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第 II 部 シマンゴ‐2 の プレ・フィージビリティ・スタディ

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第 II 部 シマンゴ‐2 の プレ・フィージビリティ・スタディ
第 II 部
シマンゴ‐2 の
プレ・フィージビリティ・スタディ
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章
第10章
プロジェクトサイトの状況
プロジェクトサイトの状況
10.1 位置
Simanggo-2 水力は Simanggo 川の中流域に位置し、北緯 2°16’ - 2°20’ 、東経 98°22’ - 98°26’の間に
ある。
同プロジェクトは行政上は北スマトラ州のフンバンハスンドゥタン(Humbang Hasundutan) 県 に
あり、同県の県庁所在地であるドロックサングル (Doloksanggu)から約 40km 西に位置する。堰、
水路ならびに発電所等の主要構造物はパリリタン (Parlilitan ) 郡、もしくはタラビンタン
(Tarabintang) 郡に位置する。
フンバンハスンドゥタン県の行政地図を図 10.1.1 に示す。
出典: Humbang Hasundutan Regency
図 10.1.1
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水力開発マスタープラン調査
フンバンハスンドゥタン県の行政地図
10-1
2011 年 8 月
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第 10 章
プロジェクトサイトの状況
10.2 地形
プロジェクトサイトは海抜 700m から 2,000m の間に頂きが連なるバリサン (Barisan) 山脈に位置
する。Simanggo 川は Simangan Dungi 山 (El. 1,460.0m) と Ginjang 山 (El. 1,685.2m)を源とし、バ
リサン山脈の西側の斜面を流れる。川は最初南西に流れ、Cinendang 川と合流しインド洋に注ぐ。
本プレ FS では地形平面図ならびに断面図を得るために、Simanggo-2 プロジェクトエリアで以下
の地形測量を行った。
表 10.2.1 地形測量の概要
Survey Item
Quantity
1. Topographic mapping on 1:10,000 scale
30 km2
2. Topographic mapping on 1:2,000 scale
2.5 km2
3. River cross section survey
10 km
Remarks
Project area
Main project structure sites
出典: 調査団
10.3 地質
10.3.1 概要
Simanggo-2 水力計画の主要構造物は、取水堰、中間調整池、接続トンネル、導水路トンネル、調
圧水槽、圧力管路及び発電所からなる。地質調査の目的は、プレ FS レベルで提案された 3 つの代
替案、A、B 及び C に対して地質的適切性を確認することである。
本セクションでは、計画施設位置の地盤状況及び施工に関わる地質的問題をとりまとめる。また、
予備的地質調査と評価結果の詳細はサポーティングレポートに示す。
10.3.2 周辺の地質
図 10.3.1 に示すように、本調査地域の基盤岩は主に堆積岩起源の変成岩で石英質砂岩、粘板岩、
千枚岩から構成されており、その地質時代は石炭紀前期~ペルム紀前期に及ぶ。ペルム紀後期か
ら三畳紀後期まで貫入活動は続いておりシボルガ層群の花崗岩と閃緑岩は代表となった。また第
四紀以降は、主に溶結凝灰岩、弱溶結凝灰岩及び火山砕屑堆積物からなる更新世時代の Tobu 凝灰
岩層であり広く基盤岩を覆っている。
また当調査地域において最も重要な地質構造は、本調査候補地点の北東約 30km で西北―南東方
向に伸びるスマトラ大断層(GSF)である。この大断層は、右横ずれ走行断層であり、Sieh と
Natawidjaja(2000)によれば、さらに 19 の主要なセグメントに細分される。Simanggo-2 候補地点周
辺に分布しているのは、Renun セグメントと Toru セグメントである。Toru セグメントでは、長さ
が約 95km (2.0oN~1.2oN)で横ずれ平均変位速度が約 24mm/年である。一方、Renun セグメントで
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水力開発マスタープラン調査
10-2
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第 10 章
プロジェクトサイトの状況
は、長さが約 225km (3.55oN への 2.0oN)で横ずれ変位速度が約 27mm/年である。なお、本調査地域
において、スマトラ大断層の他には、NW-SE 系断層と NNW-SSE 系断層が多く分布しており、
NW-SE 系断層はスマトラ大断層の二次断層であると考えられる。
(出典: Geological Map of the Sidikalang Quadrange, Sumatra, 1:250,000)
Qvt
MPisl
Puk
Toba Tuffs, Pleistocene, Rhyodacitic tuffs, welded in part
Sibolga Complex, Late Permian to Late Trassic, Granite, diorite and pegmatite
Kluet Formation, Late Carboniferous to Early Permian, Metaquartzose arenites, metawackes,
slates and phyllites
図 10.3.1
調査地域周辺の地質図
10.3.3 地震
前述のように、Simonggo-2 候補地点は、インドネシア国において最も強震帯の一つであるスマト
ラ大断層の約 30km 南西に位置しているため、地震リスクの評価及び予想の地震動に対する耐震
設計が必要である。
本調査の設計震度は、統計確率手法とインドネシア国地震マップ(Indonesia Seismic Map)を用い
て試算された。また、比較のため、スマトラ島に既設の類似水力案件の設計震度値をレビューし、
Simanggo-2 地点の設計水平震度を決めた。各方法による設計水平震度を表 10.3.1 に示す。表 10.3.1
に示すように、統計確率手法による設計水平震度値は、インドネシア国地震マップで得られた設
計水平震度値と一致している。両者ともスマトラ島における既設の類似水力案件の設計水平震度
範囲にある。
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Approach
1. Existing similar projects
2. Probabilistic method
3. Indonesia seismic map
第 10 章
プロジェクトサイトの状況
表 10.3.1
得られた設計水平震度
Design seismic coefficient
Remarks
0.12 – 0.15
ROR type schemes
0.10 – 0.14
Cornell formula
0.12 - 0.13
Tuff A and B foundations
0.16 - 0.18
Volcanical deposit foundation
出典: 調査団
従って、建設コストや、プロジェクト施設の安全性及ぶ施設崩壊後の被害状況などを考慮し、ま
た当調査候補地点が強震帯であることから、安全側に設計水平震度は取水堰と中間調整池で 0.15、
その他の構造物で 0.18 と提案した。
10.3.4 地質調査結果
Simanggo-2 地点において計画された現地再委託地質調査は、主に地質マッピング、弾性波探査、
ボーリング調査、原位置試験及び室内試験であるが、許可取得の遅れのため、ボーリング調査及
びその関連の原位置試験が中止され、また弾性波探査は火薬発破からハンマー打撃に変更した。
実施した地質調査数量は表 10.3.2 に示す。
表 10.3.2
Survey Item
1. Geological mapping on 1:10,000 scale
2. Seismic refraction survey
3. Laboratory tests
地質調査の概要
Quantity
25 km2
7,440 m
10 samples
Remarks
Project area
Main project structure sites
Construction materials
出典: 調査団
(1)
地質マッピング
図 10.3.2 に示すように、調査地点の地質は、古い地質年代から若い地質年代の順で、1)砂岩・砂
岩粘板岩互層、2)凝灰岩 A(溶結凝灰岩)と 3)凝灰岩 B(弱溶結凝灰岩)に大別される。
砂岩・砂岩粘板岩互層は、石炭紀前期~ペルム紀前期の Kluet 層群に属し、本調査地区において
主に標高 450m 以上の山腹斜面に分布している。
砂岩層は、一般に N45W の走行で傾斜は 25~30oN
である。露頭観察から、砂岩層は、全般的に亀裂が少なく堅硬な岩塊状と弱風化している。砂岩・
砂岩粘板岩互層は、導水トンネル、サージ・タンク及び水圧管路の基礎岩盤となると予想される。
凝灰岩 A(溶結凝灰岩)は、単に Simanggo 川谷に沿って分布している。露頭観察から溶結凝灰岩
では、柱状節理が多少発達しているが、全般に堅硬な岩塊状である。取水堰や発電所の基礎岩盤
となると予想される。
凝灰岩 B(弱溶結凝灰岩)は、本調査地区において主に谷や山腹斜面の低部に広く分布している。 弱
溶結凝灰岩は、主に火山砕屑堆積物からなり、未溶結~弱溶結を呈している。露頭観察から弱溶
結凝灰岩の硬さは、場所により変化しており、その大半では自然状態で固くて垂直に自立するが、
所々ルーズな状態で地表水の浸食と崩壊を受けやすくなっている。弱溶結凝灰岩は、中間調整池
や連絡トンネルの基礎岩盤となると予想される。
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第 10 章
プロジェクトサイトの状況
また、地形判読や現地踏査から、本調査地区に下記 3 つの小断層が特定された。
a) Simanggo 川に沿う Simanggo 断層
b) Kasturi 川に沿う Kasturi 断層
c) Sitapung 川に沿う Sitapung 断層
なお、現地踏査からこれらの断層による完新世以降(10,000 年)の断層地形が認められなかったこ
とから、活断層の可能性は低いと考えられる。
(2)
弾性波探査
弾性波探査の測線位置を図 10.3.3 に示す。弾性波探査結果、本調査地点には 4 つの速度分布層が
判明された。弾性波速度による地層分類を表 10.3.3 に示す。
表 10.3.3
弾性波速度による地層分類
Seismic velocity (m/sec)
Interpreted geological classification
Weir site (Plan B), SL-1, SL-2 and SL-3
1. <800
Surficial deposits (talus, alluvial, etc.)
2. 1,000 – 1,800
Tuff B (partially welded tuff)
3. 1,800 – 2,000
Tuff A (welded tuff)
4. 2,000 – 3,000
Slightly weathered sandstone/slate
Connection tunnel alignment (Plan B), SL-4
1. <800
Surficial deposits (talus, alluvial, etc.)
2. 1,000 – 1,800
Tuff B (partially welded tuff)
3. 2,000 – 3,000
Slightly weathered sandstone/slate
Intermediate pond dike site (Plan B), SL-5, SL-6, SL-7 and SL-8
1. <800
Surficial deposits (talus, alluvial, etc.)
2. 1,000 – 1,800
Tuff B (partially welded tuff)
3. 2,000 – 3,000
Slightly weathered sandstone/slate
Connection tunnel alignment (Plan C), SL-9
1. 1,000 – 1,800
Tuff B (partially welded tuff)
2. 2,000 – 3,000
Slightly weathered sandstone/slate
Intermediate pond dike site (Plan C), SL-10
1. 1,000 – 1,800
Tuff B (partially welded tuff)
2. 2,000 – 3,000
Slightly weathered sandstone/slate
Headrace tunnel inlet (Plan C), SL-11 and SL-12
1. <800
Surficial deposits (talus, alluvial, etc.)
2. 1,000 – 1,800
Tuff B (partially welded tuff)
3. 2,000 – 3,000
Slightly weathered sandstone/slate
Powerhouse site (Plan A/B/C), SL-13 and SL-14
1. <800
Surficial deposits (talus, alluvial, etc.)
2. 1,000 – 1,800
Tuff B (partially welded tuff)
3. 1,800 – 2,000
Tuff A (welded tuff)
Layer thickness (m)
1.0 – 5.0
15 – 30
15 – 30
> 50
1.0 – 3.0
15 – 30
> 50
1.0 – 5.0
15 – 30
> 50
15 – 30
> 50
15 – 30
> 50
1.0 – 3.0
15 – 30
> 50
1.0 – 5.0
15 – 30
15 – 30
出典: 調査団
第 1 層(速度 800m/秒未満)は、崩積土、沖積土及び現河床堆積物などからなる表層堆積物と相
当する。第 2 層(速度 1,000m/秒~1,800m/秒)は、弱溶結凝灰岩で、第 3 層(速度 1,800~2,000m/
秒)は、溶結凝灰岩と相当して主に Simanggo 川に沿った露岩で確認された。同様に第 4 層は、弱
風化の砂岩・砂岩粘板岩互層である。
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プロジェクトサイトの状況
10.3.5 主要施設サイトの地質及び地質工学的状況
第 11 章に記載の通り、代替案 A、B、C の 3 つのレイアウトを本プレ FS で検討した。
(1) 取水堰
代替案 B の取水堰 B サイトは、Simanggo 川南北コースの始点で、河川大湾曲部の直下流に計画さ
れている。図 10.3.4 に示すように、取水堰サイトにおいて河床部では溶結凝灰岩、両岸では弱溶
結凝灰岩が分布している。両岸アバット周辺では表土の厚さは約 1~5m である。日本の岩盤分類
基準に基づき、露頭観察から河床部での溶結凝灰岩は、CM~CH クラス、両岸の弱溶結凝灰岩は、
D~CL クラスと分類される。従って、取水堰の基礎掘削ラインは、それぞれ両岸では D~CL ク
ラス岩盤の上面、河床部では CM~CH クラス岩盤の上面と判断した。
代替案 C の取水堰 C サイトは、取水堰 B サイトの約 1,500m 下流に位置しており、地質的に取水
堰 B サイトとほぼ同じである。また、代替案 A の取水堰 A サイトは、取水堰 C サイトの更なる
500m 下流に計画されている。A サイトの地質は、取水堰 B 及び C サイトの地質と同様であり、
河床部で CM~CH クラスの溶結凝灰岩 、両岸で D~CL クラスの弱溶結凝灰岩が分布している。
(2) 中間調整池
代替案 B の中間調整池 B サイトは、
Simanggo 川の支流である Kasturi 川中流部に計画されている。
Kasturi 川は、全般に深く削られ深い V 字谷を呈している。中間調整池 B サイト付近では Kasturi
川の河床幅は約 10m である。図 10.3.5 に示すように、中間調整池 B サイトの基礎岩盤は、溶結凝
灰岩であり、その上に崩積土からなる層厚 1~3m の表土が覆われている。弱溶結凝灰岩は、D~
CL クラスと分類できる。 従って、基礎岩盤の不等沈下を避けるため、均質の弱溶結凝灰岩を中
間調整池の基礎とすることが望ましい。
代替案 C の中間調整池 C サイトは、B サイトの約 1,500m 下流で Kasturi 川下流部に計画されてい
る。地形地質的に B サイトと同様に、深い V 字谷で、D~CL クラスの弱溶結凝灰岩は基礎岩盤と
なっている。
(3) 接続トンネルと導水路トンネル (Plan B)
代替案 B は、Simanggo 川右側において、取水堰と中間調整池の間に長さ 1,570m の連絡トンネル、
及び中間調池とサージ・タンクの間に長さ 3,980m の導水トンネルが計画されている。 導水トン
ネルの基礎岩盤は、石英質砂岩・砂岩粘板岩互層、連絡トンネルの基盤岩盤は、弱溶結凝灰岩と
なっている。
連絡トンネルと導水トンネルの地質断面図を図 10.3.6 のように推定される。導水トンネルの基礎
岩盤は、主に CM~B クラスの砂岩、局部的に D~CL クラスの砂岩粘板岩互層が予想される。一
方、連絡トンネルの地質は、主に D~CL クラスの弱溶結凝灰岩と予想される。また、D~CL ク
ラス基盤岩盤に対しては比較的に強い支保工等が必要であるが、トンネル掘削上重大な地質的問
題はならないと考えられる。
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第 10 章
プロジェクトサイトの状況
(4) 調圧水槽と圧力管路
調圧水槽と圧力管路は、Simanggo 川右岸側 Rambung 村付近に位置している。調圧水槽は、標高
540m まで掘削し、堅硬な岩塊状と弱風化している CM~B クラスの石英質砂岩を基礎とすること
が望ましい。同様に圧力管路は CM~B クラスの石英質砂岩に埋設することが予想される。
(5) 発電所
地表発電所は、Rambung 村付近の Simanggo 川右岸側に計画されている。発電所サイト周辺の河
床部及び右岸は、CM クラス以上の溶結凝灰岩が分布しており、右岸斜面で表土厚さが 1~5m で
ある。従って、基礎岩盤が良好で表土が薄いことから、発電所サイトとして適していると判断さ
れた。
10.3.6 建設材料
建設材料のソース、品質及び数量を調べるため、調査候補地周辺において現地踏査と室内試験を
実施した。
(1) 砂
砂材料は、コンクリート骨材、グラウト及びモルタルに必要とされる。発電所付近の Simanggo 川
での河床砂礫(サイト No. AS-1~AS-5)及び Parlilitan 村の約 4km 上流での河床砂礫(サイト No.
AS-8)は、量が限られるが、主に粗粒砂や礫からなる。
一方、Parlilitan 村から約 12km の Sihombu 村付近(サイト No. AS-6)及び発電所から約 10km の Riman
川(サイト No. AS-7)において、中~粗粒砂からなる河床砂礫が豊富に分布している。
各サイトの室内試験結果を表 10.3.5 に示す。 表 10.3.5 に示すように、これらの河床砂礫はおおむ
ね良好でコンクリート細粒骨材等に適していると考えられる。
表 10.3.4
Sample No.
AS-1
AS-2
AS-3
AS-4
AS-5
各河床砂礫ソースの位置
Coordinate
2o16’55.4”
98o23’37.5”
o
2 16’59.5”
98o23’07.0”
o
2 16’58.4”
98o22’57.5”
o
2 16’59.8”
98o22’52.0”
o
2 16’42.3”
98o23’22.7”
AS-6
2o17’28.6”
98o31’08.0”
AS-7
2o14’25.7”
98o27’39.7”
AS-8
2o20’57.5”
98o28’06.8”
表 10.3.5
Test
1. Specific gravity
2. Absorption
3. Soundness
Criterion
>2.5%
<3.0%
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AS-1
2.68
3.58
Location
Close to the powerhouse area along the Simango river
Around the Beringin village, 12 km far from Parlilitan
village toward Doloksanggul
Along the Riman River around Sihombu Village, about 10
km far from the powerhouse area toward Pakat
Along the Simanggo River around the Sion Timur
Village, about 4 km far from Parlilitan village
細粒骨材の室内試験結果
AS-2
2.66
4.14
AS-3
2.68
4.49
10-7
AS-4
2.68
4.84
AS-5
2.67
6.34
AS-6
2.67
7.97
AS-7
2.68
9.79
AS-8
2.67
5.15
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Na2SO4
Mg2SO4
4. Clay lump
5. Silt content
6. Soft particle
第 10 章
12.0%
15.0%
<1.0%
<3.0%
<1.0%
プロジェクトサイトの状況
21.48
4.03
6.83
7.30
4.90
-
-
-
0.85
0.22
0.65
0.64
0.80
1.48
1.05
0.74
0.45
0.16
1.85
0.36
1.45
0.24
1.25
0.20
出典: いずれも調査団
(2)
岩石
岩石は、コンクリート粗粒骨材、じゃかご(Gabion)、石張り、石積等に必要とされる。表 10.3.6
に示すように、本調査地点周辺において石英質砂岩原石山候補サイト No. RBS-1~RBS-7 からサン
プリングし調査した。また室内試験結果を表 10.3.7 に示す。一軸圧縮試験を含む品質確認が必要
であるが、物性値がおおむね良好で分布が広いことから、岩石材料として採取利用できると考え
られる。
表 10.3.6 原石山サイトの位置
Sample No.
RBS-1
RBS-2
RBS-3
RBS-4
RBS-5
RBS-6
RBS-7
Coordinate
2o17’15.4”
98o23’29.4”
o
2 17’27.1”
98o23’30.6”
o
2 17’15.1”
98o23’07.4”
o
2 19’21.7”
98o25’41.4”
o
2 19’55.3”
98o23’44.6”
o
2 19’27.5”
98o25’37.4”
o
2 19’56.0”
98o23’46.0”
Location
Close to the powerhouse site
Around the Laumaga Village
Around the Laumaga Village
Around Sion Selatan, 1km eastern of intake weir site
Around Kasturi Village, 3km NW of intermediate pond site
Around Sion Selatan, 1km eastern of intake weir site
Around Kasturi Village, 3km NW of intermediate pond site
表 10.3.7 粗粒骨材の室内試験結果
Test
1. Specific gravity
2. Absorption
3. Soundness
Na2SO4
Mg2SO4
4. Abrasion
5. UCS
Criterion
>2.5%
<3.0%
12.0%
15.0%
<40.0%
<500kg/cm2
RBS-1
2.73
3.03
RBS-2
2.59
1.17
RBS-3
2.59
1.05
RBS-4
2.57
2.98
RBS-5
2.56
2.28
RBS-6
2.70
1.65
RBS-7
2.77
3.31
1.09
0.92
0.36
3.01
2.54
-
-
28
606
24.4
579
30.7
679
68.5
334
54.1
434
20.3
195
24.7
633
Notes: 1) UCS = Unconfined compressive strength, 2) 1 kgf/cm2 = 98.1kN/m2 (kPa).
