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第五回講義 - 創薬分子プロファイリング研究センター

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第五回講義 - 創薬分子プロファイリング研究センター
計算創薬化学(5)
福西 快文
産業技術総合研究所・創薬分子プロファイリング研究センター (molprof)
薬の開発は、臨床がすべてだ。どんな間違った理論でも、臨床で効き、上市
できれば勝ちである。
しかし、徹底的な理論武装がなければ成功しない。
2000年以上も前から、理論に基づき、治療は行われてきた。検証可能な理
屈を積み上げるからこそ、次の世代が、より多くの成功を収めることができる。
分子設計に必要なこと
(0)スクリーニングなどにより、活性化合物を得る
(1)タンパク質と活性化合物の正確な複合体構造を知る。
X線構造解析、NMR実験、分子シミュレーション計算
(2)タンパク質と活性化合物の正確な結合活性を知る。
(3)化合物を改変する(人間の知恵によるアートの世界)
3-① 「合成できる化合物」で、
3-② 水に溶け、吸収できる化合物でなければならない。
3-③ Kinase/GPCRの場合は、Off-targetに作用しないこと。
(4) 合成、アッセイ実験
page2
1
(7)分子動力学シミュレーション
による正確な相互作用
MDシミュレーションの場合、統計力学をそのまま適用すれば、かなり厳密に
自由エネルギー計算ができる。つまり、タンパク質ー薬物間の活性(結合自
由エネルギー)が計算できる。
しかし、厳密な手法では時間がかかりすぎる。(1000~10万日・CPU程度)
タンパク質と化合物間の直接の相互作用を、MDでの時間平均をとることで
推算する簡単な手法もある。
しかし、自由エネルギー計算は、「直接の相互作用の平均」ではない。
その理論的根拠は、久保のキュムラント展開で導出できる。
この簡便な方法なら、1-10日・CPU時間で活性計算ができる。
3
現在できている計算:possible simulation
•
MDシミュレーション : Molecular dynamics simulation
① 蛋白質全体の平衡状態の計算(X線構造を出発構造として10万原子以下、
10n秒以下、水分子含む): equilibrium state of whole protein based on Xray structure. < 104 atom, < 10 nsec including water molecule.
② ペプチドの厳密な全ての構造の探索(15残基以下): precise simulation of
peptide (< 15 a.a., ) all possible conformations can be detected
③ 蛋白質表面のループ領域のモデリング(20残基以下)
: modeling of loop region ( < 20 a.a.)
④ 蛋白質ー薬物複合体の解離と結合自由エネルギーの計算: simulation of
dissociation of protein-ligand complex and binding free energy calculation
• 蛋白質-薬物のin silico screening : rough empirical docking simulation
⑤ 蛋白質ー薬物複合体の予測と活性値(結合自由エネルギー)の予測 :
protein-ligand docking simulation and prediction of binding free energy by
empirical method
2
① 蛋白質全体の平衡状態の計算(X線構造を出発構造として10
万原子以下、10n秒以下、水分子含む)100 CPU*days=1n sec
: equilibrium state of whole protein based on X-ray structure. < 104 atom, < 10
nsec including water molecule.
Getting natural (relaxed) structure of membrane protein.
Biological function of rhodopsin depends on the content of unsaturated phospolipid.
Understanding the dynamics of membrane-protein system.
142 SDPC lipids + 8638 waters + 14 Na + 10 Cl +Rhodopsin with retinal= 51631 atoms
Let’s start Molecular Dynamics simulation
Solve Newton’s equation : F = ma (力=質量x加速度)
F = m dv/dt ; v = dx/dt 時間の刻み幅(dt)を1f sec(10-15 sec)程度にとる
v(t  t )  v(t )
x(t  t )  x(t )
; v(t ) 
t
t
原子に働く力を計算し、原子の座標と速度を少しづつ計算して動かす
f (t )  m
Velocity(速度)
Force(力)
時刻t
x(t  t )  x(t )  t  v(t )
時刻t+Δt
;
v(t  t )  v(t )  t 
f (t )
m
3
アルゴリズムの開発:Tsallis dynamics (TD) method
TDは、 Tsallisエントロピーを基礎にしたMDであり、ポテンシャル
エネルギーと運動エネルギーの両方が幅広く分布する特徴をもって
いる。TDのポテンシャルエネルギーは McMDと同様に、スケール
されたポテンシャルエネルギーである。さらに、系が大きな運動量
を持つときには、高い活性化障壁を乗り越えることができる。
通常のダイナミクスからのずれはパラメーターqで調整される。
Tsallis( x, p)  [1  (1  q) E( x, p)]q /(1q )
Distribution:
lim Tsallis( x, p)  exp[  E ( x, p)] : Traditional Boltzmann-Gibbs distribution
q 1
Potential flatting effect
Mass varying effect
Tsallis entropy:C. Tsallis, J. Stat. Phys. 52 (1988) 479
TD: Fukuda and H. Nakamura, Phys. Rev. E 65, 026105 (2002)
Tsallis potential energy Eq
Eq0 
q
 (q  1)
ln[1  (1  q )  ( E   )]
4
② ペプチドの厳密な全ての構造の探索(15残
基以下): precise simulation of peptide (< 15 a.a., )
all possible conformations can be detected
Tsallis dynamics method
15 aa :ACE-LYS-GLU-THR-ALA-ALA-ALA-LYSPHE-GLY-ARG-GLN-HIS-MET-NME
5.00ns
0 ns
0.24ns
0.71ns
通常のカノ
ニカルMD
(300K)で
の結果
3.42ns
2.58ns
5.00ns
拡張アンサンブル法:Multicanonical MD (McMD) method
マルチカノニカルMDとは、現実の系のエネルギーが広く分布するように、仮
想的なポテンシャルの上で運動を行う方法。仮想ポテンシャルでは、ポテン
シャル障壁が低くなるようにスケールされており、ローカルミニマムに捕らわ
れにくく、構造空間を幅広く運動できる計算が行われる。
仮想的エネルギー
エネルギースケール
仮想系
McMD
真のエネルギー
原子に働く力をスケールす
る:Force Bias McMD
現実系
F = m a : Newton方程式はポテンシャルでなく力に支配される。
5
高温=高エネルギー :低温 =低エネルギー
エネルギーと温度には関係がある。
=> エネルギーのスケーリングは、系の有効な「温度」と同じ概念
スケーリング関数を新しい手法で求めることが出来る。
③ 蛋白質表面のループ領域のモデリング(20残基以下)
: modeling of loop region ( < 20 a.a.) 200-300 CPU*days
3D coordinate of C3 loop of rhodopsin is unclear.
