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スライド 1
第8回
「寝たきりの原因と予防」
「寝たきり」にならずに過ごしたい、これはウエルネスサークル
の目的の一つでもあります。「寝たきり」になると、若々しく、活き
活きと活動的な生活ができなくなり、健康寿命を短くすることに
なります。
「寝たきり」になる主な原因は、
・脳卒中により身体不随になる
・認知症が進行して日常生活が困難になる
・骨粗鬆症が進行した骨折や関節炎により歩行不能になる
です。
「寝たきり」の患者数は122万人(平成23年)で、高齢化社会
の中で今後増加していきます。
「寝たきり」の原因は、加齢と共に進行しますが、生活習慣病と
同じように食事、運動、嗜好習慣の改善により、進行を抑えるこ
とができます。特に骨粗鬆症は女性が先行して発症しますので、
予防と対策は40歳代から行います。
1.「寝たきり」の現状
避けたい「寝たきり」
先日NHKの番組で「寝たきり患者と胃ろう」を放映していました。
患者が見える世界は天井の節目しかなく、自力で食事や排泄が出来ず、
自分の意思で身動きできない状態です。
胃には、人工的な口が取付られていて、外部からチューブを通じて栄養素を
胃に供給しています。これが「胃ろう」です。
「胃ろう」手術をする時は、回復を見込んで始めるようですが、次第に回復の
見込みがなくなり、胃ろうを外すこともできず、ただベッドで長生きしていることを、
課題にした番組でした。
患者にとっても屈辱的な思いが強く、生きている心地はしないはずです。
また家族にとっても、毎日の介護をする時間と労力は大変です。
経済的にも介護保険は活用できるものの、かなりの負担を強いられます。
「寝たきり」患者数
40歳以上になると皆んな加入する介護保険は、要支援と要介護に分かれて
いて、そのレベルは要支援1~2、要介護1~5の7段階があります。
「寝たきり」は、要介護4、5に相当します。
「寝たきり」の患者数は、122万人います(平成23年)
「寝たきり」及び要支援・要介護患者数
厚生労働省 平成22年10月末
目次
1.寝たきりの現状
2.寝たきりの原因
3.動脈硬化とそのメカニズム
4.心筋梗塞と脳梗塞
5.骨粗鬆症
6.寝たきりの予防
7.次回の予定と参考図書
8.付録 食品GI値リスト
1ページ
「寝たきり」
患者数
122万人
118万人
内65歳以上
4万人
内40~65歳以上
要支援・要介護総数
患者数
500万人
485万人
内65歳以上
内40~65歳以上 15万人
2ページ
「寝たきり原因」と「死亡原因」
平均寿命と健康寿命
健康寿命とは「日常生活で支援や介護を必要としないで、自立して生活が
できる期間」をいいます。
平均寿命は「現在の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、今後出生
する人が何年生きられるかという期待値」をいいます。今年の死亡者の平均
年齢ではありません。
下の図は、男女別の平均寿命と健康寿命の比較を表します。その差は、男性
で、9.13年、女性で12.68年もあります。この意味するところは、平均寿命まで
長生きすれば、男女とも10年前後の支援・介護を受けてから、死んでいくこと
を意味します。またその24%の方は、屈辱的な「寝たきり」になって、死んでいく
ことになります。
平均寿命と健康寿命
60歳
65歳
70歳
平成22年 厚生労働省
75歳
80歳
85歳
70.42歳
9.13年
86.30歳
女性
73.62歳
12.68年
2.「寝たきり」の原因
「寝たきり」の原因
右ページ上図は「寝たきり原因」と「死亡原因」を表しています。
「寝たきり原因」で注目すべきことは、動脈硬化を原因とする脳卒中と認知症
(動脈硬化起因による認知症は半数として)が35%、骨折と関節が17%と、
この動脈硬化系と骨関節系で半数以上を占めていることです。
「死亡原因」と「寝たきり原因」を比較すると、「死亡原因」上位の「がん」と「心臓病」
は「寝たきり原因」の下位になってます。 「がん」と「心臓病」は死亡危険度が大き
いので、「寝たきり」になる前に、命が果ててしまうためと思われます。
「寝たきり」になりたくなければ、「がん」や「心筋梗塞」で死ぬのもいいかも知れま
せん?そういえば「がんで死ぬのが一番いい」とか「年をとってからはガンで死ぬ
のも悪くないかもしれない」という医者が書いたベストセラー本がありました。
3ページ
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
死亡原因
脳卒中(24.1%)
認知症(20.5%)
老衰(13.1%)
骨折(9.3%)
関節疾患(7.4%)
心臓病(3.2%)
糖尿病(2.8%)
呼吸器疾患(2.5%)
がん(2.2%)
その他(14.8%)
1位
2位
3位
4位
5位
6位
7位
8位
9位
10位
がん(30.1%)
心臓病(15.8%)
脳卒中(10.7%)
肺炎(9.8%)
老衰(3.4%)
不慮の事故(3.3%)
自殺(2.7%)
腎不全(2.0%)
肝臓病(1.4%)
慢性閉塞性肺疾患(1.3%)
平成22年 厚生労働省
平成21年 厚生労働省
*「脳卒中」は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のことをいいます。
*「心臓病」は、心筋梗塞、狭心症のことをいいます。
*「認知症」は、第5回 「認知症の発症メカニズムと予防」を参照ください。
平均寿命
健康寿命
79.55歳
男性
90歳
寝たきり原因
「寝たきり原因」の男女差
「寝たきり原因」でもう一つ注目すべきことは、男女差です。
下図は、「寝たきり原因」の上位5位を男女別に比べたグラフです。
脳卒中は男性が約2倍多く、反対に認知症、骨折、関節疾患は、女性の
方が2~3倍多くなっています。
これは多分にエストロゲンという女性ホルモンが影響しています。
後にも説明しますが、「寝たきり」にならない予防は、男女で異なることに
なります。
「寝たきり原因」 男女差 平成13年 厚生労働省
10%
脳卒中
11.5%
骨折
関節疾患
6.3%
5.7%
42.9%
4.1%
18.3%
13.0%
男性
14.8%
12.8%
4ページ
50%
40%
20.2%
老衰
認知症
30%
20%
女性
3.動脈硬化とそのメカニズム
「寝たきり」の原因には、内臓疾患系の脳卒中・心筋梗塞と、運動器系疾患
の骨折・関節があります。
脳卒中と心臓梗塞は、血管が詰まって発症しますが、詰まる場所と詰まり方
によって、「死亡原因」か「寝たきり原因」に分れ、死亡原因では、「がん」に
次いで2位と3位に位置します。
ウエルネスサークルではこれまでに、「脳卒中」と「心筋梗塞」を取り上げて
こなかったので、今回「寝たきり」の原因の一つとして、その発症メカニズムと
予防を取り上げます。
「脳梗塞」や「心筋梗塞」は脳や心臓の病気ではなく、血管(動脈)の病気
です。 血管が動脈硬化することによって発症する死亡危険度が大変高い
病気です。 それでは原因となる動脈硬化について見ていきましょう。
動脈硬化とは
血管そのものを硬くする原因には、加齢、動脈硬化、糖尿病、脂質異常症、
肥満などがあり、
血管を一時的に硬くする原因には、高血圧、喫煙、交感神経の緊張、ストレス
などがあります。
血管そのものを硬くする動脈硬化とは、
①血管が硬くなること
