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九州工業大学学術機関リポジトリ Title Author(s) Issue Date URL 人名の由来と意味解釈 (二) 中村, 春巳 1984-03-31T00:00:00Z http://hdl.handle.net/10228/3467 Rights Kyushu Institute of Technology Academic Repository 69 人名の由来と意味解釈(二) The Origins and Meanings of Favorite English Names (昭和58年11月30日 受理) 人文教室中村春巳 Elizabeth (女) 元来クリスチャン ネームで,ヘブライ語のElisheva1)に由来する。普通「神の 崇拝者」とか「わが神は本望なり」と意味解釈されている。ヘブライ語でEliは「神」 を意味し,shevaは「神への誓い」と「7」を表わす。「7」は誓いに用いられた神聖な る数で,「完成・成就・充実・豊かさ・完全さ」を表わしていた。2)「誓い」は「神聖」を 象徴し,教会信者は福音の教えを守り,その信仰誓約は「誓い」をたてることによって成 就された。 このように「7」(sheva)と「神への誓い」(sheva)とは宗教的に密接な関係 にある。 「7の神」とか「わが神への誓い」とか「神は誓いなり」とかの解釈もすべて,神 に対する崇拝の念を示したものである。3) 中世英語時代(後期ラテン語)のドウェー聖書(the Douay Bible)4)にはElisabeth とある。ギリシャ語ではEleisabeth又はElisabetで,「神は誓いなりとする人」の意ら しい。 エストニア5)語のEltsという一音節の短い名前も,ロシア語のYelissavetaとい う長い五音節の名前もElizabethと同じ語源に由来する。 Isabel, lsabelle, lsabellaも同 系の名。 このようにエリザベツはキリスト教の神に関係のある名で,従って聖書中の人物で もある。6)この名にちなんだ歴史上の人物,地名等も多い。Isabella I“the Catholic”,7) Elizabeth I (Elizabeth Tudor),8) Elizabeth II,9)Pauline Elizabeth Ottilie Luise,10) Elizabeth Petrovna,11)Saint Elizabeth,12)Elizabeth,13)Elizabeth Islands,14)Elizabeth River,15)Elizabeth City,16)等。 Elmer (男) チュー1・ン17)語(Teutonic)名がその由来。且古代英語Aethelmaerから派生し たもの。前半のAdel即ちnobleと後半のmar即ちfameの合成語。 Noble fameか nobly famousで,「気高く有名な」という意味。 アメリカでは20世紀に入ってから洗礼 名としてよく使われるようになって来た。 Elvis (男) チュートン語名“Elvin”の変形。「小妖精の友だち」の意。小妖精は賢いと考え られているので,“elv−”の付いた名前は「賢明・英知」の意味を暗示していることになる。 古代英語のElwin, Elwynも同じ語源で,女性名の場合はElvineとかElviraとなっている。 70 中 村 春 巳 Eugene (男) ギリシャ語‘‘eu”(good, we11).と“genes”(born)の合成語で,「良く生まれた」即 ち「生まれのよい,家柄のよい,素性のよい,りっぱな(高貴な)家柄の」の意。「敬意 を表する・賛辞の」ほあことばの名といえる。人種・子孫を改良する優生学的名にふさ わしい。指小語又は短縮形はGene。米国Oregon州西部にその名の都市もある。 フラ ・ ンス生まれのオーストリアの将軍ウジェーヌ(1663−1736),Prince of Savoyも本名に Eugeneが入っている(Frangois Eugらne de Savoie・Caringan)。時には女性の名にも使 われた。スペイン生まれで,Napoleon IIIの妃フランス皇后ウーシェニ(1826−1920) の名もEug6nie Comtesse de Teba,本名はMarie Eug6nie de Montijo de Guzman。 又イタリアの聖職者であるローマ教皇,エウゲニウスー世(?−657:教皇は654−657)も, エウゲニウスニ世(?−827:教皇は824−827)も,エウゲニウス三世 (?−1153:教皇は 1145−53:本名Bernardo Pignatelli or Paganelli)も,エウゲニウス四世(1383−1447: 教皇は1431−47:本名Gabriele又はGabriel Condolmiere又はCondulmer)もEugene の名で知られている。 Evelyn(女) 旧約聖書「創世記」第3章20節に出てくる人類最初の女性Eve(エバ・イブ)の変 形とも考えられているが,本当はケルト語(Celtic, Keltic)18)の「愉快な・快適な」とい う語が語源らしい。 ラテン語のavellanaとも関係がある。 avellanaは英語のthe mbert19)又はhazelnut20)(ハシバミ)の意。現代の女子名Hazelもこれからでたもの。 Evolyn, Evelina, Eveleen, Evelina, EvelineとかEvelynneなどのさまざまなス ペルもみられる。時には男の子の名としても使う。 Florence(女) Floranceとも綴る。 Flora, Florrie, Florry, Flory, Flo, Flossie等も皆同じ。 イ タリア中部にある都市フィレンツェ(Firellze)がFlorenceのイタリア名だから,語源は ラテン語。“Flower, blooming”(花盛り)とか“nourishing”(繁栄・隆盛)を意味する。 