We supply the deficiency of crystal structure by precise modeling.
=> MD simulation of rhodopsin in membrane system
?
Crystal Structure
of Rhodopsin
Principal
component
analysis
McMD simulation of C3
loop of rhodopsin
6
アルゴリズムの開発:Simulated Tempering (STMD) method
T=300K
T=400K
T=500K
T=600K
Energy
Energy
STMD法
低温の系のエネルギーは低エネルギー領域に分布し、高温の系のエネルギーは高エ
ネルギー領域に分布する。平衡状態を保ちながら系の温度を時々遷移させることで、
幅広いエネルギー領域をフラットにカバーする分布を得ることができる。
McMD法
一定の温度の系のポテンシャルエネルギーないし原子に働く力をスケールすることで、
幅広いエネルギー領域をカバーする分布を得る。
アルゴリズムの開発:Simulated Tempering (STMD) method
Met-Enkephalin
TYR-GLY-GLY-PHE-MET
エネルギー分布
温度分布
カノニカル分布の再現
7
Filled-potential法による簡便な結合自由エネルギー見積もり
ポテンシャルを埋めて分子が動けるようにする方法:
埋めたポテンシャルの深さ=結合自由エネルギー
結合自由エネルギー計算に向いた方法、ある程度の構造探索を同時に行える。
ΔG*?
ΔG?
MD計算の軌跡より
埋めるべきポテンシャルを予測
MD計算の軌跡より
埋めるべきポテンシャルを予測
h2
h1
ポテンシャル平滑化
ポテンシャル平滑化
ΔG* <= 統計処理 <= h1 + h2
8
④ 蛋白質ー薬物複合体の解離と結合自由エネルギーの計算:
simulation of dissociation of protein-ligand complex and binding
free energy calculation : 100-300 CPU*days
Ligand
Thermolysin
O
H
O
N
O
O
O
O
VAL
O
Zn
Z-L-ASP ligand binding mode
4700 atoms
MDによる化合物活性の大ざっぱな見積り
「適当な」反発ポテンシャルで、
分子をポケットから追い出す。
追いだすのに必要なポテン
シャルが強い=活性が強い
結合エネルギーを数値として算出する
のではなく、
・活性が強い、
・中くらい、
・弱い
というカテゴリーに分類する方法。
18
9
Comparison of FP and Experimental results
Initial state: RMSD=0A
RMSD=2A
Transition state
Reaction path
Auto generation
RMSD=5A
z-D/L-Ala and z-D/L-Thr
Calculated by fillpot (kcal/mol)
10
8
6
4
2
0
-2
-2
3
8
Exptl (kcal/mol)
Calculated potential of mean force
For dissociation
Binding free energy
History of molecular dynamics simulation
1947 : Neutron diffraction (Ulam, Metropolis)
1957 : Alder phase transition (Alder)
1965 : Soliton (Zubusky, Kruskal)
1968 : First MD package soft (Boyd)
1977 : First protein simulation (BPTI in vacuum, McCammon, 8.8 psec)
1980s : CHARMM, AMBER, MM
1982 : First protein simulation in water (BPTI, van Gunstern, 25 psec)
~1990 : Reasonable protein simulation in water
~1995 : free energy calculation of solute in solvent
~2000 : membrane protein simulation
カノニカルアンサンブル(現実系)のシミュレーションの成熟
1995年
1 CPU, 0.1 GHz
0.1 GB memory
1 GB HDD
100倍の性能向上
2004年
10 CPU parallel, 1 GHz
1 GB memory
100 GB HDD
現在: 拡張アンサンブル(仮想系を仲介して現実系を計算する手法)の発展
10
蛋白質の時定数と計算可能な範囲
結合の伸縮振動(vibration of bond)
10-15 sec
10-9
sec
(大き
い
系)
~
10-8
sec
(小さ
い
系)
ドメインの弾性振動(elastic vibration of globular
domain)
10-12 sec
蛋白質表面での側鎖の回転(rotaion of side chains at
protein surface)
10-9 sec
ヒンジーベンド(relative motion of different globular regions)
10-6 sec
10-3
アロステリック転移・ローカルフォールディング(allosteric
transition/local denaturation)
sec
蛋白質フォールディング・薬物ドッキング
(protein folding, receptor-ligand docking)
10-0 sec
10-3 sec
Limit of Canonical ensemble method
Limit of extended ensemble method
蛋白質ー薬物複合体の解離と結合自由エネルギーの計算:
“The filling potential method: A method for estimating the free energy surface for
protein-ligand docking” Yoshifumi Fukunishi, Yoshiaki Mikami, and Haruki
Nakamura : J. Phys. Chem. B. (2003) 107, 13201-13210.
