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2 - 公益社団法人 福岡県製薬工業協会

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2 - 公益社団法人 福岡県製薬工業協会
毒物劇物取扱者試験対策講座
基礎編 2
公益社団法人福岡県製薬工業協会
1
2016/6
周期表
2
元素記号を覚える 元素記号を覚えることは、化学を学習するうえで、非常に大切なことである。特
に、赤で示したものは重要。
① 元素記号は周期表の通り覚えること。周期表の横の並びを周期、縦の並びを族という。この両
方の並びには意味があり、両方の並び方で覚えることが大切。
周期(横の並び)・・・ 元素には原子番号という通し番号がついていて、横の並びは原子番号
の順になっている。特に原子番号1~20までは順番通りにいえるように
する。これはこの後の学習ですぐに必要になってくる。
族(縦の並び) ・・・ 同じ族の元素は、性質が似ているので、それぞれの族が1つのグループ
になっている(3族~11族は例外)。そのため、縦の順番で覚えることも
重要。特に1,2,17,18族にはそれぞれアルカリ金属,アルカリ土類金
属,ハロゲン,希ガスという名前(グループ名)がついている。
② 紫色の部分を遷移元素、それ以外を典型元素という。また、黄色の部分は、すべて、非金属元
素、それ以外は金属元素である。
③ 覚え方
3
1H~20Caまでの覚え方(横の覚え方)
周期表の同族元素
1族 アルカリ金属元素
H(水素)、Li(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Rb(ルビジウム)、
Cs(セシウム)、Fr(フランシウム)
推理で泣きルビーせしめてフランスへ
2族 アルカリ土類金属
Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)
Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)
ベリーマッチかーすばらしい
17族 ハロゲン元素
F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)I(ヨウ素)、At(アスタチン)
フッ素は遠州洋にあり
4
溶解と溶液
液体の中に他の物質(固体、液体または気体)がと
けて均一な混合物をつくる現象を溶解といい、できた
混合物を溶液といいます。
この時に、溶け込んだ物質の方を溶質、これを溶か
した液体の方を溶媒といいます。
たとえば食塩や砂糖を水に溶解させると、水の中に
食塩や砂糖がばらばらの分子やイオンなどの小さな
粒となり、水の中に均一に混ざってしまうため、眼で
見て確認することができなくなります。
溶媒が水の時には水溶液、アルコールの時にはア
ルコール溶液等ということが多いです。
5
2)溶液の濃度
・質量パーセント濃度
単位[%] W/W
溶液中に溶けている溶質の質量の割合を百分率で表した濃度を
質量パーセント濃度という。
(例) 水100gに食塩25gを溶かした水溶液の質量パーセント濃度を求めよ。
6
2)溶液の濃度
・モル濃度
単位[ mol/l ]
溶液1 l中に溶けている溶質のモル数 [mol]で表した濃度を
モル濃度という。
(例) 食塩NaCl(式量58.5)5.85gを水に溶かして500 mlにした水溶液のモル濃度
を求めよ。
NaClのモル数 =
= 0.100 [mol]
溶液の体積 = 500 ml = 0.500l
モル濃度 =
7
= 0.200[ mol/l ]
コロイド
別のある物質を水などに混ぜた時に、同様に肉眼で
見ただけでは確認できないけれども、食塩や砂糖の溶
液中の粒よりも大きい粒子となって、均一に分散するこ
とがあります。この様な状態をコロイド(Colloid)といい、
分散している粒子をコロイド粒子(分散質)といいます。
コロイド粒子の大きさは、おおよそ、直径 1 ~ 100 nm
程度です。この程度の大きさの粒子は、ろ紙を通りぬけ
てしまうため、真の溶液と同様、ろ過によって分けること
はできませんが、コロイド溶液は真の溶液とは異なるい
くつかの特徴的な性質を示します。
8
コロイド
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2014/6/29
コロイド溶液の示す性質
凝析
コロイド粒子は表面にプラスかマイナスの電荷をもっ
ているので、同種類のコロイド粒子は、互いに反発し
合うために、凝縮*せず沈澱しません。この溶液に少
量の電解質を加えると、反対符合の電荷を有する電
解質イオンがコロイド粒子の表面に結合して、表面の
電荷が打ち消され、コロイド粒子同士の反発力を失い、
