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「現代ポートフォリオ理論」チャレンジ問題

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「現代ポートフォリオ理論」チャレンジ問題
「現代ポートフォリオ理論」チャレンジ問題
第1章
第1問
表が出るまで硬貨を投げ続けるゲームがある。1 回目に表が出れば 2 円、2 回
目に表が出れば 4 円、3 回目に表が出れば 8 円、
・・・、n 回目に表が出れば 2n 円がも
らえるという。
問1 連続 4 回まで硬貨を投げられるとき、この賭けでもらえる賞金の期待値は
いくらですか。
問2 何度でも硬貨が投げられるとき、賞金の期待値はいくらですか。
問3 効用関数を logX とすると、問 1 と問 2 の賞金の確実性等価額はそれぞれい
くらですか。
第2問
あなたは 5,000 万円の財産を持っている。
このうち 3,000 万円で住宅を買って、
残りを年 3%の金利で銀行に預けた。今後 1 年間にあなたが火災ですっかり住宅を失っ
てしまう確率は 0.1%あるという。効用関数が U (W ) = -1 W 5 で与えられると仮定して、
次の問いに答えなさい。ただし、火災に遭わないときの住宅の 1 年後の価値は 3,000 万
円のままとします。
問1 確率 0.1%で火災が起きることを前提にして、あなたの 1 年後の財産の確実
性等価額を計算しなさい。
問2 火災が起きたときに損失の全額を保証する火災保険を 1 年間契約する場合、
あなたはその火災保険に最大いくらの保険料を支払いますか。ただし、保
険料の支払いは年末と仮定します。
問3 保険料率が 1,000 万円当たり 1 万円とします。保険で損失の 50%をカバーす
る場合、1 年後のあなたの財産の確実性等価額はいくらですか。80%をカバ
ーする場合と 100%をカバーする場合についても確実性等価額を求めて、損
失の何%を保険でカバーするのが最適か答えなさい。
1
第3問
ある資産 A の 1 年後の価値額 S1 が次のように与えられている。
状態
確率
t = 1 の価値額 S1
1
0.0625
3.06
2
0.25
2.56
3
0.375
2.14
4
0.25
1.79
5
0.0625
1.49
問1 この資産の価値額 S1 の期待値とその標準偏差を求めなさい。
問2 効用関数 u ( x) = 1 - exp(- x ) を持つ投資家がこの資産を保有することによっ
て得られる期待効用、および確実性等価額とリスクディスカウント額の値
を求めなさい。
問3 現在の価値が 4 で、t = 1 における価値額が各状態において上記の資産 A に 2
を加えた値の資産があったとする。この資産を資産 B と呼ぶことにする。
資産 B に対して、効用関数 u ( x) = 1 - exp(- x ) を持つ投資家の確実性等価と
リスクディスカウント額の値を求めなさい。リスクディスカウント額の値
の変化に注目しながら、保有する資産水準とリスクに対する態度について
検討しなさい。
第2章
問1
あなたが運用するファンドの期待リターンは 12%、標準偏差は 30%です。リスク
フリー・レートは 5%とします。
(1) あなたのファンドに 70%、安全資産に 30%投資する甲さんのポートフォリオの期
待リターンと標準偏差は幾らですか。
(2) あなたのファンドには株式 A、B、C が投資比率 25%、35%、40%で組み入れられて
います。甲さんは株式 A、B、C と安全資産にそれぞれ何%投資していることにな
りますか。
(3) 乙さんは、あなたのファンドと安全資産に投資することによって 10%の期待リタ
ーンを得たいと思っています。乙さんはあなたのファンドに何%、安全資産に何%
投資するべきですか。
(4) 乙さんのポートフォリオの標準偏差は幾らになりますか。
(5) 丙さんは、あなたのファンドと安全資産に投資することによって最大限の期待
リターンを得たいと思っていますが、ポートフォリオの標準偏差を 20%に押さえ
2
たいと思っています。丙さんはあなたのファンドに何%、安全資産に何%投資す
るべきですか。
(6) 丙さんのポートフォリオの期待リターンは幾らになりますか。