Ligand
Thermolysin
O
H
O
N
O
O
O
O
VAL
O
Zn
Z-L-ASP ligand binding mode
4700 atoms
22
11
Comparison of FP and Experimental results
Initial state: RMSD=0A
Transition state
RMSD=2A
Reaction path
Auto generation
RMSD=5A
z-D/L-Ala and z-D/L-Thr
Calculated by fillpot (kcal/mol)
10
8
6
4
2
0
-2
-2
3
8
Exptl (kcal/mol)
Calculated potential of mean force
For dissociation
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Binding free energy
存在確率=頻度(P)
もっとも簡単な自由エネルギー計算法:ヒストグラム法
MDシミュレーションを行う。
各スナップショットで、原子間距離を計算。
ヒストグラムを作成、その対数がエネルギー。
Free energy (kcal/mol)
PMF of CH4-CH4 in water
G = -kT ln P
分子間距離
1.5
1
pure water
1 NaCl
2 NaCL
4 NaCL
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
3
4
5
6
C-C distance (A)
7
8
24
12
もっとも簡単な自由エネルギー計算法:ヒストグラム法
この図のことをpotential of mean force (PMF)と
呼ぶ。
PMFとは、ある構造、座標にあるときの自由エ
ネルギーをグラフにしたもののこと。
「自由エネルギー面」「自由エネルギープロファ
イル」ともいう。
PMF of CH4-CH4 in water
Free energy (kcal/mol)
存在確率=頻度(P)
MDシミュレーションを行う。
各スナップショットで、原子間距離を計算。
ヒストグラムを作成、その対数がエネルギー。
G = -kT ln P
1.5
1
pure water
1 NaCl
2 NaCL
4 NaCL
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
3
4
分子間距離
5
6
C-C distance (A)
7
8
25
水中での2個の
メタンの相互作用
CH4
CH4
C-C distance(A)
PMF of CH4-CH4 in water
Free energy (kcal/mol)
蛋白質と化合物の結
合エネルギーは10
kcal/molにもなる。
MD計算の間、化合
物は蛋白質に結合し
た状態が、99.999%
以上となり、解離した
状態は通常、決して
観測されない。
そのため、結合エネ
ルギーは常に∞とな
る。
=> 工夫が必要にな
る。
1.5
1
pure water
1 NaCl
2 NaCL
4 NaCL
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
3
4
5
6
C-C distance (A)
7
8
26
13
エネルギー = 力 X 距離
この簡単な関係式は、常に成り立つ。
というのは、エネルギーの距離微分を力と定義しているためである。
自由エネルギー = 分子に働く平均の力 X 距離
分子(蛋白質と化合物)をある位置に置いたとき(状態1)と、
別の位置に置いたとき(状態2)のエネルギー差は、
化合物を状態1から状態2まで、なめらかな経路にそって動かし、
化合物を経路上のある位置に固定して置いたときの、分子に働く平均の力を計算し、
その力を積分すれば、自由エネルギーが求まる。
状態2
状態1
27
滑らかなリガンドの解離経路を作成
計算に用いた系
実験値 -18.3 kcal/mol
計算値 -16.5 kcal/mol
自由エネルギー面を計算
28
14
滑らかなリガンドの解離経路を作成
計算に用いた系
実験値 -18.3 kcal/mol
計算値 -16.5 kcal/mol
自由エネルギー面を計算
29
滑らかなリガンドの解離経路を作成
計算に用いた系
実験値 -18.3 kcal/mol
計算値 -16.5 kcal/mol
自由エネルギー面を計算
30
15
解離状態
自由エネルギー
自由エネルギー面
F(r)
ドッキングスコア
に相当
(ΔGではない)
反応座標
dr
結合状態
結合状態(PB)
ΔG=-kBT log(PB/PU)
解離状態(PU)
存在確率
リガンドの解離経路
反応座標
困難な膜蛋白質のスクリーニングを計算で支援
計算:AQP4に化合物を結合・解離させるエネルギー計算(1週間で4化合物)
Free energy (kcal/mol)
15.0
10.0
5.0
AZA
MZA
SUL
VPA
0.0
-5.0
-10.0
-15.0
0.0
2.0
4.0
6.0
RMSD(A)
8.0
10.0
実験:AQP4を含む膜の水透過性を観測:数年間決着つかず
X線・電顕チーム(藤吉・光岡)
実験
計算
AZA
○
○
MZA
X
△
VPA
X
X
SUL
X
X
32
16
(2:本題)半経験的なΔG計算法
The protein-ligand binding free energy is calculated by exact physical method (FEP,
TI, MP-CAFFE, FP, SRPG methods, and etc.).
ΔG exact calculation : error 1kcal/mol, CPU time 1000-10000 cpu*days.
ΔG ~
-
+
protein
Protein-ligand complex
ligand
COMBINE method: 多くの活性化合物の活性と複合体構造を元に回帰分析を行う手法.パラメー
タはタンパク質を構成するアミノ酸の数だけ必要。
G   wivdW  EivdW    wiele  Eiele 
i
i
LIE(Linear Interaction Energy) method:多くの活性化合物の活性と複合体構造を元
に回帰分析を行う手法(パラメータは静電相互作用とvdW相互作用の2つ (α, β))
G     EivdW      Eiele 
i
In vacuum
i
(2:本題)半経験的なΔG計算法
The protein-ligand binding free energy is calculated by exact physical method (FEP,
TI, MP-CAFFE, FP, SRPG methods, and etc.).
ΔG exact calculation : error 1kcal/mol, CPU time 1000-10000 cpu*days.
ΔG 感覚的には、ΔGは、タンパク質と化合物の間の相互作用の平均値と
~
もいえるが、統計物理学では、
系A-B間の自由エネルギー差は、分配関数Zを用いて
-
+
ΔG=-kT ln (ZA/ZB), Z = Σ n( E)*exp(-E/kT)
なので、「ΔG=タンパク質と化合物の間の相互作用の平均値」なんて
式はない。
protein
Protein-ligand complex
ligand
COMBINE method: linear regression based on protein-ligand interaction(<E>). Usually,
PLS regression is used.
G   wivdW  EivdW    wiele  Eiele 
i
i
LIE(Linear Interaction Energy) method: linear regression based on proteinligand interaction (usually, two parameters (α, β) are used)
G     EivdW      Eiele 
i
i
In vacuum
17
(2:本題)半経験的なΔG計算法
Direct Interaction Approximation (DIA) method
Free energy difference between systems A and B is given by ΔU(=UA-UB)
Zwanzig’s equation (1950)
Free energy difference (G)= -kb*T ln <exp(- ΔU/(kB*T)) >B
Here < > stands for trajectory average of system B.
The other formula is given by Kubo’s cumulant expansion (1960).
Free energy diff (G )  U 
1

 (U   U ) 2 
2 k BT
The 1st term corresponds to LIE.
