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第6章 介護保険制度の適切な運営の確保(PDF形式:318KB)
第6章 介護保険制度の適切な運営の確保 第1節 介護・福祉人材の確保・定着の取り組み <現状と課題> ① 介護人材の現状 ○ 平成 22 年7月末現在の兵庫県の介護関係職種の有効求人倍率は 1.55 倍と、 県内全産業が 0.44 倍という状況の中、人材不足の状況が続いています。 ○ 厚生労働省が行った平成 21 年度介護労働実態調査結果では、正社員の1 年間の離職率は、訪問介護員は 14.5%、介護職員で 16.2%であり、非正社員 の 1 年間の離職率は、訪問介護員は 12.6%、介護職員で 23.6%となっていま す。また、離職者の 75.6%(訪問介護員、介護職員の合計)が3年未満で離 職しています。現在の仕事を選んだ理由では、58.2%が働きがいのある仕事 だからと回答しています。一方、労働条件等の不満としては、賃金が低い、 人手が足りない、社会的評価が低いなどがあげられています。 ○ 平成 19 年8月に見直された国の福祉人材確保指針において、人材確保の ために国、地方公共団体、事業者、国民のそれぞれの役割が明示されており、 市の役割は個々の経営者では対応が困難な人材確保の取り組みとして、広報 による介護サービスの意義の啓発、従業者研修、相談体制の整備などがあげ られています。 ② 神戸市の取り組み ○ 神戸市は、「神戸市民福祉大学」において、社会福祉施設従事者等を対象 とした研修を開催しています。また職種別研修等を実施する「神戸市介護サ ービス協会」に運営補助を行うなど、介護従事者の資質向上を支援していま す。 ○ また、兵庫労働局、兵庫県などの関係機関・団体との連携を深めるととも に、社会福祉法人などが人材育成のためのネットワークを構築することの支 援や、施設で勤務している職員のキャリアアップの仕組みづくりとして、技 術講習や課題研究を行う合同研修「スキルアップ・福祉の仲間づくり研修会」 の実施、若い世代へ介護の仕事の魅力や意義を理解してもらうため、中学生 を対象に、介護施設の職員等による出前授業を実施し、介護の仕事をPRす ることにより、介護の仕事の意義の啓発とイメージアップに取り組んでいま す。 ③ 今後の課題 ○ 今後、介護保険サービス利用者の増加にともなう介護人材需要を見据え た介護人材の確保・定着のためには、今働いている人が働き続けられるよ うにしたり、潜在的有資格者が介護分野に復帰しやすくしたりするため、 - 64 - 事業者においては雇用管理の向上などに努める必要があります。 ○ 神戸市においても介護人材の確保が重大な課題であるとの認識のもと、高 齢者保健福祉施策の実施者として、また、地域に一番身近な市としての立場 から、国・県・事業者などと連携し、介護人材の確保・定着に向けた取り組 みを進めていく必要があります。とりわけ介護分野の社会的評価の向上を図 り、事業者の人材確保の取り組みを支援していく必要があります。 <施策目標> ① 民間事業者と連携した介護従事者の確保・定着対策の実施 ○ 介護人材不足解消や離職率の改善を図るため、介護従事者の処遇改善施策 の継続実施を引き続き国に働きかけていきます。 ○ 介護人材の量的確保に向けて潜在的有資格者の再就職の支援など県の施 策と連携し、市としても潜在的有資格者のほりおこし事業の実施など、積極 的に取り組んでいきます。 ② 介護分野の社会的評価の向上 中学校での講習会開催、施設体験受入れ事業等の拡大など義務教育課程 における職業教育で介護分野をとりあげられるよう積極的に働きかけます。 また、事業所におけるキャリアラダーの仕組みづくりを事業者団体等に要 請し、その実施について協力していきます。 - 65 - 第2節 介護給付適正化の取り組み 1.要介護認定の適正化 <現状と課題> ○ 認定調査の集約化を図るとともに、委託先検査や認定調査員の研修等を実 施して、適正化を図っています。また介護認定平準化委員会を設置して、認 定審査会における審査判定の適正化及び平準化に取り組んでいます。 ○ 認定調査の精度を高めるために委託先検査や調査員研修を実施していま すが、指定居宅介護支援事業者および介護保険施設については、調査員の異 動が多いために指導効果が上がりにくいという問題が生じています。 ○ また利用者それぞれの心身状況や要介護度に応じて必要なサービスが適 切に利用できるよう、公正・公平な要介護認定が求められています。そのた め審査判定の根拠となる認定調査や主治医意見書の精度を高めるとともに、 審査判定の適正化及び平準化を図る必要があります。 <施策目標> ○ 認定調査員に対する研修を充実させるなど認定調査の適正化に努めます。 ○ 審査判定のよりいっそうの適正化を図るため、介護認定審査会委員に対し、 全体研修や合議体ごとの研修、事例検討などを実施し、審査判定方法におけ る審査のポイントの明確化を図っていきます。