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猩紅熱に対するBacampicillinとTalampicillinの二重盲検比較試験

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猩紅熱に対するBacampicillinとTalampicillinの二重盲検比較試験
121
昭 和54年3月20日
狸 紅 熱 に 対 す るBacampicillinとTalampicillin
の二 重盲 検 比較 試 験
狸紅熱研究会(会 長:中 溝保三)
市立 札幌病院
冨
沢
功
都立墨東病院
村
田
三
紗
子
都立荏原病院
辻
正
周
山
口
剛
都立駒込病院
柳下
徳雄
中沢
秀夫
清水
長世
磯貝
元
一次
松原
義雄
都立豊島病院
和田
弘
飯村
達
瀬尾
威久
庭野
横浜市立万治病院
星
野
重
二
都立衛生研究所
大久 保 暢夫
永
瀬
柏 木 義勝
国立予防衛生研究所
金一 郎
新
井
柴田
秀
実
雄
Controller
田
中
恒
男(東 京大学医学部)
桑
原
章
吾(東 邦大学医学部)
Key Words: Scarlet fever, Bacampicillin, Talampicillin, Double blind study.
感 染 症 に 対 す る治療 薬 剤 の効 果 の判 定 に は,臨
る1).
I.治
床 症 状 の改 善 と 病 原 菌 の 消 失 が 重 要 な 指 標 とな
る こ とは言 うま で もな い.他 の 微生 物 の影 響 を う
け る こ との比 較 的 に少 な く,単 純 な経 過 を と る疾
狸 紅 熱 に 対 す るBacampicillin
(以 下BAPC)の
患 の場 合 に は,そ の効 果 の判 定 は 容 易 で あ る こ と
が 多 く,狸 紅 熱 も この範 疇 に入 る疾 患 で あろ う.
試 験 に よ っ て,客
下TAPC)を
察 す る こ とが 出来 れ ば,よ
り
精 度 の高 い 効果 判 定 の 検 討 が 可 能 で あ る と考 え
対 照薬 と した 二重 盲 検
観 的 に 比 較 検 討 す る 目 的 で,治
験 を 計 画 実 施 した.
II.試
学 的 また生 化 学 的 な 臨床 検 査 成 績 の推 移 を併 せ て
正 確 に把 握 し,観
hydrochloride
治 療 効 果 お よび 安 全 性 をTala-
mpicillin(以
病 原菌 の消 失 や臨 床 症 状 の経 過 に従 って,血 清
療 の目的
1.使
験方法
用薬剤
被 験 薬剤
と し て は,BAPCは
。1カ プ セ ル 中
122
感染症学雑誌
BAPCをABPCと
して50mg(力
い,対 照 薬剤 のTAPCは,1カ
をABPCと
して50mg(力
価)含 有 を用
プセ ル 中TAPC
価)含 有 を用 い た.
カ プ セ ル の大 き さ,外=観,包
装 等 は全 く同 一 の
ヵ プ セ ル に充 填 し,カ プ セル 接 合 部 に シ ール を施
し,全 く識 別 出来 な い よ うに作 製 した.
各 薬 剤 相互 の鑑 別 不 能 性 は,事
症 例 に 一 包装 を使 用 した.
割 付 け は,double
controller方 式
お別に
emergencycodeを
共 に各
作製 し,key
codeと
Controllerが 無 作 為 に 抽 出 した2薬 剤 に つ き,
国 立 予 防 衛 生 研 究 所 にお いて 含 量試 験 を 行 い,基
与期 間
7日 間 連 続 経 口投 与 した.
6.投
与の中止
但 し,中 止 時 に も所 定 の 検 査 を 行 い,中 止 理 由
と と もにcase
ま た,必
cardに 記 入 した.
要 な 場 合 に はcontrollerに
codeを
連 絡 し,
開 封 す る こ とが 出 来 る こ と と
outと す る こ と
に した.
7.併
用 療 法 お よび補 助 療 法
本 治 験 に 当 って は単 独 療 法 を原 則 と し,必 要 上
準 に含 致 した も の で あ る こ とを 確 認 した.
止 む を 得 ず 併 用 また は 補 助 療 法 を 行 った 場 合 に
象患者
か ら 昭 和53年5月
ま での 間 に,
表 記6病 院 に入 院 し,狸 紅 熱 と診 断 した 症 例 の う
ち,下 記 の条 件 に該 当す る患 者 を対 象 と した.
1)入
院 患 者 で発 症 後5病
2)体
重15kg以
上30kg以
日以 内 の患 者
は,治 療 の理 由,薬 剤 名,用 法,用 量,投 与 期 間
等 をcase
8.臨
cardに 記 入 す る こ とに した.
床 症 状 の観 察,細
菌検 査 お よび 臨床 検 査
入 院 時 に 病 名,性 別,年 齢,合 併 症,発
病年 月
日,体 重,入 院 前 の 治療 を記 録 した.
下 で カ プ セル 剤 服
用 可 能 な患 者
3)本
与 は 患者 の入 院順 に行 っ た.
し,途 中 で 開封 した 症 例 はdrop
量試 験
昭 和52年12月
満 は2
上 は3カ プ セル)1日4回6
時 間毎 又 は毎 食 後 お よび就 寝 前 に服 用 させ た.投
emergency
controllerが 保 管 した.
4.対
は3カ プセ ル宛(体 重20kg未
重 篤 な 副 作 用,症 状 の増 悪 を きた した 時 は,主
に よ り 無 作 為 に 割 付 け が 行 わ れ た.な
3.含
1回2又
カ プ セ ル,20kg以
治 医 の判 断 に よ り投 与 を 中 止 した.
剤の割付け
keycodeの
第3号
与方法
3)投
前 にcontroller
の 保障 を うけ,一 包装 は84カ プ セ ル入 り と し,一
2.薬
2)投
第53巻
1)体
温 は 薬 剤 投 与 前 よ り退 院 時 まで1日4回
測 定 し,最 高 お よび 最 低 体温 を記 載 した.
