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全体会 - 長野県知的障害福祉協会

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全体会 - 長野県知的障害福祉協会
第 37 回
長野県知的障がい福祉大会
[テーマ]
報告
気づいて築く
~尊厳ある生活実現のために~
会期:平成 27 年 11 月 18 日(水)
午前 9 時30分から午後 3 時 30 分
会場:長野市若里市民文化ホール(式典・全体会)
(分科会 第4・第5・第6・第7)
長野県社会福祉総合センター
(分科会 第1・第2・第3)
大会式典
司会進行:池田 美香さん(高水福祉会)
● 開式の言葉:大野政博 大会実行委員長
● 大会長挨拶: 宮下 智 会長
この大会も以前は職員の研究大会といいました。職員の皆さんが研究するために集まった大会
です。そのあと家族の皆さんが加わり、そして当事者の皆さんが加わって今のような形になっていま
す。それは時代の流れを反映したものであったと思えますが、この大会が本当に当事者の皆さん
のためになっているかどうかというのはまだ疑問が残るところだと思います。ご参加の事業所、施設
の利用者の皆さんが、今日一日本当に良かったと思えるような大会であるために事業所・施設に戻
られたら、こんなふうにしてもらえるともっと嬉しいなあというようなことを伝えて頂きたいと思います。
この挨拶もできるだけ簡単な言葉でしゃべろうと思っています。カタカナでいうと“ユニバーサルデ
ザイン”と言ったりしますが、どの方でもわかり易くということが知的障がい、自閉症の皆さんに対す
る差別解消のための合理的配慮ということになっています。難しい言葉であいさつすることは私も
苦手ですが、出来るだけ皆さんが分かり易い言葉でしゃべることが、みんなのためになり知的障が
い・自閉症の方たちの役に立ち、生きやすく、つまづき難いことに繋がるのだというふうに思ってい
ます。
僕らはみなさんの幸せを応援することが仕事です。取り上げたり、制限したり、叱ったり、怒ったり、
お説教したりすることは本来的には私たちの仕事ではありません。皆さんが幸せになるために与え
る、与えられるという関係の中で仕事をしていくことが僕らの業務だと思っています。だからサービス
業というふうに言われているのでしょう。僕らの業務は感じる力が大事です。関わる力が大事です。
伝える力が大事です。
知的障がいや自閉症のみなさんの主な障がいの中核はコミュニケーションです。苦手な障がい
の中心です。このために僕らは感じる力、関わる力、伝える力を磨いていかなければなりません。
今日の大会は、「感じる」「関わる」も大事ですが、特に外に向かって「伝える」を大事にしていきた
いと思います。
僕らの業界は目の前で手を差し伸べている知的障がい・自閉症のみなさんにサービスを提供す
る仕事ですが、とかく多くの方々がそれを知っている分かっていると思いがちです。でも人口の何
パーセントの人たちが知的障がい・自閉症かというとそれは僅かな人数になります。マイナーな世
界なのです。この世界のことをまるで知らない人たちが世の中にはまだたくさんいます。あるいは誤
解している人たちもたくさんいます。
ぜひ、今日一日過ごす中で周りにどのように伝えたら自分たちの暮らしや生きがいやあるいは仕
事の中身が正確に伝わるか考えながら一日を過ごせればというふうに思います。
● 長野市市長歓迎の言葉:長野市長 加藤久雄 様 代理 長野市保健福祉部長 田中幸廣 様
● 来賓祝辞:長野県知事 阿部守一 様 代理 長野県健康福祉部長 小林透 様
(式典開始)
(県健康福祉部長 小林透 様)
(大野 大会実行委員長)
(長野市保健福祉部長 田中幸廣 様)
● 来賓紹介:長野県知的障がい福祉協会 小林新二 副会長(長野市ひかり学園家族会長)
● 大会ポスター・冊子表紙採用作品入選者表彰
<大会ポスター画入選> 小林大真さん(須坂技術学園)
タイトル・・・『お友達』
「きれいに、かっこよく、丁寧に塗って書きました。
顔を上手に書いたので皆に見てもらいたいです」
<大会冊子表紙画入選> 片山美津枝さん(長野市ひかり学園)
タイトル・・・『花と遊んでいる牛』
「牛が楽しく遊んでいるところを書きたかったです」
冊子表紙に選ばれ「ちょっとうれしい」ととってもうれしそうに答えてくれました。
(ポスター作品表彰者)
(冊子作品表彰者)
(ポスター作品(左)・冊子作品(右))
● 閉式の言葉:長野県知的障がい福祉協会 井本達三 副会長(山の子学園共同村施設長)
● 次期 38 回開催地区代表者あいさつ : 南信地区 親愛の里松川 宮下 明 施設長
全体会
講演と演奏
【タイトル】
