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エンジニアリング・デザイン教育
事例紹介Ⅱ Value Engineering を用いた エンジニアリング・デザイン教育の実践 森 幸男 サレジオ工業高等専門学校 教授 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 26 − 事例紹介Ⅱ Value Engineering を用いたエンジニアリング・デザイン教育の実践 サレジオ工業高等専門学校 機械電子工学科 森 幸男 博士(工学)・VE スペシャリスト [email protected] 本講演では、VE について触れながら、本校で実際に行ってきた授業内容を紹介し、エンジ ニアリング・デザイン教育のあり方の一方法を提案する。 本校では、エンジニアリング・デザインに必要不可欠な創造的活動を持続的に推進する技 術を身に付けることを目的として、エンジニアリング・デザイン教育にかかわる科目を幅広 く設置している[1]。特に、専攻科課程で実施している「専攻演習Ⅰ」、 「専攻演習Ⅱ」 (ともに 90 分×15 週開講)では、準学士課程等で学んできた知識・技術・経験を引き出し、効果的に 組み合わせ、具現化に向けて洗練し、提案するまでのプロセスについて、講義と演習を通し て教授している。すなわち、学生に創造的活動を行うための知識を教授するとともに、実践 的な演習を組み合わせることによって、知識を解体結合して新たな解を創出するといった創 造的活動能力を身に付けさせている。 その創造的活動のために、管理工学の手法の一つとして知られている Value Engineering (VE)手法[2]に着目している。VE とは、製品やサービスの「価値 V」を、それが果たすべき「機 能 F」とそのためにかける「コスト C」との割合の関係(V=F/C)で把握し、システム化され た手順によって「価値」の向上をはかる手法である。価値の向上のために、VE では、そのも のが果たすべき働き(使用者が要求する働き)に注目する。この働きを「機能」と呼び、そ の対象の本質を知る手掛かりとしている。VE は、その根本レベルからの改善案作成を狙う手 法である。したがって、既存の形にとらわれない発想や具体化が期待できるため、革新的解 を創出する可能性が高い。 一方、価値の高い製品やサービスを生み出すためには、多くの分野の情報(技術情報とコ スト情報)が必要となる。最新の技術情報とコスト情報を結びつけることで、最善な策を決 定することができる。しかしながら、個人の情報量は限界があるため、通常、多数の分野の 専門家の知識と経験を結集する必要がある[3]。これがグループ活動の狙いである。したがっ て、本エンジニアリング・デザイン教育においてもグループ活動を重視し、VE を用いた演習 を通じて意思疎通や合意形成の方法を教授することで、エンジニアリング・デザインに必要 不可欠な創造的活動を無理なく行う能力を育成する。 文献 [1] 冨田雅史, 森 幸男, 雑賀 高, “高等専門学校における創造力育成プログラムの有効性 の検討”, 日本創造学会第 36 回研究大会論文集, 産能大, pp.51-54, Oct. 2014. [2] 産能大学 VE 研究グループ, 新・VE の基本, 土屋裕監修, 産能大学出版部, 東京, 1998 [3] VE 基礎講座テキスト, 日本バリュー・エンジニアリング協会, 東京, 2008 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 27 − サレジオ高専 サレジオ高専における 高専における エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育 事例紹介Ⅱ 事例紹介Ⅱ サレジオ高専の設置学科 Value Engineeringを Engineeringを用いた エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育の 教育の実践 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 28 − 森 幸男 [email protected] サレジオ工業高等専門学校 機械電子工学科 博士(工学)・VEスペシャリスト 各学科(除デザイン学科)におけるエンジニアリング・デザイン教育 教授 1年 2年 3年 4年 5年 工学基礎 (全学科)) 工学実験 (全学科)) 工学実験 (全学科) 工学実験 (全学科) 工学実験 (EE,CS) 創造演習 (ME) 創造演習 (ME) 創造演習 (ME) 専1年 専2年 専攻演習 教育プログラムサポート 冨田雅史 冨田雅史 サレジオ工業高等専門学校機械 電子工学科 准教授 雑賀 高 工学院大学 グローバルエンジニアリング学部 学部長 創造設計学 (ME) 卒業研究 (全学科) 0 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 教育目標 到達目標 専攻演習Ⅰ(専攻科1年前期・90分×15週・必修科目) ● 専攻演習Ⅰ エンジニアリングデザイン、すなわち、専門に限らず幅広い知識を集 約し、現実的な制約条件を満たしながら持続的な創造的活動を行うた めに必要な力を身につける。