出典: いずれも調査団
10.3.7 考察
プレ FS 段階で実施された地質調査結果に基づき、Simanggo-2 候補地点は、地質・地質工学的に
本開発計画の建設に適していると考えられる。
主な地質調査結果は以下のようにまとめられる。
-
Simanggo-2 候補地点周辺の地質は、主石炭紀前期~ペルム紀前期の石英質砂岩・砂岩粘板岩
互層、第四紀弱溶結凝灰岩からなり、第四紀の溶結凝灰岩も部分的に分布している。また本
候補地点において活動断層でない小規模なものが複数分布しているが、大断層は認められな
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水力開発マスタープラン調査
10-8
2011 年 8 月
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第 10 章
プロジェクトサイトの状況
かった。
-
計画施設の基礎岩盤については、取水堰は河床部で溶結凝灰岩、両岸で弱溶結凝灰岩、中間
調整池は弱溶結凝灰岩、接続トンネルは弱溶結凝灰岩、導水路トンネルは石英質砂岩・砂岩
粘板岩互層、調圧水槽と圧力管路は石英質砂岩・砂岩粘板岩互層、地表発電所は溶結凝灰岩
と予想されており、重大な地質的問題とならないと考えられる。
-
代替案 B と C の地質は、岩盤状況や地質分布から見るとほぼ同じである。
-
Simanggo-2 候補地点周辺において石英質砂岩の原石山は、コンクリート粗粒骨材等として
質・量とも採取可能であると判断した。一方、本候補地周辺の河床砂礫は、細粒骨材として
質が良好であるが量が限られる。
-
本候補地点は、強震帯に位置しており、プレ FS 段階の設計水平地震係数は安全側に取水堰と
中間調整池で 0.15、その他の構造物で 0.18 と提案される。
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10-9
2011 年 8 月
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
図 10.3.2
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地質図と建設材料サンプリング位置
10-10
2011 年 8 月
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
図 10.3.3
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
弾性波探査位置図
10-11
2011 年 8 月
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水力開発マスタープラン調査
10-12
2011 年 8 月
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
取水堰地点の地質断面図(代替案 B)
図 10.3.4
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水力開発マスタープラン調査
10-13
2011 年 8 月
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
中間調整池地点の地質断面図(代替案 B)
図 10.3.5
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Figure10.3.6
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水力開発マスタープラン調査
水路沿いの地質断面図(代替案 B)
10-14
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
10.4 水文気象解析
水 文 気 象 資 料 は 、 Badan Meteorologi Klimatologi dan Geofisika (BMKG)、 Pusat Penelitian dan
Pengembangan Sumber Daya Air (PUSAIR)、既往プロジェクトレポートより収集した。観測所位置
図を図 10.4.1 に、収集した資料の期間を図 10.4.2 に示す。また、Simanggo-2 取水堰地点の流域図
を図 10.4.3 に示す。
10.4.1 気象資料
気温、比湿、風速、日照時間は Sibolga 観測所により観測されており、BMKG より資料を入手し
た。パン蒸発量は Parapat 観測所および Gube Hutaraja 観測所において観測されており、Asahan-3
HEPP 報告書より引用した。
(1) 気温
Sibolga 観測所における 1984 から 2002 年までの月平均気温を以下に示す。
Station Name: Sibolga (1984-2002)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
25.8 23.9 26.2 25.5 26.7 25.8
Jul
25.7
Aug
25.7
Sep
24.7
Oct
25.6
Nov
24.7
Dec
25.8
Unit: ℃
Mean
25.5
Sibolga 観測所における平均気温は 25.5℃である。
季節的な変動は軽微であり、2 月に最小値 23.9℃、
5 月に最大値 26.7℃を記録している。
(2) 比湿
Sibolga 観測所における 1984 から 2002 年までの月平均比湿を以下に示す。
Station Name: Sibolga (1984-2002)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
84.4 76.0 85.7 83.0 83.8 79.7
Jul
83.6
Aug
85.0
Sep
82.8
Oct
85.8
Nov
84.6
Dec
88.1
Unit: %
Mean
83.5
Sibolga 観測所における平均比湿は 83.5%である。
季節的な変動は軽微であり、2 月に最小値 76.0%、
12 月に最大値 88.1%を記録している。
(3) 日照時間
Sibolga 観測所における 1984 から 2002 年までの月平均日照時間を以下に示す。
Station Name: Sibolga (1984-2002)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
56.9 61.9 54.9 58.3 62.4 61.2
Jul
58.9
Aug
52.3
Sep
46.6
Oct
44.8
Nov
46.9
Dec
54.3
Unit: %
Mean
55.0
Sibolga 観測所における平均日照時間は 55.0%である。10 月に最小値 44.8%、5 月に最大値 62.4%
を示している。通常、日照時間は雨の増加に反比例して減少する。そのため、最大値は乾季であ
る 5 月に発生している。
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10-15
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
(4) 風速
Sibolga 観測所における 1984 から 2002 年までの月平均風速を以下に示す。
Station Name: Sibolga (1984-2002)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
5.2
5.8
6.5
5.5
4.8
5.0
Jul
5.3
Aug
5.3
Sep
5.2
Oct
5.4
Nov
5.1
Unit: m/sec
Dec
Mean
5.1
5.3
Sibolga 観測所における平均風速は 5.3m/sec である。5 月に最小値 4.8m/sec、3 月に最大値 6.5m/sec
を記録している。
(5) 蒸発量
1997 から 2006 年までの Parapat 観測所における月平均パン蒸発量、1996 から 2005 年までの Gube
Hutaraja 観測所における月平均パン蒸発量を以下に示す。
Station Name: Parapat (1997-2006)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
3.6
4.0
4.0
3.9
4.3
4.2
Jul
4.3
Aug
4.4
Sep
4.0
Oct
3.8
Nov
3.4
Unit: mm/day
Dec
Mean
3.3
3.9
Station Name: Gabe Hutaraja (1996-2005)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
Jul
2.0
1.7
2.0
1.8
2.4
2.2
2.2
Aug
2.0
Sep
1.8
Oct
1.4
Nov
1.5
Unit: mm/day
Dec
Mean
4.7
2.1
パン蒸発量は気温および比湿と連動して変化すると考えられる。よって、季節的に値が変動し、
主に比湿と連動して変化する。しかし、上に示すように年間を通してパン蒸発量の変化は小さい。
これは、比湿の季節的な変動が小さいためと考えられる。
10.4.2 降雨量資料
Simanggo 川周辺には 12 の雨量観測所が存在する。観測所位置図を図 10.4.1 に、観測期間の整理
結果を図 10.4.2 に示す。これらの雨量観測所は BMKG によって運用されている。資料収集は BMKG
より行った。
なお、以前は PLN 独自の PLN-LMK Observation Network により水文観測が実施されていたが、地
方移管されたことによりほぼすべての地域で観測機能を停止している。
(1) 月降雨量
12 観測所のうち 4 観測所の平均月雨量を以下に示す。
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600
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
T ar u t u n g: 1 , 9 6 2 m m (1 9 6 9 - 2 0 0 8 )
Rainfall(mm)
500
400
300
200
100
0
Jan
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
Hu t ar aya(Gabe Hu t ar aja): 2 , 1 8 0 m m (1 9 6 9 - 2 0 0 8 )
600
Rainfall(mm)
500
400
300
200
100
0
Jan
600
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Do lo k San ggu l: 2 , 0 3 2 m m (1 9 6 9 - 2 0 0 8 )
Rainfall(mm)
500
400
300
200
100
0
Jan
600
Feb
Mar
Apr
May
Pagu r u an : 1 , 8 6 5 m m (1 9 6 9 - 2 0 0 8 )
Rainfall(mm)
500
400
300
200
100
0
Jan
Feb
Mar
Apr
May
対象雨量観測所の年雨量は 1,500mm から 3,800mm の間である。いくつかの観測所については降雨
量の季節変動が認められる。
(2) 時間降雨量
時間雨量資料は Toba 湖の約 70km 南に位置する Sibolga 観測所に存在する。
時間雨量は高水解析に必要となる時間降雨パターンを作成するために収集した。抽出する時間雨
量は日雨量 100mm 以上を対象とした。
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10-17
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
10.4.3 流量資料
(1) 水位観測所(AWLR Station)
Simanggo 川では水位観測所は存在しない。Simanggo 川近傍では、Pasar Sironggit 観測所、Dolog
Sanggul 観測所、Marade 観測所が存在する。
各水位観測所は公共事業省の下部機関である BWS(Balai Wilayah Sungai)により運用されている。
Simanggo 川近傍の観測所は Medan にある BWS Sumatera Ⅱの管轄である。BWS では半年に 1 回
程度、水位流量資料を収集整理し、Bandung にある PUSAIR に送付している。データ処理は現在
のところ PUSAIR で実施しているが、今後 BWS でデータ処理を実施していく予定である。
(2) 流量資料
3 観測所とも日流量資料が整備されている。資料収集は Bandung にある PUSAIR より行った。
3 観測所の月平均流量を以下に示す。
Station Name: Pasar Sironggit (1982-2008)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
Jul
12.3 11.5 12.5 16.9 16.4 10.4 10.1
Aug
12.7
Sep
11.3
Oct
14.8
Nov
20.0
Dec
17.9
Unit: m3/s
Mean
13.9
Station Name: Dolog Sanggul (1991-2008)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
Jul
5.0
4.4
4.2
5.1
4.7
3.2
3.1
Aug
3.1
Sep
4.2
Oct
4.2
Nov
5.7
Dec
4.8
Unit: m3/s
Mean
4.3
Station Name: Marade (1983-2008)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
7.4
6.6
7.2
8.4
8.1
5.6
Aug
5.8
Sep
6.0
Oct
7.5
Nov
8.8
Dec
7.1
Unit: m3/s
Mean
7.0
Jul
5.1
Pasar Sironggit 観測所の平均流量は 13.9m3/s、Dolog Sanggul 観測所の年平均流量は 4.3m3/s、Marade
観測所の平均流量は 7.0m3/s である。なお、流出高は年間の総流出量を観測所地点流域面積で除し
て算出される。
Pasar Sironggit
Dolog Sanggul
Marade
Catchment Area
(km2)
350.6
58.0
163.8
Annual Average
Runoff (m3/s)
13.9
4.3
7.0
Annual Average
Runoff Depth (mm)
1250.3
2338.0
1347.7
10.4.4 低水解析
(1) 検討方針
水力発電計画の最適化に必要となる取水堰地点の流量資料はできる限り長期間存在することが望
ましく、通常 20 年以上の連続した流量資料が必要とされる。さらに、プロジェクトの経済性評価
は流量資料に大きく依存するため高精度の流量資料が必要とされる。また、Simanggo-2 HEPP は
流れ込み式発電を予定しているため、日流量資料が必要である。
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Simanggo 川には流量観測所が存在せず、近傍流域では Pasar Sironggit 観測所が存在する。Pasar
Sironggit 観測所では 1982 年から 2008 年の間で日流量資料が整備されているが、1988 年から 1990
年、1999 年、2000 年、2002 年から 2006 年が欠測となっている。さらに、残りの観測期間につい
ても多くの欠測を含んでいる。よって、欠測を補間する必要がある。
一方、日流域平均雨量は 1977 年から 1998 年の 22 年間について推定可能である。よって、降雨流
出モデルにより 1977 年から 1998 年の日流量資料を補間できることになる。
そこで、降雨流出モデルとしてタンクモデル法を選定し、日流量資料を補間することとした。モ
デルは降雨流出資料のそろう 1991 年から 1993 年の期間でキャリブレーションすることとした。
キャリブレーションに用いる降雨流出資料は流出率と流域損失量により検証した。
同定されたパラメータを用いて Pasar Sironggit 観測所での 22 年間の日流量資料を作成し、
Simanggo-2 取水堰地点の日流況を推定した。
解析のフローチャートを以下に示す。
Test of Consintency of
Rainfall Records
Daily Runoff Records at Pasar Sironggit
Estimation of
Daily Basin Mean Rainfall
Scrutiny of Runoff Records :
( Reliability Check )
- Runoff Coefficient
- Annual Rainfall Loss
- Consistency of Records
( 1991 - 1993 )
Establishment of
Rainfall - Runoff Simulation Model
( Tank Model Method )
Calibration of Model Parameters
( 1991 - 1993 )
Supplementation & Expansion of
Runoff Records by Tank Model
( 1977 - 1998 )
Estimation of Long-Term Runoff
at Simanggo-2 Intake Weir Site
( 1977 - 1998 )
(2) 欠測補間
収集した日雨量資料は欠測が多いため、欠測補間することとした。12 観測所の月雨量について単
相関分析を行い、相関係数の高い観測所資料を用いて直線回帰式により補間した。月雨量の相関
式を用いて日雨量についても補間した。欠測補間のフローチャートを以下に示す。
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10-19
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
(3) 降雨資料の均質性の検証
ダブルマスカーブ法により降雨資料の均質性を検証した。ダブルマスカーブ法では単観測所の累
加雨量と周辺観測所の累加雨量を比較した。補正雨量は下式により算定した。
PCX = PX × ( M C / M a )
ここに、PCX :観測所 X の補正雨量 (mm)、PX :観測所 X の補正前雨量 (mm)、M C :
補正後のダブル-マスカーブの傾き、M a :補正前のダブル-マスカーブの傾き
であ
る。
Siborong-borong 観測所、Gugur Balige 観測所については周辺観測所と降雨傾向が異なり一定の変
化傾向も認められないため、解析対象外とすることとした。
(4) 流域平均雨量の算出
単純平均法により Pasar Sironggit 観測所地点での流域平均雨量を算出した。使用する観測所の組み
合わせは、資料の期間を考慮して 2 期間に分けて設定した。
Case1 (1977 to 1990): Tarutung, Dolok Sanggul
Case2 (1987 to 1998): Hutaraya, Dolok Sanggul
Pasar Sironggit 観測所地点での年平均の流域平均雨量は 1,802mm である。
(5) 流量資料の検証
Simanggo 川には流量観測所が存在せず、近傍流域では Pasar Sironggit 観測所、Dolok Sanggul 観測
所、Marade 観測所がある。Pasar Sironggit 観測所は流域面積が 350.6km2 であり、Simanggo-2 取水
堰地点の流域面積と同規模である。よって Pasar Sironggit 観測所を Simanggo-2 取水堰地点での長
期流量予測のための Key Stream Gauge とする。流量資料の検証期間は年間を通じて雨量および流
量資料のある期間とした。
1) 流出率および流域損失量による検証
Pasar Sironggit 観測所での流域平均雨量および流出高を下表に示す。なお、流出高は年間
の総流出量を流域面積で割ることにより算出される。Pasar Sironggit 地点での流域面積は
350.6km2 である。
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Annual Rainfall
(mm)
Year
1985
1986
1987
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
Average
Annual Runoff
Depth (mm)
1,803
1,533
1,960
2,714
1,873
2,132
1,438
1,869
1,700
1,250
1,592
1,806
Annual Rainfall
Loss (mm)
776
915
907
1,929
1,206
1,425
1,587
1,308
1,726
1,691
1,579
1,368
Runoff
Coefficient
1,027
618
1,053
785
668
707
(150)
561
(26)
(441)
13
438
0.43
0.60
0.46
0.71
0.64
0.67
1.10
0.70
1.02
1.35
0.99
0.79
流域平均雨量と流出高の差は流域損失量と呼ばれる。スマトラ島主要河川での流域損失
量は HPPS2 において算出された。流域損失量一覧を表 10.4.1 に示す。
スマトラ島での平均的な流域損失量は 700mm から 1,500mm の間である。一方、Pasar
Sironggit 観測所の流域損失量は-400mm から 1,000mm であり、大きなバラツキがある。
流域損失量が 0mm 以下となることは通常考えられないため、1994 年以降の流量資料を
棄却することとした。
2) ダブルマスカーブによる検証
Pasar Sironggit 観測所地点における流域平均雨量と流出高のダブルマスカーブ図を以下
に示す。
Accumulated Runoff Depth (mm)
10,000
8,000
1993
6,000
4,000
2,000
1985
-
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
Accumulated Basin Mean Rainfall (mm)
流域平均雨量と流出高は直線関係となっている。よって、水文資料の均質性は確保され
たと判断した。
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10-21
2011 年 8 月
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(6) タンクモデル
1) タンクモデルの概念
タンクモデルは降雨資料より河川流量を推定する手法、すなわち流出解析手法として広
く用いられており、インドネシア国においては水力・水資源開発案件での低水流出解析
手法として用いられている。
タンクモデル法の基本概念
タンクモデル法では下図に示すように、側面と底面に穴を持ったタンクを想定する。
タンクが水で満たされたとき、穴から水が出て行くこととなる。タンクモデルでは、側
面の穴は河川流出を表現し、底面の穴は地下水流出を表現する。
穴からの流出過程は下式により表現される。
Q =α ×H
ここに、 Q :流出高 (mm)、 α :パラメータ、 H :穴より上の水深 (mm)
適用するタンクモデル
自然河川の流出現象を表現するため、4×4 タンクモデルを採用する。
最上段のタンクでは降雨が入力となり、下段タンクでは上段タンクからの流出が入力と
なる。側面の穴からの流出は河川流出となる。
流域が乾燥状態の時の流出現象を表現するため、以下の変更を加える。まず最上段タン
クでは、土壌の湿潤状態を考慮するサブモデルを追加する。サブモデルは 2 層の土層よ
り構成され、飽和するまで水を蓄えることができることとする。土層間の水の移動は下
式による。
T 2 = TC ( XP / PS − XS / SS )
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10-22
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
ここに、 T 2 :土層間の水分移動、 TC :定数、 XP :第 1 層の水深、 PS :第 1 層
の最大水深、 XS :第 2 層の水深、 SS :第 2 層の最大水深
である。
下段タンクに水が存在し第 1 層が飽和していないとき、下段タンクより毛管現象により
水が供給されることとし、下式により表現する。
T 1 =TB(1 − XP / PS )
ここに、 T 1 :下段タンクからの水分移動、 TB :定数
である。
タンクモデルにはさまざまなパラメータがあるが、これらのパラメータを決定論的に求
めることは困難であるため、観測流量と計算流量を比較することによりトライアンドエ
ラーでパラメータを求める。
2) キャリブレーション用の入力データ
モデル条件を以下に示す。計算期間は連続的に雨量資料および流量資料が存在し、流域
損失量のバラツキが少ない 1991 年から 1993 年の期間とした。
Number of Tanks
Calculation Time Interval
Calculation Period
Observed Runoff at Pasar Sironggit
Basin Mean Rainfall at Pasar Sironggit
Monthly Average Evaporation at Gabe Hutaraja
4×4
1 day
1991 to 1993
1991 to 1993
1991 to 1993
1996 to 2005
パン蒸発量は Gabe Hutaraja 観測所の記録を採用した。月平均パン蒸発量を以下に示す。
なお、流域平均蒸発散量を推定するための Pan Coefficient は 0.8 とした。
Station Name: Gabe Hutaraja (1996-2005)
Jan
Feb Mar Apr May Jun
Jul
2.0
1.7
2.0
1.8
2.4
2.2
2.2
Aug
2.0
Sep
1.8
Oct
1.4
Nov
1.5
Unit: mm/day
Dec
Mean
4.7
2.1
3) キャリブレーション結果
トライアンドエラーによりモデルパラメータを同定した。同定したパラメータを以下に
示す。
Tank-1
Tank-2
Tank-3
Tank-4
Hole Coefficient
β
α1
0.050
0.300
0.030
0.040
0.003
0.030
0.001
0.010
α2
0.650
0.000
0.000
0.000
Height of Hole (mm)
H1
H2
50.0
60.0
10.0
0.0
3.0
0.0
0.0
0.0
観測流量および計算流量の降雨流出関係を以下に整理する。
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10-23
2011 年 8 月
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Annual Runoff Depth
(mm)
Annual Rainfall Loss
(mm)
Year
Annual
Rainfall
(mm)
Observed
Simulated
Observed
Simulated
Observed
Simulated
1991
2,711
1,929
1,759
783
952
0.71
0.65
1992
1,873
1,201
1,318
672
555
0.64
0.70
1993
2,131
1,424
1,421
707
710
0.67
0.67
Average
2,238
1,518
1,499
721
739
0.67
0.67
Runoff Coefficient
計算流量の平均流出率は 0.67、平均流域損失量は 739mm である。一方、観測流量の平均
流出率は 0.67、平均流域損失量は 721mm であり、計算値と観測値の誤差は軽微である。
よって、水収支の観点から、タンクモデルによる流量計算は良好に観測値を再現したと
判断した。
(7) Pasar Sironggit 観測所の長期流量予測
前項にて同定したモデルパラメータを用いてタンクモデルにより Pasar Sironggit 観測所での長期
流量予測計算を行う。計算期間は 1977 年から 1998 年の 22 年間とする。
観測流量および計算流量の降雨流出関係を以下に整理する。
Year
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
Average
Annual
Rainfall
(mm)
1,647
2,248
2,355
1,925
1,223
1,472
1,438
2,431
1,803
1,472
1,959
1,638
1,361
2,022
2,711
1,873
2,131
1,438
1,869
1,700
1,250
1,592
1,798
Annual Runoff Depth
(mm)
Annual Rainfall Loss
(mm)
Observed
Observed
Simulated
776
915
907
1,929
1,202
1,425
-
826
1,555
1,643
1,254
873
783
748
1,590
1,233
875
1,251
1,126
638
1,399
1,838
1,326
1,420
958
1,176
989
698
821
1,137
Simulated
1,027
557
1,052
783
671
706
-
822
693
713
670
350
689
690
841
570
597
709
512
723
623
873
547
711
479
693
710
552
771
661
Runoff Coefficient
Observed
0.43
0.62
0.46
0.71
0.64
0.67
-
Simulated
0.50
0.69
0.70
0.65
0.71
0.53
0.52
0.65
0.68
0.59
0.64
0.69
0.47
0.69
0.68
0.71
0.67
0.67
0.63
0.58
0.56
0.52
0.62
計算流量の平均流出率は 0.62、平均流域損失量は 661mm である。水収支の観点から、計算結果は
妥当な範囲に収まっていると判断できる。
観測流量の存在する 1985 年から 1987 年、1991 年から 1993 年は観測流量を、その他の期間は計
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10-24
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
算流量を用いた。
(8) Simanggo-2 取水堰地点の流況
Simanggo-2 取水堰地点の長期流量は下式により算定した。Simanggo-2 取水堰地点の流域平均雨量
は等雨量線図より作成した。流況図を図 10.4.4 に示す。
QD = QW ×
AD RD
×
AW RW
ここに、 Q D :Simanggo-2 取水堰地点の流量 (m3/s)、 QW :Pasar Sironggit 観測所地
点の流量 (m3/s)、 AD :Simanggo-2 取水堰地点の流域面積 (=478.3km2)、 AW :Pasar
Sironggit 観測所地点の流域面積 (=350.6km2)、 RD :Simanggo-2 取水堰地点の流域平
均雨量 (=2,709mm)、 RW :Pasar Sironggit 観測所の流域平均雨量 (=1,802mm) であ
る。
(9) 水位流量観測
現地再委託により、2010 年 9 月 28 日から 2010 年 12 月 31 日にわたる 3 ヶ月間の水位観測と 30
回の流量観測を実施した。観測地点は取水堰上流 2km の地点(St.1)とした。観測した水位および流
量より H-Q 曲線式を作成した。また、観測水位と H-Q 式よりハイドログラフを作成した。ハイド
ログラフを図 10.4.5 に示す。
観測の結果、平均水位は 0.58m であった。H-Q 曲線により換算すると、26.69 m3/s である。H-Q 曲
線式を以下に示す。
Q = 35.01 × ( H + 0.29) 2
ここに、 Q :流量 (m3/s)、 H :水位 (m) である。
Simanggo-2 取水堰地点流量は下式により求める。
QD = QW × ( AD / AW )
ここに、 Q D :Simanggo-2 取水堰地点の流量 (m3/s)、 QW :観測地点の流量 (m3/s)、
AD :Simanggo-2 取水堰地点の流域面積 (=478.3km2)、 AW :観測地点の流域面積
(=290.6km2)
である。
推定された取水堰地点流量は、平均流量 43.93m3/s である。
長期流出解析により作成された流況図によると、観測平均流量は発生頻度約 10%の豊水量に相当
する。
(10) PLTM Palilitan
Simanggo-2 上流には既設発電所 PLTM Palilitan が存在する。PLN を通じて入手した PLTM Palilitan
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10-25
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
の報告書によると、低水流量は 1984 年から 1994 年を対象とした解析の結果、平均流量 22.865 m3/s
と結論づけている。ここで、下式により Simanggo-2 地点の流量に換算する。
QD = QW × ( AD / AW )
ここに、 Q D :Simanggo-2 取水堰地点の流量 (m3/s)、 QW :PLTM Palilitan 地点の流
量 (m3/s)、AD :Simanggo-2 取水堰地点の流域面積 (=478.3km2)、AW :PLTM Palilitan
地点の流域面積 (=436km2)
である。
上式により推定された Simanggo-2 地点平均流量は 25.08m3/s である。なお、PLTM Palilitan の流域
面積は HPPS2 にて算定された Simanggo-1 の流域面積を引用した。
10.4.5 洪水解析
(1) 検討方針
高水解析では、洪水吐や仮排水路の設計に必要となる Simanggo-2 取水堰地点での可能最大洪水流
量および確率洪水流量の算出を行う。
計算手法は単位図法を採用した。単位図法では単位図(ユニットハイドログラフ)と呼ばれる単
位雨量と流出量の関係を用いて流域平均雨量よりハイドログラフを合成する。単位図法は流域面
積 3,000km2 以下の流域に適用できるとされている。
Simanggo 川では流量資料が存在しないため、SCS 単位図法(Soil Conservation Service Unit
Hydrograph)を用いることとした。SCS 単位図法は米国内務省土壌保全局において開発された解
析手法である。
検討フローを以下に示す。
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10-26
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
(2) 降雨解析
1) DAD 解析
DAD 解析では以下 2 点について検討する。
z
降雨量と継続時間の関係(DD Analysis)
z
降雨量と面積の関係(DA Analysis)
a) Depth-Duration (DD) Analysis
一般的に熱帯地域での豪雨は短時間に狭い地域において発生する。
収集した 31 資料の時間雨量を平均し、計画降雨パターンとする。
b) Depth-Area (DA) Analysis
一般的に熱帯地域での豪雨は短時間に狭い地域において発生する。それゆえ、豪雨時の
流域平均雨量は単観測所雨量に比べて小さくなると考えられる。
点雨量と面雨量の関係は下式によって表現される。
Pb = P0 × exp[−kA n ]
ここに、Pb :対象地域内の平均雨量 (mm)、P0 :雨域中心での最大雨量 (mm)、 A :
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10-27
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
検討対象面積 (km2)、 k, n :地域定数
である。
上式は Horton 式と呼ばれる。地域定数 k と n は通常、降雨継続時間に左右され、検討対
象地域における主要豪雨の等雨量線図に対する分析より得られる。しかしながら、地上
雨量計により雨域中心を捕捉することは困難であるため、精度の高い P0 を求めることは
実務上、不可能に近い。
点雨量から流域平均雨量を推定するために、Area Reduction Factor を導入する。点雨量か
ら流域平均雨量の推定は下式により表現される。
Pb = f a × P0
ここに、 Pb :流域平均雨量 (mm)、 P0 :点雨量 (mm)、 f a :Area Reduction Factor
である。
Horton 式を適用すれば、Area Reduction Factor は下式により表現される。
f a = exp[− kA n ]
Simanggo 川流域における降雨資料は Area Reduction Factor を推定するには不十分である
が、以下 3 手法により Area Reduction Factor の推定を行う。
第一に、一般的な熱帯地域での定数を用いて Horton 式により推定すると Area Reduction
Factor は 0.63 となる。
A
k
n
fa
478.3 (km2)
0.1
0.25
0.63
第二に、他のプロジェクトで推定された Area Reduction Factor を比較する。これらは、降
雨記録より推定された Area Reduction Factor である。
Catchment Area
(km2)
415
1,463
2,000
586
1,000
993
Project Name
Besai HEPP (D/D in 1990)
Malea HEPP (F/S in 1984)
Tampur-1 HEPP (F/S in 1984)
Musi HEPP (F/S in 1984)
Cibuni-3 (F/S in 1984)
Masang-3 HEPP (Pre F/S in 1999)
Area Reduction
Factor
0.50
0.45
0.40
0.50
0.41
0.50
第三に、Simanggo 川周辺での日点雨量と日流域平均雨量との関係から、Area Reduction
Factor を推定する。対象観測所として Hutaraya 観測所、Gugur Balige 観測所、Balige-1 観
測所、Paguruan 観測所を選定した。対象観測所の年最大日雨量を抽出し、同日の他観測
