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震災復興への取り組み

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震災復興への取り組み
橋本店135年のあゆみ
震災復興への取り組み
株式会社
橋本店
本 社
〒980-0822 仙台市青葉区立町27番21号
TEL 022-714-7020 FAX 022-714-7030
盛岡営業所
〒020-0871 岩手県盛岡市中ノ橋通2-7-42 アルファ104
TEL・FAX019-681-2041
大崎営業所
〒989-6162 大崎市古川駅前大通2-1-11 1F
TEL 0229-87-3747 FAX0229-87-3748
石巻営業所
〒986-0854 石巻市大街道北3-23-7
TEL 0225-25-4371 FAX0225-25-4372
くじらの家
TEL 022-714-7025
株式会社
橋本店
夢がある。それは、あこがれでもある。
会社概要
海を悠々と泳ぎまわるクジラに夢があるとしたら、
それは、空を飛ぶことかもしれない。
■ 役 員/代 表 取 締 役 会 長 ・・・・・・・・・・・・・ 佐 博俊
■ 役職員数/171名
代 表 取 締 役 社 長 ・・・・・・・・・・・・ 佐々木宏明
役 員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8名
専務取締役
(建築担当)・・・・・・・・・・ 金子 典之
技術関係職員
常務取締役
(土木担当)・・・・・・・・・・ 佐藤 茂夫
土木工学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83名
そして、都市化があたりまえのことになってしまった今。
常務取締役
(営業担当)・・・・・・・・・・ 遠藤 利一
建築工学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50名
こんな時代だからこそ、街づくりに対する夢を大切にしていきたいと思います。
取締役総務・安全部長 ・・・・・・・・・・・・ 尾形 栄一
事務関係職員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30名
クジラが夢にあこがれるように、未知の空間へのあこがれの気持ちを、
常 任 監 査 役 ・・・・・・・・・・・・ 奈良 直樹
大海原に負けないくらい青い空は、クジラにとって未知の世界。あこがれである。
私たちは、道をつくり、建物を建てるという形で、原野に夢を咲かせてきました。
監 査 役 ・・・・・・・・・・・・ 三島 卓郎
私たちはひとつひとつの形にしていきたいと考えています。
夢の創造はさらに大きく。
■ 営業種目/1.土木建築請負業
■ 関連会社/株式会社 橋本不動産
■ 取引銀行/七十七銀行
仙台銀行
2.木材の販売及び製材業
三菱東京UFJ銀行
3.不動産の所有及び売買
仙南信用金庫
4.不動産賃貸業、
不動産管理業及び
杜の都信用金庫
不動産取引業
5.太陽光発電による発電及び売電業
6.建設資材の製造及び販売
7.損害保険代理店業務
8.前各号に付帯する一切の業務
■ 特定建設業許可番号・許可年月日
/国土交通大臣許可
(特-23)
第581号
平成24年1月13日
組織図
会
長
社
長
監 査 役
総務・安全部
営 業 部
建 築 部
土 木 部
技術・管理部
総務・安全課
営 業 課
工 事 課
高砂サポートセンター
工 事 課
技術・管理課
管 理 課
盛岡営業所
工 務 課
災害対策センター
工 務 課
大崎営業所
設 計 課
資材センター
石巻営業所
住宅事業課
HASHIMOTOTEN
代表取締役社長
佐々木 宏明
弊社は、明治11年4月に「橋本組」を設立以来、本年4月を以って
創業135年を迎えます。これも偏に、多くの皆様のご支援の賜物であ
ると、あらためて深く感謝申し上げる次第でございます。
さて、平成23年3月11日の「東日本大震災」発災から、2年が経ち
ました。千年に一度と言われるこの大地震は、大津波や福島第一原発
事故など、東北地方に甚大な被害をもたらしました。震災でお亡くな
りになられた方々に哀悼の意を表すとともに、被災された皆様に心
よりお見舞い申し上げます。一日も早い震災からの復旧復興を祈念し
て、昨年3月、弊社が信仰している櫻岡大神宮に大鳥居を建立奉納い
たし、現在は社殿屋根葺き替え工事も請けております。
東北の
復興と更なる地域貢献を
目指して
ごあいさつ
弊社においては、地震直前の3月1日、2008年の岩手・宮城内陸地
震を教訓として高砂資材センター(宮城野区福室)内に災害対策セン
ターと高砂サポートセンターを設置しており、震災発生後、直ちに「災
害対策本部」を立ち上げ、衛星電話や発電機等を備えた上で、社員の
安否確認、現場の被害状況の確認などを行うとともに、国、県、市、
からの緊急要請を受けて、災害復旧に不眠不休で対応いたしました。
「復興優先」のスローガンのもと、寸断された道路・橋梁の復旧啓開作
業、被災地で作業している建設機械・重機の燃料供給運搬、被災者捜
索・救助用ボートの運搬等に、全社をあげて取り組みました。震災発
災直後の弊社の復旧作業活動について、震災後2年となる、創業135
周年の節目にあたり本書に取り纏めましたので、是非ともご一覧いた
だければ幸甚に存じます。
今後とも、
「橋本店」を引き続きお引き立ていただきますよう、心
からお願い申し上げます。
平成25年4月
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
1
震災発生時の当社の対応
各発注機関(顧客)からの要請件数
(2011年10月現在)
要請総件数 260 件
要請先
25件
29件
26件
164件
対応件数
%
国
25
10
宮城県
29
11
仙台市
26
10
市町村
16
6
その他
164
63
計
260
100
国
宮 城 県
仙 台 市
市 町 村
そ の 他
16件
・建築では411件の被害調査を行っているので、合計671件の対応を行った。
■ 月別対応件数
(2011年10月現在)
90
80
70
60
50
40
30
20
