投資です。そう簡単に辞めては欲しくな
いのです。辞められては大きな損失です。だから、働くことをとおして社会参加しようと
する者には、会社や一般社会からの期待に応えようとする「やる気(態度や姿勢)」と応え
られる「元気(健康と体力)」が当然要求されるのです。世の中が不況を極めた頃は、新規
高卒の若者であっても「即戦力」が求められました。もちろん今でも「高校出たのにこん
なこともできないのか」と厳しい目で見られることはありますが、ほとんどの会社は「仕
事は入社してから覚えろ」
「先輩を見てまねろ」「もっと積極的に勉強しろ」と考えていま
すし、
「早く一人前になれ」と願っています。月額一二万円の給料は働きに見合った報酬で
はなく、明らかに「期待賃金」という性質なのです。
会社員になること、そういう働き方とは
意外に気づいていないのが、働く人のほとんどが誰かに雇われて働いている、いわゆる
「会社員」であるということです。
「将来何になりたいか」と問われたとき「会社員になり
たい」と答える人は少ないと思います。「看護師」「警察官」「運転手」「保育士」等と答え
るのが一般的です。ここがキャリア教育の落とし穴とも言えます。今キャリア教育がどの
ステージでも謳われていますが、
「会社員になる」とは、誰かの下で働くことであり、指示
を聞いて動くと言うことです。「会社員になる」ことが求められているのに、「なる」ため
に必要な力を見極め、鍛え、育てていくことに注目してキャリア教育を捉える人は少ない
かもしれません。
会社員になるために必要な力と言っても難しいです。そこで進路指導部としては次のよ
うな学年目標を立てて、指導支援していこうと計画しています。
まず一学年では、とにかく毎日しっかり学校に通い、ちゃんと授業に出て、勉強に取り
組むことだと考えます。一年間かけて「自分を知り」「学校で学ぶ習慣」をしっかり身につ
けることです。本当は小学校から中学校までの九年間で身についているはずですが、これ
ができていない。遅刻や早退、欠席を簡単にしてしまう。授業から逃げてしまう。簡単に
休む者や時間にルーズな者は雇ってもらえない、つまり会社員にはなれません。先生の言
うことをきちんと聞いて、周囲から期待される言動ができる力が育っているかです。次に
二学年ですが、自らの進路ときちんと向き合い、その実現のために何をどのように準備す
ればいいのかをしっかり学んで欲しいと思います。一人では無理です。自らの人生の見通
しをもち、自らの言葉できちんと語れるためには、親や教師の力を頼り、仲間と一緒に高
め合うということが大切です。そして、三学年ではもちろん何より希望進路の実現と一般
社会への円滑な移行です。躓いてなんていられません。
欠席ゼロが当たり前に
そこでまずは毎日学校にしっかり通ってください。通い癖をつけることです。学校に通
うことが苦でない当たり前の自分をつくりましょう。基本的生活習慣です。夜遅くまで出
歩くとか、友人宅に泊まるとか。ゲームやスマホに明け暮れていてはだめです。良い食事
と質の高い睡眠が重要です。その上に自らの「健康」と働ける「体力」が宿るのです。ま
た「辛さ」や「痛み」に対する弱さも大きな問題です。頭が痛い、お腹が痛い、怠いと言
っては休む、保健室に駆け込むのはもう止めましょう。その程度で仕事を休む大人はいま
せん。頻繁に休むようでは必要とされなくなるでしょう。次に自分にあった「学び」のス
タイルを身につけましょう。これができていない。就職しても一生勉強です。勉強しない
者は会社にとって役に立ちません。どうのようにやることが自分にとってわかりやすいの
か、この三年間でしっかり身につけましょう。「学び方」は人それぞれ違います。先生に相
談しながら身につけてください。
「勉強なんか大嫌い」と言って避けている人は社会人には
なれません。勉強は一生避けて通ることはできないのです。覚悟しましょう。
三年間で身につけたいこと
三年間で身につけたいことは「明るいあいさつ」
「元気な返事」
「さわやかな笑顔」
「健康」
「体力」
「規則正しい生活習慣」
「ごめんなさいが言える素直な気持ち」
「ごまかさない真面
目さ」そして「相談できる」「助けを求められる」です。小学校入学からずうっと言われ続
けてきたこれらのことが身についていれば十分です。身についていない、できていないこ
とを先ず認め、一から始めることが自分のこれからの人生に必要なのです。
卒後支援、幕別高校で良かった思える瞬間
また、幕別高校は卒業してからもつながり支えることを大切にしています。高校三年間
かけて足りないものを補い、必要なものを新たに身につけさせようと指導しますが、一般
社会に通用するところまで育っているかどうかは分かりません。就職はしたもののすぐに
辞めてしまったりする者もいます。そこで進学先の学校に出向いて様子を聞いたり、職場
を訪問して働く姿を見せてもらったりすることもあります。卒後三年間は見守り必要に応
じてお手伝いもします。困ったときは遠慮せず担任の先生や進路指導部まで連絡をくれれ
ば、力になってあげられます。今いろいろな働き方があって、「ブラック企業」が横行する
中、若者ひとりでは何ともしがたい現実があります。若者本人や家庭の問題ではなく、一
般社会の中で高校が果たして行かなければならいと考えています。高校三年間で担任の先
生を始め、多くの先生と関わり、関係をつくっておけば、卒業後路頭に迷うこともありま
せん。
これまで学校にまともに通えていない人も、
「学び」を避けて来た人も、部活動などであ
まりいい思いができなかった人もこの幕別高校に入学したからには、今までの自分とはさ
よならして新しい自分と出会い、自分を好きになり、支えてくれる親や先生方の存在に目
を向けて、将来の自分に希望と期待を見いだせるような高校生活を送ろうではありません
か。ともに頑張りましょう。
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