...

片山 善博氏

by user

on
Category: Documents
7

views

Report

Comments

Transcript

片山 善博氏
●慶應義塾大学
法学部教授
片山 善博氏
か た ﹁政治主導﹂の虚実
講演
や ま
よ し ひ ろ
●片山 善博氏
1951年
1974年
岡山県生まれ
東京大学法学部卒業後、
自治省に入省
能代税務署長、
自治大臣
秘書官、
自治省国際交流
企画官、
同省固定資産税
課長などを経る
1999年
鳥取県知事
(2期)
2007年4月 慶應義塾大学教授
2010年9月∼2011年9月
総務大臣
2011年9月 慶應義塾大学教授に復職
し、
現在に至る
地方制度調査会副会長、中央教育審議
会委員、
日弁連市民会議議長、行政刷新
会議議員などを務める
<主な著書>
『日本を診る』
(岩波書店)
『市民社会と地方自治』
(慶應大学出版会)
『災害復興とそのミッション−復興と憲法』
(共著・クリエイツかもがわ)
『地域間交流が外交を変える』
(共著・光文社)
他
去る 9 月 14 日に開催された紀陽ビジネスクラブ特別講演会(田辺会場)における片山善博氏のご講演内
容の要旨を掲載します。
とで総務大臣を務め、内閣の一員として、自分な
事務次官会議の廃止と政治主導
りに政治主導というものを実践してきたつもりで
ご紹介いただきました、片山です。今日は、
『「政
す。改革できたこともあるし、不本意で果たせな
治主導」の虚実』というテーマでお話しします。
かったことももちろんありますが、それらの経験
2009 年 9 月に、民主党政権が「官僚主導から政治
を踏まえて、民主党政権の政治主導とはどういう
主導へ」というスローガンを掲げて政権交代を果
ものだったのか、いくつかの具体例をもとにお話
たしました。いろいろなことを約束して政権の座
ししたいと思います。
に就き、成果をあげたことも失敗したこともあり
まず、民主党政権がやったことの一つに事務次
ます。私自身、2010 年から 2011 年まで菅内閣のも
官会議の廃止があります。事務次官は各省に 1 人
1
経済季報 2013 冬号
講演
「政治主導」の虚実
ずついる官僚のトップで、彼らは毎週 2 回、月曜
子力発電所(原発)をゼロにするのが一番望まし
日と木曜日の昼に集まり、事務次官会議を開きま
いと思います。しかし、それを実現するにはいろ
す。会議では国会に出す法案などの重要な案件が
いろな問題、原発で生じた廃棄物の再処理計画で
協議され、決定されたものが週 2 回、火曜日と金
あるプルサーマル計画をどうするのか、原発の輸
曜日に行われる閣議において議論され、閣議決定
出計画をどうするのか、原発の代替エネルギーを
されます。ところが、閣議には多くの案件が持ち
どうするのかといった多くの問題を解決しなけれ
込まれるため実際は議論をすることなく、事務次
ばなりません。どんなによい政策であっても思い
官会議の決定が 100% 追認され、閣議は閣僚が順番
つきで発言するのではなく、整合性があるのか、
にサインするだけの場になってしまっていました。
きちんと政策調整しなければいけません。事務次
これでは政治家の介入する余地がありません。「官
官会議では曲がりなりにも常に政策調整をしてい
僚主導から政治主導へ」をスローガンにしている
ました。だから私は、事務次官会議は残しておい
民主党からすると、官僚主義の象徴のような事務
てもよかったと思います。事務次官会議の問題点
次官会議は廃止すべきものであったわけです。
は、消極的な権限争議などによって、国民にとっ
しかし、事務次官会議をやめたからといって政
て重要な政策が、結局まとまらずに消えてしまう
治主導になるかといえば、そんなことはありませ
ということです。事務次官会議を残したうえで政
ん。事務次官会議で決められているとはいえ、そ
治主導をするためには、官房長官が各省間で案件
の前には官僚たちが夜を徹して各省協議を行って