所の日雨量との単純平均から流域平均雨量を作成した。流域平均雨量と対象観測所雨量
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10-28
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
の比率を Area Reduction Factor とした。
Simanggo 川周辺での雨量記録から推定された Area Reduction Factor は概ね 0.3 から 0.8 の
間、平均値は 0.52 である。一方、他のプロジェクトで用いられている Area Reduction Factor
は 0.4 から 0.5 の間である。よって、Area Reduction Factor は 0.5 を採用する。
2) 確率雨量
Simanggo 川周辺に存在する Hutaraya 観測所、Gugur Balige 観測所、Paguruan 観測所の日
雨量資料より年最大日雨量を抽出した。資料数は Paguruan 観測所で 20 資料あり、3 観測
所の中でもっとも多い。よって、検討対象観測所を Paguruan 観測所とする。
Gumbel 分布および対数正規分布を用いて、Paguruan 観測所での確率雨量を算出した。算
出した確率雨量の一覧を以下に示す。
Return Period
(years)
400
200
150
100
80
50
30
20
10
5
3
2
Probable Point Rainfall (mm)
Gumbel
LN
181
167
161
153
149
139
129
120
106
91
79
68
Average
161
151
147
141
137
130
122
115
104
91
80
70
171
159
154
147
143
135
126
118
105
91
80
69
Gumbel 分布および対数正規分布の分布形は概ね同じである。よって、両者の平均値を
Simanggo 川流域での確率雨量として採用する。
3) 可能最大降水量 (PMP)
PMP を推定する手法として一般的に以下の 3 手法が用いられる。
¾
上空での水蒸気量を考慮した気象学的(理論的)手法
¾
Dr. Hershfield によってアメリカ合衆国での降雨資料より作成された統計的手法
¾
対象地域で過去に発生した豪雨を用いる手法
1 番目の手法において必要となる湿度や風速といった基礎的な気象データは解析対象で
ある Simanggo-2 流域では入手困難である。また、過去の豪雨資料も PMP を算定するに
は不十分である。
よって、PMP は Hershfield の統計的手法により推定する。推定には対象地域での年最大
日雨量を用いる。この手法は降雨資料が利用可能で気象資料が入手困難な流域で広く用
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10-29
2011 年 8 月
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
いられている。
Hershfield の式を以下に示す。
X m = X n + Km × Sn
ここに、X m :可能最大日雨量 (mm)、X n :補正後の平均年最大日雨量 (mm)、K m :
統計的変数、 S n :補正後の標準偏差
上式のとおり、PMP は補正後の平均年最大日雨量に統計的変数と補正後の標準偏差を掛
け合わせた値を加えて算出される。
PMP は Simanggo 川流域での年最大日雨量資料より推定した。計算手順を以下に示す。
統計的パラメータの算定
平均年最大日雨量( Xn )とその標準偏差( Sn.)は 72.5 mm および 23.7 mm である。
母集団から最大値を除いた平均年最大日雨量(Xn-m )とその標準偏差(Sn-m.)は 70.3 mm およ
び 22.1 mm である。これらの統計的パラメータは以降の補正に用いる。
異常な最大値に対する補正
観測雨量に対する補正として、Xn に対する補正係数 fx1 および Sn に対する補正係数 fs1 は
Hershfield の補正曲線より得られる。
補正曲線より得られた補正係数 fx1 は 101 %、補正係数 fs1 は 102 %である。
サンプルサイズに対する補正
観測期間に対する補正として、Xn に対する補正係数 fx2 は 102 %、および Sn に対する補正
係数 fs2108 %である。
統計的変数
統計的変数 Km は経験的に得られた Km 曲線により求められる。Paguruan 観測所での平均
年最大日雨量(Xn)は 72.5 mm であり、Km は 16.5 となる。
固定時刻観測に対する補正
Paguruan 観測所の雨量資料は日単位で整理されており、統計的手法により可能最大日雨
量を算定するためには補正係数 fo を乗じる必要がある。
ここで、求めたい可能最大雨量は日雨量であり、観測資料も日雨量であるから観測単位
数1を適用して、fo は 113 %となる。
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10-30
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
PMP の算定
補正後の平均年最大日雨量 Xn は下式により得られる。
X n = f X1 × f X 2 ×X n
補正後の標準偏差 Sn は下式により得られる。
S n = f S1 × f S 2 × S n
点雨量としての補正前 PMP は下式により得られる。
X m = X n + K m × Sn
最終的に点雨量としての PMP は補正係数 fo を適用して下式により算定される。
PMP = f O × X m
算定された Paguruan 観測所における PMP は 571.7 mm である。
4) 流域平均雨量
Area Reduction Factor を 0.5 とし、Simanggo-2 取水堰地点での可能最大流域平均雨量およ
び確率流域平均雨量を算出した。結果を以下に示す。
Return Period
Probable Rainfall
(years)
(mm)
PMP
286
400
86
200
80
150
77
100
74
80
72
50
68
30
63
20
59
10
53
5
46
3
40
2
35
(3) 流出解析
1) 単位図
検討対象流域では実績洪水波形が存在しないため、SCS による合成単位図法を用いる。
SCS 法はさまざまな地形条件の流域で解析を行い開発された。解析の基本となる無次元
単位図は、実流域にて洪水ピークまでの時間とピーク流量を用いて無次元化した単位図
を作成し、これらの無次元単位図を平均することにより得られた。
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
a) SCS 単位図
SCS 単位図は洪水到達時間と単位雨量より導かれる。単位雨量は 1mm とする。
単位図のピーク流量は下式により計算される。
q p = 0.208 AQ / t p
ここに、q p :ピーク流量 (m3/sec)、 A :流域面積 (km2)、Q :単位流出高 (=1mm)、
t p :ピーク時間 (hour) である。
SCS ではピーク時間 ( t p ) と降雨継続時間 ( D ) は洪水到達時間 ( t c ) に関係するとし
た。関係式を以下に示す。
t p = 2 × tc / 3
D = 0.133t c
b) 洪水到達時間
洪水到達時間は流域最遠点から評価地点までの流出時間と定義される。洪水到達時間は
Kirpich の式により推定する。Kirpich の式を以下に示す。
t c = 3.97 × L0.77 × S −0.385
ここに、 t c :洪水到達時間 (min)、 L :流域最遠点から評価地点までの距離 (km)、
S :平均勾配 である。
c) SCS 単位図の作成
単位図作成に用いた諸元を以下に示す。
478.3 km2
1 mm
A
Q
L
tc
33.348 km
4.7 hours
31.8 m3/s/mm
3.1 hours
qp
tp
2) Simanggo-2 取水堰地点の洪水波形
Simanggo-2 取水堰地点の洪水波形は、前項までに作成した流域平均確率雨量および PMP、
計画降雨波形、SCS 単位図より作成した。Pasar Sironggit 観測所資料より基底流量を 24m3/s、
流域損失量を 36%とした。
作成した洪水波形を図 10.4.6 に示す。また、スマトラ島での確率洪水および PMF の例を
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10-32
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
表 10.4.2 に示す。
3) Creager 曲線によるチェック
洪水流量の Creager 曲線は下式により算定される。
Q p = (46 × 0.02832) × C × (0.3861 × A) a
a = 0.894(0.3861× A) −0.048
ここに、Q p :ピーク流量 (m3/sec)、C :Creager 係数、A :流域面積(km2) である。
Simanggo-2 取水堰地点の確率洪水量および PMF に対する Creager 係数を以下に算出した。
T
(year)
PMF
400
200
150
100
80
50
30
20
10
5
3
2
Q
(m3/s)
3894
1182
1100
1067
1019
992
938
877
823
735
640
566
491
C
79
24
22
22
21
20
19
18
17
15
13
12
10
スマトラ島での事例および Simanggo-2 取水堰地点の確率洪水量および PMF を図 10.4.7
と図 10.4.8 に整理した。
Creager 曲線は、上記で算出した Simanggo-2 取水堰地点の Creager
係数に基づいている。図より Simanggo-2 取水堰地点の洪水流量は、スマトラ島での事例
の範囲内に収まっていることがわかる。
4) 中間調整池での洪水流量の算定
Simanggo-2 取水堰地点と同様に、Simanggo-2 中間調整池での洪水到達時間 t c を算定する
と 0.32 時間である。Simanggo 川流域では 10 分雨量等の短時間降雨資料は存在しないた
め、Simanggo-2 取水堰地点にて算出した Creager 係数を用いて洪水流量の算定を行う。
流域諸元を以下に示す。
3 km2
2 km
A
L
tc
0.32 hours
洪水流量算定結果を以下に示す。
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10-33
2011 年 8 月
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
T
(year)
PMF
400
200
150
100
80
50
30
20
10
5
3
2
Intake
Q
C
(m3/s)
3894
79
1182
24
1100
22
1067
22
1019
21
992
20
938
19
877
18
823
17
735
15
640
13
566
12
491
10
Pond
Q
(m3/s)
117.4
35.7
33.2
32.2
30.7
29.9
28.3
26.5
24.8
22.2
19.3
17.1
14.8
5) 発電所での洪水流量の算定
発電所地点上流では Rambe 川が Simanggo 川へ流入するが、Rambe 川は Simanggo 川に比
べて流域面積が小さいため、発電所地点での洪水流量は Simanggo 川からの流下流量が支
配的になると考えられる。よって、中間調整池と同様に、Simanggo-2 取水堰地点にて算
出した Creager 係数を用いて洪水流量の算定を行う流域面積は 936.1km2 である。
洪水流量算定結果を以下に示す。
T
(year)
PMF
400
200
150
100
80
50
30
20
10
5
3
2
Intake
Q
C
(m3/s)
3894
79
1182
24
1100
22
1067
22
1019
21
992
20
938
19
877
18
823
17
735
15
640
13
566
12
491
10
Pond
Q
(m3/s)
5456.0
1656.1
1541.2
1495.0
1427.8
1389.9
1314.3
1228.8
1153.1
1029.8
896.7
793.0
688.0
(4) 水位流量観測
低水流量の項にて述べたとおり、現地再委託により、2010 年 9 月 28 日から 2010 年 12 月 31 日に
わたる 3 ヶ月間の水位観測と 30 回の流量観測を実施した。
観測の結果、最大水位は 3.35m であった。外挿となるが、H-Q 曲線により換算すると 463.87 m3/s
である。H-Q 曲線式を以下に示す。
Q = 35.01 × ( H + 0.29) 2
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10-34
2011 年 8 月
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第 10 章 プロジェクトサイトの状況
ここに、 Q :流量 (m3/s)、 H :水位 (m) である。
Simanggo-2 取水堰地点流量は下式により求める。
QD = QW × ( AD / AW )
ここに、 Q D :Simanggo-2 取水堰地点の流量 (m3/s)、 QW :観測地点の流量 (m3/s)、
AD :Simanggo-2 取水堰地点の流域面積 (=478.3km2)、 AW :観測地点の流域面積
(=290.6km2)
である。
推定された取水堰地点流量は、最大流量 763.49m3/s である。
(5) PLTM Palilitan
Simanggo-2 上流には既設発電所 PLTM Palilitan が存在する。PLN を通じて入手した PLTM Palilitan
の報告書によると、高水流量は 1963 年から 1975 年の年最大日雨量を用いた解析の結果、2 年確
率流量 73.571 m3/s、100 年確率流量 288.379 m3/s と結論づけている。ここで、下式により Simanggo-2
地点の流量に換算する。
QD = QW × ( AD / AW )
ここに、 Q D :Simanggo-2 取水堰地点の流量 (m3/s)、 QW :PLTM Palilitan 地点の流
量 (m3/s)、AD :Simanggo-2 取水堰地点の流域面積 (=478.3km2)、AW :PLTM Palilitan
地点の流域面積 (=436km2)
である。
上式により推定された Simanggo-2 地点での洪水流量は、2 年確率流量 80.71 m3/s、100 年確率流量
316.36 m3/s である。なお、PLTM Palilitan の流域面積は HPPS2 にて算定された Simanggo-1 の流域
面積を引用した。
10.4.6 土砂解析
(1) 概要
土砂解析は Simanggo 川流域での削剥速度を推定することを目的に実施した。供給土砂量は取水堰
地点の推定流量および浮遊砂量式より推定した。浮遊砂量式は現地再委託調査によって得られた
試験結果より作成した。
Simanggo 川での供給土砂量は他河川に比べ大きな値を示した。流域での平均的な侵食速度である
削剥速度は一般的に土壌条件や開発状況、降雨強度などに影響を受ける。
比較検討を目的として、周辺での水力・水資源開発事例に用いられている削剥速度を収集した。
(2) 浮遊砂採取
浮遊砂調査を取水堰地点において実施し、30 試料を採取した。採取した試料は室内試験を行った。
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-35
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
各試料の粒径累加曲線を図 10.4.9 に示す。
(3) 浮遊砂量式
室内試験結果は溶解成分および非溶解成分を含む総浮遊砂濃度となる。各調査日の浮遊砂量は下
式により算定される。
QS = 0.0864 × C × QW
ここに、 QS :浮遊砂量 (ton/day)、 C :浮遊砂濃度 (mg/L)、 QW :流量(m3/s) であ
る。
プロット図を図 10.4.10 に示す。算定した浮遊砂量式を以下に示す。
QS = 1.419 × QW
2
上式により任意流量に対する浮遊砂量を推定することができる。
(4) 総供給土砂量
得られた浮遊砂量式を取水堰地点の推定日流量に適用し、年平均供給土砂量を推定した。取水堰
地点の流域面積は 478.3km2 である。
推定された年平均供給土砂量は 662,847 ton である。
堆積土砂の密度は下式により算定する。
γ ′ = (1 − V ) × γ
ここに、 γ ′ :堆砂密度(ton/m3)、 V :空隙率、 γ :土の単位堆積重量(=2.65ton/m3)
堆積土砂の空隙率を 60%とすると、堆砂密度は 1.06 ton/m3 となる。よって、年平均堆積土砂量は
625,327 m3 と推定される。
取水堰に流入する土砂量は浮遊砂と掃流砂から構成される。一般的に取水堰に流入する掃流砂量
を計測することは困難とされる。通常、掃流砂量は経験的に浮遊砂量の 10%から 30%と推定され
る。インドネシアでは通常 10%が適用されているため、ここでも 10%を採用する。
以上より Simanggo-2 取水堰地点への年平均流入土砂量は 687,860 m3 と推定され、削剥速度として
1.44 mm/year である。
推定された削剥速度との比較のため、下表に近傍での削剥速度の事例を示す。
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-36
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
Project Name
S. Ular
Buaya
Karai
Lausimeme
Namobatang
Tembengan
Beranti
Sampanan
Sibakudu
Asahan
Renun
Jambuaye
Wampu
Sipan Sihaporas
PLTM Palilitan
Legend
S1: HPPS2, 1999.
S2: PLN
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Project Stage
Pre-F/S
Pre-F/S
Pre-F/S
Pre-F/S
Pre-F/S
Pre-F/S
Pre-F/S
Pre-F/S
Pre-F/S
D/D
F/S
F/S
F/S
Constructed
Province
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
N. Sumatra
Catchment Area
(km2)
1,081
428
500
105
93
76
159
370
64
3,674
139
4,560
959
196
Denudation Rate
(mm/year)
0.77
0.50
0.50
0.10
0.10
0.30
0.50
0.50
0.20
0.25
0.30
0.10
0.44
0.10
0.17
Source
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S1
S2
上表によると、近傍での削剥速度は 0.10 から 0.77mm/year である。Simanggo-2 取水堰地点で推定
された削剥速度は 1.44mm/year であるから近傍事例と整合しない。
浮遊砂調査を実施した地点は Simanggo-2 取水堰地点より約 2km 上流に位置する。浮遊砂調査地点
と Simanggo-2 取水堰地点の中間に PLTM Palilitan の取水堰が建設されており、流送土砂の大半は
PLTM Palilitan 取水堰にてトラップされ、Simanggo-2 取水堰地点まで流下してこないことが予想さ
れる。
以上より、Simanggo-2 取水堰地点への供給土砂量は調査結果より少なめに見積もることが妥当と
考えられる。よって、設計削剥速度は周辺事例での中間値 0.5mm/year、設計年平均堆砂量として
239,150m3/year を採用する。
10.4.7 水質解析
Simanggo-2 HEPP プロジェクトにおいて、水質は発電機や周辺機器およびその他施設に影響を与
えるため重要となる。
試料採取および室内試験は現地再委託調査により実施した。実施回数は 3 回とした。
調査結果を表 10.4.3 に示す。調査結果より Simanggo 川での pH は 5 から 8 の間であることがわか
る。pH が 4.5 以下である場合に発電機等への影響が懸念されるが、調査結果より問題ないことが
判明した。
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-37
2011 年 8 月
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-38
Kr. Aceh
Kr. Teunom
Bt. Toru
Bt. Indrapura
Bt. Pasaman
A. Musi
11 Kp. Darang
12 Tui Kareng
13 Hp. Baru
14 Air Batu
15 Air Gadang
16 Despetah
01-074-01-02
01-165-01-01
01-141-01-01
01-178-01-01
01-205-01-01
01-001-01-01
01-080-01-04
01-077-02-07
01-074-01-01
01-071-02-01
627
1,339
468
2,773
2,403
1,081
438
604
4,260
1,455
4,452
2,215
3,325
3,100
3,600
2,887
2,843
3,437
2,012
2,740
3,125
2,821
3,346
3,239
2,211
2,589
2,250
3,099
2,685
Basin
Mean
Rainfall
(mm)
Source : Sectoral Report Vol. 2 : Hydrology, Hydro Inventory Study, July 1997
W. Sekampung
W. Tl. Bawang
9 Banjarmasin
10 Kunyir
A. Musi
8 Martapura
Bt. Hari
6 Sungai Dareh
Bt. Hari
01-066-04-01
Bt. Kuantan
5 Tj. Ampalu
7 Muara Inum
01-058-02-01
4 Lb. Bendahara S. Rokan
828
3,870
4,583
(km2)
Catchment
Area
45.2
121.3
31.3
128.9
183.9
33.1
23.1
36.8
225.0
107.6
310.2
77.6
141.5
28.4
206.8
175.7
Annual
Mean
Runoff
(m3/sec)
2,273
2,857
2,109
1,466
2,413
966
1,663
1,921
1,666
2,332
2,197
1,105
1,342
1,082
1,685
1,209
Annual
Runoff
Depth
(mm)
827
743
778
1,377
1,024
1,046
1,077
1,204
1,155
1,014
1,042
1,106
1,247
1,168
1,414
1,476
Annual
Rainfall
Loss
(mm)
0.73
0.79
0.73
0.52
0.70
0.48
0.61
0.61
0.59
0.70
0.68
0.50
0.52
0.48
0.54
0.45
Runoff
Coeff.
1974-1991
1973-1993
1973-1993
1972-1993
1982-1993
1977-1993
1968-1993
1972-1993
1960-1984
1973-1987
1975-1993
1975-1993
1974-1993
1973-1993
1974-1993
1972-1993
Observation
Period
表 10.4.1
01-071-01-01
01-055-03-02
01-040-01-01
01-027-01-02
Gauge ID
3 Lb. Sipelanduk Bt. Pane
S. Wampu
2 Stabat
River
Basin
Kr. Jambu Aye
Station
Name
1 Lhok Nibong
No.
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
スマトラの流域損失量一覧
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
表 10.4.2
No
Scheme
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
River
スマトラの確率洪水・PMF 一覧
Province
Tampur-1
Kr. Tampur
D.I. Aceh
Teunom-1
Kr. Teunom
D.I. Aceh
Aceh-2
Kr. Aceh
D.I. Aceh
Lawe Alas-4
Lawe Alas
D.I. Aceh
Peusangan-4
Kr. Peusangan
D.I. Aceh
Lake Laut Tawar
Kr. Peusangan
D.I. Aceh
Residual Basin-1
Kr. Peusangan
D.I. Aceh
Jambu Aye
Kr. Jambu Aye
D.I. Aceh
Rubek
Kr. Jambu Aye
D.I. Aceh
Residual Basin-2
Kr. Peusangan
D.I. Aceh
Lalang
S. Belawan
N. Sumatera
Tembakau
S. Percut
N. Sumatera
Lausimeme
S. Percut
N. Sumatera
Helvetia
S. Deli
N. Sumatera
Namobatang
S. Deli
N. Sumatera
Baru
S. Serdang
N. Sumatera
Pulau Tagor
S. Ular
N. Sumatera
Karai
S. Ular
N. Sumatera
Brohol
S. Padang
N. Sumatera
Rampah
S. Belutu
N. Sumatera
Renun
A. Renun
N. Sumatera
Wampu
S. Wampu
N. Sumatera
Limang
S. Wampu
N. Sumatera
Sipan Sihaporas
Sipan Sihaporas
N. Sumatera
Batang Bayang-1
Bt. Bayang
W. Sumatera
Batang Bayang-2
Bt. Bayang
W. Sumatera
Muko-Muko
Bt. Antokan
W. Sumatera
Masang-3
Bt. Masang
W. Sumatera
Merangin-5
Bt. Merangin
Jambi
Lake Kerinci
Siulak
Jambi
Batang Hari
Bt. Hari
Jambi
Batang Hari (Alt.)
Bt. Hari
Jambi
Kiri-1
Bt. Kampar
Riau
Kiri-2
Bt. Kampar
Riau
Kapoernan
Bt. Kampar
Riau
Kotapanjang
Bt. Kampar
Riau
Upper Sinamar
Bt. Indragiri
Riau
Sukam
Bt. Indragiri
Riau
Lower Kuantan
Bt. Indragiri
Riau
Ombilin
Bt. Ombilin
Riau
Musi (Intake Dam)
A. Musi
S. Sumatera
Musi (Regulation Dam)
A. Musi
S. Sumatera
Martapura
Way Komering
S. Sumatera
Lematang-4
A. Lematang
S. Sumatera
Mine Mouth Steam Plant
A. Lematang
S. Sumatera
Ketaun-1
A. Ketaun
Bengkulu
Simanggo-2
A. Simanggo
N. Sumatera
Source: Hydro Inventory Study, Sectral Report Vol.2 Hydrology, July 1997.
Masang-3 HEPP, 1999.
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
Catchment
Area
(km2)
2,025
900
323
5,705
945
195
106
3,890
93
128
254
171
106
341
93
671
1,013
500
759
423
139
1,570
959
196
84
36
248
993
2,597
916
4,452
3,825
1,187
552
699
3,337
3,180
360
7,453
1,078
587
30
4,260
1,321
3,667
449
478.3
10-39
2
250
140
280
470
430
390
180
Probable Peak Discharge (m3/sec)
Return Period (year)
20
100
200
1,000
2,870
3,590
2,300
3,120
1,030
1,470
2,500
4,250
1,600
500
810
940
360
530
600
1,939
2,331
3,800
142
320
480
550
410
610
230
340
180
280
300
530
690
250
270
750
940
820
1,070
500
560
720
940
290
370
580
740
820
960
10,000
PMF
7,470
8,390
3,510
12,500
1,670
1,020
4,850
940
1,900
2,970
300
269
44
1,136
590
1,937
1,664
1,183
940
1,800
74
2,204
1,970
1,538
4,192
3,602
590
340
93
2,878
2,177
5,603
4,814
1,624
118
240
79
1,300
175
530
138
1,900
1,870
500
491
800
823
3,168
2,460
2,464
6,205
5,331
8,000
211
720
175
2,200
6,636
980
1,019
780
190
2,300
2,430
1,070
1,100
120
3,851
3,102
7,601
6,531
2,537
1,446
2,181
11,400
3,180
1,755
10,047
263
1,010
226
2,700
4,854
4,092
10,419
5,300
13,347
7,274
8,383
1,310
277
6,300
5,500
7,140
3,894
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Table 10.4.3 水質解析結果(Simanggo)
No
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
Water Quality Parameter
Date
Weather
pH
Temperature
Total Hardness
Temporary Hardness
Suspended Matter
Total Solid
Ignition Residue
Permanganate Value as O2
Carbonates as CaCO3
Bicarbonates as CaCO3
Calcium (Ca)
Magnesium (Mg)
Sodium (Na)
Potassium (K)
Iron (Fe)
Manganese (Mn)
Copper (Cu)
Turbidity
Color
Electric Conductivity
Aluminum (Al)
Silica (SiO2)
Lead (Pb)
Arsenic (As)
Ammonium (NH4)
Albuminoid
Nitrites (NO2)
Nitrates (NO3)
Sulfities (SO3)
Sulfates (SO4)
Chlorides (Cl)
Phosphates (PO4)
Oxygen (O2)
Carbon Dioxide (CO2)
P-value as CaCO3
M-Value as CaCO3
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
Unit
℃
mg/l
mg/l
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
NTU
Pt-Co-Unit
µ/Cm
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
mg/lit
10-40
Sample-1
Sample-2
Sample-3
2010/10/24 2010/11/25 2010/12/25
Clear
Clear
Cloud
6.51
7.34
5.28
25.2
25.4
24.8
7.21
9.28
12.4
1.03
7.22
6.19
37.7
35.5
123
222
44.5
126
0.1
0.08
0.08
5.51
13.71
2.93
0
0
0
10.08
26.88
24.6
2.08
2.49
2.58
0.49
0.74
1.44
4.29
8.22
5.24
3.56
1.31
3.67
1.09
0.67
0.5
0.07
<0.02
<0.02
<0.001
<0.001
0.021
5.3
5.3
6.3
25
20
20
53.5
50.6
54.5
1.14
0.02
0.34
18.18
53.88
69.9
<0.001
<0.001
<0.001
0.0028
0.0014
0.002
0.47
0.596
0.02
<0.1
<0.1
<0.1
0.004
0.002
<0.0005
14.08
0.722
0.863
0.072
0.072
<0.02
7.09
3.07
1.15
11.39
3.63
3.63
<0.002
0.23
0.14
7.15
7.31
7.26
0
0.87
3.03
<0.002
0.242
0.138
21.6
21.8
23.2
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
図 10.4.1
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
観測所位置図
10-41
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Daily Rainfall Records
78
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
Station Name
1 Segala
1970
No.
HPPS2
ID
1969
Year
BMG
ID
Remarks
24-0078-00
2 Tarutung
84
24-0084-00
1954-
3 Hutaraya
84C
24-0084-03
1954-
4 Barus
85
24-0085-00
1962-
5 Siborong-borong
86
24-0086-00
1953-
6 Dolok Sanggul
86A
24-0086-01
1954-
7 Gugur Balige
86B
24-0086-02
8 Baligi-1
86D
24-0086-04
9 Paguruan
90
24-0090-00
10 Salak
90C
24-0090-03
1951-
11 Sidikalang
91
24-0091-00
1951-
12 Tiga Lingga
91B
24-0091-02
1961-1966
Source: BMKG Jakarta
Daily Runoff Records
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
HPPS2
ID
1969
Year
DPMA
ID
Station Name
No.
Aek Sigeon - Pasar 01-1781 Sirongit
00-01
A. Sibundong 01-1842 Dolog Sanggul
00-01
01-1863 A. Silang - Marade 00-01
Source: Pusair Bandung
178-02-01
Remarks
17 years
13 years
20 years
Evapolation
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
Remarks
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
Remarks
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
Remarks
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
Remarks
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
Station Name
1970
No.
1969
Year
Remarks
1 Parapat
2 Gabe Hutaraja
Source: Asahan 3 HEPP Construction Report, 2007
Air Temparature
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
HPPS2
ID
1975
BMG
ID
02104
1974
HPPS2
ID
1973
BMG
ID
02104
1972
HPPS2
ID
1971
BMG
ID
02104
1970
No.
Station Name
1 Sibolga
Source: BMKG
HPPS2
ID
1969
Year
BMG
ID
02104
Relative Humidity
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
No.
Station Name
1 Sibolga
Source: BMKG
1969
Year
Sunshine Duration
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
No.
Station Name
1 Sibolga
Source: BMKG
1969
Year
Wind Velocity
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
No.
