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えっ!?預かっている敷金にも課税?

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えっ!?預かっている敷金にも課税?
2005.1.1 号
えっ!?預かっている敷金にも課税?
いただきま~す
賃貸物件の賃貸借契約では、敷金あるいは保証金を預かるケースが多々あり
ます。これらの保証金等は賃貸借に伴う種々の債権を担保する性質のものと
...
理解されていますが、契約が終了し保証金等を返金する際には、無利息で返
税金
金される場合がほとんどです。銀行などの金融機関からお金を借りると、そ
...
れ相応の利息を支払わなければならないのに、無利息でお金を預かっている
訳ですから、そこから生じる利息相当分は実は得をしていることになります。
今の低金利の時代、数戸のアパートの敷金から生じる利息といってもあまり大きな金額にはなりませんが、戸
数が増えたり店舗の保証金ともなれば相当な額となり、利息も膨らむでしょう。この『実は得をしている利息』
を税法では「経済的利益」と呼んで、課税対象としていることを知っている方は少ないのではないでしょうか?
★ 課税関係の判断は?
保証金等に係る経済的利益について、税法では次の3つのケースに分けて課税関係を定めています。
1
2
3
保証金等が、不動産所得な
ど各種所得の基因となる業
務にかかる資金として運用
されている場合や、その業
務の用に供する資産の取得
資金に充当されている場合
保証金等が、預貯金、公社
債などの金融資産に運用さ
れている場合
例えば
賃貸マンションを
建築。入居者から預
かった敷金 500 万
円を建築資金の一
部として建築会社
へ支払った。
預かった保証金
500 万円を定期預
金にした。
経済的利益の内容
建築資金に充て
た 500 万円を
金融機関等から
借りたとした
ら、生じるであ
ろう利息分。
定期預金の利子
分。
保証金等が、上記1・2以
外、例えば、自宅の購入資
金など自家用に費消されて
いる場合
預かった保証金
500 万円を自宅の
ローンの返済に充
てた。
ローンの利息
分。
課税関係
経済的利益を収入金額に計上する
一方、同額を必要経費に算入するこ
とになっているので、結果として課
税関係は生じません。
利子は、源泉税が差し引かれて入金
されます。形式は違いますが、すで
に課税されているので、改めて不動
産所得など他の所得の収入金額と
して課税されることはありません。
支払わずに済んだローンの利息分
を不動産所得等の収入金額として
計上する必要が生じます。
★ 実務では
金利が 3%としても年 15 万円。それに対する不動
つまり、問題は3のケースです。例に挙げた自宅の
産所得税は・・・と計算するとその額の小ささと、その
ローンのほか、親族の借入金の返済等、自家用に使
小さな額のために、使途をはっきりさせることの困
っている場合はこのケースに当ります。ところが、
難さがお分かりいただけると思います。
現実にはこのような課税関係はほとんど行われてい
ただし、テナントビルなどの貸店舗で比較的高額な
ません。
保証金等が受領された場合で3のケースに該当する
その理由は第1にその金額が少額であること、第2
と、課税関係が生じることをお忘れなく。しかも、
に建築主の多くは個人であり、受領した保証金等の
この課税関係は、保証金等を預かっている間は何年
使途を正確に把握することが難しいことなどが挙げ
にもわたって影響することになるので、注意が必要
られます。
です。
例のように 500 万円を自宅のローンに充てた場合、
松下電工株式会社 住建分社 住宅システム事業推進部
協力:監修
編集
公認会計士・税理士 金田一広幸
株式会社ELハウジングカンパニー
記載内容は平成16年12月ものです。
CFP
高坂繁樹
※無断転載を禁止します
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