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欧州でのバイオプラスチック、バイオポリマーへの取組

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欧州でのバイオプラスチック、バイオポリマーへの取組
情報報告
ウィーン
●欧州でのバイオプラスチック、バイオポリマーへの取組(その1)
2010 年 9 月 22~23 日にベルギー・ブリュッセル市内で開催された Bioplastics & Biopolymers
の講演について報告する。内容としては、生分解性包装容器等の利用状況を報告するもので、講
演者には日本の主要化学企業と提携を結ぶ企業や、世界的飲料企業も含まれており、日欧の技術
差にそれほど大きな差は存在しない可能性はある。主催は Informa UK Ltd 社である。
1.バイオ系プラスチックおよび他のバイオ系材料に対する最適市場
Michael Carus 氏、nova-Institut GmbH 社(ドイツ)
1.1 nova-Institut 社の業務範囲
nova-Institut GmbH 社はドイツ・ヒュルト市(ケルン市に隣接)に本拠を置く、再生可能エ
ネルギーおよび材料の市場調査、コンサルタント、プロジェクト管理を行う会社である。業務
分野としては、以下の 4 部門に分類することが可能である。
①資源管理
供給原料の有用性、価格開発、使用の競争:農業、森林、化石燃料資源
②産業用材料への再生可能資源およびバイオエネルギーの使用
-産業上のバイオ技術やバイオ精製
-バイオ系製品
→バイオ系のプラスチックや合成物、WPC(Wood-Plastic Composite:木材プラスチック
複合体)や NFRP(Natural Fibres Reinforced Plastic:天然繊維強化プラスチック)
-それらの段階的利用
③電気自動車
④バイオをベースした経済の最適化に対する政治的提言
また以下 2 分野のサービスも行っている。
①市場、経済、技術関連
-市場調査、経済分析、研究等
②コミュニケーション
-市場化支援
-情報普及(ウィキペディアなどのインターネット、文書発行等)
-ワークショップ、会議、協会や委員会との協働
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1.2 革新的再生可能材料およびバイオ系製品
再生可能材料からバイオ系製品ができるまでの流れを、図 1-1 に示す。
リグノセルロース
天然
繊維
木材
糖化
砂糖
デンプン
植物油
天然ゴム
原材料
副産物
リグニン
バガス等
WPC
木材プラス
チック複合体
NFRP
天然繊維強化
プラスチック
バイオ系プラスチック
圧縮成形
部品
熱可塑性または熱硬化性
生分解性または恒久性
エラストマー バイオ系
材料
出典:Bioplastics & Biopolymers 2010 講演資料、Michael Carus 氏、nova-Institut GmbH 社
図 1-1 再生可能材料およびバイオ系製品の流れ
1.3 バイオ系材料の商業的重要性と製品レベルの向上
(1)概要
2009 年の EU における新しいバイオ系製品生産量の概要について、表 1-1 に示す。
表 1-1
2009 年の EU における新しいバイオ系製品生産量
革新的バイオ系材料
生産量
生分解性バイオベースプラスチック
>80,000 トン
(大半が包装用)
恒久使用可能なバイオベースプラスチック
>60,000 トン
自動車産業における天然繊維(NF)
>40,000 トン
圧縮成形
自動車産業における木質繊維圧縮成形
>50,000 トン
綿繊維圧縮成形
>100,000 トン
(主にトラック用)
WPC 射出成形および押出成形
>120,000 トン
(建設、家具、自動車)
NF 射出成形および押出成形
>5,000 トン
バイオ系材料生産量合計
>450,000 トン
出典:Bioplastics & Biopolymers 2010 講演資料、Michael Carus 氏、nova-Institut GmbH 社
