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IFRS outlook 2012年11月号(PDF:882KB)

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IFRS outlook 2012年11月号(PDF:882KB)
2012年11月号
IFRS Issues for Business Leaders
IFRS Outlook
本号の主な内容
迫りくるIFRS改訂の波: 対策は万全ですか?
迫りくるIFRS改訂の波:
対策は万全ですか?
2
役員報酬及び持分決済型
の株式報酬制度の会計処
理をめぐる議論
5
IAASBが監査報告書の価
値改善に向けた変更を提
案
IFRS月次アップデート
7
10
2013年には、多くの重要なIFRSの変更が新たに発効します。本稿では、
2013年に発効する主なIFRSの変更点と、それらの変更が財務諸表や実務に
与えうる影響についてまとめています。
役員報酬及び持分決済型の株式報酬制度の会計処理をめぐる議論
最近の経済情勢や金融市況の悪化により、役員報酬をめぐる議論が再燃して
おり、メディアの注目を集めています。本稿では、持分決済型の株式報酬制度
が会計に与える影響(の一部)を考察し、付与日時点の価値と権利確定日時
点の価値の乖離について検討していきます。
IAASBが監査報告書の価値改善に向けた変更を提案
2012年6月、国際監査・保証基準審議会(以下、IAASB)は、国際監査基準
(以下、ISA)に従って監査報告書で伝える情報の価値向上のために、将来に
おける基準設定の提案の方向性を示したコメント募集文書「監査報告書の改
善」を公表しました。IAASBが提案した改善や、それが企業に与える可能性が
ある影響をより深く理解するために、我々はIAASB副議長兼IAASB監査報告
タスク・フォース議長を務めるダン・モンゴメリー(Dan Montgomery)氏に話を
聞きました。
IFRS月次アップデート
国際会計基準審議会(IASB)及びIFRS解釈指針委員会が審議中のプロジェ
クトについて説明します。
迫りくるIFRS改訂の波:
対策は万全ですか?
国内ではそもそもIFRSを採用すべきか否かという入り口の議論が続いているが、すでにIFRSを適用している企業に
あっては、また別の問題に直面している。それは2013年から多くの重要なIFRSの新基準、改訂及び解釈指針が発
効することへの対応である。本稿では、2013年から適用される新たな規程群がもたらす主な変更点と、それらが財
務諸表やその作成実務に生じうる影響についてまとめている。
主な変更点及び財務諸表に与えうる影響
実務で必要となる判断
IFRS第10号「連結財務諸表」及びIAS第27号「個別財務諸表」
支配の概念のみが連結の基礎となる。
新しく、より幅広い支配の定義により、以下の時点において連結グループに変更が生じうる。
•
IFRS第10号への移行時。
•
将来の報告期間においても、連結の要否について継続的な再評価が求められる。
•
•
投資者の権利とエクスポージャーの評価、ならびに投資先の目的及び設計など、既存及び新規の取決めを包括的に理
解する必要がある。
被支配企業を識別し、連結の要否を判断するために新たな手順や統制手続を設ける必要があるかもしれない。この際、
事業部門、顧問弁護士及び他部署からのさらなる協力や情報が必要となる場合もある。
IFRS第11号「共同契約(ジョイント・アレンジメント)」及びIAS第28号「関連会社及びジョイント・ベンチャーに対
する投資」
IFRS第11号では、共同支配を定義するにあたり、IFRS
第10号の支配の概念が用いられている。
IAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」におい
ては3つに区分されていた共同契約の会計処理が、IFRS
第11号では、以下の2つのものに変更されている。
•
共同営業(ジョイント・オペレーション): 共同支配を
有する当事者が、取決めに係る資産に対する権利
及び負債に対する義務を有しているケース。共同営
業は、各当事者の資産、負債、収益及び費用、なら
びに/又は当事者に共通して発生したそれらに対す
る持分相当額を認識する。
ジョイント・ベンチャー: 共同支配を有する当事者が、
取決めに係る純資産に対する権利を有しているケー
ス。ジョイント・ベンチャーは、持分法により会計処理
する。
以前はIAS第31号に基づき被共同支配企業に分類され
ていた取決めに係る会計処理が、変わる可能性がある。