Station Name
1 Sibolga
Source: BMKG
1969
Year
: Complite Data
: Incomplite Data
図 10.4.2 観測期間の整理結果
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-42
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Simanggo-2 Basin
478.3 km2
A. Simanggo
Simanggo-2
Intake Weir
図 10.4.3 堰地点での流域
A. Rambe
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-43
2011 年 8 月
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
50%
55%
60%
65%
70%
75%
80%
85%
90%
95%
100%
Average
%
457.06
56.77
44.03
37.08
32.39
28.90
26.15
23.88
22.12
20.50
18.98
17.81
16.50
15.43
14.39
13.22
11.99
10.86
10.27
9.00
1.68
25.08
Estimated Runoff (%)
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
図 10.4.4
10-44
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
Simanggo-2 Intake Weir Site
0.7
0.8
0.9
Estimated Runoff
1
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
取水堰地点の流況(Simanggo-2)
2011 年 8 月
Discharge (m3/s)
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
3.5
Maximum Water Level
3.35m 2010/10/1 18:00
3.0
Water Level (m)
2.5
2.0
1.5
Average Water Level
0.58m
1.0
0.5
0.0
Minimum Water Level
0.30m 2010/10/22
2010/9/15
2010/9/30
2010/10/15
2010/10/30
2010/11/14
2010/11/29
2010/12/14
2010/12/29
500
Maximum Runoff
463.87 m3/s 2010/10/1 18:00
450
400
Runoff (m3/s)
350
Estimated Runoff with
H-Q Rating Curve
300
250
200
Discharge Measurement
150
Minimum Runoff
12.19 m3/s 2010/10/22
Average Runoff
31.55 m3/s
100
50
0
2010/9/15
2010/9/30
2010/10/15
図 10.4.5
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
2010/10/30
2010/11/14
2010/11/29
2010/12/14
2010/12/29
観測水位に基づくハイドログラフ
10-45
2011 年 8 月
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
図 10.4.6
10-46
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
Time (hour)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37
2
3
5
10
20
30
50
80
100
150
200
400
PMF
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
堰地点の洪水波形 (Simanggo-2)
2011 年 8 月
Discharge (m3/s)
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Probable Maximum Flood
Flood Peak Discharge (m3/s)
100,000
10,000
1,000
PMF
C=79
Simanggo-2 PMF
100
10
10
100
1,000
10,000
100,000
Catchment Area (km2)
Return Period = 200 year
Flood Peak Discharge (m3/s)
10,000
1,000
200
C=22
100
Simanggo-2 200
10
10
100
1,000
10,000
100,000
Catchment Area (km2)
図 10.4.7 スマトラ島での事例および Simanggo-2 取水堰地点の確率洪水量(1/2)
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-47
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Return Period = 100 year
Flood Peak Discharge (m3/s)
10,000
1,000
100
C=21
100
Simanggo-2 100
10
10
100
1,000
10,000
100,000
Catchment Area (km2)
Return Period = 2 year
Flood Peak Discharge (m3/s)
10,000
1,000
2
C=10
100
Simanggo-2 2
10
10
100
1,000
10,000
100,000
Catchment Area (km2)
図 10.4.8 スマトラ島での事例および Simanggo-2 取水堰地点の確率洪水量(2/2)
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-48
2011 年 8 月
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-49
0%
0.01
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.10
Grain Size (mm)
1.00
10.00
08-Okt-10
08-Okt-10
07-Nop-10
07-Nop-10
22-Okt-10
09-Des-10
25-Des-10
25-Des-10
25-Des-10
05-Des-10
05-Des-10
22-Okt-10
05-Des-10
25-Nop-10
21-Nop-10
25-Nop-10
25-Nop-10
21-Nop-10
21-Nop-10
24-Okt-10
24-Okt-10
07-Nop-10
24-Okt-10
22-Okt-10
22-Okt-10
08-Okt-10
05-Okt-10
22-Okt-10
05-Okt-10
05-Okt-10
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
図 10.4.9 浮遊砂の粒径累加曲線
2011 年 8 月
%
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Adopted
Not Adopted
100,000
Suspended Load, Qs (ton/day)
10,000
1,000
y = 1.419 x
100
10
1
1
10
100
1,000
10,000
2
Runoff, Qw
図 10.4.10
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
浮遊砂量と流量の相関
10-50
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
10.5 電力系統の状況
第 3 章において策定した電力需要想定指標を用い、2011 年、2019 年、2027 年各断面におけるポ
テンシャルサイト近辺の電力系統について図 10.5.1 に整理した。図中の○シンボル内の数値は各
変電所におけるピーク電力(上段)、ベース電力1(下段カッコ内値)を示す。
トバ湖南岸に位置する本 150kV 系統は、基幹系統である 275kV 送電線からは遠く、将来増強され
る 500kV 送電線も大消費地である Medan 方面へ建設予定であり、本地域は通過しない。本図に示
す物理的な距離は約 300km であり、地域系統の電圧調整に関する問題が懸念される。
2019 年断面において、本地域のピーク電力 138MW2に対しベース電力 83MW、2027 年断面におい
て、ピーク電力 225MW に対しベース電力 135MW である。
このベース電力に直接寄与できる本地域の電源は、GI Dolok Sanggul に接続する小水力電源(計
22.5MW)、及び 2017/2018 年に投入計画のある PLTP Pusuk Bukkit (2×55MW)である。ここで、各
電源の Capacity factor3を考慮すると、本ポテンシャルを含む本地域可能電力は、136MW 程度とな
り、2027 年次におけるベース電力にほぼ等しい。これ以外に周辺地域には PLTA Renun (2×41MW)、
PLTA Sipan (計 50MW)、PLTU Labuhan Angin (2×115MW)が存在し、間接的な寄与が期待される。
このように、本ポテンシャルサイトの開発は、電圧低下問題の解消、地域電力収支を支えるため
に必要な電源であることが分かる。
1
2
3
Sumatra 系統における負荷率は、RUKN2008 において 62%(2011)、63%(2019, 2027)であり、また RUPTL2010-2019
において 65%(2011)、67%(2019)と想定されている。よって、Firm power としてピーク電力の 60%の値を採用し
た。
不等率は考慮していない。
水力電源:60%、地熱電源:80% と想定。
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-51
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 10 章 プロジェクトサイトの状況
Year 2011
Ke Renun
Ke Porsea
Subulussalam
Sidikarang
13.1
Tele
19.0
9.3
PLTD
PLTD
Dolok Sanggul
9.1
17.3
Tarutung
22.5 MW
Ke Sibolga
Simanggo2
Year 2019
Ke Renun
Ke Porsea
Subulussalam
Sidikarang
Tele
Dolok Sanggul
2×55 MW
28.8
37.9
18.6
18.2
34.2
(17.3)
(22.7)
(11.2)
(10.9)
(20.5)
PLTD
PLTD
PLTP
Tarutung
22.5 MW
Ke Sibolga
Simanggo2
Year 2027
Ke Renun
Ke Porsea
Subulussalam
Sidikarang
Tele
Dolok Sanggul
2×55 MW
43
63.2
31.0
30.4
57.0
(25.8)
(37.9)
(18.6)
(18.2)
(34.2)
PLTD
PLTD
PLTP
Tarutung
22.5 MW
Ke Sibolga
Simanggo2
出典: RUPTL2010-2019 を参照し調査団作成
図 10.5.1
ポテンシャルサイト周辺需要状況予想 (Simanggo-2)
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
10-52
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 11 章
第 11 章
基本計画策定
基本計画策定
計画最適化のための諸条件
11.1
(1) 既存計画概要
シマンゴ-2 水力発電開発地点は北スマトラ州のトバ湖西岸から約 40km 南西に位置する。シマン
ゴ-2 事業は原計画(HPPS-2)において日ピーク発電可能な流れ込み式発電として策定された。
そ
の原計画ではシマンゴ川本流を堰き止めて水を貯め、その調整池の効果によってピーク発電が可
能とした。
原計画の全体レイアウトを図 11.1.1 に示す。
出典:
図 11.1.1
HPPS-2 (1999) Sectoral Report Vol. 11
シマンゴ-2水力開発の計画原案
計画原案の主な仕様は以下の通りである。
•
多年平均河川流量:
26.9 m3/s
•
調整池常時満水位(FSL):
El. 497.0 m
•
調整池運用最低水位(MOL):
El. 490.1 m
•
調整池有効貯水量:
80 万 m3
•
導水路トンネル(内径x延長):
径 4.1 m x 4,750 m
•
水圧鉄管(内径x延長):
径 3.2 m x 429 m
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
11- 1
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
•
発電計画、
第 11 章
最大使用流量:
38.1 m3/s
平均有効落差:
187.4 m
発電設備容量:
59 MW
年間発生電力量:
366.9 GWh
基本計画策定
(2) 取水堰地点代替案
上記計画原案を基礎にして、シマンゴ-2開発地点の現地踏査を実施した。 初期段階の現地踏査
において、原案の取水堰地点の 3km 上流で既に民間開発業者によって小水力発電所(10MW)が工
事中であることが判明した。 その民間プロジェクト(パリリタン-1発電所)は 2010 年の半ばに完
成した。
既存 5 万分の 1 地図によるとパリリタン-1発電所地点河岸は標高約 600m なので、そ
の発電所と原案のシマンゴ-2取水堰予定地の間の落差約 100m が利用されることなく残ることに
なる。 その落差 100m をシマンゴ-2水力に取り込むため、取水堰位置をパリリタン-1発電所直
下に移す案を代替案の一つと考える。
しかし、パリリタン-1 直下に、もう一件の小水力案件(パリリタン-2)が同じ民間業者によって既に
計画されていることがその後判明した。 その計画ではパリリタン-1 から下流の約 50m の落差を
利用することになっている。
パリリタン-2 は現在予備調査段階である。
仮にパリリタン-2 が
実現しても、その下流の原案シマンゴ-2取水地点までの間にまだ 50mの落差が残るので、シマン
ゴ-2 取水地点をパリリタン-2 発電所直下に移す案をもう一つの代替案とする。
いずれのレイアウトの場合でも IPP 計画は流量調整機能を有さないので、シマンゴー2 は影響を
受けない。
(3) 発電所地点代替案
HPPS-2 における発電所候補地点はシマンゴ川の右岸に位置し、そこでの河川水位が標高 295mと
推定されていた。
そのシマンゴ-2 発電所候補地点近傍において、既に民間業者による小水力開
発工事が進行中であることが、現地踏査で判明した。
シマンゴ-2 発電所候補地点の川の左岸に
は新しい道路が掘削されている。 その民間プロジェクト(タラビンタン発電計画)の予定簡略図か
ら、取水堰はシマンゴ-2 発電所候補地点の数 100m 下流に位置すると推定される。
予定されて
いる取水堰満水位は標高 295.2m である。
シマンゴ-2 発電所を下流に移せば発電用落差は増えるが、上記のタラビンタン発電計画に抵触す
るので、その案は考慮しないことにする。 逆に発電所を上流に移すと落差が減ってしまう。 原
案の発電所候補地点は、調圧水槽を設けるために必要な高さの山がすぐ傍までせまっているので、
地形・地質的に最良地点と判断する。
民間のタラビンタン発電計画はまだ詳細が決まっていないが、シマンゴ-2 発電所の放水位を暫定
的に標高 296m として計画する。
(4) ピーク発電用調整池
HPPS-2 原案によれば、シマンゴ本流に高さ約 20m の堰を設けその上流にピーク発電用の調整池
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
11- 2
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 11 章
基本計画策定
(容量 80 万 m3)を造成することになっている。 しかし、シマンゴ川上流域は火山生成物に覆われ
ており、河川水はかなりの量の火山性土砂を含んでいる。
したがって、調整池を本流に造成し
たとしても、すぐに堆砂によって埋まってしまうと予想される。
調整池の貯水容量を回復する
ためには溜まった土砂を水流によって排出しなくてはならないが、排出作業のために調整池を空
にしなくてはならず、大量の水を発電に利用することなく無効放流しなくてはならない。
は発電運転を頻繁に止めなくてはならないことを意味する。
調整池を設ける案は断念する。
これ
そのため今回の検討では本川上に
その代わりとして、取水堰と発電所を結ぶ導水路の途中で周辺
の渓流または窪み地を利用して中間調整池を造成することを計画する。
しかし、この案は導水
路周辺に適当な渓流や窪地が存在しない場合には適用できない。
(5) 斜坑式水圧管路
発電所地点背後の山の斜面は非常に急峻である。 標高 400m より上の地表面勾配は斜度 50 度に
も達する。
そのような急斜面に地表式水圧管路を構築する場合、管路そのものの掘削の他にい
くつかの水平工事用道路のために大規模な掘削を要する。
工事のために大々的に破壊される恐れがある。
現在斜面を覆っている自然林がその
発電所周辺の自然環境保全を考慮して、水圧管
路は地中岩盤内に斜坑を掘削し、その中に埋設する案を採用する。
(6) 地形データ
今回調査の初期段階でのレイアウト検討では既存の縮尺 5 万分の 1 地図を使用した。
その後、
再委託調査によって作られた次のような詳細地形図が最適化検討に使われた。
•
縮尺 1/10,000 地形図(1 枚):
プロジェクト範囲全体をカバー。
衛星写真を利用した写
真測量地形図。
•
縮尺 1/2,000 地形図(3 枚): それぞれ取水堰地区、中間調整池地区および発電所地区をカ
バー。
現地測量による地形図。
既存 5 万分の 1 地図と今回新たに作った地形図では、地点標高にかなりの差があることが認めら
れた。 今回の検討においては新しい地形図の標高を採用する。 従って、HPPS-2 の設計図に見
られる標高値は検討用参考値に止める。
(7) 河川流量
シマンゴ川の低水流量は前章で解析されている。
3
流量は 25.1 m /s である。
原案と同じ取水堰地点における多年平均河川
常時流量(95%頻度)は 9.0 m3/s である。
(8) 河川維持流量
発電のために取水堰地点で河川流量を完全に取水すると、堰下流の河道には流れる水が無くなっ
てしまう。
下流河道の自然環境を維持するため、取水堰へ流れ込む水の一部を下流に放流する
必要がある。 所要最少放流量は集水面積 100 km2 当たり 0.2 m3/s として計算する。 この率はス
マトラで建設中の幾つかのプロジェクトで採用され認められている。
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水力開発マスタープラン調査
11- 3
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 11 章
基本計画策定
シマンゴ-2 取水堰での集水面積は約 480 km2 であるから、取水堰から下流に放流すべき維持用水
は 1.0 m3/s (>0.2 x 480/100)である。
11.2
この放流量は洪水などの溢水時を除き常に維持される。
最適レイアウトの選定
(1) レイアウト代替案
レイアウト最適化検討において三つの代替案(A 案, B 案および C 案)を取り上げる。 それらのレ
イアウトを図 11.2.1 に示す。
出典:調査団
図 11.2.1
シマンゴ-2水力計画レイアウト代替案
各代替案の主な特徴を以下の一覧表に示す。
代替案
特徴
A案
•
•
•
•
•
B案
• 取水堰を2.8km上流の既設パリリタン発電所直下に移す。
• 取水口FSLはEl. 576 m、発電所TWLはEl. 296 m。
このレイアウトはHPPS-2でのレイアウトとほぼ同じ。
取水口常時満水位(FSL)はEl. 496 m、発電所放水位(TWL)はEl. 296 m。
取水口と発電所間の総落差は200m。
導水路(取水堰-発電所間)の総延長は4.26 km。
導水路沿いに適当な調整池用地が無いのでピーク発電は不可。
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11- 4
2011 年 8 月
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第 11 章
基本計画策定
• 取水口と発電所間の総落差は280m。
• 導水路(取水堰-発電所間)の総延長は5.55 km。
• 導水路途中にある渓流を利用した中間調整池によりピーク発電が可能。 調整
池は大規模ピーク発電も可能な容量にできる。
• この取水堰は上記A案とB案の取水堰の中間に位置し、将来の民間パリリタン-2
発電所予定地の直下に相当する。
• 取水口FSLはEl. 530 m、発電所TWLはEl. 296 m。
• 取水口と発電所間の総落差は234m。
• 導水路(取水堰-発電所間)の総延長は4.71 km。
• 導水路途中にある渓流を利用した中間調整池によりピーク発電が可能。 ただ
し、地形的に貯水可能量が限られ大規模ピーク発電は不可。
C案
A 案は地形的制約で導水路途中に調整池を設けることができないので、純粋な流れ込み式発電計
画である。 任意時の発電出力はその時の河川流量に支配され、ピーク発電は不可能である。 運
転は 24 時間一定負荷の定常運転となる。
定する。
最大使用水量は設備利用率が概ね 70%となるよう設
この率は流れ込み式発電で一般な率を参考にしたものである。
B 案には 1 日の流量を調整可能な中間調整池が設けられる。
11.3 で選定するように 5 時間ピーク運転を採用する。
3
ーク運転に対し 55 万 m である。
る。
レイアウト最適化検討にも、次節
調整池に必要な有効貯水容量は 5 時間ピ
調整池は導水路ルートを横切って流れる渓流を利用して設け
最大使用流量は次の式から計算される。
Qmax =
24
Qf
T
ここに、 Qmax = 発電最大使用流量 (m3/s)
Qf =
常時流量 (m3/s)
T=
ピーク運転時間 (時間/日)
C 案にも渓流を利用して中間調整池が設けられるが、その有効貯水量は渓流の谷が狭いため最大
30 万 m3 に限られる。
常時流量を貯めてその 100%をピーク発電(5 時間)に利用するためには調
整池に少なくとも 55 万 m3 の貯水容量が必要である。
調整池容量不足に対応するため、半ピー
ク運転モードを採用する。 即ち、ピーク時出力(設備出力)を調整池容量から求まる出力に限定し、
その代わりに余る流量を使ってオフピーク時の出力を増やす。
ク運転を採用する。
Qmax =
B 案と同様に C 案も 5 時間ピー
C 案の最大使用流量は下式で計算される。
V
+ Qf
3600T
ここに,
V=
調整池の有効貯水容量 (m3)
(2) 設計条件値
各案の設計に使う基本的な条件値を次の表に示す。
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11- 5
2011 年 8 月
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第 11 章
基本計画策定
設計条件値
条件
単位
1. 取水堰での集水面積(調整池流域含む)
2. 平均河川流量
常時河川流量 (95%頻度)
3. 下流河川維持用放流量
4. 常時取水流量 (Qf)
5. 日ピーク時間 (T)
6. 最大使用流量 (Qp)
7. 中間調整池有効貯水量(V)
8. 中間調整池湛水面積
A案
km2
m3/s
m3/s
m3/s
m3/s
hours
m3/s
m3
ha
B案
488
25.6
9.2
1.0
8.23
0
24.5
==
==
C案
481
25.2
9.0
1.0
8.04
5
38.6
550,000
12
487
25.5
9.2
1.0
8.16
5
24.8
300,000
8
B案
C案
(3) 設計検討結果
主要構造物の設計検討結果を次の表に示す。
主要構造物の設計検討結果
構造物
1. 取水堰(自由越流式コンクリート堰)
高さ(越流頂以下)
満水位(FSL)
2. 接続トンネル(馬蹄形無圧トンネル)
内径
延長
3. 中間調整池
満水位(FSL)
最低水位(MOL)
4. 導水路トンネル(円形圧力トンネル)
内径
延長
5. 圧力管路 (地下斜坑内埋設式)
管径
延長
6. 発電所
建屋形式
放水位
7. 発電機器
設備出力 (2台合計)
最大使用流量
定格落差
単位
A案
13
490
13
576
13
530
m
km
=
=
3.9
1.57
3.4
0.57
El. m
El. m
=
=
572.6
567.0
528.6
524.0
m
km
3.4
4.26
3.9
3.98
3.4
4.14
m
m
2.6
540
3.2
615
2.6
565
El. m
地上式
296.0
地上式
296.0
地上式
296.0
MW
m3/s
m
39
24.5
179.5
90
38.6
260.3
48
24.8
217.2
m
El. m
(4) 建設費
19 章で述べる見積もり基準に従い各案の建設費を計算した。
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11- 6
見積もり結果を次の表に示す。
2011 年 8 月
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第 11 章
基本計画策定
各代替案の建設費見積もり結果
単位: 百万US$
項目
A案
1. 土木工事
取水設備
導水設備
中間調整池
発電所
小計
2. 機械・電気工事
3. 準備工事および環境保全費
4. 技術費および用地費
合計
B案
C案
9.15
24.58
0
2.75
36.48
33.83
10.88
16.79
10.13
38.03
11.64
4.50
64.30
63.37
16.90
29.46
9.15
26.71
7.18
3.01
46.04
39.43
12.50
20.14
97.98
174.03
118.11
(5) 発電計算
各案について可能発電量を計算する。 計算に当たっては過去 22 年間(1977-1998)のシマンゴ川低
水流量解析(10.6 節参照)で得られた日流量頻度曲線を使用する。
各案に適用された曲線を図
11.2.2 に示す。
60
60
Simanggo-2, Plan B
Siamnggo-2, Plan A
50
50
River runoff
40
Discharge (m3/s)
Discharge (m3/s)
River runoff
Daily average turbine
discharge
30
20
Daily average turbine
discharge
40
30
20
10
10
0
0
0
10
20 30 40 50 60 70 80
Probability of exceedence (%)
0
90 100
10
20 30 40 50 60 70 80
Probability of exceedence (%)
90 100
60
Simanggo-2, Plan C
50
Discharge (m3/s)
River runoff
40
Daily average turbine
discharge
30
20
出典:調査団
10
図 11.2.2
0
0
10
20 30 40 50 60 70 80
Probability of exceedence (%)
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90 100
各代替案の水車流量頻度曲線(日
平均流量)
11- 7
2011 年 8 月
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第 11 章
基本計画策定
B 案と C 案はピーク発電が可能であり、そのピーク運転時間中はほぼ最大使用流量に近い流量で
運転される(例えば B 案では 38.6 m3/s)。
その代わりオフピーク時間帯は、翌日のピーク発電
用の水を蓄える必要があるため、河川流量から貯留分を差し引いた流量で運転される。
A 案は
ピーク発電の能力がないので、水車流量は常に河川流量に一致する。
発電計算によって得られた最大出力、保証出力および年間発生電力量を次の表に示す。
発電計算結果
項目
a.
b.
c.
d.