専攻演習Ⅰでは、対象の問題を明確にす るための学習を行い、専攻演習Ⅱの学習内容につなげる。授業形態は 座学とワークショップを行う。 A) B) C) 専攻演習Ⅱ(専攻科1年後期・ 90分×15週・必修科目) ● エンジニアリングデザイン、すなわち、専門に限らず幅広い知識を集 約し、現実的な制約条件を満たしながら持続的な創造的活動を行うた めに必要な力を身につける。専攻演習Ⅰで身につけた力をもとに、機 能本位による対象のとらえ方、そして、創造的なエンジニアリング活 動に有益な知識を身につける。 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 D) E) F) 2 対象のあるべき姿と現状を明確に することができる(「問題」を明 確にすることができる) 問題抽出に利用できるツールを理 解することができる 情報収集の方法を理解することが できる 情報の整理・整頓方法を理解する ことができる 課題を最後までこなすことができ る 自分と他人の意見を融合し、新た な意見を創造することができる (議論、討論によって新たな解を 創造できる) VE手法 VE手法の 手法の教授 特別研究 特別研究 1 専攻演習Ⅱ A) B) C) D) E) F) Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 対象の機能 機能を 定義することができ 機能を定義 る 対象の機能 機能を 機能を評価することができ 評価 る(評価関数を作成することがで きる) 対象の問題に対して代替案 代替案が 代替案が作成 できる エンジニアリングの常識やビジネ スの常識を理解できる 課題を最後までこなすことができ る 自分と他人の意見を融合し、新た な意見を創造することができる (議論、討論によって新たな解を 創造できる) 3 エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育の 教育の機能系統図 教授手段 情報を集める 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 29 − エンジニアリング・デザイン エンジニアリング・デザイン能力を育てる 問題を発見する 製品開発のValue Value Engineering (VE)を利用する (VE) ● 情報を整理する 情報を整頓する 機能を定義する 対象を要素に分解する 機能を評価する 評価関数を定義する 対象テーマ:アウトドア用トースター ● VEの基本ステップに沿った改善実習 アイデアを発想する 代替案を作成する ● アイデアを洗練する プレゼンテーションを行う 落としどころを探る コミュニケーション力、 チームワーク力を育てる 合意形成を図る 役割分担を理解する 機能定義 機能評価 代替案作成 プレゼンテーションによる意思疎通・合意形成 意思疎通を図る 使用上の問題や販売、製造上の問題 等を検討し、方向性を確認する VE手順ごとに見える化を行いその都度論議する 授業ごとに得られた知識について相互に共有(振り返り) 代替案(提案)の模型作成、実演 スケジュール管理の報告(反省による学習効果を期待?) スケジュールを計画する スケジュールを守る Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 4 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 VE( VE(Value Engineering) Engineering)とは? とは? 改革的解の 改革的解の創出の 創出の可能性 製品やサービスの「価値 V」を、それが果たすべき「機能 F」とそ のためにかける「コスト C」との関係で把握し、システム化された 手順によって「価値」の向上をはかる手法 「それは何か?」