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「子どもの遊びのあり方を再考する」
提 言 「子どもの遊びのあり方を再考する」 越 正 大 2.商業主義と遊び います。 に考える、そのような環境のあり方が今問われていると考えて びの機会を奪うことになりかねません。子ども達の発達を優先 生きていく上で重要です。危険を遠ざけるだけでは、大切な学 せんが、危険を予測し、自ら回避するような力をつけることも もちろん生命に関わるような危険は予め回避しなければなりま もにとって魅力的な玩具のある家の中に誘うことになります。 くない公園には子ども達は足を向けなくなり、結果として子ど が公園に集うモチベーションに少なからずなっています。面白 「管理責任の回避」などでしょう。魅力的な遊具は、子ども達 れてしまうことが多々あります。その理由は「経費がかかる」、 で一度事故が起こると、その遊具は改良されることなく撤去さ 公園から遊具が消えるという事態が起きています。遊具が原因 の中、公園はそれを補う役割を果たしてきましたが、今、その 公園は友達との大切な出会いの場、関わり合いの場の一つで す。都市化などにより、外遊びのスペースが減少している状況 1.遊びと環境 子ども達の中にはスポーツ少年団などに所属する子も多くい ます。ドイツの運動学者、マイネル(1898~1973)は、 3.遊びとスポーツ れていると感じました。 めて気付かされるとともに、玩具を与える大人の考え方が問わ を高める要素や人間関係づくりを学ぶ要素が沢山あることに改 越感はこの上ない快感です。昔ながらの遊びには、巧みな動き 「上手にできた」ときの感動、達成感、勝負に勝ったときの優 まくなりたいと夢中になって練習します。そして、「できた」 ローになっていました。子どもは上手な人を尊敬し、自分もう 上 手 に ま わ す こ と が で き た お 父 さ ん は、 一 躍 子 ど も 達 の ヒ ー すのにも、また戦いの場を作るのにも、技術と工夫が必要です。 と あ る 田 舎 の 遊 園 地 の 入 り 口 に、 自 由 に 遊 べ る 昔 な が ら の ベーゴマが置いてありました。ベーゴマは紐を巻くのにも、回 で手が伸びてしまうことがあります。 り好ましくないと思う玩具でも、子どもの喜ぶ顔を見たい一心 までもありません。日ごろ仕事で忙しい保護者の方々は、あま です。これらの登場の背景には商業的な戦略があることは言う 終わりというもの、人との関わりが必要のないもの、社会生活 東海大学体育学部 専任講師 大 玩 具 は 子 ど も の 発 達 に 少 な か ら ず 影 響 し ま す。 子 ど も 達 が 持っている今時の玩具を見てみると、知育や運動能力の向上を 9歳~ 歳頃は運動系の発達が最高潮に達する時期で、スポー において望ましくない本能的快楽を抉り出してしまうものなど えぐ 考えた玩具が沢山開発されていることに驚く一方で、発達にプ くてはならないもの、完成されたもので発展性がなく飽きれば 工夫の余地がなく、勝つためにはお金を出してパーツを買わな も見受けられます。例えばボタンを押すだけなどの単純操作で ラスとなる要素が少ないばかりかマイナスの要素を感じるもの を見ていると、考えられないような罵声を選手に浴びせる指導 と呼んでいます。しかし、この時期の子どものスポーツの試合 います。スポーツの世界ではこの時期を「ゴールデンエイジ」 ツの技術がよく身につく「即座の習得」の時期であると述べて 12 さがみはら教育No.152 24 4.遊びの本質を考える に当たることであると考えています。 なく、常に発達段階を考慮し、現在よりも将来を見通して指導 ポーツ指導で大切なことは、指導者が勝利至上主義に陥ること い 人 間 関 係 を 構 築 し て し ま う こ と さ え あ り ま す。 子 ど も の ス ります。さらに、指導者と子どもや子ども達同士に好ましくな 力を充分に味わうことができない状況を生んでしまうこともあ 子しか試合に出場できず、技能が未熟な子はそのスポーツの魅 群になる子どもが増えたりすることがあります。また、上手な により障害や外傷が増えたり、バーンアウト(燃え尽き)症候 びと対極のものとし、その結果、適時性を無視した無理な練習 者を時々目にします。