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News
自研センターニュース
12
December 2004
平成16年12月15日発行 毎月1回15日発行(通巻351号)
昭和51年5月27日 第三種郵便物認可
C
O
N
T
E
N
T
S
テクノセミナー:ホンダ レジェンドSH-AWD−四輪駆動力
自在制御(Super Handling All Wheel
Drive)について− ・・・・・・・・2
リペアリポート:VWゴルフ
(1KAXW)の車体番号位置および
識別プレート貼付位置 ・・・・・・・・6
リペアインフォメーションS:・国産車にも採用されています ・・9
・ご存知でしたか。こんなツールがありました。
「構造調査シリーズ」新刊のご案内 ・・・・・・・・11
調査・研究報告:輸入車のSRSエアバック脱着作業性<1> ・・12
指数テーブルマニュアル作業項目の解説_ 59_ ・・・・15
自動車リサイクル事情:リサイクル部品活用ボデーショップ
訪問 ・・・・・・・・・・・16
第18回自研センター「一般提案」募集 ・・・・・・・17
リサーチング ザ スケルトンズ:ニッサンムラーノ
(Z50系)・・18
お客様相談室レポート:スズキMRワゴンMF21S系クォータパネル
取替作業について ・・・・・・・20
日本アウダックス社指数テーブル「2004年12月号」発行のご紹介・・21
第43回ボデーリペア懇談会開催 ・・・・・・・・・22
第17回「一般提案」入賞作品のご紹介 ・・・・・・23
自研センター来訪者一覧/編集後記 ・・・・・・24
1 ∼□
8
別冊 新型車情報:qニッサン ティーダ(C11・NC11)・・□
1 ∼□
8
別冊 新型車情報:wニッサン フーガ(VQ25・35DE)
・・□
1 ∼□
8
別冊 新型車情報:eホンダ レジェンド(DBA-KB1型)・・□
TECHNO SEMINAR
テクノセミナー
ホンダ レジェンド SH−AWD
ーー四輪駆動力自在制御(Super Handling All Wheel Drive)についてーー
を搭載した4代目レジェンドを発売しました。今回は、前
1.はじめに
本田技研工業(株)は、2004年10月7日に300馬力を発生
後輪に駆動力を可変配分するとともに、後輪に配分した
するエンジンや世界初の四輪駆動力自在制御システム
駆動力を左右で可変し、四輪それぞれのタイヤの能力を
「SH−AWD:Super Handling All Wheel Drive」
、インテリジ
最大限に引き出す、世界初「SH−AWD」について紹介し
ェント・ナイトビジョンシステムなど、数々の先進技術
ます。
2.概要
を30:70∼70:30、後輪左右配分を100:0∼0:100まで
SH−AWDは、ドライバーの運転操作や走行状態から
無段階に制御。これらを連続的に行うことで、駆動力を
最適な前後左右の駆動力配分を判断し、リヤデファレン
走るためだけでなく、旋回にも利用することで車両の運
シャル内の「ダイレクト電磁クラッチ」により前後配分
動性能を飛躍的に向上させています。
■駆動力可変範囲
●前後輪駆動力配分イメージ
●後輪左右駆動力制御イメージ
前後輪の駆動力を70:30∼30:70の
後輪に配分された駆動力をさらに左右へ
範囲で連続可変
100:0∼0:100の範囲で連続可変
(後輪に駆動力を最大に配分した場合の
可変制御イメージ)
35
70
35
15
30
15
15
30
2
30
15
35
自研センターニュース 2004年12月号
15
30
15
連続可変
連続可変
15
15
70
35
70
(100%)
70
0
0
(0%) (0%)
70
70
(100%)
TECHNO SEMINAR
多板クラッチを電磁石の磁力によって高度に制御する世
3.制御システム構成
SH−AWDは、舵角や横Gなどの車両情報を検知する
界初の機構で、内蔵したサーチコイルで電磁石と磁性体
センサー類、ECU、リヤデファレンシャルで構成されて
間のギャップをモニターし、電流量を補正することによ
います。
ってクルマの生涯にわたり常に精度の高い駆動力無段階
リヤデファレンシャル内のダイレクト電磁クラッチは
制御を可能としています。
■制御方法
■システム構造図
ドライバーの意思
エンジン
トランスミッションECU
アクセル、ステアリングの操作量とブレーキ信号を検出し、
ドライバーの運転操作を判断。
舵角センサー
SH-AWD ECU
車輪速センサー
リヤディファレンシャル
・エンジン回転数
・吸気負圧
・
トランスミッションギア比
エンジン/トランスミッションECUからの情報により
駆動力を算出。
舵角センサー、横Gセンサー、
ヨーレイトセンサー、
車輪速センサーから、走行状況や路面状況を判断。
リヤドライブユニットにより、
前後輪および後輪左右の駆動力を最適にコントロール。
横Gセンサー・前輪Gセンサー
操作に忠実なハンドリングを実現
VSA EUC
ヨーレイトセンサー
なクラッチユニットで大きな駆動力の伝達を可能にし
・センサー、ECU
舵角センサー、横Gセンサー、ヨーレイトセンサー、
車速センサーなどの情報を基にドライバーの運転操作
や車両の挙動、走行状況をECUが検知し、最適な駆動
ています。
・増速機構
ツインピニオン型プラネタリキャリアをプロペラシ
力配分を演算します。
ャフトと一体回転またはケース固定に切り替えること
・世界初ダイレクト電磁クラッチ
で、後輪の回転を前輪と直結または増速に切り替えし
電磁コイル(電磁石)で引きつけた磁性体が多板クラ
ます。2つのクラッチのオン・オフ切り替えを1つの油
ッチを押し付け、駆動力を伝達します。さらにプラネ
圧アクチュエータで行い、ワンウェイクラッチも併用
タリギアで駆動力を倍力する機構を採用、コンパクト
することでコンパクトな構成としています。
■制御システムのフローチャート
フィードバック制御部
ヨーレイトセンサー
μ推定
車両モデル
滑り角推定
フィードフォワード制御部
舵角センサー
舵角判断
滑り角トルク換算
旋回判断
横Gセンサー
横G判断
車輪速センサー
エンジンECU