単位
A案
最大出力
MW
保証出力(95%保証)
MW
年間発生電力量
GWh
設備利用率 PF(*)
%
備考 (*) : PF= (c/8.76)/a
B案
39
13
243
71
C案
90
90
416
53
48
48
306
73
(6) 経済比較
B 案と C 案は混合発電方式で運転される。
即ち一日のうち 5 時間は高出力運転(ピーク運転)
を行い、残りの 19 時間は低出力運転を行う。
A 案は 24 時間ほぼ一定出力で運転される。
ピ
ーク時間帯の発電出力と電力量の便益はピーク運転に適した代替火力(ガスタービン)の発電コス
トから求められる。
オフピーク時間帯の発電出力と電力量の便益はベース負荷運転に適した代
替火力(石炭火力)の発電コストから求められる。 それらの代替火力発電コストについては第 14
章に詳述されている。
それらの値は次の通りである。
• ピーク時間帯便益(ガスタービン発電単価):
• オフピーク時間帯便益(石炭火力発電単価):
出力:
96.23 US$/kW
電力量:
0.080 US$/kWh
出力:
223.67 US$/kW
電力量:
0.0417 US$/kWh
B 案と C 案の発電計算で求められたそれぞれの出力と電力量を、便益計算のため下表の式を使っ
てピーク時間帯とオフピーク時間帯の値に分ける。 これらの計算式については第 14 章に述べら
れている。
発電時間帯
出力 (kW)
電力量 (kWh/年)
ピーク時間帯
=
24 P − E / 365
24 − T
=
T (24 P − E / 365)
x365
24 − T
オフピーク時間帯
=
−TP + E / 365
24 − T
=
24(−TP + E / 365)
x365
24 − T
備考:
P = ピーク時出力, kW
E = 年間発生電力量, kWh
T = ピーク運転時間 (時間/日)
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11- 8
2011 年 8 月
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第 11 章
基本計画策定
A 案はピーク発電能力が無いので、その発電便益はオフピーク時発電と同じく石炭火力の発電コ
ストを用いて計算する。
各案のピーク時・オフピーク時出力、電力量および便益を下の表に示す。
回収率を用いて年経費に換算する。
各案の建設費は資本
割引率を年 10%、耐用年数を 50 年と考えて資本回収率を
0.1009 とする。
レイアウト代替案の経済比較
項目
単位
1. 時間帯別出力と電力量
ピーク時間帯:
出力
電力量
オフピーク時間帯: 出力
電力量
2. 年間発電便益
ピーク時間帯:
出力
電力量
オフピーク時間帯: 出力
電力量
年便益合計 (B)
3. 年間費用
建設費から換算された年経費
(総建設費 x 0.1009)
年間O&M費 (総建設費x0.5%)
年費用合計 (C)
4. 年間純便益 (B-C)
A案
C案
=
=
13,000
243.0x106
53,700
98.0x106
36,300
318.0x106
16,500
30.1x106
31,500
275.9x106
US$
US$
US$
US$
US$
=
=
2.91
10.13
13.04
5.17
7.84
8.12
13.26
34.39
1.59
2.41
7.04
11.50
22.55
M US$
9.89
17.56
11.92
M US$
M US$
0.49
10.38
0.87
18.43
0.59
12.51
M US$
2.66
15.96
10.04
kW
kWh/y
kW
kWh/y
M
M
M
M
M
B 案は三案の中で純便益が最も高く、最も経済性が高い。
益は B 案の 60%程度に落ちる。
B案
次に経済性が高いのは C 案だが純便
A 案は純便益が他に比べ最も低く、経済性に劣る。
(7) 技術面・環境面の評価
三案を技術面と環境面の観点から評価した結果を次の表に列挙する。
各代替案の技術・環境面の評価結果
O: 優位 △: やや優位 X: 劣る
代替案
評価項目
評価結果
判定
A案
技術面
• 取水堰地点までのアクセスとして、既設の民間パリリタン発
電所から 3kmの道路を新設しなくてはならない。
X
• 取水堰と上流の既設パリリタン発電所の間に約 100mの落差
が未利用のまま残る。
• 地形上の制約から中間調整池を設けられないのでピーク発電
ができない。
• 取水堰・トンネルおよび発電所地点において特段の地質的弱
点は予想されない。
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水力開発マスタープラン調査
11- 9
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代替案
第 11 章
基本計画策定
評価項目
評価結果
判定
環境面
• 取水堰下流の減水区間は約 3kmしかない(支流ランべ川と
の合流点までの区間)。 その区間で灌漑または生活用に川
を利用している住民はいないが、環境保全を目的とした河川
維持用水を取水堰から放流する必要がある。
O
• 発電所でピーク運転を行わないので、発電所下流の河川水位
の日変動はほとんど起こらない。
• 取水堰地点は環境保全林の範囲外ある。
• 導水トンネルが一部保全林の範囲を通るが、森林に対し重大
な影響を与えることはない。
発電所地点は環境保全林の範囲外である。
B案
技術面
• 取水堰地点へのアクセスは、既設パリリタン発電所前を通る
既存道路から容易である。 取水堰地点から中間調整池まで
は既存の林道を改築する必要がある。
O
• 既設パリリタン発電所と下流で着工したタラビンタン発電所
取水地点との間の全落差をフルに活用できる。
• 毎日 5 時間のピーク発電(90MW)が可能。 これは系統のピー
ク電力供給不足緩和に役立つ。
• 取水堰、トンネル、調整池、発電所地点において特段の地質
的弱点は予想されない。
環境面
• 取水堰下流の減水区間は約 6kmとなる(支流ランべ川との
合流点までの区間)。 その区間で灌漑または生活用に川を
利用している住民はいないが、環境保全を目的とした河川維
持用水を取水堰から放流する必要がある。
△
• 発電所でピーク運転を行うことにより発電所下流の水位が時
間によって変動する。
• 取水堰地点は環境保全林の範囲外ある。
• 中間調整池は生産林内に属す。 湛水面積は 12ha と小さい。
• 導水トンネルが一部保全林の範囲を通るが、森林に対し重大
な影響を与えることはない。
• 発電所地点は環境保全林の範囲外である。
C案
技術面
• 取水堰地点へのアクセスは、パリリタン村から左岸に新設中
の公道を使って容易になる。 取水堰から調整池までの 1 ㎞
は道路新設が必要である。
△
• 取水堰と既設パリリタン発電所の間に約 50mの落差が残る
が、現在計画中の民間小水力発電によって利用される可能性
がある。
• 毎日 5 時間のピーク発電が可能。 しかしピーク発電能力は
調整池容量不足のため 48MW に限られる。
• 取水堰、トンネル、調整池、発電所地点において特段の地質
的弱点は予想されない。
環境面
• 取水堰下流の減水区間は約 4.5kmである(支流ランべ川との
合流点までの区間)。 その区間で灌漑または生活用に川を
利用している住民はいないが、環境保全を目的とした河川維
持用水を取水堰から放流する必要がある。
△
• 発電所でピーク運転を行うことにより発電所下流の水位が時
間によって変動する。
• 取水堰地点は環境保全林の範囲外ある。
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代替案
第 11 章
評価項目
基本計画策定
評価結果
判定
• 調整池も保全林の範囲外であり湛水面積は 8ha と小さい。
• 導水トンネルが一部保全林の範囲を通るが、森林に対し重大
な影響を与えることはない。
• 発電所地点は環境保全林の範囲外である。
A 案は取水堰下流の減水区間が最も短く、発電所下流の河川水位変動がないので環境面では他案
に比べ最も優れている。
しかし、保証出力(渇水時)が 13MW と小さいため電力系統のピーク需
要緩和貢献度は低い。
B 案は環境面では A 案に劣る。 即ち、調整池造成のため森林地 12ha が水没し、発電所下流の河
川水位がピーク時とオフピーク時で変動する。
しかし、発電所周辺の住民は通常河川水を生活
に使っていない。 従って、今回はサイレンなどの警報装置を設置して安全対策を行うに止める。
技術面の評価では B 案がピーク発電能力が高く最も優れている。
C 案は技術・環境面で三案中 2 番目に優位であるが、調整池容量不足のためピーク発電能力は
48MW と B 案の半分強しかない。
(8) 最適レイアウトの選定
上述の経済比較および技術面・環境面評価に基づき、B 案をシマンゴ‐2 水力発電計画の最適レイ
アウトに選定する。
11.3
B 案の取水堰は既設の民間パリリタン発電所の直下流に置かれる。
最適開発規模の選定
(1) 選定されたレイアウト
上述 11.2 節で B 案が最適レイアウトに選らばれた。
S-010)に示されている。
B 案の全体レイアウトは別添図面(番号
その縮小版を図 11.3.1 に示す。
(2) 河川流量
前節 11.2 の発電計算で述べたように、B 案取水堰と中間調整池の合計集水面積は 481 km2 であり、
多年平均河川流量(1977‐1998 年)は 25.2 m3/s である。 95%頻度河川流量は 9.04 m3/s である。 下
流の河川環境維持を目的として取水堰から 1.0 m3/s 放流する。
結果的に発電に使える純常時流
3
量(95%頻度)は日平均単位で 8.04 m /s である。
(3) 開発規模代替案
B 案は日ピーク発電が可能である。 ピーク時間を長くできるかどうかは開発規模(発電容量)に関
係する。
一日の河川水量が限られているので、開発規模を大きくするにはピーク時間を短くし
なくてはならない。 最大使用流量(Qmax)はピーク時間(T)と常時流量(Qf)との関係で決まる(下式
参照)。
Qf は 95%頻度流量(8.04 m3/s)である。
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Qmax =
第 11 章
基本計画策定
24
Qf
T
ピーク時間の長さを変えて、次の 4 種類の発電規模を開発規模代替案として取り上げる。
最大使用流量(m3/s)
代替案
日ピーク時間
1
4 時間
48.2
2
5 時間
38.6
3
6 時間
32.2
4
7 時間
27.6
Intake Weir
Connection Tunnel
Headrace Tunnel
Intermediate Pond
Powerhouse
Surge Tank
Underground Penstock
出典:調査団
図 11.3.1
選定されたシマンゴ-2 水力発電計画レイアウト
(4) 水路トンネルと水圧管路の最適経済径
発電用水路は、径を小さくすれば建設費は減るが、逆に水路での損失水頭が増えて発電出力が減
る。 最適経済径を選定するに当たって、いくつかのトンネル径(または管径)を想定し、それぞれ
の建設費を年経費に換算する。
さらに径ごとの水頭損失分に相当する年間発電減少量を計算し
て便益減少額(負便益)に換算し、それらを年経費と合算して径ごとの総費用を算出する。 その総
費用が最も低い径を最適経済径として選定する。 損失水頭増加に伴う発電量減少分を 11.2 節の
(6)で述べた計算式を用いて便益減少額に換算する。
取水堰と調整池間の接続トンネルは、自由水面を持った流れとし、その場合内圧が低いので経済
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11- 12
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ファイナルレポート(メイン)
第 11 章
的な標準馬蹄形トンネルを採用する。
基本計画策定
中間調整池から調圧水槽までの導水路トンネルは管路式
の流れとなり内圧が比較的高いので耐圧性に優れた円形トンネルを採用する。
調圧水槽から発
電所までの水圧管路は、地表が急峻でその斜面上に設けるのは極めて難しいので、地下斜坑内に
鉄管を敷設してコンクリートで埋設する案を採用する。
各代替案(ピーク時間)ごとにトンネル(または水圧管路)の経済径についての計算した。 その結果
をグラフ化して図 11.3.2 に示す。
Simanggo-2
Connection Tunnel Diameter Optimization
Annualized tunnel cost + Annual lost
benefit (M US$)
3.0
4 Hr Peak
Horseshoe Section Free flow tunnel L=1.57 km
5 Hr Peak
2.5
6 Hr Peak
D3.9
7 Hr Peak
D4.2
2.0
D3.7
D3.5
1.5
1.0
2.5
3.0
3.5
Simanggo-2
4.0
4.5
Tunnel Internal Diameter (m)
5.0
5.5
6.0
Headrace Tunnel Diameter Optimization
Annualized tunnel cost + Annual lost
benefit (M US$)
7
Circular pressure tunnel L= 3.98 km
6
D4.2
5
D3.9
4 Hr Peak
D3.7
4
5 Hr Peak
D3.5
6 Hr Peak
7 Hr Peak
3
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
Tunnel Internal Diameter (m)
5.0
5.5
6.0
Simanggo-2 Penstock Diameter Optimization
Annualized tunnel cost + Annual
lost benefit (M US$)
2.8
Penstock L= 615 m
2.6
D3.5
2.4
D3.2
2.2
2.0
4 Hr Peak
D3.0
1.8
5 Hr Peak
D2.8
6 Hr Peak
1.6
7 Hr Paek
1.4
2.5
3.0
3.5
Penstock Internal Diameter (m)
4.0
4.5
出典:調査団
図 11.3.2
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
水路トンネルおよび水圧管路の経済径計算結果
11- 13
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 11 章
基本計画策定
上の計算によって選定されたトンネルおよび水圧管路の最適経済径を次に表に示す。
選定された水路トンネルおよび水圧管路の最適経済径
水路
ピーク継続時間
5 時間
6 時間
4 時間
1. 接続トンネル (L = 1.57 km)
選定された最適径
2. 導水路トンネル (L = 3.98 km)
選定された最適径
3. 水圧管路 (L = 615 m)
選定された最適径
7 時間
4.2m
3.9m
3.7m
3.5m
4.2m
3.9m
3.7m
3.5m
3.5m
3.2m
3.0m
2.8m
トンネルのコンクリート巻立て厚さはトンネル内径の 10%と見積もる。
水圧鉄管は馬蹄形断面
の水平トンネルおよび斜坑に埋設するが、斜坑掘削内径は鉄管と周辺の掘削岩盤面との間に 0.6m
の隙間を設けるように設定する。
その隙間は鉄管の据付および溶接作業に必要であり、鉄管完
成後はコンクリートで埋め戻される。
(5) その他の構造物の設計
取水堰はコンクリート堰で高さは河床基礎上約 13m である。 堰には自然越流型の余水吐きを設
け、余水吐き水門は設けない。
余水吐きの越流巾は 55m とし、越流頂標高を常時満水位(FSL)
と同じ 576.0m とする。 取水口前面に溜まった土砂を排出するための土砂吐き水門を堰の右岸側
に設ける。
取水施設は堰の右岸側に設ける。 取水口の上流端には固定式除塵スクリーン(除塵機付き)を設置
する。
スクリーン開口部寸法は流速が最高で 1.0m/s になるように決める。
水設備の直下流に設けられる沈砂池に導かれる。
取水された水は取
沈砂池は矩形断面水路形式の池とし池内流速
を最高で 0.3m/s になるよう断面積を広げ、0.5mm 粒径以上の砂を沈降させるよう池の長さを決め
る。
沈砂池には流れ方向に沿って中央に隔壁を設け、沈殿した砂を排砂する場合は片方づつの
排砂を行って、発電運転は常に継続できるようにする。
沈砂池の下流水路の側壁に河川維持用
3
水 1.0m /s を放流するための放流管設備を設ける。 沈砂池の下流端は接続トンネルに直結される。
中間調整池は導水路を途中で横切っている小川を堰き止めて造る。
発電所でのピーク発電のため調整池に一時的に溜められる。
取水口から取水された水は
調整池に必要な貯水容量はピーク
継続時間によって変わり、次式で計算される。
V = 3600T (Qmax − Q f )
ここに,
V=
調整池の必要有効貯水容量 (m3)
T=
ピーク継続時間 (時間)
Qmax = 最大使用流量 (m3/s)
Qf =
発電用常時流量 (m3/s)
接続トンネル内では常に自由水面をもった流れに保つため、調整池の水位は沈砂池内の水位より
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水力開発マスタープラン調査
11- 14
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 11 章
かなり低くする必要がある。
て変わる。
基本計画策定
必要な水位差は接続トンネルでの流量から決まる損失水頭によっ
調整池の満水位は最大使用流量時のトンネル損失水頭との関係で決まる。
計算さ
れた必要貯水容量および調整池満水位と最低水位を次の表に示す。
調整池の必要貯水容量および水位
単位
ピーク継続時間
4 時間
5 時間
6 時間
MCM
0.58
0.55
0.52
El. m
576.0
576.0
576.0
項目
1. 必要貯水池容量
2. 取水堰での満水位
3. 調整池水位
FSL
MOL
4. 利用水深
El. m
El. m
m
572.4
567.1
5.3
572.6
567.5
5.1
7 時間
0.49
576.0
572.8
568.0
4.8
572.9
568.5
4.4
調整池のために小川を塞ぐ構造物は粘土コアを持つロックフィル式盛土堤である。
盛土堤基礎
は厚い火山性堆積物で覆われており、支持力・透水性の面で弱いと判断されたので堤体コアの上
流側基礎に粘土ブランケットを敷いて止水対策を行う。
導水路トンネルの下流端で水圧管路に繋がる前に制水口付き竪坑形調圧水槽を設ける。
水槽断
面は円形で、その直径は水車遮断時と起動時の水圧振動による水面上昇・下降を計算して適切と
判断された値を採用する。
それらを計算した結果を次の表に示す。
項目
1. 調圧水槽直径
2. サージング最高水位
サージング最低水位
調圧水槽の直径と最高・最低水位
単位
ピーク継続時間
4 時間
5 時間
6 時間
m
9.5
8.5
7.7
El. m
596
596
596
El. m
550
551
552
水槽上端は最高水位より 3m 高い標高とする。
7 時間
7.0
595
552
水槽下端は導水路トンネルに直結しており、ト
ンネル底版は最低水位より 10m 低い標高とする。
発電所は地上式建物である。
放水路は発電所建屋から川の縁までの短い開削水路である。
電所建屋寸法は類似規模の既存発電所を参考にして決める。
発
各代替案の発電容量は流量と有効
落差から次の表のように決まる。
発電機器容量
項目
1. 最大使用流量
2. 定格有効落差
3. 設備出力 (2 台合計)
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
単位
3
m /s
m
MW
4 時間
48.2
258.2
111
11- 15
ピーク継続時間
5 時間
6 時間
38.6
32.2
260.3
261.4
90
75
7 時間
27.6
262.2
64
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 11 章
基本計画策定
(6) 建設費見積もり
各代替案について、工事数量を計算し第 13 章で詳述する工事単価を用いて建設費を計算した。
計算結果を次の表に示す。
各代替案の建設費見積もり
単位: 百万US$
ピーク継続時間
5時間
6時間
7時間
項目
4時間
最大使用流量 (m3/s)
1. 土木工事
取水設備
導水設備
中間調整池
発電所
小計
2. 機械・電気工事
3. 準備工事および環境保全費
4. 技術費および用地費
合計
48.2
38.6
32.2
27.6
12.00
45.60
11.64
5.15
74.39
75.24
19.19
34.31
10.13
38.03
11.64
4.50
64.30
63.37
16.90
29.46
9.37
34.52
11.64
4.34
59.87
55.53
15.63
26.76
8.26
31.30
11.64
4.17
55.37
49.73
14.55
24.48
203.13
174.03
157.79
144.13
(7) 発電計算
前節 11.2(5)と同様に、河川流量頻度曲線(取水堰 B 案)を用いて各代替案ごとの可能発電量を計算
した。
代替案ごとの水車流量(日平均流量)頻度曲線を図 11.3.3 に示す。
60
River runoff
4-Hr Peak
50
Intake discharge (m3/s)
5-Hr Peak
6-Hr Peak
40
7-Hr Peak
30
20
10
0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
Probability of exceedence (%)
出典:調査団
図 11.3.3
各案の水車日流量頻度曲線
発電計算結果を次の表に示す。
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水力開発マスタープラン調査
11- 16
2011 年 8 月
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第 11 章
発電計算結果
単位
4 時間
MW
111
MW
111
GWh
429
%
44
項目
1. 最大出力
2. 常時出力(95%保証)
3. 年間発生電力量
4. 設備利用率
ピーク継続時間
5 時間
6 時間
90
75
90
75
416
397
53
60
基本計画策定
7 時間
64
64
376
67
(8) 経済比較
全三案とも一日にピーク発電とオフピーク発電を行う混合発電方式で運転される。
ピーク時間
帯とオフピーク時間帯の発電便益は前節 11.2(6)で述べたように別々に評価される。
各案の発電
出力と電力量は同じ節で述べた方法でピークとオフピークに区分される。
各案のピーク時・オフピーク時発電出力と電力量および便益を下の表に示す。
各案の建設費は
資本回収率(0.1009)を用いて年経費に換算する。
開発規模代替案の経済比較
項目
1. 設備出力
2. 時間帯別出力と電力量
ピーク時間帯:
出力
電力量
オフピーク時間帯: 出力
電力量
3. 年間発電便益
ピーク時間帯:
出力
電力量
オフピーク時間帯: 出力
電力量
年便益合計 (B)
4. 年間費用
建設費から換算された年経費
(総建設費 x 0.1009)
年間O&M費 (総建設費x0.5%)
年費用合計 (C)
5. 年間純便益 (B-C)
単位
ピーク継続時間
90
6時間
75
7時間
64
74,400
108.7x106
36,600
320.3x106
53,700
98.0x106
36,300
318.0x106
39,600
86.7x106
35,400
310.3x106
29,800
76.0x106
34,200
300.0x106
US$
US$
US$
US$
US$
7.16
8.69
8.18
13.36
37.39
5.17
7.84
8.12
13.26
34.39
3.81
6.93
7.92
12.94
31.61
2.86
6.08
7.66
12.51
29.11
M US$
20.50
17.56
15.92
14.54
M US$
M US$
1.02
21.51
0.87
18.43
0.79
16.71
0.72
15.26
M US$
15.88
15.96
14.90
13.85
MW
kW
kWh/y
kW
kWh/y
M
M
M
M
M
4時間
111
5時間
設備出力の違いによる純便益の変動を図 11.3.4 に示す。
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11- 17
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第 11 章
基本計画策定
18
Benefit-Cost (M US$)
90 MW (5-hour peak)
17
16
15
14
13
50
60
70
80
90
100
110
120
Installed capacity (MW)
出典:調査団
図 11.3.4
開発規模と純便益の関係
(9) 最適開発規模の選定
図 11.3.4 に見られるように年間純便益(B-C)は発電規模を大きくすると(またはピーク時間を短く
する)と増加する傾向にある。 しかし純便益は発電規模が 90MW 前後(ピーク時間 5 時間前後)に
なると最大値に達する。
更に規模を大きくすると純便益は減る傾向になる。
従って、発電規
模 90MW を最適開発規模に選定する。 この開発規模で、渇水時期においても 90MW の発電を毎
日 5 時間運転可能となる。
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水力開発マスタープラン調査
11- 18
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 12 章
第 12 章
12.1
予備設計
予備設計
設計条件
12.1.1 水文条件
シマンゴ‐2 発電計画のための低水流出解析は 10.6 節で行われている。
今回の予備設計に関係
する水文条件を以下の表に掲げる。
項目
単位
流域面積
km
A
B
取水堰
調整池
2
3
A + B
発電所
478.3
2.3
480.6
936
平均河川流量 (1977-1998)
m /s
25.1
0.1
25.2
48
常時流量(95%頻度)
m3/s
永久構造物設計洪水(200 年確率)
工事用設計洪水(2 年確率)
9.00
0.04
9.04
17
3
1,100
33
=
1,540
3
490
15
=
690
96,000
460
=
=
m /s
m /s
3
年間流砂量
m /yr
12.1.2 河川維持用水
取水堰において、洪水時を除く通常時の河川水はほとんど全て発電用に取水される。
しかし、
3
堰下流河道の最少水量を維持するために、取水堰から下流へ 1.0 m /sの水を放流する。
2
3
この放
2
流量は流域面積 100km 当り 0.2m /s という規準を満たすよう決められた。(478.3km /100km2 x
0.2m3/s = 1.0m3/s) この規準はスマトラで進行中の幾つかの発電プロジェクトで採用されている
ものである。
12.1.3 発電用最大使用流量
発電所は 1 日の 5 時間はピーク発電、残り 19 時間はオフピーク発電を行う。 ピーク時間帯での
設備容量フル運転を確実にする(95%保証する)最大使用流量は 95%頻度河川流量から次式によっ
て計算される。
Qmax = (Qf - Qm) x (24/T)
ここに,
Qmax =
最大使用流量 (m3/s)
Qf =
95%頻度河川流量 (m3/s)
3
= 9.04
Qm =
河川維持用放流量 (m /s)
= 1.0
T=
ピーク継続時間 (時間)
=5
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12- 1
2011 年 8 月
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第 12 章
予備設計
故に、発電用最大使用流量(Qmax)は 38.6 m3/s となる。
12.2 主要土木構造物
12.2.1 取水堰
取水堰は 2010 年に運転開始した既設パリリタン発電所の 300m 下流に位置する。この位置は下記
の点を考慮して決められた。
•
既設発電所の放水口は標高約 590m である。
その放水口から下流の 200m 区間は河道が
狭く、堰工事用の切り替え水路などの施工が容易でない。
•
放水口から 200m 下流において右岸側から支流が合流している。
•
選定された堰の位置は河道巾が比較的広いので、取水工や沈砂地の施工はもちろん仮設の
切り替え水路の施工も比較的容易である。
取水堰は越流式余水吐きを備えたコンクリート堰である。
余水吐きの越流頂は標高 576m で、
この標高は取水のための常時満水位(FSL)と見なされる。 現河床(最深部溝を除く)の標高は 568m
前後なのでそこでの堰高は 8m である。
この高さは取水口での呑み込み水深を確保するために
必要な高さである。
余水吐きの越流幅は下流の自然河道幅に合うよう 55m とする。
設計洪水(1,100m3/s)における余
水吐きの越流水深は 4.0mとする。 これは上流急勾配河川からの接近流速を加味した予備的計算
によって求めた。 堰上流の設計洪水位は従って標高 580.0m となる。 洪水吐きの流量曲線を図
12.2.1 に示す。
Simanggo-2
Intake Weir H-Q Curve
585
200-yr flood
= 1,100 m3/s
Design Flood WL 580 m
Elevation (m asl)
580
Intake Weir Spillway H-Q
Spillway crest (El. 576 m)
575
Intake Weir Tailwater H-Q
570
River bottom (El. 568 m)
565
0
500
1,000
1,500
Discharge (m3/s)
出典:調査団
図 12.2.1
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水力開発マスタープラン調査
取水堰余水吐きの流量曲線
12- 2
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第 12 章
予備設計
取水堰地点の河床には比較的堅硬な岩が露出しているが、両岸アバットメントは未固結の火山性
堆積物で覆われており、その下の基礎岩面は河床部の岩盤面よりそれ程高くないと推定される。
従って、基礎岩上に造られるコンクリート堰はアバットメントの奥深くまでは延長せず、堰の基
礎掘削を適当な範囲に制限しそのアバットメント掘削面とコクリート堰体との間のスペースは止
水のため不透水性の盛土で埋め戻す。
従って、堰の非越流部は部分的に盛土形式となる。
堰の非越流部堤頂標高は盛土形式が含まれ
ることを考慮して決める。 風波による這い上がり高を計算すると 0.3m である。 安全性のため
の付加高を 1.5m および粘土コア保護層を 0.2m とする。 非越流部標高(Z)は次式によって 582.0m
と計算される。
Z = 設計洪水位 + 0.3 + 1.5 + 0.2 = 580.0 + 2.0 = 582.0 m
堰の右岸側に 5.0m 幅の土砂吐き門を設ける。 水門の敷高は取水口前面に溜まった土砂を排出す
るため標高 571.0m とする。 水門の上下流は土砂排出がスムースに行われるよう急勾配のコンク
リート水路とする。
水門としては運転操作ゲートと点検用ストップログが備えられる。
らの開口部寸法は幅 5.0m x 高 4.0m である。
ができる。
それ
3
満水位時にゲートを全開すると約 120m /s の放流
その排水効果により上流水位が短時間で下がり、堆積した土砂が自然河川流入量に
よってスムースに押し流され排出されると考えられる。
河川維持用水放流設備は取水堰ではなく沈砂池下流の側壁に設ける。
沈砂前の河川水には磨耗
を速める砂が多く含まれているので、砂による放流管やバルブの磨耗を最小限にするために沈砂
池下流のこの位置が選ばれている。
取水口を閉じた場合は放流設備から放流できないが、河川
水は自然に取水堰を越流して下流に放流される。
取水堰の予備設計は付属図面(番号 S-012)に示されている。
12.2.2 取水設備および沈砂池
取水口は取水堰の右岸側に設ける。 取水口先端には固定式除塵スクリーン(除塵機付き)が設けら
れる。 取水口の水深は川からの流砂呑み込みを出来るだけ減らすため 3.0m と浅くした。 除塵
スクリーンの開口部寸法は呑み込み流速が最高で 1.0 m/s となるように決める。 最大使用流量が
38.6 m3/s なので開口部の幅を 2 門合計で 13.0mとする。
を経由して沈砂池に導かれる。
取水された水は 2 条の開水路と制水門
2 条の制水門開口部寸法をそれぞれ幅 4.2m x 高 5.0mとし、敷
高標高を 571.5m とする。
沈砂池は 2 条の矩形断面の池である。
2 条の池を採用することにより、沈殿した砂の排出を 1
条づつ行うことができるので、排砂作業中でも継続して発電運転が可能である。
沈砂地の通過
流速は最大使用流量時でも 0.3m/s に抑える。 沈砂すべき砂の粒径は一般的な例に基づき 0.5mm
以上とする。
沈砂池の寸法は以下の計算式によって求める。
L > A
h
u
v
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12- 3
2011 年 8 月
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ここに,
第 12 章
L=
必要な沈砂池長さ (m)
Α=
沈砂池内の流れの乱れを考慮した係数
h -=
沈砂池水深 (m)
v=
砂の沈降速度、粒径によって変わる (m/s)
u=
沈砂池内の水流通過流速
予備設計
(=0.3 m/s)
池の水深‘h’は底部排砂門が排砂作業中に下流河道の流れに水没しないよう 6.0m とする。
粒径
が 0.5mm の場合、砂の沈降速度‘v’は 0.07m/s である。 係数‘A’は一般的例を参考にして 2 とする。
よって、沈砂池の必要長さは 52m となる。 沈砂地内の通過流速を 0.3m/s 以下に抑えるための流
水断面積は 128.7 m2 (= 38.6/0.3)である。 池の深さは 6m なので池の幅は 2 条合計で 22m となる。
即ち 1 条 11m の池を 2 条設けるものとする。
沈砂池下流の接続トンネルの流下能力を超える水量は沈砂地の両側壁を越流させて排除する。
側壁の天端は FSL と同じ標高 576.0m とする。
沈砂用の池の下流端には一条づつの排砂ができ
るようストップログが備えられる。
沈砂池の底に沈殿した砂は、各条の池の下流端底部に設けられた排砂門から定期的に川へ排砂す
る。
排砂門の開口部寸法は 1.5m x 1.5m とする。
河川維持用水放流管設備は 2 条のパイプと制水弁から成り、沈砂池下流水路の川側の壁に設けら
れる。
各条で 1.0m3/s を放流できるようパイプ径を 0.5m とする。