(7) TOPIX に連動するインデックスファンドの期待リターンが 8%、標準偏差が 20%
とします。インデックスファンドとあなたのファンドのどちらかを選択しよう
とする投資家にとって、どちらが優れたファンドですか。
問2
3 つの資産の期待リターン、分散、共分散が次のように与えられています。
分散・共分散
資産
期待リターン
A
B
C
A
10%
240
150
0
B
8
150
130
0
C
6
0
0
0
(1) 安全資産はどれですか。
(2) 2 つの危険資産に等金額で投資するポートフォリオの期待リターンと標準偏差
は幾らですか。
(3) (2)の危険資産ポートフォリオに 75%、安全資産に 25%投資するポートフォリ
オの期待リターンと標準偏差は幾らですか。
第3章
問1
株式 2 銘柄のデータが次のように与えられています。市場ポートフォリオの標準
偏差を 26%として、以下の問いに答えなさい。ただし、A と B の固有リスクは無相関と
します。
株式
期待リターン
ベータ
固有リスク
A
10%
0.6
0.30
B
15
1.2
0.40
(1) 株式 A と株式 B の標準偏差はそれぞれ幾らですか。
(2) 株式 A に 60%、株式 B に 40%の投資比率で投資するポートフォリオの期待リター
ン、標準偏差、ベータ、固有リスクを求めなさい。ただし、安全利子率は 5%と
します。
3
問2
市場ポートフォリオおよび株式 A が、今後考えられる 3 つの経済シナリオのもと
で、それぞれ次のようなリターンを得ると市場で予想されています。
経済シナリオ
確率
市場ポートフォリオ
株式 A
不況
0.2
-15%
-30%
低成長
0.5
5
10
好況
0.3
15
30
(1) 市場ポートフォリオと株式 A の期待リターンは幾らですか。
(2) 株式 A のベータは 2.0、安全利子率は 3%と仮定するとき、株式 A の期待リター
ンは幾らですか。
(3) 株式 A は、市場で効率的に評価されていると言えますか。
問3
安全利子率を 2%、マーケット・リスクプレミアムを 4%として、以下の問いに答
えなさい。
(1) ある株式のベータが 1.3 であったとすると、この株式の期待リターンは幾らで
すか。また別の株式の期待リターンが 10%とすると、そのベータは幾らですか。
(2) あなたは 100 万円を二つの株式に投資しようとしています。A 社のベータは 0.8
であり、あなたは A 社株にお金の 30%を投じるつもりでいます。B 社のベータは
1.75 であり、あなたはお金の 70%を B 社株に投じるつもりでいます。あなたの
ポートフォリオのベータと期待リターンはそれぞれ幾らになりますか。
(3) (2)において、ベータが 1.0 のポートフォリオを構成しようとしたら、A 社株
と B 社株の組み入れ比率をそれぞれ幾らにするべきですか。またこのポートフ
ォリオの期待リターンは幾らになりますか。
(4) ある危険資産のリスクプレミアムは 5.8%です。この資産のベータは幾らですか。
4
第4章
問1
すべての証券の価格変動が 1 個のファクターで説明できるとします。安全利子率
は 4%です。十分に分散化された(固有リスクがゼロの)ポートフォリオ A と B につい
て、次のデータが与えられています。
ポートフォリオ
ベータ
期待リターン
A
1.0
10%
B
0.5
9
(1) この市場にはリスクのない裁定機会が存在しますが、その理由を説明しなさい。
(2) 裁定ポートフォリオを一つ示しなさい。
問2
すべての証券の価格変動が経済成長率(EG)とインフレ率(INF)の 2 個のファクタ
ーで説明できるとします。現在、市場は EG を 4%、INF を 6%と予想しています。安全利
子率は 5%です。十分に分散化された(固有リスクがゼロの)ポートフォリオ A と B に
ついて、次のデータが与えられています。これについて、以下の問いに答えなさい。
ポートフォリオ
EG に対するベータ
INF に対するベータ
期待リターン
A
1.0
0.4
14.8%
B
2.0
-0.5
9.0
(1) EG が 5%、INF が 7%に変化したとき、この株式の期待リターンをどう改訂しなけ
ればいけませんか。
(2) EG に対するベータが 1.0 で、INF に対するベータが 0.0 のポートフォリオのリ
