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スマートホーム需要予測調査 結果要旨 - 京都大学 大学院経済学研究科
2011年 3月 27日改 スマートホーム需要予測調査 結果要旨 京都大学 依田 高典 政策研究大学院大学 田中 誠 京都大学 村上 佳世 UCバークレー校 伊藤 公一朗 (無断引用・転載禁止) 京都大学大学院経済学研究科 依田高典研究室 [email protected] 1 スクリーニング・テスト 2011年2月14∼17日 (株)マイボイス社 WEB調査により、地域別人口分布を割り付けて、 8,987世帯をランダムに抽出抽出。 うち、5年以内に住宅(一戸建て・マンション)の 購入・リフォームを検討している世帯1,630名(出 現率18.1%)。 2 本テスト 2011年2月25∼28日 (株)マイボイス社 5年以内に住宅(一戸建て・マンション)の購入・リフォームを検討し ている者1,630世帯の中から、地域人口分布を割り付けて、649世帯を ランダムに抽出(抽出率39.8%)。 2011年3月7∼10日 (株)マイボイス社 5年以内に住宅(一戸建て・マンション)の購入・リフォームを検討し ていない者7,357世帯の中から、地域人口分布を割り付けて、694世帯 をランダムに抽出(抽出率9.4%)。 3 スマートメーター(予定あり) •! 推計結果 !! パラメータの係数値が有意だったものは、初期設置費用、専用モニター付き、省エネアドバイス付、オ フピーク割引、ピーク割増、エアコン28度自動制御、温暖化ガス削減。 !! 消費者は、専用モニター設置に対して月々79.8円、省エネアドバイス付に対して月々74.5円を 支払う意思がある。 !! 時間帯別料金サービス:オフピーク割引はスマートメーターの選択確率を高めるが、ピーク 割増は選択確率を低下させる。月々のWTPでみると、割引システムが導入される場合は1割 分について30.2円多めに支払う意思があるが、割増システムの場合は倍率が1単位上がる毎 に60.4円支払意思を下げることが予測される。 !! エアコン28度自動制御機能の付与は、スマートメーターの選択確率を下げる。 •! 普及予測 !! 料金を事業者が全負担した場合(機器月間料金0円)、特にインセンティブやペナルティを 付与せずとも、86.6%の普及率が見込める。専用モニター(家庭内で電力の見える化)を設 置し、オフピーク時に3割引、温暖化ガスも30%削減できる場合は、94.4%の普及率が見込 める。ピーク時の料金2倍、エアコン28度自動制御機能などのペナルティ付与には普及率を 下げる効果があるものの、インセンティブを共に付与した場合は全体として9割近い普及率 が見込める。 !! 消費者が月額300円を負担する場合、20%以上の普及率低下が予測されるが、オフピーク割 引などのインセンティブを付与することで普及率は80.6%に回復する。 !! 消費者が月額600円を負担する場合、オフピーク割引などのインセンティブを付与しても、 普及率は51.2%程度が予測される。ピーク時に料金2倍にするなどのペナルティも一緒に付 与する場合は、31.8%の普及率が見込まれる。 4 スマートメーター普及予測度 (5年間戸建て・マンションの購入リフォーム予定あり) 5 KNTG@%(A KNTG@%(Y=<>A ,+ 3 ,+ 3 ?;:-' 4 ?;:-' 3 #SOMVC 3 #SOMVC 4 $FPZ]_^_[\ 3 $FPZ]_^_[\ 3 GRQVI01 3 GRQVI01 6 QVI01 3 QVI01 5 FEJU59& 3 FEJU59& 4 .BD 3 .BD 3 *BD 3 *BD 3 HLW/X !" 43 32988 HLW/X !" 63 32993 KNTG@)%(A KNTG@)%(Y=<>A ,+ ,+ 633 633 ?;:-' 4 ?;:-' 3 #SOMVC 3 #SOMVC 4 $FPZ]_^_[\ 3 $FPZ]_^_[\ 3 GRQVI01 3 GRQVI01 6 QVI01 3 QVI01 5 FEJU59& 3 FEJU59& 4 .BD 3 .BD 3 *BD 3 *BD 3 HLW/X !" 43 32853 HLW/X !" 63 32873 6 '*,)+,(, ! "#& ! "%$ 7 スマートメーター普及予測度 (5年間戸建て・マンションの購入リフォーム予定なし) 8 LOUHA%(B LOUHA%(Z>=?B ,+ 3 ,+ 3 @<;-' 4 @<;-' 3 #TPNWD 3 #TPNWD 4 $GQ[^`_`\] 3 $GQ[^`_`\] 3 HSRWJ01 3 HSRWJ01 6 RWJ01 3 RWJ01 5 GFKV59& 3 GFKV59& 4 .CE 3 .CE 3 *CE 3 *CE 3 IMX/Y !" 