の使い方とその効果 (2)

音質の変化を実態
[力赤土輩点]の
使い方とその効果(2)
5月号付録のアコースティックリヴァイブの導通向上クリーナー
｢EC1-100｣を含浸した綿棒には早くも多くの反響が届いている.
本誌ライターによるレビュー,その第2弾をお届けしよう.
価格:
発売元 アコースティックリブァイブ
1 00mしスプレー
〒372-0821群馬県伊勢崎市連取町3016番地l TEL 0270-24-0878
14.000円(税込)
h億p●//… acoustiCイeViVe Com/
本誌5月号にECI-100を含浸した綿棒が付録とし
て付属しているが 私は以前からECI-100スプレー
を愛用しているので両タイプの使用結果を理詰めで
には,接点部で電流経路が点状接触面に絞られるこ
とに起因する集中抵抗と,
接点の表面を覆っている酸化膜,硫化膜,油膜な
どに起因する被膜抵抗があり,両者の和が接触抵抗
報告しよう.
となる.集中抵抗は接点導体の抵抗率および弾性限
｢効果｣のメカニズム
界圧力の平方根に比例し,接触点の数や接触圧の平
ラットではな(.微視的に見ると図1のような凹凸が
方根に反比例する.接触点が微小な場合は通過電流
で局部的な発熱があるため,発熱に起因する抵抗率
あって,複数の点で接触している.接点の接触抵抗
の変化や,熱膨張に起因する接触圧の変化があるし,
端子,スイッチ,ボリュームなどの接点は表面がフ
外部振動による接触圧変動もあるので 集中抵抗は
接点電流や振動により変化する.
被膜抵抗は電圧依存性があり.電圧がゼロに近い
領域では高い抵抗値になる.接点にはこのような非直
線要素があるので 接点の電圧･電流特性は 図2
抵抗率pA
pA : A導体の抵抗率
pB i B導体の抵抗率
∫ i弾性限界圧力
F .接触圧
〟 :接触点の数
接触抵抗 - 集中抵抗 + 被膜抵抗
集中抵抗-誓･屠--①
[図1]電気接点の拡大図
接点クリーナーでは苦い経験がある.小さな瓶に
入った黒い液体を付属の刷毛で塗るタイプだった ノ
が鮮明になった.
イズが出始めたセイデンのローダ)-スイッチに塗布
したのだが少し経つと元の状態に戻ってしまい,塗
気を良くして,もっと音源に近いレコードプレーヤ
ーに使ってみた. GEバリレラカートリッジが装着さ
布を繰り返すと接点は黒ずみ,無残な状態になってし
れているト-レンスTD184だ このプレーヤーも製
まう.後で分かったことだが,塗布のしすぎはかえっ
造からすでに半世紀以上を経ている.レトロな雰囲気
て悪影響を及ぼすそうだ
のトーンアームは,ダ)-ム色のベースに黒いヘッド
本誌5月号付録の｢オーディオ接点グ)-ナ-｣は
シェルが付いたツートンカラーだ(写真3).ヘッド
綿棒に染み込ませたタイプなので塗布のしすぎはあり
シェルは着脱可能なので この接合部分に塗ってみ
得ず,さらに高寿命･高安定のハイテクオイルを使用
た 長さ2cmぐらいの板状の金属の棒が5本出ている
しているため,塗った後も黒くならず無色透明になる
(写真4).
そうだ
まず感じたのはヘッドシェルの弟脱がスムーズに
早速,古典管を使用したラインアンプに使ってみた
なったことだ気持ちがいいぐらい滑らかになった
(写真1 ).使用している真空管は,戦後まもない製造
ラインアンプより微小信号を扱う箇所なので やはり
のナス管の56と171Aなので ピンの表面もそれな
効果は顕著である. GEバリレラの鮮やかなサウンド
りに劣化している.そこで56と17lAのピンだけで
がさらに生々しくなり,切れ味とスピード感が増した
はなく各々のソケットにも塗布した(写真2).
モノ-ラルなのに音像が立体的に感じられるようにな
聴きなれたソースをかけると,接触抵抗が改善され
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出し.アタックの曖昧さがなくなったぶん,音の輪郭
った.
たためか,音の隙間のノイズが軽減されて全体に静
再生装置全体のほんの一部に塗布しただけだった
寂性が保たれ,ダ)アで解像度の高い響きになる.そ
が充分効果があった もし,オーディオ装置の接点
れに加え,情報量が増した結果ヴォーカルは前にせり
部分すべてに使用したらどうなるのか,興味が湧く
[写真1]ナス管56, 171Aラインアンプ
[写真3]ト-レンスTD184のトーンアーム
[写真2] RCA 17lAのピンに塗布
[写真4]ヘッドシェルの接合部分(金属の棒)に塗石
接点復i副菜護剤というものは昔からあって, ?リー
ニングによる導通性向上を主な働きとする.一定の効
補うという考え方は正しい.
果はありながら音が変わってしまうなどの副作用がな
これまでにケーブルの端子や真空管のピン,アナロ
いため,今でも売られていて筆者も重宝してきた
グ機器関連などさまざまなケースでのテストが報告さ
Eel-100は接点復活保護剤とは違って,微細なダイ
れているが電源はまだのようなので試してみた.壁
ヤモンドカーボン粒子が金属表面の凹凸を補って導
コンセント,中継する電源ボックスのインレットとコ
通性を高めることを可能とする.接点の抵抗値が実
ンセント,電源ケーブルのプラグなどを綿韓の先でそ
際に減少するのは確かなようだ
っと磨くようにこする(写真).黒いものが付着する
この種の導通向上剤は過去にもいくつか例があっ
たか それらは接点間にカーボンの層をつくってしま
ようすはなく,見ただけではわからないが これで充
分のようだ
い,カーボンが多すぎるのかオイルの潤滑性が低いの
効果は音に確実に現れていて,出方が滑らかにな
か,あるいはカーボン粒子が原子レベルで金属と結
る.とげが消えるということもあるが 当たりがきめ
合すると考えているのか,いずれにしても導通が逆に
細かく鮮度が高い.バロック･ヴァイオリンの質感と
悪くなってしまったり音が変わってしまったりという
いいピアノの余韻といい,凹凸がなくなってしかも細
ケースもあったようだ ナノレベルといえばほほ分子
かな起伏が増す.オーケストラではトウツティでのわ
のサイズだが金属原子はその1000分の1程度の大
ずかな荒れが収まり,まろやかで艶が出る.ヴォーカ
きさである.カーボン粒子が多すぎれば接点間に異
ルは表情が瑞々しく どこといって音調は変わってい
物が挟まったのと同じことになって逆効果なのである.
ないのば古きがいい.正しい変わり方と言うべきで
ECI-100にはそうした心配がない.綿棒の先に含
霞させた導通剤はごく少量だが これで充分なのだ
[写真]電源まわりのプラ
グやコンセントに塗って,効
果のほどを確認してみた
鵬
カーボンで導通させるのではな(.金属表面の凹凸を
アクセサリーはこうあってほしいものだ