IFRS第11号の下では、比例連結が禁止されるため、IAS
第31号の下で被共同支配企業に対して比例連結を適用
している企業においては、会計処理が大きく変わることに
なる。
•
共同支配が存在するか否かを判断するため、既存の取決めを評価する必要がある。取決めを「共同営業」又は「ジョイント・ベ
ンチャー」のいずれかに正しく分類するために、各取決めの構造や、取決めの当事者の権利及び義務について、より細やか
な検討が必要となる。
比例連結が禁止されることにより影響を受ける場合は、財務情報を収集、開示するにあたり、新しいプロセスが必要になると
考えられる。
IFRS第12号「他の事業体への関与の開示」
IFRS第12号では、他の事業体に対して有する関与及び支配の有無を判断した方法について、広範な定性的及び定量的開
示が要求されている。
新しい開示に向けた情報収集のために、追加の手続や情報システムの変更が必要になる可能性がある。
その他、IFRS第10号、IFRS第11号及びIFRS第12号に関して、一般に以下の点に留意が必要であろう。
•
2
企業が有する投資先に対する議決権が、過半数に
満たない場合であっても当該企業が支配を有してい
るか否か(事実上の支配の有無)
•
•
潜在的議決権によりパワーが付与されているか
保有する権利は単なる防御的な権利ではないか
IFRS Outlook 2012年11月号
•
•
•
•
企業を本人当事者として見るのか代理人として見る
のか
企業は、別の企業に対し、代理人として行動するよう
指示できるか(事実上の代理人)
ストラクチャード・エンティティーに対する支配の有無
資産及び負債は目的を限定して隔離されているか
•
•
•
(すなわち、サイロは存在するか)
事実及び状況の変化によって、支配(又は共同支
配)の有無に変更が生じるか
複数の共同契約が存在するか
共同契約は、共同営業とジョイント・ベンチャーのい
ずれに分類されるか
IFRS第13号「公正価値測定」
IFRS第13号では、公正価値測定に関する単一の原則を定めている。
新しい原則を適用することで、評価技法や計算上の仮定に変更が生じ、その結果、資産及び負債の公正価値の測定や開示
に影響が及ぶ可能性がある。
IFRS第13号により、評価モデル適用やそのためのインプットの収集に関するプロセスの変更など、公正価値の測定方法の
再検討が必要となる可能性が高い。
また、開示の拡充に対応するために新たなプロセスを構築しなければならない場合もあり、新基準に基づく公正価値評価を
行なうための十分な専門知識が組織内で用意されているか再確認しておく必要がある。
その他、IFRS第13号に関して、一般に以下の点に留意が必要であろう。
•
•
•
•
•
非金融資産を利用している方法は「最有効利用」の
考え方に合致しているか
企業が通常取引を行う市場は主要な(又は最も有利
な)市場か
評価技法は状況に適合しているか、もしくは他に適
切な評価技法があるか
経済的利益の最大化を目指す市場参加者は、資産
の価格設定を行う際、プレミアム又はディスカウントを
考慮するか
市場での取引量又は取引水準が大きく減少していな
いか
•
•
•
•
市場での取引が秩序立っていないという証拠があるか
観察可能なインプットに対して調整を行なう場合、そ
れが測定される公正価値全体に重要な影響を及ぼ
すか
複数の観察不能なインプットがある場合、一方のイン
プットが変動したとき、他方がその影響を受けるか
(すなわち、インプット間の相互関係はあるか)
測定される公正価値は観察不能なインプットの影響
を受けやすいか(すなわち、観察不能なインプットの
変動により公正価値が大きく変動する可能性がある
か)
改訂後IAS第19号「従業員給付」
確定給付制度について、以下の変更が生じる。
•
回廊アプローチが廃止され、制度資産/負債の変動
が即時認識されることになる。その結果、貸借対照
表の変動性が大きくなる可能性がある。
•
期待運用収益の概念が廃止され、利息は確定給付
制度債務から制度資産を控除した純額に基づき計
上される。したがって、制度資産に対する期待運用
収益の影響は純損益に反映されなくなる。
•
勤務費用及び純利息は純損益に計上される。
•
それ以外の制度資産/負債の変動はその他の包括
利益に認識される。
数理計算上の差異が純損益に計上されることは恒
久的にない。
•
過去勤務費用は即時認識される。
•
確定給付制度の感応度分析など、新しい開示が導
入される。
その他の変更には以下が含まれる。
•
従業員給付の長短分類は、権利発生時期ではなく、
決済が予想される時期に基づいて行われる。これに
より、長短分類が変更される可能性がある。
•
解雇給付の認識時期が変更される。
