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F. 心地よさやアクティビティの創出をテーマにしたもの

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F. 心地よさやアクティビティの創出をテーマにしたもの
F. 心地よさやアクティビティの創出をテーマにしたもの
F-1. マント空間と生活空間(見る庭・する庭)
公団住宅における屋外空間は、住棟グルーピングの核として団地を構成する役割に加え、住戸性能の面から「庭」
の機能を果たすことが求められた。また、テラスハウスが無くなり高密化が進むにつれ、重要性が増すようになった。
「マント空間」とは、住宅、広場、駐車場といった団地を形づくる構成要素を「くるむ」空間であり、それぞれの
性能を確保するために必要なものである。たとえば、住宅には、日照・通風・プライバシーを確保するため主開口
部から 12m のマント空間が必要である。(団地設計要領より)
これに対して、住戸周りでの日常的な生活行為を受け止める「そと空間」があり、マント空間の「見る庭」(セミ
プライベート空間)に対し、「する庭」(セミパブリック空間)として、段階的な領域を形成した。
【西上尾第一団地】 (埼玉県上尾市、3,202 戸、1968 / S43)
・囲み型の中庭を、「見る庭」と「する庭」を重ね合わせたものとして位置付けている。
・「そと空間=する庭」は、NS ペア住棟による中庭の幼児の遊び場や家庭菜園などのプライベートな性格のものと、
妻棟間に設けたパブリックなオープンスペースの2段階に分けられている。
ポジティブなスペース
性能を確保する「見る
庭」と、生活行為の場
「する庭」との重ね合
わせ
南入り住棟を採用し、
動線を集める NS ペア
団地の骨格となるパ
ブリックなスペース
歩行幹線軸
囲みをつくる住棟群に
帰属する
【稲毛海岸 3 丁目団地】
(千葉市稲毛区、分譲 768 戸、1968 / S43)
・「マント空間」と「行為の場」を明確に区分
し、それぞれの独立性や性能を追求
・妻棟間〜住棟北側はアクセスを含めた「す
る庭 = 行為の場」、
・囲みの内側は、住戸からの眺めを重視した
「見る庭 = マント空間」として立ち入り禁
止の芝生と植栽地
F-1
F. 心地よさやアクティビティの創出をテーマにしたもの
F-2. 立体的空間活用
高層・高密度な計画条件のもと、緑地・広場などのオープンスペースを確保し、閉鎖感・圧迫感を軽減するため、
様々な工夫が行われている。人工地盤等を用いた多層化はそのひとつ。
【東雲キャナルコート CODAN】
(東京都江東区、1,712 戸、2003 〜/ H15 〜)
人工地盤を地形として捉える
・建築の低層部を「台地」としてとらえ、このレベルにパブ
リックな街区の中庭を設けている。基本的な骨格となる
中央の S 字道路 ( グランドレベル ) には、階段・斜面な
ど街区それぞれのデザインで接続されている。
・駐車・駐輪場、ゴミ置き場等は中庭の下部 ( グランドレベ
ル ) に設置されている。
【アーベインビオ川崎】 (東京都江東区、1,712 戸、2003 / H15)
人工地盤を感じさせない植栽計画
・川崎駅前の超高層住宅開発。大規模な屋上緑化空間が複数の街区間にわたって連結される。
・
「都市の森」づくりのコンセプトのもと、川崎にもともとあった植生の復元を意図した充実した植栽計画が行われた。
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F. 心地よさやアクティビティの創出をテーマにしたもの
F-3. 重ね合わせ
広場・歩行者路・緑地・車道等の屋外空間を平面的に、相互に重ね合わせ敷地の有効利用を図るもの。
【葛西クリーンタウン】(江戸川区 清新プラザ:325 戸、1982/S57 清新南ハイツ:1,218 戸、1983/S58)
アプローチコモン
・住棟前のアプローチ道路を、道路線形や植栽・舗装等で車の通行機能を抑制した「融合型」歩車共存道路とした例。
子どもの遊び場や憩いの場等のコミュニティ空間としての機能を付与した。
幼稚園
幼稚園
8F
23F
6F
中層住棟前のアプローチ道路において、歩車融合を図った例。