という問いかけから得られた基本機能の代替案を 考えるので、既存の形にとらわれない発想や具体化が期待できる 価値 V = 機能 F コスト C 5 参考: 日本バリューエンジニアリング協会(VEとは) http://www.sjve.org/ve/summary/ VEの実施手順 機能定義 機能 定義 機能評価 機能評価 ● 代替案作成 代替案作成 ● ● それは何か?/その働きは何か? そのコストはいくらか?/その価値はどうか? 他に同じ働きをするものはないか?/ そのコストはいくらか?/ それは必要な機能を確実に果たすか? 「それは何か?」という問いかけから得られた基本機能の代替案を 考えるので、既存の形にとらわれない発想や具体化が期待できる Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 改革的解の創出の可能性 6 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 7 授業計画( 授業計画(VE適用部分 VE適用部分、 適用部分、全15回 15回) 回 内容 回 実践例「 実践例「それは何 それは何か?」テーマの ?」テーマの確認 テーマの確認① 確認① 対象テーマ名 アウトドア用トースター 内容 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 30 − 1 ガイダンス・VEの基礎① (前期との関連性、講義) 9 VE実習⑥ (具体化) 2 VEの基礎② (講義、実習スケジュール立案) 10 VE実習⑦ (詳細評価、提案) 3 対象テーマを知る (実演、素材の確認) 11 VE実習⑧ (試作品作成、洗練) 4 VE実習① (情報収集、機能の定義) 12 VE実習⑨ (試作品作成、洗練) 5 VE実習② (機能の整理、相互鑑賞) 13 プレゼンテーション準備 6 VE実習③ (機能の評価、対象の決定) 14 プレゼンテーション・評価 自己評価、他者評価 7 VE実習④ (アイデア発想) 15 単位認定試験 8 VE実習⑤ (アイデアの概略評価) テーマ選定の背景(学生へ提示) 昨今の健康志向から、アウトドア生活に対しての需要が増加しており、 コストや機能に優位なグッズが要求されている。 ● 今回、VE手法を駆使して、商品の全面的な見直しを行い、売り上げ増大 につなげたい。 ● 使用上の情報(使用者の要求事項)(制約条件として学生へ提示) 食パン2枚を同時に焼きたい。 なるべく焼きむらがないようにしてほしい。 ● 両面を早く(短い時間で)焼けるようにしてほしい。 ● 強風の中でも安定して焼きたい。 ● 持ち運びを容易にしたい。 ● ● Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 8 実践例「 実践例「それは何 それは何か?」テーマの ?」テーマの確認 テーマの確認② 確認② Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 9 実践例「 実践例「それは何 それは何か?」部品構成 ?」部品構成の 部品構成の確認 販売上の情報(制約条件として学生へ提示) 他メーカー品は当社と同等の価格で使用部品の品質を向上し、耐久性に 優れた製品を販売している。 ガール」 」に受ける商品とした ● グッズとしての魅力を向上することで「 「山ガール い(販路拡大を狙いたい)。 ● 製造上の情報(制約条件として学生へ提示) 部品の加工、組立は外注であり、今回の検討からは外す。 複雑な板金加工は多数の金型が必要でありコスト高の一因となっている。 (金属用金型は、一式あたり¥400,000である) ● 現在の生産量は、月産1万個の実績がある。 ● ● コスト目標(制約条件として学生へ提示) ● 現行コストは¥1,000であり、販売価格は¥2,000である。改善における コスト目標は、現行の半分の¥500とする。 (注)価格は教員側で勝手に設定しています Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 10 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 11 実践例「 実践例「その働 その働きは何 きは何か?」機能 ?」機能の 機能の定義 実践例「 実践例「その働 その働きは何 きは何か?」機能 ?」