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ウィーン
(2)天然繊維強化プラスチック(NFRP)およびバイオ系複合材料
NFRP およびバイオ合成物は、自動車、建設、家具、産業用および消費財などの材料に利用さ
れている。以下にその例を示す。
①自動車の内装部品に対する天然繊維系合成物
-総使用量
EU 内で 4 万トン/年以上 90%以上が圧
縮成形
-繊維としての利用
EU 内で 25,000 トン/年以上材料は亜麻、
繊維
麻、ケナフ、ツナソ(黄麻)
、サイザル
麻、コイア
非織布羊毛
-市場は確立し安定しているが、さらなる
発展性が期待できる。
-新しい傾向
→天然繊維に透明フィルムやラッカー
を塗布するものも現れている。
→バイオポリマーの利用
(バイオ材料比率=50~100%)
ドア(剥出状態)
ドア(完成品)
出典:BMW 2008、nova-Institut 2008
図 1-2 自動車内装部品への天然繊維系
複合材料利用の例
②ケース、壷、瓶類
これらの製品は、圧縮もしくは射出成形で製造される。その例を図 1-3 に示す。左から携
帯電話はケナフ繊維やポリ乳酸(PLA)製(日本の例:FOMA-N701iECO)
、麻繊維および PLA
製の瓶(ドイツ製)
、右の写真が革新的技術例として、天然繊維とポリプロピレンの圧縮成形
によるケース(ドイツ製)と、麻繊維とバイオプラスチックの圧縮成形による瓶(ドイツ製)
をそれぞれ示す。
出典:Linotech 2007, NEC/Unitika 2009,EIHA 2009
図 1-3 ケース、壷、瓶などへの天然繊維系複合材料利用の例
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③新しい消費財
射出成形で製造された商品の例を図 1-4 に示す。左がバイオチャージャー(GreenGran 社、
オランダ、中国)で、ツナソ繊維 PP(ポリプロピレン)を射出成形したものである。また右
はアイロン台(Domena 社、フランス)で、麻繊維を射出成形したものである。
出典:GreenGran 2010,Domena 2010
図 1-4 射出成形で成形された天然繊維系複合材料利用の例
(3)WPC(Wood-plastics composite:木材プラスチック複合体)
WPC を利用した製品として、自動車、建設、家具、産業用および消費財などの材料に利用さ
れている。木材プラスチック複合体の市場規模は、2010 年現在、世界全体で 150 万トンである。
以下にその概要を示す。
・北米は 100 万トン以上
・中国は 20 万トン以上で、2015 年には 500 万トンになる見込みである。
・欧州は約 17 万トンで、うちドイツが 7 万トンである。また建設および家具用が約 12 万ト
ン、自動車用が約 5 万トンである。
・毎年、2 桁の伸びを示している。
・北米と欧州は、木材産業からの副産物を利用している。
・アジアは、森林や農業からの副産物であるすべての種類のセルロースを利用している。
①自動車への利用
WPC を利用した自動車部品では、主に圧縮成形、熱成形および射出成形が利用されている。
例として、WPC 新製品の写真を図 1-5 に示すが、左の写真は木材プラスチック複合材料の内
装部品で木材繊維を見せたものであるが、ラミネート加工のない物である。右の写真は、自
動車用スピーカーのカバーである。
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出典:Johnson Controls 2010,Werzalit 2007
図 1-5 WPC を利用した自動車用部品の例
②床や屋根の材料
WPC の床や屋根用の材料として、押出成形が利用されるのが、床板、床下構造物、線状柄
の床や屋根などである。一方で射出成形が利用されるのが、格間柄の床や屋根、固定用材料
などである。
③家具
WPC の家具用材料として、押出成形が利用されるのが、棚、組立材料、装飾およびハンド
ル用把手などである。一方で射出成形が利用されるのが、単独または複合の家具類、室内装