剤 投 与 前 に抗 生 物 質 を使 用 して い な い患
者
2)発
疹,咽 頭 発 赤 は,投 与 前 よ り朴 ・+・-
の3段 階 で記 載 し,消 失 す る まで 観 察 した.
4)抗
生物 質 単 独 投与 で 治療 可能 な患 者
5)本
剤 投 与 前 に 菌 検 査 を 実施 した患 者
釈 法 に よ り,原 則 と して 薬 剤 投 与 前 か ら投 与 開 始
6)薬
剤 ア レル ギ ー又 は そ の 既 往 の な い患 者
7)重
篤 な腎 又 は 肝 障 害 を 有 し ない患 者
後3日 間 は毎 日行 い,そ の 後 は 隔 日に 行 った.
一 平 板 の細 菌 数 の記 載 は ,柵(201個
以上),+++
3)細
な お,治 験 く り入 れ 不 適 で あ る と判 断 した もの
は対 象 か ら除 外 した.
5.薬
1)1日
20kg以 上30kg以
4)臨
た。
価)/kgと
満 には400mg(力
下 に は600mg(力
地に よる
増 菌 を行 った.
投与量
よ うに 体重20kg未
(200∼51),++(50∼21),+(20∼1),-(0)
と した.な お一 部 の症 例 ではE.U.B.培
剤 の投 与 方 法
1日 投 与 量 が ほ ぼ20∼30mg(力
菌検 査 は,咽 頭 粘 液 を血 液 平 板 また は 混
なる
価)を,
価)を 投 与 し
床 検 査 は,投 与 前,投 与 終 了 時 お よび 投
与 終 了 後7∼10日
検 査 項 目は,血
の3回,可
能 な限 り実 施 した.
液(赤 血 球,白
白 血球 百 分 率),ASO,ASK,CRP,肝
GPT,AI-P,LAP,LDH,γ-GTP)お
血 球,血
色 素,
機 能(GOT,
よび尿(蛋
123
昭 和54年3月20日
白,糖,ウ
治 験 終 了 後 調 査 表 を 回 収 し,記
ロ ビ リノ ー ゲ ン)で あ る.
な お,咽 頭 培 養 に よって 分 離 され たA群 溶 連 菌
は都 衛 生 研 究 所 に 送 られ,PCG,ABPCに
る 感 受 性 検査(MIC)を
対す
日本 化 学 療 法 学 会標 準
法 に した が って実 施 した.ま た 分 離 菌 は予 研 で,
LancefieldのM沈 降 反 応 に よっ て型 別 を 行 った.
9.除
外,脱 落 規 定
し,除
外 お よ び 脱 落 の 判 定 を 行 い,治
次 の項 目の いず れ か に該 当す る症 例 は,除 外 ま
た.ま
た 副 作 用 の あ っ た 症 例 に つ い て は 除 外,
脱 落 例 を 含 め 副 作 用 の 検 討 が 可 能 な 症 例 を 加 え,
薬 剤 の 影 響 に よ る 副 作 用 で あ るか 否 か を 検 討 し
key
codeの
開 封 に 先 立 ち,参
医 出 席 の も とに,判
1)患
者 条 件 を満 して い な い症 例
た 後 に,controllerに
2)規
定 通 り服 薬 しな か っ た症 例
っ た.
3)副
作用 の た め投 与 を中 止 した 症 例
4)臨
床 効 果 に影 響 あ り と思 わ れ る薬 剤 が 併 用
14.統
体 会議 で 除 外 ま た は脱 落 と判 定 した 症 例
なお 除 外,脱 落 と判 定 した もの は効 果 の判 定 は
行 わ ず,副 作 用 の 検 討 に の み加 え た.
10.臨 床 効果 の 判 定
よ りkey
codeの
開 封 を行
計的解析
治 験 症 例 の 集 計,解
析 はcontroller(田
中 恒 男)
解 析 に は ノ ン ・パ ラ メ ト リ ッ ク 法 を 用 い,マ
ン ・ホ イ ヅ ト ニ ー のU検
補 正 付 き),ブ
定,Z2検
判 定 の項 目は,次 の 項 目に つ い て検 討 した.
イ ッシ ャ ーの 直 接 確 率 計 算 法 を 使
III.除
1.除
外,脱
外,脱
key
落 例 お よ び効 果 判 定採 用症 例
落
code開
封 に 先 立 ち,投
1)咽
頭溶連菌の消長
2)下
熱効果
て,記
3)発
疹 の消 長
の 担 当 医 協 議 の も と に,治
4)咽
頭発赤の消長
る条 件 に し た が っ て,除
5)再
排菌
っ た.
目の改 善 度 を 基 準 に 著 効,有 効,や や
有 効,無 効 の4段 階 に判 定 す る こ と と した.
全 症 例267例
群 は134例
うに,除
用 に た え な い,の5段
ち ら と もい え ない,不
階 に判 定 す る こ とに
した.
落 例 の判 定 を行
は133例,TAPC
の う ちTable1に
示す よ
外 症 例 はBAPC群12例,TAPC群19例
で 計31例
で あ っ た.除
(Corrected
で は,x2=1,2635で
BAPC群
外 率 に 関 し て はZ2検
CHI-square
に1例
Value,以
下Z2と
有 意 差 な く,脱
P=1,0000と
副 作 用 に つ い て は 除外,脱 落 例 を含 め可 能 な限
2.効
落症例 は
み と め た の み で,Fisherの
直接確
は,
な り群 問 に 差 を み とめ な い.
果判定採用症例
り検 討 を行 った.自 覚 症 と して の 副作 用 を チ ュ ッ
BAPC群
ク し,種 類,発 現 日,程 度,持 続 性,処 置 お よび
脱 落 症 例1例
経 過 等 につ いて 検 討 した.