•
IFRS Outlook 2012年11月号
3
迫りくるIFRS改訂の波:
対策は万全ですか?(続き)
主な変更点及び財務諸表に与えうる影響
実務で必要となる判断
変更に際して、新規定への適切な対応を担保するためには、保険数理人やその他の関係者とのコミュニケーションのあり方
を見直す必要が生じることもあろう。
新規及び改訂後の開示に必要な保険数理情報に関し、判断や見積りだけでなく、新たな手順や統制手続を設けることが必要
となる場合も考えられる。
その他、IAS第19号(改訂)に関して、一般に以下の点に留意が必要であろう。
確定給付制度:
•
数理計算上の仮定(たとえば、割引率、死亡率、離
職率、退職時の年齢及び退職日)が、改訂後の規定
と整合しているかどうかを確かめる。
•
開示を要する感応度に係る情報を適時に入手できる
ように、保険数理人と緊密な連携をとる。
その他の従業員給付:
従業員給付を短期又は長期のものとして分類するた
め、将来の事象、従業員の行動(たとえば、累積年
次有給休暇の予想取得日数)、及び従業員の将来
の給与を見積る必要がある。
•
利益分配、賞与及び解雇給付に係る企業の債務、
及び企業の会計実務から生じるさまざまな従業員給
付に係る債務の金額を算定する必要がある。
•
IFRS第7号「金融商品: 開示」‐金融資産と金融負債の相殺‐IFRS第7号の改訂
新しい開示規定により、ネッティング契約及び担保の影響評価に関する情報が提供される。
新たな開示により、必要な定量的情報を抽出するために信用リスク管理システムと会計システムをリンクさせるなど、情報シ
ステムや関連する内部統制の見直しが必要になる場合がある。
期中及び比較期間の財務情報を含む、2012年及び2013年度財務報告に係る情報を収集するためのプロセスを早急に確
認する必要がある。
IFRS第7号の改訂に関して必要になる可能性のある主な評価には、以下が含まれる。
•
マスター・ネッティング契約又は類似契約がどのような場合に「強制可能」となるかを判断する。
その他の変更
上記の新規程以外にも、さまざまな改訂が2013年か
ら適用される。これらには、IFRS第1号「国際財務報
告基準の初度適用」の改訂である「政府融資‐IFRS
第1号の改訂」が含まれる。これは、IFRSの初度適用
企業にのみ適用されるものであり、IFRS財務諸表を
すでに作成している企業には関係しない。また、2013
年から適用されるIFRIC第20号「露天掘り鉱山の生
産段階で生じる剥土費用」によって、鉱業・金属及
び石油・ガス業界における生産段階の剥土費用の
会計処理が変わる可能性がある。他にも、IFRSの
年次改善(2009‐2011年サイクル)を通じて、緊急
性はないが必要性が認められる、5つのIFRS基準に
対する改訂が公表されている。これらの改訂は、現行
の実務を大きく変えるものではなく、規定の明瞭化を
意図したものである。ただし、企業は、これらの改訂に
鑑み、現在の方針、手続又は開示を再検討すべきで
ある。
4
弊社の刊行物 であ る IFRS Update of Standards
and Interpretations 31March 2012 には、最近公
表されたIFRS等の詳細なリストとともに、これら規定
の概要を記載している(www.ey.com/ifrsで入手可)。
おわりに
会計基準の変更の多くは、ビジネスにおける意思決定
が及ぼす長期的影響を表現する手段として、また、そ
れらの決定に係る統治責任や説明責任を果たしていく
うえで重要な役割を担う。2013年には、IFRSのさまざ
まな分野において重要な改訂が発効することにより、
現行の会計処理や財務報告、事業プロセス及び税務
上のポジションに影響を及ぼす可能性がある。経営者
は、自社に固有の状況に関し、十分な情報に基づき
検討するとともに、その影響を投資家やその他利害関
係者に早期に周知する必要がある。また、経営者やガ
バナンス責任者(例: 監査委員会)は、会計基準の変
更に伴って行われた重要な意思決定、及び変更の適
用に向けた進捗状況の双方をモニタリングする必要
がある。
IFRS Outlook 2012年11月号
役員報酬及び持分決済型の株式報酬制度の
会計処理をめぐる議論
最近の経済情勢や金融市況の悪化により、役員報酬
をめぐる議論が再燃しており、メディアの注目を集めて
いる。これに加え、企業のスキャンダルや、不安定な金
融市場、昨今の欧州財政金融危機により、多くの金融
規制当局や投資家が企業経営者に対する報酬のあり
方に関して疑問の声をあげはじめている。
役員報酬は、ストック・オプションやその他の株式報酬
の形で支払われることも多い。国や地域によっては、