②血管が厚くなること
③血液の通り道が狭くなること
の三つの変化が起こることをいいます。
静脈でも硬化は起こりますが、体の老廃物や二酸化炭素を運び出す通路を
相当するので、体へのダメージは小さく取りざたされません。
動脈硬化の種類
1.動脈硬化とは
動脈とは
ご存じのように、動脈は心臓から押し出された血液が流れる血管のことで、
そこを流れる血液と一緒に酸素や栄養素は、体内の隅々まで運ばれます。
動脈の太さは、心臓に近い大動脈で30~40mm、血管が枝分かれするごとに
細くなり小さい動脈で2~3mm、さらに細い細小動脈で0.5mmになります。
一番細い毛細血管では7~8μmくらいになり、この径では、白血球や赤血球は
折るようにして通過していきます。
動脈の構造
動脈の構造
内膜、中膜、外膜の3層からなり、内膜の
内皮細胞は血液に直接触れています。
中膜には平滑筋細胞と繊維タンパク質が
があり、血管の収縮と弛緩を担っています。
太い大動脈でも厚さは2mm程です。
心臓が収縮して血液を送り出すと、
動脈は、弛緩し血管壁にかかる圧力を吸収すると同時に、末端へ血液を送りだし
ます。正常な動脈は強く大変しなやかなものです。
5ページ
動脈硬化は3種類に分けられ、血管の太さによってでき易いタイプがあります。
①アテローム性動脈硬化
アテロームとは粥状の腫れものの意味で、動脈の内膜と中膜の間にコレス
テロールなどからなるドロドロしたお粥状のものが溜まり、血管を狭くします。
または破裂して塊が移動し、別の場所の血管を詰まらせます。
脳や心臓など比較的太い血管でできやすく、致命傷になるので、動脈硬化
というとアテローム性動脈硬化を指します。
②中膜硬化
中くらいの太さの血管に起こりやすく、年月をかけて中膜にカルシウムが
たまり硬くなります。血管を狭めることにはなりませんが、もろくなり破れる
場合もあります。
首の動脈、足の動脈に起こりやすいです。
③細動脈硬化
腎臓や脳の細い動脈で起きやすく、高血圧や高血糖が原因になります。
血管が詰まったり、細い血管はもろく破裂しやすくなります。
6ページ
4.心筋梗塞と脳梗塞
2.動脈硬化の発生メカニズム
アテローム性動脈硬化の発生メカニズムです。
第一段階
アテローム性動脈硬化
動物性タンパク質や炭水化物を摂りすぎたり、
運動不足が続くと、LDLコレステロールや血糖
が増え、また血球同士もくっつきやすくなる。
するとLDLコレステロールや糖化されたLDL
コレステロールは血管の壁に溜まりやすくなり、
同時に血管の内皮細胞を傷つける。
第二段階
LDLコレステロールは傷ついた内皮細胞に
入り込み、活性酸素により酸化されると酸化
LDLコレステロールに変性する。
酸化LDLは白血球の中の単球を呼び寄せ、
単球はマクロファージに変化し、酸化LDLを
異物と見てどんどん取り込んで、泡沫細胞
となり、死滅する。これが集まると、粥腫になり
内膜が膨れ、炎症を起こし、アテロームの被膜
がくずれ、破れる。
この破れを修理しようと血小板が凝集してくる、また赤血球も加わってくる。
第三段階
破れ口は「血栓」と言う血の塊で塞がれ、これが血管を塞ぐことになる。
心臓の冠動脈で起これば心筋梗塞になり、脳動脈で起これば脳梗塞になる。
また血栓は血流で飛ばされ、別なところの血管を塞ぐこともある。これを
「塞栓」という。冠動脈の「血栓」は脳に飛ばされて、「脳塞栓」になりやすい。
アテローム性動脈硬化は、条件がそろうと、またたく間にできるのが特徴で、
「まさかあの人が?昨日まであんなに元気だったのに」と驚かれるほど突然
起こる怖い病気です。
しかし、正しい知識と不断の努力で予防は可能であることを頭に叩き込んで
おいてください。
7ページ
「心筋梗塞」や「脳梗塞」は、共に血管の病気であり、動脈硬化が起こる場所が
心臓であれば心筋梗塞、脳であれば脳梗塞になります。
動脈硬化は、その原因となる高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、加齢
などが、単独に、または複合して症状を進行させることが分っています。
加齢を除けば、自分でコントロールできるリスクファクターですので、これは
進行を予防できることになります。
この章では、リスクファクターを一つづつ取り上げます。
加齢
高血圧
糖尿病
脂質異常症
肥満
喫煙
動脈硬化
心筋梗塞
脳梗塞
(狭心症)
(脳出血)
(くも膜下出血)
1.心筋梗塞
心臓の構造と冠動脈
「心筋梗塞」とは
心臓は理科で習ったように、2心房、2心室から
なり、静脈から取り入れた血液を肺へ送り、肺で
酸素を取り込んだ血液を、大動脈から全身へ送
ります。
心臓の大きさは、親指を中に入れて握った拳くら
いです。その心臓の細胞に酸素と栄養素を運ぶ
のが冠動脈です。
冠動脈は左右に2本あります。(右図)
動脈硬化により、冠動脈が塞がり、その先の心筋
細胞に酸素と栄養素が届かず、心筋細胞が壊死して
心臓が痙攣したり、止まってしまうのが心筋梗塞です。
8ページ
「心筋梗塞」は血液の流れが良い血管で突然起こる
心筋梗塞になった血管の狭窄度(詰まり具合)を調べると、約6割は狭窄度
が25%未満の血管から起きています。
これはそれまで平常に生活していた人が、ある日突然アテローム性動脈硬化
が起こり、心筋梗塞が発症したことになります。
心筋細胞は一度壊死すると再生できず、一命を取り留めても心不全を惹き起し
死亡するケースが多く、寝たきりになるケースは少ないです。
「狭心症」
狭心症は冠動脈の狭窄度が90%くらいになると発症します。運動や坂道を
上がる時などに心筋細胞が酸素不足となり、痛みと言う悲鳴を上げることに
なります。
狭心症を起こす程度まで血管が狭くなると、バイパス役の血管が作られ、不足
した血液の流れを補うように、旨くできています。
2.脳梗塞
脳卒中
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血をまとめて脳卒中と言います。
「脳梗塞」は、
脳細胞に酸素と栄養素(ブドウ糖)を運ぶ動脈が塞がり、酸欠や栄養不足に
により脳細胞が壊死することで、片麻痺、意識障害、失語などが突然発症する
疾患です。また徐々に複数個所で脳細胞が壊死し、記憶障害が積み重なって
起こるのが血管性認知症です。
「脳出血」は、
脳内の血管や動脈瘤が動脈硬化や高血圧により破れて、脳の中で出血した
状態をいいます。出血した場所により、運動障害、言語障害、感覚障害を起こし
血腫が多いと脳幹部が圧迫され死に至ります。
「くも膜下出血」は、
脳は外側から、頭蓋骨、硬膜、クモ膜、軟膜で守られています。クモ膜と軟膜の
間(くも膜下)には血管が走り、脳脊髄液が循環しています。
ここの血管(主に動脈瘤)が破れ、血液が脳脊髄液に混ざります。脳の保護膜
には痛みを感知する機能があり、激しい頭痛になります。
脳卒中では発生する場所により死に至るケースもありますが、多くは一命を取
り留めます。しかし、運動障害、言語障害、感覚障害などの後遺症が残ります。
脳細胞も心筋細胞と同じく、再生することはありません。後遺症により動かさな
い筋肉、関節、神経、心肺があるとその機能が劣化、衰弱し、最終的に寝たき
りの状態を呼び寄せてしまします。(これを廃用症候群ともいいます)
次に、動脈硬化が惹き起す心筋梗塞や脳梗塞のリスクファクターである
高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙、加齢について取り上げます。