凝縮*が生じて、コロイド粒子が沈澱するのが観察で
きます。この現象を凝析といいます。
*凝縮:小さな粒が集まって大きい粒や沈殿になること。雲の中の
水の粒が集まって雨になって落ちてくるのもこの現象による。
10
コロイド溶液の示す性質
疎水コロイドと親水コロイド(分散媒が水の場合)
少量の電解質を加えると簡単に凝析を起こすコロイド
を疎水コロイドといいます。
これに対して、少量の電解質を加えても凝析を起こさ
ないコロイドを親水コロイドといいます。
親水コロイドの多くは粒子の表面が水分子の膜で覆わ
れています。親水コロイドでも多量の電解質を加えると、
その表面の水分子の膜が消失して沈澱をおこすことが
あります。このような現象を特に塩析といいます。
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コロイド溶液の示す性質
チンダル現象
コロイド溶液の側面からレーザー光などの強い光を当てる
と、コロイド粒子により光が散乱されて、光の進路が明るく
輝いて見えます。これをチンダル現象といいます。
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コロイド溶液の示す性質
ブラウン運動
コロイド粒子が分散媒中に分散しているとき、分散媒の分子がこ
れと衝突してコロイド粒子がわずかに動く。この現象は、イギリスの
植物学者ロバート。ブラウンの花粉の顕微鏡観察の際に見いださ
れたもので、ブラウン運動と呼ばれる。
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透析:
コロイド溶液を半透膜に入れ、純水に浸すと、小さい分子
やイオンは外に出るがコロイドは大きく出ることができない
ので、コロイド溶液が精製できる。この操作を透析という。
チンダル現象:コロイド溶液に横から光をあてると、コロイド粒子がが光
を散乱するために光の進路が輝いて見える現象
ブラウン運動:熱運動している水分子がコロイド粒子に不規則に衝突す
ることで起こる
電気泳動:
コロイド溶液に正負の直流電極を入れると、コロイド粒子
が自分のもつ電荷と逆の電極へ移動する現象
ゾルとゲル: コロイド溶液のうち流動性のあるものがゾル流動性の小さ
い固体状のものがゲル(ゲルの例:寒天、ゼリー、こんにゃ
く、豆腐、ゼラチン)
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電子殻の最大電子数
電子殻に収容できる最大電子数
電子殻(かく)はK殻から始まり、最大電子数 2n²
K殻(n=1):2×1²=2
L殻(n=2):2×2²=8
M殻(n=3):2×3²=18
電子殻は、とびとびの層に分かれて存在する。
エネルギーが低い方(内側)から順に、K殻、L殻、M殻・・と呼ばれる
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次に原子番号1~20の原子の電子配置を見てみる
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1)有機化合物と無機化合物
炭素(C)含む化合物を有機化合物といい、炭素以外の元素
からなる化合物を無機化合物と区別している。
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2)有機化合物の構造
有機化合物を構成する原子の原子価(手の数)
炭素と炭素の結合
炭素原子間の距離は、単結合が最も長く、三重結合が最も短くなる。単結
合は飽和結合、二重結合と三重結合は不飽和結合ともいう。また四重結
合は立体構造的に無理が生じるので存在しない。
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2)有機化合物の構造
結合と立体構造
単結合は正四面体構造がつながった形になる。結合を軸に
して自由回転できる。 二重結合は平面構造、三重結合は直
線構造
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3)炭化水素の分類
炭素と水素からなる化合物を炭化水素といい、炭化水素は全ての有機化合物の母体をなす
重要な化合物であり、次のように分類される。
構造や、炭素原子間の結合の種類による分類
脂肪族と芳香族
ベンゼン環(6個の炭素原子からなる特殊な環状構造)を分子中に含む有
機化合物を芳香族、それ以外を脂肪族という。
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3)炭化水素の分類
官能基や基による分類
炭化水素の水素原子を他の原子または原子団で置き換えるといろいろと性
質の異なる化合物ができる。例えば、炭化水素であるメタンCH4は水に溶けな