指導者の勝利至上主義は、スポーツを遊 な発想の転換が好循環につながるのではないかと考えています。 なく、遊ぶことを目的に子どもと共に思いっきり楽しむ、そん き生きと仕事ができます。先生も子ども達と仕事で遊ぶのでは も遊び感覚で行う方がよりよい発想が生まれ、ストレスなく生 とらえることではないでしょうか。大人の仕事も義務感覚より してとらえるのではなく、遊び=学び、遊び=スポーツとして 達にとって大切なのは、遊びと学び、遊びとスポーツを対極と 繰り返し遊び、その結果、望ましい発達が促されます。子ども 失うというものです。子どもは、楽しいからこそ夢中になって た。すなわち遊びは遊びであり、強制された途端にその魅力を で非生産的な活動であるとし、遊びの自己完結性を主張しまし スの思想家、カイヨワ(1913~1978)は、遊びを自由 になりました。さらに子どもの体力・運動能力の低下や自律神 しろ「外で元気よく遊びなさい」という声が多く聞かれるよう かさや、子ども達の健全な発育発達が重視される今日では、む という声が当たり前のように聞かれました。それが、生活の豊 い」、スポーツにおいても「遊びでやっているならやめろ」など ができません。そこで、多くの子ども達の現状と遊びの大切さ り、大人・社会の意識が変わらなければ、子どもを変えること 社会全体が取組むべき課題です。子どもは大人・社会の鏡であ が大切であり、これは学校だけでなく、家庭・地域・行政など、 な遊びがあります。自発的な遊びは動機付けとなる環境づくり 学校における子ども達の遊びには、休み時間や放課後などに 行う自発的な遊びと、特別活動や体育の授業などに行う意図的 5.学校に求められること 経系の不調、コミュニケーション能力の低下などが指摘される を熟知している先生方のいる学校がコーディネーター役とな 戦後、経済成長が優先された時代には、遊びは勉強や労働と 対極のものとして扱われ、家庭では「遊んでないで勉強しなさ 現在では、遊びの効果に一層注目が集まるようになりました。 ことが期待されます。 や文化的活動など、これらはすべて、感覚器の機能向上や知識 争性のある遊び、思春期以降に見られる趣味としてのスポーツ び、幼児期に見られる模倣や想像の遊び、児童期に見られる競 ではなく「もっとやりたい」という声を聞くことができたなら、 かけを失っている子ども達から、授業後に「やっと終わった」 え方もあります。しかし、集団で元気よく体を動かして遊ぶきっ 一方、意図的な遊びは、教育の目的を達成するために仕組ま れた活動です。「強制的な遊びはもはや遊びではない」という考 り、家庭や地域に情報を発信したり、啓発活動を行ったりする 発達心理学の面から見ると、人が遊ぶのは生きていくために 必要な諸能力の獲得のために備わっている性質と考えられま の習得、感情のコントロールなど、生きていく上で必要な認知 課外、学校外での自発的な遊びにつながることでしょう。この す。乳児期に見られる目、耳、皮膚などの感覚機能を使った遊 発達に大きな役割を果たしています。 る理想の授業の条件の一つではないかと私は考えています。 ような声が上がる授業は、生涯スポーツの基礎づくりにつなが 一方、遊びの文化人類学的研究の草分けとして知られるオラ ンダの歴史学者、ホイジンガ(1872~1945)やフラン 25 さがみはら教育No.152 提 言 15 遊びと人間関係づくり はじめに 本校では、異学年交流「ふれあいグループ活動」を子ども・ 教師・家庭が大切にしてきました。開校以来 年が経過しても、 当初からの「ふれあいグループ活動」への思いは、未だ色あせ ることなく引き継がれています。 1 異学年交流「ふれあいグループ活動」 ①目的…上級生は思いやりの心や責任感を育て、下級生は教え て も ら っ た り、 優 し く し て も ら っ た り す る こ と に 喜 び を 感 じ、協力しようという気持ちや社会性を育てる。 ②グループ構成… か グループとする。 ・3クラスの学年は、クラスを4または5グループに分ける。 ・2クラスの学年は、クラスを7グループに分ける。 ③活動内容 ・月1回(水曜日の昼休み)遊びや奉仕活動などを児童の計 画で行う。 ・若松スペシャルタイム( 月) 一日をグループで決めた活動で過ごす。 (製作活動、集団遊び、校外活動などグループでの遊びや全 校でのカルタ大会) ・ふれあい清掃(9月)昼休みにグループごとに分担を決め て行う。 ・ふれあい給食( 月)グループごとにふれあい活動の教室 で会食をする。 2 子どもにとってのふれあい活動 月1回の活動日であっても、スペシャルタイムの活動であっ ても、基本的には6年生がリーダーとして、グループ全体が楽 しめる遊びの企画・実施を行うことになっています。そして、 5年生はサブリーダーとしてどのように6年生を助けるのかを 考え、取り組んでいきます。1年生から4年生にも、同じよう 14 11 10 30 ~笑顔いっぱいの異学年との交流~ 田 利 子 相模原市立若松小学校 校長 小 に学年に合ったグループ内の役割分担が任されます。従って学 年が上がるにつれて、自分の立場が変わっていくのです。また、 高学年は、雨の日の場合の活動や低学年までが楽しめる遊び作 りをします。自分の思いだけでなく、グループ全体を意識して 計画をたてることは、リーダーとして大変苦労することも事実 です。それは、何度も何度もグループ担当教員に相談に訪れる 6年生の表情からも感じ取ることができます。低学年は、活動 を重ねる中で、自分のために計画をし、楽しませてくれること に気づき、喜び、自然と高学年への親しみと感謝の思いを抱き ます。5月の顔合わせでの、緊張した子ども達の表情や、卒業 前の「6年生を送る会」で涙する1年生や2年生の姿を見ると、 ふれあいグループでの活動が、子ども達の心の成長に、どんな に大きく関わっているのかを実感します。子ども達にとって、 ふれあいグループは、思いやりの心を育て、集団への関わり方 を学ぶ場になっています。 3 教師にとってのふれあい活動 ふれあい活動の留意事項の中に、次のような記述があります。 ◎教師の役割 ・リーダーの仕事や役割については、事前に指導し、他の児 童の前では活動ぶりを積極的に誉めるようにする。直接的 な指導や批判はしない。 ・児童の自主的・主体的な活動を大切にし、集団の発達を信 頼し見守るゆとりを持つようにする。 ・励まし合い、助け合い、協力し合う温かい雰囲気を作るよ うに、児童1人ひとりに寛容な態度で接するようにする。 ・グループの目標や活動の目標などについて、児童の意識化 を図る。 ・リーダーやその他の児童のどんな頑張りも積極的に認めて いく。 さがみはら教育No.152 26 『全校の児童を、全職員で育てる』の活動目標のもと、ふれあ い活動での指導は、共通理解を図って行うようにしています。 また、リーダーの指導だけでなく、他の構成員の状況や出来事 なども、担任へ連絡・報告するよう心がけています。ふれあい 活動の留意点は、全てが児童指導の大切な視点であり、集団を 育てるための心構えでもあります。遊びを通しての異学年の関 わりは、学習活動では、なかなか得られない異学年との協力の 大切さや役割分担を成し遂げた成就感を育てています。 教師にとっての「ふれあいグループ」活動は、子どもの成長 を信じ、時間と手間をかけることや子どもに寄り添い、活動を 見届けることなど、児童や集団を育てることの視点を学ぶ機会 となっています。 4 保護者にとってのふれあい活動 本校は、相模大野駅にほど近く、住宅街の中にあります。遊 び場としての公園や自然の豊かな場所は、多くはありません。 放課後、子ども達が、友達と群れをなして遊ぶ姿を見ることも、 そう多くはありません。遊びを通しての仲間作りには、学校が 大切な場となっています。そして、その現状を各家庭が良く理 解してくださり、「スペシャルタイム」などのお手伝いボラン ティアに多くの申し出があります。 また、開校以来の異学年の交流の良さを感じ、児童の交流活 動を温かく見守る雰囲気があります。学校(教育)評価の自由 記述欄に ・ 異学年の交流があり、自然と低学年を気づかう気持ちが育ま れているように思います。 ・ ふれ あ い グ ル ー プ の 活 動 を 通 し て 思 い やりの心が育ってい ると思います。 ・ 異学年との交流の様子をとても楽しそうに話します。クラス の活動では得られない体験ができているようです。今後も継 続を・・ など、保護者として、遊びや活動を通して子どもの心の成長を、 期待していることがわかります。 まとめにかえて 子どもは、遊びが大好きです。一人で遊ぶことよりも、大勢 で遊ぶことが好きです。