飾品サポート、把手・ハンドルの殻・小部分、接続要素などである。その他、パネル材料に
も利用されたり、熱成形や回転成形も利用される場合がある。
④産業用材料および消費財
WPC の産業用材料および消費財用材料として、射出成形が利用されるのが、宣伝材料、オ
フィス用具、瓶、花瓶、機能上の部品、パレット、包装材料、食器類などである。一方で押
出成形が利用されるのが、基盤板、渦巻き型侵入防止フェンス、鉛筆などである。
(4)バイオ系プラスチック
①概要
バイオ系プラスチックは、生分解性でかつ耐久性のある利用が要求されている。その例と
して、包装、自動車、産業および消費財などでの利用が進められている。2007~2011 年の年
ごとのバイオプラスチック製造容量の推移を図 1-6 に示が、nova-Institut では 2009 年の最
近の投資状況から判断して、2010 年の生産量は 89 万トンに伸びると予測している。
また石油化学材料の代替としてのバイオ系ポリマーの技術的可能性として、全ポリマーの
90%が代替可能であると評価されている。その状況を図 1-7 に示す。さらに世界全体のバイ
オ系プラスチックの生産量推移を表 1-2 に示す。
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出典:European Bioplastics
図 1-6 バイオ系プラスチックの年間製造量の推移
出典:Shen, Haufe, Patel 2009
図 1-7 石油化学材料の代替としてのバイオ系ポリマーの技術的可能性
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表 1-2 世界全体のバイオベースプラスチックの生産量推移
バイオ系プラスチック
製造企業数
生産容量
生産容量
生産容量
生産容量
(2007 年)
(2009 年)
(2013 年)
(2020 年)
153,000 トン
323,000 トン
668,000 トン
1,298,000 トン
デンプン系プラスチック
12
セルロース系プラスチック
21
ポリ乳酸(PLA)
14
151,000 トン
229,000 トン
473,000 トン
833,000 トン
1,3-PDO からの PTT
1
10,000 トン
10,000 トン
10,000 トン
10,000 トン
ポリアミド
3
5,000 トン
5,000 トン
5,000 トン
5,000 トン
PHA/PHB
17
2,000 トン
80,000 トン
397,000 トン
442,000 トン
エタノールからのエチレン
3
5,000 トン
200,000 トン
610,000 トン
610,000 トン
12
1,000 トン
13,000 トン
20,000 トン
20,000 トン
ポリオールからの
ポリウレタン
4,000,000 トン
その他にも、様々な種類のバイオ系プラスチックが存在する。
注) PLA:ポリ乳酸
PDO:プロパンジオール(トリメチレングリコール)
PTT:ポリメチレンテレフタレート
PHA:ポリヒドロキシアルカノエート
PHB:ポリヒドロキシ酪酸
出典:Shen, Haufe Patel 2009
②包装用材料(バイオ系、生分解性)
バイオ系もしくは生分解性の包装に利用される材料として、デンプン、TPS(スチレン系熱
可塑性エラストマー)
、ポリ乳酸(PLA)
、セルロース系材料、それらの混合物などが挙げられ
る。市場では、買い物袋、
(コンポスト可能)袋、食料用包装容器、ボトル、包装材料、充填
材料などとして出回っており、コンポスト化可能であることを証明する国際的シールとして
の「苗木マーク」が示されている。
③自動車用部品
自動車用部品に利用されるバイオ系非生分解性材料として、生の野菜油、樹脂、天然ゴム、
デンプン、PLA、PHA などが挙げられる。市場では、タイヤ、発泡物質(シートの詰め物)
、
成形部品、マット、内装品などとして出回っている。
④産業用材料および消費財
産業用材料および消費材用材料として、生の野菜油、樹脂、天然ゴム、デンプン、PLA、PHA