取水設備と沈砂池での水頭損失は合計 0.2m と見積もられる。 予備設計された取水設備と沈砂池
は付属図面(番号 S-013)に示されている。
12.2.3 接続トンネル
接続トンネルは沈砂池下流端から中間調整池まで伸びる開水路トンネルであり、長さは 1.57km で
ある。 断面は内圧が低いので経済的な馬蹄形断面とする。 直径は前節 11.3 で選ばれたように
3.9m とする。
トンネル勾配は最大 38.6m3/s の流量を流せるよう 1/600 とする。
トンネル内の
水深は最大 3.51m(等流水深)で、トンネル天井と水面の間に高さ 0.39m の空間が残る。 沈砂池か
ら中間調整池までの水頭損失は出口ロスも含め合計 3.2m と見積もられる。
調整池側トンネルの出口には、調整池斜面の浸食を防止するため 14m 幅のコンクリート開水路を
設け標高 565m まで延ばす。
トンネルは部分的に火山性堆積物の弱層内を通過すると予想される。
工事中の支保として鋼製
の支保工や金網張りの吹付けコンクリートが必要と予想される。
トンネルのルートは付属図面(番号 S-010)に、トンネルの代表断面は付属図面(番号 S-011)に示され
ている。
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12- 4
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第 12 章
予備設計
12.2.4 中間調整池
前節 11.3(5)に述べたように、中間調整池の必要有効貯水容量は 550,000m3 である。
調整池の満
水位は、最大使用流量時の取水口から接続トンネル出口までの全水頭損失を勘案して標高 572.6m
とする。
中間調整池は自然の小川を盛土堤で堰止めて造成される。
堰き止め位置は、必要な貯水容量を
満足し、発電用の水路長が出来るだけ短くなるように位置を選定した。
小川の渓谷地形から見
て 400m 上流にも堰き止め盛土築造が可能な場所があり、そこでは盛土高を 8m 低く出来る。 し
かし、可能総貯水容量は 400,000m3 しかなく日調整のための貯水量の要求を満たせない。
選定
された堰止め位置での貯水容量曲線を図 12.2.2 に示す。
Water surface area (ha)
25
20
15
10
5
0
580
575
FSL=572.6 m
570
MOL = 567.0 m
Drawdown =
5.6 m
Elevation (m)
565
Active storage 0.60 MCM
> 0.55 MCM
560
555
WATER SURFACE AREA
STORAGE VOLUME
550
545
540
Stream bed El. 540 m
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
Storage volume (MCM)
出典:調査団
図 12.2.2
中間調整池の貯水容量・湛水面積曲線
中間調整池の運用最低水位は標高 567.0m とする。 調整池内の水位はピーク発電時とそれに続く
オフピーク発電時の水使用状況に応じて変動する。 最大水位水位変動は 5.6m 程度と想定される
が、そのような水位変動は渇水年に稀にしか起こらない。
調整池への流入土砂量は 100 年間で 46,000m3 と推定される。 調整池はその土砂量を全て溜めて
も充分余裕がある貯留スペースを持っている。
小川を堰き止める構造物は、ロックフィル式の盛土堤とし中央の粘土コア基部から上流に向かっ
て粘土ブランケットを設ける。
盛土の基礎が未固結の火山性堆積物で強度が弱く透水性が高い
推定されるので、盛土の上下流面勾配を緩くして斜面安定を高めるよう考慮した。
ブランケッ
トの上流端に鋼製矢板で地中壁を造り基礎地盤の止水効果を高める。
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予備設計
調整池は時によって 1 日の水位変動が大きくなり、その影響で池周辺の斜面が場所によって滑る
ことが懸念される。
そのため斜面安定を目的として、池周辺の斜面に水抜き用水平孔を設ける
ことを今回計画している。
しかし、斜面安定対策については将来の調査において詳細検討を行
う必要がある。
中間調整池の設計洪水流入量(200 年確率)は 33m3/s と見積もられている。
3
ネルを通って調整池へ流入する流量は最大 38.6 m /s である。
38.6)である。
設ける。
取水口から接続トン
合計流入量は最大 71.6m3/s(=33 +
この流量を下流に流すことが出来るよう堰止め盛土堤の右岸に越流式余水吐きを
その越流頂は標高 572.6m で満水位に一致させ、越流幅を 35m とする。
3
きは 1.0m の越流水深で 71.6m /s を放流する能力がある。
この余水吐
よって、調整池の設計洪水位は標高
573.6m である。
堰き止め盛土堤の堤頂標高は設計洪水位、風波高、安全付加高、粘土コア保護厚さを考慮して決
める。 風波による這い上がり高は 0.77m と見積もられる。 安全付加高は盛土形式なので 1.5m
とする。
粘土コア保護層厚さを 0.33m とする。
拠って、堤頂標高(Z)は次式から 576.2m と計
算される。
Z = 設計洪水位 + 0.77 + 1.5 + 0.33 = 573.6 + 2.6 = 576.2 m
将来の調整池緊急抜水を可能にするため堤堤堤、盛土基礎最深部に底部放流管を設置する。
流管は堤体基礎上に川筋方向に沿って設けるコンクリートカルバートの中に設置する。
ートは内幅 2.2m x 高 2.5m の D 字形断面で工事中の仮排水にも利用される。
放
カルバ
放流管は径 0.4m
とし、盛土堤の中心線上に設ける閉塞コンクリートからカルバート下流端まで敷設する。
管の
上流端付近に制水弁を設け、下流端に流量調節弁を設置する。
中間調整池関連の構造物を付属図面(番号 S-014 および S-015)に示す。
12.2.5 導水路トンネル
導水路トンネルは中間調整池から調圧水槽までの延長 3.98km のトンネルで、流れは圧力式である。
内水圧が比較的高いのでトンネル断面は円形とする。
内径は前節 11.3(4)で経済径として選ばれ
た 3.9m を採用する。
トンネルの上流端には調整池から水を取り込むための取水塔が設けられる。
クリーン(除塵機付き)と制水門が設置される。
1.0m/s になるよう幅 6.0m x 高 6.5m とする。
取水塔には除塵ス
除塵スクリーンの開口部寸法は流速が最高で
取水塔直下流のトンネルの敷高は、調整池が最低
水位の時でもトンネル内へ空気が吸い込まれないよう十分な水深をとって標高 558.0m とする。
調圧水槽位置でのトンネルの敷高は、水槽内水位が最低に下がっても空気がトンネル内に混入し
ないよう標高 540.0m とする。
最大使用流量時の水頭損失は、トンネル内摩擦損失、取水塔流入損失・スクリーン損失などを含
み合計 8.8m である。
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予備設計
地質調査の結果、トンネルは上流の一部の火山性弱層を除き殆どの区間は堅硬な砂岩を通過する
と想定される。
従って工事中の支保は、上流の一部区間で鋼製支保工や金網付吹き付けコンク
リートが必要だが、殆どの区間はロックボルトや薄い吹き付けコンクリートの支保で十分と考え
られる。
トンネルルート平面図は付属図面(番号 S-010)に、トンネルの代表断面は付属図面(番号 S-011)に、
取水塔は付属図面(番号 S-015)にそれぞれ示されている。
12.2.6 調圧水槽
導水路トンネルの終端、即ち水圧管路へ繋がる前に調圧水槽を設ける。
調圧水槽は水撃作用に
よって起こる導水路内の過大な圧力上昇を防ぎ、水車の負荷急変に応じて水量の補給吸収を行う
目的を持っている。
形式は垂直円筒型で底部に制水口を設ける。
水槽の直径は、予備的なサージング水面振動解析を行い 8.5m を最適径として選定した。 計算さ
れた最高水位は標高 596 m、最低水位は標高 552m である。 水槽天端は標高 599m とし、水槽下
のトンネル敷高を標高 540m とする。水槽の高さは 59m となる。
12.2.7 水圧管路
発電所背後の山は非常に急峻で斜面勾配が 50 度にもなり、そこに地表式の水圧管路を造る場合大
規模な掘削によって現状の森林が破壊される。
環境破壊を防ぐため水圧管路は地下式を採用す
る。
管路は鋼管でトンネルと斜坑の中に埋設される。 鋼管の直径は調圧水槽から発電所近くの Y 分
岐までは前節 11.3(4)で選定したように 3.2m とする。 Y 分岐は堅硬な岩盤内に設け発電所中心か
ら 60m の位置になる。 Y 分岐で分かれて発電所の水車入り口までの 2 条の鋼管はそれぞれ直径
1.9m とする。 調圧水槽基部から 50m 区間は敷高標高 540mの水平トンネルで、そこから下部ベ
ンド(標高 302m)までの区間は傾斜 48 度の斜坑である。
下部ベンドから Y 分岐(中心標高 293m)
までは緩い傾斜のトンネルで、Y 分岐から分かれた 2 条は水平トンネルである。
トンネルと斜坑の掘削断面は、水圧管路鋼管の外面から周辺の掘削岩表面までの間に少なくと
0.6m の隙間が残るよう計画する。 この隙間は鋼管の据付および溶接作業のために必要で、管路
完成後はコンクリートで充填される。
地質踏査によれば、管路は堅硬な岩盤内を通ると推定さ
れ、工事における特段の困難は予想されない。
予備設計された水圧管路は付属図面(番号 S-016 および S-017)に示されている。
12.2.8 発電所
発電所は 45MW の主機 2 台を格納する地上式建物で、シマンゴ川の右岸に位置する。 そこでの
河岸標高は約 295m である。
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この位置は、現在民間開発業者が工事を進めているタラビンタン
12- 7
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小水力発電計画を考慮して選定した。
予備設計
タラビンタン計画の取水堰はシマンゴ‐2 発電所予定地
の数 100m下流になると推定され、取水堰の常時水位は標高 295.2m と計画されている。
選定された位置は地表面が比較的緩やかで広いので発電所と開閉所用地として適当と判断する。
付近の河床部全体に堅硬な岩が露頭しており、地質的に発電所の基礎としても良好と判断する。
発電所建屋は鉄筋コンクリート造りである。
る。
主機 2 台とそれに付属する多くの機器が格納され
主機組立て室・制御室・事務室なども建屋内に設けられる。
で掘削された開水路である。
放水路は発電所から河岸ま
150kV 屋外開閉所は発電所構内の東側に設置される。
発電所の放水位は暫定的に標高 296.0m とする。 これは下流で民間業者が進めているタラビンタ
ン発電所の予定取水位が標高 295.2m であることを考慮したものである。 発電所の水車中心標高
を 293.0m とする。
設計洪水(200 年洪水)時の放水路水位を標高 300m と推定し、発電所構内地
盤面を標高 301m とする。
洪水位については、民間タラビンタン計画の詳細が確定した後の将
来の段階での再検討が必要である。
発電所のレイアウトを付属図面(番号 S-018)に示す。
12.2.9 プロジェクト概要
シマンゴ‐2 水力開発計画の予備設計結果概要を次の一覧表に示す。
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第 12 章
予備設計
シマンゴ‐2発電計画 予備設計概要
Description
1
2
3
4
5
6
7
8
8
9
10
Location
Hydrology
Catchment area
Average annual runoff at intake
95% dependable runoff
Intake Weir
Type
FSL=Weir crest elev.
Height (overflow section)
Active storage volume
Intake & Sand Trap
Intake Type
Sand trap type
Max. discharge diverted
Connection Tunnel
Type
Connection tunnel, diameter x length
Intermediate Pond
Type
FSL
MOL
Water surface area
Gross storage volume
Active storage volume
Drawdown
Headrace Tunnel
Type
Headrace tunnel, diameter x length
Surge Tank
Type
Diameter x Height
Penstock
Type
Steel pipe diameter x length
Length
Pipes after Y-branch
Powerhouse
Type
Building structure
Tailrace
Tail water level
Generating Equipment
Installed capacity (total)
Number of units
Gross head below pond
Net head at max. discharge (at average
pond WL)
Max. plant discharge
Peaking oeration time
Annual energy production
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Unit
Principal Features
North Sumatra Province
km2
m /s
478
25.1
m3/s
9.0
El. m
m
Ungated concrete weir
576.0
10
None
3
3
m /s
m
Horizontal inlet with screen
Double settling basins
38.6
Horse-shoe section, free flow type
D3.9 x 1,570
El. m
El. m
ha
MCM
MCM
m
Natural creek closed by embankment
572.6
567.0
12.0
1.45
0.60
5.6
m
Circular section, presuure flow tunnel
D3.9 x 3,980
m
Vertical cylindrical shaft
D8.5 x 59
m
m
Underground penstock in shaft/tunnel
D3.2 x 615
615
D1.9m x 55 m x 2 nos
El. m
Above-ground type
Reinforced concrete
Open Channel
296.0
MW
nos.
m
90
2
276.6
m
260.3
3
m /s
hr
GWh
12- 9
38.6
5
416
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予備設計
12.3 水門鉄管構造物
水門鉄管構造物には鋼製ゲート、ストップログ、除塵スクリーン、バルブ、水圧鋼管などが含ま
れる。
それらの操作装置、吊り上げ装置、油圧機構、除塵機なども含まれる。
ただし、発電
機器としての水車およびその付属装置や入り口弁は含まれない。
予備設計された水門および鉄管類を以下に列挙する。
寸法、幅 x 高(m)
(1)
6.5 x 3.5
2
7
4.0 x 5.0
2
8.5
4.0 x 5.0
1
8.5
1.5 x 1.5
2
8
5.0 x 3.8
2
3.8
φ0.5
2
5
3.9 x 3.9
1
5
3.9 x 5.4
1
5.4
φ0.4
1
33
φ0.4
1
33
φ0.5
1
33
沈砂池、放流管およびバルブ
形式:鋳鋼スピンドルバルブ
(9)
10
沈砂池、下流端隔離用ストップログ
形式:ロープ巻上スライド式パネル
(8)
1
沈砂池、排砂路制水ゲート
形式:電動スピンドルゲート
(7)
5.0 x 4.0
取水工、入口水路ストップログ
形式:ロープ巻上スライド式パネル
(6)
10
取水工、入口水路制水ゲート
形式:ロープ巻上ローラーゲート
(5)
1
取水工、除塵スクリーン
除塵機付き
(4)
5.0 x 4.0
取水堰、排砂門ストップログ
形式:ロープ巻上スライド式パネル
(3)
作用水圧(m)
取水堰、排砂ゲート
形式:ロープ巻上ローラーゲート
(2)
数量
接続トンネル、入口制水ゲート
形式:ロープ巻上ローラーゲート
(10) 接続トンネル、出口ストップログ
形式:ロープ巻上スライド式パネル
(11) 調整池、底部放流管制御バルブ
形式:油圧駆動鋼製バルブ
(12) 調整池、底部放流管保守用バルブ
形式:油圧駆動鋼製バルブ
(13) 調整池、底部放流管
形式:通廊内敷設鋼管
(14) 水圧鋼管
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予備設計
φ3.2
1
Static 280
φ1.9 - 1.6
2
Static 280
3.5 x 2.0
2
12
形式:コンクリート内埋設鋼管
(15) 発電所、ドラフトチューブストップログ
形式:ロープ巻上スライド式パネル
12.4 電気機器
12.4.1 一般
Simanggo-2 発電所は、中間調整池、流れ込み式、日負荷調整 5 時間ピーク対応可能な発電所
で、基準有効落差 260.34m、使用水量 38.6m3/s、最大出力は 90.6MW である。
発電所内には、単機出力 45.3MW の立軸フランシス水車、発電機容量 49.1MVA の 3 相同期発
電機、圧油装置、圧縮空気装置、給排水装置、並列用遮断器等の開閉装置、制御装置、所内
変圧器、天井クレーン並びに隣接する屋外開閉所に主要変圧器および高圧開閉装置が設置さ
れる。
12.4.2 単機出力および台数
一般的に水車・発電機の最適単機出力は、電力系統への影響、開発投入時期、輸送制限など
により決定するが、より大型の単機出力は経済的にスケールメリットがある。
しかしながら本計画においては下記の項目を勘案の上、決定した。
a.
投入ユニット容量に対する電力系統への影響
b. 輸送ルート・重量制限
c.
製作技術レベル
d. 保守運用の信頼性と柔軟性
e.
乾季と雨季における流量変動
a.項の 投入ユニット容量に対する電力系統への影響については、2010 年現在のスマトラ島の電力
系統容量が 3,600MW であるので、45.3MW×2 台もしくは 90.6MW×1 台共に当該の発電機が事故等
により脱落した場合でも、連係する電力系統に多大な影響を与えることはない。よって投入ユニ
ット容量に対する制限は特にない。
b.項の輸送ルート・重量制限については、電気機器の最重量物は 1 台案の場合の主要変圧器で約
40tと推定される。現状、発電所計画地点の近郊まで既設舗装道路および工事用道路が整備され
る予定であるので、輸送ルート、重量制限についても問題になることはないが、今後の詳細設計
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予備設計
時において橋梁の補強あるいは付け替え工事の必要性について再度調査をする必要がある。
c.項の製作技術レベルに関しても、本計画は一般的な容量であるので、世界の主要電気機器製作
者において 1 台案、2 台案ともに製作可能である。
d.項の保守運用の信頼性と柔軟性に関しては、1 台が停止状態(故障、定期点検)にあってもう 1
台にて運転が可能であるので、2 台案が有利である。
最後の e.項については乾季と雨季の流量の変動が大きいために雨季においては問題にならないが、
乾季には流量が減少するために 1 台案では定格容量の 30%以下での運転が続くことになる。その
結果として水車のキャビテーション、振動の問題が発生する。よって 2 台案が有利である。
上記検討結果から、保守運用の信頼性、柔軟性および乾季と雨季の流量変動を考慮して、単機出
力は 45.3MW、2 台案を採用することとする。
12.4.3 水車
(1)
水車出力
水車出力は定格有効落差 260.34m、定格使用水量 19.30m3/s の条件の基、一台あたりの出力は下記
の通りとなる。
Pt = 9.8 × Hn × Qt × ηt
= 9.8 × 260.34 × 19.30 × 0.92
˙=. 45,300 kW
ここで、
Pt
: 水車定格出力(kW)
Hn : 基準有効落差(m)
Qt : 1台あたりの定格使用水量(m3/s)
ηt
(2)
: 水車効率(%)
水車形式
一般に、水車形式は、落差と水車出力の関係で決められる。本計画の落差と水車出力を考慮して、
立軸フランシス水車とする。
(3)
ランナー材質
ランナー材質は、高耐磨耗材として、13Cr.4Ni ステンレススチールを仕様する。また、フランシ
ス形水車のランナーやウェアーリングの表面には、水質の内容によっては、コーティング(ソフ
トまたはハード)を施す。このコーティング方法は、詳細設計において仕様することとする。
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水車据付レベル
水車中心は、吸出し高さ(Hs)に基づき決められる。Hs はランナーのキャビテーション係数により
決定されるが、キャビテーション係数は水車の適用比速度に関係する。これらの関係を検討して
Hs は約(-)3.22m を得た。従って水車中心は EL:293.00m とする。
(5)
有効落差
有効落差は総落差(274.7m)から管路の摩擦損失等を差引いて得られる。計算の結果、摩擦損失を
含む損失水頭は 14.36m、よって有効落差は 274.7-14.367=260.34m となる。
(6)
水車ランナー・サイズ
水車ランナーの大きさは水車の体格と重量を知るために設計する。解析結果からランナー入口径
約 2m、重量約 5t となる。しかし、実際の製作設計の段階では、水車製作者からの設計値のオフ
ァーを受けることとする。
(7)
定格回転数
フランシス水車の適用比速度は、一般的に、Ns:70~300m-kW である。経験値からの基準有効落
差―比速度の関連を、コンピュータ計算により求めた結果は Ns:102m-kW を得た。
この比速度
-1
を基に定格回転数を求めると 500min となる。
(8)
水車吸気装置
水車ランナー、ドラフトチューブなどへの吸気用パイプシステムの要否は詳細設計時に検討する。
(9)
水圧鉄管と入口弁
水圧鉄管は 1 条で、途中分岐して 2 台の水車に接続される。入口弁は複葉弁(バイプレーン弁)
で、弁の口径は約 1.6m となる。
12.4.4 発電機
発電機の型式は縦軸、3 相交流同期発電機で定格容量は 49.1MVA、90%遅れ力率とする。
(1)
発電機型式
発電機の型式については、回転数および発電機容量から選定されるが、本計画の容量、回転数
(500min-1)を考慮して普通型発電機とする。
(2)
発電機容量
発電機の定格容量は、水車最大出力、力率および発電機効率から計算される。
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Pg = Pt × ηg / p.f (kVA)
= 45,300 × 0.976 / 0.90
˙=. 49,100kVA
ここで、
Pg : 発電機定格容量(kVA)
Pt
: 水車定格出力(kW)
ηg : 発電機効率(%)
p.f : 力率(%)、遅れ
上記より、発電機の定格容量は 49,100kVA とする。
(3)
絶縁種別および冷却方式
発電機の回転子および固定子の巻線は F 種絶縁とし、冷却方式としては、閉鎖風道循環型とし、
水冷熱交換器(エアクーラー)により冷却する。
(4)
発電機仕様
主な発電機の仕様は次のとおりである。
回転方向
発電機上方からみて、半時計方向
定格速度
500min-1
定格容量
49.1MVA
定格力率
0.90
定格電圧
13.2kV
定格周波数
50Hz
励磁方式
ブラシレス励磁方式
12.4.5 その他の機器
(1)
圧油装置
入口弁操作用および調速機用として各号機毎に圧油装置を設置する。装置は圧油ポンプ(常用、
予備)、圧油タンク、集油槽、漏油槽、制御盤などから構成される。
(2)
圧縮空気装置
発電機ブレーキ用、圧油タンク補給用および所内一般用として常用、予備とそれぞれ設置する。
(3)
給排水装置
水車・発電機の各軸受、発電機本体の冷却用、圧油装置の冷却用として給水装置を設置する。取
水はドラフトチューブより給水ポンプにて行われ、ストレーナ、サンドセパレータを経由して各
所へ給水される。
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予備設計
また発電所内の漏水を排出するために、発電所の最下部の排水ピットを設け、排水ポンプにより
漏水を所外へ排出する。
(4)
並列用遮断機
一般に発電機と系統との接続方式には変圧器の低圧側にて接続する低圧同期方式と変圧器の高圧
側にて接続する高圧同期方式があるが、本計画の発電機容量、遮断器製作技術の進歩、所内電源
の確保の容易さを勘案した結果、低圧同期方式とする。
(5)
制御装置
水車、発電機、主要変圧器、補機、送電線、配電盤の運転制御は一人制御方式とし、発電所内に
設置される制御室から制御される。
(6)
所内変圧器
水車、発電機、主要変圧器などの主機の運転に必要な補機の電源、発電所内の照明・換気装置な
どの電源のために所内の電源が必要である。そのために主要変圧器の低圧側に所内用変圧器が接
続され、電源の供給を行う。
(7)
天井クレーン
主巻の吊り上げ荷重は、据付機器の最大重量により選定され、一般的に発電機回転子が最重量機
器になる。
本計画では最大荷重のものとして発電機回転子(約 69t)が想定される。
12.5 屋外開閉所ならびに送電線
12.5.1 屋外開閉所
(1)
主要変圧器
主要変圧器は水車発電機 1 台に対して 1 台が運用上からも望ましいが、近年における変圧器の信
頼性向上および建設費削減を勘案して、水車発電機 2 台に対して主要変圧器を 1 台とする。
設置場所については発電所建屋に隣接した屋外開閉所に設置することとする。主要変圧器の形式
は特別3相式で、輸送制限、効率、据付スペースを考慮して設計される。尚、本計画の輸送重量
は最大 70t(トレーラー重量含む)であり、現地への輸送は可能と見込まれる。
下記に主要変圧器の主な仕様を示す。
– 定格電圧
:1 次 13.2 kV
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12- 15
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
– 定格容量
– 定格周波数
– 設置場所
– 冷却方式
(2)
第 12 章
予備設計
:2 次 150 kV
:1 次 98.2MVA
:2 次 98.2MVA
:50 Hz
:屋外開閉所
:OFAF(送油風冷式)
150kV 屋外開閉機器
150kV 屋外開閉機器は主要変圧器と同じく発電所建屋に隣接する屋外開閉所に設置する。
また屋外開閉機器のタイプについては従来式とガス絶縁開閉装置があるが、設置スペースと建設
費を考慮して、経済的に有利な従来式とする。
150kV 屋外開閉機器は 150kV 母線、断路器、遮断器、保護継電器用および計測用 CT, VT,サポー
ト碍子、架線、屋外鉄溝から構成される。
下図に発電機、変圧器、母線、送電線までを含めた全体の Single Line Diagram を示す。
図 12.5.1
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単線結線図(Simanggo-2)
12- 16
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ファイナルレポート(メイン)
第 12 章
予備設計
12.5.2 送電線
Potential Site
図 12.5.2
a)
Simmango-2 と送電線建設計画との位置関係
適用電圧階級
発電機定格容量、総発電容量から 150kV 以上での系統アクセスが妥当である。
b)
系統アクセスポイント
系統アクセスの検討に際し、最新 RUPTL に示される既存流通設備、及び流通設備計画から系統ア
クセス方法を選定し、以下の観点から優劣を判断した。距離、地形については、相対的な評価を
行い、環境面(森林区分、自然保護区等)、系統運用に関しては、不可となる要因がある場合にのみ
評価する。
表 12.5.1
観点
候補
送電線設計比較(Simanggo-2)
送電線建設懸案
環境面懸案
距離
地形
自然保護
森林区分
住民負担
系統運用
1
GI Dolok Sanggul1
◎
◎
-
○
○
-
2
Inc.(Sidikalang–Tarutung)
△
△
-
○
○
△
3
GI Tele
△
△
-
○
○
-
評価: 良◎→○→△→△△→×不良
1
C.P.への聞き取りにより、RUPTL2010-2019 に記載されている GI Dolok Sanggul とは、Dolok Sanggul 郊外ではな
く、Parlilitan 郊外に位置することを確認した。よって、Parlilitan 周辺へのアクセスを検討した。
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12- 17
2011 年 8 月
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i)
第 12 章
予備設計
送電線建設
上記 3 候補への送電線延伸建設を想定した場合、送電線ルート(最短距離もしくは、地図よ
り大まかに確認できる延伸可能な最短ルート延長)は、GI Dolok Sanggul へ送電線延伸する
方法が最も有効である。他の 2 候補は、共に急峻な山岳部を越えての系統アクセスとなり前
者と比べて工法面、費用面からみてメリットが小さい。
ii) 環境面
GI Parlilitan への送電線ルートは保護林および生産林を通過するが、送電線建設に関して特段
問題がない。Sidikalang –Tarutung 150kV 送電線への分岐接続に関しても途中経路において、
保護林を通過する。
住民負担に関しては、いずれの候補においても部落近傍を通過するため、個人所有用地の買
収、農耕地収用に伴う補償等が多少考えられるものの住民移転等大きな懸案は無いものと想
定される。
iii) 系統運用
GI Golok Sanggul への系統アクセスの場合、RUPTL によれば、今後建設される GI Dodok
Sanggul-Inc.(Tarutung-Sidikalang)送電線は、ACSR240mm2 ×1, 2cct であるため、連系する
PLTMH 総計出力 22.5MW を合わせても適用送電線種の 1cct 熱容量運用限度以内であり、問
題 と な ら な い 。 よ っ て 、 GI Dolok Sanggul - Potential Site 間 の 送 電 線 も 1HAWK(1 ×
ACSR240mm2),2cct とする。保護継電システムとしても特段複雑なシステムは必要とならな
い。
Sidikalang –Tarutung 150kV 送電線への分岐接続に関しては、当該接続回線に関して一定の配
慮が必要である。GI Dolok Sanggul が分岐接続していること、また、GI Tele との電気的距離
との整合をとりながら、保護継電システムの設置、及び整定を行う必要がある。
GI Tele へのアクセスに関しては、GI Dolok Sanggul へのアクセス同様特段の問題はない。
以上を踏まえ、GI Dolok Sanggul への系統アクセスが他の候補と比べて格段に合理的であるため、
本ルートに関してルートゾーンを含む詳細を検討した。
c)
ルートゾーン
下図に Potential Site – GI Dolok Sanggul 間のルートゾーンを示す。ルートゾーンとは、送電線建設
設計における上流設計部分であり、比較的詳細な地図上で送電線建設可能なルートを模索する手
法である。
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12- 18
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第 12 章
予備設計
図 12.5.3 ルートゾーン (Simanggo-2)
i)
送電線・送電鉄塔技術的観点
Potential site と Parlilitan 間にはおよそ 530m 程度の高低差があり、Potential site から山側に向
かって送電線建設が必要である。両地点直線間には 4 つほど尾根が有、いずれも 100m 以上
の起伏である。
ルートソーンの選定においては、両地点、及びその間の地形を鑑み、川沿いの両岸斜面の比
較的傾斜が緩やかな部分(斜面傾斜角 30°以下)及び、上昇・下降(上昇・下降傾斜角 35°
以内/200m)を勘案してゾーンに選定した。
また、送電線建設、及び後の保守の路観点から、既存道路が存在している領域もルートゾー
ンに勘案した。
ii) 環境社会配慮的観点
ルートゾーン選定において自然保護区等の致命的な建設阻害要因は無い。ただし、保護林内
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水力開発マスタープラン調査
12- 19
2011 年 8 月
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第 12 章
予備設計
に位置する Potential Site からの送電線延伸ということより、当該区域における開発面積を最
小限とする必要があり、現場地勢を十分に調査・検討する必要がある。
また、プランテーション等の大規模な耕作地は見当たらないものの、集落が幾つか存在する
ため、土地収用、日照障害等居住地近隣に送電線を建設する場合は一定の配慮が必要である。
また近隣に多少の居住区域があれば、送電線建設後、送電線保守のためのモニターを任せら
れる可能性があるため、居住地区からの距離には検討を要す。
本ゾーン内を総合すると景勝地等もなく、景観的問題は発生しない。
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12- 20
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第 13 章
第13章
施工計画と事業費積算
施工計画と事業費積算
13.1 事業実施計画
シマンゴ-2 水力発電事業(以下“本事業”と言う)は、本マスタープラン調査における枠組みの
中で流れ込み式開発形態のプレ F/S を実施すべきであると提案された。本事業の主要構造物は、
1)取水堰、2)取水口と土砂吐、3)接続トンネル、4)中間調整池と調整池堤、5)導水路
トンネル、6)調圧水槽、7)排水トンネル、8)地下鉄管路、9)発電所、10)放水路、1
1)スイッチヤード、及び12)送電線で構成される。 表 13.1.1 に工事項目を整理した。アクセ
ス道路、準備工、河川切り替え方法なども本章で取り上げた。図 S-100 に提案する仮設備及びア
クセス道路のレイアウトを示す。
表 13.1.1 工事項目
Category
Civil Works
Structure/Equipment