集団で遊ぶことが苦手な子どもでも、 集団遊びの楽しさや他の人が喜んでいる様子を感じると、不思 議と次の活動を心待ちにするようになります。 それは、子ども自身が遊びから何かを、学んでいるからでしょ う。本校でのふれあいグループでの遊びは、人間関係づくりの 学びの場になっています。様々な活動や遊び、集団での出来事 を繰り返しながら、 「人と人との距離感の持ち方」、 「集団におい ての役割分担」などを学んでいるのです。また、協力すること の大切さや、協力することで得られる楽しさを実感し、共に行 動する良さを理解していきます。子どもの遊びが変化してきた と言われる今だからこそ、子ども達には、遊びの楽しさや集団 遊びに期待する心を育てたいと思います。テレビゲームやゲー ム機器の進歩で、与えられた中での遊びが多くなっています。 遊びとは、相手と自分が共に楽しく遊ぶために知恵を働かせ、 工夫ができることだと思います。そのために、工夫を繰り返す ことができるような魅力と心の高まりがある遊びを、子ども達 に伝えていきたいと思います。 そして、遊びの有用性を知っている大人達の役割として、遊 ぶことを仕掛け、見守り、遊びを通して、人と人とを結ぶ力・ コミュニケーション能力がしっかり持てるようにしなければな りません。「ほどほどの人間関係」を求めるといわれる子ども達 に、集団遊びを通して、自己有用感や成就感を感じさせるには、 子ども達に遊ぶことの楽しさを無条件に感じさせることであ り、集団の中にいる心地よさを体感させることです。あきらめ ず、何度でも、 「みんなで一緒にあそぼうよ。」 と、声をかけていくことでしょう。大人も ・・・・・・ 。 6年生への振り返りアンケートの中に ・ みんながなにより、笑顔になるように楽しい企画を考えた。 ・ 1年から6年生全員がふれ合える時間なので、楽しく明るく 活動することができた。 ・ みんなに優しく笑顔で接したり、仲良くできるように、いろ いろと工夫した。 ・ なかなか遊べない学年とも遊べるし、学校に行くのが楽しみ になった。 ・ 楽しさの裏のとてつもない苦労が、中学校でも生かせそう。 などの記述があるのをみても、6年間の異学年との遊びや交流 は、欠くことのできないものであり、これからも、本校の伝統 として大切に引き継いでいきます。 27 さがみはら教育No.152 提 言 人間関係づくりに不可欠な『遊び』 里 真 て、次のようなものがあげられた。「限られた集団の中だけでし 平成二十三年の八月に文部科学省が開催したコミュニケー ション教育推進会議の中で、現在の子ども達の現状や課題とし はじめに ということになる。方法としては、同学年での活動でもよいが、 ないのが現状である。したがって、「授業の中で」「休み時間で」 時間の確保が必要である。しかし、実際にはなかなか確保でき つ力を最大限利用して、コミュニケーション能力を育てること 相模原市立青野原中学校 校長 仲 かコミュニケーションをとらない」「外遊びや自然での体験の減 異学年での活動の方が子ども達の興味関心は高くなる。 である。学校の教育活動の中で、それを実践するには、多くの 少により他者との関係づくりができなくなってきている」。 を変えていくには、大人がもっと危機感を持って取り組んでい かなければならない。人間関係づくりが身についていない現状 つくるには、もっともっと大人が人間関係づくりに関わってい ある部分についての見解を述べていきたいと思う。人間関係を ン力がつくとかの話だけではなく、もう一歩踏み込んだ根底に 今回のテーマである「遊びと人間関係づくり」については、 どんな遊びがよいとか、どんな遊びをするとコミュニケーショ 願う。 題の解決のための糸口とすることで教育活動の一助になればと の三十五年間の教員生活の中で感じたことを、現状の打開、課 はどうすればよいのかを考えてみた。私が小学校及び中学校で るためには、どうしたらよいのか、また課題を解決するために の中で、特別に大がかりなことをしないで、この現状を打破す も同様な傾向にあることがわかった。そこで、日常の教育活動 いるが、その一つひとつを工夫することで、課題の一部が解決 われる。さまざまな教科で、多くの異なった教育活動を行って 自然に体力や運動能力、我慢する心、他者への気遣いなどが養 という集団で活動させることである。