増速制御
前後配分
駆動力推定
左右配分
左後輪
駆動力
左クラッチ
右クラッチ
右後輪
駆動力
トランスミッションECU
自研センターニュース 2004年12月号
3
4.リヤデファレンシャルの構造
駆動力を増速させています。旋回時は、後輪に伝え
・デファレンシャルキャリアには、デファレンシャル、
る回転を約5%増速することで、走行状況によらず外
ハイポイドギアセット(ハイポイドドライブピニオン
側の後輪への駆動力伝達が可能になり、旋回性能が
ギアとハイポイドリングギア)が組込まれています。
最大限に発揮されます。
・増速機システムはハイクラッチ、ワンウェイクラッ
・ダイレクト電磁クラッチシステムは、デファレンシ
チ/ロークラッチ、プラネタリギア、オイルポンプ
ャルキャリアの左右に取付けられたサイドケース内
が組込まれています。直進加速状態はワンウェイク
に、電磁コイルAssy、プラネタリギア、多板クラッ
ラッチ、直進減速状態はオイルポンプによって発生
チが組込まれています。直進状態では左右後輪を一
する油圧でロークラッチを締結させて後輪に駆動力
体で回転させています。左右旋回時は電磁コイル
を伝達します。左右旋回時は前輪と後輪外輪の軌跡
Assyに通電させ、多板クラッチを圧着させています。
差による差回転を防止するため、ソレノイドバルブ
走行状態に応じ通電量を変化させ、左右の駆動力配
によってハイクラッチを締結し、プラネタリギアで
分を最適化しています。
■リヤドライブユニットの構造図
増速機構
増速切替え用クラッチ
ハイクラッチ&ロークラッチ
・直進時は前輪と一体で回転する
・旋回時は後輪の回転を増速する
増速プラネタリギア
増速用 油圧制御系
ダイレクト電磁クラッチ
・前後、左右へ独立可変かつ
高精度にトルクを配分する
ハイポイドギヤ
L側ソレノイド
R側ソレノイド
L側倍力プラネタリギア
R側倍力プラネタリギア
L側クラッチ
R側クラッチ
■ダイレクト電磁クラッチ構造図
クラッチ
ピストン
電磁石(ヨーク)
磁性体(アーマチュア)
入力
(ハイポイドギア)
出力(ドライブシャフト)
メインコイル
倍力機構(プラネタリギア)
リンクギア
(入力)
サンギア
(トルク制御)
プラネタリキャリア
(出力)
サーチコイル
クリアランス
[旋回減速時]
5.SH−AWDの作動
後輪の駆動力を抑制して、ヨーモーメントを内回り
[旋回加速時]
後輪の駆動力を外輪に最大100%、内輪は0%まで配
※
分します。内回りのヨーモーメント を発生させ飛躍的
な運動性能の向上を実現しています。
※クルマの重心位置を軸として、その軸を中心に運動(あるいは
静止)させる力
4
自研センターニュース 2004年12月号
から外回りに自在に制御し、より安定した状態を実現
しています。
[直進走行時]
直進時は主に駆動力の前後配分制御を行います。例
えば急加速では、後輪への配分を増やして駆動性能を
TECHNO SEMINAR
向上します。高速クルーズ時は後輪への配分を減らす
■接地荷重および駆動伝達能力イメージ
(旋回加速時)
ことで、低燃費化にも貢献します。
接地荷重が増える
[あらゆるシーン]
d
濡れた路面でも、その時の状況に瞬時に対応し、優
駆動伝達能力が高まる
れた旋回性、安定性を発揮します。さらに雪道での走
旋回G
行性能を高めるスノーモードを設定しました。
加速G
■SH-AWD作動イメージ図(旋回加速時)
レジェンド
SH-AWDは、外側の後輪に大き
な駆動力を与えることにより、旋
回方向に曲がる力(内回りのヨー
モーメント)を発生させ、狙った
ラインを維持しながらスムーズ
な旋回を実現します。
SH-AWD非搭載車
旋回加速時、狙ったラ
インよりも外側にふく
らんでしまうアンダー
ステアが発生する場
合があります。
[急加速時]
6.おわりに
これまでのAWD(4WD)システムは、センターデファ
[高速クルーズ時]
SH−AWDは、通常のAWDのように走行安定性を向
上させるだけでなく、アンダーステアを軽減、また旋
レンシャルで前後輪の駆動力を配分するものや、リヤ
回性能を向上させ、旋回中でも安心してアクセルを操
デファレンシャルで後輪左右の駆動力を配分するもの
作できるといった運転が可能になります。今まではブ
がほとんどでしたが、SH−AWDではリヤドライブユ
レーキ制御やアクセル操作等を補助する機構はありま
ニットに備えた左右一対のダイレクト電磁クラッチに
したが、SH−AWDは“駆動力(加速側)を積極的に補助
より、前後輪、後輪左右の駆動力を同時にかつ連続的
する”安全技術として注目すべき機構といえるでしょう。
に自在コントロールします。
参考文献:レジェンド構造編 ホンダホームページ
自研センターニュース 2004年12月号
5
REPAIR REPORT
リペア リポート
VW ゴルフ(1KAXW)の車体番号打刻位置
および識別プレート貼付位置
この度発表されました新型VWゴルフ(1KAXW)には盗難防止のため、車体番号が複数箇所打刻されています。ま
た、車体番号を記入した識別プレートも複数貼付けられています。これら全てを確認して車両の特定を行なわなけれ
ばなりません。
今回は車体番号の打刻位置および車体番号識別プレートの貼付位置について紹介します。
1.車体番号打刻位置
国産、輸入車を問わず大多数の乗用車は、車体番号が1箇所に打刻されています。しかし、新型VWゴルフには3箇所
車体番号が打刻されています。
1)エンジンルーム(右側)
・右側ホイールハウジングサイドメンバアッパ
に打刻されています。フラップフロント(フ
ード)を開け、フロントフェンダを取外すこ
となく確認することが可能です。
2)フロントシート下部(右側)
・右側フロントシート下部のシートサポートマウン
ティングプレートアウタに打刻されています。フロ
ントシートを取外し、フロアカバーをかなり捲ら
ないと確認することができません。
6
自研センターニュース 2004年12月号
REPAIR REPORT
3)リヤシート下部(右側)
・リヤシート下部のフロアプレートリヤ
(右側)
に打刻されています。シート(シートクッシ
ョン部)の前部を取外し、フロアカバーを一