地震が発生した3月には、
10
0
対応件数
2
80件もの案件に対応して
3月
4月
5月
6月
7月
8月
80
54
42
40
26
10
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
9月 10月
4
4
きた。
震災発生時の現場状況
現場の被災状況(土木部:仙台湾南部海岸)
・全長約30kmの仙台湾南部海岸の堤防が津波により大破した。
・平成23年7月から着手して、平成23年9月には完成させた。
(蒲崎工区)
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
3
震災発生時の現場状況
現場の被災状況(土木部:津谷橋橋梁下部工)
水没した橋脚(H=9m)
本吉町:津谷地内
・施工箇所は海から3km上流域の津谷川の河川内だったが、すでに出来ていた
高さ9mの橋脚がほぼ水没する程の津波が到達した。
水没した橋脚(H=9m)
流されたプレハブ事務所(2階建)
事務所があった位置
300m流される
発見された箇所
・津波により、現場事務所が元の位置から300m流されて、横倒しとなった。
4
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
当時水没した橋脚(H=9m)
・平成24年2月に完成した津谷橋下部工。
・真ん中に見える柱のほとんどが水没していたことから、当時のすごさがわかる。
・平成24年7月19日 宮城県優良工事として表彰。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
5
震災発生時の現場状況
現場の被災状況(土木部:東名災害復旧工事)
東松島市:東名地区
孤立した東名地区
この位置に仮設道路を築造した。
破壊された東名海岸
・破壊された東名海岸の影響で孤立した東名地区への仮設道路(堤防)を築造する
応急復旧工事。
・東名地区は津波と地盤沈下により全体的に1m浸水した地域。
6
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
・海と直結しているので、水位が低下しないことから、約1kmにわたり、堤防道路
を作った。
・堤防が完了した現在でも、水位は下がらず海に道路が1本あるような状態。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
7
震災発生時の現場状況
現場の被災状況(建築部:宮城県庁災害復旧)
仙台市内
議会庁舎
軒下改修工事等
行政庁舎
講堂改修工事等
警察庁舎
外壁タイル改修等
・宮城県県庁舎を平成23年4月〜平成24年3月の工期で施工。
・上記のように議会庁舎(のき下改修)・行政庁舎(講堂改修)・警察庁舎(外壁) の3箇所を当社で対応した。
行政庁舎ロビー壁タイルの剥離
行政庁舎講堂天井の落下
警察庁舎外壁の剥離
議会庁舎軒下のズレ
・被災状況
8
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
・外壁改修状況
・完了状況
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
9
震災発生時の現場状況
現場の被災状況(建築部:松山高校災害復旧)
大崎市松山地内
施工箇所
・平成23年4月7日の余震により、建築物の被害は大きくなった。
・平成23年7月~10月(4ヶ月)で施工を完了させ、生徒達が今までどおりに使用
できるようにした。
当時の被災状況
・松山高校はRC3階建て構造で、震災により1階柱部分が座掘した。
・当社の前施工ではなかったが、被害状況が大きかったので、当社で行うことにした。
10
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
仮設鉄骨柱による補強
鉄骨による型枠兼用補強
・建物の解体が懸念されるような状況だったが、上記のような補強方法を提案し、
早期に改修を図ることができた。
・完了状況
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
11
震災発生時の現場状況
現場の被災状況(建築部:東京インテリア泉店災害復旧)
仙台市内
・構造はS造2階建 12mの大スパン構造。
・外壁は古いALC版張りであった為、全体の7割が破損した。
・内部はつり天井構造であったので、多くが落下した。
・外壁の復旧は、ALCから軽量金属サンドイッチパネルに変更して改修した。
・天井の復旧は、ぶどう棚鉄骨設置、つりボルトを短く設計した。
12
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
・完了状況
・完了状況(内部)
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
13
震災発生時の現場状況
現場の被災状況(建築部:石巻市「称法寺」災害復旧)
周囲の位置関係
門脇小
称法寺
・海からの距離が400mの地域だったので、ほとんどの建物が流された。
門脇小
当時の被災状況
称法寺
門脇小
門脇小
14
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
震災発生時の現場状況
現場の被災状況(建築部:称法寺災害復旧)
称法寺
当時の被災状況
客殿の状況
・称法寺は津波の被害が非常に大きかった石巻市門脇町にあり、当社で施工した建
物であった。
・周囲の建物はほとんどが流されたが、称法寺は一部損壊はしたが無事であった。
現在の復旧状況
現在の客殿
・復旧工事は当社で施工を行い、平成23年7月より開始した。
(平成24年3月完了)
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
15
橋本店災害対策本部としての対応
くしの歯作戦の実施
当時の南三陸町は、支援
物資を運ぶにも45号線が
通行できない状況であった
南三陸署
破壊された国道45号線
・国交省からの要請により、南三陸町に支援物資を運ぶにも、45号線がガレキの山
で通行できない為、通行できるようにしてほしいとの要請があった。(くしの歯作
戦の実施)
■【参考資料】くしの歯作戦とは!?