集団で活動することで、 入れることが必要である。つまり学習形態を工夫し、グループ しさを感じさせるには、遊びの要素である集団での活動を取り 授業においては、知識の切り売りのような授業ではなく、学 ぶ楽しさを追求する授業を展開することが大切である。学ぶ楽 【授業の中で】 と積み上げる精神力が必要である。 行するのは容易ではなく、用意周到な計画と、地道にこつこつ てくる。しかし、「創意工夫をして」と簡単に言うが、実際に実 かなければならず、創意工夫がとても必要であり、大事になっ 難しい現状である。そのため、日常の教育活動の中で行ってい 学校教育の中では、時間と施設・設備が限られているため、 自ずとできることも限られてくる。新しく行事を増やすことは 一 学校教育の中での「遊びと人間関係づくり」 くことが必要である。身近なところでは、学校での教育活動が できると考える。 このことについて、相模原の子ども達についても同様な傾向 があるのか、アンケート調査をしたところ、相模原の子ども達 あげられる。さらに学校教育において重要なことは、遊びの持 さがみはら教育No.152 28 【休み時間の中で】 作っていけるかということである。 準備と心がけが必要である。登校班や縦割り集団である異年齢 安易な計画ではなく、シミュレーションをするぐらいの綿密な 【一日一回は全員が顔を合わせるよう努力する家庭】 であってほしいと願う。 子ども達を育てる基盤は当然家庭にある。したがって、家庭 教育は子ども達の成長に大きく関わっている。次のような家庭 三 人間関係づくりに不可欠な家庭の協力 集団を活かした遊びは、慣れてくると短時間で楽しむことがで 学校生活の中で、休み時間は短いが、数は多くある。だから こそ、思いつきにとどまらず、計画的に行うことが大切である。 きるようになるので、休み時間の中で行う活動としては適して ケーション能力は育つのである。 の一つも起こる。しかしその中で、着実に子ども達のコミュニ 忙しい中ではあるが、せめて一日一回は家族全員が顔を合わ せる場を設定することが大切である。全員が集まれば、けんか いると考える。 【行事を利用して】 ある。 きる、実施してその結果がすぐにわかる活動にするとよいので 素を取り入れるのならば、複雑ではなく、単純で、誰でもがで 【会話をする家族】 づくりは上手である。 る。したがって、会話のある家庭で育った子どもは、人間関係 コミュニケーション能力が育つ要因に会話がある。人と話を することで、コミュニケーション能力はアップしていくのであ 【会話のある家庭】 二 人間関係づくりに必要な教師のコミュニケーション力 会話のある家庭より会話をする家庭の方が、より能動的であ り、コミュニケーション能力がさらに高まる傾向がある。 現在実施している行事を利用することで、新たな活動を展開 することができる。それは、まずその行事のねらいを再度確認 教師が変われば、子どもも変わる。いつの時代でも言われて いることである。しかし、最近少し気になることがある。それ し、ねらいが達成できるように、別な方法を考える。遊びの要 は、次のような教師である。このような教師に教わったら、子 としっかりしなければならない。 を光り輝かせるのも燻らせるのも大人次第である。大人がもっ くすぶ 教師として、日々これ勉強であり、一生学び続けることが大 切だとあらためて考えさせられる。子どもは宝である。その宝 おわりに だと感じる。 てきた。それだけ世の中の親も子育てに苦慮し、悩んでいるの ればならないのである。特に最近はそう感じることが多くなっ 教師は子どもを育てると同時に、子どもを通して親も育てなけ いくら学校が頑張っても、家庭での協力がないと、子どもは 健全に育たない。子ども達は、親を選ぶことはできない。私達 どものコミュニケーション能力は間違いなく育たないであろう。 【人とのつきあいを避ける教師】 【仲良しの人としかつきあわない教師】 【一見無駄に見えることを大切にしない教師】 【効率の良さだけを追求する教師】 【初対面の人と話が上手くできない教師】 【横並びを良しとする教師】 【人権的感覚の乏しい「みんなちがってみんないい」というこ とがわからない教師】 したがって、教師自身のコミュニケーション力が大事になっ てくる。いかに、教師が自分自身で、教師としての器を大きく 29 さがみはら教育No.152