特異を得意にかえて
~チャレンジドミュージシャンとして
会社員として生きる自閉症のわが子~
講 演
:小柳 真由美 さん
演奏とお話:小柳 拓人 さん
司
会
:池田 美香さん、竹内 弘さん(常岩の里ながみね利用者)
【講師紹介】
・・・長野県知的障がい福祉協会
宮下 智 会長
お母さまから自閉症のこと拓人さんの今まであるいてきた道筋これからの道筋それから
拓人さんからはピアノの演奏とフルートの演奏をいただきます。
この時間は、この十年当事者の方あるいは当事者の周辺にいる方からお話を伺ったり演
奏を聴いていただいたりということを主眼にやってきました。自閉症当事者の皆さんでい
えば、ニキリンコさん、東田直樹さん、片岡聡一さん皆さん自分の自己説明を十分になさ
れる方で、僕らは、知るっていうことを目的にこの方たちのお話をきかせていただきまし
た。視覚障がいの方の太鼓
日本で初めて弁護士の資格を取った視覚障がいの方などのお
話も聞かせていただきました。
僕らはこの仕事に就きながら知っていることはほんのわずかです。知らないことのほう
が沢山です。今日の小柳さん親子のお話や演奏も知らない事から知ることへ繋がる一歩の
道だというふうに思っています。
昨日リハーサルで拓人さんの演奏を聞かせていただいていますがただ上手だなあという
ことだけで終わらないようにどんなことを考えどんなことを感じながら今まで生きて来て
これからまた拓人さんがどこに行くのだろう。そんなことを考えながら皆さんも演奏や
講演に触れていただければという風に思います。
それではこれからの時間はお二人にお任せします。どうぞよろしくお願い致します。
【講演】
ご講演は、拓人さんのピアノ演奏とフルート演奏を交えながら三項目で構成されました。
まず一つ目では、
“自閉症って何”というのを 20 年間の子育てで感じた中かから“どう
やって人に説明すれば分かってもらえるのか”という観点で沢山の引き出しを開けてお話
しをいただきました。
それから二項目では、まさに拓人さんそのもののこと音楽活動のこと、そして三項目で会
社員としてどんなことをやっているかということをお話しいただきました。
『第一の項目』
“自閉症って何”
「発達障がいって聞いたことがありますか。自閉症ってそれの一つなんですよ」と最初
の引き出しを開けていただきました。拓人さんの障がいの診断から始まり自閉症スペクト
ラム(虹色)について、お母さまの“お話の引き出し”をいくつも開けていただき「自閉症で
は、発達に歪みがあって、できない事は出来ないけれど、ある意味できる得意なことはも
のすごく得意」であること「コミュニケーションの難しさ」「変化に合わせることが苦手」
「言葉よりも視覚的に強い人が多い」等について分かりやすくお話をいただきました。
『第二の項目』
“チャレンジドミュージシャンとしての道のり”
いま拓人さんは、ピアノやフルートの演奏会が沢山あります。その道のりを演奏を交え
てお話しいただきました。まずはピアノの演奏をしていただきました。
♪<演奏>
●一曲目、リベルタンゴというリズムに乗ったハイテンポな曲を演奏されました。
拓人さんの幼少期から、音楽との出会い、ピアノとの出会い、そしてピアニストとして育
っていく基となった沢山のエピソードをご紹介いただきました。
お母さまは、
「自閉症の人ってやっぱりなかなか人には受け入れられなかったり、人に理
解してもらえないような特別な異なった事っていっぱい持っているんですが、これを上手
い場面で活用すれば、あるいはちょっと見方を変えてやれば得意になるんではないかな」
「集中力を持っているのでこれを周りの支援者とか親が、なんかいい場面で見つけてやる。
それが1つの手立てではないかな」と思いを語っておられました。
♪<演奏>
●見上げてごらん夜の星を
●クリスマスのシーズンなのでくるみ割り人形からトレパークというロシアの踊り
●金平糖のおどり
“得意なことを引き出してみる”
次に、沢山のできない事(笑ってしまったり、悩んだりした沢山の特異なこと)が気になら
なくなったきっかけのエピソードをお話しいただきました。ピアノにフルートも加えた音
楽活動で周囲の見る目が変わり、本人の居心地が変わり、他者のサポートも受けられるよ
うになって、人に認めてもらえとっても本人がにこやかで嬉しそうで、自分の自信にも繋
がっていくお話しでした。
そこでフルートで二曲をお母さまの伴奏で演奏していただきました。
♪<演奏>
●くるみ割り人形から あし笛のおどり(コマーシャルで流れた)
●レット・イット・ゴー
続いて、拓人さんへのインタビューをお母さまからしていただきました。
Q:昨日長野に来ましたが、長野に来てどうですか。
A:うれしいです。
Q:うれしいですか。今日はこんな沢山のお客さんの前で演奏できてどうですか ?