通常の災害復旧の流れ
災害発生
応急復旧
災害復旧
応急復旧
災害復旧
東日本大震災への対応の流れ
災害発生
啓開「くしの歯作戦」
大災害の際は、応急復旧よりも先に救援ルートを確保する「啓開」が必要
通行不能な道路一覧
「啓開とは?」
緊急車両のみでも、とにかく通れるようにがれきを処理
し、段差を修正して救援ルートを確保すること
・被災した三陸沿岸地区への緊急輸送道路を確保するため、「くしの歯型」に道路啓
開を行って、救援ルートを確保する作戦。
(3月11日決断)
16
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
橋本店災害対策本部としての対応
南三陸町:国道45号線啓開作業
施工箇所
着工前
完了
・海から離れていても戸倉川に沿って、がれきが道路をふさいだ状況。
(河口より3km上流)
施工箇所
着工前
完了
・線路が落ちた箇所等も、切断しながら撤去作業の実施。
・3月15日(要請より2日後)には、片側1車線分の車両の走行ができるようになり、
南三陸町に 陸上から進入できるようになった。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
17
高砂サポートセンターとしての対応
活動事例
当時のネット記事
仙台市宮城野区の災害対策センター
・リスクマネジメントの一環で「緊急時企業存続計画」(BCP)を導入。
・平成23年3月1日に災害対策センターを開設。
(震災前)
・大型どのう、普通どのう、ブルーシート等を備蓄し、災害時に対応できる体制と
していた。
・BCP早期導入により、東日本大震災において、迅速な対応を行う事ができた。
石巻市へ救助船の運搬(3/13)
松島町役場へ土嚢運搬
当時の石巻市内
・備蓄していた緊急資材を各被災地に運搬
18
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
位置図
岩手県陸前高田市への燃料補給(4/13)
当時の状況
・排水ポンプ車等への燃料補給
大槌町
H23.3.19燃料運搬
③
仙台発(6:00)
②
陸前高田市
南三陸町
①
仙台市
南三陸町に軽油運搬
岩手陸前高田に軽油運搬
岩手大槌町に軽油運搬
仙台着(翌日2:00)
・当時は、海岸道路が通行不可能であったので、支援物資の運搬は、くしの歯で敢行。
・発注者への対応がよかったので、他県(岩手県)まで対応した。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
19
震災からの教訓
建設業者としての対応と対策
■ 社内アンケート
(2011年8月実施)
その他
(交通手段等、帰宅等)
緊急対応拠点の整備
情報収集(ラジオ・テレビが
なかった)
連絡通信関係
(電話等が不通)
緊急対応資機材の整備
緊急備品の整備
98件(27%)
電気(発信機、充電器等)
災害対応マニュアルの整備・
行動指針
これらの問題に
対応できる設備や
マニュアル作りを実施
58件
(16%)
33件
(9%)
安否の確認(社員・家族)
燃料不足
(ガソリン、軽油)
47件
(13%)
食糧・水不足
・震災時の問題と対応(アンケート数:360件)
■ 震災時の問題点対策
ポケットサイズでいつでも携帯できるようにし、
余震時発生に適切な行動が行えるようにしている。
・震災経験を反映したマニュアルの作成
20
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
いざという時に忘れやすい
「災害伝言ダイヤル」使用方法等を記載
■ 連絡通信関係対策
MCA無線使用訓練(H24.2.24)
高砂サポートセンター
本社
・MCA無線の配置 ■MCA無線とは?
・停電時でも対応できる遠距離無線
・本社(仙台)と各営業所(宮城野区・大崎・石巻)の連絡体制を確保
■ 燃料不足・食料水不足対策
長期間保管可能な倉庫の整備
緊急資材の保管状況
保管期限の点検
・保管庫の整備
震災により、本当に必要とされる緊急資材のみを効率よく、長期間保管することで、
今後の災害にも迅速に対応できる会社を心がける。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
21
当社の対応
震災後の取り組み(その他)
■ 橋本店「復興宿舎」の設置
・工事に従事する作業員数が現在大幅に不足している。
・県外からの作業員を30人受け入れできる体制を作り、作業員不足により復興速度
が遅くならないように努めている。
・清潔感があり、長期間入居できる環境作りに心がけた。
22
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
■ 放射能対策(当社建造物に対する顧客への対応)
生コン業者等に放射能測定検
査証の提出を義務付け
現場担当者が直接放射能を確認できるように
測定器を購入
環境放射線モニタ
PA-1000Radi
更に
(放射線量測定器)
GMサーベイメーター
TGS-146B
(放射能測定器)
・生コン等の資材は、各納入工場に放射線測定結果表を提出させ、影響がない事を
確認し、顧客に安心感を持ってもらう体制としている。
・会社でも放射線測定器を所持し、現場で直接測定できる環境を作っている。
■ 海上作業船(起重機船)の所有
全旋廻式フローティングクレーン
港湾工事向け多目的クレーン台船
コンクリートプラント船
・海上での震災復興に活躍できる起重機船を所持し、震災で被災した仙台港の防波
堤復旧工事に取り組んでいる。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
23
当社の対応
くじらのメガソーラー発電所
くじらのメガソーラー発電所は敷地面積34,900㎡あり、太陽電池モジュールを
10,000枚設置しています。年間の発電電力量は約157万kwhあり、一般家庭約450世帯
分の年間消費電力量に相当します。環境への効果としては、年間約750tのCO2排出削
減効果があります。 ・発電所正面
・展望台
くじらのメガソーラー発電所の敷地内には太陽電池モジュールが一望できる展望
台を設けてあり、小・中学生等の現場見学会も随時受け入れております。
24
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
