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12号(PDF:243KB)
京丹後市立弥栄病院 平成22年8月発行 夏場に多い皮膚疾患
京丹後市立弥栄病院 皮膚科:上田惠一
夏場は高温多湿であり、また紫外線が皮膚を刺激し、皮膚の抵抗
力が低下し様々な皮膚のトラブルが起こる。皮膚にとっては危険が
いっぱいで、皮膚疾患が起こりやすく、また既存の皮膚病が増悪し
たりする。
夏場に多発する皮膚疾患、また増悪する皮膚疾患について挙げて
みます。
◎ あせも(汗疹~汗疹性湿疹)
1. あせも(汗疹)は汗が皮膚表面に流出することが妨げられることによって発症する。
2. 汗管が破れた部位によって
水晶様汗疹(白いあせも:角層内または角層直下に汗が溜まる)
紅色汗疹 (赤いあせも:表皮内汗管が詰まることによる)
深在性汗疹(表皮、真皮境界部、真皮上層で汗管破裂による) などがある。
また、好中球が集まり膿疱性汗疹になるものもある。
3. 発熱時や高温多湿が長時間続くと発症することがある。また痒
みを伴うことがあり、汗疹性湿疹に移行することがある。
4. 続発性感染に注意し、涼しい環境を保ち、発汗時速やかに汗を
拭き取る。
注: 最近、成人のあせもの増加傾向がある。クールビズと夏期社内
冷房温度をあげることと関係があるのではないかとされている。
〔あせも〕
◎ 感染性皮膚疾患:細菌・ウイルス・真菌などが皮膚炎の原因になる
(1)細菌性
とびひ(伝染性膿痂疹)
1. 皮膚露出部に紅斑と大小の水疱が散在性に生じ、次第に全身に飛び火する。
2. 湿疹に合併して生じ、痒みを伴うこともある。
3. 抗細菌剤の外用並びに内服剤を用いる。
(2)ウイルス性
水いぼ(伝染性軟属腫)
夏期によくみられ、風呂やプールなどで皮膚が接触することによって感染して発
症する。痛み止めを貼付し、内容物を圧出して除去する。
注: 最近、散発性に手足口病が発症している。主に小児に生じ、夏期に流行している。
コクサッキーA16やエンテロウイルス71によって発症する。最近流行している
本症は高熱・無菌性髄膜炎や脳炎などの重篤な合併症を伴うことが多く、注意を
要する。
(3)真菌(かび)性 水虫(足白癬)とたむし(体部白癬)、またカンジダによる皮膚真菌症も多発し
ている。抗真菌剤が奏功する。
〔裏面に続きます〕
〔前面より続き〕
◎ 虫刺され(虫刺症):夏期には様々な昆虫類など、特に
◇
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蚊(アカイエカなど)
蚋(ブユ)
蜂(アシナガバチ・スズメバチ・ミツバチなど)
蛾(毒蛾皮膚炎:茶毒蛾・モンシロ毒蛾)
毛虫(ヒロヘリアオイラガ)
むかで による皮膚刺咬傷が起こる。
注: 線状皮膚炎:アオバアリガタハネカクシが接触した皮膚に紅斑が線
状に生じる。虫が出す分泌物が皮膚炎を起こす。
注: 海水浴皮膚炎:コメツキガニの幼虫ゾエアが皮膚を刺すことによっ
て起こる。海水浴中にはクラゲ刺傷も発症する。
疥癬(ヒト疥癬虫・猫小疥癬虫)、また虱(アタマジラミ・キモノジラミ)、
蚤(ヒトノミ・ネコノミ)などによる虫刺症がある。
注: 保育園児の疥癬:最近、湿疹の診断で治療を受けていた同室の幼児2
名が来院。虫体検査で疥癬虫と虫卵が陽性であった。
治療によって治癒した。
〔クラゲ刺傷〕
〔疥癬虫〕
◎ 蛇:マムシ・ハブ・ヤマカガシなどによる刺咬時には、局所のみならず全身的な治療も速やかに
行う必要がある。
夏期には、皮膚に対して様々な外的刺激が待っている。局所のみならず全身的な治療を
行う必要があり、専門的な皮膚科診療を受け、危険がいっぱいの夏も、身体に充分注意し
て健やかに乗り切ろう。
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