スク・プレミアムを求めなさい。
(3) EG に対するベータが 0.0 で、INF に対するベータが 1.0 のポートフォリオのリ
スク・プレミアムを求めなさい。
(4) EG に対するベータが 1.2、INF に対するベータが-0.2 の証券に対して、幾らの
期待リターンが想定されますか。
5
第5章
問1
株式 2 銘柄について、次表のようなシナリオ分析がなされています。これについ
て、以下の問いに答えなさい。なお、今後 1 年間配当はないものと仮定します。
1年後の株価
株式
今日の株価
A
836 円
B
402
好況
不況
1,000 円
600 円
300
600
(1) 「好況」の状態価格 q1 と「不況」の状態価格 q2 はそれぞれ幾らですか。( q1 は、
1 年後の状態が好況のとき、またそのときにのみ現金が 1 円支払われるという保
険契約の価格です。同様に、 q2 は、1 年後の状態が不況のとき、またそのとき
にのみ現金が 1 円支払われるという保険契約の価格です。
(2) ノー・フリーランチの原理に従うと、1年物の割引債の価格は額面 100 円当た
り幾らになりますか。
(3) 期間1年の金利は幾らになりますか。
(4) A 株と B 株が 1 株ずつのバスケットを 1 年後に 1,220 円で取引するという(先渡
し)契約 1 単位の買いポジションを持っている投資家がいます。この買いポジ
ションを時価評価すると、今日の価値は幾らですか。
(5) (4)のバスケットを原資産とする期間 1 年のオプションがあります。オプシ
ョンの権利行使価格が 1,220 とすると、コールオプションの今日の価値は幾ら
ですか。
(6) 同じ権利行使価格のプットオプションの今日の価値は幾らですか。
6
<解答>
第1章
第1問
最初に表が出る確率は 1 2 で、このときの賞金は 2 円。2 回目に表が出る確率は
問1
1 2 で、この時の賞金は 22 円である。同様に、3 回目に表が出る確率は 1 23 でこの時
の賞金は 23 円、4 回目に表が出る確率は 1 2 4 でこの時の賞金は 24 円である。また 4 回
とも裏が出る確率は 1 2 4 で、この時の賞金は 0 である。したがって、賞金の期待値は、
2
1
1
1
1
1
E ( X ) = ´ 2 + 2 ´ 2 2 + 3 ´ 23 + 4 ´ 2 4 + 4 ´ 0 = 1 + 1 + 1 + 1 + 0 = 4 円
2
2
2
2
2
問2
E(X ) =
1
1
1
´ 2 + 2 ´ 22 + × × × + n ´ 2 n + × × × = 1 + 1 + 1 + × × × = ¥
2
2
2
問3
①
問1
1
1
1
1
E éë u ( X )ùû = log 2 + 2 log 2 2 + 3 log 23 + 4 ´ log 2 4
2
2
2
2
1 2
3 4
13
= ( + 2 + 3 + 4 ) log 2 = ´ log 2
2 2
2 2
8
確実性等価額を Z とすると、
u( Z ) = log Z =
13
´ log 2
8
13
8
Z = 2 » 3.084円
②
問2
1
1
1
1
E [ u( X )] = log 2 + 2 log 22 + 3 log 23 + × ×× + n log 2n + × ××
2
2
2
2
1
2
3
n
= log 2 + 2 log 2 + 3 log 2 + ×× × + n log 2 + × ××
2
2
2
2
3
n
æ1 2
ö
= ç + 2 + 3 + ×× × + n + × ×× ÷ ´ log 2
2
2
è2 2
ø
ここで、S =
1 2
3
n
S 1
2
3
n
+ 2 + 3 + ××× + n + × ×× とおくと、 = 2 + 3 + 4 + ×× × + n +1 + × ×× な
2 2
2
2
2 2
2 2
2
ので、両式の引き算をすると、
7
S-
n - ( n - 1)
S 1 2 -1 3 - 2
= + 2 + 3 + × ×× +
+ × ××
2 2 2
2
2n
1
1 1 1
1
= + 2 + 3 + ××× + n + × ×× = 2 = 1
1
2 2
2
2
12
となり、 S = 2 であることが分かる。ここでは等比数列の公式を使っている。