TAPC群
開封
定
略 称)
率 検 定(Fisher'sexactprobabilitytest)で
12.副 作用
13.keycodeの
加全施設
験 計 画 に設 定 され て い
外 例,脱
の う ち,BAPC群
め て 良 好 で あ っ た.こ
医 が化 学 療 法 剤 と して の有 用 性 を 総 合 的 に 判 定 し
につ い
で 収 集 症 例 の 群 間 の ノミラ ン ス は き わ
11.有 用 性 の判 定
効 果,副 作 用,再 排 菌 な どを加 味 して,治 療 担 当
与 症 例267例
載 不 備 事 項 の 補 填 を し た の ち,参
上 述 の臨 床 効 果 の判 定 法 と共 に 治 療 経 過,臨 床
て,非 常 に満 足,満 足,ど
定(Yatesの
用 し た 。 ま た 危 険 率 は 両 側 を 採 用 した.
投 与 開 始 直 前 お よび7日 間 の投 与 終 了後 の効 果
満,使
加 全施 設 の担 当
定 に異 議 の ない こ とを確 認 し
が こ れ に 当 っ た.
され た 症例
上 記5項
験 条 件 を完
全 に 満 した 症 例 に つ い て 臨 床 効 果 の 判 定 を 行 っ
た.
た は脱 落 と判 定 した.
5)全
入事項 を 確認
は 投 与 症 例133例
を 除 く120例
中,除
外 症 例12例
と
が 採 用 症 例 で あ り,
は 投 与 症 例134例 中,除
く115例 が 採 用 症 例 で あ る.効
外 症 例19例 を 除
果判定採用症例数
124
感 染 症学 雑 誌
Table
1
Patients
excluded
and dropped
out
Table
Exclusion
x2=
2
Number
1.2635,
Drop out P = 1.0000,
第53巻
第3号
of patients
N.S.
N.S.
は両 群 合 計235例 で あ る(Table2).
IV.薬
剤 感 受 性 お よ び菌 型
この治 験 を行 った 患 者 の咽 頭 か ら分離 したA群
溶 連 菌136株 に つ い て,ウ
マ血 液 加 トリプ トソイ
寒 天 培 地 で集 落 選 別 を お こ な った 後,日 本 化 学 療
法 学 会 標 準 法 に従 い,ト リプ トソ イ寒 天培 地 を 用
い て,PCGお
よびABPCに
対 す る最 小 発 育 阻 止
濃 度(MIC)を
Table
1)
3
Sensitivity
測 定 した.
and type of streptococci
MIC to PCG
Z=1.5690,
P=0.1167
N.S.
2)MICtoABPC
Z=0.9191,
3)
P =0.3581
N.S.
Type of streptococci
X2=4.7528,
co= 7,
N.S.
昭 和54年3月20日
125
Table
4
Sex
な お,以
上 の薬 剤 感 受 性 お よび菌 型 の分 布 は両
薬 剤 群 間 に 差 は み ら れ な か つ た.
V.試
1.背
験成績
景条 件
効 果 判 定 採 用 症 例235例(BAPC120例,TAPC
115例)の
X2p0.0009,
背 景 条 件 に つ い て,性(Table4),年
齢(Table5),発
N.S.
病 後 日 数 分 布(Table6),前
与 抗 生 剤 の 有 無(Table7),1日
Table3の
よ うに,PCGは0.012∼0.06μg/ml,
ABPCは0.025∼0.012μg/mlで
発 育 を 阻 止 さ れ,耐
8),併
大部分の 菌株が
こ れ ら の 成 績 は,最
咽 頭 発 赤,菌
近 我 々 が 発 表 し た 成 績2)と
目症 状 一 最 高 体 温,発
数(Table11∼14)に
に よ っ て 型 別 を 行 っ た と こ ろ,12型
降反応
与 を 受 け た 例 がTAPC群
が 最 も多 く,
較 を 行 う と,す
が 多 か っ た.
Table
5
間比
群 間 に差 は
Age
6
Day
of illness
at
the
Table 8
of antibiotic
X2=1.7441,
N.S.
P =0.6695,
N.S.
initiation
Z=0.8300,
Pretreatment
療前に抗生剤投
に 多 か っ た が,群
べ て の 項 目に 関 し,両
Z=-0.4268,
7
れ
見 られ な か っ た(Table4∼14)。
Table
Table
疹,
つ い て,そ
性 別 で 両 群 と も 男 児 が 多 く,治
に つ い てLance且eldのM沈
つ い で,1型,4型
併 症治療剤の
ぞ れ 群 間 比 較 を 行 っ た.
殆 ん ど 変 わ ら な か っ た.
ま た,137株
投 与 量(Table
用 薬 剤 の 有無(Table9),合
有 無(Table10),0日
性 株 は み ら れ な か っ た.
投
P =0.4065,
N.S.
Daily dose (mg/kg)
x2=2.6950,
N.S.
126
感 染 症学 雑 誌
Table
9
Other
drugs for treatment
P =1.0000,
Table
10
Drugs for concomitant
11
Highest
temperature
12
Exanthema
第3号
at the initiation
N.S.
72=0.0107,
disease
P =1.0000,
Table
Table
第53巻
Table
13
Pharyngeal
redness
N.S.
N.S.
at the initiation
X2=0.4147,
N. S.
at the initiation
Table
14
Pharyngeal
streptococci
Z =-0.7304,
水 準 は両 側5%を
at the intiation
P =0.4652,
N.S.
採 用 した.
以 上 の結 果 か ら,両 群 間 の標 本 特 性 に差 が な い
事 の保 証 を得 た の で,両 薬 剤 投 与 に伴 う比 較 を行
った.検 定 方 法 お よび棄 却 水 準 は上 記 と同 じで あ
る.