3.高血圧
血圧
血圧にはご存じのように、「上の血圧」と「下の血圧」があります。心臓が収縮
して血液を送り出した直後の大動脈で測る圧力が「上の血圧」で、心臓が拡張
した時に測る圧力が「下の血圧」です。
実際には上腕に巻いた帯に空気を入れて血液の流れを止め、空気をゆっくり
抜いて拍動が聞こえ始めた時の圧力を「上の血圧」、更に抜いて聞こえなくなった
時の圧力を「下の血圧」として測定しています。上腕での測定は、反射圧波が
位置的に加わらないので、やや低くなります。
血圧は、血管の負荷抵抗と、1回に拍出される血液量で決まります。1回に
拍出される血液量はほとんど変化しないので、血管の負荷抵抗値で血圧は
変化します。
高血圧の原因
①血管が硬くなる、厚くなる、狭くなる
いわゆる動脈硬化です。
ゴムフーセンをイメージすると分りやすいと思います。厚かったり、硬かったり、
膨らまし口が狭いと、フーセンを膨らますには強く空気を吹きこまないと
膨らまないのと同じです。そのため心臓から送りだす圧力が強くなり、血圧が
上がります。
また血圧が高いと、血管はそれに耐えるように、中膜の弾性繊維が減って
平滑筋が増え血管は厚く、硬くなるので、更に血圧を上げるという悪循環に
脳塞栓
なります。
脳塞栓は心臓の血栓が剥がれて血流に乗って脳内の動脈が塞がり発症します。
従って、高血圧と、動脈硬化は、どちらもお互いに原因と結果になる関係に
不整脈に見られるように、心臓の心房が収縮せず痙攣状態になると、心房内で
なります。高血圧はリスクファクターとして、影響度は大きいです。
血液が滞留し血栓ができます。これが飛び出して脳動脈でつまると脳梗塞を
発症します。小渕首相、長嶋監督、サッカーのオシム監督はこの疾患者です。
10ページ
9ページ
②塩分の過剰摂取
塩成分のナトリウムを摂ると次の3つの理由で血圧が上がります。
・血管が硬くなる
ナトリウムが血管の細胞に吸収されると、中膜の組織が硬くなる
・血圧を上げるホルモンが活性化する
血中のナトリウムが増えると腎臓ではナトリウムをろ過しようと血圧を上げる
ホルモンの分泌が多くなる
・血管内の水分が多くなる
血液、体液の塩分濃度は0.9%に保たれている。血液の濃度が上がると
薄めるため水を飲んだり、体液が浸透し、血液量が増え血圧が上がる。
反対にナトリウムが不足すると、血管の緊張が無くなり、ダラーンとして
熱中症の状態になります。夏の熱中症を予防するためには
「喉が乾いたら水を飲め、汗をかいたら塩分も摂れ」が基本です。
塩分の摂取量は
日本人は1日に平均11gを摂取しています。
厚労省は10g以下を目標にしていますが、
高血圧の方は6~7gが望ましいと言われて
います。右図は食品の食塩量ですが、1日
10gは気をつければ何とかなるものの、
6~7gは努力と工夫が必要です。
塩分が少ない病院食を続ければ血圧が下
がるのは確かですので、降下薬を飲んで
いる人は努力と工夫をすべきです。
食品内の食塩量
高血圧の影響
高血圧患者数は800万人、対象者は4000万人(平成20年度データ)います。
高血圧者は正常血圧者に対して、心筋梗塞に2.5倍なりやすいデータがあります。
右図は、日本高血圧学会が
高血圧治療ガイドライン
提示している高血圧治療の
ガイドラインです。
高血圧以外のリスクファクター
がある人も、降下薬で治療中
の人も、至適血圧120/80以下
を推奨しています。
他のリスクファクターがある人
で120/80以上であれば、心筋
梗塞、脳梗塞のリスクが
増えますので、血圧は
何歳になっても120/80以下
で管理しておくことが目標になります。
4.脂質異常症
脂質異常症
血圧と加齢
血圧は加齢と共に変化します。(右図)
・下の血圧が上がる(20歳~50歳)
動脈硬化は細動脈(0.5mm)の肥厚
から始まり、この時は下の血圧が
上がります。
・上の血圧があがる(40歳~)
次に上の血圧が上がります。
・下の血圧が下がり
脈圧が大きくなる(60歳~)
60歳を過ぎて太い血管の動脈硬化が
進むと、下の血圧が下がり、他の動脈
硬化も進み、上の血圧も上がるので、
脈圧(上と下の血圧差)が大きくなります。
11ページ
脈圧が大きいと血管症のリスクは大きくなるデータがあります。80以上は
要注意です。脈圧は50位が望ましいと言われています。
加齢と血圧
脂質異常症はコレステロールや中性脂肪の血中濃度が大きい症状です。
血液検査でLDLやHDLや中性脂肪の数値を気にすると思います。
食物の脂肪や体内の脂肪は、95%の中性脂肪、5%のコレステロールからできて
います。体内に吸収されると血液には馴染まないので、コレステロールや
中性脂肪はタンパク質に包まれて、血液と一緒に体内に運ばれます。それが
LDL(低比重リポタンパク質)やHDL(高比重リポタンパク質)やサイトミクロンです
主にLDLにはコレステロールが、サイトミクロンには中性脂肪が包まれています。
コレステロールは体にとって大変重要な脂質で、細胞膜の材料、ホルモンの
材料、胆汁酸、ビタミンDなどの材料になります。
中性脂肪は、皮下脂肪や内臓脂肪に蓄えられ、エネルギー源になります。
食べ過ぎると脂質の他炭水化物も中性脂肪になり、肥満の元になります。
動脈硬化のところで説明しましたが、LDLが活性酸素により酸化LDLに
なるとマクロファージが異物と思い飲み込み、アテロームができて、心筋梗塞や
脳梗塞を惹き起こします。
12ページ
HDLは血管にへばりついたLDLを回収して肝臓に運びます。
HDLは中性脂肪を分解すると生成されるので、中性脂肪とHDLは相反する
関係があります。中性脂肪はそれ自身では動脈硬化に影響は有りませんが、
HDLを増やしたり、減らしたりするので間接的に関係します。
脂質異常症の影響
・LDLコレステロールが140mg/dl以上
・HDLコレステドールが40mg/dl以下
・中性脂肪が150mg/dl以上 の場合が相当します。
脂質異常症患者は潜在患者を含めると2200万人います。
しかしLDLコレステロールが少なすぎても、多すぎても死亡率が悪くなるという
データもあり、学会間で議論されている。
いずれにしてもLDLが活性酸素に酸化されることで、アテローム性動脈硬化は
発症するので、酸化を防ぐことが予防になります。
5.糖尿病
糖尿病
糖尿病について、「発症メカニズムと予防法」を第3回で配信しましたので、
そちらも見返してください。
糖尿病は、血液中のブドウ糖が増えた時、糖をエネルギー源とする細胞に送り
こむ役割をするインスリンの分泌量が減少したり、インスリンの作用が低下して
血糖値が高いままになる病気です。
食後血糖値の上昇の仕方は、食品や食べる
順序により変わります。食後血糖値
のピーク値が高い状態を続けると、
正常者でも、予備軍や糖尿病患者に
なりやすいので注意してください。
食後血糖値を抑えるには、
①先に生野菜や海藻など食物繊維を含
む食品を食べる
(炭水化物の消化吸収を遅らせる)
②血糖値上昇が低い食品を食べる
(低GI値食品を食べる)
GI値(グリセミック指数)とは、ブドウ糖の血糖値の上昇率を100とした時、
同じ量の食品が消化・吸収された時の血糖上昇率を表します。
GI値が小さければ食後血糖値の上昇は小さ
くなります。
右図に一例を示します。低GI食品は精白して
食品のGI値の例
ないもの、食物繊維が多い食品になります。 高GI食品 GI値 低GI食品
GI値
付録に食品とGI値を載せてありますので
55
81 玄米
精白米
参考にしてください。