久保のキュムラント展開をする
と、もっともらしい形になる。

1
 (U   U ) 3 
6(k BT ) 2

1
 (U   U ) 4   
24(k BT ) 3
35
(2:本題)半経験的なΔG計算法
 (U   U ) 2  U 2  2U  U    U  2 
 (U b  U u ) 2  2(U b  U u )  U b  U u    U b  U u  2 
 U b2  2U bU u  U u2  2U b  U b  2U b  U u  2U u  U b  2U u  U u  
 U b  2 2  U b  U u    U u  2 
when
 U bU u  U b  U u 
こういう仮定を置くと式が簡単になる
then
 (U b   U b ) 2    (U u   U u ) 2 
 (U   U ) 2 
結合状態のエネルギーUbの平均は「bound」状態のMDで、
解離状態のエネルギーUuの平均は「unbound」状態のMDで
計算して良いことにする。
 (U b   U b ) 2  b   (U u   U u ) 2  u
G  U b  b   U u  u
LIE
1

{ (U b   U b  b ) 2  b   (U u   U u  u ) 2  u }
2k B T

1
{ (U b   U b  b ) 3  b   (U u   U u  u ) 3  u }
6(k B T ) 2
Ub and Uu mean Ubound and Uunbaund, respectively.
36
18
(2:本題)半経験的なΔG計算法
1st term: LIE
G  U b  b   U u  u
2nd term: fluctuation
1

{ (U b   U b  b ) 2  b   (U u   U u  u ) 2  u }
2k B T
3rd term: symmetry
1

{ (U b   U b  b ) 3  b   (U u   U u  u ) 3  u }
6(k B T ) 2
3rd term: symmetry
2nd term: fluctuation
1st term: average
37
(2:本題)半経験的なΔG計算法
ΔG definition
G  H  TS solvent  TS compound  TS protein
LIE
G   ( E vdW RL  RL   E vdW S  L  SL )   ( E ele R L  RL   E ele S  L  SL )
R-L: receptor-ligand interaction
S-L: water solvent-ligand interaction
LIE: when no solvent
G    E vdW RL  RL   E ele RL  RL
系の揺らぎ
DIAV method
G     E vdW (i )      E ele (i )     S x S 項は、ΔG 精度を平均
i
0.5 kcal/mol 改善した.
i
i: i-th residue
DIAS method
G     E vdW (i )      Emod (i )     S x
ele
i
i
i: i-th residue 有効誘電率を考慮
ele
Emod
(i)   i  E ele
j (i )
j


( Fi real  Fi real )
 i   real  vac
( Fi  Fi )
38
19
LIEでのΔGの計算
ΔG definition
G  H  TS solvent  TS compound  TS protein
LIE
G   ( E vdW RL  RL   E vdW S  L  SL )   ( E ele R L  RL   E ele S  L  SL )
R-L: receptor-ligand interaction
S-L: water solvent-ligand interaction
LIE: when no solvent
G    E vdW RL  RL   E ele RL  RL
ΔG ~
-
+
タンパク質と化合物の相互作用
化合物と水の相互作用
タンパク質ー水の
相互作用は無視
(2:本題)半経験的なΔG計算法
ΔG definition
G  H  TS solvent  TS compound  TS protein
LIE
G   ( E vdW RL  RL   E vdW S  L  SL )   ( E ele R L  RL   E ele S  L  SL )
R-L: receptor-ligand interaction
S-L: water solvent-ligand interaction
LIE: when no solvent
G    E vdW RL  RL   E ele RL  RL
系の揺らぎ
DIAV method
G     E vdW (i )      E ele (i )     S x
i
DIAS method
S 項は、ΔG 精度を平均
0.5 kcal/mol 改善した.
i
i: i-th residue
G     E vdW (i )      Emod (i )     S x
揺らぎの項:Sは、ΔSになっていない。
i
i
本来なら結合状態と解離状態でのSの差=ΔSのはず。
i: i-th residue
間違っているのに、なぜか、これでうまく行くことが多い。
50例近く適用してみて、Sを導入すると精度が上がる。


ele
Emod
(i)   i  E ele
( Fi real  Fi real )
j (i )
 i   real  vac
j
ele
( Fi
 Fi
)
40
20
(2:本題)半経験的なΔG計算法
有効誘電率は、場所によって異なる
In protein
有効誘電率=2
In water
有効誘電率=78.5
H
O
H
N
O
H
N
O
O
N
O
O
Weak
interaction
Strong interaction
page41
(2:本題)半経験的なΔG計算法
ΔG definition
G  H  TS solvent  TS compound  TS protein
LIE
G   ( E vdW RL  RL   E vdW S  L  SL )   ( E ele R L  RL   E ele S  L  SL )
R-L: receptor-ligand interaction
S-L: water solvent-ligand interaction
LIE: when no solvent
G    E vdW RL  RL   E ele RL  RL
系の揺らぎ
DIAV method
G     E vdW (i )      E ele (i )     S x
i
i
S 項は、ΔG 精度を平均
0.5 kcal/mol 改善した.
i: i-th residue
DIAS method
G     E vdW (i )      Emod (i )     S x
ele
i
i
結果的には、有効誘電率はあまり重
要ではなかった
E
ele
mod
有効誘電率を考慮
(i)   i  E (i)
ele
j
j
i: i-th residue


( Fi real  Fi real )
 i   real  vac
( Fi  Fi )
42
21
(2:本題)半経験的なΔG計算法
The result was obtained by 2-nsec MD simulation.
CPU time was 1-10 day*CPU.
Average error:1.5 kcal/mol (DIAV method)
0
3
Calculated G (kcal/mol)
-2
2
1
-4
0
-6
-1
1stp
0
5
10
15
-2
-8
-3
-4
-10
-5
-6
-12
-7
-8
-14
GBSA result
-16
-18
-20
-15
-10
-5
0
Experimental G (kcal/mol)
43
(2:本題)半経験的なΔG計算法
Application to hERG inhibition
10
10
2
Docking score
R = 0.282
9
8
8
7
7
6
6
5
5
4
4
3
3
2
2
1
1
Glide
R2 = 0.0465
9
0
0
500
1000
1500
2000
2500
Sievgene0-7.00
-6.00
-5.00
-4.00
-3.00
-2.00
DIAV result
exptl
calc
44
22
Calculated DG (kcal/mol) Calculated DG (kcal/mol)
(2:本題)半経験的なΔG計算法
リガンドの配座エントロピー
0
0
2
4
6
8
10
-2
12
Exptl pIC50
Without ligand entropy
-4
-6
R² = 0.0017
-8
-10
-12
自由なリガンドは t/g+/g- conformer を持つ.
