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事故30年後までの空間線量率の予測

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事故30年後までの空間線量率の予測
1
事故30年後までの空間線量率の予測
日本原子力研究開発機構1 京都大学2
○木名瀬 栄1, 高橋 知之2, 佐藤 仁士1, 山本 英明1, 齋藤 公明1
予測モデルの概要
予測モデルの妥当性検証及び不確かさ解析
空間線量率の予測図*
本研究は, 平成26年度原子力規制庁の放射性物質測定調査委託費(東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴う放射性
物質の分布データの集約及び移行モデルの開発)事業の一環として実施したものである。
*空間線量率の予測図は, 原子力機構が当該委託業務を実施する中で得た知見をもとに作成したものである。
2
本調査の目的
避難指示区域の状況*
福島第一原子力発電所事故により,
環境に沈着した放射性セシウムを
起因とする空間線量率について
住民等の理解に役立てるため,
広域な範囲(80km圏内)を対象とした,
空間線量率の予測(分布状況変化)
モデル*を作成
*今後新たな測定データ・知見が
得られれば,その都度見直しが必要
*原子力被災者生活支援チーム集計(2014年4月1日時点)
3
予測モデルの概要
2成分1コンパートメントモデル適用


 

k exp134kt 1exp137t   DBG
D(t )  D0  DBG  f fast exp  ln 2 /T fast  t  1  f fast exp ln 2 /Tslow  t 
ここで、
D(t)
D0
DBG
ffast
Tfast
Tslow
k
λ134
λ137
である。
:経過時間t [y]における空間線量率 [μSv/h]
:初期空間線量率 [μSv/h]
:バックグラウンド空間線量率 0.05 [μSv/h]
:減衰が速い成分の割合 [-]
:減衰が速い成分の環境半減期 [y]
:減衰が遅い成分の環境半減期 92(45-135)[y]
:134Csの137Csに対する初期空間線量率比 2.7 [-]
:134Csの壊変定数 (物理的半減期 2.0648 y) [y-1]
:137Csの壊変定数 (物理的半減期 30.1671 y) [y-1]
ALOS土地利用
土地被覆図
帰還などの復興に役立てるため,
避難指示区域内外の地域特性を反映した(ALOS土地利用形態も考慮)!
走行サーベイによる空間線量率測定データを基盤
4
走行サーベイによる空間線量率の測定時期
走行サーベイ
KURAMA
総合モニタリング計画
走行サーベイ
モデルパラメータの信頼性向上のため, これまでの走行サーベイ測定データに加え,
「総合モニタリング計画」に基づき実施されている走行サーベイ測定データも考慮
第1~8次走行サーベイ
第1次
第2次
第3次
第4次
第5次
第6次
第7次
第8次
5
第1~17巡の「総合モニタリング計画」による
走行サーベイの空間線量率測定結果
第1巡
第2巡
第3巡
第4巡
第5巡
第6巡
第7巡
第8巡
第9巡
第10巡
第11巡
第12巡
第13巡
第14巡
第15巡
第16巡
第17巡
6
空間線量率の比率
空間線量率の減衰傾向
9月
7月
7月)
測定時期 (年/月)
空間線量率の減衰は, 放射性セシウムの物理的減衰のみを考慮した場合より速い!
時間経過にともない, 空間線量率の減衰は小さくなっている(減衰の遅い成分?)
7
減衰が速い成分の環境半減期
(避難指示区域外)
第1~8次走行サーベイ測定結果を用いて, 最小二乗法フィットにより導出
累積頻度分布
対数正規確率プロット
中央値
環境半減期
[y-1]
確率[%]
累積頻度の割合
ALOS土地利用形態別の環境半減期
落葉樹と常緑樹を除く,
土地利用形態別の相違顕著でない!
分散が小さい!
中央値
90%信頼区間
環境半減期 [y-1]
森林(落葉樹, 常緑樹)の減衰が速い成分の環境半減期は特異的?
8
減衰が速い成分の環境半減期
(避難指示区域内)
走行サーベイ測定結果を用いて, 最小二乗法フィットにより導出
森林(落葉樹, 常緑樹)/森林以外
の環境半減期
森林: ALOS土地利用形態が
落葉樹, 常緑樹
対数正規確率プロット
中央値
環境半減期 [y-1]
確率[%]
累積頻度の割合
累積頻度分布
90%信頼区間
森林か否かの群別に相違!
環境半減期 [y-1]
森林か否かで, 減衰が速い成分の環境半減期が異なる!
9
減衰が速い成分の割合
(避難指示区域外)
第1~8次走行サーベイ測定結果を用いて,非線型最小二乗法フィットにより導出
累積頻度分布
正規確率プロット
中央値
減衰が速い成分の割合 [-]
確率[%]
累積頻度の割合
ALOS土地利用形態別の
減衰が速い成分の割合
90%信頼区間
土地利用形態別の相違!
減衰が速い成分の割合 [-]
土地利用形態が, 減衰が速い成分の割合に影響
10
減衰が速い成分の割合
(避難指示区域内)
走行サーベイ測定結果を用いて,非線型最小二乗法フィットにより導出
避難指示区域毎の
森林か否かの群別の
減衰が速い成分の割合
中央値
正規確率プロット
森林: ALOS土地利用形態が
落葉樹, 常緑樹
減衰が速い成分の割合 [-]
帰還困難区域, 居住制限区域,
避難指示解除準備区域の相違!
確率[%]
累積頻度の割合
累積頻度分布
90%信頼区間
減衰が速い成分の割合 [-]
人間活動が比較的多い避難指示解除準備区域における
減衰が速い成分の割合の方が他の区域より大きい
予測モデルの妥当性検証
避難指示区域外について第8次走行サーベイによる実測値との比較
走行サーベイによる空間線量率[μSv/h]
(平成26年6月23日~8月8日実施 )