したがって、 E [ u( X )] = 2 ´ log 2 。そこで、確実性等価額を Z とすると、
u( Z ) = log Z = 2 ´ log 2
Z = 22 = 4
第2問
問 1
あなたの年末の財産は、火災が起きなければ 3,000 + 2,000 ´ 1.03 = 5,060円 、火
災が起きれば 2,000 ´ 1.03 = 2,060円 となる。よって、期待効用は、
E [ u(W )] = 0.999 ´ u (5,060) + 0.001 ´ u(2,060)
-1
-1
+ 0.001 ´
5
5,060
2,0605
確実性等価額を Z とすると、
1
-1
-1
- 5 = 0.999 ´
+ 0.001 ´
5
Z
5,060
2,0605
= 0.999 ´
となり、これより、
1
0.999
0.001
=
+
5
5
Z
5,060 2,0605
ì æ 0.999
0.001 ö ü
Z = í1 ç
+
5
5 ÷ý
î è 5,060 2,060 ø þ
0.2
» 4,974.98
すなわち、年末の財産の確実性等価額は約 4974 万 9800 円である。
問2
保険料を p とすれば、保険を掛けた場合の確実性等価額は 5,060 - p である。あ
なたにとって保険を掛ける方が有利なのは、5,060 - p > 4974.98 が成立する場合である。
これより、 p < 85.02 。すなわち、保険料の最大額は 85 万 200 円。
問3
① 50%カバーの場合:保険料金は 1.5 万円で、火災が起きれば 1,500 万円の損失で済
むので、
8
E [ u(W )] = 0.999 ´ u(5,060 - 1.5) + 0.001 ´ u(3,560 - 1.5)
=
-0.999
-0.001
+
5
5,058.5 3,558.55
確実性等価額を Z とすると、
1
0.999
0.001
=
+
5
5
5,058.5 3,558.55
Z
ì æ 0.999
0.001 ö ü
Z = í1 ç
+
5
5 ÷ý
î è 5,058.5 3,558.5 ø þ
0.2
» 5,053.65
② 80%カバーの場合:保険料金は 2.4 万円で、火災が起きれば 600 万円の損失で済む
ので、
E [ u(W )] = 0.999 ´ u (5,060 - 2.4) + 0.001 ´ u (4,460 - 2.4)
-0.999
-0.001
+
5
5,057.6 4,457.65
確実性等価額を Z とすると、
=
1
0.999
0.001
=
+
5
5
Z
5,057.6 4, 457.65
ì æ 0.999
0.001 ö ü
Z = í1 ç
+
5
5 ÷ý
î è 5,057.6 4, 457.6 ø þ
0.2
» 5,056.71
③ 100%カバーの場合:保険料金は 3 万円で、火災が起きても損失はないので、
確実性等価額 Z は、5,060-3=5,057 万円。
以上の計算より、保険で損失を 100%カバーするのが最適であることが分かる。
(注)今の問題では、保険料金が損失の期待値(損失 1,000 万円当たり 1 万円)に等し
い。この場合、リスク回避型の投資家にとって、損失を全額カバーするのが最適となる
ことが知られている。
第3問
問1
期待値は
E[S1A ] = p1S11A + p2 S12A +  + p5 S15A = 2.174375
分散は Var[ S1A ] = p1 ( S11A - E[ S1A ]) 2 +  + p5 ( S15A - E[ S1A ]) 2 = 0.153
したがって標準偏差は 0.391。
9
問2
期待効用の値は E[u ( S1A )] =
å
S
s =1
ps u ( S1As ) = 0.878
( ) = E [u(S )] = 0.87779 が成り立つので
確実性等価については u Sˆ1
(
A
1
)
1 - exp - Sˆ1A = 0.87779
exp - Sˆ A = 1 - 0.87779 = 0.12221
(
1
(
)
)
log e exp - Sˆ1A = log e 0.12221 = -2.10201
- Sˆ A = -2.10201
1
Sˆ = 2.10201
A
1
リスクディスカウント額は E[S1A ] - Sˆ1A = 0.0723
