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第 30 巻という節目を迎えて 巻という節目を迎えて

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第 30 巻という節目を迎えて 巻という節目を迎えて
第 30 巻という節目を迎えて
[巻 頭 言]
第 30 巻という節目を迎えて
情報教育センター 所長 原田康平
原稿執筆に先だって、過去のジャーナルを少し手に取ってみた。第 1 巻は「久留米大学コン
ピュータ広報」という表題で、発行は 1985 年 3 月、当時のコンピュータ専門委員会委員長西
彰五郎教授とコンピュータ専門委員会委員長纐纈教三学長の巻頭言が寄せられている。
編集委
員長は商学部の上藤干城准教授(当時)
、私も編集委員の一員であったと記憶している。
1985 年といえば、NEC の PC98 シリーズを中心とした第 2 次パソコンブームの最中で、学
内にもパソコン通が増え始めた時期であった。しかしながら、N88-BASIC という限られた世
界での活用には限度があり、投稿者の確保には苦労が絶えなかった覚えがある。かつて某学会
の編集委員を命じられたとき、
「編集委員とは、原稿が足りないときの穴埋め要員」と諭され
た経験もあって、第 1 巻には 2 本、第 2 巻には 1 本、第 3 巻には 2 本の原稿を寄せざるを得な
い仕儀となった。
あれから 30 年、ドッグイヤーで換算すると 210 年という時間が経った。ヒューマンイヤー
さえおぼつかない私には、時に呆然とするような変化である。とりわけスマホを使わない(使
えない)わが身の時代遅れを痛感する場面が確実に増えてきた。
「情報処理を教える教員がそ
ういうこといっていいの?」という叱責が聞こえてきそうである。
確かに、道具としての IT 機器の使い方は多様化し、高度化してきたと思う。しかしながら、
改めて教室で学生を前にしてみると、
果たして 210 ドックイヤーズがどう彼らを変えてきたの
か、実はよく理解できてはいない。たとえば、ゼミで「スマホか携帯で自分の写真を撮って、
このアドレスに転送して」と要請すると、全員がただちに送ってくれる。ところが、
「1 ドル
120 円、1 ユーロ 134.5 円のとき、1 ユーロは何ドルか」という問題を出すと、目の前に Excel
が開いているにもかかわらず、
携帯
(スマホ)
の電卓機能で四苦八苦する学生が後を絶たない。
あるいは、探せば「1 ドル 120 円、1 ユーロ 134.5 円なら 1 ユーロ何ドル」と教えてくれるサ
イトがあって、
「ネットに聞け」もありなのかもしれない。実際、金融工学で「ブラック・シ
ョールズ式を使って、オプション価格を求めよ」という問題を出しているが、これを教えてく
れるサイトは少なくない。しかし、この便利さを単純に進歩と喜んでよいものかどうか。
便利な e-Learning システムの導入で、テキストも資料もレポートもみんなディジタル、無駄
な印刷は要らなくなった。20 年前に 100 人の学生に 100 種類の問題を作ってテストをしたこ
とがあったが、いまはすべて Web 上で乱数を使った小テストに置き換えた。質問があるなら
メールを送れ。議論はネットで・・・・。
さて、私も少しは変わってきたものの、では前と比べてどれほど成果が増えてきたのか。210
ドッグイヤーズの現役もいれば、PHS など知らないスマホ世代もいる第 30 巻目の今日、少な
くとも私にとって、情報教育の PDCA を少し考えなおす機会としてみたい。
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