2.臨
床 効果
完 全 に 治 験 条 件 を 満 したBAPC投
例,TAPC投
与 群 の115例 に つ い て,発
与群 の120
熱に対す
る効 果,発 疹 に対 す る効 果,咽 頭 発 赤 に 対 す る効
果,咽 頭 溶 連 菌 に対 す る効 果 お よび 治 療 担 当 医 に
よ る効 果 判 定,有 用 性 につ いて,ま た 副 作 用,再
排 菌 に つ い て検 討 を加 え た.
Z =-0.1853,
P =0.8530,
N.S.
さ らに,投 与 を 開始 した病 日別 に,そ れ ぞ れ,
な お 分 布 に 関 す る 検 定 は マ ン ・ホ イ ッ ト ニ ー の
U検 定 を 用 い,2×2分
定 あ る い はFisherの
割 表 に 関 して は,X2検
直 接 確 率 検 定 を 用 い,棄
却
効 果 の 比較 を行 った.
A.総
合 効果
1)発
熱 に 対 す る効 果
昭 和54年3月20日
127
Table
15
Effect
on
fever
Z=0.4121,
P =0.6802, N.S.
(Afebrile in 3 of TAPC)
Table
16
Effect
on exanthema
Z =0.5336,
1日 の 最 高 体 温 が37℃ 未 満 を 示 し た 場 合 を 下 熱
と見 倣 した.し
か し37℃ を 前 後 す る熱 型 を 示 し た
症 例 が 両 群 に 数 例 ず つ 認 め ら れ た が,こ
れ は小 児
の 高 体 温 症 と も 考 え ら れ る.
方が 高率 であ る
目 ま で の 下 熱 例 を 比 較 して み る と,BAPC
示 す よ うに,両
群 の間に
疹 に対 す る効 果
目が
示 す よ うに,3日
ま で の 消 裾 はBAPCi群81例(67.5%),TAPC群
た5日
TAPC群
発 疹 消提 まで の 日数 と一致 す る こ とが多 い の で あ
投 与4日
Table17に
目に発 赤 が 消 失 して い る症例 が多 い.
示 す よ うに,4日
目 までの 発赤消失
目
に9例,
か に後 者 の方 が 高 率 で あ った.
しか し,そ の 消 失 日分 布 につ い て 群 問差 は な
く,同 等 の 効 果 を示 した(Table17):
4)咽
か に 前 者 が 勝 っ て い る.ま
以 上 を 要 し た も の はBAPC群
に12例 を 数 え た.
頭発 赤 に対 す る効 果
%)で,僅
投 与 開 始 よ り発 疹 消 提 ま で の 日数 は,3日
75例(65.2%)で,僅
3)咽
は,BAPC群85例(70.8%),TAPC群83例(72.2
有 意 差 は み ら れ な か っ た.
最 も多 か っ た.Table16に
等 の 効果 を示 した.
い る症例 が 多 か った.
却 っ て 前 者 の 方 が 高 率 で あ る.
2)発
しか し,消 失 日分 布 に 関 して群 間差 は な く,同
るが,本 治験 で は む しろ お くれ て発 赤 が消 失 して
群107例(89.2%),TAPC群90例(80.4%)で,
し か し,Table15に
N.S.
投 与 開始 よ り咽頭 発 赤 消 失 まで の 日数 は,大 体
投 与 翌 日 の 下 熱 はTAPCの
が,3日
P =0.5936,
頭 溶 連 菌 に 対 す る効果
入 院 時 の咽 頭 検 査 で,溶 連菌 が検 出 され た症 例
はTable18に
示 す よ うに,BAPC群73例(60.8
%),TAPC群74例(64.3%)で
あ る.両 群 と も
感染症学雑誌
128
Table
17
Effect
on pharyngeal
18
Effect
on
pharyngeal
第3号
redness
Z=-0.7453,
Table
第53巻
Table
streptococci
20
P =0.4561,
Side
N.S.
effect
P =0.1200,
Z=-0.2165,
P =0.8286,
N.S.
した.
5)効
Table
19
Overall
clinical
N.S.
果判定
efficacy
治 療 担 当 医 に よ り 判 定 さ れ た 臨 床 効 果 は,
Table19に
示 す よ うに,BAPC群120例
効61例(50.8%),著
効 十 有 効115例(95.8%)の
有 効 率 を 示 し,ま
例(50.4%),著
たTAPC群115例
で は,著
効58
効 十 有 効110例(95.6%)の
率 を 示 して お り,両
6)副
で は,著
有効
群 の 間 に 差 は な か っ た.
作用
副 作 用 に つ い て 検 討 し た 症 例 は,BAPC群133
例,TAPC群134例
Z=0.0696,
P=0.9445,
N.S.
で あ る.こ
現 し た 症 例 は,Table20に
の うち副 作 用 の発
示 す よ うに8APC群
6例(4.5%),TAPC群1例(0.7%)で
投 与 翌 日に は 約90%に
溶 連菌 の 消 失 が み られ,3
日 目ま で に は全 例 消 失 した.
そ の消 失 日分 布 に関 して 比 較 して み る と,群 間
又,咽
頭 検 査 で は 菌 が 陰 性 で あ った が,増-菌
に よ り 菌 を 証 明 した もの がBAPC群
TAPC群
副 作 用 の 内 容 はTable21の
で は 薬 疹4例,薬
差 は な く,同 等 の効 果 を示 した(Table18).
に5例,
に10例 あ り,全 例 と も1日 目に菌 は消 失
あ る.
で 嘔 吐 の1例
る.薬
で あ る.TAPC群
疹 は 投 与 中 発 現1例,投
で あ っ た.薬
裾 した.ま
た.
疹 と下 痢1例
よ うに,BAPC群
お よび 第1回
服用
で は 軟 便1例
であ
与 終 了 後 発 現4例
疹 は 何 れ も軽 度 の 紅 疹 で,速
た 下 痢 の1例
も1日
か に消
で普 通 便 に 回復 し
129
昭 和54年3月20日
Table 21
Side effect (content)
Table
22
Reappearance
of streptococci
P =0.1967,
Table 23
Administration
was
withdrawn
on
the
N.S.