などが、バイオ系材料が利用され、その一部で生分解性材料も利用されている。市場では、
発泡物質・マットレス、織物、ケータリング用、電気装置(携帯電話、MP3 プレーヤーなど)
、
筆記用具、ボールペン、スポーツ用品、玩具、マルチフィルム、じょうろ、化粧品、衛生用
品、クレジットカード、医療エンジニアリング(インプラントなど)として出回っている。
⑤2010 年に新登場した応用例
2010 年に新登場したバイオ系材料の使用例を図 1-8 に示す。上段の写真で、左は McCain
社フライドポテト用の低温用 PLA 系包装材料である。
(ただし包装材料はドイツ FKuR 社製)
中央は CocaCola 社のペットボトルで、バイオ系 PET を 30%含んだものである。右は Puma 社
の靴の包装箱で、デンプンポリマー系材料を使用している。下段の写真で、左は bioserie
社製の iPhone 用の PLA 製カバー、右は Henkel 社製の PLA 製文具、Propper 社製の PHA 製じ
ょうろ、GreenGran 社製の黄麻系ポリプロピレン製バイオチャージャーである。
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ウィーン
出典:Puma 2010,FKuR 2010,Propper 2010,Henkel 2010,
GreenGran 2010,bioserie 2010,nova 2010
図 1-8 2010 年に新登場したバイオ系材料の使用例
1.4 バイオ材料の機会と推進
(1)バイオ系製品を選択する理由
①グリーン材料
環境にやさしい(CO2 削減)
、そして市場での前向きなイメージ
②革新性
EU が市場を先導
③人体へのリスク回避
可塑剤の不使用またはグリーン材料使用、化石燃料系プラスチックによる「太平洋ごみベル
ト」の解消
④材料の性質への関心
生分解性材料を例に挙げると、軽量性、特殊な触感、バリア特性のような、他の物質では見
られない性質を持っている。
⑤原料供給の多様化
鉱物油への依存減少、原油価格への依存の減少
⑥限りある資源の節約
再生可能材料の利用促進
⑦地域開発
さらなる付加価値増加、製造ラインでの雇用創出
(2)バイオ材料を推進する主要部門
①政策支援
多くの国では、非生分解性プラスチック袋の使用が禁止されている。
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②消費者
消費者は、より安定した材料や製品に関心を持っている。バイオ系材料や製品は、持続可能
な選択肢としてのイメージを今も持っている。
③国際的企業
積極的な市場効果を得るために、バイオ系材料や製品を用いる国際的企業が、その推進者と
して該当するが、バイオ系材料の供給は限られているため、国際的企業はしばしば、独占的
な行動を採ろうとする事例が散見される。
④中小企業
隙間分野への適用のためにバイオ系ソリューションを積極的に実現している中小企業は、市
場で主流となるために発展してきた。その例が、食料包装用材料である。
⑤B2B(Business to Business:企業間商電子取引)
製造企業や産業上での顧客の中には、コンタクトを得ることが困難なケースが頻発するなど
の問題が多く、B2B 取引は改善が必要とされている。
そこで nova-Institut は、iBIB2011(革新的バイオ系プラスチック・合成物に関する国際ビ
ジネス法令集)を 2011 年 3 月 15 日に発行する予定である。インターネットからも閲覧可能
(http://www.bio-based.de/)である。
1.5 バイオ材料の克服すべき課題
(1)産業界にとっての食糧系と非食糧系穀物の対立の状況
①産業界にとって、
食糧系と非食糧系穀物の対立問題は、
問題自体が簡略化され過ぎであり、
また誤解を招くものである。
②質問 1:EU の加盟国やその地域において、国内利用や輸出などの食糧や原料にとって必要
のない、自由に利用可能な農業用地は残されているのか?もしそうなら、次へ。
③質問 2(本題)
:高い資源効率を持ち、また気候保護に貢献可能な産業が、こうした自由な
用地をどうすれば利用可能となるのだろうか?
