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新しい親子関係を目指して・・・ ≪勇気づけ≫をしよう! これをご覧になっている、不登校やひきこもりのお子さんをお持ちのお父さんお母さん 今、どんな気持ちでいらっしゃいますか? (なんで、うちの子は学校へ行かなくなっちゃったんだろう? どうしたら学校へ行くようになるの?) (何もしないでゴロゴロ。学校行かないなら、せめて家で勉強してくれないかな・・・ どうやって勉強させたらいいの?) (勉強が嫌いなら、何でもいいから自分のできることを見つけて頑張ってほしい。どうすればいいの?) (多くは望まないから、とにかく元気になって欲しい。どうしたら元気になる?) これらのうち、どれかに当てはまるんじゃないでしょうか? 実は、これらは二人の不登校の子どもを持 つ母親として過ごした十数年の流れの中で、私が感じてきた気持ちです。子どもに対する気持ちは時間とと もに変わっていきましたが、いつの時点でも、子どものことを思い、一生懸命でした。これをご覧になって いるお父さん、お母さんも、きっと子どもを思い、一生懸命になって奮闘しておられると思います。 おかげさまで、私の二人の子どもは、今、それぞれの人生を歩み始めております。 歩みを止めていた十数年間、私は子どもをサポートし、その成長を見守ってきました。 そうです。世間的には、歩みを止めているようでも、子どもは確実に成長するのです! 親が子どもの成長を妨げない限りは! やる気をUPさせる↑↑・・・勇気づけ!! さて、子どもに対してさまざまな気持ちを抱いていらっしゃるお父さんお母さんへ、 共通してお答えすることのできる、あるスキルを私は提案することができます。 それは、≪勇気づけ≫というものです・・・! ≪勇気づけ≫とは何でしょうか? それは、相手のやる気を促す働きかけのことです。それは、もちろん不登校の子どもがすぐに学校に通いだ すというような特効薬ではありません。でも、決してがっかりしないでください。大きな変化は望めません が、≪勇気づけ≫を心がけてから、すぐに子どもの成長を実感できるようになります。これは、小さな変化 ですが、≪勇気づけ≫を地道に続けていけば、幾度となく子どもの成長の場に立ち会うことができます。そ して、それを積み重ねていけば、いつのまにか、大きく変化していることになるのです。 子どもが赤ちゃんだった時、立って歩いたことに感動したのを覚えていらっしゃいますよね。子どもの成 長を目の当たりにすることこそが、親にとっての一番の醍醐味です。それが≪勇気づけ≫によって次々と目 5 の前で繰り出されるわけです。どうですか? ちょっとワクワクしてきませんか? さてそれでは、≪勇気づけ≫とはいったいどんな働きかけのことをいうのか、ご説明したいと思います。 ですが、実は、その前にやっておかなくてはならないことがあるのです。 それは、≪勇気づけ≫とは反対の≪勇気くじき≫についての説明です。 やる気をDownさせる↓↓・・・勇気くじき!! ≪勇気くじき≫とは、何でしょう? ≪勇気くじき≫とは、相手のやる気、自信を奪う働きかけのことです。 それでは、子どもが料理の手伝いをしている時の母親の働きかけから例をとって、ご説明いたします。 ≪勇気くじきの例≫ 子どもが料理の手伝いをしている時の母親の働きかけ 1. 子どもが揚げ物に挑戦しようとした時、「それはやらなくていいわよ」 2. 子どもが皮むきでモタモタしているのを待つことができず、手を出して、「代わるわ」 3. 子どもが牛乳を注ごうとしてこぼした時、「ここはもういいわ」 4. 子どもが包丁を使っている時、いちいち、「危ない!」 「指に気をつけて!」「よく見て!」 5. 料理の得意な姉と比べて、「お姉ちゃんは上手なのに…」 6. 子どもが料理の出来に落胆している時に、「上手にできたじゃない」 7. 子どもが楽しそうに盛り付けしている時に、完璧でないのを見て、 「ここはこうした方がいいんじゃない?」 