43 328:7 IMX/Y !" 63 32843 LOUHA)%(B LOUHA)%(Z>=?B ,+ ,+ 633 633 @<;-' 4 @<;-' 3 #TPNWD 3 #TPNWD 4 $GQ[^`_`\] 3 $GQ[^`_`\] 3 HSRWJ01 3 HSRWJ01 6 RWJ01 3 RWJ01 5 GFKV59& 3 GFKV59& 4 .CE 3 .CE 3 *CE 3 *CE 3 IMX/Y !" 43 32755 IMX/Y !" 63 32649 9 '*,)+,(, ! "#& ! "%$ 10 PV(太陽光発電)(予定あり) •! 推計結果 !! パラメータの係数値が有意だったものは、初期設置費用、光熱費、温暖化ガ ス削減、無料点検期間。 !! 消費者は、光熱費が減少するのであれば、太陽光発電システムの設置に対し て多めに支払う意思があり、その額は1割分の減少に対して14.8万円。 !! 同様に、温暖化ガスが10%削減される場合には、初期設置費用について14 万円を追加的に支払う意思がある。 !! 無料点検期間については、1年増える毎に2.6万円を追加的に支払う意思があ る。 •! 普及予測 !! 現状(初期設置費用200万円、光熱費4割減、温暖化ガス30%削減、無料点 検期間10年)で、予測される普及率は26.4%。 !! 初期設置費用が150万円になれば55.6%、100万円になれば81.4%の普及率 が見込める。 !! 初期設置費用を200万円に据え置いたとしても、光熱費が6割減少し、温暖 化ガス削減率50%、さらに無料点検期間20年まで延長した場合、普及率は 74.4%が見込める。同じ条件で、初期設置費用も150万円まで下がれば、 91.0%の普及率が見込める。 11 太陽光発電普及予測度 (5年間戸建て・マンションの購入リフォーム予定あり) 12 +#!!, +#!! , #!! #!! % ' .0 $! .0 &! "! #! 1/-5324 ! 1/-5324 ! ! #'% +"!!, ! (%% +"!! , "!! "!! % ' .0 $! .0 &! "! #! 1/-5324 ! 1/-5324 ! ! )"% ! *(# 13 ! ! "% $# 14 太陽光発電普及予測度 (5年間戸建て・マンションの購入リフォーム予定なし) 15 )#!!* )#!! * #!! #!! % ' ,. $! ,. &! "! #! /-+3102 ! /-+3102 ! ! !$' )"!!* ! ##% )"!! * "!! "!! % ' ,. $! ,. &! "! #! /-+3102 ! /-+3102 ! ! %$# ! (&# 16 ! " ! #& %$ 17 PVダブル発電(予定あり) •! 推計結果 !! パラメータの係数値が有意だったものは、初期設置費用、オール電化定数項、光熱 費、温暖化ガス削減(オール電化のみ)、無料点検期間。 !! 消費者は、ガスコージェネよりも、オール電化に対してより積極的な購入意思がある。 !! 光熱費減少に際して初期設置費用を多めに支払う意思があり、その額は1割分の 減少に対してガスコージェネでは21.7万円、オール電化では12.4万円。初期設置費用 1%の変化が選択確率に与える影響(弾力性)をみると、オール電化よりガスコージェネ の方が光熱費減少に対してより弾力的である。すなわち、光熱費が1割減少する ことによる選択確率の上昇はガスコージェネの方が大きい。 !! 無料点検期間が1年増える毎に、ガスコージェネでは2.8万円、オール電化では3.5万円 の追加的な支払意思が生じる。 •! 普及予測 !! 現状(ガスコージェネ【300万円、光熱費7割減、温暖化ガス70%削減、無料点検10 年】、オール電化【250万円、光熱費6割減、温暖化ガス50%削減、無料点検10 年】)で、予測される普及率はガスコージェネ2%、オール電化11.9%。 !! ガスコージェネのシナリオ(オール電化は現状のまま):初期設置費用が100万円低下し、光 熱費9割減に技術向上した場合、52.9%の普及見込み。(この時オール電化5.7%) !! オール電化のシナリオ(ガスコージェネは現状のまま):初期設置費用が100万円低下し、光 熱費8割減に技術向上した場合、76.3%の普及見込み。(この時コージェネ0.5%) !! 初期設置費用が双方100万円低下した場合、普及率はガス9.3%、オール電化54.3%。 !! 