部捲ると確認することができます。
*シート(シートクッション部)は完全に取外
さなくても確認可能。
2.識別プレート貼付位置
輸入車には車体番号が記入された識別プレートやステッカ等が複数貼付けられています。新型VWゴルフにも3箇所
貼付けられています。
1)左側Bピラー下部
・左側Bピラー下部に貼付けられています。フ
ロントドアを開くことで簡単に確認すること
ができます。
自研センターニュース 2004年12月号
7
REPAIR REPORT
2)フロアプレートリヤ(左側)
・フロアプレートリヤ(左側)にビークルデー
タプレート(ステッカ)が貼付けられていま
す。ブーツライニング(トランクルームマッ
ト)
を捲ると簡単に確認することができます。
このプレート(ステッカ)から、モデルコー
ドやエンジン、ギヤボックスコード、塗色
ナンバーや内装色ナンバーなども確認する
ことができます。
3)クロスパネルウォータボックス上部(フロントウィンドスクリーングラス左側下部)
・フロントウィンドスクリーングラス越しに
クロスパネルウォータボックス左側上部(左
側ワイパアーム部)にブラケットを介して貼
付けられている車体番号ステッカを確認す
ることができます。
8
自研センターニュース 2004年12月号
REPAIR Information S
リペア インフォメーション S
国産車にも採用されています
以前にもこのコーナーでもご紹介していますが、
ドアアウトサイドハンドルの脱着方法に
関し輸入車にはドアの内張りを取り外さなくてもアウトサイドドアハンドルを取り外すこと
が出来る車種がありました。今回ご紹介するトヨタ ヴォクシー
(平成15年 AZR60G)
も国
産車ではありますが輸入車が採用している構造となっております。
<作業内容:ドアアウトサイドハンドルの脱着方法について>
1)右ドアアウトサイドハンドル(写真1)
2)サービスホールカバーを取り外します。
(写真2)
ドアアウトサイドハンドル
サービスホールカバー
写真1
写真2
3)サービスホールカバーを取り外すと、トルクスボル
4)トルクスボルトを緩めたら、クリップリムーバを使
トが確認出来ますので、トルクスレンチを使用して
用しフロントドアアウトサイドハンドルカバーを取
緩めます。(写真3)
り外します。(写真4)
注)ストッパーが付いていますのでトルクスボルトがフ
リーになるまで緩めます。
注)フロントドアアウトサイドハンドルカバーはキーシリンダー
がドア内部で勘合していますので、サービスホールか
らクリップリムーバを挿入し外側に押し出すようにして
取り外します。
Frドアアウトサイド
ハンドルカバー
Frドアアウトサイド
ハンドルAssy
トルクスボルト
写真3
写真4
自研センターニュース 2004年12月号
9
REPAIR Information S
5)フロントアウトサイドハンドルカバーが外れたら、フロ
ントドアアウトサイドハンドルAssyを矢印の方へスライ
ドさせて取り外します。
(写真5)
FrドアアウトサイドハンドルAssy
以上でフロントの取り外しは完了します。取り付け作業
は逆の順で行って下さい。
続きましてリヤドアアウトサイドハンドルの取り外しを
以下の通りご紹介します。
1)フロント同様サービスホールカバーを取り外し、トルク
写真5
スボルトを緩めたら、リヤドアアウトサイドハンドルカ
バーを取り外します。
(写真6)
注)リヤはフロントと異なり、トルクスボルトを緩めると
簡単に取り外すことが出来ます。
2)リヤドアアウトサイドハンドルカバーが外れたらリ
ヤドアアウトサイドハンドルAssyを矢印の方へスラ
イドさせ取り外します。
(写真7)
Rrドアアウトサイド
ハンドルAssy
Rrドアアウトサイド
ハンドルカバー
写真6
RrドアアウトサイドハンドルAssy
写真7
ご存知でしたか、こんなツールがありました
写真8
フレーム修正機に固定し修理した場合に気になるのが、ア
ンダークランプを取り付けた時のサイドシルクランプ痕で
す。今回ご紹介するツールを使用しますと、クランプの痕
跡が全く無くなることはありませんが、比較的軽微であり、
補修に要する工数削減に繋がるのではと考えております。
例えば写真8は修正機からディスマウントした状態のサイ
サイドシルククランプ痕
ドシルです。アンダークランプ痕がはっきり確認できます。
(写真の車両は、
トヨタ エスティマ)
10
自研センターニュース 2004年12月号
REPAIR Information S
このクランプ痕を防止軽減する商品に「シルガード」
(写真9)という製品があります。使用するアンダークラ
ンプの全長に合わせ、様々な長さが設定されています。
図1は装着方法を図示したもの
です。
シルガードを使用した修理終
シルガードに穴が開いていますが、これは引き作業時の
了後のサイドシルです。(写真
滑りを防止するためです。
11)黄色丸印にあるスポット
痕のような傷は残りますが、写
写真9
真8と比較しますと、クランプ
痕は軽微となります。
図1
写真11
シルガード装着時のクランプ痕
(スポット痕の様な傷)
シルガードの使用方法は各修正機(写真10:コーレッ
クを使用)におけるアンダークランプの歯に適切な長さ
のシルガードを選んで挟み、通常通りアンダークランプ
(写真の車両はホンダ フィット)
を締め込み固定します。この時シルガードを挟み込む場
今回使用したシルガード(写真12)は専用ケースにシ
所は車両外側(外観目視可能部分:サイドシル表側)に
ルガード本体が入り、取り扱い説明書が付いています。
のみ取り付けます。必要があれば車両内側(サイドシル
商品名:シルガード(US−12−CG)
裏側)の汚れ及びシーラー、アンダーコート等を清掃する
販売元:ウシオ技研
ことでアンダークランプの滑り防止となります。
価 格:18,500円
写真10
写真12
車両内側 (外観目視不可能)
車両外側 (外観目視可能)
「構造調査シリーズ」新刊のご案内
自研センターでは新型車について、損傷した場合の復元修
理の立場から見た車両構造、部品の補修形態、指数項目と
その作業範囲、ボデー寸法図など諸データを掲載した「構造
No.