男性にも使用されているが,その場合は恐らく男の聖者又は都市名から名づけたものであ ろう。 Frances(女) チュートン語にその由来をもち,恐らく“fr・”で始まる古語と,「愛・喜び・戯れ・ 自由・平和」という意味に関係がある。男子の名の場合はFrancisの綴りが普通。語源 は,ノルマン人がイングランド征服した1066年から1300年にかけて,ラテン語のFrancis− cusが短縮されたという説と,イタリアのアッシジのSt. Francis(1182−1226)が有名に なった後,イタリア語の別称(本名はGiovanni)が短縮されてFrancisとなった,とい う説もある。21)その異形に,Francesca, Francina, Franchonなどがある。ゲルマン語 系で「自由」を表わすFrancis,ドイツ語のFranz,フランス語のFrangois,イタリア語の 人名の由来と傾味解釈 {ゴ 71 Francesco,スペイン語のFranciscoなど皆同系の名である。 また,Frankは, Francis が短縮されてFranになり,それに指小接尾辞をつけてFranklinになり,更にこれを短 縮して出来た指小語。Franklinは「自由人」の意で, Frankieもその指小語である。 Franciscoも男子の名に使われる。 Frankは,Old High GermanではFrallko,古代英 語ではFranca又はFranka(これは国の武器である「槍」の意),中世英語ではFranke であった。その語源をもつ異形の名はその他多数ある。 George (男) 語源はギリシャ語。ギリシャ語ではGeorgios。“ge−”は「土地・または地球」 を意味し,“geo−”は“ge−”から出来た合成形で造語要素。残りの部分は“6rgon”に関係 あり,「働く・土地を耕す」の意。従って,Georgeは語源のギリシャ語では「土地の人 (earth−man, man of the earth, man of the land, earthworker)・農夫(farmer)」を意味 する。 この“ge・”造語要素はgeorgica1(農業の:ギリシャ語の“ge6rgik6s=ge6rg(6s) からラテン語の“ge6rgic(us)”まで同語源:8ε“GEO−”+み80η“work”+匡bぷ“・ic”), geography(ギリシャ語で8θδgrαρ輪“earth−description”,後期ラテン語で8θδ宮r卯疏α), geology(地質学),geometry(幾何学),geophysics(地球物理学)等にもあらわれている。 Georgeはドイツ語でGeorg,ロシア語でGeorgi,フランス語でGeorges,イタリ ア語でGiorgio,その他異形が無数にあり(例:Jorge, Jurgen, Joris, Jerzy, Egor等), その指小語はGeorgie, Geordieとなっている。その名にちなんだ歴史上の人物や地名 等も多い。 ノルマン人の十字軍戦士たちが守護聖人として崇めたSt. George「聖ゲオル ギゥス (?−303?):ローマの殉教者」,またイングランドの守護神として悪竜退治の ジョージ像(特にガーター勲章中の首飾りの)などがそれである。George一世から六世 までの英国王名も例として挙げられる。 所で,語源の「農夫」に関係あるエピソードで,英国王ジョージ三世(1738−1820: 国王は1760−1820)と,その敵対者である米国のGeorge Washington(1732−99:米国初 代大統領:1789−97)は「農夫のジョージ」(Farmer George)とニックネームがつけられ た。両人とも農業においてはかなりの通だったらしい。特にWashingtonは農業におい てはかなり進歩的であった。 農業に関する本はかたっぱしから読みあさり,特にマサ チューセッッ出身のSamuel Deansの「ニューイングランドの農民と農業辞典」(The New England Farmer, or Georgical Dictionary)を徹底的に読んだらしい。 20世紀に入ってGeorgeは寝台車のポーターの異名になるほどよく使われた。そ して遂には「厭な仕事は誰かほかの者にやらせろ」という意味で,“Let George do it.” (=Let someone else do it.という意味で)と言われる程通俗化してしまった。22) Gertrude(女) 語源はゲルマン語。“Ger”や“Gar”は「槍」を意味する。従ってGertrudeは 「槍乙女・槍の力」と意味解釈される。槍は戦いに使用されるので,この名は古い時代に 出来た「戦いの名」の一つに違いない。“Ger”や“Gar”は数多くの名に使用されている。 淡水魚の鱗骨類も長い口ばしが槍に似ているので“gar”または“gar丘sh”と呼ばれる。 72 中 村 春 巳 ドイツ語ではGertrudまたはTrudchen,オランダ語でTrudje,ポーランド語で Giertrude,ババリア語23)でTraudl,エストニア語24)でTrutaとなっている。異形・短 縮形・指小語にはGertie, Gerty, Truda, Trudy等がある。 HarHet (女) HenryやHarryから出来たフランス語女性形。 Harriett, Harriette, Harrietta等 とも言う。Henrietteも17世紀のイギリスでは使われたが,外国風の名であった。外国 語形のHenriから英語形のHarryが生まれ,それからHarietteに変っていった。 しか し外国語風の語尾の“−ette”はイギリス人にはなじみにくく,結局Harrietとして使われ るようになった。HenryやHarryが「家長・家庭の主人」という意味だから,Harriet は「女主人」の意だろう。指小語形はHattieまたはHatty。 Helen (女) ギリシャ語から由来したと思われる。 語意もはっきりしないが,恐らく「日光・ 明るい・光・たいまつ=光」の意であろう。 古代ギリシャの太陽の神Heliosまたは Helius(ヘリオス)25)と,向日性植物heliotrope(ヘリオトロープ)と関係がある。