結合時に、リガンドの配座が固定される.
Exptl pIC50
0
0
2
4
6
8
10
12
-1
-2
-3
With ligand entropy
-4
-5
-6
-7
R² = 0.4159
-8
ΔGnew = ΔG3 + Nrb * kT *ln (3.0)
45
結論
ドッキングスコア:error ~2.5 kcal/mol
MD トラジェクトリー平均
ドッキングスコアのMD トラジェクトリー平均:error ~2.0 kcal/mol
LIE (α、βパラメータ固定): error ~2.0 kcal/mol
G   ( E vdW RL  RL   E vdW S  L  SL )   ( E ele R L  RL   E ele S  L  SL )
DIA 法(系の揺らぎ、 α、βパラメータ固定): error ~1.5 kcal/mol
Fluctuation of system
G     E vdW (i)      E ele (i)     S x
i
i
DIA 法(揺らぎ、リガンドエントロピー、残基の重みづけ): error ~1.2 kcal/mol
Ligand entropy
&
残基重みづけ
GDIAV _ LW    exp(  H i )  E vdW (i)     exp(  H i )  E ele (i)     S x  TSligand
i
i
LIE/COMBINE パラメータを標的タンパク質に最適化
統計力学的に厳密な手法
: error ~1.0 kcal/mol
46
23
観測する系が大きくなるほど興味ある時定数が長くなる
(The bigger the system, the longer the time scale)
=> シミュレーション計算時間(系の大きさX時定数)の爆発
1015
時間
109
単位:秒(second)
105
宇宙:寿命(Universe, period of universe)
地球:公転周期
(The earth, 1year)
人間:1日(human, 1day)
103
細胞:細胞分裂(Cell, cell cycle)
100
蛋白質protein:folding
10-9
10-15
ペプチド:構造変化(peptide, folding)
原子・分子:化学反応(molecule, chemical reaction)
100
102
104 1015 1025
1040
原子数:個(No of atoms)
10100
シミュレーション手法のパラダイムシフト
(paradigm shift of simulation method)
従来のカテゴリー:系の大きさに応じた理論分野
①ミクロ:原子・分子の計算:量子化学計算
②ミクロ:生体分子の計算:分子動力学法
③マクロ:気体・流体・建物の計算:流体力学、弾性体力学
メソスケール
マルチスケールの手法
(ミクロとマクロの中間)の手法
(Mesoscopic simulation)
・格子ボルツマン法・格子気体法など
Multi-scale simulation
・QM/MM法、SCRF法
・GB/SA法など
近似的な方法で解く
流体などの
素片を粒子の
ように扱う
精密な方法で解く
24
作動薬Formoterol結合型GPCRのへリックスの動き
遮断薬Carazolol結合型GPCRのへリックスの動き
タンパク質全体の動き:7本のへリックスのRMSDの時間変化。
若干、遮断薬結合型の方(上)が、構造のゆらぎが作動薬結
合型(下)より大きくなっているように見え、化合物の機能に
よってGPCR全体に構造変化が起こることが観察された???
薬物分子
ここの水分子の配置が機能を決めるらしい
49
薬物結合エネルギーを単一の分子シミュレーションでは計算できない
結合エネルギー
= 12 kcal/mol
結合状態
エネルギー
解離状態
結合状態:次状態
= 103 : 1
103 : 1
103 : 1
103 : 1
結合状態:解離状態
= 1012 : 1
絶対的に、
1分子の観測で、この比率
を計算するには
1012 ステップ以上必要。
(現実には107-8 ステップ
が限度)
場所によって存在比が
103 : 1 程度は
容易に計算できる。
=容易に実行できる計算の
組み合わせ
page50
25
分子動力学計算により蛋白質―リガンドの結合自由エネルギー(ΔG)の計算
に成功(2003年)
Filling-potential法による結合自由エネルギー見積もり
ポテンシャルを埋めて分子が動けるようにする方法:埋めたポテンシャルの深さ=結合自由エネルギー
解離状態 結合状態
エネルギー
結合状態
解離状態
結合状態
解離状態
ΔG*?
ΔG?
MD計算の軌跡より
埋めるべきポテンシャルを予測
MD計算の軌跡より
埋めるべきポテンシャルを予測
h2
h1
ポテンシャル平滑化
ポテンシャル平滑化
ΔG* <= 統計処理 <= h1 + h2
page51
エネルギー
Weighted Histogram analysis: Filling-potential (FP) method
Free energy surface : 未知
既知のもの
> リガンドの座標分布
> 加えたポテンシャル
存在確率
エネルギー
(1)リガンド座標分布から加えたポテン
シャルの影響を引く
(2) リガンド座標の分布をつなぎ合
わせる
Free energy surface
結合状態
解離状態
E
結合状態
解離状態
WHAM: A. M. Ferrenberg and R. H. Swendsen, Phys. Rev. Lett., 61, 2635 (1988)
26
Example: Free energy calculation of thermolysin + inhibitor
“The filling potential method: A method for estimating the free energy surface for protein-ligand