食パン
91 小麦全粒粉パン 50
58
血糖値が気になる人は低GI食品を選択する フランスパン 93 ライ麦パン
うどん
そば
54
85
ことは有効です。
動脈硬化を進行させるメカニズム
基準値は
「空腹時血糖値」 :110mg/dl以下
110~125mg/dl
126mg/dl以上
「食後血糖値」 :140mg/dl以下
140~200mg/dl
200mg/dl以上
正常者
境界者(予備軍)
糖尿病者
正常者
境界者(予備軍)
糖尿病者
食後血糖値と食品GI値
血糖値は食後に上昇して、空腹時に下降するのが普通(正常者)です。
炭水化物を食べるとブドウ糖に分解され、小腸から吸収され血液に混じり、
血糖値は食後30分から60分まで上昇してピークになります。
13ページ
食後の血糖値上昇
じゃがいも
55
90 さつまいも
30
とうもろこし 70 大豆
GI値が60以下を低GI食品とする
二つの理由が考えられています。
①LDLが糖化されると酸化されたLDLと
同じようにマクロファージに取り込まれ
アテローム性動脈硬化が形成されます。
②血管の内皮細胞のタンパク質や中膜の線維組織(タンパク質)が糖化されると
変性し、肥厚することにより、動脈硬化が進行します。
糖尿病者ばかりでなく、食後の短時間の高血糖でも動脈硬化は進行しますので
食後の血糖値の管理も大変重要です。
ここでも、生野菜や海藻類を最初に食べることと、低GI食品を選択することが
有効です。
14ページ
糖尿病の影響
・糖尿病患者は、アテローム性動脈硬化が原因による心筋梗塞や脳梗塞
の発症が、3.1倍高く、さらに高血圧が重なると4~9倍高くなります。
・糖尿病患者の頸動脈の厚さを測って動脈硬化の進行度を正常者と比べると
20~30年早く動脈硬化が進行しています。
・糖尿病の合併症と言われる、網膜症、腎臓疾患、神経障害も細い動脈が
糖に侵されて動脈硬化から発症する合併症です。
6.肥満
内臓脂肪
肥満については、第3回の「肥満のメカニズムと予防法」を配信しましたので、
そちらも見返してください。
内臓脂肪は、過食により余分な脂肪や糖が、中性脂肪に変換され、腸を支える
膜(腸管膜)に溜まった脂肪です。内臓脂肪は数日間食べ過ぎ、飲み過ぎるだけ
で簡単に溜まります。
メタボリックシンドローム判定基準の一つである腹囲の検査(男性85cm以上、
女性90cm以上)は、内臓脂肪量を簡易的に調べる方法です。
アディポネクチンの働き
善玉物質の代表であるアディポネクチンは、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞を
改善し、予防する4つの働きがあります
①アテローム性動脈硬化を予防する
・単球(マクロファージ)が内皮細胞の中に入り込むのを防ぐ
・マクロファージが粥状に変化するのを防ぐ
・粥状に膨らんだアテロームが破裂するのを防ぐ
②血糖値を下げる
・インスリンの効きを良くする働きがあり血糖値を下げ、動脈硬化の進行を
抑制する(糖尿病を防ぐ)
③血圧を正常に保つ
・腎臓がナトリウムを追い出す働きを助長する
・血管を拡張、伸長する
④中性脂肪を削減する
・肝臓や筋肉の中性脂肪を分解させエネルギーに変える働きがある。
中性脂肪が減るので、シーソー的にHDLが増え、LDLが減少する
肥満の影響
脂肪細胞とホルモン
脂肪細胞は単にエネルギー予備用に中性脂肪を貯めておく役割だけでなく、
カラダの恒常性を保つ重要なホルモン(生理活性物質)を分泌しています。
脂肪細胞は肥満してくると大きく肥大しますが、肥大する前には体を健康にする
ホルモン(善玉物質)を分泌しますが、肥大すると健康を損なうホルモン
(悪玉物質)を分泌するようになります。
善玉物質 :アディポネクチン(下記)
レクチン(食欲抑制、インスリン感受性向上)
悪玉物質 :PAI-1(血液を固まりやすくする:動脈硬化に導く)
:TNF-α(インスリン抵抗性を亢進する:糖尿病に導く)
:アンジオテンシンノーゲン(血圧を上げる:動脈硬化に導く)
:レジスチン(インスリン抵抗性を亢進する:糖尿病に導く)
:MCP-1(動脈に炎症を起こす:動脈硬化に導く)
メタボリックシンドロームの該当者と予備軍は、1940万人(2006年 厚労省)
います。内臓脂肪肥満者はそうでない人に比べ2.2倍心筋梗塞になりやすい
です。
肥満をつくる内臓脂肪の肥大化した脂肪細胞から、悪玉物質が
分泌されて、血糖値を上げる、血圧を上げる、血管に炎症を起こしやすくする、
血液を固まりやすくするなどにより、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞、脳梗塞
を起こす下地になります。
反面、脂肪細胞を肥大化しなければ(肥満しなければ)アディポネクチンが分泌
され、動脈硬化には良い方の効果がでますので、ここはしっかり理解しておく
必要があります。
善玉物質が増えると悪玉物質が減り、悪玉物質が増えると善玉物質が減ると
いうお互いにシーソーの関係にあるので、脂肪細胞を肥大(肥満)にならない
ことが大変重要です。
15ページ
16ページ
5.骨粗鬆症
7.喫煙
タバコが動脈硬化を起こす原因
タバコにより動脈硬化を起こす原因は、ニコチン、一酸化炭素、活性酸素
の3つが主な原因です。
①ニコチン
ニコチンは、交感神経を興奮させる強力な血管収縮物質です。交感神経を
刺激すると副腎からアドレナリン、神経細胞からノルアドレナリンが分泌され
この神経伝達物質には強い強心作用と昇圧作用があり、血圧と脈拍数が
上昇します。
このため、脳梗塞で取り上げた脳塞栓の原因になる心房細動や、高血圧の
原因になります。
②一酸化炭素
一酸化炭素は、酸素より赤血球のヘモグロビンと230倍結合しやすいので、
体中の臓器は酸欠になる。酸欠を補うため赤血球とヘモグロビンが増え、血液
が濃くなり、血液の流れは悪くなり詰まりやすくなります。
また血管の内皮細胞から血栓形成を防止する物質や血管を広げる一酸化窒素
が分泌されていますが、酸欠になるとこの作用が低下し、血栓ができやすくなり
ます。
③活性酸素
タバコの煙には多数の有害物質があり、それに排除するためたくさんの
活性酸素が作られます。アテローム性動脈硬化は、LDLが酸化されることが
条件になるので、動脈硬化を助長することになります。
タバコの影響
タバコを1日20本吸う人は、狭心症や心筋梗塞に4.2倍なりやすくなります。
タバコ依存になる理由は、
ニコチンは、脳の中で比較的高度な作業を司る大脳皮質や、海馬にある脳細胞
が分泌するアセチルコリンという神経伝達細胞の代わりになれてしまうため
です。長い間ニコチンがアセチルコリンの代わりに働き続けると、正常な時も
アセチルコリンの働きが変調をきたします。するとアセチルコリンがあっても
ニコチンが切れると正常に働かなくなり、落ちつきが無くなりイライラして
ニコチンを補給すればこれが解消されるため、タバコが吸いたくなります。
ヒトの脳がタバコ(ニコチン)に支配されている状態です。
禁煙の治療として、ニコチン薬の量を少しづつ減らしていって禁煙する方法が
健康保険扱いで行われていますが、これは徐々にニコチンから本来のアセチル
コリンが働くように切り替えるためです。
17ページ
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、
骨が、
粗(あら)くなり、
鬆(す)が入った
症状です。
鬆(す)とは、すが入った大根とおなじ鬆(す)です。骨がスカスカになり、もろく