上記全て(双方価格低下、双方技術向上)が達成された場合の双方の普及率は、 ガスコージェネ23%に対して、オール電化は59.1%の見込み。 18 太陽光ダブル発電普及予測度 (5年間戸建て・マンションの購入リフォーム予定あり) 19 , 0/- , :475;628 .1:475;628 &## %## <= ) <= + 47<!= )# 47<!= +# <= $# <= %# :3;9 :3;9 %'# $'# <= ( <= * 47<!= '# 47<!= )# <= $# <= %# :475;628 #"#%# :3;9 #"$$+ :475;628 #"%&# :3;9 #"'+$ 20 &() *"%#+$ ' *!+) 21 太陽光ダブル発電普及予測度 (5年間戸建て・マンションの購入リフォーム予定なし) 22 - 10. - ;586<739 /2. ;586<739 &## %## => * => , 58=!> *# 58=!> ,# => $# => %# ;4<: ;4<: %(# $(# => ) => + 58=!> (# 58=!> *# => $# => %# ;586<739 #"##$ ;4<: #"#$( ;586<739 #"#%' ;4<: #"$+% 23 &() *"%#+$ ' *!+) 24 エコカー(予定あり) •! 推計結果 !! パラメータの係数値が有意だったものは、割高感、燃費、最大走行可能距離、 ハイブリッドのプラグイン機能付き。温暖化ガス削減率は非有意であった。 !! 消費者は、エコカーを選択する際、温暖化ガス削減率ではなく、燃費や最大 走行可能距離を重視している。 !! 燃費が1割減少することに対して、2∼3万円の支払意思をもつ。(2.35万円, 2.79万円) !! 最大走行可能距離が100km延びることに対する支払意思額は、電気自動車で は2万円、ハイブリッド自動車では1万円であった。 •! 普及予測 !! 現状(EV【100万円割高、燃費7割減、走行可能距離150km、温暖化ガス 70%削減、急速充電施設まで30分以内】、ハイブリッド【40万円割高、燃費5 減、走行可能距離1000km、温暖化ガス30%削減、プラグイン機能なし】) で、予測される普及率はEV1%、ハイブリッド56.4%。 !! EVの割高感が50万円低下し、走行可能距離が2倍(300km)になるなど技 術が向上した場合に見込まれる普及率は19.6%。(この時HV35.8%) !! これに対して、HVでは、割高感が30万円低下し、走行可能距離が2倍 ( 2 0 0 0 k m ) に な る な ど 技 術 が 向 上 し た 場 合、 普 及 率 の 飛 躍 的 な 向 上 (94.6%)が見込まれる。(この時EV0.1%) 25 エコカー普及予測度 (5年間戸建て・マンションの購入リフォーム予定あり) 26 <"+A@= <"+>B= * ' * ' 211 ,./ 8 $. P ,./ 61 $. P 9 %!&).:;/ 261 %!&).:;/ 411 DFO-P 81 DFO-P 91 (*#&)./ 41 (*#&)./ 21 ICJMGH ' ICJMGH ' ,./ 51 ,./ 21 $. P 6 $. P 8 %!&).:;/ 2111 %!&).:;/ 3111 DFO-P 41 DFO-P 61 KLECN? 1 KLECN? 2 * ' * ' 10121 ICJMGH ' 10134 ICJMGH ' 10675 10937 27 ! ' $%&"# 28 エコカー普及予測度 (5年間戸建て・マンションの購入リフォーム予定なし) 29 <"+A@= <"+>B= * ' * ' 211 ,./ 7 $. P ,./ 61 $. P 9 %!&).:;/ 261 %!&).:;/ 411 DFO-P 71 DFO-P 91 (*#&)./ 41 (*#&)./ 21 ICJMGH ' ICJMGH ' ,./ 51 ,./ 21 $. P 6 $. P 7 %!&).:;/ 2111 %!&).:;/ 3111 DFO-P 41 DFO-P 61 KLECN? 1 KLECN? 2 * ' * ' 10114 ICJMGH ' 10121 ICJMGH ' 10317 10811 30 !#") & '($% 31 今後の課題 定量分析としては以下のような課題が考えられる。 •!マイホーム非希望者との結果比較 •!回答者の地域特性や個人属性による違い !!都市部か否か、どの電力会社の圏内か、通勤の自動 車を使うか否か、住まいの種類等。条件の違いで普 及予測が異なるか否かについて分析。 •!エコカー普及による温暖化ガス削減効果の分析、エコ カー補助金の費用便益分析など 32