車 名
型 式
J-385
ニッサン フェアレディZロードスター
HZ33系
J-386
トヨタ アイシス
10系
J-387
ホンダ エディックス
BE1・2・3・4系
調査シリーズ」を発刊しておりますが、今月は右記新刊をご
案内しますので、ぜひご利用ください。定価は1,120円です
(税込み、送料別)。
お申し込みは自研センター総務企画部までお願いします。
TEL
047-328-9111
FAX
047-327-6737
自研センターニュース 2004年12月号
11
調査・研究報告
輸入車のSRSエアバッグ脱着作業性<1>
自研センターでは、輸入車指数作成にともない、SRSエアバッグの作業性に関する調査をおこないました。今月号か
ら3ヶ月に亘り皆様に紹介させていただきます。調査の内容は「①運転席エアバッグの脱着作業」「②助手席エアバッ
グ単体での脱着作業性および展開時におけるインパネの再使用」
「③センターセンサ(エアバッグECU)取付位置」の
3点です。なお、調査車両はフォルクスワーゲンパサート・ルポ、ベンツCクーペ・E320・V230・S320、アウディA4、
ボルボV70、BMW318iMの9車種です。
1.運転席側エアバッグの脱着作業のまとめ
運転席エアバッグの取付方法は2種類(ボルト式・ロックスプリング式)があります。
作業性につきましては次のとおりです。
作業性:◎=良い、○=普通、△=慣れれば容易
車 名
取付け構造
必要な工具
ボルト式 ロック式 トルクスレンチ マイナスドライバ
作業性
コメント
工具を挿入する穴が小さいので、合っ
1
VWパサート
○
○
△
たサイズを入れないとホイールカバー
を損傷させる恐れあり。
2
VWルポ
○
△
慣れれば、ボルト式よりエアバッグの
脱着が容易。
ステアリングホイールカバーからトル
3
ベンツCクーペ
○
○
○
クスボルトまでの距離があるため、ト
ルクスレンチは軸の長いものが必要。
4
ベンツE 320
○
○
○
同上
5
ベンツV 320
○
○
○
同上
6
ベンツS 320
○
○
○
同上
ベンツのように軸の長いレンチは不要。
7
アウディ A4
○
○
◎
作業性は国産と同等。
8
ボルボ V70
○
○
◎
同上
工具を挿入する穴が小さいので、合っ
9
BMW 318iM
○
○
△
たサイズを入れないとホイールカバー
を損傷させる恐れあり。
*BMWは、Mスポーツの調査です。
(Mスポーツはステアリングホイールの形状が異なります)
¡作業性は、国産車と比較した場合の作業者の感覚です。○と◎の差は、工具の差で決定しました。
¡必要なツールについては、通常に市販されているもので良く、特にSST等必要はありません。ベンツの場合はコメン
トにあるように軸の長い物が必要となります。また、ボルト式はトルクスで統一されていましたが、国産では、通
常の6角のボルト、トルクスボルト、いじり防止トルクスボルト、等が混在しています。
¡ロック式の場合、ロック構造を熟知していれば簡単ですが、初めての場合は部品を損傷させる恐れがあります。
12
自研センターニュース 2004年12月号
調査・研究報告
2.助手席側エアバッグの単体脱着作業のまとめ
助手席エアバッグが単体で脱着可能な車種ならびにエアバッグ展開時にインパネ再使用可能車種は、ともにフォル
クスワーゲンのパサート、ベンツのV320、BMW318iMの3種種でした。
作業性
インパネ
一部取外し
エアバッグ展開時取替部品
車名
単体取外し
可能
インパネ
ASSY取外し
エアバッグ
カバー
インストルメント
パネル
1
VWパサート
○
2
VWルポ
○
○
3
ベンツCクーペ
○
○
4
ベンツE
320
5
ベンツV
230
6
ベンツS 320
○
○
7
アウディA4
○
○
8
ボルボV70
○
○
9
BMW318iM
○
○
○
○
○
○
○
*ベンツEの一部脱着は、部品組付け順序によるもの。
¡調査車両9台のうち、3台については助手席エアバッグが単体で取外せることが確認できました。
¡助手席エアバッグが作動した場合、インストルメントパネルが取替えになるのはデザインの都合上仕方が無いこと
ですが、むしろ問題となるのがインストルメントパネル脱着の作業性と思われます。
¡ベンツCとEを比較した場合、インストルメントパネルの組付け順序がCは最初にインストルメントパネルを取付け
ますが、Eでは最後に取付ける構造になっています。このため、インストルメントパネルを外す場合、ベンツEは、
作業の初期段階でインストルメントパネル(アッパ)を取外せますが、ベンツCはインストルメントパネル(アッパ)は
最後に取外します。このため、助手席エアバッグ&インストルメントパネルを脱着(取替)する場合、ベンツEの方が
作業性が良いということになります。
写真1
写真2
写真は、ベンツE(写真1)とベンツC(写真2)のインストルメントパネル取外し順序の違い。
自研センターニュース 2004年12月号
13
調査・研究報告
3.エアバッグセンターセンサ(エアバッグECU)の取付け位置について
国産車のエアバッグECUには、廃車時に安全に短時間でエアバッグ作動させるためSRSエアバッグ一括作動処理シス
テムが搭載されています。一括作動処理システム搭載車両であれば一括作動処理ツール接続の容易にするため、車両
側に接続位置を示すラベルが貼り付けられています。作業者は、このラベル記号でエアバッグECUの取付け位置を簡
単に把握することが出来ますが、輸入車にはこの様なシステムが搭載されておらず、エアバッグECUの場所が判らな
い場合があります。
以下、調査車両を国産車の記号に置き換えてみました。
車名
搭載位置
エアバッグECU取外しに必要な付属部品
アウディA4
D
コンソールボックス
BMW318i
D
コンソールボックス(カーペットのカットが必要)
VWパサート
C
インストルメントパネル
ベンツE
B
ベンツC
B
インストルメントパネル。組付け順序によるもの
ボルボV70
D
コンソールボックス
VWルポ
A
インストルメントパネル
ベンツV
助手席下
ベンツS
B
オーディオ、エアコンスイッチ等インパネセンタ周辺部品、
コンソールボックス
助手席シート
同上
ヒータ
ユニット
A
B
C
記号
D
E
記号の意味
A
ヒータユニット下
B
ヒータユニット後
C
シフトレバー前(センターコンソール前方)
D