なり、骨折しやすくなる状態です。
腰が曲がったり、猫背になるお年寄りを時々見かけますが、背骨が圧迫骨折
した結果です。芸人のスギちゃんは、 10m下の水面と衝突して胸椎を圧迫
骨折しましたが、骨粗鬆症は普段の生活の中で骨折します。
骨粗鬆症の現状
骨粗鬆症にかかっている人は1100万人います。その内治療を受けているのは
200万人です。また全体の80%以上が女性です。
骨粗鬆症の基準は、20~44歳の骨量平均値を100%として、
70%以下 :骨粗鬆症
70~80% :骨量減少
80%以上 :正常
治療を受けない人が多いのは、背が縮んだり、腰が痛い、背中が痛いなどの
症状があっても年齢のせいにしてしまうからです。
また圧迫骨折の場合は無症状のことが多く、骨折が進行してから症状が
あらわれる場合が多いようです。
骨粗鬆症の症状
骨粗鬆症により最初に起こる症状は、背骨の骨折です。体の重みに耐えかねて
骨折が起きます。一度起こると他の個所も脆くなっているので、背骨が何か所
もつぶれて、背が低くなったり、腰が曲がってきます。
骨粗鬆症で骨折しやすい部位
背骨の骨折に並んで多いのは
足の付け根、大腿骨頸部の骨
折です。転んだり、よろめいて
おしりを打った拍子に骨折しま
す。
その他にも、上腕の付け根、
手首は、転んだり、ぐらついて
体を支える時などに、骨折します。
18ページ
「寝たきり」になり易いのが足の付け根の大腿部頸部です。骨折すると歩けなく
なって介護が必要になり、そのまま「寝たきり」になるケースです。
年をとると骨を形成する作用が衰え、治りも時間がかかります。10ページでも
説明しましたが、使わない筋肉、関節、神経、心肺はその機能が衰えてしまい、
「寝たきり」のままになってしまいます。(廃用症候群といいます)
です。45歳で骨量の低下が始まり、60歳で骨量減少、70歳で骨粗鬆症になり
ます。
骨量の減少は閉経後15年間ほど続き、その後は緩やかになりますが、この時
には既に骨量は7割以下になっている女性が大半です。従って更年期前後から
予防、対策が重要です。
骨の形成と骨粗鬆症のメカニズム
男性の場合
骨は硬くて丈夫というイメージがあるので、成長した後は変化がないように思え
ますが、骨は常に古くなると壊され、新しく再生されています。今の体の中には、
2年前の骨は無いと言われています。
骨が古くなると骨の表面に破骨細胞がくっつき、強い酸性の物質を分泌して
カルシウムを引き出し血液中に吸収します。(「骨吸収」といいます)
削られた個所には、骨芽細胞がカルシウムを塗り固めるようにして骨を作って
いきます(「骨形成」といいます)
骨吸収と骨形成が絶えずバランス良く行われて、骨の健康は保たれています。
男性にも女性ホルモンのエストロゲンはありますが、減少が少ないこと(50代後半
ではエストロゲン量は男性の方が多くなる)と、骨量の絶対量が女性よりも多い
ことにより、女性よりも骨粗鬆症になるのが、10~15年遅いと言われています。
また、70歳以上の生存者比率が男性の方が少ないので、患者数は少ない結果に
なっていますが、男性も加齢と共に骨量は減ってきますので、予防、対策は、
女性と同様に必要です。
このバランスが崩れると、骨吸収で削られたところに、骨形成で骨を作るのが
追いつかなくなります。すると骨が削られたままの所ができ、穴があき、細く
なって脆くなってしまいます。これが骨粗鬆症です。
骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症になりやすい人
これまでの患者の傾向から骨粗鬆症の危険因子が分っています。
①小柄で細身の体型
女性に多い理由
②母や祖母に骨粗鬆症の人がいる
1100万人の骨粗鬆症の患者のうち8割以上の900万人が女性患者で、50歳以上
③中学・高校生の頃あまり運動をしなかった
の女性の24%が骨粗鬆症になっています。男女共通の病気であるにも拘らず
④牛乳や乳製品があまり好きでない
女性がこれだけ多いのは、骨吸収と骨形成という骨の代謝に、エストロゲンと
⑤お酒を良く飲んだり、タバコをよく吸う
いう女性ホルモンが関係しているからです。
⑥ステロイド薬を服用している人
女性ホルモンのエストロゲンは、骨吸収する破骨細胞を減らし、骨形成する
骨芽細胞を増やす働きがありますが、下の左図のように、閉経に合わせて
身長が高く重たい人は、体重が骨の負荷になるので骨量や多くなります。また
骨量が減ってきます。下の右図は、女性の腰椎骨の骨密度の平均的推移
若い頃飛んだり跳る運動をすると骨の負荷となり、骨量の絶対値が大きくなって
将来骨粗鬆症に罹りにくくなります。
骨量の加齢に伴う変化
女性の腰椎骨密度の平均的推移
骨をつくるための栄養素
骨というとカルシウムだけが取り上げがちですが、次の4つの栄養素が骨を
つくるのには欠かせない栄養素です。
①カルシウム
②ビタミンD
③ビタミンK
④タンパク質
19ページ
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①カルシウム
カルシウムは大人の体内には700g~1kgありますが、その内の99%は骨や
歯をつくっています。残りの1%は血液や筋肉や神経などにあって、生命の
維持に不可欠なミネラルの1種として働いています。このために血液中のカル
シウムの量は一定になるように保たれていて、不足すると骨から吸収します。
カルシウムを補給する手段は、食物から摂取するしかありませんので、摂取量
が少ないと骨粗鬆症になりやすくなります。
カルシウムは食べた分が全て吸収されることはなく、吸収率は10数%~50%
です。また日本食にはカルシウム分が少ないので、1日700~800mgの目標
摂取量に対し、平均500~600mgで、飽食・過食の時代に唯一不足している
栄養素です。1日の上限摂取量は2300mgですので、たっぷり取っても大丈夫
です。
④タンパク質
骨の成分は、カルシウムやリンと、タンパク質としてのコラーゲンです。
コラーゲンは、体全体の骨の重さの25%、体積の50%を占めています。
特に関節部の軟骨は、コラーゲンがたくさんあって潤滑的な働きをしています。
食物タンパク質はアミノ酸に分解・吸収され、体内で必要な各種タンパク質に
合成されます。
コラーゲンもしかりで、摂取したコラーゲンそのものが体内で利用されるのは、
一部です。良質な食物タンパク質を摂る方が骨には効率的です。
動物性タンパク質は必要量の摂取として、植物性タンパク質の大豆を摂るのが
有効です。大豆にはイソフラボンという女性ホルモン(エストロゲン)に似た物質
が含まれているためです。
運動の効果
カルシウムは、牛乳、乳製品、骨ごと食べる小魚、殻を食べる干しエビ、
葉物野菜などに多く含まれます。
②ビタミンD
脂溶性のビタミンDは、肝臓と腎臓で酵素により活性化ビタミンDに変わります。
活性化ビタミンDは、腸でのカルシウムの吸収を高めて、骨への沈着を助けま
す。これ以外にも、血液中のカルシウム量をコントロールして石灰化による動脈
硬化も防ぐ働きがあります。
ビタミンDは食物の摂取以外にも、紫外線に当たると体内のコレステロールを
材料にビタミンDが合成されます。日光に良く当たる人は、必要量の半分以上
は皮膚で合成されています。
骨を強くする運動とは、バスケット、陸上競技やバレイなど骨に衝撃力が
加わるハイインパクトな運動です。水泳は浮力により骨に負荷がかからない
ので効果はありません。ただ、こういうハイインパクトな運動は10代20代なら