などをきちんと処理してあげれば、各省でまとま
います。一つの省だけの狭い了見で考えた偏った
らずに没になった案件を拾い上げることができま
政策にならないように、各省が全部に目を通し、
す。
様々な観点から政策調整をしてまとまったものだ
事務次官会議の廃止は政治主導の失敗例ですが、
けが事務次官会議にかけられています。会議をや
少なからず成功しているものもあります。一つは、
めるとなると、各省協議のような調整を閣僚達が
自民党政権時代からサイン会のようになっている
しなければいけません。
閣議が、菅内閣の頃には閣議後に閣僚懇談会を開
ところが、鳩山内閣において、事務次官会議は
き、大臣たちによる丁々発止の議論をするように
廃止されたものの、閣僚間の調整はうまくいきま
なりました。もう一つが公務員の給与削減です。
せんでした。すぐに出た問題が、鳩山元首相が国
もちろん不十分だという意見や批判もありますが、
連総会で熱弁した「CO2 の 25% 削減」です。CO2
私が担当大臣になって一応やり遂げました。公務
を減らすのはいいことですが、達成するには各業
員給与の削減は、どの大臣も嫌がります。民主党
界の排出をどうするのか、代替エネルギーをどう
は労組の支援を受けているので、中でも最大勢力
するかなどといった多面的な検証が必要ですし、
の公務員労組の人たちから嫌われるわけにはいき
いろいろなことに配慮しなければなりません。当
ません。その点、私は民間出身ですから選挙もな
時、本当はじっくり議論をしなければならないに
いので、私にお鉢が回ってきたのだと思いますが、
も関わらず、各省の協議や調整もせずにニューヨー
やはり各省みんなが反対で、かなりの抵抗があり
クに行き、格好良く宣言しただけで終わってしま
ました。普通、官僚は各省間で仲たがいするもの
いました。すでに現政権では、誰もそんなことを
ですが、こういう問題になると一致団結します。
考えていませんし、またぞろ「原発ゼロを目指す」
本来、政策は政治家たちが方針を示し、その方
と表明して同じような事態を引き起こしています。
針に沿って官僚が実務をこなすものですが、自分
東日本大震災時にあれだけの大惨事を起こし、
たちの給与削減策には担当部局も心底対応しない
うまく原子力を制御できないわが国ですから、原
ので、私自身が労働組合などと直接交渉をしまし
2
経済季報 2013 冬号
た。担当外の各省も反対して何も進まないため、
会議に切り替えました。また、そのときの政務三
閣僚懇談会で決めることにしました。閣僚の中に
役のうち私を含め 3 人は地方行政の経験者で、素
は所管の官僚の代弁をするかのごとく強硬に反対
人ではなくいわばプロだったので、官僚は嘘をつ
する大臣もいましたが、給与削減策を推し進める
くことも真実を隠すこともできず、非常によかっ
大臣たちとともに、最後には押し切ることができ
たと思います。おかげで官僚たちの考え方に私た
ました。
ちの意見を反映させるという政治主導の一端を実
公務員給与削減は、閣僚たちが政策調整をして
践できましたが、一般には難しかったのだろうと
成立させた一つのモデルだと思います。民主党政
思います。
権にはいろいろな局面において、この政策調整モ
素人やセミ素人が天下り的に大臣、副大臣、政
デルをいい意味で真似ていただけたらと思います
務官に就くと、百戦錬磨の官僚たちをうまくリー
が、なかなかうまく政策調整ができていません。
ドするのはなかなか難しいものです。政務三役主
事務次官会議の廃止により全部が悪くなったとは
導の省運営をするならば、官僚を排除するのでは
いいませんが、廃止するならば新しい政策調整の
なく、うまく使わなければいけません。官僚は敵
場をきちんと確立しなければいけません。民主党
ではなく部下です。そのためにも政務三役にはそ
政権は、それができていないと思います。
れなりの見識や知見があり、その道についてある
程度の専門的な知識を持った人を選ばなければな
らないと思います。
「政務三役主導」の省運営