docking” Yoshifumi Fukunishi, Yoshiaki Mikami, and Haruki Nakamura
J. Phys. Chem. B. (2003) 107, 13201-13210.
Ligand
Thermolysin
O
H
O
N
O
O
O
O
VAL
O
Zn
4700 atoms
Z-L-ASP ligand binding mode
53
②G: リガンド結合自由エネルギー変化の算出
エネルギー
z-D-THR
z-L-THR
G(L-D)
z-D-ALA
z-L-ALA
G(L-D)
exptl calc1 calc2 calc(avg)
3.22 2.97
4.1
3.5
5.91 5.31
6.2
5.8
2.69
2.3
2.98 2.86 -1.49
0.685
5 2.83
2.8
2.8
2.02
2.12
z-D/L-Ala and z-D/L-Thr
エネルギー面に障壁がある
エネルギー
Calculated by fillpot (kcal/mol)
10
8
6
4
2
0
-2
結合状態
解離状態
-2
3
8
Exptl (kcal/mol)
J. Phys.Chem.B (2003)107,13201-13210 Y.Fukunishi, Y.Mikami, H. Nakamura
27
Filling potential法(重複ヒストグラム法)がうまく行かない理由
エネルギー
分子をピン
止めする力
分子の
存在分布
分子をピン
止めする力
ヒストグラム法で自由エネルギーが計算できない
結合状態
解離状態
自由エネルギー面が既知なら対処できるが、
未知の場合、困難
ヒストグラム法で自由エネルギーが計算できる
分子の
存在分布
SRPG法で薬物吸着・解離の自由エネルギー面を書く
滑らかなリガンドの解離経路を作成
精密だが手間がかかり、
誰でもできるわけでない
エネルギー
計算に用いた系
実験値 -18.3 kcal/mol
計算値 -16.5 kcal/mol
自由エネルギー面を計算
56
28
自由エネルギー
解離状態
F(r)
自由エネルギー面
ドッキングスコア
に相当
(ΔGではない)
dr
反応座標
結合状態
結合状態(PB) 解離状態(PU)
ΔG=-kBT log(PB/PU)
存在確率
リガンドの解離経路
反応座標
一見もっともらしいが・・・
困難な膜蛋白質のスクリーニングを計算で支援
計算:AQP4に化合物を結合・解離させるエネルギー計算
Free energy (kcal/mol)
15.0
10.0
5.0
AZA
MZA
SUL
VPA
0.0
-5.0
-10.0
-15.0
0.0
2.0
4.0
6.0
RMSD(A)
8.0
10.0
実験:AQP4を含む膜の水透過性を観測:数年間決着つかず
X線・藤吉電顕チーム
実験
計算
AZA
○
○
MZA
X
△
VPA
X
X
SUL
X
X
58
途中まで検討・構造が良く分からず、結果は不明
29
計算化学での熱平衡状態とは
エネルギー等分配則が適用でき、
エネルギーEの状態の確率=P ∝ exp(-E/kBT)
合計N個の粒子があり、エネルギーは離散的にε1,ε2, ε3・・・といった値をとるとする。
N個の粒子のエネルギーの合計はEとして、もっとも確率の高い(場合の数の多い)エネルギー分布はど
うなるだろうか?
N個の粒子をエネルギーレベルiにni個づつ詰めていく場合の数Pは
N   ni
i
E    i ni
P
i
ε6
N!
n1!n2!n3! nm!
離散的な数字は扱いにくいので、Nが無限に多いとしスターリングの式をあてはめる。
ε5
log P  N ln N   ni ln ni
log N!  N log N  N
ε4
i
このlogPを、粒子総数N,総エネルギーEという条件つきで最大にするniを求める。
ラグランジュの未定定数法で、未定定数λ1とλ2を導入し、
ε3
H  log P  1  ni  2   i ni
ε2
ε1
i
i
niについて微分をとって、最大値を与えるniではHの微分は0だから、
とすると、 0   ln ni  2 i
H
1
0
  ln ni  ni  1  2 i
ni
ni
 はなんでも良くて
1  1
これを解くと( 1/ 2をボルツマン定数と置く):
ni  exp(2 i )  exp(  i / k BT )
温度制御で、自由エネルギーも変わる:平衡化までの時間が違う
ガウス拘束法
(フィードバック制御)
Free energy (kcal/mol)
計算時間は有限
各手法で、平衡化ま
での時間が異なる
能勢-Hoover拘束法
(現実系+仮想粒子)
30
25
20
15
SHAKE FMM
10
SHAKE FMM2
Nose_1
5
Nose_2
0
0
5
全体の雰囲気は似ているが
IC50/%阻害値に換算すると1000倍の差になる
10
RMSD(A)
15
20
25
60
30
CUT-OFF法
(cut-off内のみ計算)
静電場(クーロン力)の計算
+ +
+ + +
+ - + - +
-
+ +
+ + +
+ - + - +
+
+ +
- -
近傍を選ぶ
全部計算する
(No cut-off)
+
+ +
- -
+
+ +
- -
RF/Wolf/ZM法
(cut-off内は正確に、
外は静電遮蔽連続体近似)
FMM/PME法
(cut-off内は正確に、
外はダイポールなどで近似)
クーロン力の近似を変えると、自由エネルギーも変わる
25.0
全体の雰囲気は似ているが
IC50/%阻害値に換算すると1000倍の差になる
Free energy (kcal/mol)
20.0
15.0
10.0
5.0
FMM
WF_20
WF_10
CUT_10
0.0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
RMSD (A)
厳密な手法は時間がかかり、MD計算が短くなるため精度が下がる
62
31
エネルギー
エネルギー
Cut-off法
CHARMMの
Cut-0n/cut-off法
25.0
原子間距離
Free energy (kcal/mol)
Free energy (kcal/mol)
原子間距離
25.0
20.0
20.0
15.0
FMM
15.0
FMM2 FMM
10.0
WF_20
WF_20WF_10
10.0
CUT_10
WF_10
5.0
5.0
0.00.0
0.00.0
Charmm_10
Charmm_16
5.0
5.0
10.0
古典的手法もやや悪いが、結果は似たり寄ったり
RMSD (A)
10.0
15.0
20.0 15.0
25.0
20.0
RMSD (A)
25.0
63
水の付加を変えると、自由エネルギーも変わる
水不足=
ポケット内に吸い
込まれる
水過多=
ポケット内から押し出
される
結合状態
解離状態
32
水の付加を変えると、自由エネルギーも変わる:GPCRの例
ポケット内
水2個
M3-ligand PMF
Free energy (kcal/mol)
40
30
ポケット内
水10個
20
10
0
-10
-20
-30
-40
系列1
系列2
系列3
系列4
5