相関係数:0.931
第7次走行サーベイ基準
(平成25年11月5日
~12月12日)
分布状況変化モデルによる推定値[μSv/h]
モデル推定値と実測値は概ね係数2の範囲で一致
11
12
予測モデルの不確かさ解析
モデルパラメータ変化時の空間線量率(相対値)の経時変化
(モンテカルロ計算による推定)
モンテカルロ計算に用いるパラメータサンプリング
LHS(Latin Hypercube Sampling)コード
減衰が速い成分の
環境半減期
90%信頼区間:
対数正規分布
地点数 土地利用形態毎に
Tfastを導出
減衰が遅い成分の
環境半減期
減衰が速い成分の
割合
一様分布*
90%信頼区間:
正規分布
*米国NUREG-CR-4551(1990)
地点数 土地利用形態毎に
ffastを導出
不確かさ解析後
5%値 50%値 95%値
Tfast (年)
5%値 50%値 95%値
ffast (%)
バックグラウンド空間線量率を除く初期の空間線量率で規格化した予測値と
走行サーベイの空間線量率測定データの相対値と比較
モデル推定値と実測値の比較(1)
13
避難指示区域外の空間線量率(相対値)の経時変化
空間線量率の相対値[−]
都市
第1~8次走行サーベイ測定結果と比較
ALOS土地利用形態別に推定
平成23年3月15日からの経過時間[y]
実測値のほとんどは,
モデルパラメータの不確かさを
考慮した推定値の変化の範囲内
にある
空間線量率の相対値[−]
常緑樹
平成23年3月15日からの経過時間[y]
14
モデル推定値と実測値の比較(2)
避難指示区域内(帰還困難区域)の空間線量率(相対値)の経時変化
空間線量率の相対値[−]
森林
「総合モニタリング計画」に基づく
第1〜17巡までの走行サーベイの結果と比較
森林: ALOS土地利用形態が落葉樹, 常緑樹
森林以外:その他のALOS土地利用形態
平成23年3月15日からの経過時間[y]
実測値のほとんどは,
モデルパラメータの不確かさを
考慮した推定値の変化の範囲内
にある
空間線量率の相対値[−]
森林以外
平成23年3月15日からの経過時間[y]
15
モデル推定値と実測値の比較(3)
避難指示区域内(避難指示解除準備区域)の空間線量率(相対値)の経時変化
空間線量率の相対値[−]
森林
「総合モニタリング計画」に基づく
第1〜17巡までの走行サーベイの結果と比較
森林: ALOS土地利用形態が落葉樹, 常緑樹
森林以外:その他のALOS土地利用形態
平成23年3月15日からの経過時間[y]
帰還困難区域より, 空間線量率の
ばらつきが大きくなる傾向
人間活動の影響か?
空間線量率の相対値[−]
森林以外
平成23年3月15日からの経過時間[y]
平成23年3月15日からの経過時間[y]
空間線量率の予測図*
16
-3つの予測ケースケース1:モデルパラメータの中央値(減衰が遅い成分の
環境半減期は選定値92年)を適用した場合
ケース2:90%信頼区間下限値を適用した場合
不確かさ解析結果の5%値と中央値の比率をケース1結果に適用
ケース3:90%信頼区間上限値を適用した場合
不確かさ解析結果の95%値と中央値の比率をケース1結果に適用
福島第一原発から80km圏の空間線量率の推定
(事故発生5年後, 10年後, 15年後, 30年後)
バックグラウンド空間線量率を含めた0.20μSv/hを超える箇所の可視化
生活圏(ALOS土地利用形態別)の空間線量率の予測
(初期値には走行サーベイデータを基盤とし, 歩行サーベイや
航空機モニタリングによる測定データを用いて補正)
*空間線量率の予測図は, 原子力機構が平成26年度原子力規制庁の放射性物質測定調査委託費事業の業務を
実施する中で得た知見をもとに作成したものである。
17
ALOS土地利用土地被覆図
80km圏内
避難指示区域内
18
空間線量率分布の予測図 (80km圏内)
事故5年後
ケース1
ケース2
ケース3
*空間線量率の予測図は, 原子力機構が平成26年度原子力規制庁の放射性物質測定調査委託費事業の業務を
実施する中で得た知見をもとに作成したものである。
19
空間線量率分布の予測図 (80km圏内)
事故10年後
ケース1
ケース2
ケース3
*空間線量率の予測図は, 原子力機構が平成26年度原子力規制庁の放射性物質測定調査委託費事業の業務を
実施する中で得た知見をもとに作成したものである。
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空間線量率分布の予測図 (80km圏内)
事故15年後
ケース1
ケース2
ケース3
*空間線量率の予測図は, 原子力機構が平成26年度原子力規制庁の放射性物質測定調査委託費事業の業務を
実施する中で得た知見をもとに作成したものである。
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空間線量率分布の予測図 (80km圏内)
事故30年後
ケース1
ケース2
ケース3
*空間線量率の予測図は, 原子力機構が平成26年度原子力規制庁の放射性物質測定調査委託費事業の業務を
実施する中で得た知見をもとに作成したものである。
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まとめ
福島第一原子力発電所から80km圏内を対象に,
最新の走行サーベイによる測定データを基盤とした,
空間線量率の予測モデルを開発し,
その妥当性検証及び不確かさ解析を実施した。
また, 事故30年後までの予測図を作成した。
今後の課題
モデルパラメータのアップデート
除染などによるモデルパラメータへの影響解析
モデルパラメータ追加等による予測モデルの信頼性向上
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