役員報酬のうち最も重要な部分をストック・オプション
が占めることもある。この傾向は、主に役員と株主の経
済的利害関係を、より強固に、かつ長期的に一致させ
ることを指向した結果とも言えよう。
IFRS第2号「株式報酬」に基づく株式報酬の会計処理
は複雑になる場合があり、純損益に認識される金額は
報酬の個々の条件に応じて著しく変わってくることもあ
る。IFRS第2号の下では、現金決済される従業員に対
する報酬は、権利確定日時点の報酬の最終的な価値
を反映すべく再測定されるが、企業の資本性金融商品
で決済される従業員に対する報酬は、付与日時点の
公正価値で測定される。そのため、持分決済型の報酬
に関し計上される費用は、報酬決済時に従業員が受
領する実際の価値を反映していないことになる。このよ
うな会計上のミスマッチの存在が、株式報酬を最も議
論を呼ぶ会計分野の1つとしている。
本稿では、現在の市場動向が持分決済型の株式報酬
制度の会計処理に及ぼす影響(の一部)を考察し、付
与日時点の価値と権利確定日時点の価値の乖離につ
いて検討していく。これは、相当な差異になる場合もあ
れば、権利確定日時点で実質的に価値のない報酬に
関して費用が計上される結果につながる場合もある。
持分決済型の従業員ストック・オプションの会計
処理
IFRS第2号の下では、持分決済型報酬の付与日時点
の公正価値は、役員や従業員が関連する勤務を提供
した期間にわたり認識される。持分決済型であるため、
その条件が変更されない限り、当該報酬の価値に対し
事後的な調整は行われない。
すなわち、たとえばディープ・アウト・オブ・ザ・マネーの
状態に陥っているオプションであるため、役員等がそれ
を実際に行使することはないにも関わらず、費用が認
識される。また、ディープ・イン・ザ・マネーの状態にあ
るオプションの場合、役員等が受領する実際の価値よ
りもかなり低い金額で費用が計上されることもある。こ
の点について、下記の例1で説明している。
例1‐経営者に発行されたストック・オ
プション
A社は、2010年12月31日に、最高経営責任者
(CEO)に対し100,000単位のオプションを発行す
る。2年間勤務し、かつオプション1単位につきCU5
の行使価格を支払えば、このCEOはオプション1単
位当たり1株を受領することができる1 。オプション
の付与日時点の市場価格は1株あたりCU5である。
付与日時点のオプションの価値はCU100,000で
あると仮定する。
シナリオA
2012年12月31日時点で、株価は1株あたりCU7
に上昇した。このCEOはA社に継続して勤務してお
り、またオプションの行使を決定した。
CU
役員が受領した価値2
200,000
IFRSに基づき計上された費用
100,000
「認識されなかった」価値
100,000
シナリオB
2012年12月31日時点で、株価は1株当たりCU4
に下落した。このCEOはA社に継続して勤務してい
るものの、オプションがアウト・オブ・ザ・マネーの状
態にあるため、オプションを行使していない。オプ
ションは行使されないまま失効した。
CU
役員が受領した価値
IFRSに基づき計上された費用
「過大認識された」価値
1
0
100,000
(100,000)
CU=通貨単位
2 100,000株×(株価CU7から行使価格CU5を控除した金額)
IFRS Outlook 2012年11月号
5
役員報酬及び持分決済型の株式報酬制度の
会計処理をめぐる議論(続き)
IFRS第2号のこのアプローチは、企業又はその株主か
らの最終的な経済的価値の流出を反映していないとし
て、批判の対象となることが多い。しかし、IFRS第2号
の支持者は、企業は、従業員による勤務を対価として
付与日時点で何らかの価値がある何か(すなわちオプ
ション)を従業員に提供しているのであり、このアプロー
チはそのような勤務に係る費用を反映しているため、
適切であると考える。仮に企業が、このようなオプショ
ンを(勤務の対価として従業員に付与するのではなく)
市場において付与日時点で売却したならば、企業はそ
のオプションの対価として現金を受領したはずである。
つまり、IFRSに基づき認識される費用は、従業員にオ
プションを提供したことにより企業に実際に発生したコ
スト(すなわち、市場でオプションを売却することで得ら
れたであろう現金に近似する金額)を反映していると考
えるのである。したがって、オプション行使時に受領す
る株式の価値がオプションの価値と異なったからといっ
て、これは費用として計上された額を事後的に変更す
る理由にはならないとされる。
付与日、権利確定日、それとも行使日?