問3
資産 B の価値額の期待値は E[ S1B ] = 4.174 (注 1)、 標準偏差は 0.391 (注 2)。 資
産 B を保有することから得られる期待効用の値は E[u ( S1 )] =
B
å
S
s =1
ps u ( S1BS ) = 0.983 で
あり、確実性等価 Sˆ1B の値は、 Sˆ1B = E[u ( S1B )] となるような確実な値 Sˆ1B であるから、こ
れを計算して 4.102 。したがってリスクディスカウント額は E[S1B ] - Sˆ1B = 0.0723 となり、
問題2と変わらない。資産 B を保有する場合も、リスク(資産水準の変動の標準偏差)
は変わらない。資産水準自体は大きくなっているので、投資家のリスクに対する態度は
変化しても不思議ではないが、この問題での効用関数は、リスクディスカウント額は変
わらないという特徴を持っている。
[ ] = E [S
(注 1) E S1
B
1
A
] [ ]
A
+ 2 = E S1 + 2 = 2.174375 + 2 = 4.174375
B
A
A
B
(注 2) Var éë S1 ùû = Var éë S1 + 2ùû = Var éë S1 ùû = 0.153, s éë S1 ùû = 0.153 = 0.391
10
第2章
問1
(1) E ( RP ) = 12 ´ 0.7 + 5 ´ 0.3 = 9.9(%)
s (RP ) = 0.7 2 ´ 30 2 + 0.32 ´ 0 2 + 2 ´ 0.7 ´ 0.3 ´ 0 ´ 30 ´ 0 = 0.7 2 ´ 30 2 = 21%
*安全資産(リスクフリー・レート)のリターンは確定しており、変動しないので
標準偏差は 0、またリスク資産との相関係数もゼロなので、ポートフォリオのリ
スクは、リスク資産の投資比率とその標準偏差の積となる。
(2)
A株 = 70 ´ 0.25 = 17.5(%)
B株 = 70 ´ 0.35 = 24.5(%)
C 株 = 70 ´ 0.40 = 28.0(%)
安全資産 = 30(%)
(3) ファンドへの投資割合を w 、安全資産への投資割合を (1 - w) とすると、
12 w + 5(1 - w) = 10
w = 0.7143
から、ファンドに 71.43%、安全資産に 28.57%投資する。
(4)
s ( RP ) = 0.71432 ´ 302 + 0.2857 2 ´ 0 2 = 0.71432 ´ 302 = 0.7143 ´ 30 = 21.43%
(5) 最大の期待リターンを得たいのだからファンドへの投資を最大化すべきである。
このとき、標準偏差を 20%以下にしたいのだから、
s ( RP ) = 302 ´ w2 + 02 ´ (1 - w) 2 = 20
w = 0.6667
から、ファンドに 66.67%、安全資産に 33.33%投資する。
(6) E ( RP ) = 12 ´ 0.6667 + 5 ´ 0.3333 = 9.67(%)
(7) 下の図に見るように、安全資産とのあなたの運用するファンドを結ぶ直線は、
安全資産とインデックス・ファンドを結ぶ直線の上側にあります。したがって、
全体のポートフォリオにどの大きさの標準偏差を許容する場合でも、あなたの
ファンドと安全資産を組み合わせる方が、あなたのファンドと安全資産を組み
合わせるよりも高い期待リターンを生むことになる。これより、あなたのファ
ンドの方がインデックス・ファンドよりも優れているということができる。
11
期待リターン
あなたのファンド
12%
8%
5%
インデックスファンド
0
20%
30%
標準偏差
(注)この直線の傾きをシャープレシオと呼ぶ。これは、リスク 1 単位あたりの期待超
過リターンを示す(通信テキスト 48 頁)。
問2
(1) C
(2)
E ( RAB ) = E (0.5 RA + 0.5RB ) = 0.5 ´ 10 + 0.5 ´ 8 = 9%
Var ( RAB ) = 0.52 ´ 240 + 0.52 ´ 130 + 2 ´ 0.5 ´ 0.5 ´150 = 167.5
s ( RAB ) = 167.5 = 12.94%
(3)
E ( RP ) = E (0.75 RAB + 0.25RC ) = 0.75 ´ 9 + 0.25 ´ 6 = 8.25