Reappearance of streptococci (content)
second
day
こ の 発 現 率 はBAPCに
い が,Fisherの
=0 .1200と
7)再
や や 多 く,TAPCに
少
直 接 確 率 計 算 値 は 両 側 検 定 で はP
な っ て,有
意 差 を 示 さ な い.
排菌
再 排 菌 を 検 討 し た 症 例 は,入
院 時 の咽 頭検 査 で
ま た こ の 菌 株 のABPCに
菌 を 検 出 さ れ た 症 例 に 増 菌 で 菌 を 証 明 さ れ た15
例 を 加 え,BAPC群78例,TAPC群84例
れ も0.025μg/mlで
で あ る.
こ の うち 投 与 終 了 後 再 排 菌 の 認 め ら れ た 例 は,
Table22に
示 す よ うにBAPC群4例(5.1%),
TAPC群1例(12%)で
うに,BAPC群
は2,3,6,8日
例 で あ り,TAPC群
の1例
よ
過,臨
床 効 果,副
Table24に
%),TAPC群
に 満 足+満
で あ っ た.
24
作 用,再
療経
排 菌 な ど を 加 味 して,
示 す よ うに,BAPC群
足61例(50.8%),非
の1
院 時 の 分 離 菌 型 も再 排 菌 の 菌 型 もA
Table
に つ い て,治
治 療 担 当 医 の 判 定 に よ る有 用 性 の 検 討 を 行 っ た.
目 で あ る.
再 排 菌 の 菌 型 が 型 別 出 来 た の は,TAPC群
群1型
床 効果 の 検 討 を 行 つ た
BAPC群120例,TAPC群115例
目そ れ ぞ れ1
は2日
あ っ た.
用性
治 験 条 件 を 満 し,臨
あ る.
投 与 終 了 後 再 排 菌 ま で の 日数 は,Table23の
例 の み で,入
8)有
対 す るMICは,何
Clinical
で 非 常 に満
常 に 満 足 十 満 足116例(96.7
は 非 常 に 満 足57例(49.6%),非
足112例(97.4%)で,有
用 率 につ い
usefulness
Z=0.1301,
P =0.8965,
常
N. S.
130
感 染 症学 雑 誌
Table 25
Table 26
Effect on fever (Day of illness when medication was started)
Effect on exanthema (Day of illness when medication was started)
第53巻
第3号
131
昭 和54年3月20日
Table 27
Effect on pharyngeal redness (Day of illness when medication was started)
Table 28
Pharyngeal streptococci (Day of illness when medication was started)
132
感 染症学雑誌
Table 29
Table 30
第53巻
Overall clinical efficacy (Day of illness when midication was started)
Reappearance of streptococci (Day of illness when medication was started)
第3号
133
昭 和54年3月20目
Table 31 Clinical usefulness (Day of illness when medication was started)
Table
32
Abnormal
て は,両 群 の間 に差 は なか った.
な お,ど
BAPC群
ち ら と も 言 え な い と 判 定 され た例 は
に4例(3.3%),TAPC群3例(2.6%)
のみ で非 常 に少 なか った.
不 満 も し くは 使 用 にた え ない と判 定 され た例 は
両 群 とも にみ られ なか った.
B.投
与 病 日別 効 果
以 上 の成 績 につ いて,投 与 を 開 始 した病 日(1
laboratory
∼2病
parameters
日,3病
日,4病
日,5病
日 以 上)別
にそ
れ ぞ れ の 効 果 の 比 較 を 行 っ た.
投 与 病 日別 の 発 熱 に 対 す る効 果(Table
発 疹 に 対 す る 効 果(Table
す る 効 果(Table
(Table
28),こ
排 菌(Table
27),咽
26),咽
頭発赤 に 対
頭 溶 連 菌 に 対 す る効 果
れ ら の 効 果 判 定(Table
30)お
よび 有 用 性(Table
い て 検 討 した 結 果,BAPC群
25),
とTAPC群
29),再
31)に
つ
の間に
134
感染症学雑誌
差 を示 さな か った.
C.臨
床検 査 成 績
薬 剤 投 与 前,投 与終 了 時 お よび終 了 か ら1週 間
第53巻
第3号
泄 率 で2∼3倍
の値 が得 られ て お り4),理 論 的 に
はABPCの1/2量
の 投与量 でほぼ 同等 の 効果が
得 られ る こ とが推 測 され る.ま た対 照 薬 のTAPC
後 に,赤 血 球 数,血 色 素量,白 血 球 数,白 血 球 分
もABPCをester化
画,GOT,
に 高 い 血 中濃 度 が 得 られ る と 報 告 さ れ て い る5).
GPT,
Al-P, LAP,
LDH,
γ-GTP, BUN
を,ま た 殆 ど全 例 に 尿蛋 白 と尿 ウ ロ ビ リノ ー ゲ ン
の検 査 を,な おASO,
ASKお
よびCRPの
検査
を 実 施 した.薬 剤 投 与 前後 に検 査 が実 施 され た症
例 はBAPC群,TAPC群
とも122例 で あつ た.
対象 疾 患 が 感 染 症 で あ るか ら,白 血 球 数 お よび
した 誘 導 体 で,BAPC同
今 回 は 二 重 盲 験 法 に よ り,TAPCを
し,こ れ と同量 に対 応 す るBAPCに
様
対照薬 と
つ い て比 較
試 験 を 行 った.
治験 を 実施 した猩 紅 熱 患 者 の 総例 数267例 の う
ち,key
code開 封 前 に規 定 違 反 の た め に除 外 ・脱
白 血 球分 画 の 変 動 が み られ るの は 当然 で あ る.
Table 32に 示 す よ うに,好 酸 球 増 多 を 示 した も
落 例 と認 定 され た症 例 は,BAPC群13例,TAPC
の が,両 群 に そ れ ぞ れ1例 あ つ た.猩 紅 熱 の場 合
検 討 を行 った.