また認定審査会の委員で構成 される介護認定平準化委員会で、審査判定が適正に行われるよう、研修方法 や平準化への取り組みを検討していきます。 2.ケアマネジメントの適切化 <現状と課題> ○ 平成 20 年6月よりケアプランチェックを開始しており、ケアプラン作成 者に対して、利用者の自立支援に向けたケアプランになるよう、個別指導や ケアプラン研修を実施するほか、ケアプラン支援に関する記事をホームペー ジに掲載しています。 ○ ケアプランチェックを通じて見られた傾向について、研修を充実させ伝達 しています。また、マニュアルの配布や研修資料のホームページへの公開、 個別相談などによりケアプランの適正化を支援しています。今後、新たな制 度や課題にも対応した、更なるケアプランの適切化に取り組む必要がありま す。 <施策目標> ○ ケアマネジャーに対して個別指導を行うとともに、事業者集団指導や研 修会の場においてもケアマネジメント能力の向上に努めていき、市民、利 用者の信頼を高めていきます。 - 66 - ○ 国民健康保険団体連合会のシステムを活用したケアプランチェックを実 施していきます。 ○ 国の動向に注視しながら、新たな制度や課題等にも対応したマニュアルの 作成・配布や研修を実施し、更なるケアマネジメントの適切化に努めていき ます。 3.事業者のサービス提供体制及び介護報酬請求の適正化 <現状と課題> ○ 平成 18 年度に市に事業者指定・指導及び監督権限が付与された地域密着 型サービス事業者に対する実地指導に重点的に取り組んでいます。また、立 入調査権を活用し、人員・設備や運営基準違反、不正請求の疑いが認められ た事業所に対して県と合同で監査を実施しています。 ○ 依然として一部事業者による不適切なサービス提供や人員・運営基準違反 等が見受けられ、不適切なサービスの是正や全般的なサービスの質の向上、 不正防止のための取り組みが極めて重要な課題となっており、介護保険事業 の適正な運営のためにも、更なる指導の強化が求められています。 ○ また、高齢者の健康危機管理対策について、今後関係機関と連携しながら、 施設管理等において事業者の適切な対応が可能となるように検討します。 <施策目標> ○ 引き続き地域密着型サービス事業者に対する実地指導に重点的に取り組 み、適正な事業運営の推進を図ります。また、事業者の不正等への対応につ いて、今後も県と連携を密にして機動的に合同監査を実施することにより、 事業者監査体制の強化を図っていきます。 - 67 - 第3節 相談体制・情報提供機能の充実 1.相談対応の充実 <現状と課題> ○ 現在、区役所やあんしんすこやかセンターなどで高齢者に対する一般的な 相談を行っているほか、こうべ安心サポートセンター等において、専門的な 相談を行っています。 ○ 高齢者にとっては、できるだけ相談窓口で幅広い相談を受けられることが 望ましいため、各相談窓口においても幅広く制度を理解する必要があります。 またあんしんすこやかセンター等が専門的な相談窓口を紹介する場合にお いても、必要時には情報交換を行うなどして連携を図る必要があります。 ○ 高齢者のための相談窓口は、分野別に様々な窓口があります。各主体のネ ットワークにより、総合的かつ多様な情報・サービスの提供を図っていく必 要があります。 <施策目標> ○ 既存の相談窓口については、その対応の充実に努めます。 2.高齢者に分かりやすい広報の充実 <現状と課題> ○ 福祉サービスに対するニーズや供給が多様化する中、高齢者が自己の判断 によりサービスを選択することができるようにするためには、高齢者が、サ ービスの内容等を十分理解したうえで選択できるよう、分かりやすい広報に 努める必要があります。現在、高齢者が介護保険制度を適切に活用できるよ う、要介護認定やケアプラン作成の手続など、制度に関する基本的な知識に ついて、パンフレット、広報紙、出前トーク、ホームページ等で必要な情報 提供を行っています。 ○ 高齢者からは制度が分かりにくいという声をよく聞くとともに、ケアマネ ジャーからはケアプランを作成するにあたり、高齢者にまず制度の基本的な 説明をしなければいけないので、制度の一般的な広報を充実させてほしいと いう要望があります。また高齢者の実態調査では、高齢者の情報の主な入手 先は、新聞、役所や自治会の広報紙、テレビ、友人や隣人又は家族の順にな っており、高齢者がよく利用する情報媒体を用いて広報する必要があります。 <施策目標> ○ ケアマネジャーが利用者に説明する際に使用するパンフレット等を、関 係者の意見も取り入れて作成するなど、現場に即した分かりやすい情報提 供の方法を検討していきます。 ○ 広報紙への掲載、市民向けの説明会の開催、地域団体・ケアマネジャー・ - 68 - サービス提供事業者等の関係者と一体となった広報活動など、様々な機会・ 媒体を活用して広報の充実を図ります。 3.