い気体だがメタンからH原子1個をOH(ヒドロキシ基)で置き換えたメタノール
CH3OHは、液体でよく水に溶ける性質がある。炭化水素にヒドロキシ基のよう
な特定の原子団が結合すると、化学的性質の良く似た一群の化合物ができる。
このように、化合物の性質を特徴づける特定の原子団を官能基という。
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3)炭化水素の分類
炭化水素からH原子が外れた形の原子団を炭化水素基または単
に基という。また、アルカン(単結合のみでできている炭化水素)か
ら、水素原子を1つ外した炭化水素基を特にアルキル基という。下
の例では、メチル基,エチル基,プロピル基がアルキル基になる。
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4)有機化合物の表し方
分子式 ・・ 分子をつくっている元素の種類と数を表した式。
示性式 ・・ 分子式の中から官能基を抜き出して明示した式。
構造式 ・・ 分子中の個々の原子の結合の仕方を価票を用いて明示した式。
例…エタノール
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5)異性体
分子式が同じで性質が異なる化合物を、互いに異性体という。
構造異性体
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5)異性体
分子式が同じで性質が異なる化合物を、互いに異性体という。
立体異性体
原子のつながり方や結合の種類は同じであるが分子の立体構造が 異なる
異性体。幾何異性体(シスートランス異性体)と光学異性体がある。
例 CH3-CH=CH-CH3 の幾何異性体
二重結合をはさんで、同種の原子や原子団が同じ側にあるものをシス型,反対
側にあるものをトランス型という。この両者は、二重結合の部分で自由回転がで
きないために生じる異性体である。
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脂肪族炭化水素
1)飽和炭化水素(アルカン)
直鎖の飽和炭化水素(二重結合や三重結合を持っていない
炭化水素)はアルカンと総称される。メタン系炭化水素または
パラフィンとも呼ばれる。
アルカンの一般式はCnH2n+2で表される。また、これらの共通の
一般式で表される一群を同族体という。
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脂肪族炭化水素
アルカンの命名法
直鎖のアルカンは炭素数が1~4(C1~C4)までは慣用名
を用いC5以上は炭素の数を示すギリシャ語の数詞の語尾
をane(アン)にして命名する。
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2)不飽和炭化水素1(アルケン)
アルケン
エチレン系炭化水素またはオレフィンともいう。分子内に二重結合
を1つ持つ炭化水素をアルケンという。
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3)不飽和炭化水素2(アルキン)
アルキン
アセチレン系炭化水素ともいう分子内に三重結合を1つ持つ
炭化水素をアルキンという。
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3)不飽和炭化水素2(アルキン)
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アルキンの命名
脂肪族酸素化合物
1)アルコールとエーテル
アルコール
炭化水素の水素原子をヒドロキシ基-OHで置き換えた化合物を
アルコールと総称する。
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2014/6/29
脂肪族酸素化合物
1)アルコールとエーテル
アルコールの分類
a 分子中の-OHの数による分類
分子中にヒドロキシル基が1個のものを一価アルコール、2個のものを二価ア
ルコール、3個のものを三価アルコールという。2価以上のものを多価アルコー
ルという。また、炭素数の少ない(C=6以下)アルコールを低級アルコール、炭
素数の多いアルコールを高級アルコールという。
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脂肪族酸素化合物
1)アルコールとエーテル
アルコールの分類
b 分子中の-OHが結合している炭素原子による分類
ヒドロキシ基の結合している炭素原子に、他の炭素原子が何個
結合しているかによって、第一級アルコール,第二級アルコール,
第三級アルコールに分類される。