群19例,計32例
で,こ
れ らを 除 く235例 に つ い て
に は 一 般 に 好 酸 球 増 多 を示 す もの が多 い の で,そ
背 景条 件 は各 項 目に つ い て,群 間 に殆 ど偏 りが
れ 程 問 題 視 す るに は 及 ぼ な い よ うに思 わ れ る.ま
見 られ ず,推 計 学 的 に有 意 差 の み られ た もの は な
た8APC群
か った.
GOT,
のNo.211は
GPT,
LDHが
投 与 終 了時 の検 査 で,
高値 を示 した が,終 了1週
後 には 正 常 を 示 して い る.TAPC群
は 投 与 終 了1週 間 後 にGPTが
のNo.265
異 常 高値 を示 した
小 児 の薬 用 量 は,個
当 りを 以 て 決定 す るの が普 通 で あ るが,今 回 の試
験 で は用 い た薬 剤 が カ プセ ル剤 で あ るた め,1回
が,退 院 後 の 検 査 を して い な い の で,そ の後 の経
の投 与 量 は体 重20kg未
過 につ い て は 不 明 で あ る.
VI.考
20kg以 上30kg以
BAPCは
満2カ
プ セル と し,体 重
下 は3カ プ セル と し,投
与量
を 平均 化 す る よ うに した.
吸 収 効 率 を 高 め るた め,ABPCに
ethoxycarbonyloxyethyl基
ABPC誘
案
々 の症 例 につ いて 体 重1kg
総 合効 果 判 定 の両 群 間 の 分 布 を 比 較 した と こ
を エ ス テ ル結 合 させ た
導 体 の一 つ であ る.ABPCそ
の もの は経
ろ,有 意 差 は認 め られず,有 効 率 で はBAPC群
が95.8%,TAPC群95.6%と
両 群 と も非 常 に優 れ
口投 与 した 場 合,吸 収 が あ ま り良 好 で は な い が,
た 治療 効 果 が 得 られ,両 群 間 に差 は み られ な か っ
BAPCは
た.
酸 に安 定 で 脂 溶 性 が 高 い た め,内
服後
小 腸 よ りエ ス テル 型 の ま ま吸 収 され,す みや か に
猩 紅 熱 に対 して,ABPC出
現 以 前 のPenicillin
腸 壁 の エ ス テ ラ ーゼ に よ り加 水分 解 され てABPC
系 抗 生 剤 に は,再 排 菌 な どに つ い て多 少 の効 力差
とな る.従 って 生 体 内 ではABPCと
が あ った 。 しか しABPC以
抗 菌 作 用 はABPCと
して作 用 し,
何 らかわ りは な い3)(Fig.
1).
差 は あ って も,全
後 は あ る程 度 の効 力
般 的 な 効 果 あ る い は 体 温,発
疹,咽 頭 発 赤 な どの改 善 度 を指 標 と して は,有 意
BAPCはABPCと
同 一 力価 を経 口投 与 した場
合,最 高 血 中 濃 度 はABPCの2∼3倍,尿
中排
差 を見 出 し うる こ とは少 な い.
我 々が 過 去 に 行 っ て きた い く つ か の 研 究 成
績6)7)8)からみ る と,猩 紅 熱 に関 す る限 り,薬 剤 投
Fig. 1
Structure
of bacampicillin
hydrochloride
与 後 の 咽頭 溶 連 菌 の消 長 が最 も よ く薬 効 を反 映 す
る と考 え て い る.
Peniciliin系 抗 生 剤 で猩 紅 熱 を治 療 した 場 合,
咽頭 溶 連 菌 は殆 どす べ て の症 例 に お いて,投 与 開
始 後24時 間 以 内 に消 失 ま た は減 少 す る.今 回 の実
135
昭 和54年3月20旧
験 で も投 与 開 始 時 に菌 が検 出 され た147例 中130例
(88.4%)が24時
間 以 内 に 消 失 して い る.そ の時
の菌 の消 失 につ い てみ る と,BAPC群73例
(87.7%),TAPC群74例
中64例
中66例(89.1%)が
消
失 して お り,そ の 他 の症 例 につ いて も,投 与3日
目以 内 に消 失 して お り,い ず れ も優 れた 成 績 を 示
し,両 群 間 に は 差 が み られ な か った.
また 一 部 の 症 例 につ い て は,平 板 塗 沫 法 か 平 板
稀 釈 法 を併 用 してEUB培
地 に よ る増 菌 法 を実 施
状 態 に あ った もの と思 わ れ る.
またTAPC群
に薬 疹 が全 くみ られ なか った 点
は,前 述 の 我 々の報 告7)ではTAPC107例
(1.9%)あ
中2例
り,再 排 菌 同様 に多 分 に 偶 発 的 な も
の が あ る よ うに考 え られ る.
BAPCl群122例,TAPC群122例
に 実施 した 臨床
検 査 で異 常 値 を示 した も の は,BAPC群
にGOT,
GPTが
投 与 終 了 後 に1例 上 昇 した が,投 与終 了
1週 後 に は 正常 値 に戻 っ た:TAPC群
の1例 では
した が,咽 頭 検 査 で陰 性 の17例 中15例(88.2%)
GPTが
が陽 性 で あ り,検 出率 が 高 い点,今 後 も検 討 を要
経 過 は不 明 に終 った.ま た そ の他 の症 例 で は,特
す る問題 で あ ろ う.
