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事業報告書
2014年度 公益財団法人東洋文庫事業報告書 公益財団法人 東 洋 文 庫 理事長 槇 原 稔 2014 年 4 月 1 日~2015 年 3 月 31 日までに行われた公益財団法人東洋文庫事業報 告の概要は下記の通りです。 事 業 項 目 Ⅰ 調査研究 .................................. 2 Ⅱ 資料収集・整理 ....................... 10 Ⅲ 研究資料出版 ......................... 11 Ⅳ 普及活動 ................................ 12 Ⅴ 学術情報提供 ......................... 17 Ⅵ 地域研究プログラム ................. 23 1 Ⅰ.調査研究 A.超 域アジア研 究 超域 アジア研 究 部門 (1)総合アジア圏域 研 究 班 「総合 アジア圏 域研 究」 基 本的 な研 究方 法 は、年 度ごとに重点 地 域 を定め、それをアジア規模 の視野 から多 角 的に検 討 するとともに、周 縁 諸 地 域 との地 域 連 関 や相 互 影 響 関 係 を検 討 する。範 囲 は、基 礎 資 料 研 究 、 現 地 研 究 、主 題研 究 などに跨り、多 分 野 にわたる国 際 的 な比較 研 究 を行 う。また、資 料、検 討 過 程 並 びに研 究 成 果 は、欧 文 にてオンラインにより発 信 する。このような総 合 的 アジア研 究 は、アジ ア諸 地 域 における資 料 収 集 と地 域 研 究 の蓄 積 を持 ち、内 外 の研 究 連 携 を進 めてきた東 洋 文 庫 においてのみ可 能 であると考える。 東 洋 文 庫 のすべての研 究 班 の参 加 によって行 われる重 点 研 究 としてこの「総 合 アジア圏 域 研 究」があるが、基 本 的な検 討項 目 は、各 年 度において選 択した 1 つの地域 のアジア圏 域間 にお ける位 置 と役割 、地 域 間 移 民ネットワーク、ディアスポラ、トランスナショナル問 題 を検討 する。ワー クショップを開 催 して議 論 を重 ね、現 地 調 査 ・資 料 調 査 によって現 代 の諸 問 題 を歴 史 的 背 景 を 含 め提 示 する。これらの討 論 過 程 を、ワーキングペーパーや電 子 ジャーナルにおいて発 信 し、さ らに議 論を広 げていくことを目指 す。 [研究 実 施概 要] a) 昨 年 に引 き続 き、東 洋 文 庫 所 蔵 の貴 重 書 を用 いた講 習 会 「アジア資 料 学 研 究 シリーズ」を開 始した。今 年 度 は、「西 洋 古 典 籍 書 誌 講 習会 -西 洋 書 籍 と東 洋 研 究 Ⅱ -」として 2 日間 、 「東洋の CodicologyⅢ -文理 融 合型 東 洋写 本・版 本学 (講 習会)-」として 2 日間 、のセミ ナーを開 催した。内 外の書 誌学 研 究者 、研究 資 料館 からの応 募があり、このうち先着 で 52 名 の参 加を得た。 b) 現 代 中 国 研 究 班 、現 代 イスラーム研 究 班 がコーディネーターとなり、中 国 圏 域 とイスラーム圏 域の相互 影 響をめるぐ総 合アジア圏 域 研 究 シンポジウム “Islamic and Chinese Studies and Inter-Asia Research Networks: Integrated Study of Dynamism in the Supra-Regional Spheres of Islamic and Chinese Regions ” (The Third International Symposium of Inter-Asia Research Networks) を開 催した。シンポジウムは 2 日 間行 われ、のべ 93 名の参 加者 を得 て、 活発 な討 論が行 われた。 c) 若 手 研 究 者 の国 際 的 な研 究 成 果 発 信 を支 援 するため、昨 年 に引 き続 き、国 立 シンガポール 大 学 出 版 のポ ール・クラトスカ氏 を招 き、セミナー “Scholarly Publishing in English: What Editors Expect” を開 催 した。東 洋 文 庫 に籍 を置 く若 手 研 究 員 および日 本 学 術 振 興 会 特 別 研究 員が参 加し、クラトスカ氏より英文 研 究論 文の作 成について指 導をうけた。 (2)現代 中国 研 究班 「現代 中 国の総 合 的 研究 (2)」 現 代 中 国 は、政 治 、経 済 、社 会 の大 改 革 を行 い、その影 響 力 は東 アジアから広 く世 界 に及 び つつある。この動 態 を、歴 史 ・文 化 の要 因 をも視 野 に収 めながら、総 合 的 に捉 える研 究 体 制 (資 料 、政 治 、経 済 、国 際 関 係 ・文 化 の各 グループで構 成 )を構 築 した。資 料 の収 集 は東 洋 文 庫 の 蓄 積 を基 点 としつつ、学 際 的 研 究 と公 開 利 用 に向 けて拡 充 と再 編 をはかる。その際 、台 湾 中 央 研 究 院 や中 国 社 会 科 学 院 、ハーバード・エンチン研 究 所 との学 術 交 流 など、海 外 ・国 内 の研 究 機 関 との連 携 をいっそう強 化 し、政 治 、経 済 、国 際 関 係 ・文 化 グループは研 究 会 の開 催 を継 続 実施し、次 年 度 以降における成 果の刊行に備える。 [研究 実 施概 要] a) 資 料 グループは、2011 年 度に刊 行した和 文 論叢『モリソンパンフレットの世 界』をもとに、引 き 続 き東 洋 文 庫 が所 蔵 する近 代 中 国 関 係 資 料 の中 心 をなすモリソンパンフレットを整 理 し、系 統的 な調 査・研究 を着 実に進めた。 2 b) 政 治 グループは、政 治 ・経 済 ・行 政 ・社 会 ・法 律 各 分 野 の専 門 家 で陳 情 に関 心 を持 つ中 堅 ・ 若手 研 究者 をメンバーとする「綜合 研 究-陳 情」研 究 会を継続 した。 c) 経 済 グループは、南 京 大 学 に保 管 されていた、戦 前 の中 国 農 村 調 査 の基 礎 データ(ロッシン グ・バック資 料 )を修 理 ・収 集 し、広 く利 用 可 能 なデータとして東 洋 文 庫 に収 蔵 する作 業 を継 続した。さらに「歴史 的 視野 から見た現 代中 国 経済」研 究の第 2 部 として、毛沢 東 時代 の「社 会主 義 経済」にかんする再 検討 を行 うため研 究会 を継 続 した。 d) 国 際 関 係 ・文 化 グループは、前 年 度 に続 き、全 体 的 な研 究 テーマ「戦 後 中 国 の国 際 関 係 と 社会・文 化変 容」の下、3 ヶ月に 1 回 程 度の研究 会を開催した。 (3)現代イスラーム研究 班 「現代イスラームの超 域 的 基礎 研 究 -議 会 主義の展 開 と立 憲 体制 に関 する一次 資 料の収集 と比較 分 析研 究 -」 世界 の近 現 代イスラーム研 究において、これまでほとんど用 いられることのなかった中東 諸 国の 議 会 文 書 (アラビア語 、ペルシア語 、トルコ語 )を収 集 ・整 理 ・分 析 し、それぞれの地 域 (国 家 )に 誕生した議会 主 義の政治 思想 と立憲 体 制の実態 を比較・検 討する。2009 年 度 からは、新 たに中 央 アジア諸 国 を比 較 の対 象 に加 え、基 本 資 料 の収 集 と整 理 ・分 析 を行 う。これによって中 東 ・中 央 アジアなどのイスラーム地 域 における国 民 国 家 の歴 史 的 役 割 と今 日 的 意 義 を一 次 資 料 にもと づいて総 合 的 に考 察 する。他 方 、イスラーム関 係 資 料 の収 集 と整 理 、データベース化 を推 進 し、 日本 における資 料 センターとしての充 実をはかる。 [研究 実 施概 要] 現 代 イスラーム研 究 班 の活 動 は、資 料 の性 格 に対 応 してアラブ、イラン、トルコ、中 央 アジアの 4グループに分 かれて実 行 される。アラブ、イラン、トルコグループの研 究 は、第 1 期 (2003 年 -2008 年)の実績 を踏 まえて、以下 のように実施された。 a) アラブグループ:2013 年 度 にひき続き A Guide to Parliamentary Records in Monarchical Egypt (東洋 文 庫、2007)を利 用して、議 会 文書 の解 読・分 析を進 めた。 b)イラングループ:議 会 文 書 の分 析 を進 め、イラン議 会 図 書 館 との研 究 協 力 協 定 の一 環 として、 Ali Tatari 氏のペルシア語 書籍 Financial-Administrative System and Institutionalization of the First National Assembly of Iran を刊行した。 c) トルコグループ::『トルコにおける議 会 制 の展 開 』(東 洋 文 庫 、2007)および『全 訳 イラン・エ ジプト・トルコ議 会 内 規 』(東 洋 文 庫 、2014)の研 究 成 果 を踏 まえつつ、引 き続 きトルコの憲 法 と議 会に関 する資 料 文 献 の収 集と分 析を進め、研究 会を開催した。 