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アルコールの性質
・アルコールの沸点 → アルコールは分子量の似た炭化水素に
比べ沸点・融点が高い。
(理由) アルコールは分子間で水素結合という結合を形成し、分子どうしが引き
合っているため。
・アルコールの水への溶解度(水への溶けやすさ)
アルコールの水への溶解度は炭素数が少なく、ヒドロキシ基の数が多い
ほど溶解度は大きくなる。例えば、C=3のプロパノールまでは水と任意の
割合で溶け合うが、それよりも炭素数が増すと、溶解度は低下する。
(理由) アルコールの炭素鎖の部分は水とはなじみにくく(疎水性または親油性と
いう)、一方、-OHは水となじみやすい(親水性という)ため。炭素数が増す
と疎水性が強くなり、-OHが増すと親水性が強くなる。
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メタノールとエタノール
メタノール(CH3OH)はメチルアルコールともいわれ、水と任意の
割合で溶け合う有毒な液体である。一酸化炭素と水素から合成さ
れる。
反応式 CO + 2H2 → CH3OH
エタノール(CH3CH2OH)はエチルアルコールともいう。水と任
意の割合で溶け合う液体で、デンプンやブドウ糖(グルコース)
C6H12O6を酵母などの微生物によって分解すると生成する。こ
れをアルコール発酵という。工業的には、エチレンに水を付加さ
せてつくる。
アルコール発酵 C6H12O6 → 2C2H5OH
+ 2CO2
工業的製法 CH2=CH2 + H2O → C2H5OH
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エーテル
酸素原子に2個の炭化水素基(アルキル基)が結合したR-O-R'
をエーテルといい、C-O-Cの結合をエーテル結合という。
エーテルは飽和1価アルコール(二重結合や三重結合をもたず、‐OHを1つだ
けもつアルコール)と構造異性体の関係にある。
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2) カルボニル化合物(アルデヒドとケトン)
アルデヒド
アルデヒド基-CHOをもつ化合物を総称してアルデヒドという。
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アルデヒドの還元性
アルデヒドは酸化されてカルボン酸になりやすい。酸化されやすと
いうことは相手を還元する性質が強いということである。そのため、
アルデヒドは銀鏡反応を示し、フェーリング液を還元する。
銀鏡反応:
アンモニア性硝酸銀([Ag(NH3)2]+)にアルデヒドを加えて温めると、ジアンミ
ン銀(Ⅰ)イオン(酸化数+1)が還元されて、単体の銀(酸化数0)が析出する。
2[Ag(NH3)2]+ + R-CHO + 3OH- → 2Ag + R-COO- +4NH3 + 2H2O
フェーリング反応:
フェーリング液(Cu2+(酸化数+2)を含む塩基性の溶液)にアルデヒドを加え温
めると、酸化銅(Ⅰ)(Cu2O:酸化数+1)の赤色沈殿を生じる。
2Cu2+ + R-CHO + 5OH- → Cu2O↓ + R-COO- + 3H2O
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ホルムアルデヒドとアセトアルデヒド
・ホルムアルデヒド: メタノールの蒸気を赤熱した銅線(酸化銅
(Ⅱ)CuO)に触れさせると、メタノールは酸化されてホルムアル
デヒドになる。
反応式 CH3OH + CuO → HCHO + Cu
ホルムアルデヒドは刺激性の気体で、その40%水溶液をホルマリンという。ホルマ
リンは、消毒剤,防腐剤や合成樹脂の原料に用いられる。
・アセトアルデヒド: エタノールをニクロム酸カリウムK2Cr2O7の硫
酸酸性溶液で酸化すると得られる。
(工業的にはエチレンを酸化して得られる。)
反応式 2CH2=CH2 + O2 → 2CH3CH
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ケトン
ケトン基 –CO- をもつ化合物を総称してケトンという。
第二級アルコールを酸化すると、一般にケトンを生成する。ケトンはアルデヒドと異
なり、これ以上は酸化されない。すなわち、還元性を示さない。
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アセトン
アセトンは無色の液体で、有機溶媒として用いられ、有機化合
物をよく溶かす。また、水とも任意の割合で溶解するので、非常
に便利な溶媒である。
・アセトンの製法
①酢酸カルシウムの熱分解 (CH3COO)2Ca → CaCO3 + CH3-CO-CH3