に注 意 を 喚 起 す る よ うな もの は み られ な か っ た 。
再 排 菌 は,8APC群
に4例,TAPC群
に1例
投 与1週 後 に高 値 を示 した が,退
院後 の
な お,狸 紅 熱 患 者 を 対 象 と して,薬 剤 の効 果 を
あ った.各 病 院 に よっ て,患 者 の隔 離 法 に 多 少異
判 定 す る場 合 に は,患 者 の 重 篤 度 や 年齢 は 大 体 一
る点 も考 え られ るが,果
して再 排 菌 な のか,ま た
定 して お り,不 揃 いが 少 い ば か りで な く,発 病 初
他 の 患 者 か らの再 感染 な の か,検 討 の必 要 が あ ろ
期 か ら薬 剤 を使 用 す る こ とが 出来 る.ま た 病 原 菌
う.我 々の 今迄 の 経 験 に よ る と,投 与 終 了 後1週
の 消長 が,薬 剤 の効 果 判 定 には 最 も重 要 な指 標 で
間 以 内 の 排 菌 は 再 排 菌 が 多 く,8日
あ る こ とは,上 述 の如 くで あ る.ま た す べ て 入 院
以上 経 過 し
て か らの排 菌 は再 感 染 が 多 い よ うで あ る.こ れ を
患 者 で あ るた め,連
決定 づ け る の は溶 連 菌 の型 別 で あ る.入 院 時分 離
投 与 後 も最 低1週 間,病 原菌 の消 長 を追 跡 す る こ
菌 と再 排 菌 が 同型 の場 合 には,患 者 自身 が 保菌 し
とが 出来 る な どの 利 点 もあ り,そ の 有用 性 を客 観
て い た可 能 性 が強 い が,異 型 の場 合 には 他 か らの
的 に判 定 出来 る と考 え る.
再 感 染 と考 え て よい.今 回 はTAPC群
る.
TAPCI群
の再 排 菌 は1例 の み で,BAPCI群
較 して少 い が,我
ま と め
の1例 の
み しか再 排 菌 の型 別 が 出来 なか っ た のは 残 念 で あ
に比
々 の過 去 の 治 験7)では,TAPC
1.体
重30kg以
対 照 と して,こ れ と同量 で対 応 す
るBAPCの2群
間 で二 重 盲 検 法 に よ り比 較 検 討
した.
投 与 量 は,体
再 排 菌 を み て お り,今 回 の実 験 成 績 は 多分 に偶 発
400mg(力
的 な こ と と も考 え られ る。
は600mg(力
副 作 用 と して は,BAPC群
下 痢1例,嘔
に薬 疹4例,薬
吐1例,計6例,TAPC群
例 で 前 者 に 多 か った が,推
疹と
に軟 便1
計 学 的 には 有 意 とな
ら なか つ た.こ の 薬 疹 は 何 れ も軽 度 で麻 疹 様 の も
のが 大 部 分 で あ って,2∼3日
で 自然 に消 槌 し,
発 熱 も伴 わ な い も のが 多 か った.今
は,投 与 終 了 後2∼4日
迄 の 経験 で
目に発 現 す る もの が多 か
下 の 狸 紅 熱 患 児267例 を 対象
と し,TAPCを
2.1日
治療 に よ り菌 の 消 失 した59例 中3例(5.1%)に
日の検 査 が可 能 で あ り,薬 剤
3.治
価)を,20kg以
重20kg未
満 の症 例 では
上30kg以
価)を1日4回,7日
下 の症 例 で
間投 与 した 。
療 計 画 に設 定 され た 患 者条 件 に違 反 した
除 外 例31例 と脱 落 例1例
の計32例 を 除 き,BAPC
群120例,TAPC群115例
につ いて 解 析 を行 った 。
4.背
景条 件 と して,性,年
齢,投 与 量,発 病
よ り治 療 開 始 まで の病 日数,治 療 前 の抗 生 剤,併
用 剤,合 併 症 治療 剤 の有 無,治 療 開始 時 の体 温,
発 疹,咽 頭 発 赤,咽 頭 溶 連 菌 の程 度,MIC,菌
型
った が,今 回 は そ れ よ り もや や 早 く発 現 して い る
につ き,群 間 差 を 検 討 した が 有意 とな つ た項 目は
症 例 が あ る点 を考 慮 す る と,こ れ らの症 例 では 以
な かつ た.
前 にABPC系
の薬 剤 の服 薬 の経 験 が あつ て 感 作
5.治
療 前 に 分 離 され た 溶 連 菌136株
につ い
136
感 染 症学 雑 誌
て,PCGお
よびABPCに
対 す るMICを
た が,す べ て0.025μg/m1以
6.総
検査 し
下 で あつ た.
れ なか つ た.
8.治
療 終 了 後 再 排 菌 のみ られ た例 は,TAPC
群 に比 しBAPC群
9.発
の方 が 多 か つ た.
熱,発 疹,咽 頭 発 赤 お よび 咽 頭 溶 連菌 に
つ い て,経
日的 効 果 は群 間 に差 は なか つ た.
10.副 作 用 と して 発 疹,下
BAPC群
2)
与 開 始後24時 間 以 内 に咽 頭 溶 連 菌 は大 部
分 が 消 失 し,両 剤 とも有 効 で あ り,群 間差 はみ ら
に多 か つた が,5%の
痢 な どが み られ,
危 険 率 で は,両 群
に 有 意差 は な か つ た.
11.臨 床検 査 は 両 群244例
が,GOT,GPTの
に つ いて 実 施 した
上 昇 例 が 両 群1例
飯村
1977.
柴田
献
狸 紅 熱 患 者 を対 象 とし た抗 生 剤
1974∼1975年
51:
153-158,
狸 紅 熱 患 老 由 来A
感 染 症 学 雑 誌,
51:
93∼97,
1977.
3) Bodin, N. O. et al.:
Bacampicillin; a new
orally well absorbed derivative of ampicillin,
Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 8:
518-525, 1975.
4) Rozencweig, Marcel et al.:
Antibacterial
activity and pharmacokinetics of bacampicillin
and ampicillin.
Clinical
Pharmacology
and Therapeutic, 19: 592-597, 1976.