可能かもしれませんが、だれにでもできる訳ではありません。そこでお薦めは
ウォーキングです。
ウォーキングの効果は
①骨に体重という負荷がかかるので、骨を強くする
②戸外を歩くので、日光浴になり、カルシウムの吸収や沈着に必要な
ビタミンDを皮膚で作り出すことができる
③脚力やバランス力を養え、転倒や骨折の予防になる
ビタミンDは、しらす干し、いわし、イクラ、鮭などの魚に多く含まれています。
③ビタミンK
脂溶性のビタミンKは、骨からカルシウムが出て行くのを抑制する働きと、
カルシウムが骨となるのを促すタンパク質の生成に必要な成分です。
ビタミンKは、緑黄野菜に含まれるビタミンK1と納豆など発酵食品に含まれる
ビタミンK2があり、K2の方に骨に作用する働きがあります。
ビタミンKは、納豆や、パセリ、モロヘイヤ、小松菜、ホウレンソウなど青葉野菜
多く含まれています。
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6.寝たきりの予防
「寝たきり」のまとめ
1.脳卒中、心臓病、糖尿病の予防
寝たきりの危険因子となる病気の患者数は、
高血圧患者数
800万人 対象者4000万人(平成20年)
糖尿病患者数
890万人 対象者2210万人(平成20年)
脂質異常症者数
疑われる人1410万人(平成18年)
脳血管疾患者数 134万人(平成20年)
心血管疾患者数 80万人(平成20年)
認知症患者数
300万人(平成23年)
骨粗鬆症患者数 200万人 対象者900万人(平成20年)
疾患者数の合計は2400万人、対象者人数は8500万人になります。
60歳以上の人口は3680万人(平成22年)ですので、
ちょっと粗っぽい計算になりますが、60歳以上の人がどんな割合で、これらの
病気に罹っているのか見積もってみます。
仮定としては
・疾患者は全て60歳以上であること
・重なった疾患者はいないこと
とすると、
・60歳以上の3人に2人がどれかの病気の疾患者になっている
・1人当たり2つ以上の病気の予備軍(対象者)になっている
ことになります。
これらの病気は、全て加齢と共に増加しますので、高齢になればなるほど、
長寿すればするほど、疾患者になる確率は増えます。
たまたま、生活習慣(食事、運動、嗜好品、ストレスが少ない生活)が良かった
り、悪い遺伝子を持っていなければ別ですが、
今のままのライフスタイルを続けていくと、寝たきりにならないで健康寿命を
伸ばすどころか、それまでに亡くなったり、運良くて寝たきりになることが、
現実のことになるものと予想されます。
動脈硬化は万病の元です。動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、脳卒中、
心臓病を突然惹き起こし、生命に危険を伴います。一命を取り留めても「寝た
きり」の原因になり、脳卒中、心臓病、糖尿病が寝たきり原因の30%を占めま
す。動脈硬化を進行させる危険因子は、高血圧、糖尿病、異常脂質症、肥満、
喫煙、加齢などが分っています。これらは単独でも動脈硬化を進行させます
が、複数が重なると急速に進行するので、すでに基準値を超えている人は治
療により改善しておかなければなりません。
正常値の人も、治療中の人も、加齢によりだれでも動脈硬化は進行するので、
動脈硬化の進行を予防するには、
①今の状態を把握
②食事
③運動
④定期的な検査で状態を確認
が予防法になります。
今の状態を把握
①血圧値
血圧は、睡眠中が最も低く、起床前から起床後に上がり、夕方から夜にかけて
下がるという1日のリズムを刻んでいます。
これは自律神経が関係していて、朝から昼間にかけては交感神経が強くなる
ため血圧が高くなり、夜や睡眠中は副交感神経が強くなるため血圧が低くなる
ためです。
上の血圧が120以上、下が80以上の人は、毎日決まった時間に測ることをお薦
めします。上腕式の血圧計は5000円くらいで購入できます。
毎日測り、高い値を知ると、自ずと塩分を控えて、血圧はさがるものです。
②血糖値
定期健診や人間ドックの血液検査で知ることができます。
最低1回/年、空腹時の血糖値、またはHbAC1を検査します。
③コレステロールと中性脂肪値
定期健診や人間ドックの血液検査で知ることができます。
最低1回/年、HDLコレステロール,LDLコレステロール、中性脂肪を
検査します。
23ページ
24ページ
④肥満度、内臓脂肪
肥満度は、体重を測定しBMIを計算します。
内臓脂肪は、へそ周りの腹囲を測定します。
肥満気味、またはお腹が出ている人は、毎日決まった時間に体重測定する
ことを、お薦めします。毎日、肥満体重を知ることにより、自ずと食べる量を
気にして、これだけでもダイエットできるものです。
体脂肪も測れるヘルスメーターは5000円くらいで購入できます。
食事
高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満を予防する食事は、いわゆる生活習慣病
を予防する食事とも共通します。
以下にそれぞれの注意点を上げますので、それを理解した上で、ネットや関連
する本には、たくさん具体的なメニューがありますので、各人で工夫してください。
①高血圧を予防する食事
・高血圧であろうとなかろうと、塩分を減らすこと
基準 :1日10g以下
血圧高めの人や血圧下げたい人 :1日6g以下
平均的な日本人は1日10g以下という基準をオーバーしています。
(11ページの食品内の食塩量を参照)
・カリウムを摂取する
腎臓にはカリウムが増えるとナトリウム(塩)を排泄する作用があります。
カリウムは、 野菜や果物、豆類、海藻等に多く含まれます
②糖尿病を予防する食事
食後の血糖値を上げないことが重要です、そのためには、
・食物繊維を含む野菜などから食べて、炭水化物の吸収を遅くする
・炭水化物を食べ過ぎない
・低GI食品(33ページの付録参照)を食べて、食後血糖値をむやみに上げない
③脂質異常症を予防する食事
・食物繊維を摂取すること
コレステロールが食物繊維に吸収されて、小腸での吸収が抑えられます。
・青背魚にあるDHA,EPAを摂取すること
DHAの脂肪酸はLDLや中性脂肪を減らす作用があり、EDAは血液を固ませ
る血小板を集まりにくくさせ、血液をサラサラにする作用がある。
25ページ
④肥満を防止する食事
・これまで食べていた量の腹8分目に抑える
・夜食や早食いはせずに、ゆっくり食べる(よく噛む)
ゆっくり食べることで、中枢神経に満腹感を与え量が減らせる
(「第3回 肥満・糖尿病のメカニズムと予防」を参照)
食事をまとめると
①食塩の摂取を減らす
②生野菜からゆっくり食べる
③腹8分目に抑える
④白、黒、赤、黄、青、緑などカラフルな食材を摂る
⑤脂肪の量と質に気をつける
運動
動脈硬化や高血圧の進行を予防する運動は、
有酸素運動(ウォーキングまたはジョギング)です。
有酸素運動の効用は、
①筋肉の中の遅筋繊維をよく働くので、酸素と栄養素を充分送り届ける必要が
あり、そのために心拍数を上げて、体内の血液循環がよくなり血圧が下がる
②血液の循環が良くなると、血管の内皮細胞が刺激され、血管を広げる
一酸化窒素が活発に分泌され、さらに血流も良くなり、血圧も下がる。
③一番大きい筋肉である太股筋を動かすとエネルギー元となる中性脂肪を
活発に分解するので、その結果HDLが増え、LDLが減ることになる。
1日20分の早足ウォーキング
