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NOVEL ch69「ハナとドラッカーの計画」

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NOVEL ch69「ハナとドラッカーの計画」
C HAPTER 69
ハナとドラッカーの計画
マット・ニューエンバーグは“組織”にリクルートされ、新しい生活
を始めた。
やがて彼のパワーの真価が問われるときが訪れる。
“組織”を倒そうとしているリチャード・ドラッカーとハナ・ギテル
マンが組織のコンピューターに“侵入”
してきたのだ。
確かに。
僕はこの新しい生活が気に入り始めていた。
頭には刺激があっていいし、
退屈することもない。
でも、
どれほどここが気に入っているか
どれだけ彼女のことが好きか
決して口にしなかった。
世界を救うウイルスを
1つずつって感じ?
これはとても重要な仕事なの。
手を抜かないでね。
ね、大学の寮の部屋と比べたら、
ここはずっとマシでしょ?
っていうよりは、
世界を救うつまらない命令文を
1行ずつってところかな。
こんな単純作業になるなんてさ。
この独房が?
そんなに悪くはないはずよ。
私もいるじゃない。
痛っ!
自動販売機から
ドーナッツを盗ってくるの。
いる?
あれ?一緒に
いるんじゃないの?
忘れたの?
この部屋から
出ちゃだめでしょ。
一緒に行くよ。
ああ…
…そうだった。
ドーナッツ持って
きてあげる。
私のおごりでね。
すぐ戻るわ。
いいよ。
ここにいるよ。
いつも通り。
いったい
どこから来た?
メインフレーム内
ハナ?
わかるか?
ドラッカーね?
わかるけど、
ここで何が起きているのか、
完全に把握できてないわ。
俺たちはメインフレームの中にいる。
これは俺が思い浮かべた
俺たちのプルーシャに一番近い
描写だ。
プルーシャ?
物理的な体と結合していない
君の一部分のことだ。
魂みたいな?
精神とも魂とも言える。
あなたが作ったの?
ネットを発明したのは
俺だって言われているが、
正確には違う。
ここは魂の中なの?
サイバースペースは
発明じゃない。
実際は小宇宙なんだ。
いや、これは俺たちのプルーシャの
器のようなものにすぎない。
プルーシャは無限で、何も必要としない。
形もない。
だがそう望めば、形作ることもできる。
小宇宙?
ハナ、
ここに呼び出したのは
俺のハードドライブのある場所から、
ウイルス・
ファイルを取り出すのを手伝ってもらうためだ。
ほぼ終わってるんだが、1人でやるには
ファイルがあまりにも大きすぎた。
この通信を追跡できる
人間はいる?
可能性はある。
だが、メインフレームが破壊されたら、
奴らにできることは何もない。
それが目的だ。
感覚を持つ小宇宙だ。
それは音符を介して
俺に交信してきた。
そして世界に発表する許可を
俺にくれたんだ。
で、場所は
どこなの?
ブータン?
なんでブータンなんか
からデータを
送ってくる奴がいる?
ブータンなんかで
いったい誰が?
ちがう、このファイル…
発信元がブータンなんだ。
どういう意味なんだろ?
何か知らない?
私に聞かないでよ。
プロはあなたでしょ。
エル、
やばいよ。
このファイルを上書きできるのは、
ビショップさんだけのはずだろ?
きっと何でもないわよ。
一応、聞いてみるけど。
心配しないで。
ブータンのことを聞くんだ。
僕が見つけた
ブログに関係が
あるかもしれない。
パパ、
忙しいのは分っているけど、
マットが作業しているファイルで、
ちょっと気になることがあって。
ブータンに関係してるの。
何か知ってる?
どいて!
それ開くんだ…?!
なに?
プロトコルよ!
発動させるわ!
それ、何?
セキュリティ・プロトコルよ。
マット、視覚と聴覚で
記憶するのよね?
そうやって全情報を
頭の中に保存
するんでしょ?
なんで?
そうだよ、
だからって…
メインフレームを破壊するの。
その前にあなたは、
このデータを保存して。
今までの色んな検査を
覚えてるわよね?
“組織”は能力を正確に把握してるわ。
これがプロトコルに
入ってるってことは、
「あなたはできる」ってことよ。
でも…
そのレンズを通して、
あなたの目が
メインフレームの中身を
プロセスして、
脳に保存できるから。
こんな膨大な量の情報を
保存できないよ。
信じて。
嘘はつかないわ。
痛くない?
痛くないわ。
約束よ。
彼らが
何とかするわ。
保存したデータは、
どうやって
取り出すの?
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