5) Shiobara, Y., et al.: Phtalidyl D-oc-aminobenzylpenicillinate hydrochloride (PC-183), a
new orally active ampicillin ester. J. Antibiotics,
27: 665-674, 1974.
6)
秋葉
亨, 他:
シ ロ ップ用 エ チ ル コハ ク酸 エ リ
ス ロマ イ シ ンを 対 照 とし た シ ロ ップ用 プ ロ ピ
オ ン酸 ジ ョサ マ イ シ ンの 狸 紅 熱 に 対 す る二 重
特 に注 意 を 要 す る程 の 異 常値 を示 した もの は な か
つ た.
盲 検 比 較 試 験 成 績.
73-85,
とん ど等 しい と見 なす こ とが 出来 る.
実, 他:
第3号
群 溶 血 連 鎖 球 菌 の 薬 剤 感 受 性 と菌 型 に っ い て.
あつ た が,
以 上 の 成 績 か ら,本 治 験 条 件 下 に お い て,
8APC投
与 に よる治 療 効 果 は,TAPCの
そ れ とほ
達, 他:
の 薬 効 評 価, 感 染 症 学 雑 誌,
合 した 臨床 効 果 お よび有 用 性 の判 定 は,
両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は認 め られ な か つ た.
7.投
文
1)
第53巻
7)
冨沢
功,
他:
Talampicillinの
8)
試 験,
飯村
J. Antibiotics,
27:
Ampioillinを
対照薬 と し た
狸紅熱に対す る 二重盲検比較
感 染 症 学 雑 誌, 49:
425-539,
1975.
達, 他: Amoxycillin(
Pasetocin)
によ
る狸 紅 熱 の 治 療,
1977.
Jap.
1974.
小 児 科 臨 床,
32:
345-349,
昭 和54年3月20日
137
A Double
Blind
Comparative
Talampicillin
Study
of Bacampicilllin
on Scarlet
and
Fever
Scarlet Fever Study Group
(Chairman:
Yasuzo NAKAMIZO)
Isao
Sapporo
TOMIZAWA
Municipal
Sapporo
Hospital
Misako MURATA
Tokyo Municipal Bokuto Hospital
Masanori
TSUJI
Tokyo
Tokuo
and Takeshi YAMAGUCHI
Municipal
YANAGISHITA,
Hideo
Ebara
Hospital
NAKAZAWA,
Nagayo
SHIMIZU
and
Hajime ISOGAI
Tokyo
Hiroshi
WADA,
Takehisa
Municipl
SEO,
Komagome
Kazutsugu
Hospital
NIWANO,
Yoshio
MATSUBARA
and Tatsu I I MURA
Tokyo Municipal Toshima Hospital
Shigeji HOSHINO
Yokohama Municipal Manji Hospital
Nobuo
OOKUBO,
Yoshikatsu
Tokyo Municipal
Kinichiro
KASHIWAGI
Research
NAGASE
National
Laboratory
and
and Hideo
Institute
Minoru
of Public
SHIBATA
Health
ARAI
of Health
Controller:
Tsuneo
Tokyo University,
Shogo
TANAKA
School of Medicine
KUWAHARA
Toho University,
School of Medicine
A double blind comparative study on scarlet fever was performed with bacampicillin (BAPC), an
ethoxycarbonyloxyethyl
ester of ampicillin (ABPC), and Talampicillin
(TAPC), a phtalidyl
ester
of ABPC.
1. A total of 133 patients were treated with BAPC and 134 with TAPC.
BAPC capsules or
TAPC capsules were made to contain 50 mg activity of ABPC.
2.
Patients weighing less than 20 kg were administered at a daily dose of 400 mg activity (8
capsules in four equally divided doses).
Patients weighing 20 kg or more and less than 30 kg were
administered at a daily dose of 600 mg activity (12 capsules in four equally divided doses).
All patients were administered for 7 days.
3. Thirty-one patients were excluded and one patient was dropped out.
Analyses for assessment
were made on 120 patients of the BAPC group and 115 patients of the TAPC group.
4.
groups.
There were no significant differences in all background
characteristics between the two
138
感 染 症学 雑 誌
5.
to
A
ABPC
total
6.
In
clinical
PCG
115/120
efficacy
In
7.
initiation
the
after
Side
the
the
not
of
110/115
group
or
BAPC
pharynx
were
examined.
The
MIC
group
and
difference
between
both
groups,
(95.6%)
of
the
TAPC
group,
the
overall
good.
or
the
BAPC
drug
112/115
(97.4%)
of
the
TAPC
group,
the
clinical
satisfactory.
the
two
pharyngeal
groups.
streptococci
disappeared
within
24
hours
after
group
and
one
case
of
the
TAPC
group,
streptococci
reappeared
administration.
of
body
significantly
loose
two
temperature,
different
such
as
stool
was
mild
exanthema,
between
drug
the
eruption,
two
diarrhea
pharyngeal
redness
and
pharyngeal
drugs.
and
vomiting
were
observed
in
six
cases
observed
in
the
TAPC
group.
But
there
was
not
significant
difference
groups.
Laboratory
parameters
elevation
however,
From
for
and
the
were
examined
for
each
122
cases
of
both
groups
before
and
after
medication.
An
was,
from
group.
case
11.
of
effects,
BAPC
between
BAPC
satisfactory
improvements
were
One
the
cases
Daily
10.
of
the
the
very
isolated
0.025 ƒÊg/ml.
excellent
significant
cases
four
streptococci
of
no
pharynx
9.
as
of
as
streptococci
第3号
medication.
In
the
of
under
of
judged
most
of
8.
all
judged
was
In
strains
were
(96.7%)
was
There
136
(95.8%)
was
116/120
usefulness
in
of
and
第53巻
the
of
not
this
therapy
transaminase
an
eosinophilia
were
observed
in
both
groups,
none
of
which
serious.
comparative
of
and
scarlet
study,
fever.
we
concluded
that
BAPC
was
as
effective
and
as
useful
as
TAPC
Fly UP