各省には、必ず政務三役という大臣、副大臣、
政務官がいます。自民党時代の官僚主導からの脱
却をはかるため、民主党政権はこの政務三役を中
心にものごとを決めることにし、事務次官会議の
廃止とともに、
政務三役会議を導入しました。本来、
政務三役と、官僚である事務次官や局長とによる
会議の中でものごとの方針を打ち出し、細かい仕
事は役人にやってもらう、というのが政治主導の
ビジネスモデルです。ところが、政務三役会議で
は官僚を排除し、数人の政務三役だけでものごと
を決めようとしました。政務三役は、たまたまそ
事業仕分けと政治主導
の道のプロが任命されることもありますが、ほと
んどの場合は門外漢です。
「三人寄れば文殊の知恵」
事業仕分けも政治主導の成果だと言われました。
といっても素人ばかりが集まっていてはなかなか
事業仕分けは予算の中にあった今までの膿や無駄
いい文殊の知恵は出てきません。政務三役は、や
を取り出すことができたので、非常に成果があっ
はり官僚の意見も聞いたうえで、国民の代表とし
たという評価が多くありました。中には、日頃尊
ての常識や国民の視点、長期的な視点から官僚た
大な構えをしている官僚たちが公衆の面前でやり
ちをリードしたり、修正したりしなければいけま
込められ、しどろもどろになっている姿を見て、
せん。
せいせいしたという人もいました。いろいろな評
私が大臣になった時も、官僚の幹部を排除した
価がありますが、私は事業仕分けはしないよりは
会議になっていたので、事務次官や局長を入れた
した方がよかったとは思いますが、あれでものご
3
経済季報 2013 冬号
講演
「政治主導」の虚実
とが解決すると思ったら間違いだと思います。確
を把握するのは不可能でした。そこで、予算編成
かに一つの見せ場ではありましたが、決して構造
過程の透明化に踏み切りました。各部からの予算
的に改革できたわけではなく、喩えるならば「水
要求の状況をホームページ上で公開し、財政課長
戸黄門型の問題解決の手法」だったといえます。
査定をはじめ、総務部長査定や知事査定状況も全
水戸黄門は、TBS テレビで放送されていた時代
て公開し、それぞれの段階で説明責任を果たせる
劇で、悪事を働いた代官や商人を水戸黄門一行が
ようにしました。おかげで変な予算はなくなりま
成敗するという物語です。見ているほうはスカッ
した。
としますが、水戸黄門はものごとの本質を全く解
国においても、事業仕分けで出てきたような変
決していません。なぜ悪代官が出てきて悪徳商人
な予算をなくすためには予算編成を透明化するこ
とつるむのかというと、その地域の政治構造に、
とです。もちろん、県の予算と国の予算とでは性
権力に対して掣肘(注 1)を加える作用がないと
質の違う面があります。警察の捜査や通信以外に
か、透明性が全くないといった問題があるからで
機密というものがほとんどない県に対して、国に
す。にもかかわらず、権力構造には手をつけないで、
は外交や防衛など多くの国家機密がありますので、
問題を上辺だけで解決して、表面的に出てきた悪
県と同等の透明化が図れるわけではありませんが、
代官だけを成敗して去っていくため、また同じよ
できうる限り透明性を高めることが必要です。実
うな人が出てきます。
際、鳩山内閣のときに副首相であった菅前首相の
水戸黄門が権力の透明化や民主化、権力のチェッ
主導で国家戦略室が作られ、私も委員として呼ば
クに全く手をつけなかったのと同じように、実は
れ、予算編成の透明化について紹介しましたが、
事業仕分けも本質には手をつけていません。なぜ
残念ながら実行には移していただけませんでした。
あのように変な予算がたくさん出てくるのかとい
事業仕分けもいいですが、やはり基本に戻り、予
うと、密室で行われる予算編成過程に問題がある
算編成などはできるだけ透明化することが本当の
からです。勿論予算は国会に提出しますから、国
政治主導だと思います。
民の代表である国会議員がチェックをするはずで
すが、肝心の予算委員会では政治資金問題や不祥