④したがって、
「産業界にとっての非食糧系穀物」という概念が、農業資源の誤った適用を招
く可能性がある。バイオ産業は、食糧、原材料、産業用材料の利用、バイオエネルギーに
対する、広範なコンセプトが必要なのである。
(2)エネルギーとしてのバイオマスと産業用材料利用との競争の状況
①今日すでに、我々は欧州において両分野の競争を見ることができる。エネルギー穀物に対
する高い補助金は、産業用材料利用として魅力のない高価なバイオマスや土地価格を生み
出す原因となっている。ドイツでは、バイオエネルギーに対する金融支援は、バイオディ
ーゼルでは売上高の 20%から、
バイオエタノールや小規模バイオガスでは売上高の 80%に
まで及んでいる!
②バイオ資源の豊富な経済を確立しなければ、我々は緊急に、原料欠乏に遭遇することにな
るだろう。それにはグリーン化学、バイオ系プラスチックや複合材料、潤滑油、その他も
含まれる。
③新しい政治経済的枠組が、エネルギーや産業用材料の再生可能原材料利用の金融的支援の
再調整を必要としている。この新しい枠組は、環境保護、資源効率、雇用および革新のす
べての適用と関連するものとなる必要がある。
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ウィーン
再生可能資源のエネルギーまたは原材料利用の社会的かつ政治的効果を、表 1-3 に示す。さらな
る情報は、nova-Insutitut のホームページからも閲覧可能である。
(www.nova-institut.de/nr)
表 1-3 再生可能資源のエネルギーまたは原材料利用の社会政治的効果
基準
エネルギー
エネルギー利用と比較して、雇用は
生バイオマス量または
土地面積単位当たりの
短く単純な価値連鎖を持つ。
雇用または付加価値
5~10 倍、付加価値は 4~9 倍の効果
を持つ。長く複雑な価値連鎖が支配
的である。
小麦、アブラナ、トウモロコシ、サトウキビ
生物多様性効果
原材料利用
のような数種類の広範に成長する穀物に
依存する。多量の肥料や殺虫剤を必要と
し、単一作物栽培となるリスクがある。
ヘクタール当たりの
化石燃料源と比較して、著しい削減と
温室効果ガス削減
なる。
穀物栽培地の 10%が、低肥料低農薬
の多種栽培地である。広範に成長する
種類の場合と大差はない。
エネルギー利用と比べて、著しい削減
効果となる場合がしばしば発生する。
長期的には炭素貯蔵にもつながる。
多様で上手な原料利用の可能性を持
段階的利用
段階的利用はない。
ち、最終的にエネルギー利用も可能で
ある。
将来の可能性
市場
補助金支援
ドイツにおける
生産エリアの拡大
限定的である。
可能性は高い。
多くの代替品あり(太陽光、風力など)
また代替品もない。
地域市場では、高度に管理され標準化
多様な製品があり、規制を受けない市場で
される製品となる。
普及される。したがって世界的競争が発生
(輸送用バイオ燃料を除く)
する。
高い。
低く、時限的である。
過去 10 年と比べて 10 倍の規模である。
過去 10 年から成長していない。
出典:Bioplastics & Biopolymers 講演資料、Michael Carus 氏、nova-Institut GmbH 社
(3)バイオエネルギーと太陽光エネルギーの比較
①太陽光エネルギーに比べて、バイオエネルギーの効率は非常に低い。
(太陽光の生産性は低い。
)
②耕作に適した土地の他の利用との競争がある。
(食糧、原料、産業用材料利用)
③バイオエネルギーは、非常に高価である。
-バイオエネルギーは政治からの強力な支援が必要である。
-農業用原材料に対する価格上昇
-風力や太陽光エネルギーに対する価格下落
④バイオエネルギーの代わりに風力や太陽光エネルギーの利用を増加させることは、産業用
材料の生産や、食糧や原料などに利用される土地の、巨大な軌跡を解放するものとなる。
ここで太陽光のエネルギー効率を図 1-9 に示す。
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出典:Bioplastics & Biopolymers 講演資料、Michael Carus 氏、nova-Institut GmbH 社
図 1-9 太陽エネルギーを基準とした、バイオ燃料のエネルギー効率