■ くじらのメガソーラー発電所の概要
●規模
発
電
所
出
力
1,500kw
年間約 157 万 kwh(一般家庭約 450 世帯分の年間消費電力量に相当)
推 定 発 電 電 力 量
環
境
へ
の
効
※設備利用率を 12%として次式より算出 1,500kw×24 時間 ×365 日 ×0.12(12%)
年間約 750 トンの CO2 排出削減効果
果
● 主要設備
出 力
数 量
合計出力
太陽電池モジュール
155W
10,000 枚
1,550kW
景観に配慮し、黒色のフレームを選定
パワーコンディショナ
(P C S)
500kW
3台
1,500kW
無効電力の供給により系統電圧の変動を抑制
変
500kVA
3台
1,500kVA
(※1)
圧
器
(※2)
備 考
※1:太陽電池モジュールは、ケーブルやパワーコンディショナでの電力損失を考慮して、パワーコンディショナよりも総出力を大きくしております。
※2:変圧器は、パワーコンディショナから出力する無効電力の送電を考慮した出力としています。
■ くじらのメガソーラー発電所の特徴
● 景観に配慮した、黒色フレームの選定
くじらのメガソーラー発電所の太陽電池モジュールは周囲を構成する
アルミフレームに黒いフレームを選定しました。
これにより田園地域や里山に調和した落ち着いた色調を実現し、周囲へ
の環境配慮を行っております。
● 太陽電池モジュールの設置角度
● パワーコンディショナについて
くじらのメガソーラー発電所の太陽電池モジュールの設置
角度は、敷地面積と発電電力量とのバランスを考慮し、10度
としております。
また、前列の太陽電池アレイの影が後列に影響を与えないよ
うに配置を行っております。
パワーコンディショナは、太陽電池が発電する直流電力を一
般家庭で使用する交流電力に変換する装置です。
くじらのメガソーラー発電所のパワーコンディショナは、太
陽電池の発電能力を最大限
に引き出す「最大電力点追
従機能」と、日照の変化に
よる出力変動での電圧変動
を抑制する「無効電力供給
機能」を内蔵しております。
10°
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
25
当社の対応
復興事業の説明
■ 国土交通省発注 南部海岸災害復旧事業
・南部海岸事業概要
全長:約30km
(仙台市若林区~山元町)
現時点での発注現場数:59現場
現時点での総事業費:約253億円
・堤防が破壊、倒壊するまでの時間を少し
でも長くし、避難距離を確保
・堤防が全壊(完全に流出した状態)に至
る危険性を低減
上記の減災効果を目指して、国総研による
実験を基に、構造上の工夫を施した。
仙台湾南部海岸は宮城県仙台市から福島県境までの3市2町にまたがる延長約
60kmの海岸で、背後地は商業、工業などの産業の集積も盛んで、東北地方の中核
拠点となっています。平成12年度から海岸侵食の著しい岩沼市の岩沼 海岸(蒲崎海
岸)、山元町の山元海岸を国土交通省 直轄工事区間として海岸保全施設の整備を進め
てきました。
平成23年3月11日の地震による津波で仙台湾 南部海岸では、全ての区間で津波が
海岸堤防を越流し、押し寄せる津波や引き波により、堤防決壊や消波ブロックの飛散、
堤防裏法面の流出、背後地盤の洗掘など甚大な被害を受けました。
26
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
■ 宮城県発注 がれき2次処理
がれき2次処理業務委託 施工業者リスト
・宮城県発注のがれき2次処理は、現時点で約4500億円の事業となっている。
・当社では、3JVに参加しており、合計約127億円となる。(石巻93億、亘理20億、東部11億)
■ 宮城県発注 がれき2次処理の進捗状況
亘理処理区でのプラント設置状況(処理能力525t/日)
がれき処理の流れ フロー
1次仮置場
運搬
選別(可燃物・不燃物)
可燃物
焼却処分
不燃物
リサイクル
運搬
埋立(最終処分)
・平成24年4月から焼却処理開始。平成26年3月の処理完了を目指している。
・被災地以外では放射能による広域処理を拒否する自治体も出ており、受入地が決
まらない問題から進捗率が20%程度に留まり、早期業務完了への懸念もある。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
27
震災時をふりかえって
その時私は…
東日本大震災時の
対応について
建築部 後藤未知郎
先月の3月11日で未曾有の東日本大震災からは
や2年がすぎた。当社においてもこの4月20日で
135周年の創立記念日を迎えるにあたり当時の災
害発生時からその後の対応について様々な思いと
反省、感謝すべきことを当時を振り返ってここに
取りまとめさせて頂きました。
2011/3/11その時私は利府町の児童館の社内竣
工検査を実施、帰社の途中でこの大地震に遭遇し
た。車が転がるような大きなゆれ、そしてまもな
くけたたましいサイレンと共にラジオで大津波警
報の連呼。昭和35年5月24日私は小学校1年でチ
リ地震津波を経験目の当たりにしている。このと
きも多くの家屋と尊い人命が失われた。
今回の地震津波の規模から推測して沿岸沿いは
想像を絶する災害になると瞬時に予想した。各所
道路寸断、火災、ビルの壁、ガラスの破損の中夢
中で会社についたのは2時間後。会社では早速緊
急対策本部を立ち上げ停電からELV使用出来ずや
むなく1階のホールに本部を設け、緊急体制を組
織、その後の対応にあたった。すべての作業所、
社内業務を中断し可能な限り市内周辺作業所を中
心に社員の緊急招集。まずは社員の安否確認と社
内災害、作業所状況確認。幸い建造中の建物の大
きな被害報告はなくまずは安堵したが建築部では
社員1名と連絡がとれずにいたが3日後無事を確
認。外部情報収集、通信手段の確保、当社施工実
績の建造物、県庁、市役所、河北新報社等重要施
設含む官庁、民間の建造物の緊急調査を部内地域
割りをして翌日から実施した。
建築での調査は諸官庁物件88件民間物件252件
に及び約40名の社員がフルに稼働しその途上で緊
急対応の必要な倒壊、崩壊、飛散、等の物件はそ
の都度応急復旧を実施した。即座の対応から次か
ら次に復旧要請が有り当社施工物件以外の顧客か
らも多数要請有り対応に追われ社員は家族の安否