Intake Weir, Intake, Sand Trap, Connection Tunnel, Intermediate Pond and Pond Dike,
Headrace Tunnel, Surge Tank, Drain Tunnel, Underground Penstock Line, Powerhouse,
Tailrace, Switchyard, Transmission Line
Hydro-Mechanical
Gates, Valves, Trash rack, Stoplogs, River Outlet Steel Pipes and Valves, Penstock Pipe,
Works
Draft Tube Gate
Electro-Mechanical
Turbines, Generators, Main Transformers, Control Equipment, Switchgear, Transmission
Works
Line
2011 年を開始年とした本事業の全体実施工程は、図 13.1.1 に示すように提案する。シマンゴ-2
水力発電所の発電開始は、2017 年 11 月で策定する。本事業は、建設工事実施前の準備期間に 3
年間、建設工事実施に 3 年間、合計 6 年間を要すると見込まれる。策定・提案した時期に運転を
開始するためには 2014 年の建設工事着工が望まれる。必要な事業実施項目は、次のように整理さ
れる。
¾
資金調達
¾
F/S 調査と追加現場調査
¾
環境影響評価調査
¾
用地取得、補償及び再定住
¾
コンサルタント調達
¾
入札設計・入札図書作成
¾
入札資格審査、入札、入札評価、落札業者決定
¾
建設工事、施工監理、環境マネジメント
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13-1
2011 年 8 月
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第 13 章
施工計画と事業費積算
事業実施に係る更なる調査及び建設工事実施で必要な資金源として日本 ODA 資金の充当が期待
される。本事業は、インドネシア国電力公社(PLN)が実施機関として責任をもって実施するよ
う、提案する。建設工事は、国際競争入札によって選ばれたコントラクターが実施する。FS 調査、
入札設計、建設工事施工監理のために技術コンサルタントの雇用が予定される。
本体工事の建設期間を短縮し、2017 年 11 月の商業運転を開始する目的で現場内アクセス道路工
事は、本体工事と切り離してインドネシア政府資金を用いて先行実施を計画する。そのコントラ
クターは、インドネシア国内競争入札によって選ぶ計画とする。
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13-2
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 13 章
図 13.1.1
Description
I Preconstruction Activities
1 Pre-feasibility Study
2 Financial arrangement
- Foreign loan nego & agreement
- Indonesia national budget
3 Supplemental survey
4 EIA
5 Land acquisition/re-settlement
6 Publication of approved EIA
7 Procurement of consultant
8 Detailed design & tender documents
Preparation
9 PQ for ICB tender
10 International tender & evaluation
11 Contract award
II Construction, Simanggo-2
1 Site access road by local fund/tender
2 Mobilization/Preparatory works
Unit
Q'ty
-
-
-
-
-
-
-
LS
LS
2010
7
8
9 10 11 12 1
Year 1 (2011)
2
3
4
5
6
7
8
全体実施工程(Simanggo-2)
Year 2 (2012)
9 10 11 12 1
2
3
4
5
6
施工計画と事業費積算
7
8
Year 3 (2013)
9 10 11 12 1
2
3
4
5
6
7
8
Year 4 (2014)
9 10 11 12 1
2
3
4
5
6
7
8
Year 5 (2015)
9 10 11 12 1
2
3
4
5
6
7
8
Year 6 (2016)
9 10 11 12 1
2
3
4
5
6
7
8
Year 7 (2017)
9 10 11 12 1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12
L/A
36 mths
3 Civil works
1) River diversion works
-
LS
2) Intake weir, intake, sand trap
-
LS
flow to left channel
3) Waterway, connection tunnel , horse-shoe, D3.9m
m
1,570
Waterway, connection tunnel , horse-shoe, D3.9m
m
1,570
Waterway, connection tunnel , horse-shoe, D3.9m
m
1,570
Waterway, intemediate pond, water surface area
Work adit-1 for headrace tunnel
ha
12
m
300
Waterway, headrace tunnel, circular, D3.9m
m
300
Waterway, headrace tunnel, circular, D3.9m
m
2,830
Waterway, headrace tunnel, circular, D3.9m
m
2,830
Waterway, headrace tunnel, circular, D3.9m
m
2,830
Waterway, headrace tunnel, circular, D3.9m
m
850
2-heading, excavation: 200 m/mth
Waterway, headrace tunnel, circular, D3.9m
m
850
Arch & wall concrete:300m/mth, invert: 2000 m/mth
Waterway, headrace tunnel, circular, D3.9m
m
850
4) Work adit-2 & drain tunnel under surge tank
5) Surge tank, vertical shaft (D8.5m, H60m)
m
300
-
LS
6) Penstock, inklined shaft & horizontal tunnel (D4.6m)
m
615
Penstock, inklined shaft & horizontal tunnel (D4.6m)
m
615
7) Powerhouse, above ground, RC
-
LS
8) Tailrace channel, open
9) Switchyard
-
LS
-
LS
lot
1
flow to right channel
flow to sand flushing sluice
2-heading, excavation: 120 m/mth
Concrete, arch & wall: 240 m/mth, invert: 1000 m/mth
backfill grout: 800 m/mth
1-heading, excavation: 100 m/mth
1-heading, excavation: 100m/mth
2-heading, excavation: 200 m/mth
Arch & wall concrete: 300m/mth, invert: 2000 m/mth
backfill grout: 1600 m/mth
backfill grout: 1600 m/mth
1-heading, excavation: 100 m/mth
excavation
installation & con. encasement
(Penstock pipe D3.2m)
4 Hydromechanical works
5 Generating equipment
lot
1
6 Transmission line, 150 kV
km
10
-
LS
7 Tests & cmmercial operation
: Wet season
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水力開発マスタープラン調査
OHTC
procurement
installation
13-3
2011 年 8 月
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第 13 章
施工計画と事業費積算
13.2 施工計画と工事工程
13.2.1 施工計画
(1) 施工範囲
プレFSで設計されたシマンゴ‐2 水力発電事業の主要工種とその工事数量を表13.2.1に整理する。
表 13.2.1 主要工種と工事数量(Simanggo-2)
Work item
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
Quantity
Access road
- Access road, new 4m carriage way
: 6.3 km
- Existing road improvement
: 1.2 km
- Bridge
: 4 sets
Preparatory works
: LS
Environmental mitigation works during construction
: LS
Diversion weir, intake and sand trap
- Excavation
: 149,.000 m3
- Concrete, mass
: 8,000 m3
- Concrete, structural
: 19,200 m3
- Foundation grouting, 10mx50 nos.
: 550 m
Connection tunnel (D3.9m, L 1,570 m)
- Excavation, open
: 9,500 m3
- Excavation, underground
: 25,300 m3
- Tunnel support
: LS
- Concrete lining
: 5,500 m3
Intermediate pond (water surface area 12.0ha)
- Excavation for structural foundation
: 148,,000 m3
- Dike embankment, rock fill with blanket
: 327,000 m3
- Foundation seepage cutoff sheetpile
: 560 t
- Slope stabilize horizontal drain holes
: 14,000 m
- Concrete, open structures
: 8,600 m3
Headrace tunnel (D3.9m, L3,980 m), surge tank & drain tunnel (D4.6m, L100m)
- Excavation, open
: 8,600 m3
- Excavation, tunnel
: 87,000 m3
- Excavation, shaft
: 5,100 m3
- Tunnel support
: LS
- Concrete lining
: 32,400 m3
- Consolidation grouting
: 28,500 m
- Work adit, L 300 m
: LS
Penstock line, underground (penstock pipe dia. 3.2m, tunnel dia. 4.6m, L615m)
- Excavation, open, penstock
: 8,600 m3
- Excavation, horizontal tunnel
: 6,900 m3
- Excavation, inclined shaft
: 5,800 m3
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水力開発マスタープラン調査
13-4
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
(9)
(10)
(11)
(12)
第 13 章
- Concrete, encasement
Powerhouse, above ground
- Excavation, open powerhouse
- Earth backfill
- Concrete powerhouse
- Architectural finish & utility
Steel and mechanical works
- Sand flushing gate, 5mx4m, 1 no.
- Sand flushing stoplog, 5mx4mx, 1 no.
- River outlet slide valves, D0.5m, 2 nos.
- Intake trash rack
- Intake gate, 2 nos.
- Intake stoplog, 1 no.
- Sand drain gate, 2 nos.
- Settling basin, end stoplog
- Connection tunnel inlet stoplog gate
- Connection tunnel outlet stoplog
- Pond river outlet steel pipe, D0.5mx100m
- Pond river outlet emergency valve, D0.4m
- Pond river outlet service valve, D0.4m
- Draft tube stoplog, 2 nos.
- Penstock pipe, D3.2m
Generating equipment and switchyard equipment (90 MW)
- Turbines
- Generators
- Control equipment
- Others
Transmission line
- Transmission line, 150 kV
施工計画と事業費積算
: 6,300 m3
: 63,000 m3
: 8,500 m3
: 9,300 m3
: LS
: 30 tons
: 20 tons
: LS
: 16 tons
: 60 tons
: 30 tons
: 6 tons
: 38 tons
: 39 tons
: 32 tons
: 12 tons
: LS
: LS
: 28 tons
: 1,460 tons
: 2 units
: 2 units
: 1 lot
: 1 lot
: 10 km
(2) 現場の状況
既存のアクセスルート
事業対象地域は、北スマトラ州、行政上ハンバンハサンタン地区に位置する。計画地点は、ハン
バンハサンタン地区の首都ドロックサングルの 30km 地点に位置する。下記は、計画地点への主
要アクセスルートである。
¾ Medan -> Tebingtinggi -> Prapat -> Siborongborong -> Doloksanggul -> Parlilitan ->
project site
¾ Medan -> Berastagi -> Sidikalang -> Doloksanggul -> Parlilitan -> project site
地形
シマンゴ川は、標高 1460mのシマンゴヅンギ山と標高 1685.2mのギンジャン山に源を発し、バリ
サン山脈の西傾斜面を流れる。同川は、南西に流れラエギネンダン川に合流してインド洋に注い
でいる。本事業の流域面積は 480 km2 である。
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13-5
2011 年 8 月
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第 13 章
施工計画と事業費積算
気象・水文
年間平均降雨量は 3150mmである。取水堰地点の河川流量は 26.9 m3/sec と見積もられる。日平均
降雨量5mm 以下の日数は 250 日と見積もられる。乾季は年間 2 回に分けられ、8 月~12 月、3 月
~4 月である。平均気温は最高 31oC 、最低 22 oC である。
地質
河川渓谷の露岩状況から判断すると計画地点の地質は、主に半固結な凝灰岩から構成されており、
その凝灰岩は一般的に岩塊状で多少風化、破砕が見られる。
図 S-100 に示すように取水堰近くに位置する原石山1と発電所近くの原石山2は砂岩系でコンク
リート用骨材に適している。中間調整池近くの砂岩系原石山もコンクリート用骨材として期待さ
れる。河床堆積の安山岩系と砂岩系の砂、砂利、玉石もコンクリート用骨材としての使用が期待
できる。
建設工事資源
建設工事に必要な資機材の主な調達先は、下記する地域となる予定である。
Labor force
1) Skilled
2) Semi-skilled
3) Common
: Medan and Jawa
: North Sumatra
: Project site
Materials
1) Cement
2) Reinforced steel bar
3) Shaped steel, H, I
4) Concrete aggregates
5) Fuel and lubricants
: Padang, Medan
: Jawa, Sumatra
: Jawa
: Project site
: Medan
Plant/Equipment 1) Earthmoving equipment
2) Tunneling equipment
3) Concreting
4) Crane
: Medan, Jawa
: Import
: Medan, Jawa
: Medan, Jawa
資機材輸送
海上輸送資機材の荷捌き港は、終日 24 時間稼動中のメダン市ベラワン港となる。ベラワン港はモ
ビルクレーン、大型トレーラ、フォークリフト、その他重量物輸送用機材を有している。資機材
の内陸輸送は、テイビンテインギ、ドロックサングルを経由する公道を利用する。
(3) 年間稼動日数
施工の年間稼動日数は、日曜日、祭日、ハリラヤ休日、降雨休止日(日雨量5mm以上で土工、コ
ンクリート工事は休止)を考慮して次のように予定している。
明かり土工・コンクリート工事
:250日
トンネル工事
:296日
日当たり作業時間は午前 8 時~午後 5 時とし、昼食 1 時間、月曜日~土曜日の週 48 時間で計画す
る。
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水力開発マスタープラン調査
13-6
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 13 章
施工計画と事業費積算
(4) 準備工事
工事用道路
幅員4mの工事用道路を下記計画し、図S-100に示す。これら道路は、インドネシア業者により建
設または改良する計画とする。
Road
AR1 New, between existing road and intake site
AR2 Improve, between existing road and intermediate pond
AR3 New, between existing road and pond dike
AR4 New, between AR3 and headrace tunnel inlet
AR5 New, between AR2 and spoil bank 1 and 2
AR6 New, between existing road and Simanggo river
AR7 New, between AR6 and powerhouse
AR8 New, between AR7 and surge tank
AR9 New, between AR8 and work adit
Bridge
BR1 New, crossing tributary on the AR2
BR2 New, crossing tributary just downstream of the pond dike
BR3 New, crossing the Simanggo river and connect AR6 and AR7
BR4 New, crossing tributary on the AR7
土捨場
掘削工事数量は、約 70 万m3 と見積もられる。掘削土は可能な限りコンクリート骨材、道路敷材、
低地埋め立てなど、有効利用を図る計画とする。余剰土は図 S-100 に示す土捨て場 SB1~SB6 に運
搬捨て土を行う。
ベースキャンプとプラントヤード
シマンゴ計画地点は現場間のアクセスが悪く移動に時間を要することより、図S-100に示すように
取水堰サイトと発電所サイトの2箇所にベースキャンプとプラントヤードを計画する。必要敷地面
積は約2haと見積もられる。
(5) 仮設備
建屋、プラント、試験室、修理工場、倉庫、爆薬保管庫などの仮設備を計画する。
コンクリートプラント
シマンゴ-2計画で必要なコンクリートは、余裕分を含めて総量10万m3と見積もられる。計画地
点近辺で生コンクリート工場が操業していないことより、コントラクターは自家生産設備を用意
する計画とする。プラントの混錬容量は、月間のピーク打設量に合わせて決定する。
骨材プラント
コントラクターはコンクリート骨材を外部業者よりの調達とするか、原石山を開発して自家生産
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水力開発マスタープラン調査
13-7
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 13 章
施工計画と事業費積算
を行うか、判断するものとする。取水堰近くの原石山候補地1と発電所近くの原石山候補地2を
図 S-100 に示す。骨材プラント容量は、ピークコンクリート打設量に合わせて計画する。
水供給システム
トンネル入り口、切羽、プラント、修理工場などで使用する工事用水と事務所や宿舎で必要な飲
料水の水供給システムを計画する。水源は、シマンゴ川及び渓流からの取水を想定する。
電力供給システム
取水堰、中間調整池、作業坑、発電所など計画地点付近には公共電力が未配電である。コントラ
クターは自家発電を行うか、または公共電力線よりの延伸給電か、計画を行うものとする。
圧縮空気供給システム
トンネル掘削は油圧機構式ドリフターで計画することより、工事中に必要な圧縮空気量はさほど
多くはない。圧縮空気が必要な工事場所はエンジン駆動式の移動式空気圧縮機で対応する計画と
する。
換気システム
トンネル掘削で発生する汚濁空気は、作業員の呼気、発破後ガス、及びデイーゼルエンジンの排
出ガスである。掘削ズリの運搬はデイーゼルエンジン駆動のダンプトラックで計画していること
より、トンネル内の最大汚濁源となる。換気システムの設置は必須条件である。次期調査段階に
おいて必要な換気量を算定するものとする。
トンネル内排水システム
トンネル内の湧水・出水・漏水は、下記方法での排水を計画する。
工事場所
Connection tunnel
Headrace tunnel
Powerhouse
Intake
排水方法
Gravity from pond side portal and pump up from
intake side
Gravity from the work adit and surge tank side
tunnel portal, and pump up from the work adit and
pond side tunnel portal
By pumping-up
By pumping-up
通信システム
内線・外線電話、モバイル電話、無線機などの通信方法を計画する。
(6) 主要土木工事
取水堰・取水口・沈砂池
本工事主要工種の技術的特長とその工事数量は次のとおりである。
- Type of weir
Un-gated concrete weir
- Type of intake
Screened horizontal inlet
- Type of sand trap
Double settling basins
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水力開発マスタープラン調査
13-8
2011 年 8 月
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第 13 章
- Height, overflow section
- Foundation excavation
10 m
149,000 m3
- Mass concrete
8,000 m3
- Concrete, structural
19,200 m3
- Foundation grouting, 10mx 55 nos.
550 m
- River diversion works
LS
- Hydro-mechanical works
1 lot
施工計画と事業費積算
取水堰、取水口、沈砂池ほか付属構造物工事は、シマンゴ川に仮締切り堤を儲け、河川の流れを
3 段階に分けて切り替えて明かり工事で実施する下記の施工方法を計画する。
1st stage: 河川内に仮締切り堤を儲けてシマンゴ川の流れを左岸側に構築した水路に流しながら
右岸側構造物を建設する。右岸取水堰の一部は、第2段階工事中の水路として利用でき
るような計画とし、一部マスコンクリートは第 3 段階で打設する。
2nd stage: 同様に河川内に仮締切り堤を儲けてシマンゴ川の流れを右岸側に構築した水路に流し
ながら左岸側構造物を建設する。
3rd stage: 河川の流れを構築した土砂吐ゲートと水路に切り替えて、右岸側マスコンクリート残り
部分を打設する。
取水堰及び関連構造物工事は、リッパ付き 21 トンブルドーザ、1.2m3バックホウ、15 トンダンプ
トラックなどの施工機械で施工する。岩掘削用に 800kg級ジャイアントブレーカの投入を予定
する。コンクリート打設は、シュートまたは 3m3 コンクリートバケット付き 30 トンクローラク
レーンでの施工を計画する。コンクリート運搬は 3 m3 アジテータトラックを計画する。第 1 段階
~第 3 段階工事は、乾季を挟んで約 33 ヶ月工期で計画する。
接続トンネル
本工事主要工種の技術的特長とその工事数量は次のとおりである:
- Type
Free flow tunnel, horse-shoe
- Tunnel diameter
D3.9 m
- Length of tunnel
1,570 m
- Excavation, tunnel
25,300 m3
- Tunnel lining concrete
5,500 m3
本接続トンネルは、上・下流方向から2切羽、全断面、穿孔、発破を繰り返す在来方式での施工
を計画する。地質状況にあわせて、上・下部ベンチカット方式も一定区間での採用を予定する。
地質状況の把握と地下水予測のためにパイロット孔の穿孔を予定する。作業坑は計画しない。
掘削は、上向き方向と下向き方向の2切羽でドリルジャンボでの施工を計画する。各切羽の月間
標準進捗率は、60mで計画する。トンネル支保工に鋼支保、吹き付け工、金網工、ロックボルト、
フォアポーリングの施工を予定する。予期せぬ出水に備えて排水設備を設置する。
全線掘削貫通後にトンネルのコンクリート巻きたて施工を行う。スチールスライデイング型枠を
用いて月間進捗率は、アーチ部と側壁部で 120m、インバート 500mで計画する。コンクリートの
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13-9
2011 年 8 月
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施工計画と事業費積算
巻きたて後、バックフィルグラウトを実施する。
中間調整池と盛土堤
本工事主要工種の技術的特長とその工事数量は次のとおりである:
- Type of pond
Natural creek
- Water surface area
12.0 ha
- Gross storage volume
1.45 MCM
- Excavation, structural foundation
148,000 m3
- Dike embankment, rockfill with blanket
327,000 m3
- Foundation seepage cutoff sheetpiles
560 t
- Slope stabilize horizontal drain holes
14,000 m
- Concrete, open structures
8,600 m3
盛土堤建設が本工種の主要工事である。堤の盛り立て工事数量は、33 万m3 と計算された。盛り
立て材料は原石山や河床材料を用いる予定でああるが、更なる材料調査が望まれる。盛り立て工
事は、12 トンブルドーザ、0.6m3 バックホウ、1.5m3 積込機、15 トンダンプトラック、10-20
トン締固機など、標準的施工機械での施工を計画する。カットオフ施工シートパイル打込みは、
60kW級振動ハンマーでの施工を計画する。コンクリート工は堤の盛り立て工事と平行作業とし、
3m3 アジテータトラックやその他のコンクリート機械を用いて2~3作業班の編成で施工する。
大量盛り立て工の標準進捗率は、時間当たり 130m3 とし、20 ヶ月工期で計画する。
導水路・調圧水槽・排水トンネル
本工事主要工種の技術的特長とその工事数量は次のとおりである。
- Type of headrace tunnel
Pressure flow tunnel, circular
- Headrace tunnel diameter and length
D3.9 m, L3,980 m
- Type of surge tank, diameter & height
Vertical shaft, D8.5 m, H60 m
- Type of drain tunnel
Horse shoe
- Drain tunnel diameter and length
D4.6 m, L100 m
- Excavation, open
8,600 m3
3
- Excavation, tunnel
87,000 m
- Rock support
LS
- Excavation, shaft
5,100 m3
- Tunnel lining concrete
32,400 m3
- Consolidation grouting
28,500 m
(導水路)
導水路トンネル施工は、全線で全断面、穿孔、発破を繰り返す在来方式での施工を計画する。地
質状況にあわせて、上・下部ベンチカット方式も一定区間での採用を予定する。地質状況の把握
と地下水予測のためにパイロット孔の穿孔を予定する。
施工は 2 箇所(作業坑1と作業坑 2、図 S-100 参照)に作業坑を設け、下記する施工方法と工程で
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第 13 章
施工計画と事業費積算
の実施を計画する。
1st step: 下記 3 箇所でトンネル掘削平行作業
1) 導水路トンネル入り口より下向き方向
2) 全長 300mの作業坑1
3) 全長 300mの調圧水槽側作業坑 2
2nd step: 作業坑 2 から分岐する排水トンネル掘削
3rd step: 導水路トンネルの下記4切羽で掘削続行
1) 導水路トンネル入り口より下向き方向、1,415 m 長
2) 作業坑1から上向き方向、1,415 m 長
3) 作業坑1から下向き方向、 425 m 長
4) 作業坑2から上向き方向、 425 m 長
各切羽の月間標準進捗率は、100mで計画する。長さ 300mの作業坑1と 2 は、3 ヶ月工期で計画
する。長さ 3,980 m の導水路トンネルは、4 切羽でのアタックを計画し、19 ヶ月工期を予定する。
第三段階のトンネル工事は 4 台のドリルジャンボが投入される。トンネル支保工に吹き付け工、
金網工、ロックボルト、フォアポーリングの施工を予定する。予期せぬ出水に備えて排水設備を
設置する。トンネルの段階施工を下記順序で計画する。
発破孔穿孔
2ブーム油圧式ホイールジャンボ穿孔
爆薬装填
装結線は発破士3名で行う。爆薬量は次期地質調査後に算定する。
発破と換気
トンネルジャンボの退避後に発破を行う。続いて換気を行う。
ズリ出し
換気後、ローダとダンプトラックでズリ出しを行う。トンネル幅 4.6 mである。坑内で
のダンプトラック走行に支障がないように切広げ部を設ける予定である。
吹き付け
ズリ出し後、スチールファイバ強化コンクリートをアーチ部と側壁部に吹き付け施工を
行う。
ロックボルト
あらかじめ決められた間隔でロックボルトを施工する。フルボンドロックボルトとセメ
ントモルタルで施工予定である。穿孔はホイールジャンボを計画する。
日当たり進捗率は4.0mで計画し、1回当り1.5m穿孔長、3回の発破を計画する。トンネル内排水は
重力式及びポンプ排水で計画する。
全線掘削貫通後にトンネルのコンクリート巻き立てを行う。巻き立て厚は 25cmの予定である。
アーチ部と側壁部を先行後、インバート部を施工する。コンクリート巻き立て作業はトンネル中
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施工計画と事業費積算
心部より外側に向けて施工する。スチールスライデイング型枠を採用して月間巻き立て進捗率は
アーチ部と側壁部 150m、インバート部 1,000mで計画する。
コンクリートは4.5 m³ トラックミキサで運搬、時間打設量60 m³のコンクリートポンプを用いた打
設を計画する。打設後、岩盤とコンクリートライニングの隙間にバックフィルモルタルを施工す
る。
(調圧水槽と排水トンネル)
調圧水槽の施工に先んじて作業坑2より分岐する排水トンネルを施工する。施工方法は接続トン
ネルの施工に準じる。垂直高さ 60 m の調圧水槽は排水トンネル貫通後に施工する。調圧水槽底
部よりライズクライマーを使用してパイロット孔を施工、その後、水槽部の切り広げ施工を行う。
切り広げは、小型掘削機を用いる。切り広げ掘削ズリはパイロット孔より落下させ、排水トンネ
ル経由で土捨て場に運搬する。シャフト掘削に続いてコンクリート工を実施する。
鉄管路
本工事主要工種の技術的特長とその工事数量は次のとおりである:
- Type of penstock
Underground penstock
- Steel pipe diameter
D3.2 m
- Length of penstock
615 m
- Diameter of inclined and horizontal tunnel
4.6 m
- Pipes after Y-branch
D1.9 m x 55 m x 2 nos.