(注 1)わきから干渉して、自由な行動を妨げること
事問題に振り回され、十分なチェックができてい
ません。会計検査でも、各省の行政評価でも見逃
されています。最終的には会計検査が検査したも
東日本大震災と政治主導
のを決算委員会でチェックしますが、それもくぐ
り抜けています。本当に政治主導を実践するなら
東日本大震災が起きたとき、私は総務大臣でし
ば、予算編成過程の改革をやらなければいけませ
た。その年の 5 月、6 月の毎週末には福島県に出向
ん。私も鳥取県知事になったときには、随分悩ま
いていましたので、多くの思い出があります。大
されました。
臣は 1 年で退任しましたが、率直に言うと、被災
鳥取県でも、財務省のように財政課において予
地のためにはもっと続けていたかったし、もう少
算が策定されます。予算を決める際は財政課長査
し続けていれば被災地の復興支援が今よりも進ん
定、総務部長査定、知事査定という過程を踏み、
だのではないかと思っています。
ようやく世に出ます。この間、誰が、いつ、どん
実は、知事時代、マグニチュード 7.3、最大震度
な予算をつけ、貴重な予算を削ったのかが全くわ
6 強の阪神淡路大震災と同規模の鳥取県西部地震が
かりません。最終的には知事である私の責任とは
発生しました。そのときの経験があるので、自治
いえ、時間的余裕がないために膨大な予算の全て
体として何が一番求められるのかということがよ
4
経済季報 2013 冬号
くわかります。何よりもまず自治体が早く復興し
いうのが財政の理屈です。反対に、一番国債を発
なければいけません。被災された人々は、元の場
行してはいけないのは公務員給与ですが、現状で
所に住めるのか、仕事はどうなるのか、子どもた
は公務員給与に赤字国債が入っています。それま
ちの将来はどうなるのかといった多くの不安を抱
でずっと国債を発行して公務員給与にも充当しな
えています。当時は何も制度がなかったので、私
がら、今回のような突発的災害の復興のためには
が取り組んだのは、県が独自に元の地域に住宅を
発行できないなど、そんな理不尽なことはありま
再建する場合に 300 万円の補助金を出すことでし
せん。もちろん、この先どんどん借金を積み重ね
た。
ていいはずがありません。しかし、それよりも急
私の経験からすると、今度の被災地でも自治体
ぐのは 1 日も早い復興です。にもかかわらず、復
が中心になって復興計画を作らざるを得ないと思
興予算が成立したのは復興増税が決まった 11 月で
います。よく関東大震災になぞらえて国が計画を
す。増税が決まるまでは、本格的な補正予算は組
作るべきという話をする人がいましたが、首都一
みませんでした。こんなばかなことはありません。
帯が広範囲で被災してしまった時とは状況が違い
もう一つ、知事時代の経験から、復興予算と同
ます。自治体のそれぞれの入江が被災している今
様に復興交付金はできるだけ自由度の高いものに
回は復興計画も入江ごとに作らなければならず、
することを提言しました。被災地では、事情によっ
自治体がやらざるを得ません。しかし、復興計画
て優先度合いの非常に高いものがあります。国の
を作るにはお金が必要なので、政府が直ちにやる
補助金を一つ一つ目的別に当てはめるのは難しく、
べきことは、早く復興計画を作れるように、財政
また当てはまらないものもたくさんあります。予
支援の内容を示してあげることです。例えば、高
算委員会で野党から指名された時も、自由に使え
台に新しい町をつくるには膨大なお金がかかりま
るお金を復興交付金として交付することが非常に
す。そのうちの全部とは言いませんが、ほとんど
重要だと答弁しました。首相はもとより野党であ
を国が出すということぐらいは示してあげなけれ
る自民党からも賛同を得られたので、その方向で
ばいけません。それがないと、高台移転計画なん
復興交付金を構想していました。
て全く絵に描いた餅になってしまいます。
しかし、9 月に野田内閣になると、結果的には従