確認出来ない中で終日この作業に対応してくれ本
当に心から感謝したい。
この中で特別な対応を迫られた物件がある。要
求に十分応えられる事は出来なかったがご紹介し
たい。大震災の翌日に名取、岩沼、多賀城周辺沿
岸沿いを主に津波で亡くなられた方のご遺体安置
所として県は利府の総合体育館にあるスーパーア
リーナを指定。県警からの緊急要請で私は県警に
赴き、遺体の安置スペースが亡くなり今後の対応
28
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
と提案を要請された。その日の内に県警と現状把
握と調査提案の為スーパーアリーナを視察400以
上のご遺体に合掌しながら通路確保、医師の検死、
配置方法、今後の余震対策等々を考慮してその
日の内に提案内容を県警に送信した。このような
事を含め即座に対応を迫られる物件が多くみられ
た。
新耐震法改正前のRC、S造の中で特に被害の大
きかった物件は大規模小売り店舗(スーパー等)
、
銀行関連の鉄骨造で外壁がALCの建物では、外壁
破壊損傷が多くみられた。又古い構造物のRCの学
校、
病院等の建造物において特に1階がピロティー
的構造物において剪断破壊がすさまじく危険な状
態の物件も多数。調査後緊急応急処置を施主承諾
の上実施その後本格復旧工事に依頼を受けた物件
から着手、又2〜3ヶ月経過後各作業所の継続工
事と復旧工事はその後概ね1年半を要した。
その後社内では震災後の対応反省をふまえ全
員から意見収集、様々な問題提起がでた。震災前
社長考案で設置した高砂サポートセンターの活
用、社員の安否確認方法、衛星電話の活用方法、
MCA無線の活用、災害用伝言ダイヤル活用、帰
宅困難者対応、緊急資材の備蓄、ガソリン、軽油、
灯油等の燃料確保等々の問題で多数の意見反省材
料が収集できた。又福島の原発放射能汚染対策に
ついても骨材、木材等々の測定も顧客要求有り即
座に測定器を購入マニュアル書も作成活用中。
これらを基に橋本店災害時対応マニュアルが出
来、周知教育の後、全員に携帯させている。これ
だけの大震災は数百年又は千年に一度と言われて
いるが、予知出来ない大震災を経験して今後も起
こりうる事を前提にいつも即座に冷静に対応出来
るよう心がけたい。人間は自然の猛威の前には所
詮なにも出来ないと当時感じたが、皮肉にも人の
絆と暖かさ、そして人々の地道な努力はなんと大
きいか建設業に従事している中でも、この大震災
の経験から学び感じた。あの時のあの炊き出しの
おにぎりと差し入れの暖かい食べ物の味とありが
たさは生涯忘れまい。
改めて2年が経過した復旧、復興半ばと言われ
ている今日、建設業が果たした役割と今後の復興
を優先しながらインフラ整備と併せ資材、労務費
の高騰、作業員不足が深刻な中ではあるが果たす
べき役割を見つめ対応にあたりたく思います。
最後に震災当時この復旧に真撃に対応してく
ださった同心会及び協力会社各位と県内外から燃
料、機材、材料各種を提供下さった皆様、昼夜を
問わず緊急対応にあたった社員の皆様に改めて心
から感謝申し上げます。又大震災で不幸にも亡く
なられた方々には心からご冥福申し上げます。
塩釜緑ヶ丘病院
対応
建築部 内海 俊夫
地震により当初連絡が入ったのは、病棟の外壁
の落下及び外壁と平行して屋上より突き出ていた
金属製の煙突の落下の処理だった。
(鉄骨造ラス
モルタル塗りのためラスシートごと落下)
その時点での対応は、落下した外壁部を高所作
業車によりブルーシートで養生復旧、及び落下し
た外壁材や煙突の片付け作業だった。併せて、断
水にもなっていたので、入院患者用の給水車によ
る飲料水の確保であった。外壁に関しての復旧は
なるべく軽い材料ということで窯業系サイディン
グに吹き付け仕上げとした。
その他、内部階段(4箇所)の壁及び段裏のモ
ルタルクラック部は落下の危険もあったが、既存
を撤去してモルタル仕上げの余裕もなく、ネット
貼り工法で処理し、病室等の天井ボード部分は張
替と一部塗装補修で対応した。
外壁が落下して傷ついた屋上面は既存のシー
ト防水に穴が開いていたので部分的な補修とし、
EXP-Jは破損部を撤去して交換した。
外部の舗装面も沈下している部分があったた
め、既存アスファルトを撤去し路盤を整正、転圧
し排水枡を嵩上げ再舗装とした。
病院の性格上、建物への出入りにはその都度、
施錠・開錠が義務づけられ病院の担当者がついて
の作業だった。又外部工事も、日々出入りする食
材納入業者や寝具類の交換業者、燃料等の納入業
者など狭い部分での調整が作業の能率を圧迫した。
後日、厚生労働省から補助を受けるための見積
書の作成や、調査官へ工事内容の説明等を求めら
れようやく工事終了となった。
鶴ヶ谷支援学校完成
目前の震災
建築部 佐々木富三男
その日現場は、完成検査に向け突貫工事に近い
状況で稼働していた。
平成23年3月11日午後2時46分、その時私は給
食棟2階で自主検査を行っていた。突然大きな揺
れが始まり同時に携帯の緊急地震速報が鳴った。
すぐ脇にスチールの防火戸が立てかけてあり、倒
れると仕上げが損傷すると思い、近くにいた作業
員と一緒に扉を押さえて揺れがおさまるのを待っ
た。しかし大きな揺れは収まらず、重い扉の下敷
きになるのではないかと不安になった。これほど
に大きく長い揺れは、これまでの人生で一度も経
験したことが無かったので作業員の安否やクレー
ンの転倒など不安が脳裏をよぎった。
やっと長い揺れがおさまった時、力が抜けてし
ばらくはたっていられない状況であった。一緒に
いた作業員の方が、ワンセグの携帯を出しテレビ
の臨時ニュースを写してくれ、地震が宮城県沖で
発生し、大規模なものであると報道していたのを
見て、すぐ朝礼広場に戻り各社より作業員の安否
確認を行い、全員の無事を確認した。又クレーン
作業はブームを30度くらいに倒して作業していた
がオペレーターのとっさの判断で転倒は回避出来
た。その後の情報で、名取川河口で津波がきてい
ることを知り、沿岸部に帰る方は自宅に戻らない
よう指示した。又作業を中止し、後片付けや飛散
養生を完了後解散とした。
その後、職員に現場内、及び周辺の施設を巡回
してもらい被害の把握を行った。現場は給食棟2
階に置いたガラスが数枚倒れ破損したのと既存建
物と増築の建物がずれていて、エキスパンション
ジョイント金物が変形した。あの大きく長い揺れ