【光が丘パークタウン ゆりのき通り】 (東京都板橋区 341 戸、1982 / S57)
コミュニティ道路
・歩道と車道を明確に区分した「分離型」の歩車共存道路。歩行者動線が集中する地区内補助幹線道において、車の
通行を抑制し、歩行空間としての快適性を高めた例。
F-3
F. 心地よさやアクティビティの創出をテーマにしたもの
F-4. アクティビティのコアを生活動線上につくる
アクティビティを生活動線上に集めることで、通りの都市性を高め、賑わいのある景観をつくることができる。
主要な動線に活動領域を集める手法は、昭和 40 年代のアーバニティー理論の高まりを受けて展開してきた。当時
の団地のペデウェイを中心とした屋外構成に典型的に見られる。
アクティビティのコアは、街角等、動線の交差する部分に複数設けることで、連続的に通りの景観を構成するこ
とができる。広場等外部空間のしつらえに加え、住棟、住戸や共用部分のエントランス、施設の配置など、動線要
素を絡ませることで、効果的にアクティビティを高めることができる。
【多摩平の森】 (東京都日野市、945 戸、2001 / H5)
・住棟のエントランス動線と密接な位置に遊び場を設けている。
【三鷹台】 (東京都三鷹市、建替、640 戸(一次・二次)、2003 〜/ H15 〜)
・中央ペデウェイに沿ったプレイガーデン。遊び場+共同花壇の構成。
(東京都足立区、居住事業、2003 〜/ H15 〜)
【西新井駅西口地区】
・街区角に街かど広場を設けるとともに、住棟エントランスを広場に面して設けている。
街区コーナーの街かど広場とエントランス
歩行者動線沿いの保育所
たまり空間となる前提が設けられている
F-4
F. 心地よさやアクティビティの創出をテーマにしたもの
F-5. 表出を促す住棟デザインを工夫する
生活表出は、居住者の住居への愛着の表現のみならず、領域形成によるコミュニティ形成や防犯性の向上に効果
がある。
表出を促す住棟・住戸は、昭和 50 年代から様々な形で試みられてきた。リビングアクセス住戸、接地階への専
用庭や専用テラスの設置、ダイレクトアクセス住戸、共用廊下と住戸の関係に関するものなど生活動線と関連づけ
た提案から、バルコニーのしつらえ、αルームやアネックス、さらには、シースルーエントランス、花台の設置に
至るまで、多様な手法が試されてきた。
【サンヴァリエ桜堤】 (東京都武蔵野市、1,120 戸、1999 / H11)
・接地階のテラスバルコニーとバルコニーからのアクセスや、住棟妻側のバルコニー設置など、周辺の緑や既成市街
地との関係性の再構築により、裏側になりがちな部分に生活感を出す工夫がされた。
(右)妻バルコニーとパーゴラ
(左)妻ピロティ 屋外広場と建物を馴染ませる半戸外空間
【葛西クリーンタウン】 (江戸川区 清新プラザ:325 戸、1982/S57 清新南ハイツ:1,218 戸、1983/S58)
・南入りのリビングアクセス住戸、メゾネット住戸による明るい幅広の共用廊下、廊下と室内のレベル差により視線
の交錯を避ける、花台の設置等の設計配慮により、共用廊下を豊かな共用空間とした例。住戸から監視性も高く防
犯効果も高い。
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F. 心地よさやアクティビティの創出をテーマにしたもの
F-6. 駐車場・駐輪場・ごみ置き場などの工夫
高密化の進展により、駐車場は立体利用が一般化し、メンテナンスの容易さ等から自走式大規模立体駐車場が主流
となっている。
相当程度のボリュームをもつ構造物であり、大きな壁面がどう修景するかが景観形成の大きなテーマとなっている。
建築的に、低層住棟のように見せる例
シンプルな壁面による処理
ルーバーと植栽、壁面緑化【アクティ三軒茶屋】
有効ブロックが閉鎖性を和らげている【豊洲3丁目】
立体駐車場前面に企画型住宅を導入した積極的な沿道景 敷地の高低差を活用した駐車場。上部は接する住宅の専用
観形成の例。【桃井3丁目】
庭として活用されている【多摩NTリベレ向陽台】
段状の植栽で周囲をカバーした例【桃井3丁目】
駐輪場の屋上緑化。住棟廊下からの視認性が高い場合が
多く、意外に効果が高い【サンヴァリエ桜堤】
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