Var ( RP ) = 0.752 Var ( RAB ) = 0.752 ´167.5 = 94.219
s ( RP ) = 94.219 = 9.71%
第3章
問1
(1) s i2 = b i s M2 + s ei
2
2
(3.23)式
Var (R A ) = 0.6 2 ´ 26 2 + 30 2 = 1,143.36
s (R A ) = Var (R A ) = 1,143.46 = 33.81%
s (RB ) = Var (RB ) = 1.2 2 ´ 26 2 + 40 2 = 2,573.44 = 50.73%
12
(2) このポートフォリオの期待リターンは
m P = w A m A + wB m B = 0.6 ´ 10 + 0.4 ´ 15 = 12%
このポートフォリオのベータは
b P = w A b A + wB b B = 0.6 ´ 0.6 + 0.4 ´ 1.2 = 0.84
したがって、ポートフォリオの市場リスクは
b P 2s M2 = 0.84 2 ´ 26 2 = 476.99
各資産の非市場リスクは互いに独立と考えられるので、ポートフォリオの(固有リ
スク)非市場リスクは次のとおりとなる。
s eP = s eP 2 = 0.62 ´ s eA2 + 0.42 ´ s eB 2 = 0.62 ´ 302 + 0.42 ´ 402 = 580 = 24.08%
また標準偏差は(3.23)式から
2
s P = s P2 = b P2s M2 + s eP
= 476.99 + 580 = 32.51%
問2
(1) 市場ポートフォリオの期待リターン
3
m M = å rPi × P (RPi = rPi ) = 0.2 ´ (- 15) + 0.5 ´ 5 + 0.3 ´ 15 = 4%
i =1
株式 A の期待リターン
3
m A = å rAi × P(R Ai = rAi ) = 0.2 ´ (- 30) + 0.5 ´ 10 + 0.3 ´ 30 = 8%
i =1
(
)
(2) mi = rf + b i m M - rf より
m A = 3 + 2.0 ´ (4 - 3) = 5%
(3) 現在の株式 A の価格から計算された(1)の期待リターンは 8%で、(2)で求
めた株式 A の均衡期待リターン 5%を上回っている。したがって株式 A は割安に
評価されているので、市場で効率的に評価されているとはいえない。
問3
(
)
(1) mi = r f + b i m M - r f より、この株式について次式が成り立つ。
m = 2 + 1.3 ´ 4 = 7.2%
別の株式については次式が成り立つので、それをベータについて解く。
10 = 2 + b ´ 4
b =2
13
(2) このポートフォリオのベータは
b P = w A b A + wB b B = 0.3 ´ 0.8 + 0.7 ´ 1.75 = 1.465
このポートフォリオの期待リターンは
m P = rf + b P (m M - r f ) = 2 + 1.465 ´ 4 = 7.86%
(3) b P = w A b A + wB b B = 0.8w A + 1.75wB = 1.0
ただし w A + wB = 1
これらの式を連立して解くと w A = 0.79, wB = 0.21
期待リターンは、ポートフォリオのベータが 1.0 なので
m P = 2 + 4 = 6%
(
)
(4) mi - r f = m M - r f b i より、この危険資産について次式が成り立つ。
5.8 = 4 b
b = 1.45
第4章
問1
(1) APT の定理をファクター数 1 個の場合に当てはめると、ポートフォリオ A のベー
タはポートフォリオ B のベータの 2 倍なので、A のリスクプレミアムは B のリス
クプレミアムの 2 倍でなければならない。しかし、表によれば、A のリスクプレ
ミアムは 6%、B のリスクプレミアムは 5%なので、市場に裁定機会があることが
示唆される。
(2) 資金を 100 万円借り入れて、さらにポートフォリオ A を 100 万円空売りする。
そして、これによって手に入る 200 万円をポートフォリオ B に投資する。この