を考えれば被害は少ないと思う。学校は西校舎の
被害が大きく、階段室に大きな損傷があったのと、
音楽室の天井が大きく変形し危険な状態の為、応
急的に立ち入り禁止の措置をした。又隣地の福祉
施設にも被害の状況を確認し緊急処置が必要か聞
いて回った。
現場の東にある、仙台オープン病院に面した法
面土留めが崩れそうになっているのを発見し病院
事務室に伺い、余震で土留めが崩壊する恐れがあ
るので駐車場に有る車を移動した方が良いと助言
するとともに、緊急対策が必要であれば、申しで
て頂くようお願いした。
全域で停電となり、水道も出ないため、又職員
家族の安否も心配されるので、午後6時頃に全員
帰宅した。
3月12日(土)は、現場からストーブ等を会社
の災害対策本部に運び、対策本部にて緊急時の対
応を行った。
3月13日(日)は、仙台市からの依頼により、
避難所の危険度判定に参加し学校の校舎や体育館
の調査に従事した。
3月13日(日)仙台市より工事中止命令がださ
れた。翌日より当社で施工した建物の被害状況を
調査し応急処置の出来るものは直ちに対応した。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
29
食肉市場の
緊急対応
建築部 相原 均
3月11日は、当社ビル内で被災し、多賀城の自
宅まで自家用車で約5時間かかり帰宅した。当時
の私の仕事は、予算をまとめる仕事でしたが、3
月12日は、前年に担当した、高砂給食センターの
1年瑕疵検査の予定でした。朝に自宅より自転車
で給食センターに行き、市の担当者と連絡を取り、
検査結果を報告し立入禁止処置をした。又、扇町
の食肉市場へ行き、懸肉室棟の柱座屈を確認し、
担当者と打合せを行い、立入禁止処置をとった。
両建物共4月7日の余震で、被災が拡大したが、
給食センターは、6月より再開、懸肉室も、仮支
柱等で対処し、後日、復旧となった。
松山高校の本復旧
建築部 須藤 崇
松山高校の校舎は大崎市松山町にあり、建物の
概要は4階建てのRC造で、普通教室棟と特別教
室棟の2棟に分かれており、今回の震災で工事を
行ったのは、特別教室棟でした。特別教室棟は1
階が一部図書室であるが、ピロティーになってい
るため、柱が地震によりせん断破壊され大変危険
な状態と感じた。
余震で建物の倒壊も考えられたので、学校関係
者が特別教室棟に入ってこないように2棟の間の
廊下に仮の間仕切で仕切をおこない、次に、1階
の柱が座屈しないように、32本ある柱の横に仮設
支柱で上部荷重全て支えるための補強を実施。
32本ある柱のうち、外部側の柱は損傷が激しい
ため、既存の柱筋までコンクリートをハツリとり、
新たに柱筋を外側に配筋し、鉄板を柱に巻き込み、
既存の柱と鉄板の間にグラウト材を注入した。
外部と内部のクラックの部分にはエポキシ樹脂
で注入を行った。現場の作業を行ううえで、学校
の建物なので、振動、騒音、粉塵等に特に気をく
ばりまた、資材搬入の時間も登、下校時間を避け
作業をすすめた。
工程は少々遅れは有ったが、学校要望の秋の文
化祭までには無事工事を終え、関係者から感謝の
意を頂いた。
30
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
食肉市場復旧対応
建築部 清野 明俊
震災翌日の3月12日より食肉市場側依頼の旧管
理棟屋上及び市場棟・加工場屋上において雨漏り
防止のブルーシート養生、旧管理棟において建具
改造工事の対応を実施した。
その後は食肉市場管理係、担当者と打合せを幾
度となく行い被災状況の把握、復旧優先場所の選
定、当時の作業員、資材確保、入荷状況を考慮し
た上で、復旧工事を進めました。
内容は、と畜場棟の屋上防水の補修、大動物
解体室のエキスパン補修、階段室の壁面全面復旧
の対応実施。復旧工事の中縣肉室建替工事を当社
が受注し復旧・建替工事を同時に実施した。又、
工事中余震等の影響により工事範囲も広がり対応
に苦慮した。結果、復旧・建替工事を含め約8ケ
月の期間を要する工事となったが、食肉市場管理
係の協力もあり食肉市場稼働復旧の礎になれたと
思う。
東京インテリア
震災について
建築部 高橋 智明
東京インテリア震災の被害状況は、メイン正面
入り口付近が最も被害が大きく、内外とも、サッ
シ・硝子が大破し、天井が下地ごと落下し外壁も
大きく破損していて、内部が見える状態だった。
その他の外部も東西南北全ての面で破損、落下
がみられた。
内部は1・2階共防火シャッター、防煙垂れ
壁が落下破損し、スプリンクラーも破損し床が水
浸し状態で家具も散乱し、足の踏み場も無い状態
だった。エレベーターは、基礎も沈下し鉄骨梁も
挫屈し動かせる状態ではなかった。
復旧工事は、応急処置とし外壁落下場所を高所
作業を要して、内部に雨水が入らないよう養生を
行い、内部は1階天井を部分補修し2階は天井を
全て撤去、散乱し商品として出せない物と一緒に
搬出処分した。
その後1階仮オープンの為改修を行い、1階を
営業しながら、内外の大改修工事を行った。
震災時をふりかえって
震災時の対応と
復旧の取り組み
土木部 佐々木光也
東日本大震災直後、対策本部を立ち上げた我々
に真っ先に求められた事は、救援車両を通す道路
の確保だった。あらゆる依頼を全て受け、物資も
ガソリンさえも無い中、一丸となって力を尽くし
た。しかし以前関わった大地震災害の復旧工事と
大きく異なったのは、瓦礫の量である。津波が何
もかも押し流した後の景色と臭いは、その地で生
活していた被災された方々の、精神的な傷を更に
深くする。そう思うと負けてはいられなかった。
二年という時は過ぎたが、まだ、復興の入り口
に過ぎない。千年に一度と言われる大震災に遭遇
し、この仕事に携わっている我々は、被災地の新
たな街作りに参画する機会を与えられている。
考えうる限りの想定と備えをしても、自然災害
は避けられない。ならばこの大ピンチを徹底的に
検証して、次なる困難に立ち向かう力をつけよう。
一人でも多くの生命、一つでも多くの財産を守る、
堅固な故郷を作って行こう。
そうする事が、犠牲になった方々の尊い命に報
いる方法の一つになればと思う。
震災を振り返って
感じた事
土木部 米倉 隆
東日本大震災から2年が過ぎました。震災復興
に向けて少しづつですが、着実に前に進んでいる
ように思えます。
私は、震災直後から本社の指示に従い災害復旧