ここ数年のマーケットのトレンドは、株価が不安定(下
落している企業が多い)であることを示しているが、権
利確定日時点の価値も従業員が受領する最終的な価
値を反映していない場合がある。
権利確定日だけではなく、それ以降の期間にも、従業
員がオプションを行使できるというのは、多くのストッ
ク・オプション制度にはよく見られる特徴である(たとえ
ば、3年間の勤務により報酬に対する権利が確定する
が、オプションはその後10年間行使可能である場合
など)。
ここ数年の株価のトレンドを見れば、権利確定日時点
のオプションの価値と行使日時点のオプションの価値
に重大な乖離も生じうることが分かる。
おわりに
付与日測定モデルを、最終的に行使される従業員ス
トック・オプションの付与に適用した場合、会計上の費
用は付与日時点の公正価値で実質的に固定されるこ
とになる。これにより、行使日まで継続的に報酬の公
正価値を再測定するモデルを適用した場合に生じうる
ボラティリティが、付与日後の財務諸表で生じることは
ない。これは、多くの関係者がこのモデルを選好してい
る理由の1つである。しかし、反対に付与日後に報酬の
価値が下落した場合であっても、その後も引き続きより
高い付与日時点の価値を認識することになる。した
がって、過年度に付与したものの、現在は従業員に
とって無価値となっているオプションについて、多額の
費用が企業の財務諸表に計上される可能性は十分あ
る。これにより、企業運営に失敗したにもかかわらず、
あたかもその経営者に対して報酬を与えたかのような
(時として、根拠のない)誤解が生まれる場合もある。
全体として、持分決済型の株式報酬制度の会計処理
は、会計に直接かかわる者に限らず、規制当局にとっ
ても注目の話題である。IASBがそのアジェンダ協議プ
ロジェクトについて最近行った審議によれば、IFRS第2
号に関する問題点や課題が短期的に取り上げられる
可能性は低い。したがって、企業は、投資家やその他
利害関係者が経営者報酬に関する事実関係を明確に
理解できるように、財務諸表で明瞭で分かりやすい開
示(現在の市場環境が当該報酬に与える影響など)を
行うことが重要である。
過年度に付与したものの、現在は従業員に
とって無価値となっているオプションについて、
多額の費用が企業の財務諸表に計上される
可能性は十分ある。
財務諸表においてどの日時点の価値を捕捉すべきな
のかは、依然として議論の残る本質的な問題である。
現在の基準では、持分決済型の従業員ストック・オプ
ションに関し、付与日時点の価値が認識され、事後的
な再測定は行われていない。
6
IFRS Outlook 2012年11月号
IAASBが監査報告書の価値改善に
向けた変更を提案
背景
2012 年 6 月 、 国 際 監 査 ・ 保 証 基 準 審 議 会 ( 以 下 、
IAASB)は、国際監査基準(以下、ISA)に従って監査
報告書で伝える情報の価値向上のために、IAASBの
将来における基準設定の提案の方向性を示したコメン
ト募集文書「監査報告書の改善」を公表した。ISAは国
際的に多くの国や地域で適用されてきている。IAASB
が提案する改善内容及びそれが企業に与える可能性
がある影響をより深く理解するために、我々はIAASB
副議長兼IAASB監査報告タスク・フォース議長を務め
るダン・モンゴメリー(Dan Montgomery)氏に話を聞
いた。
提案の理由
監査報告書は、監査人が企業の利害関係者とコミュニ
ケーションするための主な手段である。モンゴメリー氏
は、「現在、監査報告書は、監査対象となる財務諸表、
監査そのもの、及び経営者と監査人のそれぞれの責
任を記載する短文の標準化された報告書であると一般
的に捉えられている。監査意見を評価する一方で、監
査報告書でさらに多くの情報を伝えることができるので
はないか、と多くの人が感じている。世界的な金融危
機を契機に、財務諸表の重要な分野及び監査人が監
査実施時に行った重要な判断についてさらに多くの情
報が欲しいとの要望が利用者から寄せられている」と
言う。
世界中の多くが変化を望んでいる。たとえば、米国公
開会社監視委員会(PCAOB)や欧州委員会が着手し
ている監査報告への取組みなどでは、監査報告書は
改善されるべきという利用者の考えが指摘されている。
IAASBの主要な提案
• 監査人によるコメント: 利用者が、監査済財務
諸表又は監査を理解する上で最も重要となる可
能性が高い事項を明確にするため、監査人の
判断で、監査報告書に監査人によるコメントを
記載する。このような情報は、少なくとも上場企
業を含む社会的影響度の高い事業体に求めら
れるものであり、その他の企業についても監査
人の判断で提供されうる。
• 継続企業の前提: 監査報告書には、財務諸表
作成時に経営者が用いた継続企業の前提の適
切性に関する監査人の結論、及び継続企業の
前提に関する重要な不確実性の識別の有無に
ついての記載が含まれる。また監査報告書に
は、継続企業の前提に関する経営者の責任も
記載される。
• 財務諸表とあわせて提供されるその他の情報:
監査報告書には、監査人がその他の情報を通
読した時に、監査済財務諸表とその他の情報と
の間に重要な不整合が識別されたかどうかに