パーキングブレーキレバー前(センターコンソール中央)
E
パーキングブレーキレバー後(センターコンソール後方)
次号 2005年1月 新年号からは、輸入車のSRSエアバッグ脱着作業性についての車種別調査報告を掲載致します。
まず、はじめは、フォルクスワーゲンパサートおよびルポとベンツCクーペについてご紹介致します。
14
自研センターニュース 2004年12月号
指数テーブル マニュアル作業項目の解説
−59−
今回は指数テーブルマニュアル(2004年10月発行)
を基本に、ボデー系の作業項目『B241
ロッカアウタ
②サイレンサシート貼り付け後ではシーラ塗布でき
ない部位
パネル取替(センタピラー関係なし)』について解説し
・リヤフロア取替時のサイレンサシート貼付部等
ます。(図1)
③パネル取替作業でパネルを取付けると塗布できな
くなる部位
1.前提条件作業および作業内容
・クォータパネルのホイールアーチ部内部等
*補給形態通りの取替作業とせず、センタピラーよ
*事故歴が有りの再修理場合、指数はそのまま適用
り前部をカットし取替えを行う作業
できないことが多くあります。その理由は、ロッ
2.指数に含まれる主な作業
カパネルアウタ等の溶接方法がカーメーカの新車
*ロッカアウタパネルに取付く付属品(リインホース
出荷溶接状態と異なる場合が多いためです。
メント等)の脱着または取替
図1
*必要範囲のトリムおよび付属品の脱着または取替
B241
主な付属品
・モール
・スカッフプレート
ロッカアウタパネル取替(センタピラー関係なし)
片側
網掛けの部品は当該作業範囲
・ガーニッシュ 除く作業
*ドアの脱着または取替
*サイドマッドガード(サイドスポイラ)の脱着また
は取替
*シート脱着
補足
*ロッカアウタパネルの取替で部位により、ドアお
前提条件および作業内容
*補給形態通りの取替作業とせず、センタピラーより前部で両
端ををカットし取替えを行う作業
よびシート脱着が必要になる場合があります。
*脱着取替指数は部品を取付ける相手部位は正常な
状態であることを前提に作成されていますので、
「相手部位の修正時間」は含まれていません。従っ
て、合わせ・計測も「相手部位が正常な状態」から
の作業となります。
*パネル接合部のシーラ塗布に関して
当該作業は、損傷パネル取替作業時に行う塗布と
塗装作業工程時(プラサフ塗り後)に行う塗布があ
指数に含まれる主な作業
*ロッカアウタパネルに取付く付属品(リインホースメント等)
の脱着または取替
*必要範囲のトリムおよび付属品の脱着または取替
主な付属品
・モール ・スカッププレート ・ガーニッシュ
除く作業
*ドアの脱着
*サイドマッドガード(サイドスポイラ)の脱着または取替
*シート脱着
ります。
「脱着・取替指数」に含まれるシーラ塗布部位は次
の通りです。
①アンダコート塗布後ではシーラ塗布できない部位
・フロントサイドメンバとダッシュパネル、センタ
補 足
*ロッカアウタパネルの取替部位により、ドアおよびシート脱
着が必要になる場合がある
*シーラ塗布に関しては〈留意事項〉シーラ塗布を参照
フロアとの溶接接合部等
自研センターニュース 2004年12月号
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自 動 車 リ サ イ ク ル 事 情
リサイクル部品活用ボデーショップ訪問
2005年1月より、使用済み自動車のリサイクル及び適正処理を促進するための体制を整えることを目的とした「自動
車リサイクル法」が施行されます。
上記に関連し今回は、市場でのリサイクル部品活用状況を把握するために、「千葉県自動車車体整備協同組合」の推
薦を得まして、二つのボデーショップを訪問しましたので紹介します。
1.
オートボデーショップA−ONE
(千葉県香取郡栗源町苅毛400
代表 堀越 栄治)
同社は従業員3名で、月間15台∼20台程度の板金塗装
から取り寄せています。高年式車のヒット率は低いそ
修理を行っています。中古部品の使用状況では、入庫
うですが2∼3日で入手でき、ユーザーに説明すれば修
車両の50%は何らかの形で使用しているとのことです。
理期間が延びても特に苦情はないそうです。
中古部品を使用する理由としては、板金で修理する
但し、バンパーは傷が多くあまり使用できないとの
より安価ならユーザーにもメリットがあるので、20万
ことでした。(補修すると新品価格とほぼ同じになる)
円程度の修理に多く使用しているとのことでした。(バ
中古部品を使用したユーザーの感想は特に不満もな
く、ドアなどの中古部品を使用すればシーラ塗布
(形状)
ンパー・ライト類・外板)
中古部品の入手先はインターネットを利用して全国
(事務所)
(車両置き場)
のクレームがなくなり好評であるとのことでした。
(工場)
2.(有)馬場自動車工業
(千葉県柏市増尾1034−1 代表取締役 馬場 弘)
同社は、東武野田線増尾駅から徒歩10分の最近移転
した新社屋で一般整備と車体整備を営んでいます。
リビルト品(パワーステアリングポンプ・ドライブシャ
自動車整備の認証工場も取得しており、来年度から
フト等)
は一般整備で多く利用しているとのことでした。
施行されるリサイクル法の引き取り業・フロン回収業
中古部品の入手方法は、インターネットを利用して、
の登録も行っていました。従業員は7名で月間40台程度
中古部品販売業者から購入しており、当日の16:00ご
のボデー修理を行っているとのことです。
ろまでに注文すれば翌日には入庫するので特に不便は
同社は、ユーザーに中古部品の使用を積極的に提案
しており、入庫拡大に向けた意欲が会話を通じて感じ
られ、今日の社会情勢ではいかに低価格で修理するこ
とが大切であるを力説しておられました。車体修理で
16
はリユース部品を多く使用しており、またメカ関係の
自研センターニュース 2004年12月号
なく、品質が悪く返品したことは一度もないそうです。
中古部品を使用したユーザーの感想は、修理代が安
くなっているので、特に不満はないとのことです。
中古部品販売業者への要望として、ドアパネルなど
同色でそのまま取り付けられれば良いが、大半が難し
ました。(パネル単体に分解する手間と廃棄物の処理が
いのでパネル単体の供給にしてほしいと述べておられ
軽減される)
(事務所)
(車両置き場)
(工場)