変 異形または別称にAlaine, Alayne, Alienor, Eileen, Elaine, Eleanor, Elena, Eleonore, Elinor, Ellen, Helena, Helene, Helyne, Lenore, Leonoreなど,その他多数ある。 Nel1, Nelly, Nellie, Lenaなどはそれらの指小語名。 フランス語ではH61邑ne。歴史的にどこ ででもよく使用された人気のある女性の名の一つ。例えば,ギリシャ神話に出てくる Helen of Troyのヘレネ。26)コンスタンティヌス大帝27)の母の名もHelena28)であった。 またアーサー王伝説にでてくる円卓のイレィン(Elaine of the Round Table)もHelen の別称。 その他種々の理由で女性間に有名な名となっていった。 Henry (男) ゲルマン人系チュートン語のHagen−richとHeim−richがその語源。 Hagen−rich は「家畜または家屋敷の主人・(さくで囲い込んだ)土地の所有者」という意味で,また Heim−richは「家長・家の内情によく通じている人」を意味するから, Henryは「不動 産と家(庭)の支配者・ボス」を暗示している。これと同じ名は,フランス語でHenri, ドイツ語でHein(rich),オランダとデンマーク語でHendrik,スペインとポルトガル語で Enrique,イタリア語でEnricoまたは長いArriguccio,イギリスでHel等がある。 Henryの語源は前に述べたチュートン語だが,当時ラテン語が公文書言語であっ たので,ラテン語でHenricusと書かれた。それがHenryというスペルに変っていった。 Henryの別称或いは変異形,またHaroldの指小語名であるHarryは,ノルマン人が日 常使用していたHenriのnが脱落して出来たもの。 HalはHenryとその別称である Harold29)の指小辞形で,rと1の音韻交替現象で生まれた。 シェイクスピアの史劇の中 でも,Henri, Harry, Ha1を使い分け,登場人物の相互の親疎関係を巧みに表わしてい る。30)Henryの指小辞形または短縮形Hank31)の成立はJackやFrankの場合32)と類 似点がみられる。即ち,短縮形Hannに指小接尾辞一kinがつき,Hankinができ,その 人名の由来と意味解釈 口 73 後inが脱落したと見ることができる。 Hankは「森林地帯・川辺の村」を暗示する名。 またオランダとドイツのJohannの一hannから発展したもの33)という説もある。 この系の名を使用した歴史上の人物も多い。 イングランド王ヘンリー一一世から八 世まで,34)フランス王アンリー世から四世まで,その他多数この名をつけている。 Herbert (男) これもゲルマン語系チュートン語が語源。Harja「軍隊・兵士」とbert「才気のあ る・有望な・輝やかしい・栄光」の合成語と考えられる。従って「輝やける兵士」か「軍 隊の栄光」という意味だろう。 古い形はフランク族35)の使用したCharibert,後に Haribertとなった。 ノルウェー人または古代スカンジナビア人36)はよくher一とかhar一 のつく名前を使った。sidneyやHoward等と共に封建時代の貴族趣味的名前。短縮形 または指小語形はHerb, BertやBertieなど。 Howard (男) これもチュートン語から由来している。Heoru−gard即ち「剣の保護者または管 理」の意。古くは「財産管理人」という一般的意味が理に合っている。古代または中世 英語ではstiweardまたはstigweard。 Stigはhall「豚小屋または不潔な酒色のいかがわ しい場所」の意で,weardはward「区・保護されるもの」の意。最近はイギリスの名門 Howard・家の姓から名前に転用されたものらしい。 ClarenceやSidneyと同じように封 建社会時代の貴族趣味的な名前。 短縮形または指小辞形はHowie。 Hugh (男) チュートン語が語源。Hugh, Hubertは別称で,皆「すばらしき知性・心・精神・ 思考・学問」を表わす。ゲルマン語のhuguから派生したもの。 HubertはOld English のHygebeorhtに相当する名で, hygu(心・精神)とbeorht(明るい・すばらしい・才 気のある)でできている。 フランス語でHugues,イタリア語でUgo,スペイン語及びポ ルトガル語でHugo。 ドイッ語でもHugoだが,これはそのドイツ語から直接に生成さ れたものと思われる。指小語または短縮形はHughie。 Ireme(女) 語源はギリシャ語のeirene。「平和」という意味。ヘブライ語のshalomに相当 し,パレスチナでは一世紀頃この二つは挨拶がわりに使用された。アメリカでは二音節 で発音するが,イギリスではギリシャ語的に三音節で発音される。 Jacob (男) 語源はヘブライ語のYa−a−kovで,「かかと(足)をつかまえる人」37)の意で,(後 期)ラテン語のsupplantare(「人の足下でつまつかせる」)と同じ。「相手の足を取り打 ち破る」の意にもとれ,また「取って代わる人・後継者」とも翻訳される。旧約聖書の ヤコブが同じようなことをしたらしいので,この二つの解釈は本質的には同じと言える。 74 中 村 春 巳 ヤコブはIsaac38)の子で,その子が後のイスラエルの12族の祖先となる。ヤコブについ て旧約聖書創世記第25章24節から34節にこう記されている。 (括弧と下線の部分は筆者) 「彼女(イサクの妻リベカ)の出産の日がきたとき,胎内にはふたこがあった。 さきに出’ たのは赤くて全身毛ごろものようであった。それで名をエサウ(Esau)と名づけた。そ の後に弟が出た。その手はエサウのかかとをつかんでいた。それで名をヤコブ(Jacob) と名づけた。 リベカ (旧約聖書一ドウェー聖書一ではRebekah,新約聖書では Rebecca)39)が彼らを産んだ時,イサクは六十歳であった。 (中略)ヤコブは(エサウに) 言った,「まずあなたの長子の特権をわたしに売りなさい」。エサウは言った,「わたしは 死にそうだ。長子の特権などわたしに何になろう」。ヤコブはまた言った,「まずわたし に誓いなさい」。彼は誓って長子の特権をヤコブに売った。そこでヤコブはパンとレン ズ豆のあつものとをエサウに与えたので,彼は飲み食いして,立ち去った。 このようにし てエサウは長子の特権を軽んじた。 (後継人に相当する箇所)」ヤコブは天使と格闘して 勝ったので,後にIsrael40)という名前が与えられた。ヘブライ語でYisra’e1,即ち「神と 闘う人・神と共におさある」の意味で,前述の解釈と一致する。 ドイツ語でJakob,短 縮指小辞形はJack, Jake, Jock, Jak ie。 この中でJackがもっともよく使われるように なったのは,Jake, Jock, Jakieがユダヤ人的においが強いためらしい。 James (男) ヘブライ語Jacob(前述参照)の別称変異同類語だから,意味解釈はJacobの場 合と全く同じ。 「相手を打ち破り,その地位・身分を奪った或は引継いだ人」の意で,こ れこそ二度もわたしに不正,ずるさを働いたヤコブに相応しい名だと兄のエサウは不平を こぼしたそうである。 まず前述のYa−a−kov(ヘブライ語)がギリシャ語化を経て,Jacobus(oは長母音) というラテン語に変化した。その後oは短母音に,bがmに音韻交替41)してJacomus となった。現在のJacobはラテン語のJacobusから生成されたもの。 Jacomusは更に アイルランド語でSeamus(=James),またはShamus(Jamesの英語化したもの),フラ ンス語でJacques,スペイン語でJaimeまたはJayme。 Jacobの同類語であるこの Jaimeが英語ではJamesとなった。 指小語は(特にスコットランドでは)Jamie,(主と してイギリスでは)JemまたはJemmie,その他Jemmyがあるが,アメリカではJim, Jimmie, Jimmyの方が多い。 聖書申または歴史上の人物に多く,都市・川・山脈にもよく使われている。聖書中の 人物では,キリストの十二の使徒の一人でゼベダイ子,使徒ヨハネ(John)の兄弟のヤコ ブ42)(James the Greatともいう),主イエス・キリストの弟として述べられているヤコ ブ,43)また十二使徒のもう一人,アルパヨの子ヤコブ44)などがいる。 その他H飽ry James,45)William James,46)Jesse James,47)またジェームズー世,48)ジェームズニ世49)な どもいる。 Jean (女) Janeと共に男性名Johnに対する典型的な女性名。意味は「主は慈悲深い」。語 人名の由来と意味解釈 日 75 源はJohnのフランス語形。 イングランドでJohnの女性形はJaneに,スコットラン ドではJeanになった。 フランス語形ではJeanは男性名詞で,女性名詞はJeanneであ る。 その他John(男)に対する女性形に,Joan, Johanna, Jayn, Jayne, Jaynneなどが ある。Jannet, Jallice, Janie, Janey, Jany, JanyeなどはJaneの別称。 Jeanの別称ま たは指小語として Joan, Johanna, Jenny, Jeanie, Jeannie, Jeanne, Jeannye, Janet, Jeannette, Jeannetta, Jeanette, Juanitaなど様々な形があげられる。 John (男) Jeanと同じく「神(主)は哀み深い・慈悲深い」の意味。語源はヘブライ語の Yeh6hanan, Y6hananまたはYeho−khanan。 これからギリシャ語の16a’nnesとなり, 中期ラテン語の16(h)annesを経て,古代英語の16hannisが出来,中世英語でJoh(a)n となった,,ヘブライ語のYeho一はJehovah50)(近代キリスト教でいう神)で,最後の音 節にある程度強勢の置かれるkhananは「慈悲深い・哀み深い」を意味する。文明社会 のもっとも誇りにし,金持,宝物,財産,富以上にすぐれたもの(名)といえばJohnと いわれる程のものである。「聖なる」とか「霊(神)感または神の啓示によって導かれる」 名だから「神の恵み」と祝福される。 (教会の,礼拝中の)祝福と感謝の祈りの中の graciousがJohnに関連ある意味をもつ。 (下線は筆者) The Lord bless you and keep you: The Lord make his face to shine upon thee and be gracious unto thee: The Lord li丘up his countenance upon you, and give you peace. 願わくは,主があなたを祝福し,あなたを守られるように, 願わくは,主がみ顔をもってあなたを照し,あなたを恵まれるように, 願わくは,主がみ顔をあなたに向け,あなたに平安を賜わるように, (父と,子と,聖霊のみ名により。) アメリカでは25人中1人はJohnであるというほど恵まれた名のようだ。 キリス ト教の普及と共に各国でもそれぞれの発音と綴りでさまざまなJohnがいる。スコット ランドでIan,ウェールズでEvan,アイルランドでSean,ドイツ語でHan, Johannまた はJohannes,ロシア語でIvan,フランス語でJean,スペイン語でJuan,イタリア語で Giovanni,ハンガリアでJanos,ペルシャ語でJehan,オランダ及びポーランドでJan,そ の他Ain, Hansi, Nuccio, Ohannes, Vanni, Yanos, Zanni,など無数にある。 Johnと同 じ意味の女性名形は,前にもいくつか触れたが,Jane, Jean, Joan, Johannaなどである。 Johnの短縮指小語がよくあるJohnnieやJohnny,またJackとその指小語Jackie, Jacky, Jockとなる。 