私自身、閣僚懇談会において復興のための早急
来型の補助金に戻ってしまいました。これは何か
な補正予算の編成を提言していましたが、復興増
というと、結局役人の論理です。国民が納めた税
税が決まるまでは組めないという官僚の強固な抵
金を、野放図に使われては困るので、国が定めた
抗にあい、野田財務大臣(当時)はそれに従って
目的以外には使わせないというのは確かに正しい
しまいました。結局、復興増税が決まった後の 11
ことです。しかし、震災による復興のように緊急
月にようやく補正予算がつきました。確かに、38
措置が必要な場合には、通常の理論ではなく、政
兆円もの赤字国債を発行しなければ予算が組めな
治主導により臨機応変に対応しなければならない
いのだからこのまま積み重ねていくことはできな
はずです。結局、復興予算は 8 か月も待たされた
いというのも一理ありますが、増税が決まらなかっ
上、復興交付金の使いみちも非常に硬直的なもの
たら復興はしないのかというと、そういうわけに
になってしまいました。もう少し大臣を続けるこ
はいきません。
とができていれば、もっと改善できたのではない
財政の論理で言うと、善し悪しは別として、戦
かと悔やまれてなりません。
争と災害復興は国債の発行による財源調達をして
いいケースです。突発的に起きて、しかも 1 回限
りですから、一も二もなく国債を発行していいと
5
経済季報 2013 冬号
講演
「政治主導」の虚実
失策ばかりが目立ち、不当に批判されている面も
政治主導が機能した分野も
ないわけではありません。
民主党政権において、政治主導に成功したもの
政治はわれわれの社会になくてはならないもの
に地域主権改革と補助金改革があります。復興交
です。その政治が、国民の意思をできるだけ代弁し、
付金では失敗しましたが、一般の補助金について
官僚主導に陥ることなく官僚をうまく使い、国民
は震災前にかなり改革できました。
のための政治になるようにしなければいけません。
補助金は、県道は国土交通省から、農道は農林
それが政治の要諦(注 2)であり、私の話がそのた
水産省、工業高校の校舎の建設は文部科学省とい
めの一助になれば幸いです。ご清聴ありがとうご
うように、目的別に各省から都道府県に交付され
ざいました。
ます。仮に農道の整備よりも県道の整備が必要で
(文責:紀陽銀行 経営企画部 広報・CSR 推進室)
あったとしても、農道用の補助金を県道に回すこ
とはできず、非常に使い勝手の悪いものでした。
知事時代から一括化を望んでいたので、総務大臣
になったのを機に改革することにしました。
まず、各省から交付される施設の建設や道路の
整備といったハード系の補助金を束ねます。おお
よそ 1 兆円規模になりますが、そのうち約半分の
5,120 億円を一括化し、一定の基準で都道府県ごと
に配分しました。使い方も県道等の整備にあてる
なり、校舎の改修にあてるなり、各都道府県が独
自の判断で一定の範囲内で決めることができます。
これまでのように各省に陳情する必要も、国会議
員に頼む必要もありません。補助金一括交付化は
自治体にとっては画期的なことであり、菅政権に
とっては地域主権改革の成果であり、そして民主
党政権にとってはこれまでの成果の中でも特筆に
値すべきものだと思います。
もう一つ、地域主権改革の成果に地方債の改革
があります。地方債は政府から借りるのではなく、
実際は銀行から借り入れます。政府は保証人にも
ならないし、担保も出してくれない。にもかかわ
らず、政府の同意が必要です。これは絶対にやめ
るべきだと思っていたので、自治体ごとに銀行か
ら借り入れる額をあらかじめ決めておき、その枠
の範囲内なら国の同意は不要にしました。
補助金一括交付化も地方債の改革も民主党政権
の成果ですが、一般の国民生活には直結しないた
めにほとんど報道されず、話題にのぼりません。
そのため民主党政権による成果が埋もれてしまい、
(注 2)物事の最も大切なところ。肝心かなめの点
6
経済季報 2013 冬号
Fly UP