時間にこだわったり、自分に義務感を与えるようなことをすると、血管は硬く
なってしまうので、自分のペースで週3回以上行うことが大事です。
定期的な検査で確認
食事、運動の効果を確認するために、半年ごとに(最低1年ごとに)
体重、BMI、腹囲(内臓脂肪率)、血圧値、血糖値、コレステロール値の
検査を受けます。
体重、BMI、腹囲(内臓脂肪率)、血圧値は、自宅でも測れます。その場合は、
毎日測ることをお薦めします。自ずと毎日気をつけるようになりますので、
効果が必ずでます。
26ページ
食事
2.骨粗鬆症の予防
女性の骨密度は、19ページの図のように、若年期から20歳まで上昇し、45歳
くらいまで変化がなく、閉経後は10年間で20%ほど減少し、60代のほとんどの
女性は、「骨量減少」の予備軍になります。
骨密度の減少は、加齢によるもので免れませんが、今の減少度を知った上で
減少度を軽減させる予防策と、場合によっては治療と、そして何よりも転倒に
よる骨折を防止することが重要になります。
男性は女性より減少度は少ないものの、平均すれば10年くらい遅れて女性と
同じになりますので、女性と同じ予防しておくことに越したことはありません。
骨粗鬆症の進行を予防するには、
①今の骨密度の検査と定期的な検査
②食事
③運動
が予防法になります。
骨をつくる栄養素は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質です。
1日の必要摂取量は、
カルシウム :800mg以上(上限2300mg)
ビタミンD :400~800 IU(10~20μg)
ビタミンK :250~300μg
タンパク質 :体重1kgあたり1g (体重60Kgの人は60g)
①カルシウム(1日:800mg~2300mg)
カルシウムは、栄養過多と言われている今の日本人で、唯一不足している
栄養素です。体内では骨や歯以外でも一定量が必須なミネラルですので、
食べなければ、骨からどんどん吸収されてしまいます。しかも食べた分が
すべて吸収されませんので、食事からの摂取にも気をつけなければなりません。
◍牛乳・乳製品
牛乳200ccのカルシウム(200mg)
カルシウムが豊富で、吸収率が50%と
を他の食品でとるには
高いので、効率よく摂取できます。
◍大豆・大豆製品
カルシウム以外に女性ホルモンに似た
今の骨密度を検査
働きをするイソフラボンを含んでいます。
①40歳になったら一度は骨密度の測定を!
吸収率は20%です。
・40歳ではまだ骨量の減少は起きていませんが、ご自分の骨量が平均値より
特に納豆は、ビタミンK,タンパク質、ビタ
多いか少ないかを知っておくことが重要です。少ない場合は、加齢により
ミンB2を含むので、女性には優れたお薦
大きなリスクがあることが分ります。
めの食材です。
・40歳以降は少なくとも5年おきに検査を、または閉経後は毎年検査を。
◍小魚
・若年期の人には、次に説明する食事と運動を推奨し、骨密度を平均以上に
骨ごと食べられる小魚はカルシウムを摂
することで、将来の骨粗鬆症のリスクが減少できます。
取しやすく、吸収率は約30%です。
②どこで検査を受ければいいの?
生野菜に干しエビやちりめんを混ぜること
・人間ドックや健診に含まれていなければ、各市町村で受けられます。
をお薦めします。
対象は、女性で40歳から毎年5年おきに受けられます。
◍野菜
③自分のリスク度を知る
小松菜などの青葉などに多く含まれ、
該当項目が多いほど骨粗鬆症のリスクは大きく、骨密度が「骨量減少」のレベル
吸収率は20%ですが、加熱しても失わ
でも骨折しやすくなります。
れないので、かさを減らしてたっぷり摂れます。
◍小柄で細身の体型
◍海藻・乾物
◍些細なことで骨折したことがある
ヒジキや昆布、ワカメなどの海藻、切り干し大根などの乾物はカルシウムが
◍母や祖母に骨粗鬆症の人がいる
豊富で、吸収率は20%です。
◍閉経になっている
◍カルシウムレシピ例
◍ステロイド薬を内服している
http://www.asahikasei-pharma.co.jp/health/osteoporosis/cooking/index.html
◍関節リュウマチの治療をしている
(旭化成ファーマ:カルシウムクッキング)
◍喫煙している
http://www.teijin-pharma.co.jp/bone-eiyou/
◍アルコール類をよく飲む
(帝人ファーマ :骨に丈夫な栄養バランスメニュー)
27ページ
28ページ
②ビタミンD(1日:10~20μg)
ビタミンDは、カルシウムの腸からの吸収を高め、尿で排出されるのを抑制し、
骨への放出を高め、いづれも血中のカルシウム濃度を高める作用があります。
◍魚類に多く含まれます
サケ(1切 25.6μg)、さんま(1匹 11.4μg)、かれい(1切 10.4μg)、
さば(1切 8.8μg)、たい(1切 6.4μg)、マグロ(赤身5切 4.0μg)
◍紫外線にあたると皮下脂肪でビタミンDが合成され、30分くらいの散歩で
必要な半分は生成されます
③ビタミンK(1日:250~300μg)
ビタミンKは骨へカルシウムを定着させる作用があります。
◍多く含まれる食品
納豆、わかめやヒジキの海藻類、パセリや小松菜やホウレン草などの青葉
野菜などに含まれるが、腸内細菌叢からの供給もあるため、通常の食事で
不足することはない。
④タンパク質(1日:体重1kgあたり1g)
タンパク質はあらゆる体の機能の為に必要ですが、骨はミネラルのカルシウム
やリン、タンパク質としてコラーゲンからできていますので、骨にとっても
タンパク質は重要な栄養素になります。
高齢になるとタンパク質の摂取量が減ってくるので、肉や魚以外の大豆や乳製
品からも上手に摂取するようにします。
運動
骨は、食事と運動と日光浴で強くなります。
運動は筋肉を使って骨に負荷がかかるで、骨が強くなります。
宇宙飛行士は負荷がかからない宇宙から帰還した時には骨が弱くなっている
ことが知られており、同じように寝たきりで動かなくなれば、骨は弱くなります。
①1日30分、週5回のウォーキング
3つの効果
・骨に体重という負荷をかけることによる骨の強化
・屋外を歩くので日光により、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが作られる
・ウォーキングを続けると、脚力やバランス能力の劣化が抑えられ、転倒や
骨折の防止になる
②転倒予防トレーニング
転倒の原因は、筋力低下とバランス障害です。
普段の家事仕事を運動につなげます。
◍台所仕事をしながら片足立ちをして、バランス能力を維持する
◍洗濯物を干す時、背筋を伸ばしたり、つま先たちをして、足腰を強くする
◍TVを見ている時、椅子に座り両膝を10秒間伸ばして、筋力トレーニングする
◍床から物をとるとき膝を充分しゃがみこんでとる
③家庭内の危険ポイントを改善する
室内の動線をくまなくチェックしすべて改善する、例えば、
◍マットやカーペットは敷かない。敷く場合は滑り止めを取り付ける
◍床に無造作に置いてあるものは躓きの原因になる。床に物を置かない
◍各種配線のコードは、覆うカバーを摂り付けたり、結束して隅に固定する
◍浴室や洗面所には、滑り止めや手すりをつける
◍部屋や廊下(特に足元)の照明は若いころより明るくする
◍敷居などの段差は躓きの原因になるので、小さなスロープで段差をなくす
骨粗鬆症治療
骨密度が正常範囲でも骨折を起こすリスクが大きい人もいるので、骨密度の