②プロピレンの酸化 2CH2=CH-CH3 + O2 → 2CH3-CO-CH3
③2-プロパノ-ルの酸化 反応式は上を参照
ヨードホルム反応
アセトンの水溶液にヨウ素(I2)と水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を少量加えて温
めると、黄色結晶のヨードホルム(CHI3)が生成する反応。ヨードホルム反応を示す
化合物は、下の(1)の構造をもつアルコールとその酸化生成物である(2)の構造を
持つものだけである。
41
Rが炭化水素基,水素原子のときのみヨードホルム反応を示す
3)カルボン酸と酸無水物
カルボン酸
分子中にカルボキシル基-COOHを持つ化合物を総称してカルボン酸という。
第一級アルコールを酸化して得られるアルデヒドをさら酸化にすることによって
得られる。分子中に含まれるカルボキシル基の数により、1価(モノカルボン
酸),2価(ジカルボン酸)という。また、Rが炭素鎖のみのカルボン酸を脂肪族
カルボン酸、ベンゼン環を含むカルボン酸を芳香族カルボン酸とよぶ。
ギ酸と酢酸
ギ酸(HCOOH)は刺激臭のある無色の液体で、メタノールを酸化してホルムア
ルデヒドとし、さらに酸化すると得られる。ギ酸の場合アルデヒド基(-CHO)とカルボ
キシル基(-COOH)の両方を持つ。そのため、ギ酸には還元性がある。
酢酸(CH3COOH)は刺激臭のある無色の液体で、食酢中に約4%含まれてい
る。純粋な酢酸は、冬季は凝固するので、氷酢酸とよばれる。酢酸はエタノールを酸
化してアセトアルデヒドとし、さらに酸化すると得られる。
42
エステル
カルボン酸の-COOHとアルコールの-OHから水分子がとれて
(縮合して)生成する化合物R-COO-R'をエステルという。
また -COO- をエステル結合という。低分子のエステルは一般に、
芳香を持った液体である。
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芳香族化合物
1)芳香族炭化水素
分子中にベンゼン環をもつものを芳香族炭化水素という。ベンゼン(C6H6)は6個
の炭素原子が正六角形の環を形成する。ベンゼン環の炭素原子間の結合は、単
結合と二重結合が交互にできている。
44
主な芳香族炭化水素
45
芳香族炭化水素の反応
置換反応
ベンゼン環水素原子は色々なものと容易に置換反応を起こす。
(ハロゲン化)
ベンゼンに鉄を触媒にしてハロゲン(Cl2,Br2など)を反応させる
と、ベンゼン環の水素原子がハロゲン原子に置き換わる。
46
芳香族炭化水素の反応
置換反応
ベンゼン環水素原子は色々なものと容易に置換反応を起こす。
(ニトロ化)
ベンゼンやトルエンに濃硝酸と濃硫酸の混合物(混酸)と反応させ
ると、ベンゼン環の水素原子がニトロ基-NO2に置き換わる。(こ
のとき、濃硫酸は触媒として働く)
47
芳香族炭化水素の反応
置換反応
ベンゼン環水素原子は色々なものと容易に置換反応を起こす。
(スルホン化)
ベンゼンに濃硫酸を加え加熱すると、水素原子が
スルホ基 -SO3H に置き換わる。
48
2)フェノール類
フェノールと主なフェノール類
ベンゼン環の水素原子をヒドロキシ基で置換したものをフェノー
ルという。次に代表的なフェノールおよびフェノール類を示す。
49
2)フェノール類
フェノール類の性質
フェノール類はアルコールと異なり、水溶液中でわずかに電離し酸性を示す。
そのため、水酸化ナトリウムなどの強塩基と中和反応する。
50
3)芳香族アミン
アンモニア(NH3)のH原子を炭化水素基(アルキル基)で置換し
た化合物をアミンという。特に置換基がベンゼン環の場合を芳香族
アミンといい、それ以外のものを脂肪族アミンという。また、NH2-
をアミノ基という。アミンはアンモニアとよく性質が似ており、塩基性
を示し酸と反応して塩を作る。
(ジアゾ化) :
アニリンに亜硝酸ナトリウムNaNO2と塩酸を作用させると、塩化ベ
ンゼンジアゾニウムの水溶液が得られる。この反応をジアゾ化とい
う。
51
4)芳香族カルボン酸
ベンゼン環の水素原子をカルボキシル基-COOHで置換した形
の化合物を芳香族カルボン酸という。
芳香族カルボン酸は染料や医薬の原料になるほか合成樹脂や合成繊維の原料として用いられる。
芳香族カルボン酸はベンゼン環に結合した炭化水素基を酸化すると得られる。例えば、安息香酸は
トルエンを酸化剤である過マンガン酸カリウムKMnO4の水溶液に加え煮沸すると、安息香酸のカリウ
ム塩ができるので、これに酸を加えて安息香酸を遊離させる。
52
アボガドロの法則:同一圧力、同一温度、同一体積のすべての種
類の気体には同じ数の分子が含まれるという法則である。
ヘスの法則:反応熱は,反応の経路によらず,最初の状態と最終
の状態で決まる。
ボイルの法則:一定温度のもとでは,気体の体積と圧力は反比例
する.