JackがJohnから派生された生成過程は, Johnに指小辞・kinが っきJohnkinになり,その後「カンタベリー物語」に登場するようなJankinに変り, 更に初めのnと最後のinが脱落してJakとなった。後にJakkeとも綴られたが,最 76 申 村 春 巳 終的にはJackの綴りが標準化した。 シェークスピアの「ヘンリー四世」にでてくるsir John Folstaffも仲間ではJackと呼ばれた。 JackはJohnの別称である証拠がここに も見られる。但しJamesとJackは関係がない(Jamesの項参照)。最後に聖書にはこ のJohnという名の人物が14人登場している。 その中の二人を挙げれば, John the Baptist(洗礼者ヨハネ)と使徒または伝導者のヨハネ51)であろう。 Josep血 (男) ヘブライ語Yosefまたは完全な発音でのYeho・sefに由来する。 Yehoはもっと も聖なる名Jehovah(註50参照)を明白にあらわしている。従って「神が加えてくださ る」という意味で,全能の父なる神から恵みがあるという約束が印象的な解釈であろう。 これは旧約聖書の創世記30:22−24にあらわれたヨセフに由来する。 (下線は筆者) Then God remembered Rache1;he answered her prayer and made it possible for her to have children. She became pregnant and gave birth toason. She said,‘‘God has taken away my disgrace by giving me a son.聖. the Lord give me another son”;so she named him Joseph. 「次に神はラケルを心にとめられ,彼女の願いを聞き,その胎を開かれたの で,彼女はみこもって男の子を産み,「神はわたしの恥をすすいでくださっ た」と言って,名をヨセフと名づけ,「主がわたしに,なおひとりの子を加 えられるように」と言った。 他の息子はベニヤミン(Benjamin)52)であったが,「加える・増やす・さずかる」の意味 をもつ名はJosephであった。従ってJosephは「神の与える・加える・増やす・幸運 をもたらす」などの吉兆を意味する名である。所で,JacobとRache1の長男であるこ のヨセフは弟たちによって奴隷商人に売られ,エジプトへ行き,そこで大ききんを救った。 またファラオの娘の誘惑を拒絶して有名になったという話もある。 ラテン語でJosephus,アラブでYussufs,ポルトガル語とスペイン語でJos6,イタ リア語でGiuseppe,その他Sepper1,0ssip等もあり,その短縮語はJo, Joe, Joey。 そ れに相当する女性名はJosephine,その指小辞はJoseyとなる。 尚聖書中のもう一人の重要人物は,イエスの母のマリア(Mary)の夫であるJosep。 このヨセフはナザレ(Nazareth)の大工。 (マタイによる福音書1:16−25参照) Josephine (女) 男性名Josephの女性名形だから意味解釈や由来はJosephの場合と同じ。即ち 「加える・増える」の意。別称Josephaもある。短縮指小語はJo, Josie, Jozy。 Joは 女性名で,男性名の場合はJoeと綴る。 この名をもつ有名人の一人は,ナポレオン1世 の皇后Marie Jos6phine Rose Tascher de la Pagerie(1763−1814)。 Jos6phine de Beauhamais(ジョセフィーヌ=ド=ボーアルネ)とも言う。皇后期間は1804年から9年 までの5年間。 人名の由来と意味解釈 日 77 Katherine (女) ギリシャ語のAikaterineが起源と思われる。ギリシャ語の“clean, pure”「身心 に汚れのない・純潔な」という形容詞はkatharosだから,この名の意味解釈もその形容 詞と一致しよう。 ラテン語系とギリシャ語またはゲルマン語系の間にはよくcとk,tと thの音韻対応が見られるので,この名から派生した別称や変異形(発音,綴りとも)は多 い。 まずラテン語でKaterina, Katharina,ロシア語でEkaterina,オランダ語でKaatje, スウェーデン語でKarin,スカンディナヴィア語ではKaren,スラヴ語族でKatrina, Katrine,ポーランド語でKasia,ババリア語53)でKadi,ブルターニュ語54)でKatelik,フ ランス語のGaton,スペイン及びイタリア書のCatarina, Caterina,アイルランドの Kathleen, Cathleen,その他Catharine, Catherine, Katherine, Katharine, Kathryn, Kateri, またrを脱落させたアメリカ的造名 Katina などがある。 シェークスピア時代には Katrin と綴字通りの発音であった。人気の点では, Katherine より, Kathleenや Kathrynの方がよく使われている。短縮・指小形名も数多く,Kay(「アーサー王物語」 では男性名だが,現在は女性名),Kathy, Kathie, Cathy, Kate(典型的なイギリス人名で, シェークスピアも好んでこの名を使用した),Katie, Kit, Kittyなどがある。 これらの名 は皆,St. Catherine55)に代表されるが如く,処女殉教者にふさわしい名前となっている。 有名人には,ロシア皇帝の妃Catherine I(エカテリナー世Marfa Skavronskaya) とか,Catherine II(エカテリナニ世Catherine the Great;Sophia Augusta of Anhalt− Zerbst)などがあり,またイングランド王Henry VIIIの最初の妃Catherine of Aragon (Mary Iの母),5番目の妃Catherine Howard,6番目の妃Catherine Parr,それにフ ランスのHenry IIの妃の名Catherine de M6dici(s)またはCaterina de’Mediciも皆 Catherineと名づけられた。 