裁定ポートフォリオのベータは 0 となり、固有リスクも 0 なので、この裁定ポ
ー ト フ ォ リ オ は リ ス ク フ リ ー で 、( 元 手 0 円 か ら ) 1 年 後 に
200 ´ 1.09 - 100 ´ 1.04 - 100 ´ 1.10 = 4 万円の収益が確実に生まれる。(ここでは
金額を 100 万円にしたが、例えば金額を 1,000 万円にすると、元手 0 円から 1
年後に 40 万円の収益が確実に生まれることになる。)
問2
(1) EG が 5%、INF が 7%に変化した場合のそれぞれの期待リターンの修正は
1.0 ´ (5 - 4 ) + 0.4 ´ (7 - 6) = +1.4%
ポートフォリオ B 2.0 ´ (5 - 4 ) - 0.5 ´ (7 - 6) = +1.5%
ポートフォリオ A
(2) EG に対するベータが 1.0 で INF に対するベータが 0.0 の純粋ファクター・ポー
トフォリオの投資比率は、次の連立方程式の解となる。
14
ì1.0 w A + 2.0wB = 1.0
í
î0.4 w A - 0.5wB = 0.0
w A = 0.3846, wB = 0.3077
したがって、安全資産の投資比率は
1 - 0.3846 - 0.3077 = 0.3077 となる。
この純粋ファクター・ポートフォリオの期待リターンは、それぞれのポートフォリ
オの期待リターンを投資比率で加重平均して
0.3846 ´ 14.8 + 0.3077 ´ 9.0 + 0.3077 ´ 5 = 10.00%
したがってリスク・プレミアムは 10.00 - 5 = 5.00%
(3) EG に対するベータが 0.0 で INF に対するベータが 1.0 の純粋ファクター・ポー
トフォリオの投資比率は、次の連立方程式の解となる。
ì1.0w A + 2.0 wB = 0.0
í
î0.4 w A - 0.5wB = 1.0
w A = 1.5385, wB = -0.7692
したがって、安全資産の投資比率は
1 - 1.5385 + 0.7692 = 0.2307 となる。
純粋ファクター・ポートフォリオの期待リターンは
1.5385 ´ 14.8 - 0.7692 ´ 9.0 + 0.2307 ´ 5 = 17.00%
したがってリスク・プレミアムは 17.00 - 5 = 12.00%
(4) (2)と(3)の結果から、2 つの純粋ファクター・ポートフォリオのリスク・
プレミアムはそれぞれ 5.00%、12.00%なので、問題のポートフォリオの期待リタ
ーンは
5.00 + 1.2 ´ 5.00 - 0.2 ´ 12.00 = 8.60%
((2)と(3)の別解)
EG ファクターのリスクプレミアムを lEG 、INF ファクターのリスクプレミアムを lINF
とすると、APT の定理より、
ì1.0lEG + 0.4lINF = 14.8 - 5 = 9.8
í
î 2.0lEG - 0.5lINF = 9.0 - 5 = 4.0
が成立しなければならない。これを解くと、 lEG = 5.0, lINF = 12.0 が直接得られる。
第5章
問1
(1) 次の連立方程式を解けばよい。
15
ì1000q1 + 600q2 = 836
í
î 300q1 + 600q2 = 402
答えは、 q1 = 0.62, q2 = 0.36 となる。
(2) 100q1 + 100q2 = 98円 となる。
(3) (100 98 - 1) ´ 100 » 2.04% となる。
(4) 1 年後にこの買いポジションから生まれる現金は、好況時で 80 円、不況時で-20
円である。このキャッシュフローの今日の価値は、 80q1 - 20q2 = 42.40 円と計
算される。
(5) コールオプションから生まれる現金は、好況時で 80 円、不況時で 0 円である。
したがって、コールオプションの今日の価値は、 80q1 + ( 0 ´ q2 ) = 49.60 円と計
算される。
(6) プットオプションから生まれる現金は、好況時で 0 円、不況時で 20 円である。
したがって、プットオプションの今日の価値は、 ( 0 ´ q1 ) + 20q2 = 7.20 円と計算
される。
®
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