シャルルの法則:圧力が一定のとき、理想気体の体積は絶対温度
に比例することを示し
ボイル・シャルルの法則:気体の体積は、圧力に反比例し、絶対
温度に比例する。
53
酸性・アルカリ性の程度を表す言葉で、液中の水素イオン濃度
の逆数の常用対数で表す。
すなわちpHの差が2ということは、10の2乗=100倍の差を意
味する。
54
金属のイオン化傾向
いろんな金属単体を、そのイオンを含む溶液に浸したとき、
金属はイオンとなって溶液中に入る傾向を持つ。
大きい金属
陽イオンになりやすい
溶け出しやすい
小さい金属
陽イオンになりにくい
析出しやすい
イオン化傾向
イオン化列
かそう か
な
ま
あ
あ
て
に
K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>
す
な
ひ
ど
す
ぎ
しゃっ きん
Sn>Pb>(H2)>Cu>Hg>Ag>Pt>Au
55
炎色反応
アルカリ金属やアルカリ土類金属等の化合物をガス
バーナーで強く熱すると、各金属に特有の色を示す。
この現象を炎色反応という
56
酸塩基指示薬
酸塩基指示薬(さんえんきしじやく)は水素イオン濃度 (pH) により変色する色素で、pH の
測定や中和滴定の終点を決めるのに用いられる。代表的なものはブロモチモールブルー (BTB)、
ブロムクレゾールパープル、フェノールフタレイン (PP)、メチルオレンジ(MO)、メチルレッド(MR)、
チモールブルー(TB) である。
変色機構は次の通りである。まず指示薬HIn自身に以下のような酸塩基平衡が存在する。
HIn H+ + In−
また指示薬HInの酸解離定数は各化学種の活量により以下のように表される。
この式の両辺の常用対数を取り式を変形すると以下のようになり、
さらに希薄水溶液において活量はモル濃度にほぼ近似する。この式はpH変化により指示薬の酸
解離の度合いが変化することを示すものである。
57
分子形 (HIn) とイオン形 (In−) では吸収する光の波長が異なるので違う色になる。変色域では両
者が混ざった状態なので中間の色調になる。酸解離定数や変色域での分子形とイオン形の比率
などは吸光光度法を用いて求めることができる。
代表的な酸塩基指示薬
酸塩基指示薬
ゲンチアナバイオレット (メチルバイオレット)
マラカイトグリーン (酸性側)
マラカイトグリーン (塩基性側)
チモールブルー (酸性側)
チモールブルー (塩基性側)
メチルイエロー
ブロモフェノールブルー
コンゴーレッド
メチルオレンジ
ブロモクレゾールグリーン
メチルレッド
メチルレッド / ブロモクレゾールグリーン
リトマス
ブロモクレゾールパープル
ブロモチモールブルー
フェノールレッド
ニュートラルレッド
ナフタノールフタレイン
クレゾールレッド
フェノールフタレイン
チモールフタレイン
アリザリンイエローR
58
低 pH 色
変色域
高 pH 色
黄色
黄色
緑色
赤色
黄色
赤色
黄色
青紫色
赤色
黄色
赤色
赤色
赤色
黄色
黄色
黄色
赤色
やや赤色
黄色
無色
無色
黄色
0.0–2.0
0.0–2.0
11.6–14
1.2–2.8
8.0–9.6
2.9–4.0
3.0–4.6
3.0–5.0
3.1–4.4
3.8–5.4
4.4–6.2
4.5–5.2
4.5–8.3
5.2–6.8
6.0–7.6
6.8–8.4
6.8–8.0
7.3–8.7
7.2–8.8
8.3–10.0
9.3–10.5
10.2–12.0