Laurence (男) 語源はラテン語のlaurusで「月桂樹」の意。従って「月桂冠で飾る・栄誉または 名誉を与える」と解釈できよう。英国の桂冠詩人(poet laureate)も,古代ローマの町 Laurentiumもlaurusと関係している。 フランス語でLaurent,ドイツ語でLorenz,ス ウェーデン語のLars,その他Lawrence, Lorence, Laurance, Loren, LorinなどLaurence の別称または変異形。短縮指小語形はLarry, Laurie, Lawrie, Lowry。 Lawrenceや Larryは特にアイルランドで人気がある。 その名をもつ有名人には,英国の小説家で詩人のDavid Herbert Lawrence(1885− 1930),米国の物理学者でサイクロトロンの発明者Ernest Orlando Lawrence(1901−58: 1939年にNobel物理学賞受賞),炮烙で火刑に処せられたローマの初期キリスト教殉教者 Saint LawrenceまたはLorenzo(ラテン名はLaurentius)(?−258?),それに英国のア ラブ独立運動指導者で,考古学・軍人・著述家のThomas Edward(T. E. Shaw),別名 Lawrence of Arabia(1888−1935)などがいる。 78 中 村 春 巳 Lois (女) ギリシャ新約聖書の中に出てくる名から取られたものらしい。LouisやLouise の別名と誤解され易いが,無関係である。新約聖書「テモテへの第二の手紙(The Second Letter of Paul to TIMOTHY)」の第1章5節に1度だけ言及されているロイスから派生 したもの。 (下線は筆者) Iremember the sincere faith you have, the kind of faith that your grand− mother Lois and your mother Eunice also had, I am sure that you have it also. また,あなたがいだいている偽りのない信仰を思い起している。この信仰 は,まずあなたの祖母ロイスとあなたの母ユニケとに宿ったものであったが, 今あなたにも宿っていると,わたしは確信している。 信仰の深さを証明した箇所で,結局Loisというのは「より快適な・気持のいい・望まし い・願わしい・好ましい・すてきな」の意味を暗示していると推論できる。 Louise (女) Louisaともいう。男性名Louis, Lewis,ドイッ語名Ludwigの女性名形。 ゲル マン語のhlu(hear)とviga(6ght)の合成語。 ドイツ語のLudwigは,第1音節のLud がfame「名声・有名」の意で,−wigはbattle「闘い」を表わす。従って「戦いで名声を とどろかす」意味であろう。西洋でよく使われている名で,指小語形はLow, Louie, Lu, Luluなどである。 Lucille(女) ラテン語の「(太陽の)光」という意味を表わすLuxから派生したと考えられてい る。その同じ意味の,Lucilleに相当する男性名はLucius。別称としてLucia, Lucile, Lucy, Lucinda, Lucienne, Lucianaがある。 しかし, Lucilleは,聖人のラテン語名 Lucillaに由来しているという説もある。56)またLucillaはLucyの指小辞形ともいわれ, この二つは殉教者の長であったことから,混同されている。 (1983年11月) 註 1)又はElishebhaとも綴る。ヘブライ語’回(神)とshebha‘(誓い)の合成語が起源で, shi− bho‘ah(7)とnishgba‘(彼は誓った)に関係がある。 2)現在でもその解釈は残っている。例えば野球に於けるラッキーセブン(the Iucky seventh)な どのように。 3) このことは「割礼」(Circumcision)と「契約のしるし」(the Sign of Covenant)を述べた旧約聖 書「創世記」17章と関連している。10箇所にわたって,神が99才のAbrahamと契約(キリス ト教で,神が救いの業をなし遂げるために,人間に対して示す特別な意思)を立てる。 第2節「わたしはあなたと契約を結び,……」 人名の由来と意味解釈 {ゴ 79 (Holy Bible,以下HB:Iwill make my covenant between me and thee.) (Good News Bible現代語版,以下GNB:Iwi11 make my covenant with you.) 第4節「わたしはあなたと契約を結ぶ。」 (HB:._.my covenant∫ぷwith thee.) (GNB:Imake this covenant with you:Ipromise that._.) 第7節 「わたしはあなた及び後の代々の子孫と翌麹を立てて,永遠の契麹とし,……」 (HB:And I will establish my堅∼venant between me and thee and thy seed,._,fbr an everlasting covenant,.....) (GNB:Iwill keep my promise to you and to your descendants.._as an everlasting covenant.) 第9節 「あなたと後の子孫とは共に代々わたしの契約を守らなければならない。」 (HB:Thou shalt keep my covenant therefbreg.....) (GNB:You also must agree to keep the covenant. with me,.....) 