ついての監査人の表明が含まれる。
• その他の事項: ISAに従って行われる監査の明
瞭性及び透明性を確保するための、さらなる提
案。たとえば、監査報告書の記載項目の順序
(監査意見を明確に表示する)、監査における
他の監査人の利用に関する開示、不正行為や
内部統制などに対する責任などリスクに基づい
た監査の概念をより明確に説明する監査人の
責任に関する記載の改善、などが考えられる。
IFRS Outlook 2012年11月号
7
IAASBが監査報告書の価値改善に
向けた変更を提案(続き)
財務諸表の作成者及び利用者に及ぼす影響
モンゴメリー氏は、IAASBの監査報告プロジェクトの目
標は、利用者の見地から有意かつ価値のある変化を
達成することにある、と考えている。IAASBが提案する
監査報告書の改善が変化の要求に即したものである
かどうかは、利用者、特に投資者がそれを現行実務か
らの実質的な進歩とみなすかどうかにかかっている。
利用者が追記情報を必要とする背景には少なくとも一
部には、財務報告の複雑性の増加があげられる。
IAASBは、監査報告書を変えるだけでこの問題に対処
できないと認識している。たしかに、長文で複雑な財務
報告を利用者がより良く理解できるための適切な開示
やその他の仕組みに対する要求に対応するため、多く
の基準設定主体や規制機関による取組みが世界中で
行なわれている。だが監査人にも果たすべき役割があ
り、監査人によるコメントという概念は、財務諸表に対
する適正/不適正意見を補足する「監査特有」の情報を
監査人が提供する1つの方法になり得る。
モンゴメリー氏は、答えを見いださなければならない重
要な質問は、どのような種類の事項を監査人によるコ
メントに含めるべきか、そして監査人によるコメントとし
て何を記載すべきか、であると考えている。たとえば、
財務諸表の重要な領域(重要な監査対象、又は監査
委員会との討議)について利用者の注意を喚起するた
め、監査報告書では、該当事項に関する経営者の開
示を参照する方法の強調事項はしばしば利用されてい
る。利用者にとって、監査人によるコメントは詳細に検
討したい財務諸表の内容が明示され、複雑な財務報
告を適確に読み進めることに役立つ、と考える人もい
る。また一方で、たとえば重要な虚偽表示のリスクが高
いと評価された場合、監査人の対応を示すため、該当
事項を重要と考えた理由や背景、又は、監査手続や発
見事項が簡潔に記載されるが、単純にその箇所が指
摘された方がより価値がある、と考える人もいる。
監査人によるコメントに対する懸念の1つは、提供情報
の内容によっては、企業情報を提供する基本責任は経
営者にあるとする「二重責任の原則」に反する可能性
があるということである。だがモンゴメリー氏は「監査人
は監査に関する情報を「所有」し、監査計画立案時及
び実行時に行なった特定の判断について記載できるべ
きとの見解も存在する」と指摘する。
継続企業の前提は、作成者に影響を及ぼすことになる、
IAASBが提案している改善のもう一つの側面である。
世界的な金融危機を契機に、継続企業の前提の評価
により焦点が集まるようになり、その結果、継続企業の
前提の評価という重要な分野における監査人の検証
結果だけでなく、経営者及び監査人の責任についてよ
り透明性が求められるようになった。「IAASBは多くの
選択肢を探り、すべての監査報告書に2つの肯定的表
明(経営者が用いた継続企業の前提の適切性に関す
る表明、及び監査の実施による継続企業の前提に関
する重要な不確実性の識別の有無)を含むことを提案
している。これより、監査基準の規程が、現在、言外に
ある事項を浮き彫りにするであろう」とモンゴメリー氏は
述べる。
IAASBは、これらの表明が利用者にとってさらに理解
しやすくなるように、継続企業の前提に対する評価及
び関連する開示について、作成者及び監査人に共通と
なるフレームワークを定める会計及び監査の双方の基
準の明瞭化が必要と認識している。IAASBがIASBと
協力してこの点を探求していくことを、多くの利害関係
者が促しており、現在、この取組みは進行している。
監査人が財務諸表の重要箇所を指摘することは、
監査人が独自の企業情報を提供することにはな
らず、経営者によるさらに思慮深い開示に繋がり、
財務報告全体の品質を向上させると、多くの人
は考えている。
‐ダン・モンゴメリー
8
IFRS Outlook 2012年11月号
こうした変化により、監査報告書は利用者にとってより
多くの情報を提供し、さらに価値を高めることとなる。だ
がモンゴメリー氏は、「利用者の情報ニーズに適切に
応えるために必要とされる変化は、監査報告書を改善
するだけで達成されるものではない。財務報告プロセ
スに関与する他の当事者の役割及び責任を考慮する
さらに全体的なアプローチが必要であると強く考える人
もいる。したがって、監査報告書を改善する取組みは、
コーポレート・ガバナンス及び財務報告の改善とより広
範に歩調を整えながらすすめていくことが大事である」
と強く語っている。
次のステップ
コメント募集期限は2012年10月8日である。公開円卓
会議がニューヨーク及びブリュッセルで開催されており、
2012年10月初めにはクアラルンプールでの開催も決