今回訪問しての感想としては、中古部品が思っていたより多く使用されていることに認識を新たにしました。ユー
ザーも中古部品の存在を知っており、当然ながら修理費が低減されることで利用されています。工場側もインターネ
ットが普及した関係でより多くの情報が入手でき、利益の出る業務と考えているようです。
第18回自研センター
自研センターでは、2004年度「一般提案」募集を行いま
す。日頃、損害調査業務を進める上で、損傷車の復元修理
に関連して気づかれた改善策、創意工夫、アイデア、実際
の取り組み例などをご提案願います。皆さんの現場の体
験に基づいたあるいは日頃お考えになっているアイデア
をお待ちしております。
q テーマ
(1)自由課題
ただし、損傷車の復元修理に関することに限ります。
(2)立会い・見積技法の改善提案
募集
(5)改善案
どうすれば改善できるか。
(6)効果
どのような効果が期待できるなか。写真概念図等
を付け分かりやすく説明してください。
r 応募資格
損害保険会社の社員、
損害調査会社の社員、
アジャス
ター(グループ提案も歓迎します。
)
t 審査・表彰
弊社提案委員会で審査します。
損傷部位・範囲の確認方法、見積の適正化、迅速化
入選提案:賞状と賞品を贈呈します。
などに関するもの。
努力賞、アイデア賞、メーカー改善提案賞の賞状と賞品
(3)損傷車の復元修理についての改善提案
合理的な修理方法、工具、機具、治具などの改善案など。
(4)損傷性、修理性の向上に関する提案
補給部品の形態、取り付け方法など。
w 募集期間
平成17年1月5日∼2月末。
e 記載内容
なるべくA4判サイズの用紙を利用し、以下の事項を
記載の上送付してください。
を贈呈します。
参加賞:記念品を贈呈します。
y その他
(1)入選提案「自研センターニュース」誌上で発表します。
(2)応募いただいた
「提案」
の所有権は自研センターに
帰属します。
また、
応募提案原稿は返却いたしませんので、
あらか
じめご承知ください。
送付先
(1)所属会社、所属部署
〒272-0001 市川市二俣678-28
(2)氏名
(株)
自研センター提案事務局
(3)改善提案名称
TEL 047-328-9123
(総務企画部内)
(4)問題点または現状
現状で困っている内容、不便に感じている内容。
自研センターニュース 2004年12月号
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Researching The Skeletons
リサーチング ザ スケルトンズ
ニッサン ムラーノ
(Z50系)
この「Researching The Skeletons」では外部から確認す
ベースの大型プラットフォームが採用されています。
ることのできないフロントサイドメンバおよびリヤフ
フロントサイドメンバ前部には左右共に節状のリイ
ロアサイドメンバ内側のリインホースメント等の位置
ンホースメントが、中央部には形状の異なる大型のリ
や板厚を分かり易く紹介していくもので、データは実
インホースメントが取り付けられています。また、衝
際に自研センターで調査した内容を記載したものです。
突安全性については衝突時のエネルギーを車両前端及
今回は2004年9月に発売された日産自動車 ムラーノ
(Z50系)を取り上げます。
び後端のクラッシャブルゾーンで吸収し、キャビンの
変形を抑える衝撃吸収ボディー構造としています
この車の基本骨格には「FF−L」と呼ばれる前輪駆動
18
左外側
左内側
右外側
右内側
自研センターニュース 2004年12月号
Researching The Skeletons
正面(リヤアッパパネル取付状態)
正面(リヤアッパパネル取外し状態)
リヤサイドメンバエクステンション位置
リヤサイドメンバエクステンション位置
上側(リヤフロアリヤ取付状態)
上側(リヤフロアリヤ取外し状態)
t=1.4mm
t=1.8mm
t=1.8mm
リヤサイドメンバエクステンション
t=1.4mm
t=1.4mm
t=1.8mm
t=1.8mm
下側
自研センターニュース 2004年12月号
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Customer Relations Department REPORT
お客様相談室レポート
スズキ MRワゴン MF21S系(2001年12月発売車)
クォータパネル取替作業について
Q
スズキMRワゴンMF21S系のクォータパネル取替作業で、リヤホィールハウスアウタパネルとの間に段差が生
じ、それを樹脂パテで補修する作業を行ったがそのパテ作業は指数に含まれるのでしょうか教えてください。
(現在のカーメーカーのクォータパネル補給部品に取付説明書が添付されています。そこに樹脂パテ作業や構
造用接着剤の記載が有ります。
)
B270
片側クォータパネル取替
片側
クォータパネル上部および下部でのカット作業
6.30 取外し状態
(含)
片側リヤコンビランプ
・リヤバンパ ・クォータウィンドガラス
アウタハウジング
・リヤシート
7.10 (含)作業および部品の脱着または取替
・必要範囲のトリム ・付属品
・リヤコンビネーションランプ ・水密テスト
[除]作業および部品の脱着または取替
・フューエルタンクAssy ・ルーフライニング
A
指数値(6.30)の作業には構造用接着剤の塗布作業については指数値に含んでいます。その後、2003年7月にサ
イドパネルが分割になりましたが指数値に変更は有りません。段差を修正するパテ修正作業時間は含まれて
いませんので別途加算してください。尚、構造用接着剤の材料代については含んでいません。具体的には以
下のようになります。
図-1
(指数作成時の補給形態)
リヤコンビランプ
アウタハウジング
指数作成時(2002年6月)と現在(2004年10月)では、補
給部品形態が変更になっています(図1)。
また2003年7月にサイドボデーパネルとリヤホィール
ハウスアウタパネルも変更されています。大きくは、
リヤホィールハウスのフランジ幅を短縮しました。
補修時には構造用接着剤(住友3M:スコッチウェル
フューエルインレット
ボックス
ドDP460またはオートミックスパネルボンド8115を約
サイドボデーアウタパネル
20ml)を塗布します。
構造用接着剤は硬化後通電性がないので硬化前にス
ポット溶接を済ませてください。
(変更後の補給形態)