第10節 「(これはわたしとあなたがた及び後の子孫との間の)わたしの契約であって,あなたが たの守るべきものである。」 (HB:This匡5 my covenant, which ye shall keep,,.,.,) (GNB:第11節と同じ。) 第11節 「……それがわたしとあなたがたとの間の契約のしるしとなるであろう。) (HB:and it shaU be a token of the covenant betwixt me and you.) (GNB:This will show that there is a covenant between you and me.) 第13節 「こうしてわたしの契約はあなたがたの身にあって永遠の契約となるだろう。」 (HB:and my covenant shall be in your 6esh fbr an everlasting covenant.) (GNB:and this will be a physical sign to show that my covenant with you is everlasting.) 第14節 「……わたしの契約を破るゆえ,……」 (HB:he hath broken my covenant.) (GNB:because he has not kept the covenant with me.) 第19節 「わたしは彼と契麹を立てて,後の子孫のために永遠の契約としよう。」 (HB:and I will estabUsh my covenant with him fbr an everlasting covenant,.....) (GNB:Iwill keep my covenant with him and with his descendants fbrever.) 第21節 「……イサクと,わたしの契約を立てるであろう。」 (HB:But my covenant will I establish with Isaac,.、_) (GNB:But I will keep my covenant with your son Isaac,,....) 4) ラテン語訳聖書ウルガタ(the Vulgate)は4世紀末にSt. Jeromeが翻訳したもので,今日でも ローマカトリック教会では典礼祭式に使用している。 ドウェー聖書(the Douay Bible)は, ローマカトリック教会の学者たちが,ウルガタから英語訳したドウェー版英語聖書である。 新 約聖書は1582年にReims(Rheimsとも綴る。 ランス:フランス北東部の都市。 有名な大 聖堂があり,1945年5月7日にドィッが第二次世界大戦で無条件降伏をした所)で,旧約聖書は 1609−10年にDouai又はDouay(ドウエ:フランスの北部, Calais南東方の都市)で刊行され た。 5) ソ連の一構成共和国。もと独立共和国(1918−40)で,1940年ソ連に併合された。 6)新約聖書「ルカによる福音書」第1章に出ているエリザベッ。 アビヤの組の祭司ザカリヤの妻 で,アロン家のひとり娘。 マリアの女親類。 バプテマス ヨハネの母。 7) イザベラー世(1451−1504):AragonのFerdinand Vの妻:Castile女王(1474−1504):A. ragonの共同支配者(1479−1504):コロンボスの新大陸発見(1492)を援助した。 8) エリザベスー世(1533−1603):イングランドとアイルランドの女王(1558−1603):Mary Iの 後継者:Henry VIIIとAnne Boleynとの娘。 9)George VIの娘。 Full NameはElizabeth Alexandra Mary Windsorで1926年生れ。 1952 年以来大英帝国(Great Britain)と北アイルランド(Northern Ireland)の女王。 80 中 村’ 春 巳 10) エリザベト(1843−1916):Princess of Wiedでルーマニア女王(188H914): 著述家として も有名で,‘℃amlen Sylva”の筆名をもっている。 11) エリザベータ(1709−62):ロシア女帝(1741−62):Peter the Greatの娘。 12)聖エリザベト(1207−31):ハンガリーの王女:祈りと慈善の生活を送った。 13) 1668年代New Jersey州の最初の州首都。 New Jerseyの東北部の都市で・Newark Bayに 面している。 14) マサチューセッツの諸島。 Cape Codの西南部から西南へ15マイル延びている。 15) バージニアの短い川で,NorfolkとPortsmouth間のHampton Roadsに流れ込んでいる。 16)米国North Carolina州北東部の都市。 17)紀元前4世紀に初めてその名を知られ,デンマークの大陸部を含むユートランド半島(Juteland) に住んでいたとされるゲルマン民族の一部族。 18)’インドヨーロッパ語族の一分派。 現在では,アイルランド,スコットランド高地,ウェールズ, ブルターニュ地方に残っている。 19)St. Philbert’s Day(8月22日)頃に実が熟することから61bertと名づけられた。 20)古代英語で“hεeselhnutu”,又中世英語では“haselnote”・ 21) スチュアート著,木村訳「アメリカ人名事典」,pp.140−143. 22) 同上,P.148. 23)西ドイッの南部の州またはドイッ・オーストリアの高地ドイッ語。 24)Finland湾の南に位置し, Baltic海に臨むソ連の一構成共和国の言語。 25) ローマ(人)の太陽神So1に当たる。 HomerはHyperionと呼んだ。 26)ZeusとLedaの娘で美女だった。 Menelausの妻だったが, Parisに誘拐され,トロイ戦争 を引起した。 27)Constantine I(Flavius Valerius Aurelius Constantinus)(the Great):ローマ帝国を再統一し, Constantinopleに新首都を建設した。 