8. 子どもを信用できずに、「お皿割らないでよ」 1∼3 は、母親が子どもの挑戦を途中で禁止してしまった例です。1 は、子どもの能力を低く見すぎて、 2 は、子どもの未熟さを許せなくて、3 は、子どもの失敗を許せなくて、せっかくの子どもの挑戦を禁止し てしまいました。 4∼8 は、母親が子どもを正しく導いて失敗させないことを目的としているために、余計なことを言ってし まった例です。6 は、子どもを励ましているようにも見えますが、子どもが、失敗だと思って落胆している 6 のに、失敗を無理やり失敗じゃないと思わせようとしています。見え透いた言葉でやる気が出るとは思え ません。7 も、子どもに優しくアドバイスしていて、いい働きかけのように見えます。しかし、せっかく子 どもがやる気を出して取り組んでいるのですから、子どもの成長のためには、盛り付けの出来映えを気に するより、子ども自身が考えて工夫し、最後までやり遂げることのほうが重要です。経験を重ねれば、お のずと出来は良くなるからです。 これらの例のように親が良かれと思ってやっていることが、実は、子どものやる気をそぐ≪勇気くじき≫ になっているのです。そして、せっかくの子どもの成長のチャンスをつぶしてしまっているのです。 親は≪勇気くじき≫をやめて、子どもを信頼し、子どものやり方を尊重しなければいけません。 ここまで読まれたお父さん、お母さんの中には、(今までさんざん≪勇気くじき≫をしてきた。どうしよう!) と思われた方もいるでしょう。でも、大丈夫です。≪勇気くじき≫をやめたそのときから、子どもは再びや る気を取り戻すのです。何かに挑戦したいという欲求は、確かに子どもの中にあるのです。 かく言う私も、いまだに≪勇気くじき≫をしてしまうことがあります。そんな時は、子どもに、「あの時あ んなことを言ってしまってごめんね。こうすれば良かったね」と言って、謝ります。すると、子どもは「いい よ、いいよ」と言って、気にしないで大丈夫という思いやりを返してくれます。こんなやりとりがあると、 (たまには、失敗することも、幸せを実感できていいかも!)って思います。 Let s Try!! 勇気づけ !! さて、≪勇気くじき≫をやめる決意をしたら、次は、≪勇気づけ≫です。 ≪勇気づけ≫とは、相手のやる気を促す働きかけのことでした。≪勇気づけ≫は、実際どんなふうに行う のか、先程の≪勇気くじきの例≫の各場面を≪勇気づけ≫に変えて説明したいと思います。 ≪勇気づけの例≫ 子どもが料理の手伝いをしている時の母親の働きかけ 1. 子どもが揚げ物に挑戦しようとした時、「そうね。もうできるかもしれないわね」 2. 子どもが皮むきでモタモタしている時でも (手出し、口出しせずに待っていよう)。 最後までできたら、「すごいよ。頑張ったね」 3. 子どもが牛乳を注ごうとしてこぼした時、 「こぼしちゃった?大丈夫よ。台布きんで拭いて洗っといてくれればいいわ。」 4. 子どもが包丁を使っている時、少々危なっかしくても(口出ししないでおこう)。 指を切ってしまったら、「こうして絆創膏を張っておけば、大丈夫よ」 7 5. 料理の得意な姉とは比べないで、 「手伝ってくれてありがとう。頑張ってくれたからとっても助かったわ」 6. 子どもが料理の出来に落胆している時に 「元気ないわね・・・」「お母さんはあなたが手伝ってくれてとってもうれしかったよ。」 7. 子どもが楽しそうに盛り付けしている時に、完璧でないのを見ても、(子どものやり方を尊重しよう。 「手伝ってくれてありがとう。頑張ったね」 口出ししないでおこう)結果、出来が良くなくても 8. 子どもが、前に皿を割ったことがあっても、(子どもを信じよう。口出ししないでおこう)。 また、皿を割ってしまっても、「くやしいね。でも、大丈夫。今度はきっとうまくいくわよ。 どうしたらいいか考えましょう」 1∼4 と 8 は母親が、子どものありのままを受け入れて、子どもを信頼していることを示している例です。 