にあたりました。
その中でも山元町において行方不明者の捜査安
否確認と瓦礫の撤去、片づけを会社の強力なバッ
クアップのもと、大量の重機・ダンプトラックを
投入して自衛隊を支援しながら復旧作業に従事で
きたことは、私にとって大変有意義でした。
まさに当社の経営理念にもある「地域社会に貢
献する」ことを災害復旧を通じて実践できたので
はないかと感じています。
あのとき、瓦礫の中でみた桜は今年もきれいな
花を咲かせることでしょう。
社員の生の声
震災時の
被害状況と今
土木部 若生 大和
震災発生時私は地下鉄仙台駅建設工事に従事し
ていた。
当時は掘削工、土留支保工、土留横矢板工がメ
インでもう少しで掘削が終盤を迎えこれから躯体
構築に入っていくという段階であった。
震災発生時、現場が市街のど真ん中ということ
もあり、数名の人は恐怖のあまり作業帯の中に避
難してきた。周囲のビルの看板は傾き、歩道部の
タイルは割れ、陥没した。
また、ペデストリアンデッキの根巻きコンク
リートに亀裂が入り、桁をつなぐボルトも何本か
弾け飛んだ。
駅前、バスプール付近は帰宅難民でごった返し
ていた。現場内は、速やかに避難誘導を行い作業
員全員が無事に地上に避難することができた。た
だ、停電の影響のため常時地下水を汲み上げてい
るポンプが停止したため構内の1/3が水没した。
また、吊防護を行っている下水管が数カ所破損
した。
2日後電気は復旧し、周囲の陥没箇所や破損個
所の補修作業を行った。1週間後には3ケ月間の
工事中止期間に入った。
今現在工事を再開して1年9ヶ月が過ぎ、施
工延長約219mの駅舎は躯体構築の最盛期である。
現在運行中の地下鉄南北線の真下を掘削し南北線
自体を油圧ジャッキで支え新たに駅舎を建設する
アンダーピニング工事が終了し、順次各フロアを
作っていく。今後も南北線の地下2階と合体する
改造工事や、出入口工事も残っている。
人員・資材の逼迫。単価の高騰等様々な問題も
あるが、苦難を乗り越え復興の象徴となるような
立派なものを完成させようと思う。
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
31
卸町のSOS
建築部 阿部 重貴
卸町は仙台市の東南部に位置する若林区内にお
いて、中央卸売市場を中心に卸売業、運輸業等の
集積が進んだ一大流通拠点として東北の経済活動
をリードする地域である。
私は流通の拠点となる卸町で、倉庫や事務所等
の緊急応急対応、被害調査、見積り、復旧工事の
施工に従事した。
卸町は沿岸部から離れているため、津波の被害
が無いものの地層の影響か揺れが大きく外装材の
脱落や窓硝子の破損が目立ち、建物の圧壊等が確
認された地区である。最初に人災や2次的災害防
止の観点から、崩壊した外壁の撤去、雨養生など
の応急対応を早急に行わなければならなかった。
また、被災している建家の数があまりにも多く対
応に苦慮した。
震災直後は資材や協力業者の手配が出来なく、
会社全体で調整をしながら応急対応を行ってい
き、合わせて被害の調査、見積り、必要な耐震診
断実施から復旧工事と順番に進めていった。
当初3件位の要請が十数件にもおよび卸商セン
ターからの依頼も含め次から次に復旧のSOS。配
属された人員、作業員、各種重機含め可能な限り
対応したつもりだが、要求に応えられなかったお
客様には、この誌をおかりして、改めてお詫び申
しあげたい。
高砂サポートセンター
での活動
P:Business Continuity Plan)を導入し、サポー
トセンター(災害対策センター)を震災前である
平成23年3月1日に開設していたことも迅速な対
応に繋がったことと実感しています。
仙台港沖防波堤工事の
経験
土木部 菊田 透
東日本大震災後の災害復旧工事で私は地盤沈
下と津波の影響で破損した仙台港沖防波堤の災害
復旧工事を担当しました。主な工事内容は消波
ブロック製作・据付と、当社では初となるコンク
リートミキサー船を使用し海上で上部コンクリー
トを打設する作業でありました。沖防波堤は仙台
港の最も沖側に位置している重要な防波堤である
ことから早期復旧が求められていました。震災か
ら9ヶ月が経過した12月からの施工であったが、
宮城県内は災害復旧工事の増加に伴いコンクリー
トに使用する骨材が極端に不足し調達できないと
いう問題に直面しました。早期復旧の為には骨材
を県外から調達するしかないと考え、北海道から
の海上輸送で対応し、なんとか工期内に終らせる
ことができました。いろいろな困難にぶつかりな
がらの施工にはなりましたが特定重要港湾である
仙台港沖防波堤の早期復旧に協力出来た事は良い
経験になりました。
陸前高田・大槌町への
燃料輸送
土木部 熊野 伸一
技術・管理部 相原 真士
東日本大震災ではガソリン等の燃料調達が非常
に困難な状態となり、災害復旧に使用する重機や
ダンプの燃料を確保するのにも大変な思いをしま
した。
震災後、私は高砂サポートセンターで災害復旧
に使用する重機関係の燃料を調達運搬する後方支
援の業務に従事していました。当初は自社で担当
する重機燃料の確保を担当してましたが、国や県
からも要請が入り、被害の大きい地域への燃料配
達も行うようになりました。
主な地域としては、七ヶ浜、石巻、女川、北上、
南三陸、陸前高田、大槌、南相馬等へ軽油ドラム
缶やガソリン携行缶を届け、燃料調達に困難な地
域をサポートしたりしていました。
また当社では、リスクマネジメントの一環とし
て、企業の存続に影響するような災害、事故など
の発生を想定した「緊急時企業存続計画」
(BC
32
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
東日本大震災時私は仙台市発注の原町雨水とい
う現場で発注者の下検査中に被災しました。完成
させた構造物が目の前で壊れていく光景は今でも
忘れられません。自分の現場の安全を確保後、会
社の災害対策本部の指示の元に資材調達や石巻で
の交通誘導の業務をこなしていました。
その中でも忘れられないのが、岩手県への燃料
輸送でした。3月19日に震災被害が激しかった宮
城県南三陸町と岩手県陸前高田市、大槌町に発電
機の燃料を輸送してほしいとの要請が入り、私が
担当することとなりました。海岸線の道という道
は寸断され、各地への輸送は国道4号を北上しな