キリスト教の信仰も公認した。 28)古典時代後のラテン語でできた名。 聖女で,「真の十字架」を発見したという。 29)「軍隊の部隊長」の意で,スカンジナビア語から古代英語を経て作られたもの。 ゲルマン語系 からフランス語を経て形成されたHarvey(「戦闘」の意)も同系の名と思われる。 30) スチュアート著,P.159. 31)米国ではニックネーム。 32)Frances(女)の項参照。 33) スチュアート著,P.160. 34)Henry I,“Beauclerc”(1068−1135):王位(1100−35):征服者ウィリアムー世の息子。 Henry II,“Curtmantle”(1133−89):王位(1154−89):Henry一世の孫でPlantagenet王朝の 初代の王。 Henry III(1207−72):王位(1216−72):John Lacklandの息子。 Henry IV,4‘Bolingbroke”または“Henry of Lancaster”(1367−1413):王位(1399−1413): Lancaster王朝の初代王:John of Gauntの息子。 Henry V(1387−1422):王位(1413−22):Henry四世の息子。 Henry VI(1421−71):王位(1422−61,1470−71):Henry五世の息子。 Henry VII,“Henry Tudor”(1457−1509):王位(1485−1509):Tudor王朝の初代の王。 Henry VIII,“Defender of the Faith”(1491−1547):王位(1509−47):Henry VIIの息子。 35)Main川流域にあったドイッ中世の部族公領,古代フランク族。 西ゲルマン語である古代フラ ンコニア語を使用した。 ドィッ名はFranken。 36)8−11世紀にイギリスやアイルランドやヨーロッパ諸地方,そして恐らくは北米の各地にも,侵入 し植民地を作った。 37) 旧約聖書創世記第25章24節から34節までを参照。 38) ヘブライ語で「笑い」の意。 短縮指小語はIke。 39)Labanの妹(創世記24:29)。「誘惑者・おとし入れる人」の意。創世記24章61節はりベカを次 のように祝福している。 人名の由来と意味解釈 {⊃ 81 「妹よ,あなたは,ちよろずの人の母となれ。 あなたの子孫はその敵の門を打ち取れ。」 指小 語はBecky。 40)創世記32:28「あなたはもはや名をヤコブと言わず,イスラエルと言いなさい。 あなたが神と 人とに,力を争って勝ったからです」。 41) 両音とも調音点は同じ両唇音だが,bは閉止音, mは鼻音と調音法はちがう。 42)新約聖書マタイによる福音書4:21参照(James the son of Zeb’e−dee, John his brotherとあ る)。 43) 新約聖書ガラテヤ人への手紙1:19参照(主の兄弟ヤコブ,James the Lord’s brotherとある)。 44)新約聖書マタイによる福音書10:3,マルコによる福音書3:18,またルカによる福音書6:15参 照(いずれの節にもアルパヨの子ヤコブ,James son of Alphaeusと出ている)。 別名James the Lessと呼ぶ。 45) ヘンリー・ジェームズ(1811−82)米国の哲学者・著述家。 米国生れの英国の小説家・批評家 Henry James(1843−1916)の父。 46) ウィリァム・ジェー・ムズ(18424910)米国の心理学者・哲学者で上記のHenry Jamesの兄。 プラグマティズムの創始者。 47) ジェシー・ジェームズ(1847−82)米国の無法者で伝説的人物。 西部劇の題材に取り上げられ ることが多い。 48)James l(1566−1625)イングランド及びアイルランド王(1603−25),また1567−1625はジェーム ズ六世としてスコットランド王。 Mary Stuartの子。 49)James ll(1633−1701)イングランド,アイルランド,スコットランド王(1685−88)でイングラ ンド王Charles Iの子。 ピューリタン革命中フランスに亡命した。 50) エホバの神(旧約聖書の神の名)。ヘブライ語聖書の神聖で口にしてはいけない神名JHVHを 誤読したもの。 51) 新約聖書の「ヨハネによる福音書」(Gospel of St. John)と「3っの使徒書簡」(the Epistles of John)と「ヨハネ黙示録」(Revelation)の著者とも言われている。 52)Jacob(ヤコブ)とRachel(ラケル)の末子で, Joseph(ヨセフ)の弟。 創世記35:18には こうある。 (括弧内は筆者) 彼女は死にのぞみ,魂の去ろうとする時,子の名をベノニ(Benoni:ヘブライ語で「わが悲しみ の息子」の意)と呼んだ。 しかし父(ヨセブ)はこれをベニヤミン(Benjamin:「しあわせに なる息子」の意)と名づけた。 53)西ドイツ南部の州に住むアルマン族(Alemannic)の子孫であるババリア人の言語。 アルマン 族は紀元3世紀頃に初めて知れたゲルマンの部族連合で,Rhine川, Main川, Danube川に囲 まれた地域に定住し,ローマ帝国を攻撃し,苦しめたという。 54)Breton(またはArmoricanともいう):古代のフランス北西部の地方,現在のBrittanyに当 る地域をアルモリカといった。 ブルタニーまたはブルターニュもほぼ同じで,イギリス海峡と Biscay湾とにはさまれた半島を中心とする地域。 もと公国で革命前は1州をなしていた。 フランス名はBretagne。 そこの言語。 55)Saint Catherine of Alexandriaアレクサンドリアのカタリナ(?−310):聖女・キリスト教殉 教者。 責具のスパイクつき車輪で拷問され殉教したと言う。 56) スチュアート,P.207. 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