基準以外に薬物療法開始基準が設けられています。
①薬物治療開始基準
◍脆弱性既存骨折がない場合
・骨密度が70%未満
子供の成長期には、運動により骨量が増し、高齢になって骨量が減少している
・骨密度が70~80%の閉経後女性または50歳以上の男性で、過度のアルコー
ときでも、運動により減少を食い止めることができます。
ル摂取、喫煙、大腿骨頸部骨折の家族歴のうち、一つ以上有する場合
運動をすれば、全身の血流が良くなり骨芽細胞が活発になり、また運動により
◍脆弱性既存骨折がある場合
骨に負荷がかかることで骨の形成が促されるためです。
・男女共に50歳以上
骨を強くする運動とは、骨に衝撃力がかかるハイインパクトな運動で、バスケット ②薬物療法
◍骨の吸収を抑える薬
ボールや陸上競技やバレエやダンスですが、いきなり強い運動は危険です。
・ビスフォスフォネートスフォネート ・エストロゲン製剤
更年期前後から無理なく骨を強くする運動としては、ウォーキングや太極拳、
◍骨の代謝バランスを整える薬
ヨガなどが上げられます。
・カルシウム製剤 ・ビタミンD3製剤 ・ビタミンK2製剤
29ページ
30ページ
次回の予定
第1回から今回の第7回まで、テーマ毎に病気のメカニズムと原因を理解して、
予防法をまとめてきました。予防法はテーマ間で関連し合っているものがあり、
これを統合して、ウエルネスサークルが目指すところの総合的な予防策にまと
める必要があると、途中から考え始めました。
実はこれまでに100冊くらいの関連書籍やインターネットで調査・研究してきま
したが、総合的な予防を書いたものはないことが分ったこともあります。
これまで調査した参考図書やインターネット情報は、どれも医師や研究者がそ
れぞれの専門分野の中で書いたもので、統合的なものはありません。
これは医学が機能臓器別の縦割り組織で発展してきたからと思われ、複雑な
ヒトの体を始めから統合的に見ることは困難で、仕方ないことです。
次回は、これまでテーマとしてきた疾患の予防法を統合的にまとめてみます。
寝たきりにならずに、活き活きとしてやりたいことができ、健康寿命を平均寿命
以上まで伸ばすことができる予防法をまとめることができればと考えています。
今回の付録は、GI値食品リストを載せました。
GI値とは、ブドウ糖を100とした時の各食品の血糖上昇率です。この値が大き
いほど食後血糖値が上がります。糖尿病を予防するにはGI値が低い(60以
下)の食品が有効です。一般的に精米、製粉など加工しない、また色が濃い食
品の方が低GI値食品になります。
毎日食べる食品ですので糖尿病予防には有効な食品リストになります。
今後の予定
第1回 「がんの発症メカニズムと予防」(3月3日)
第2回 「老化のメカニズムと予防」(3月26日)
第3回 「肥満と糖尿病のメカニズムと予防」(4月20日)
第4回 「活性酸素と抗酸化システム」(5月25日)
第5回 「認知症の発症メカニズムと予防」(6月20日)
第6回 「酵素と免疫力について」(7月23日)
第7回 「免疫と自己治癒力について」 (8月20日)
第8回 「寝たきりの原因と予防」(9月28日)
第9回 まとめ(10月末予定)
31ページ
参考図書
1.「知らないと怖い血管の話」
高沢謙二 2010年3月8日 PHP研究所
著者:循環器内科教授、心血管画像動態学会理事など
2.「心臓病の9割は防げる」
小坂眞一 2008年10月20日 講談社α 新書
著者:国際医療福祉大学教授 心臓血管外科医
3. 「動脈硬化症」
小林洋一 2009年7月27日 誠文堂
著者:昭和大学医学部教授 専門は心臓病・循環器学
4.「糖尿病で寝たきりにならないための血管マネジメント」
内藤 廉 2011年11月20日 光文社
著者: 長野市国保大岡診療所所長 本人も糖尿病患者
5. 「骨粗鬆症」
太田博明 平成19年年10月31日 主婦の友社
著者: 東京女子医大教授 血管系と骨の健康支援に取り組む
6. 「骨粗鬆症 骨のアンチエイジング」
井上 聰 2008年10月16日 岩波書店
著者:東京大学医学教授 骨粗鬆症専門
7.老いない体をつくる「骨の力」
鄭 雄一 平成23年12月20日 主婦の友社
著者:東京大学医学部教授 人口デバイスの開発
8.「死ぬまで寝たきりにならない体をつくる」
宮田重樹 2011年8月22日 すばる舎
著者:整形外科開業医 (社)介護予防ネットワーク協会設立
第1版 2012年9月28日
発行 ウェルネス・サークル
発行者 谷井洋二
Email [email protected]
mobile phone 080-6702-1625
住所 279-0022
千葉県浦安市今川2-12-21
32ページ
食品GI値リスト
付録
(GI値 :ブドウ糖を100とした時の血糖上昇率)
糖尿病を予防するには低GI値食品(60以下)が有効
●穀物・パン・麺類
●果物
高GI食品
●ケーキ・デザート
高GI食品
低GI食品
低GI食品
高GI食品
低GI食品
精白米
81 玄米
55
パイナップル
65 オレンジ
31
ショートケーキ
80 チョコケーキ
48
食パン
91 小麦全粒粉パン
50
ブドウ(巨峰)
39
シフォンケーキ
93 ライ麦パン
58
スイカ
31
ワッフル
80 クリームプリュレ
80 ティラミス
47
フランスパン
50 りんご
60 グレープフレーツ
うどん
85 日本そば
54
バナナ
55 イチゴ
29
ホットケーキ
80 パンナコッタ
47
パスタ(乾)
65 パスタ(全粒粉)
50
黄桃(缶詰)
63 キウイ
35
黄桃(缶詰)
80
クロワッサン
70 中華そば
50
みかん(缶詰)
67 パパイヤ
25
コーンフレーク
75 麦
75 オールブラン
45
ケーキ・マフィン
赤飯
83 春雨
77
もち
80
ロールパン
50
●乳製品
●アルコール
高GI食品
26
47
低GI食品
練乳
82
牛乳
アイスクリーム
65
高GI食品
低GI食品
日本酒
35
プレーンヨーグルト 39
ワイン
40
31
ビール
34
31
チーズ
●乳製品
●野菜・芋類
高GI食品
高GI食品
低GI食品
低GI食品
牛・豚・鶏肉
●調味料
45
~49
40
前後
じゃがいも
90 さつまいも
55
人参
80 グリーンピース
45
とうもろこし
70 さやいんげん
26
カボチャ(西洋)
30
パスタ(乾)
65 トマト
65 大豆
クロワッサン
70 ほうれんそう
15
ドーナツ
90
コーンフレーク
75 レタス
23
ショートケーキ
80 ブラックチョコレート 45
ケーキ・マフィン
75 アボガド
27
ポップコーン
70
スイート・ポテト
26
ロールパン
83
せんべい
65
77
フライドポテト
65
プリン
ココア
30
赤飯
もち
80
25
~
0
クッキー
70
ゼリー
15
チョコレート
75
30
葉野菜、きのこ類,大根
アスパラ、キャベツ、
セロリ、きゅうり、カブ
ピーマン、カリフラワー
ブロッコリーなど
33ページ
魚貝類全般
●お菓子類
高GI食品
高GI食品
低GI食品
34
109 味噌
上白糖
黒砂糖
93
こしょう
73 ウスターソース
バター
30
29
低GI食品
ナッツ類
55
30
●ドリンク
高GI食品
低GI食品
コーラ
47
コーヒー
16
オレンジジュース
42
紅茶
10
34ページ
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