A:うれしかったです。
(拍手)
Q:じゃあ拓人さんは、毎日朝起きてから一日どんなことをしていますか?
月曜とか教えてください。
A:風呂洗いをして、ご飯を食べて会社に行ったりします。会社はパソコンで入力の仕事を
して弁当を食器洗い機に入れて、六時から八時までピアノの練習をして、夕飯を食べて
寝まぁーす。(和やかな笑いと拍手)
Q:それでは今度、えーっと、休みの日はどんなことをして過ごしていますか?
A:サーティーワンでは、チョコレートとマスクメロンを頼んでいます。あとマックでは、
チキンフィレオのセットを会社の帰りに食べて帰ります。あとは電車とか何色が入って
いるかを見ています。たこ焼きのおじさんは「またちょっとおいで」と言われました。
落ち葉をほうきではいているのを窓を開けて見てました。 最近買ってないです。(笑い
と拍手) 後サンクスに行ったりしています。後はライフでは、堅あげポテトのブラック
ペパーなど買っています。後はコンサートのことをブログに書いています。
(拍手)
“得意は希望へとつながった”
次に音楽の中での出会いの一番大きな二つのお話をして頂きました。
1つはコバケン(音楽家「小林研一郎」
)とその仲間たちスペシャルオーケストラとの出
会い。世界的な指揮者の小林研一郎さんと仲間たちのオーケストラにフルート演奏で入れ
て頂き、大きな演奏会やサポートを受けてその後の演奏活動に繋がっていったお話。もう
ひとつはピアノパラリンピックとの出会いで、いろいろな障害の方の演奏を聴いて勇気を
もらった大会のお話でした。この他に知的障害者のミュージックフェスティバルに参加し
てプロの人とのトゥゲザー。一緒に演奏できる素晴らしい企画と体験談をお話していただ
きました。そのあとの演奏に会場は拍手喝采へ…!
♪<演奏>
●前奏曲「鐘」という曲で教会の鐘がカランコロンと最初から最後まで鳴り響く曲です
(写真)拓人さんはいつもここで衣装を着替えるようです)
“テレビ出演でふっきれた”
TV出演でお母さま自身が「自分を受け入れるきっかけになるんじゃないか」という取材
受入れの心境を語って頂き、拓人さんのことが周りの人に伝わった時の気持ちや子どもさ
ん皆にテレビを通じて親としての赤裸々な気持ちを言えたお話しをして頂きました。
“休日はミュージシャン”としてソロ活動やデゥオグループ活動をしたり「同じ仲間って
いるよね」との思いからオーティズムミュージシャンコンサートを立ち上げたことやその
仲間たちとのアンサンブルについてお話して頂きました。
♪<最後の曲の演奏>
●トルコ行進曲によるコンサートパラフレーズ(鍵盤の端から端まで手が動き視覚的にも
楽しめました)
『第三の項目』
“平日は会社員として働いています”
拓人さん自身から紹介してもらいました。「僕は、今会社員四年目です。この写真は今家
から出るところです。ワイシャツとスーツで通勤します」…<中略>「主にパソコンデー
タ入力の仕事をしています。これが僕の会社の様子です。…車イスの人や耳が聞こえにく
い人や病気がある人やいろんな人が働いています。僕は、毎日何枚入力できたかが楽しみ
でどんどんパソコンを打つのが早くなっているので会社の人が助かりましたと褒めてくれ
ます。きりがいい枚数まで行ったら、会社の人と昼食に行きます。それがとても楽しみで
す。それでは僕が実際に仕事をしている映像を見てください」<映像紹介>
“特別支援学校での職業実習”についてパソコンの力を活かして事務の仕事に向けて取
り組んだこと、手は速く動き指番号を守るピアノの得意がパソコンへ、そして日本語ワー
プロ検定の一級の習得へと繋がったこと、職場体験を重ねてパソコン技能を認めてもらい
今の会社への就職に繋がった様子をお話して頂きました。
“最後に皆さんで歌いましょう”♪(歌「ふるさと」)フルートとピアノと大合唱でした。
【謝辞】
・・・長野県知的障がい福祉協会 太田嘉右エ門 副会長(軽井沢治育園保護者会長)
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