機能の 機能の定義の 定義の例 VEにおける機能 ● 保持棒に対する機能定義のワークシートの例 使用者が求める内容・働き = 基本機能と呼ぶ 機能の定義方法 ● 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 31 − 名詞と動詞による簡潔な表現 + 名詞 動詞 ~ を ~ 電流 を 流す する モノの立場に立って考える (例) ライターの機能とは? バスタオルの機能とは? ● 意図した特定の機能を決めればよい (製品やサービスのすべての機能を明らかにする必要はない) ● 「動詞」は抽象化するとアイデアが広がる ● ドリル 孔を削 削る → 穴をあける あける → 孔を作 作る(より抽象的 より抽象的) 抽象的) Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 12 実践例「 実践例「その働 その働きは何 きは何か?」機能系統図 ?」機能系統図の 機能系統図の例 構成要素の個々の機能を、目的-手段 目的-手段で で体系化 構成要素の個々の機能を、目的-手段 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 実践例「 実践例「そのコストはいくらか?」 そのコストはいくらか?」コスト ?」コスト分析 コスト分析 機能別コスト分析の目的 熱を受ける ● 本質(本当に必要な機能/ ムダや問題点)を視覚化し、 メンバー間のコミュニケー ションを向上する 赤外線を出す アウトドア用 トースター 熱を赤外線に変換する 機能系統図に基づいて、 機能分野ごと ごとに、 個々の ごと 個々の機能分野 現行方法のコストを配賦 する ● 構成要素が複数の機能分 野にまたがるときは、そ れぞれに配賦する ● 直火との距離を保つ 保持棒を保持する 形状を維持する 剛性を高める 可搬性を保つ パンを保持する 必要な機能を果たすために、現行でいくら費やされているか? 機能別コスト分析の方法 熱を分散する 熱風を対流させる 13 パンの位置を 固定をする コストの配賦方法 構成 要素 コスト 1.*** 500 2.*** 300 3.*** 1,000 4.*** 600 合計 10,000 機能分野 F1 F2 F3 500 300 700 300 600 4,000 3,500 2,500 消費による配賦 通常はこれを使う 貢献度評価による配賦 ● 均等割りによる配賦 ● 焼く位置を一定にする ● 見栄えを良くする Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 経年変化を防ぐ 14 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 15 実践例「 実践例「その価値 その価値はどうか 価値はどうか?」 はどうか?」対象分野 ?」対象分野の 対象分野の選定 実践例「 実践例「その価値 その価値はどうか 価値はどうか?」 はどうか?」対象分野 ?」対象分野の 対象分野の選定例 機能評価値の決定 価値の程度Fとコスト低減余地Cを比較し、優先順位を決める その機能を達成するために、本来いくらであればよいのかを決める ● 手法 実績価値基準、アイデア想定、重要度比較等 ● 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 32 − 対象分野の設定 価値の低い機能分野を選定する(努力すべき優先順位を決める) ● 機能評価値と現行コストから、価値 価値の コスト低減 価値の程度F 程度Fとコスト コスト低減余地 低減余地C 余地Cを求め、 優先順位を求める 機能分野 機能評価値 機能評価値 F [円] 現行コスト 現行コスト C [円] 価値の 価値の程度 F/C コスト低減余地 コスト低減余地 F-C [円 [円] 優先順位 赤外線を出す 150 400 0.38 250 1 熱風を対流させる 140 220 0.64 80 3 形状を維持する 30 40 0.75 10 可搬性を保つ 40 60 0.67 20 パンを保持する 100 220 0.45 120 見栄えを良くする 40 60 0.67 20 合計 500 1,000 ● 価値の程度 F = 機能評価値 / 現行コスト コスト低減余地 C= 現行コスト - 機能評価値 ● 優先的に 改善すべき機能分野 すべき機能分野 優先的に改善すべき 価値の 価値の程度F 程度Fが低い コスト低減 コスト低減余地 低減余地C 余地Cが高い Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 16 実践例「 実践例「ほかに同 ほかに同じ働きをするものはないか?」 きをするものはないか?」 