10
15
20
ポケット内
水20個
-50
結合状態
25
解離状態
位置 RMSD(Å)
65
自由エネルギー kcal/mol
結晶水の位置を18%予測する
水分子付加ソフトを使って、
水の初期座標を算出した場合
結晶水の位置を75%予測する
水分子付加ソフトを使って、
水の初期座標を算出した場合
18
結晶水の位置が18%予測
40
20
0
0
5
10
15
20
25
-20
-40
系列7
系列8
系列9
系列10
系列11
系列12
系列1
系列2
系列3
系列4
系列5
系列6
位置 RMSD(Å)
30
パラメータ依存で、±50kcal/mol
もぶれる
30
自由エネルギー kcal/mol
0
16
14
12
10
8
6
4
2
0
0
10
20
30
位置 RMSD(Å)
ほぼ実験値に近い値が得られる
66
33
ハロゲン原子は、医薬品の3割が含有している
0°~ 60°
120°~180°
3.3Å
ハロゲン(Cl, Br, I)は、マイナス電荷のO/Nと結合する
ハロゲン(Cl, Br, I)は、π電子と結合する
page67
ハロゲン原子モデルの改良:2点電荷モデル
ハロゲン
(負電荷)
マイナス電荷を帯びている
ハロゲンは、電気的に反発
するはずのマイナス電荷
の原子と結合しやすい。
酸素
(負電荷)
ハロゲンを2つの点電荷(+
とー)で表現する。
Cl δ+
δ-
ΔGDIAV_LC 1000psec /kcal ・mol-1
新しい2点電荷モデルでは結
合エネルギーを再現できる
通常の古典力場では結合エ
ネルギーをまったく再現しない
-5
-6
-7
-8
-9
-10
-11
-12
-13
-13
-11
-9
-7
-5
Exptl ΔG value
34
ハロゲン原子モデル:一見、うまくいったかに見えるが
180°直線状に3原子
3原子のなす面が
定義できない
ハロゲン
(負電荷)
酸素
(負電荷)
C
+
Cl
計算技術上、ゼロ割発生
3点が直線に乗る分子計算は計算でき
ない(手法はあるが時間かかる)
通常の古典力場では結合エ
ネルギーをまったく再現しない
ハロゲンを2つの点電荷(+
とー)で表現する。
Cl δ+
δ-
ΔGDIAV_LC 1000psec /kcal ・mol-1
新しい2点電荷モデルでは結
合エネルギーを再現できる
-5
-6
-7
-8
-9
-10
-11
-12
-13
-13
-11
-9
-7
-5
Exptl ΔG value
化合物原子のローンペア電子モデル化による金属酵素のモデリング改善
金属に結合する分子のパターン(1)
金属酵素への医薬品の配位
金属に結合する分子のパターン(2)
医薬品に見られる金属錯体
70
35
金属の扱いで本質的に困難なこと
酵素の30%に見られる
DIAV_LW
0.5
0
-12
-10
-8
-6
-4
-2
0
R² = 0.2625
-0.5
-1
DIAV_LW
線形 (DIAV_LW)
-1.5
-2
-2.5
X線構造解析
分子シミュレー
ション
人体の酵素(創薬標的)の
30%は金属酵素。しかし通常
の分子シミュレーションで再
現不能(スパコン京でも無理)
キナーゼでの例
B Chain
A Chain
36
丁寧な計算をしないと、まともな構造は得られない。(金属の周辺の電場が強力)
初期配座が悪いと構造は不正になる
GTP
Mg2+
MIN
MD1
MD2
GPUを使った丁寧な計算・力場検討
ヒット化合物数(%ないし個数)
データベースエンリッチメントカーブ
良い!
悪い
薬物スクリーニング
ヒット率
購入化合物数(%ないし個数)
薬物スクリーニングで順位づけした
化合物を上位から何%購入したら、
本来データベースに含まれていた
ヒット化合物を何%を見つけられたか
を示す。
ヒット率=ヒット数/購入化合物数x100(%)
page74
grou
p
file_name
c001
c001
mts
mts_score
SUPPLIER
0006240-01
1
-2.0627
Ambinter
0020411-01
3
-2.0674
Ambinter
c001
0013395-01
4
-2.0611
Ambinter
c001
0020413-01
5
-2.0663
Ambinter
c001
0013566-01
6
-2.0617
Ambinter
c001
0002135-01
7
-2.0683
Ambinter
c001
0020501-01
8
-2.0617
Ambinter
c001
0022138-01
9
-2.091
Ambinter
c001
0022583-01
10
-2.0709
Ambinter
c001
0021187-01
11
-2.0647
Ambinter
c002
0103033-01
2
0.2702
Aronis
37
In silico薬物スクリーニングの標的依存性
激しいヒット率のばらつき
半分の標的タンパク質にしか
計算が使えない
G.L.Warren, et al., J. Med. Chem. (2006) 49:5912-5931.
page75
メタロプロテアーゼとその阻害剤に適用してみると
100
No of hits(%)
80
random
1lna MTS
1lna
masc
ch=2.25
40
MTS
ch=2.25
masc
20
ch=2.5
MTS
0
ch=2.5
0
20 40 60 80 100
masc
ch=3.0
No of compounds(%)
MTS
ch=3.0
masc
メタロプロテアーゼなどで成績が非常に悪い。
60
O
O
Zn++
C
C
N
N
OH
H
O-
H
金属を含む場合の化合物ローンペアが、問題。
2015年末にOPLS3が発表され、初めてローンペア・ハロゲンσホールが取り込
まれたが、一般の力場(AMBER)と数式が異なる。
page76
汎用のAMBER力場へのローンペア・σホール取り込みを行う。
38
化合物原子のローンペア電子モデル化による金属酵素のモデリング改善
通常の古典力場
ローンペア(L)を付加
した新しい力場
ローンペア電子
Zn++
通常の古典力場
通常の分子シミュレーションで
再現不能(スパコン京でも無理)
X線構造解析
ローンペア(L)を付加した
新しい力場で正しく再現
ただし活性予測不能
精密分子設計の開発へ
まとめ
25.0
世界中で研究されている。
ここ数年で次第に改善されていく。
Free energy (kcal/mol)
方程式
静電場計算
20.0
15.0
10.0
手法を揃えてやればデータ比較可能
5.0
0.0
0.0
5.0
10.0 (A)15.0
RMSD
水の付加
20.0
やり方は分かる。
1年後 実用化(皆に使ってもらえる)
ただし、より精緻な方法は別途、考えられる
ハロゲン
の扱い
金属
の扱い
Cl δ+
δ-
やり方の方向性は分かるが、パラメータが未定
数年後には、実用化(皆に使ってもらえる)
○構造の再現:
やり方の方向性は分かるが、パラメータが未定
数年後には、実用化(皆に使ってもらえる)
○活性値:計算の仕方が分からない
39
技術は30年で成熟する
計算技術は全て商用化されてきた。
計算・創薬化学は?