定している。IAASBは幅広い利害関係者からの見解を
求めている。作成者からの意見は、IAASBが監査報
告の将来を検討する際、特に有用となる。IAASBは
2012年から2013年にかけて引き続き審議を行い、
2013年6月に公開草案の公表を計画している。
ダン・モンゴメリー(Dan Montgomery)
アーンスト・アンド・ヤン
グのGlobal Leader for
Assurance Standards,
M e thodol og y an d
Implementations を 務
め 、 2009 年 1 月 か ら
IAASBメンバーであり、
2012年1月からはIAASB
副議長を務めている。また、IAASBの監査報告タ
スク・フォースの議長でもある。以前には米国公認
会計士協会(AICPA)監査基準審議会に勤務した
こともあり、全世界及び米国における監査及び保
証基準の開発に積極的に携わっている。多くの業
種で起業まもない事業から公開・非公開企業に至
るまで、その監査に長年の経験を有する。
IFRS Outlook 2012年11月号
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IFRS月次アップデート
新たな公表物
前回のIFRS Outlook以降、IASBより以下の公表物が公表された。
プロジェクト
公表物
一般的なヘッジ会計に
2012年9月7日、IASBはIFRS第9号「金融商品」に追加される近く公表予定の一般的なヘッジ会計に
関する基準のレビュー・
関する基準のドラフトをウェブサイトに掲載した。IASBは、本ドラフトに対してコメントは求めておらず、
ドラフト
情報目的で提供している。本ドラフトは2012年12月初めまでウェブサイトに掲載され、その後IASBは、
最終的な基準の確定に進む予定である。本ドラフトは、IASBのウェブサイトwww.ifrs.orgで入手可。
中小規模企業(SME)
IASBは、「SME向けIFRSアップデート(2012年7月/8月)」を公表した。これは、SME向けIFRS関連の
向けIFRS
ニュースをスタッフがまとめたものであり、IASBのウェブサイトwww.ifrs.orgで入手可。
IFRSフォーミュラ・リン
IFRS財団は、2011年10月に公表されたフォーミュラ・プロトタイプのアップデート版であるフォーミュラ・
クベース2012
リンクベース2012を公表した。2012年版のフォーミュラは、IFRSタクソノミー2012で機能するよう設計
されている。本データは、IASBのウェブサイトwww.ifrs.orgで入手可。
9月の審議状況
IASB及び米国財務会計基準審議会(FASB)は、リース、収益、金融商品の分類及び測定ならびに減損、保険などの
主要プロジェクトについて引き続き再審議を行った。
IFRS解釈指針委員会(以下、解釈指針委員会)は2012年9月18日と19日に会議を行ない、以下をはじめとするさま
ざまな論点について審議を行った。
• 以下の会計処理:
• 有形固定資産及び無形資産の個別取得に係る条件付対価
• サービス委譲契約において営業者から委譲者に支払われる変動対価
• ギリシャ国債の実効金利の算定
• 拠出ベース約定となる従業員給付の会計処理
• 従業員拠出正味確定給付債務の測定
• 土地の使用権の購入
• 残価法を使った生物資産の評価
• 対価に非現金項目を含む場合の非支配持分購入の会計処理
• 関連会社に対する投資の減損
• 電波塔の会計処理
• 取得対象が事業でない場合の逆取得取引の会計処理
• IAS第39号「金融商品: 認識及び測定」‐収益及び費用の表示
IASB及び解釈指針委員会の会議の最新状況は、IASBのウェブサイトwww.ifrs.org/Updatesで参照可。
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IFRS Outlook 2012年11月号
IFRSをめぐる動向
• 「のれんの減損及び償却に関する質問票」の公表
2012年9月から10月下旬までの日本におけるIFRSに
関する主な動向は以下のとおりであった。
2012年9月5日、企業会計基準委員会(以下、ASBJ)
は、我が国会計基準に基づくのれんの会計処理につ
いて実務における経験や市場関係者の見解を入手し、
IASB等に意見発信を行うため、「のれんの減損及び
償却に関する質問票」を公表した。コメント募集は終了
している。
• 企業会計審議会によるIFRS強制適用に関する議論
2012年10月2日、本テーマに関する企業会計審議会
総会・企画調整部会合同会議(第11回)が開催された。
本会議では、「SECスタッフ報告書」、「IASBの最近の
動向等」、及び「デュー・プロセス・ハンドブック公開草
案への対応」について説明及び議論が行われた。また
事務局より、今後、7月に公表した「中間的論点整理」
でさらに議論が必要とされた点の審議や諸外国の状
況の把握を行っていく旨が説明された。
本会議の資料と議事録については、金融庁の以下ウェブ
サイトで入手可。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/top_gijiroku.