アイデア発想 アイデア発想 優先順位1: 赤外線を 赤外線を出す ● ● ● ● 熱効率を上げる 火を集める 面積を増やす 材質を変える ● ● ● ● ● ● はさむ 刺す ぶら下げる 覆う 何もしないと飽和する ・アイデア発想の注目点を下位機能にする ・アイデア発想のチェックリストを使う アイデア発想の工夫 時間 発想技法の活用 ● 自由連想法 ● 穴をあける 風車 通り道を作る 温度差を作る ● 批判厳禁・自由奔放・質より量・改善結合 欠点に注目し、その改善を思考する チェックリスト法 特性列挙法 定型的な問いかけ(大きくしたら?) 名詞的特性、形容詞的特性、動詞的特性 類比発想法 18 ブレーンストーミング法 欠点(利点)列挙法 強制連関法 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 アイデア量 ↓ アイデアの やす工夫を 工夫を! アイデアの数を増やす工夫 優先順位3: 熱風を 熱風を対流させる 対流させる ● 17 実践例「 実践例「ほかに同 ほかに同じ働きをするものはないか?」 きをするものはないか?」 アイデア発想 アイデア発想のコツ 発想のコツ ある程度時間がたつと アイデアの出方が飽和する 優先順位2: パンを パンを保持する 保持する ● Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 2 シネクティクス法 ゴードン法 NM(中山正和)法 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 リーダーによる 効果的な 効果的な問いかけ 19 実践例「 実践例「そのコストはいくらか?」「 そのコストはいくらか?」「それは ?」「それは必要 それは必要 な機能を 機能を確実に 確実に果たすか?」 たすか?」 概略評価 アイデアの収束を行う 選択したアイデアを組み合わせて具体案を作成する ● 個々のアイデアについて価値向上の可能性のあるアイデアを選ぶ ● 技術的可能性の評価 技術的可能性 経済的可能性の評価 経済的可能性 判断と次のステップ 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 33 − ▪ ▪ ▪ → → 技術的に達成できるかどうか コスト目標達成に貢献できるか (全体的にコストが下がるならOKとする) ○(可能性あり) △(不明) ×(無理) 価値の向上が期待できる複数の代替案を作成する 具体化の方法 概略評価 概略評価を行い、アイデアを選ぶ 評価 実践例「 実践例「そのコストはいくらか?」「 そのコストはいくらか?」「それは ?」「それは必要 それは必要 な機能を 機能を確実に 確実に果たすか?」 たすか?」 具体案の 具体案の作成 ● 一般に、アイデアはそのまま具体化できない → 利点欠点分析+欠点克服アイデア発想を繰り返し、洗練する 具体化へ 情報収集し、○×を確定する 棄却 アイデア 利点欠点 分析 + 洗練化 いずれも×でなければ、できるだけ活かす 欠点克服 アイデア ○△× ○△×のパターン 技術性 ○ ○ × × ○ △ △ △ × 経済性 ○ × ○ × △ ○ △ × △ 採 否 ○ ○または× × △ ● とにかく粘 アイデアを育 とにかく 粘り強く、アイデアを 育てる ×または△ Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 20 実践例「 実践例「そのコストはいくらか?」「 そのコストはいくらか?」「それは ?」「それは必要 それは必要 な機能を 機能を確実に 確実に果たすか?」 たすか?」 具体案の 具体案の作成例 機能分野F1 機能分野F2 機能分野F3 総合案 代替案1a 代替案2a 代替案3a Ⅰ案 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 実践例「 実践例「そのコストはいくらか?」「 そのコストはいくらか?」「それは ?」「それは必要 それは必要 な機能を 機能を確実に 確実に果たすか?」 たすか?」 