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グッピーの研究

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グッピーの研究
グッピーの研究
水産科2年
1
小堀友理華
研究の動機
私はもともと魚の飼育、繁殖をすることがとても好きで、特に魚を増やすという分野に
とても関心があった。さらに数ある魚の中でも、熱帯魚が一番好きなので熱帯魚の飼育繁
殖に関する研究をしようと決めていた。しかし、熱帯魚といっても、数え切れないほど種
類があるのでどの魚種にしようか迷っていたが、いろいろ本で調べた結果、グッピーにす
ることに決めた。なぜならば、グッピーは丈夫で、水温の変化などにも強く、さらにペア
の組合せによっては様々な模様や体色の魚を作出することが可能だからだ。また、自宅で
グッピーを飼育していたのでその種類とは別の種類を掛け合わせたら大変興味深いと思っ
たからだ。観察対象の稚魚をできるだけ増やし、成魚の段階まで育て、体表の色彩などの
観察をすることを目的として研究を行った。
2
グッピーについて
(1) 魚の概要
グッピーとは熱帯魚の入門魚とも言えるほど飼育繁殖が簡単な魚である。原産地は
アマゾン川北部、トリニーダ島、バルバドス島、南米北部などの温暖な気候の川や池
などである。名前の由来は初めて大英博物館に寄贈した R.J.L.Guppy 氏の名前からき
ている。雄は3㎝雌は5㎝程度になり、原種は灰色や黄色などの体色に紺や緑の斑点
があるだけのとても地味なもので、ペットショップなどで見かけるグッピーは改良品
種のため、原種より弱い個体になってしまっている。
(2) 繁殖生態
グッピーに限らず胎生メダカの仲間は成熟した雄と雌を一緒にするとしきりに雄は
雌を追いかける。その間わずか1秒ほどで雌の生殖口に雄のコノポジウムと呼ばれる
生殖器を挿入して授精させる。雌は一度の交尾で体内に精子を蓄えておくことができ
るのでその後も稚魚を産むことができる。妊娠した雌の腹は稚魚が成長するにつれ大
きく膨らみ、稚魚の発眼が確認できるようになる。出産は夜から明け方の人目に触れ
ない時間に行われる。一度の出産で多いものは100匹近く産む雌もいる。
3
飼育方法
(1)親魚の組合せ
まずは親魚の組合せを考え、別々に飼育した。親魚は下の写真に示した3つの種
類を用いた。
-1-
ドイツイエロータキシード♂
ブルーグラス系♂
モザイク系♂
ドイツイエロー♀
以下に、親魚の組合せを示した。
組合せⅠ・・・
グラス♀
−
ドイツイエロー♂
組合せⅡ・・・
ドイツイエロー♀
−
グラス♂
モザイク♂
(2)水槽の設置
水槽に砂利を敷き水を入れて、水温を26℃に設定してハイポを入れて、水草を
植える。石も綺麗に配置してやる。そのまましばらくの間水を循環させ、バクテリ
アを繁殖させる。そうしたら、エビを入れる。そうしたら、魚を水槽に入れてやる。
餌は市販の物を一日2∼3回与える。
*用意したもの*
・60㎝水槽のセット(2つ)
・グッピー5匹(2ペアと♀1匹)
・砂利(水草が植えられる程度) ・ヤマトヌマエビ4匹(コケ掃除のため)
・石(レイアウト用)
・水草(レイアウト用と稚魚の隠れ家用)
・ハイポ(カルキ抜き)
3、結果
(1)稚魚の発生の状況について
二匹の雌は次々に稚魚を産んでくれた。さらに腹の大きな雌を観察するために組合せⅡ
のドイツイエローの雌を取り上げたところ、ビックリして、さいのうの付いている状態の
稚魚や卵や発眼卵を産んでしまった。残念ながらこの卵や発眼卵はふ化はしなかった。や
はり胎生メダカの仲間というくらいなので、雌の腹腔内と同じ状態下ではないと厳しいか
と思われる。写真1で卵の色は黄色く透き通っていて真ん中では細胞分裂をしている様子
がわかった。そのことからこの卵は受精卵ということがわかった。写真2の発眼卵では発
-2-
眼が二カ所確認できることから、双子ではないかと思われる。さらに写真3の稚魚はまだ
膜が付いている状態で産まれてきた。膜を取ってやると元気よく泳ぎだした。しかし少し
すると動かなくなり休んでいた。写真4は背骨が曲がってしまっている。7匹が背骨が曲
がってしまっていた。さらに発生状況をと組合せを表1にし、雌雄判別をし、体色や模様
を観察し絵に表してみた。産まれた稚魚は親魚別に飼育することができなかった。しかし、
雄稚魚は模様がしっかり濃く出ているので、観察してみると、組合せⅠかⅡの稚魚かがわ
かる。
2カ所確認できる
写真1
写真3
受精卵の様子
さいのうの付いた
写真2
発眼卵の様子
写真4
背骨の曲がってしまった稚魚
状態の稚魚
栄養不足が原因と思われる。
表1
組合せ群
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
親魚
産出日
尾
数
と
状
態
ドイツイエロー♂
H15.6.20
3
グラス♀
H15.6.29
23
モザイク♂
H15.9.19
10(稚魚)2(卵)5(発眼卵)
グラス♂
H15.6.20
1
ドイツイエロー♀
H15.6.23
28
H15.6.27
5
H15.7.11
14
親不明
不 明
1
計
92
-3-
(2)産まれた♂稚魚の模様
雄の稚魚で模様が出るまで成長した個体は13匹。ドイツイエローの系統は7匹、ワン
ポイント(モザイク・グラス)は6匹だった。成熟して雌を追い回している。色が混ざり
すぎて汚い個体もいたが、ライトを当てるととても綺麗な個体もいた。さらに成長するに
つれて色の発色も良くなり、落ち着いた色になった。尾の形も成長するにつれて大きく開
き繊細な綺麗な泳ぎ方をするようになった。
(3) 産まれた♀稚魚の模様
-4-
雌の稚魚で模様が確認出来るようになった個体は32匹でその内、ドイツイエローの系
統が11匹、モザイク・グラス系が21匹だった。グッピーの雌は基本的に地味だが、多
かったのが透明に近い灰色をベースにネオンつまり緑や青の光沢が入った個体だった。模
様や体色はあまり特徴は雄ほどはないが、尾の形状が様々だった。
4、まとめと反省
今回グッピーを飼育してわかったことは、熱帯魚の入門魚といわれるように飼育繁殖が
とても簡単であるということである。あっという間に稚魚が増えた。また、稚魚の産出の
瞬間なども観察することが出来た。残念ながら産出された卵や発眼卵をふ化させることは
できなかった。夏休みの管理不十分によって背骨が曲がるなど奇形になってしまう個体も
あった。しかし、背骨の曲がった稚魚も順調に成長し、次の世代を産むようになっている
ので、繁殖能力などには何も問題がないと思われる。しかし、グッピーは本来観賞用に改
良された魚なので背骨が曲がってしまっているのでは見栄えは良くないので価値は下がっ
てしまう。稚魚水槽が1個だけだったので、過密飼育となってしまった結果、稚魚の成長
がとても悪く、成魚と判断される体色が出た個体(雌雄判別ができた)は45個体で、半
分程度にしかならなかった。
今後の課題は何世代にも渡って遺伝や体色の変化などを観察し、しっかりとしたデータ
を得て、組合せなどを考えてペリングをおこない、より美しい個体を作るようにしたい。
また、市販の餌だけでなく冷凍イトミミズなどを与えるなどして、栄養面でもっと工夫を
すれば良かったと思う。
-5-
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