青紫色
緑色
無色
黄色
青色
黄色
紫色
赤色
橙色
青緑色
黄色
緑色
青色
紫色
青色
赤色
黄色
青緑色
赤紫色
桃色
青色
赤
酸化還元指示薬
酸化還元指示薬(さんかかんげんしじやく、Redox
indicator)とは酸化還元滴定に用いられる呈色指示薬
である。
例えば、過マンガン酸カリウム溶液は、それ自身が消
費されることで濃紫から無色となるので滴定液自身が
指示薬になっている。またヨウ素液はヨウ素デンプン反
応を使って指示薬とすることが出来る。
それ以外の酸化還元滴定は酸化還元指示薬を使っ
て比色するか、酸化還元電位を測定して当量点を求め
る必要がある。
59
酸化還元指示薬
指示薬名
還元体色
変色電位[V]
酸化体色
使用条件
フェノサフラニン
無色
0.28
赤
1M 酸性
インジゴテトラスルホン酸
メチレンブルー
ジフェニルアミン
無色
0.36
青
1M 酸性
無色
0.53
青
1M 酸性
無色
0.76
すみれ
1M H2SO4
ジフェニルベンジジン
無色
0.76
すみれ
1M H2SO4
ジフェニルアミンスルホン酸
無色
0.85
赤紫
希酸
赤
0.97
青
1M H2SO4
黄緑
0.98
青紫
0.5M H2SO4
5-メチルフェナントロリン鉄(II)
(5-メチルフェロイン)
赤
1.02
青
1M H2SO4
フェナントロリン鉄(II)
(フェロイン)
赤
1.11
青
1M H2SO4
赤
1.25
青
1M H2SO4
5,6-ジメチルフェナントロリン鉄(II)
(5,6-ジメチルフェロイン)
エリオグラウシンA
5-ニトロフェナントロリン鉄(II)
60 (ニトロフェロイン)
検出用の試薬
指示薬名
61
検出対象物
変色
石灰水
二酸化炭素
白く濁る→過剰量で無色
ヨウ素液
デンプン
青紫色
フェーリング試薬
マルトース、フルクトース、
グルコース アルデヒド類
尿素など、一部の糖以外
の物質も含む
青色→黄緑色
橙色→赤褐色
ベネジクト液
マルトース、フルクトース、
グルコース アルデヒド類
青色→黄緑色
橙色→赤褐色
塩化コバルト
水分
青色→赤色(桃色)
硝酸銀水溶液
塩化物イオン
白色
ネスラー試薬
アンモニア
少量:黄褐色
多量:赤褐色
インジゴカーミン液
酸素
無酸素:無色
酸素:青
指示薬
酸性・中性・アルカリ性を調べる
62
リトマス紙
リトマス試験紙
酸性では青→赤
アルカリ性では赤→青
万能試験紙
酸性~アルカリ性の
強弱まで色で調べる
BTB溶液
ブロモチモールブルー溶液
(ブロムチモールブルー溶液)
酸性では黄色
中性では緑
アルカリ性では青
フェノールフタレイン溶液
酸性・中性では
無色のまま
アルカリ性では赤
メチルオレンジ
酸性では赤
中性・アルカリ性では
オレンジ色
紫キャベツ液
酸性では赤
中性ではうすい赤
アルカリ性では黄色
二酸化炭素の検出
石灰水
二酸化炭素を通すと白くにごる
デンプンの検出
ヨウ素液
デンプンがあると青紫色に変化する
糖分の検出
加えて加熱する
糖があると
ベネジクト液
青→黄緑・橙→赤かっ色の沈
殿
ショ糖(砂糖)は検出できない
63
水分の検出
塩化コバルト紙
水にふれると
青→赤(桃)
塩素の検出
硝酸銀水溶液
塩化物イオンがあると白い沈殿
(白くにごる)
アンモニアの検出
ネスラー試薬
64
少量のアンモニアでは黄かっ色の沈殿
多量のアンモニアでは赤かっ色の沈殿
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