html
• 連結財務諸表規則第93条に規定する指定国際会
計基準の指定
2012年9月21日、金融庁より、2012年1月1日から
2012年6月30日までに公表された国際会計基準を、
連結財務諸表規則第93条に規定する指定国際会計
基準とする改正が公表された。本改正は2012年9月
21日より適用されている。
詳細は、ASBJの以下ウェブサイトで入手可。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/
domestic/sme16/
• ASBJとFASBによる定期会合
2012年9月14日及び15日、東京で第13回目となる
本会合を開催し、双方の最新活動状況の確認と、各国
会計基準設定主体等の関係者間の継続的な協調関
係のあり方について意見交換を行った。また、現在
FASBとIASBが審議中のプロジェクトの状況やFASB
が公表した意見募集「開示フレームワーク」などについ
て議論された。
詳細は、ASBJの以下ウェブサイトで入手可。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/
overseas/pressrelease_20120918.jsp;jsessionid
=6EF37E524A8411E94C95CB0B844CFF66
詳細は、金融庁の以下ウェブサイトで入手可。
http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/2012092
1-4.html
• 経団連による米国財務会計基準審議会(FASB)の
サイドマン議長との懇談
‐国際会計基準をめぐる今後の展望で意見交換
2012年9月12日、日本経済団体連合会(経団連)と米
国財務管理者協会(FEI)は、東京で懇親会を開催した
本会合にて、FASB議長は、SEC最終スタッフ報告書
や米国におけるIFRS適用に関するSECの決定時期の
見込み、FASBの今後の役割について言及した。
詳細は、経団連の以下ウェブサイトで入手可。
http://www.keidanren.or.jp/journal/times/2012/
0927_02.html
IFRS Outlook 2012年11月号
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Ernst & Young ShinNihon LLC
アーンスト・アンド・ヤングについて
アーンスト・アンド・ヤングは、アシュアランス、税
務、トランザクションおよびアドバイザリーサービ
スの分野における世界的なリーダーです。全世
界の16万7千人の構成員は、共通のバリュー
(価値観)に基づいて、品質において徹底した責
任を果します。私どもは、クライアント、構成員、
そして社会の可能性の実現に向けて、プラスの
変化をもたらすよう支援します。
「アーンスト・アンド・ヤング」とは、アーンスト・ア
ンド・ヤング・グローバル・リミテッドのメンバー
ファームで構成されるグローバル・ネットワーク
を指し、各メンバーファームは法的に独立した組
織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・
リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、
顧客サービスは提供していません。詳しくは、
www.ey.comにて紹介しています。
新日本有限責任監査法人について
新日本有限責任監査法人は、アーンスト・アン
ド・ヤングのメンバーファームです。全国に拠点
を持ち、日本最大級の人員を擁する監査法人
業界のリーダーです。品質を最優先に、監査お
よび保証業務をはじめ、各種財務関連アドバイ
ザリーサービスなどを提供しています。アーンス
ト・アンド・ヤングのグローバル・ネットワークを
通じて、日本を取り巻く世界経済、社会における
資本市場への信任を確保し、その機能を向上
するため、可能性の実現を追求します。詳しくは、
www.shinnihon.or.jp にて紹介しています。
アーンスト・アンド・ヤングの IFRS(国際財務報
告基準) グループについて
IFRS(国際財務報告基準)への移行は、財務報
告における唯一最も重要な取り組みであり、そ
の影響は会計をはるかに超え、財務報告の方
法だけでなく、企業が下すすべての重要な判断
にも及びます。私たちは、クライアントによりよい
サービスを提供するため、世界的なリソースで
あるアーンスト・アンド・ヤングの構成員とナレッ
ジの精錬に尽力しています。さらに、さまざまな
業種別セクターでの経験、関連する主題に精通
したナレッジ、そして世界中で培った最先端の知
見から得られる利点を提供するよう努めていま
す。アーンスト・アンド・ヤングはこのようにして
プラスの変化をもたらすよう支援します。
お問い合わせ先
新日本有限責任監査法人
IFRS 推進室
〒100-0011
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