介護サービス情報の公表、介護保険サービスの第三者評価 <現状と課題> ○ 事業者ごとのサービス内容などを公平・公正に公表し、利用者が自立した 生活を営むうえでより適切な事業者を選ぶことができるようにするため、兵 庫県で介護サービス情報の公表を行っています。 ○ 介護サービス情報の公表について、今後調査機関による調査は原則廃止さ れますが、公表制度は継続される見込みです。現状においても、公表される 情報が、利用者の選択に資するためには十分ではないという指摘があります。 ○ また介護保険サービスの第三者評価も県の事業となっていますが、市内の 介護保険事業所は、毎年1~2施設しか受審していない状況となっています。 <施策目標> ○ 介護サービス情報の公表制度については、公表の内容・項目について、利 用者やその家族が知りたい情報をすぐに検索し、ニーズにあったより適切な 介護サービスの比較検討・選択が可能になるよう、国・県へ改善を要望して いきます。また、市として独自の施策が可能かどうかについても検討してい きます。 ○ 介護保険サービスの第三者評価については、市の介護保険事業者の意見等 も聞いた上で、事業者に受審を働きかけます。 - 69 - 第4節 サービスの質の向上・確保に向けた取り組み 1.介護従事者の研修の充実 <現状と課題> ○ 神戸市老人福祉施設連盟や神戸介護老人保健施設協会、神戸市シルバーサ ービス事業者連絡会等の団体では、介護従事者に対してサービスの質の向上 につながるような各種研修を実施しています。 ○ また、神戸市は神戸市介護サービス協会が実施する各種研修等に講師の派 遣や財政支援等を行っているほか、あんしんすこやかセンターの職員に対す る介護予防ケアマネジメント研修などの専門研修、神戸市民福祉大学におけ る、社会福祉法人の従事者向けの各種研修を実施し、サービスの質の向上に 向けた取り組みを行っています。 ○ 昼間の研修は受講しにくいという声や、専門研修以外にも感染症や腰痛予 防対策などの研修を希望されるなど、多様化する研修ニーズに対応する必要 があります。 <施策目標> ○ 研修実施主体間が連携して多様化する研修ニーズに対応し、その充実に努 めます。 2.地域包括支援センター運営協議会によるネットワーク形成等への支援の活 性化 <現状と課題> ○ あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)について、公正中立 を確保しつつ、その円滑かつ適正な運営を図るために、神戸市では、全市レ ベルと各区レベルの2層構造の地域包括支援センター運営協議会を設置し ています。 ○ 全市レベルの地域包括支援センター運営協議会の発議により、平成 20 年 度からあんしんすこやかセンターの自己評価を実施しています。自己評価の 実施は、職員の業務への取り組み意欲を向上させています。平成 22 年度に は新たな評価項目の設定や、より客観的な評価が行えるよう自己評価項目の 見直しを行っています。 ○ 区レベルの地域包括支援センター運営協議会において、今後あんしんすこ やかセンターごとのネットワーク形成を支援するために、あんしんすこやか センターが地域のネットワーク形成について困難と感じている部分の状況 報告を受けるなどして、必要な助言を行っていく必要があります。 <施策目標> ○ 全市レベルの地域包括支援センター運営協議会においては、あんしんすこ - 70 - やかセンターの運営に関する現在の審議内容に加えて、ネットワーク形成等 への支援についても積極的な議論を行い、地域での高齢者支援のために関係 機関の協力を求めていきます。 3.地域密着型サービス事業等の運営推進会議の充実 <現状と課題> ○ 認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、小規模多機 能型居宅介護等の地域密着型サービス事業においては、利用者・家族、地域 住民の代表者、あんしんすこやかセンター職員等で構成される運営推進会議 を開催することになっています。 ○ 神戸市では、「神戸市運営推進会議運営指針」を制定し、同指針に基づい て運営推進会議に係る指導を行っています。 ○ 開催回数が基準を満たしていないなど、規定の遵守が十分でない状況がみ られます。 <施策目標> ○ 集団指導及び実地指導の機会を通じ、引き続き指導を行って基準の遵守及 び会議のレベルアップを図っていきます。 4.小規模多機能型居宅介護・認知症高齢者グループホームにおける外部評価 の徹底 <現状と課題> ○ 小規模多機能型居宅介護サービス事業者と認知症高齢者グループホーム では年1回自己評価を実施することが義務付けられていますが、概ね適正に 実施されています。 ○ 自己評価に基づく改善のみならず、外部評価における指摘事項・助言等に 基づく改善に取り組む必要があります。 <施策目標> ○ 集団指導及び実地指導の機会を通じ、外部評価の実施の徹底を指導してい きます。「神戸市運営推進会議運営指針」にもとづき、外部評価結果を運営 推進会議の議題とするよう指導し、運営推進会議による「活動状況の評価」 との相乗効果を図ります。 - 71 -