がら、海岸地区へ向かうというルート(くしの歯
作戦)により遠回りしながらの行程でした。
朝6時に出発して最終目的地には夜10時に到着
という強行軍でした。大横町では避難所への道が
水没していて、夜間真っ暗な中での走行は本当に
怖い経験でしたが、被災地に一刻も早く光りを届
けたい思いでいっぱいでした。
Construction Works
近年の代表作品 建築部 官公庁舎
韓国文化院
教育施設
PFI
白石高校
教育施設
宮城県 優良工事
高砂給食センター
伝統的民俗舞踊「僧舞(スンム)」をイメージしたデザインで中間免震構造を採用
教育施設 荒町小学校 仙台市 優良工事
デザインビルド 住宅施設
福祉施設
商業施設 ヨークベニマル 荒巻店
春の森から
鶴ヶ谷市営住宅
事務所
同和警備 名取営業所
工 場
G・S・エレテック
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
33
Construction Works
近年の代表作品 建築部 体育施設
PFI
宮城スタジアム(J.V)
文化施設
仙台市天文台(J.V)
文化施設 せんだいメディアテーク(J.V)
34
交通施設
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
PFI
東北電力
仙台空港(J.V)
教育施設
エナジースクエア(J.V)
宮城教育・福祉複合施設(J.V)
宗教施設
本山孝勝寺五重塔(J.V)
Construction Works
近年の代表作品 土木部 道 路
常磐自動車道 東日本高速道路 優良工事
下水処理施設 山元浄化センター 日本下水道事業団 優良工事
橋 梁
新志田橋橋梁下部工 宮城県 優良工事
道 路
トンネル
小森トンネル(松島) 宮城県 優良工事
排水路
海洋土木
新北防波堤
海 岸
宮城野橋道路改築
柴鳥排水路
仙台市 優良工事
宮城県 優良工事
蒲崎海岸緊急復旧 東北地方整備局 優良工事
〜復興へのあゆみ〜 H A S H I M O T O T E N ●
35
Construction Works
近年の代表作品 土木部 公 園
仙台城石垣(J.V)
ダ ム
長沼ダム(J.V)
鉄 道
仙台空港アクセス鉄道(J.V)
造 成
東京エレクトロン
駐輪場
仙台駅東口地下自転車駐輪場(J.V)
共同溝
橋 梁
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西地区橋梁 東北地方整備局 優良工事
● H A S H I M O T O T E N 〜復興へのあゆみ〜
国分町共同溝(J.V) 仙台市 優良工事
雨水幹線 原町雨水幹線
夢がある。それは、あこがれでもある。
会社概要
海を悠々と泳ぎまわるクジラに夢があるとしたら、
それは、空を飛ぶことかもしれない。
■ 役 員/代 表 取 締 役 会 長 ・・・・・・・・・・・・・ 佐 博俊
■ 役職員数/171名
代 表 取 締 役 社 長 ・・・・・・・・・・・・ 佐々木宏明
役 員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8名
専務取締役
(建築担当)・・・・・・・・・・ 金子 典之
技術関係職員
常務取締役
(土木担当)・・・・・・・・・・ 佐藤 茂夫
土木工学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83名
そして、都市化があたりまえのことになってしまった今。
常務取締役
(営業担当)・・・・・・・・・・ 遠藤 利一
建築工学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50名
こんな時代だからこそ、街づくりに対する夢を大切にしていきたいと思います。
取締役総務・安全部長 ・・・・・・・・・・・・ 尾形 栄一
事務関係職員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30名
クジラが夢にあこがれるように、未知の空間へのあこがれの気持ちを、
常 任 監 査 役 ・・・・・・・・・・・・ 奈良 直樹
大海原に負けないくらい青い空は、クジラにとって未知の世界。あこがれである。
私たちは、道をつくり、建物を建てるという形で、原野に夢を咲かせてきました。
監 査 役 ・・・・・・・・・・・・ 三島 卓郎
私たちはひとつひとつの形にしていきたいと考えています。
夢の創造はさらに大きく。
■ 営業種目/1.土木建築請負業
■ 関連会社/株式会社 橋本不動産
■ 取引銀行/七十七銀行
仙台銀行
2.木材の販売及び製材業
三菱東京UFJ銀行
3.不動産の所有及び売買
仙南信用金庫
4.不動産賃貸業、
不動産管理業及び
杜の都信用金庫
不動産取引業
5.太陽光発電による発電及び売電業
6.建設資材の製造及び販売
7.損害保険代理店業務
8.前各号に付帯する一切の業務
■ 特定建設業許可番号・許可年月日
/国土交通大臣許可
(特-23)
第581号
平成24年1月13日
組織図
会
長
社
長
監 査 役
総務・安全部
営 業 部
建 築 部
土 木 部
技術・管理部
総務・安全課
営 業 課
工 事 課
高砂サポートセンター
工 事 課
技術・管理課
管 理 課
盛岡営業所
工 務 課
災害対策センター
工 務 課
大崎営業所
設 計 課
資材センター
石巻営業所
住宅事業課
HASHIMOTOTEN
橋本店135年のあゆみ
震災復興への取り組み
株式会社
橋本店
本 社
〒980-0822 仙台市青葉区立町27番21号
TEL 022-714-7020 FAX 022-714-7030
盛岡営業所
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TEL・FAX019-681-2041
大崎営業所
〒989-6162 大崎市古川駅前大通2-1-11 1F
TEL 0229-87-3747 FAX0229-87-3748
石巻営業所
〒986-0854 石巻市大街道北3-23-7
TEL 0225-25-4371 FAX0225-25-4372
くじらの家
TEL 022-714-7025
株式会社
橋本店
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