1 は、子どもの能力を適正に判断して、子どもの挑戦を受け入れています。2 は、子どもの未熟な点を受け 入れつつ、最後までやり抜くことを信じています。3 と 4 は、子どもの失敗にはあまり注目せず、その後始 末の仕方を教え、それができるであろうと期待しています。8 は、子どもへの不信を抑えて、信じようと決 意しています。さらに、失敗を重ねたときには、失敗には注目せず、子どものくやしい気持ちに寄り添い ながら、きっと解決できると信じています。これらの例のように親から示された信頼に応えようとして、 子どもはやる気を起こします。そして、子どもを信頼しているというメッセージを発し続けること、これ が≪勇気づけ≫です。 5∼7 は、母親が、料理の出来、不出来には注目せずに、子どもの努力を認めて、子どもに対しての感謝 の気持ちを示している例です。もし、子どもが上手に料理することにとらわれていたら、料理の出来映え が良くなかった時、子どもは、また料理をしようという気持ちにはならないでしょう。ですが、もし、親 が、料理の出来映えよりも、挑戦しようという心や、未熟でも頑張って努力することが尊いのだと子ども に伝えることができたら、そして、その努力は、人から感謝されるほどの価値があるのだと伝えられたら、 子どもは、出来が良くなくても、また料理を作ってみようという気持ちになるでしょう。つまり、結果に かかわらず、子どもの努力を認め、感謝の気持ちを子どもに伝え続けること、これが≪勇気づけ≫です。 勇気づけ のあとには・・・ さて、ここまで読み進めていただいたお父さんお母さん、いろいろ≪勇気づけ≫の例をあげて みましたが、いかがでしたか? 普段使わない言葉や態度が出てきて、少々気恥ずかしいと思いませんでしたか?むしろ≪勇気くじき≫の 方がおなじみだったのではないでしょうか。 私たち親世代にとって、両親や先生といった大人は絶対的な存在であり、もし大人から≪勇気くじき≫ 8 を受けたとしても、当然であって、納得のいくことでした。ところが、民主的な思想が行き届いた今を生 きる子どもたちは、自分を取り巻く環境や、さまざまな情報から、自分は周りの人と対等な一人の人間で あると、小さいころから感じ取っています。したがって、今の子どもたちが、親や先生から≪勇気くじき ≫を受けると、不当で理不尽な扱いをされたと感じ、やる気を失ってしまうのです。 というわけで、お父さんお母さん、気恥ずかしさを乗り越えて≪勇気づけ≫を実践してみましょう。 最初のうちはぎこちないですが、そのうち子どもとのコミュニケーションが良好になり、子どもが前より も生き生きしていると感じることが出来ると思いますよ。 私の家の場合で言いますと、私が≪勇気づけ≫を続けていくうちに、子どもがどんどん元気になって、 家庭以外の居場所を求めるようになり、そして、地域のイベントや博物館などに出かけるようになり、習 い事を始めたり、フリースクールに通うようになりました。そして今、一人は通信制高校へ、一人は普通 高校へ通っています。子どもがどんどん成長していくさまを目の当たりにすることは、本当に楽しく、幸 せなことでした。 それから、≪勇気づけ≫をしていて、私には思いもよらないことが起こりました。それは子どもが私に 対して≪勇気づけ≫をしてくれるようになったことです。つまり、私に対して信頼や感謝を言葉や態度で 表してくれるようになったのです。これは、親としての最上の喜びと言えるでしょう。 さて、最後までお付き合いいただいたお父さん、お母さん、ありがとうございます。 ここまで関心を持って読み進めていただいたお父さんお母さんは、 きっと≪勇気づけ≫を実践することが出来ると私は信じています。 そして、お父さん、お母さんが≪勇気づけ≫を続けることで、 今の時代に合った新しい良好な親子関係を築くことが出来たら、 私にとってこんなに嬉しいことはありません。 どうか頑張ってください。そして幸せを感じてください。きっとかないます。 9