MDシミュレーション
零戦(1939)
ライトフライヤー(1903)
CHARMM (1983)
? (2013)
薬物ドッキング
DOCK (1983)
? (2013)
薬物スクリーニング
ENIAC (1946)
Cray-1 (1975)
UNIX (1971),
CP/M (1976)
Linux(2001),
WindowsXP(2001)
1990
2020
欧米では全て商用化成功
次の発展「精密な分子設計」に向かう
日本では計算化学が健全な
発展ができなくなっている
基礎研究
国家プロジェクト
30年
商用化
社会の利益
日本には、まともな「バイオIT」の会社が1つもない
光線過敏性皮膚症
日光照射によって発生あるいは悪化する皮膚疾患の総称.
● 外因性(薬剤など)と内因性(遺伝疾患や代謝疾患など)がある.
● 外因性で発症する機序は,薬剤の直接作用によるもの(光毒性皮膚炎)と免
疫学的機序を介するもの(光アレルギー性皮膚炎)に大別.
● 内因性で発症する疾患には色素性乾皮症(遺伝性)など.
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分子の励起は結構起こる。トリボ発光実験
固体のまさつ
手で、切断されて分子は光るのか?
摩擦のエネルギーで光るのか?
分子が摩擦で励起されるとする
と、青く光りそうではある
-1.83 – (-5.906)=4.07 eV
ガムテープの発光:アクリル樹脂
ガムテープをはがすとX線も発生するため、レントゲン写真も撮れる。
分子の光励起のしやすさ・光分解のしやすさは、光アレルギーの程度に影響す
る。
光で分解された分子がタンパク質に結合(ハプテン形成)、これを異物として免
疫が感知し、アレルギー症状が引き起こされる。
41
放射線・紫外線修復機構
生物は、数十億年放射能とともに生きてきたので、放射能に対する修復機構もある。
NBS1
RAD18
P53
RAD50
CHK1
紫外線照射を受けるとNBS1がRAD6に代わって
RAD18ユビキチン酵素と結合、そして紫外線による損
傷部位にRAD18ユビキチン酵素をリクルートする(図
3)。これにより、損傷部位で、通常のDNA複製酵素か
ら損傷乗り越え型酵素Pol etaへの交換が起こり損傷乗
りこえ合成が開始する。
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文献
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*※:ネット上で無償入手可能
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43
YouTubeで“MolDesk“を検索すると使用例の動画が複数ある
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MolDesk インストール
(1)インストーラーをクリック
(2)MolDesk をクリック
(3)Help ->
Activate License をクリック
(4)Choose license file ->
ライセンスファイルをクリック
「開く」で読み込み
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MolDesk タンパク質 PDB ファイル読み込み
ファイルセレクショ
ン画面で、入力し
たいファイルを選
択します。
[File] - [Open Molecular File]
sample - pdb にある
4KN6.pdb を読み込む
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MolDesk:タンパク質の水中MDをとりあえずやってみる。
Dynamics タブを押す
Auto Solvate and Dynamics を押す
後は、適当に数回クリックするだけ
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MolDesk:タンパク質に化合物をドッキングする
[File] - [Open Molecular File]
1m17_protein.pdb を読み込む
pro1 をクリック
[Add Hydrogens] をクリックして
、タンパク質全体の欠落している水素
原子を付加します。
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初めに、
[Dock] タブをクリック
[Insert from File] により、化合物のファイルを
入力します。
sample – mol2 にある ERLOTINIB.mol2 を読む
[mouse] を選択すると、クリックした点に化合物を置く
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lig 2 をクリック
[Add Hydrogens] をク
リックして、化合物全体の
欠落している水素原子を
付加します。
[Partical Charge] をク
リックして、MOPAC AM1
で各原子に電荷を生成
します。
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タンパク質
Pro1
をクリック(選ぶ)
[Make Pocket] を
クリックします
x = 21.214
y = 2.627
z = 55.68
を入力して [OK]
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47
[Dock] をクリックします
レセプター
pro 1
をクリックして [OK]
One ligand のまま
クリックして [OK]
化合物
lig 2
をクリックして [OK]
このまま [OK] をクリックして、ドッキング
計算スタート
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結果の確認
(1)化合物とタンパク質との表面の
相補性
(ぴったりはまっているか?
「ぴったり」が良い)
(2)化合物とタンパク質との疎水性
部分の接触が広いか?
(広いのが良い)
(3)化合物とタンパク質との水素結
合。
(数が多いのが良い)
スコアは上の方に隠れていて見えないの
で上にスクロールする
(4)ドッキングスコアとΔG
(値が負の数で大きいのが良い。
スコアは < -4 くらいが良い。
dGは < -10 kcal/molくらいが良い
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タンパク質と薬物分子の相互作用の見方
①水素結合の形成
②疎水性の接触
③立体的にぴったりはまっているか
の3点を主にチェックする
不慣れな人の練習用
(1)ネットで”PDBsum”を検索。
(2)標的タンパク質のPDB IDを入れる
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(3)“Ligands”をチェックすればLIGPLOTの結果が見れる
★ただし、自分で立体構造見ないと、理解は深まらず、分子設計はできない
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