詳細評価 詳細評価 代替案の価値が向上することを、技術的、経済的な面から詳細に評価する 留意点 ● 技術性評価のための評価項目(制約条件等)を見落とさないこと 代替案1b 代替案2b 代替案3b ▪ ▪ ▪ Ⅱ案 ● 火を集める → 刺す → 穴をあける ⇒V字状のとげを円錐表面につける 評価項目を確認する 機能、使用環境/条件、… 個々の評価基準を確認する 評価基準は代替案が達成すべき水準である 代替案の技術性を評価し、優先順位を決める 経済性評価では、現行方法のコストと同じ基準で評価すること 具体案の例1 技術性の評価 経済性の評価 ▪ ▪ ▪ 個々の代替案のコストを見積る 代替案実施の経常外 経常外コスト 経常外コストを見積る コスト 代替案実施のために新たに生じるコスト(試作費、金型等) 代替案実施の年間正味節約額 年間正味節約額を評価し、優先順位を決める 年間正味節約額 =コスト節約額×数量-経常外コスト ※コスト節約額=現行方法の単位コスト-代替案の単位コスト 具体案の例2 材質を変える → はさむ → 温度差を作る ⇒軽石の団子状のとぐろ Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 23 実践例 提案 実践例 VE手順 VE手順により 手順により得 により得られた成果 られた成果を 成果を提案する 提案する 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 34 − Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 24 試作・プレゼンと 試作・プレゼンと検証 ・プレゼンと検証 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 まとめ 25 文献 VE(Value Engineering)手法を用いたエンジニアリング・デザイ ン教育の実践例を示した 「それは何か?」という問いかけから 得られた基本機能の代替案を考えるの で、既存の形にとらわれない発想や具 体化が期待できる → 価値のある 価値のある革新的解 のある革新的解の 革新的解の創出 問題解決に必要な知識と経験を教授して能力を育成する (学生の能力を発揮させる学習ではない) → 試験による 試験による評価 による評価が 評価が可能 [1] 日本バリューエンジニアリング協会, http://www.sjve.org/index.php [2] 産能大学VE研究グループ , 新・VEの基本―価値分析の考え方と実践プロセス,産 能大出版部 , 東京, 1998 [3] 冨田雅史, 森幸男, 雑賀高, “高等専門学校における創造力育成プログラムの有効性 の検討”, 日本創造学会第36回研究大会論文集, 産能大, p.51-54, Oct.2014 [4] 吉田将司, 冨田雅史, 森幸男, “エンジニアリングデザインを意識した卒業研究の一 事例”, 平成26年度全国高専教育フォーラム教育研究活動発表概要集, 金沢大, pp.97-98, Aug.2014 [5] 冨田雅史, 森幸男, 吉田将司, 米盛弘信, 稲毛達朗, “Team-Teaching の効率化と リーダーシップ育成を考慮した創造力育成科目の改善”, 第38回教育システム情 報学会全国大会講演論文集, H3-4, pp.175-176, Sep.2013 [6] 冨田雅史, 森幸男, 吉田将司, 米盛弘信, “価値の向上に着目した創造教育カリキュ ラム「創造演習」の再構成-カリキュラム編成と実践の報告-”, 平成24年度工 学教育研究講演会講演論文集, 4-221, pp.320-321, Aug.2012 その他多数 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 26 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 27 (付録) 付録)VEのステップ VEのステップ I. (付録) 付録)管理工学における 管理工学における手法 における手法の 手法の比較 機能定義段階 ① ② ③ 日本工学教育協会 第9回ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育」事後公開版 − 35 − II. VE対象の情報収集 機能の定義 機能の整理 それは何か? その働きは何か? 機能評価段階 ④ ⑤ ⑥ 機能別コスト分析 機能の評価 対象分野の選定 そのコストはいくらか? その価値はどうか? III. 代替案作成段階 ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ アイデア発想 概略評価 具体化 詳細評価 他に同じ働きをするものはないか? そのコストはいくらか? それは必要な機能を確実に果たすか? 女屋登, “VE実践のためのノウハウ・テクニック”, バリュー・コンピテンシー, No.24, pp.16-19, Dec.2010 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 28 Feb. 28th 2015 第9回ワークショップ「 ワークショップ「エンジニアリング・デザイン教育 エンジニアリング・デザイン教育」 教育」 29