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制度の論点メモ(今後の方向性について)
第1回 福祉用具実用化開発推進事業 制度評価分科会 資料9 制度の論点メモ(今後の方向性について) 平成 16 年 8 月 17 日 ㈱テクノリサーチ研究所 1.政策軸に関連する方向性 − 制度の位置付け、目的、目標について (1)上位命題から見た本制度の位置付け・役割 「我が国の福祉用具・機器に係る産業育成及び研究開発のあり方」という大きな命題か ら見て、本制度は今後、どのように位置づけられ、どのような役割を果たすべきかを検討 すべきである。 具体的には、福祉用具・機器に対する社会的ニーズは、高齢者向け市場を中心として、 高まる方向にある。一方、福祉用具・機器メーカの主役は中小企業であり、ニッチ市場が 多く、技術力・体力・販売力・人材が依然として不足している。本分野の R&D や産業振興 のために、本制度の今後の位置付け・役割をどう捉えるか一層の検討が望まれる。 (2)ユニバーサルデザイン化の是非 現在、本制度は障害者、高齢者向けの福祉用具・機器の開発を対象としているが、福祉 産業の振興を図るため、本制度の対象をユニバーサルデザイン1まで拡大させることの一層 の検討が必要である。 (3)他の類似制度と比較した場合の本制度の独自性 本制度の効率の更なる向上を図るために、(財)テクノエイド協会「福祉用具研究開発助 成事業」等の類似制度と比較した時の本制度の独自性および他制度との協力を今後どのよ うに図っていくべきかについて検討が必要である。 (4)制度目標の設定方法 本制度の目標として、現在、以下が掲げられている。 ①高齢者、障害者の生活支援、社会参加支援に資する福祉用具の実用化開発の促進に より、高齢者等の生活における負担の軽減を図り、安全で安心できる生活が実現で 1 ユニバーサルデザインとは、 「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢や障害の有無などにかかわ らず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすること。 (出所:http://www.pref.mie.jp/UD/hp/home/know/univer/) −1− きること ②より具体的な目標として、助成事業終了後3年経過した時点で 50%以上が製品化さ れていること このうち、②は客観的(定量的)に計測できる目標である2。 一方、①については、その度合に関する客観的な計測や評価が困難であるが、①に関す るより客観的、具体的、あるいは定量的な目標/評価指標の設定を検討することが必要で ある。 2 本分野の特殊性(公共性、非市場性)に鑑み、実用化目標や商業的な成功を過度に重視することに対す る異論もある(予備ヒアリング結果)。 −2− 2.マネジメント軸に関連する方向性 − 制度の枠組み(スキーム・体制、助成条件等)、採択審査、運営・管理について (1)助成対象者の規模 本制度の助成対象者として、大企業が含まれているが、助成の必要性や開発資金の多寡 等からみて、中小(+中堅)企業のみを対象にすべきとの意見がある。一方、開発体制や支 援体制(事務・経理等)があまりにも乏しい零細企業や個人も対象に含めていることに対 して、成果の質の面から疑問視する声がある(予備ヒアリング結果) 。高齢化や国民の価値 観、ライフスタイルの多様化に対応していくためにはむしろ大企業を取り込んでいくべき という意見もある。応募企業の資格要件の中に企業規模について明確な整理を検討する必 要がある。 (2)開発体制 中小企業は自社で保有している技術の幅が限られているため、また連携の相手先を見つ けにくいため、異なる技術(例:電子技術と機械技術、音声技術と無線技術)を持つ複数 社の共同開発/連携方式が有効との意見がある(昨年度の不採択企業(中小)からのヒア リング結果) 。 一方、ユーザとの連携を義務付けたり、ユーザとのやり取り(キャッチボール)を促進 すべきとの意見がある(今年度予備ヒアリング結果)。 また、大学や国研の潜在能力を活用すべきとの意見がある(今年度予備ヒアリング結果)。 このように、本制度の成果の有効性を更に高めるため、本制度の中で異なるアクター間 の連携の一層の強化を検討する必要がある。 (3)助成対象分野の重点化 本制度における開発テーマ及び開発製品について、玉石混合であり、戦略性が感じられ ないとの意見が一部にある(昨年度ヒアリング結果・アンケート結果、今年度予備ヒアリ ング結果等) 。これに対して、助成対象分野をより戦略的に重点化(絞り込み)することを 検討する必要がある。 (4)採択時の審査委員の選定 本制度の採択時の審査委員として、製品が売れるかどうかがわかる福祉用具・機器の川 下(流通、市場、事業化)に詳しい専門家をより増やすことを検討することが望ましい。 (5)より質の高い成果を生み出すための、審査基準・方法の改善 より質の高い提案/企業を選定し、より質の高い成果を生み出すためには、審査基準・方 −3− 法の改善をさらに検討する必要がある。(例:申請者の「やる気」や実施体制(開発面、事 務・経理面)の適切性を的確に審査しうる審査基準のあり方等) (6)助成期間途中での中止オプション 毎年度の個別課題(テーマ)の事後評価結果を受けて、今後進捗の見込みが無い案件(テ ーマ)については中止するような仕組みの導入を検討することが望ましい。(今年度予備ヒ アリング結果) (7)国内/国際規格に対応した製品づくりの促進 我が国の福祉用具・機器には JIS や国際規格に適合したものが少ないとの意見がある(今 年度予備ヒアリング結果)。本制度において、国内/国際規格に対応した福祉用具・機器の 開発の一層の促進を検討すべきである。 (8)情勢変化への対応 本制度が平成 5 年度に発足して 11 年を迎えるが、制度発足時と比べて現在、福祉用具・ 機器及び同産業を取り巻く社会情勢、社会ニーズ、技術動向はどのように変化してきたか、 また今後はどうかをふまえ、本制度の今後の方向性の一層の検討が必要である。 3.成果軸に関連する方向性 − 制度の主題的/副次的成果・効果について (1)実用化率や成果の質の向上策 本制度の実用化率3が年々下がっているが、この要因・背景は何かを明らかにし、今後、 実用化率や成果の質の向上のための方策について一層の検討が必要である。 3 助成事業終了後3年以内での実用化率=当該年度(終了年度)から3年以内(終了年度∼翌々々年度) に製品を販売した交付先の数÷当該年度で助成が終了した交付先の数 −4−