また太陽光電力自動車は、バイオ燃料自動車よりも 40 倍も効率がよい。その比較を図 1-10
に示す。
出典:Bioplastics & Biopolymers 講演資料、Michael Carus 氏、nova-Institut GmbH 社
図 1-10 太陽エネルギーを基準とした、バイオ燃料のエネルギー効率
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さらにドイツの耕作可能な土地に対しては、太陽光よりもバイオエネルギーに対する補助金
の方が高価である。その現状を図 1-11 に示す。
屋根設置型太陽電池(2010 年 7 月~)(32.88 セント/kWh*)
バイオエタノール指令(穀物「最大混合比率」)
バイオエタノール指令(サトウキビ「最大混合比率」
地面設置型太陽電池(2009 年)(31.94 セント/kWh)
バイオエタノール指令(穀物「実際の混合比率」)
バイオエタノール指令(サトウキビ「実際の混合比率」
純粋な燃料としてのバイオエタノール(穀物)
バイオエタノール指令(アブラナ「最大混合比率」)
純粋な燃料としてのバイオエタノール(サトウキビ)
地面設置型太陽電池(2010 年 7 月~)(24.17 セント/kWh)
電力用バイオガス(2010 年)(トウモロコシ)
バイオ燃料
バイオディーゼル指令(アブラナ「実際の混合比率」
野菜油燃料(アブラナ)
純粋バイオディーゼル(アブラナ)
耕作地への地面設置型太陽電池(2010 年 7 月~)
*補助金は最大 30kW の設備までとする。
支援額(ユーロ/CO2 トン)
出典:Bioplastics & Biopolymers 講演資料、Michael Carus 氏、nova-Institut GmbH 社
図 1-11
バイオ燃料に対する CO2 トン当たりの補助金額比較
1.6 まとめ
生分解性およびバイオ系ポリマーの普及の現状と、2020 年の目標を表 1-4 に示す。
表 1-4 生分解性バイオ系ポリマーの目標と割当を定義するための基礎データ
製品群
適用範囲
b&c ごみ袋+
生分解性+
買い物用袋
バイオ系
b&c 食器類
プラスチッ
農業用バイオ
ク
マルチング
合 計
現状の
現状の
現状の
2020 年時点
2020 年時点
2020 年時点
欧州全体
RRM 市場
RRM 市場
欧州全体
RRM 市場
RRM 市場
シェア
市場規模
(トン)
(トン)
(%)
(トン)
(トン)
(%)
1,000,000
30,000
3.0
480,000
260,000
54.2
220,000
3,000
1.4
220,000
33,000
15.0
147,000
2,000
1.4
147,000
40,000
27.2
1,367,000
35,000
2.6
847,000
333,000
39.3
市場規模
シェア
注)b&C:生分解性+コンポスト性(Biodegradable and compostable)
RRM:再生可能原材料(Renewable raw materials)
出典:ERRMA 2010
様々な nova-Institut の研究結果では、以下に示す条件を満たせば、産業用材料利用および
産業用バイオ技術に対する十分な原材料が存在することが可能となるとの結論を出している。
①耕作可能かつ利用されていない土地(6~16 億ヘクタール)の潜在力を強力に活性化する
こと、また発展途上国における生産性の向上(5~10 倍)を図ることが可能である。これ
は大規模投資と政治的改善を意味するものである。
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②バイオエネルギーを太陽光や風力エネルギーへ転換すれば、
土地利用効率は約 50 倍に上昇
し、太陽光および風力エネルギーの利用を大幅に増加することも可能となる。
③効率、面積(ヘクタール)当たりの温室効果ガス削減、面積当たりの雇用を基礎とした、
バイオエネルギーと産業用原料利用への同等の支援に関する新政策を確立する必要がある。
(参考資料)
・Bioplastics & Biopolymers 講演資料、Michael Carus 氏、nova-Institut GmbH 社
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