クォータパネル
リヤコンビランプ
アウタハウジング
Bピラーパネル
Aピラーパネル
フューエル
インレット
ボックス
サイドシルパネル
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自研センターニュース 2004年12月号
Customer Relations Department REPORT
図-2
Bピラーパネル
クォータパネル
*2001年12月から2003年6月以前の車両を現在の補給部
品を使用して、クォータパネルを取替るとホィール
ハウスアウタパネルのフランジ部に段差が発生する
Aピラーパネル
ため、この部分を樹脂パテで修正します(図2)。
A
A
*クォータパネル、ホィールハウスアウタパネル2部品
を取替した場合には、フランジ部に段差は発生しま
A-A 断面
せん。フランジ部の樹脂パテ修正作業は不要です。
リヤホイールハウス
アウタパネル
〈参考〉
住友3M
製品名
容量
販売価格
(2004年10月)
スコッチウェルド DP460
37.5p
3,670円
オートミックスパネルボンド 8115
200p
6,800円
構造用接着剤
フランジ部短縮
下記の車両については補修時に注意が必要です。
クォータパネル
パテ
スズキMRワゴン
日産MOCO
MF21S−100001∼140208
MG21S−100001∼110484
MF21S−300001∼352858
MG21S−300001∼343731
MF21S−500001∼530862
MG21S−500001∼509407
*日産MOCOについてはOEMの車両です。
日本アウダテックス社
指数テーブル「2004年12月号」発行のご紹介
●2004年12月号 国産車・指数テーブル(3メーカー・5車種)
メーカー名
トヨタ
日 産
ダイハツ
車 名
型 式
ハイエース
210W系
ハイエース/レジアスエース
200V系
ハイエース/レジアスエース
200K系
フェアレディZ
HZ33系
ロードスター
ムーヴラテ
L550S・L560S系
●2004年12月号は、輸入車の発行はございません。
※「2004年12月号」のみの単独販売は行っておりません。購入を
※バックナンバーは、2004年版の「国産車・輸入車セット」
「国産
希望される方は下記「2005年版セット」
(年間購読)
をお求めく
車セット」
「輸入車セット」
と
「2003年版」
となります。なお、在庫が
ださい。
なくなり次第販売を終了させていただきますのでご了承ください。
【2005年版】
※ご購入の際のご不明な点は、下記にお問い合わせください。
・国産車セット<商品番号:2005
価格:¥18,000>
・輸入車セット<商品番号:3005
価格:¥4,000>
・国産車・輸入車セット<商品番号:4005
《ご注意》2004年度版より、指数テーブルは「国産車」セット、
「輸入車」セット、
「国産車・輸入車」セットと別けて取り扱うよ
価格:¥20,000>
◆「指数テーブル」のご注文およびお問い合わせ◆
日本アウダテックス株式会社
うになりました。
TEL:03-5351-1900(代)
FAX:03-5350-6305
自研センターニュース 2004年12月号
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第43回 ボデーリペア懇談会開催
10月26日、自研センターにおいて自動車メーカー
会で承認されたばかりの、Rr.の新衝突基準に基づい
9社30名の出席をいただき、総勢47名にて「ボデー
た実験結果を発表し、新衝突基準下での車両構造の
リペア懇談会」が開催されました。
改善を提案しました。また、同一車種でのRr.部新旧
自動車業界と損保業界をつなぐ自研センターにと
って、最も重要な会議の一つとして当懇談会は運営
されています。自研センターが行っている各種の調
衝突基準の実験結果の比較を交えた報告も行いまし
た。
「ボデー修理書の改善について」のテーマでは、
査・研究結果を発表し、自動車メーカーに改善提案
自研センターから、より活用されやすい「ボデー修
を行っていく場として、また、自動車技術に関する
理書」に向け内容充実の提案を行いました。
情報収集、交換の場としても機能しています。
また、今回は各自動車メーカーの皆様のご協力
当日は、自研センター 代表取締役 鈴木 稔の
で、「ボデー修理書」の改定予定や超高張力鋼板の
挨拶に始まり、その後下記テーマに沿って懇談を行
使用部位や修理方法の記載予定などの事前質問に対
いました。
し、事前に回答をいただき、当日その回答を踏まえ
論議を行いました。780Mpa以上の超高張力鋼板使
¡自研センター活動概要と損害保険の現状
用の増加に伴った修理方法や使用工具に関する各種
¡RCARベルリン総会報告
問題等についても論議が発展し、活発な意見交換が
¡「損傷性・修理性」調査結果報告
行われました。
¡自動車リサイクル対応活動について
長時間ではありましたが、多数のテーマにわたる
¡ボデー修理書の改善について
懇談となり、懇談会後の懇親会においても情報交換
¡補修用ヘッドランプレンズ取替の指数作成につ
が活発に行われ、他のテーマも含め、有意義な懇談
いて
¡損保技術アジャスターからの改善提案について
会でしたと感想をいただきました。
自研センターは、各種の調査・研究とその展開を
通じて、全ての自動車ユーザーのメリットとなるよ
毎回恒例の発表テーマといえます「『損傷性・修
理性』調査結果報告」では、9月のRCARベルリン総
22
自研センターニュース 2004年12月号
うな活動を、今後も皆様とともに進めていきたいと
考えております。
第17回「一般提案」入賞作品のご紹介
本誌9月号に入選並びに「アイデア賞」「努力賞」「メーカー改善提案賞」の各賞提案を掲載いたしました。今回は入
選された6つの提案についてその概要をご紹介いたします。
第2位
「傷のルーペ観察・撮影方法と道具別に見る線傷の考察」
日本興亜損害調査(株) 四ツ車 修二様 大塚 喜一郎様 梅田 衛様 窪田 一則様
多発しているモラルリスク、中でも全塗装要求を目的とした「落書き」損害については、単なる傷の性質・筆跡の差異の確
認に止まらず、傷を付けた道具の特定を行うことで、その不自然性を明らかにしていこうというレポートです。具体的には、拡
大鏡(ルーペ)