- Excavation, open, penstock
2,500 m3
- Excavation, horizontal tunnel
6,900 m3
- Excavation, inclined shaft
5,800 m3
- Concrete, encasement
6,300 m3
地下式鉄管路水平部 195m長の掘削は、発電所側より上流側に向けて導水路施工に準じて施工す
る。水平部貫通後に傾斜シャフト部 315mを施工する。傾斜部施工は、先ずライズクライマーと
発破方式でパイロット抗を施工する。パイロット坑の貫通後に傾斜シャフト部の切り広げ施工を
行う。切り広げ施工掘削ズリは、パイロット坑より落下させ、水平部トンネルを経て土捨て場に
運搬する。切り広げ施工は小型機械を使用予定である。安全施工のためにウインチを計画する。
発電所
本工事主要工種の技術的特長とその工事数量は次のとおりである:
- Type of powerhouse
- Building structure
- Tailrace
- Excavation, open powerhouse
- Earth backfill
- Concrete, powerhouse
- Architectural finish & utility
Above-ground type
Reinforced concrete
open channel
63,000 m3
8,500 m3
9,300 m3
LS
地上式発電所の施工は、16 t ブルドーザ, 0.6 m3 掘削機, 15 t ダンプトラック, 3 m3 アジテータト
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施工計画と事業費積算
ラック, 60 m3/hr コンクリートポンプ車やその他標準的機械を計画する。最大吊り上げ容量 50 ト
ンの天井走行クレーンは、2016 年 4 月までに設置を終了させ、発電機器の据付作業に支障を来た
さないような計画とする。2 基のタービンとその他機器類は主に天井走行クレーンを用いて据付
けを行う。シマンゴ‐2 発電所は、試験運転後の 2017 年 11 月初めに商業運転を開始する計画と
する。
(7) 水力機械工事
本工事主要工種の技術的特長とその工事数量は次のとおりである。
1) Sand flushing gate (SFG), 5mx4m
2) Sand flushing stoplog, 5mx4m
3) River outlet valves, D0.5m slide valve
4) Intake trashrack
5) Intake gate
6) Intake stoplog
7) Sand drain gate
8) Settling basin, end stoplog
9) Connection tunnel inlet stoplog gate
10) Connection tunnel outlet stoplog
11) Pond river outlet steel pipe, D0.5mx100 m
12) Pond river outlet emergency valve, D0.4m
13) Pond river outlet service valve, D0.4m
14) Draft tube stoplog
15) Steel penstock, D3.2 m
1 set
1 set
2 sets
1 set
2 sets
1 set
2 sets
1 set
1 set
1 set
1 lot
1 lot
1 lot
2 sets
1 lane
30 tons
20 tons
LS
16 tons
60 tons
30 tons
6 tons
38 tons
39 tons
32tons
12 tons
LS
LS
28 tons
1,460 tons
図 13.1.1 に水力機械工事の工程表を示す。本工程表は、2014 年 10 月の工事契約締結と設計、製
作、輸送、及び据付けの各期間を想定している。鉄管路の設計、製作及び輸送期間は合計 18 ヶ月、
据付け期間は 15 ヶ月を見込んでいる。据付け工事は、トラッククレーン、クローラクレーン、ダ
ンプトラック、ウインチなどの施工機械と人力での実施を計画する。
(8) 電気機械工事
本工事主要工種の技術的特長とその工事数量は次のとおりである:
- Turbine , Horizontal Francis type
- Generator, 3-phase, synchronous
- Control equipment
- Others
2 sets
2 sets
1 lot
1 lot
図 13.1.1 に電気機械工事の工程表を示す。本工程表は、2014 年 10 月の工事契約締結と、設計、
製作、輸送及び据付けの各期間を想定している。電気機械の設計、製作及び輸送期間は合計 18 ヶ
月、据付け期間は 15 ヶ月を見込んでいる。電気機械工事の最大重量物は、約 120 トンのトランス
であり、注意深い輸送と据付工事の実施が求められる。タービン及び補機類の据付け工事は、主
に天井走行クレーン及び人力での施工を計画する。据付け及び試運転は合計 17 ヶ月で計画する。
本発電所の運転開始時期は、2017 年 11 月で計画する。
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第 13 章
施工計画と事業費積算
(9) 送電線工事
容量 150kV、総長 10kmの送電線を建設して、取水堰上流左岸に PLN が建設予定の変電所に接続
する。送電線用鉄塔は基礎部分 100m2、350m間隔で建設予定である。
13.2.2 建設工事工程
(1) 建設順所
橋梁 2 基を含む合計 7.5km のアクセス道路建設は、本体工事に先行してインドネシア国予算を用
いてインドネシア業者による施工を提案する。アクセス道路工事は、2014 年 5 月に着工し 17 ヶ
月工期での竣工を計画する。導水路工事の着工予定日を確実にするため関連アクセス道路工事に
優先度を与えて施工を実施する。
土木工事は、取水堰、接続トンネル、中間調整池、導水路、調圧水槽、鉄管路、及び発電所の各
工区で同時進行的に実施する計画とする。
(2) 工事工程
シマンゴ発電事業の実施総工期は、6 年間で計画する。建設工事期間は 3 年間とし、工事着手前
の 3 年間は F/S 調査、環境影響調査、入札設計、及びその他の事前準備期間として計画する。 建
設工事期間は 36 ヶ月、2014 年 11 月着工、2017 年 11 月の運転開始を計画する。工事のクリティ
カルパスは、トンネル長 3,980mの導水路工事期間 33 ヶ月と考えられ、各工区の標準進捗率と工
期は次のように予定している。
Work item
Work period
Monthly progress
Main tunnel, 3,980 m, excavation
19.0 months
100 m/month/heading
Main tunnel, 3,980 m, arch & wall concrete
12.0 month
150 m/month/party
Main tunnel, 3,980 m, backfill grout
2.0 months
1,600 m/month/party
13.3 予備的事業費積算
13.3.1 積算の前提条件
Simanggo-2 水力発電事業の積算は下記する前提条件と仮定のもとに実施している。
„
積算基準年:2010 年
„ インドネシアの会計年度:1 月~12 月
„ 為替交換レート: US$ 1.0 = Rp. 9,000.0 = JPY 82.0
„ 下記項目について外貨分と内貨分に分けて積算
¾
付加価値税を含む建設費
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第 13 章
¾
用地買収費、補償費及び移転費用
¾
実施機関の総務・管理費
¾
技術経費
¾
価格上昇および物理的変更に係る予備費
施工計画と事業費積算
„ 建設費は、環境モニタリング、汚水処理費、塵埃・騒音対策費、森林使用料、植樹生産
物補償費、その他建設工事期間中に環境に関して発生が予想されるネガテイブな事象に
対応するための費用を含む。
„ 環境影響予測に係る費用は人月ベース、エンジニアリング費で積算。
„ 用地買収・補償費は、移転計画策定費用とそのモニタリング費用を含む。
„ 積算結果は外貨分 US$, 内貨分 Rp.に分けて表示。
„ 土木工事で採用した施工単価は、インドネシア国で最近実施された、または実施中の他
水力発電事業で採用されている施工単価や東南アジアの水力発電事業施工単価などを
参考にして積算。
„
水力機械工事と電気機械工事のコストは、国際競争入札や類似事業のコストを参考にし
て積算。
„ 請負業者の間接費と利益は施工単価に含めて積算。
„ インドネシア国付加価値税 10%は、内貨分に含めて積算。
„ 用地買収・移転費用は、インドネシア国で 2009 年実施された IPP 事業やその他資料を参
考にして積算。
„
実施機関の総務・管理等費用は、付加価値税を除いた直接工事費の 5%で積算。
„
エンジニアリング費は、人月ベースで積算。
„
物価上昇率は、外貨分年間 1.3%、内貨分年間 5.0%で積算。
„
物理的予備費は、全コスト項目の 10%で積算。
„
積算結果は、外貨分 38%、内貨分 62%。
„
年間支出計画は積算事業費ならびに事業工程に基づき作成。
13.3.2 施工単価
Simanggo-2 水力発電事業の積算で採用した施工単価を表 13.3.1 の金額入り数量表に示す。
13.3.3 事業費
Sinmanggo-2 水力発電事業の積算結果を表 13.3.2 に、年支出計画を表 13.3.3 にそれぞれ示した。
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第 13 章
表 13.3.1
No.
Construction Work Items
I CIVIL WORKS
I.1 Diversion Weir, Intake and Sand Trap
1) Excavation, all classes
2) Earth backfill
3) Concrete, mass
4) Concrete, structure w/form
5) Re-bar
6) Foundation grouting (10mx55nos.)
7) Miscellaneous, 15% of 1) to 6)
8) River diversion works, 20% of 1) to 7)
Subtotal I.1
I.2 Connection Tunnel , free flow (D3.9m, L1,570m)
1) Open excavation, all classes
金額入り数量表 (Simanggo-2)
Unit
Qquantity
m3
m
3
m
149,000
19,000
8,000
m3
t
m
-
19,200
1,250
550
LS
LS
3
施工計画と事業費積算
US$ 1.0 =
9,000 Rp.
5 hr peak
kW
90,000
Unit Rates, Pre-FS2011
Amount, Pre-FS2011
Total, FC+LC
FC (US$)
LC (Rp.)
Total (US$) FC (US$)
LC (Rp.)
(US$ mil.)
3.6
4.0
30.0
30.0
6
30.0
27,060
16,280
630,000
1,080,000
15,828,792
630,000
6.6
5.8
100.0
150.0
1,764.8
100.0
536,400
76,000
240,000
576,000
7,500
16,500
0
485,464
1,937,864
4,031,940,000
309,320,000
5,040,000,000
20,736,000,000
19,785,990,000
346,500,000
9,498,202,500
10,194,737,350
69,942,689,850
0.98
0.11
0.80
2.88
2.21
0.06
1.06
1.62
9.71
m
9,500
3.6
27,060
6.6
34,200
257,070,000
0.06
Excavation, underground
Rock support, 20% of 2)
Tunnel support steel ribs (H100@750)
Concrete open structures
6) Concrete lining
7) Re-bar
8) Miscellaneous, 20% of 1) to 7)
Subtotal I.2
I.3 Intemediate pond (Water surface area 12 ha)
1) Excavation, structural foundation
m3
t
3
m
m3
t
-
25,300
LS
470
1,100
5,500
180
LS
22.6
813,600
113.0
800.0
30.0
51.0
6
28,800,000
1,080,000
1,071,000
15,828,792
4,000.0
150.0
170.0
1,764.8
571,780
400,246
376,000
33,000
280,500
1,080
0
1,696,806
20,584,080,000
1,543,806,000
13,536,000,000
1,188,000,000
5,890,500,000
2,849,182,560
12,223,978,512
58,072,617,072
2.86
0.57
1.88
0.17
0.94
0.32
1.36
8.15
m3
148,000
3.6
27,060
6.6
532,800
4,004,880,000
0.98
2) Dike embankment, rockfill with blanket
3) Foundation seepage cutoff sheetpile
4) Slope stabilize horizontal drain holes
5) Concrete, open structure
6) Re-bar
7) Miscellaneous, 15% of 1) to 6)
Subtotal I.3
I.4 Headrace Tunnel (D3.9m, L3,980m),
Work Adit (L300mx2) & Surge Tank (D8.5m)
1) Excavation, open
m
t
m
3
m
t
-
3
327,000
560
14,000
8,600
470
LS
1.1
700.0
7.0
30.0
6
91,065
25,200,000
567,000
1,080,000
15,828,792
11.2
3,500.0
70.0
150.0
1,764.8
359,700
392,000
98,000
258,000
2,820
0
1,643,320
29,778,255,000
14,112,000,000
7,938,000,000
9,288,000,000
7,439,532,240
13,102,582,086
85,663,249,326
3.67
1.96
0.98
1.29
0.83
1.46
11.16
0.06
2)
3)
4)
5)
2)
3)
4)
5)
m3
8,600
3.6
27,060
6.6
30,960
232,716,000
Excavation, underground
m
87,000
22.6
813,600
113.0
1,966,200
70,783,200,000
9.83
Excavation, shaft
Rock support, 20% of 2)+3)
Concrete, open structures
m3
-
5,100
LS
51.0
1,071,000
170.0
260,100
1,497,720
75,000
5,462,100,000
5,776,920,000
2,700,000,000
0.87
2.14
0.38
1,652,400
6,480
384,750
0
5,873,610
34,700,400,000
17,095,095,360
8,079,750,000
39,538,534,272
184,368,715,632
5.51
1.91
1.28
4.39
26.36
3
m3
2,500
30.0
1,080,000
150.0
3
32,400
1,080
28,500
LS
51.0
6
13.5
1,071,000
15,828,792
283,500
170.0
1,764.8
45.0
m
3
8,600
3.6
27,060
6.6
30,960
232,716,000
0.06
m3
6,900
22.6
813,600
113.0
155,940
5,613,840,000
0.78
m3
5,800
51.0
1,071,000
170.0
295,800
6,211,800,000
0.99
m
t
3
6,300
160
40.0
6
1,080,000
15,828,792
160.0
1,764.8
252,000
960
0
735,660
6,804,000,000
2,532,606,720
5,603,180,544
26,998,143,264
1.01
0.28
0.62
3.74
m3
6) Concrete lining
7) Re-bar
8) Consolidation grouting
9) Miscellaneous, 20% of 1) to 8)
Subtotal I.4
I.5 Penstock Line, underground (L615m)
1) Excavation, open penstock
2) Excavation, horizontal tunnel
m
t
m
-
3) Excavation, inclined shaft
4) Concrete, encasement
5) Re-bar
6) Miscellaneous, 20% of 1) to 5)
Subtotal I.5
I.6 Powerhouse, above ground
1) Excavation, open powerhouse
2) Earth backfill
3) Concrete powerhouse
4) Re-bar
5) Architectural finish & utility, 25% of PH
6) Miscellaneous, 15% of 1) to 5)
Subtotal I.6
Subtotal I.1 to I.6
I.7 Environmental mitigation cost during
Construction, 1% of Subtotal I.1 to I.6
Subtotal I.7
Subtotal I (I.1 to I.7)
II STEEL & HYDRO-MECHANICAL WORKS
1) Sand flushing gate, 5mx4m, 1no.
2) Sand flushing stoplog, 5mx4m, 1 no.
3) River outlet slide valves, D0.5m, 2 nos.
4) Intake trashrack
5) Intake gate, 2 nos.
6) Intake stoplog, 1 no.
7) Sand drain gate, 2 nos.
8) Settling basin, end stoplog
9) Connection tunnel inlet stoplog gate
10) Connection tunnel outlet stoplog
11) Pond river outlet steel pipe, D0.5mx100m
12) Pond river outlet emergency valve, D0.4m
13) Pond river outlet service valve, D0.4m
14) Draft tube stoplog, 2 nos.
15) Penstock pipe, D3.2m
Subtotal II
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
63,000
3.6
27,060
6.6
226,800
1,704,780,000
0.42
m
3
8,500
4.0
16,280
5.8
34,000
138,380,000
0.05
m3
t
-
9,300
650
LS
30.0
6
1,080,000
15,828,792
150.0
31.1
-
LS
279,000
3,900
0
0
543,700
12,430,960
124,310
10,044,000,000
10,288,714,800
6,767,293,700
5,075,470,275
34,018,638,775
459,064,053,919
4,590,640,539
1.40
1.15
0.75
0.56
4.32
63.44
0.63
124,310
12,555,269
4,590,640,539
463,654,694,458
0.63
64.07
147,000
84,000
42,000
56,000
294,000
126,000
25,200
159,600
191,100
134,400
50,400
35,000
35,000
117,600
6,132,000
7,629,300
567,000,000
324,000,000
162,000,000
216,000,000
1,134,000,000
486,000,000
97,200,000
615,600,000
737,100,000
518,400,000
194,400,000
135,000,000
135,000,000
453,600,000
23,652,000,000
29,427,300,000
0.21
0.12
0.06
0.08
0.42
0.18
0.04
0.23
0.27
0.19
0.07
0.05
0.05
0.17
8.76
10.90
t
t
t
t
t
t
t
t
t
t
t
t
30
20
LS
16
60
30
6
38
39
32
12
LS
LS
28
1,460
4,900.0
4,200.0
18,900,000
16,200,000
7,000.0
6,000.0
3,500.0
4,900.0
4,200.0
4,200.0
4,200.0
4,900.0
4,200.0
4,200.0
13,500,000
18,900,000
16,200,000
16,200,000
16,200,000
18,900,000
16,200,000
16,200,000
5,000.0
7,000.0
6,000.0
6,000.0
6,000.0
7,000.0
6,000.0
6,000.0
4,200.0
4,200.0
16,200,000
16,200,000
6,000.0
6,000.0
13-16
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 13 章
III GENERATING EQUIPMENT
1 Turbine
2 Generator
3 Control equipment
4 Others
Subtotal III
IV TRANSMISSION LINE
1 Transmission line, 150 kV
Subtotal IV
Subtotal, I to IV
V PREPARATORY WORKS
(10% of Subtotal I to IV)
Subtotal V
VI SITE ACCESS
1 Access roads
(1) AR1, new, existing road and intake
(2) AR2, improve, existing road - pond
(3) AR3, new, existing road - pond dike
(4) AR4, new, AR3 - headrace tunnel inlet
(5) AR5, new, AR2 - spoil bank 1 and 2
(6) AR6, new, existing road - Simanggo river
(7) AR7, new, AR6 - powerhouse
(8) AR8, new, AR7 - surge tank
(9) AR9, new, AR8 - work adit 1
2 Bridge
(1) BR1, new & permanent near intake site
(2) BR2, new & permanent near pond
(3) BR3, new & permanent cross Simanggo R.
(4) BR4, new & permanent near PS site
Subtotal VI
TOTAL, I to VI
%
lot
lot
lot
lot
1
1
1
1
km
10
-
LS
123,750,000
55,000.0
12,960,000
10,080,000
10,080,000
7,290,000
40,410,000
12,960,000,000
10,080,000,000
10,080,000,000
7,290,000,000
40,410,000,000
14.40
11.20
11.20
8.10
44.90
412,500
412,500
61,007,069
6,100,707
1,237,500,000
1,237,500,000
534,729,494,458
53,472,949,446
0.55
0.55
120.42
12.04
6,100,707
53,472,949,446
12.04
24,840,000,000
720,000,000
2,160,000,000
3,600,000,000
2,880,000,000
1,800,000,000
1,440,000,000
4,680,000,000
6,480,000,000
1,080,000,000
18,900,000,000
4,050,000,000
2.76
0.08
0.24
0.40
0.32
0.20
0.16
0.52
0.72
0.12
2.10
0.45
km
km
km
km
km
km
km
km
km
km
7.5
0.2
1.2
1.0
0.8
0.5
0.4
1.3
1.8
0.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
3,600,000,000
1,800,000,000
3,600,000,000
3,600,000,000
3,600,000,000
3,600,000,000
3,600,000,000
3,600,000,000
3,600,000,000
400,000.0
200,000.0
400,000.0
400,000.0
400,000.0
400,000.0
400,000.0
400,000.0
400,000.0
m2
300
0.0
13,500,000
1,500.0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
m
2
300
0.0
13,500,000
1,500.0
0
4,050,000,000
0.45
m2
500
0.0
13,500,000
1,500.0
0
6,750,000,000
0.75
m2
300
0.0
13,500,000
1,500.0
0
0
67,107,776
49
4,050,000,000
43,740,000,000
631,942,443,904
51
0.45
4.86
137.32
表 13.3.2
Item
Project Cost Items
No.
I Construction cost
1 Preparatory works
2 Civil works
3 Hydro-mechanical works
4 Generating equipment
5 Transmission line
6 Site access roads
Subtotal-1
Value Added Tax (PPn)
Subtotal-2
II Land acquisition & resettlement cost
III Administration of executing agency
IV Engineering services cost
Subtotal-3
V Price contingency
Subtotal-4
VI Physical contingency
Grand total
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
41,250
施工計画と事業費積算
事業費 (Simanggo-2)
FC (US$)
Cost total
LC (Rp.)
6,100,707
53,472,949,446
12,555,269
463,654,694,458
7,629,300
29,427,300,000
40,410,000
40,410,000,000
412,500
1,237,500,000
0
43,740,000,000
67,107,776
631,942,443,904
0
123,591,242,978
67,107,776
755,533,686,882
44,000
16,059,800,000
0
61,795,621,489
2,885,000
5,690,000,000
70,036,776
839,079,108,371
5,228,386
226,559,879,889
75,265,162 1,065,638,988,260
7,003,678
83,907,910,837
82,268,840 1,149,546,899,097
13-17
Total, FC+LC
Million US$
12.0
64.1
10.9
44.9
0.6
4.9
137.3
13.7
151.1
1.8
6.9
3.5
163.3
30.4
193.7
16.3
210.0
2011 年 8 月
ファイナルレポート(メイン)
第 13 章
表 13.3.3
Item
No.
I
FC portion
Construction Cost
II Land Acquisition & Resettlement Cost
III Administration of Executing Agency
IV Engineering Services Cost
Sub Total - 1
Price Contingency <1
(Base year 2013 of L/A)
Sub Total - 2
VI Physical Contingency <2
Total
LC portion
I Construction Cost
V
II
% p/a
=
1.3
1
<1
<2
Year 3
2014
Year 4
2015
Year 5
2016
Year 6
2017
0
3,013,243
9,200,380
30,246,798
24,647,356
44,000
0
2,885,000
0
0
419,000
35,200
0
199,500
8,800
0
668,100
0
0
599,400
0
0
599,400
0
0
399,600
70,036,776
5,228,386
419,000
5,992
234,700
6,756
3,690,143
160,374
9,799,780
571,573
30,846,198
2,263,597
25,046,956
2,220,095
75,265,162
7,003,678
82,268,840
424,992
41,900
466,892
241,456
23,470
264,926
3,850,517
369,014
4,219,531
10,371,353
979,978
11,351,331
33,109,794
3,084,620
36,194,414
27,267,051
2,504,696
29,771,746
0
0 75,635,078,377 245,953,632,931 259,761,967,775
0
0 10,275,426,112 32,875,705,330 53,198,314,654
0 12,847,840,000
3,211,960,000
0
0
50,591,764,821
27,241,796,881
0
61,795,621,489
0
0
5,137,713,056
16,437,852,665
26,599,157,327
13,620,898,441
5,690,000,000
600,000,000
205,000,000
1,141,000,000
1,404,000,000
1,404,000,000
936,000,000
95,401,177,545 296,671,190,926 340,963,439,756
16,541,371,672 70,327,945,423 103,622,103,080
92,390,460,143
34,563,752,003
633,000,000 14,524,547,710 111,942,549,217 366,999,136,349 444,585,542,837
60,000,000 1,305,284,000
9,540,117,755 29,667,119,093 34,096,343,976
693,000,000 15,829,831,710 121,482,666,971 396,666,255,442 478,681,886,812
0.5
2.0
17.7
55.4
89.4
126,954,212,146
9,239,046,014
136,193,258,161
44.9
631,942,443,904
123,591,242,978
16,059,800,000
IV Engineering Services Cost
Notes
Year 2
2013
0
III Administration of Executing Agency
Sub Total - 1
Price Contingency <1
% p/a
(Base year 2013 of L/A)
=
Sub Total - 2
VI Physical Contingency <2
Total
Total FC+LC equivalent US$ mil.
Year 1
2012
67,107,776
Land Acquisition & Resettlement Cost
V
年支出計画 (Simanggo-2)
Cost Total (mil.)
FC (US$)
LC (Rp)
Disbursement items
施工計画と事業費積算
839,079,108,371
226,559,879,889
5.0
1
1,065,638,988,259
83,907,910,837
1,149,546,899,096
210.0
600,000,000 13,052,840,000
33,000,000 1,471,707,710
1.3% for FC and 5.0% for LC per annum
10% of subtotal - 2
JICA インドネシア国
水力開発マスタープラン調査
13-18
2011 年 8 月
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