を用いた撮影時の工夫を紹介するとともに、実際に何種類かの道具によりドアパネルを傷つけ、その特徴が克
明に観察・記録されており、不当不正請求を排除しようという強い意思が伝わってくる内容です。
第2位
「スケールとOHPフィルムを使用した衝突再現方法」
ニッセイ同和損害保険調査(株) 斎藤 功様
写真撮影用スケール、OHPフィルム、可変倍率コピー機を組み合わせることによって、簡便かつ的確に整合性の確認、判断
を行っていく方法を提案しています。例えば、別々に写された2台の車両写真を、その中に写されたスケールを合わせるよう
にしながら、OHPフィルムへ縮小あるいは拡大コピーし、重ね合わせることで事故を再現していくものですが、身近なツールに
より比較的簡単に精度の高い整合性判断ができる方法として、現場での活用が期待できると思われます。
第3位
「立会時のコンベックス(スケール)の設置方法について」
三井住友海上損害調査(株) 三堀 良和様
コンベックス本体にねじ穴を開けミニ三脚を合体させ、その三脚の足の先端には吸盤を自由に動くように取り付けます。撮
影対象の車両ボディにこの吸盤3箇所を固定し、三脚の足の長さを調節しコンベックスのスケール部が地面に垂直となるよう設
置し写真撮影を行います。これにより一人で短時間でかつしっかりとコンベックスのスケールが入った撮影が可能となります。
第3位
「外板板金面積 測定・検証シート(Excel版)
」
日本興亜損害調査(株) 青木 純也様
損傷部近くに基準となるデシシート
(10cm四方のマグネットシート)
を貼り付けデジカメにて撮影します。パソコンを使用し、撮
影した画像の上からExcelで作成した方眼シート
(10cm四方の網目)
をかぶせ、画像上でデシシートに一致するよう拡大・縮小
し、方眼シートの網目数で損傷部面積を算出します。今後、さらに増えていく
「画像伝送」による損害確認の精度向上につなが
る提案です。
第3位
「携帯レーザー計測器によるフレーム・サスペンションの損傷診断」
三井住友海上損害調査(株) 菅原 義行様 松本 等様
既存のレーザー計測器にアダプター等を組み合わせることでトラックのフレームやサスペンションの正確な計測が可能とな
るという提案です。とくにフレームやサスペンション部位は修理費用が高額になるので「脱着・分解」前の現車状態での損傷診
断は、修理費適正化にはとても有効です。
第3位
「Frガラス取替指数の早見表を使い写真見積を適正迅速に処理する方法」
東京海上損害調査(現東京海上日動調査サービス)
(株) 青木 幸雄様
見積書のガラス作業工賃を適正かつ迅速に処理するために、メーカー別Frガラス指数値の早見表を作成しています。
見積業務の効率アップにつながる提案です。
自研センターニュース 2004年12月号
23
http://jikencenter.co.jp/
自研センター来訪者一覧
10月20日(水) JA損調 今井常務 他1名
21日(木) 東京海上日動火災保険(株) 井上常務 他2名
22日(金) トヨタ自動車(株)第1ボデー設計部企画総括室 大山主担当員 他2名
27日(水) 学校法人読売江東理工専門学校 宮城教務副委員長 他5名
富士重工業(株)群馬製作所第1生産技術部 堂前技術開発主査 他5名
11月1日(月) 全日本自動車リサイクル事業連合 酒井専務理事
2日(火) 東京海上日動火災保険(株)個人商品業務部 市川氏 他3名
本田技研工業(株)カスタマーフィールドサービス部 和田技術主任
4日(木) KART Mr.Seung Soo,Kang
他3名
日本アウダテックス
(株) 藤原氏 他3名
11月11日(木) 東京海上日動火災保険(株)営業開発部 須田次長 他1名
●編集後記●
1年の締め括りの月、師走となりました。読者の皆さまにとりましてこの1年は如何だったでしょうか。経済の面
では必ずしも個人的には実感を伴わないものの、新聞紙上の活字は「全体として回復基調にある」といった内
容が多かった1年でした。どの様に感じられましたでしょうか。
世間全体を見廻たすと残念ながらあまり明るい話題は多くなかったような気がします。新聞、テレビの報道で
も「何でこの様な事件が起こるのだろうか」と首を傾げたくなるような事件とか。特に記憶に残ったのが家族間
で起きた事件、夫婦間、親子間での無惨な殺人事件などは国を構成する組織としての最小単位である家族の
崩壊を見せ付けられて、何ともやるせないというか不気味というか家族同士の絆とは何なんだろうと思わざる
を得なくなります。もしかすると日本の姿が深層で地殻変動を起こしているのだろうかとも思いたくなります。
また今年はどうも自然災害も大変多かった様な気がします。浅間山の噴火に始まり、度重なる台風の襲来。
日本に上陸した台風は10回を数え、嬉しくもない日本記録を更新したとか。そして新潟県中越地方を襲った「新
潟中越地震」と。現代の進歩した科学技術を持ってしてもその予知やコントロールはまだまだ難しいように思い
ます。寧ろ自然の力の恐ろしさや強さを見せ付けられて人間の無力さを再確認させられたような気がします。
ただスポーツの世界が明るい光を灯してくれました。アテネ五輪での日本選手団の大活躍や大リーガーイチ
ロー選手の世界記録達成と日本中を沸かせてくれました。
2004年も後少しの時間で過去のものとなります。1年間JKCニュースをご愛読頂き誠にありがとうございまし
た。来るべき2005年は素晴らしき1年になるよう大いに期待を寄せると同時に、来る年も皆さまが健やかであ
りますよう祈念いたします。
自研センターニュース 2004.12(通巻351号)平成16年12月15日発行 昭和51年5月27日 第三種郵便物認可 定価336円(消費税込み、送料別途)
C 発行所/株式会社自研センター 〒272-0001 千葉県市川市二俣678-28 Tel(047)328-9111(代表) Fax(047)327-6737
発行人/鈴木 稔 編集人/八束重宣 ⃝
※乱丁、落丁の場合はお取り替えいたします。
本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、あるいは転載することは、法律で認められた場合を除き、著作者の権利の侵害となりますので、その場合に
は予め、発行人あて、書面で許諾を求めてください。
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