d) 中央 アジアグループ:昨 年 度 までに引き続き関 係資 料 の収 集と整 理を行った。 e) 4グループの合 同研 究 会 (7 月 26 日、於:北 海 道 大 学スラブ・ユーラシア研究 センター)を開 催 し、宇 山 智 彦 「旧 ソ連 地 域 における主 権 国 家 体 制 の揺 らぎ:『脅 威 』の虚 実 、『ナショナリズ ム』『地 域 統 合 』の両 義 性 」、今 井 宏 平 「機 能 不 全 化 するトルコの地 域 安 定 化 政 策 :『アラブの 変革』とウクライナへの対応 を事 例 として」の報告 を得 た。 B.アジア諸 地域 研 究 1.東 アジア研 究部 門 (1)前近 代中 国 研究 班 ① 「古代 地域 史 研究 -『水 経注』の分 析 から-(2)」 本 研 究 班 では地 域 史 という視 点 から、中 国 古 代 の地 域 社 会 の構 造 を検 討してきた。その基 礎となるのは『水経 注』(原 典 6 世 紀 、中 国 最古 の地 理書)とその諸 注の再検 討 である。これを 注文 、疏 文まで精 読し、加 えて考 古 学 上の諸発 掘 成 果およびランドサット衛 星 地 図などと合 わ せて分 析 するという歴 史 地 理 学 的 な方 法 による研 究 に挑 んでいる。また流 域 の古 代 遺 跡 と 『水 経 注 』記 載 の内 容 を合 わせて検 討 することで、歴 史 的 自 然 環 境 ・社 会 的 実 態 を具 体 的 に 理 解 し、流 域 の地 域 社 会 の構 造 の変 化 を明 らかにしていく。刊 行 を予 定 している『水 経 注 疏 3 訳 注 』洛 水 ・伊 水 篇 訳 注 もこれらの成 果 を反 映 させたい。渭 水 下 流 域 及 び洛 水 ・伊 水 流 域 は 「黄 河 文 明 」の中 心 地 である。ここを「地 域 史 」と いう観 点 から分 析 することは中 国 古 代 史 研 究 においては新 鮮 な視 点 であり、『水 経 注 』の研 究 という範 疇 を超 えて、内 外 における中 国 古 代 史研 究の新 たな展開 となる研究 を目 指している。 [研究 実 施概 要] a) 陳 橋 驛 復 校 『水 経 注 疏 』(江 蘇 古 籍 出 版 社 刊 )をテキストとし、洛 水 ・伊 水 篇 (巻 15)の講 読を隔週 の研 究 会において実 施し、完 了した。 b) 上記 の研 究 会での成 果 と 2013 年 12 月 に行 った洛 水・伊水 流 域の実地 調 査による成 果等 をふまえて、東 洋 文 庫 中 国 古 代 地 域 史 研 究 グループ編 『水 経 注 疏 訳 注 洛 水 ・伊 水 篇 』 (東洋 文 庫論 叢 78)を刊 行 した。 ② 「中国 社会 経 済史 用 語 解集 成の作 成とその電 子 辞典 化」 本 グル ー プがこ れ まで に 作 成 ・ 公 刊 し た『 宋 史 食 貨 志 訳 註 ( 一 ) ~( 六 ) 』 ( 東 洋 文 庫 刊 、 1960 年~2006 年)、および『宋 会 要 輯 稿・食 貨 篇・社 会経 済 用 語 集成』(東 洋 文 庫刊・ 2008 年 )における訳 註 および用 語 の収 集 の成 果 をベースとして、整 理 と増 補 を加 え、広 範 囲 かつ 多方 面の利 用者 の便 宜に適合 するような冊 子 体および CD-ROM の用語 解 説 集を作成し、研 究活 動のいっそうの発 展に資するプロジェクトである。 [研究 実 施概 要] a) 『宋会 要 輯稿・食貨 篇・社 会経 済 用語 集 成』(東 洋文 庫、2008)に収 載する約 8 万の用語 を、検索 の便 宜に向けて、A.財 政、B.経済 、C.社 会、D.公 用語 の 4 範疇(同 中 ・小区 分) に従って再 整 理・再 編 集し、デジタル化して公開した。 b) 『中 国 社 会 経 済 史 用 語 解 』(東 洋 文 庫 、2011)を増 補 拡 充 するため、司 法 ・商 業 の用 語 の 解 読 ・語 釈 を実 施 し、宋 明 刊 「清 明 集 」戸 婚 門 、道 釈 門 、明 刊 「万 用 正 宗 」律 令 門 、商 旅 門の訓読 と用語 の採 集を行った。 c) 次年 度に『唐宋 編 年 史料 語彙 索 引』(約 6 万 語彙 原 稿カードによる)を電子 媒 体で編 集し て公 開するための準備 作 業を行った。 ③ 「東アジア都 城の考古 学 的調 査・研究(3)」 本 研究 班 では、渤 海 を中 心 として東 アジアにおける都 城の比 較研 究 を行 い、その研 究 成果 として 2004 年度 に『東アジアの都城 と渤海』、2006 年度 に『渤 海都 城の考 古 学的 研 究 Ⅱ 』を 公刊した。2011 年には上 京龍 泉 府、2012 年には上 京龍 泉 府、虹 鱒漁 場 墓地 遺跡 、三霊 屯 遺 跡 等 の中 国 所 在 の渤 海 遺 跡 を踏 査 、資 料 収 集 を行 った。現 在 、中 国 では上 京 龍 泉 府 、西 古 城 、八 連 城 など都 城 及 び古 城 跡 の調 査 が進 行 し、それら遺 跡 の報 告 書 も刊 行 され、渤 海 遺 跡 に関 する資 料 が増 大 した。そのため、これら遺 跡 資 料 の机 上 における整 理 と調 査 ・研 究 が重 要となっており、現 地 における調 査とともに継続 していくことが今後の活 動 の中 心となる。 [研究 実 施概 要] 引 き続 き中 国 吉 林 省 所 在 の八 連 城 、西 古 城 、黒 竜 江 省 上 京 龍 泉 府 など渤 海 の都 城 に関 する遺 跡 を調 査 した。これらの遺 跡 については中 国 によるかなりの量 の発 掘 報 告 書 が刊 行 さ れたため、それらの報 告 結 果 の精 査 を行 い、これ までの研 究 成 果 と合 わせて再 検 討 を行 った。 また、近 年、中 国の渤 海 墓 地 遺跡 の調 査 報 告書 も多 数 刊行されており、各地 域 における渤 海 墓の特徴 を出 土 遺物 の研 究と合 わせて検 討する予 定 である。 ④ 「前近 代中 国 民事 法 令 の変 遷」 宋 代 以 降 の戸 婚 ・田 土 ・銭 穀 などを扱 う「民 事 」法 令 を分 析 し、どのように変 遷 してきたかを 明らかにする。中国 の各 時 代の様々な法についての研究 の中 でも、近 20 年の特徴 のひとつと して、法 令 の有 効 性 、厳 格 性 などを版 牘 文 や契 約 文 書 によって検 討 する研 究 がなされてきた ことがあげられる。契 約 文 書 や多 くの条 例 、版 牘 文 など が発 見 され、また中 国 国 内 にあるもの が利 用しやすくなったことにもよろう。本研 究 班も過 去 5 年間 、この方 向で研 究活 動をしてきた。 この 5 年間の研 究をとおして、あらためて法 令そのものに視 点をあてることが必 要であることに 4 到 った。民 事 的 な法 令 に限 ったのは、社 会 状 況 を反 映しやすく、社 会 の実 態 の変 化 を分 析 す るに適 していると見 ているためである。一 度 できた法 は常 に現 実 社 会 に適 合 しにくくなってゆく が、時 代 を通して考 察することにより、漢 族 社会 の大 きな変 容をつかむことができると考える。 [研究 実 施概 要] a) 2013 年度に引き続 き、宋 ~清の条 例の収集 を進めた。 b) 収 集 した条 例 の整 理 、解 読 と並 行 して定 期 的 に研 究 会 を開 催 し、メンバーが各 自 分 担 研 究する研 究報 告 を数 度 実 施した。 c) 内 外 の研 究 者 と意 見 交 換 の場 としての拡 大 研 究 会 として、本 年 度 は中 国 厦 門 大 学 の鄭 振満 教 授を招き、講 演 と学 術交 流を実 施した。 (2)近代 中国 研 究班 「20 世紀前 半 日本 の中 国 調査」 本研 究 は、1910 年代 から 40 年 代前 半に日 本の諸 研 究調 査 機関 が中 国 で実 施 した調 査 活動 に関 する資 料 収 集 とその分 析 を行 うもので、その重 点 は華 北におくが、地 域 的 特 質 を検 討 するた めに華中 南 を含 め、日 本 側および中 国側 の資 料の活用 について新 たな視点 から再整 理 をはかり、 20 世 紀 前 半 期 の中 国 社 会 の全 体 像 を考 察 する。2012 年 度 に引 き続き、「華 北 」認 識 の問 題 を 中心 テーマとする。 [研究 実 施概 要] a) 華中・華 南を中心 として、日本 及 び中 国における資 料調 査・収集 を引 き続 きおこなった。 b) 定例的研究会を開催し、山本真「華南福建の社会構造から読み解く革命と戦時総動員 -在 地武装勢力に着目して-」、本庄比佐子「台湾から華南を見る -資料の一つ『台湾時報』-」、 高田幸男「江南プロジェクトの現状 -科研第 2 期第 1 回調査へ向けて-」の各報告を得た。 c) 『近代 中 国研 究 彙報』第 37 号を刊行した。 (3)東北アジア研究 班 ① 「日本 所在 近 世朝 鮮 文 献資 料 研究(2)」 当班 では 2004 年 度以 来 、京都 大 学附 属 図書 館 や天 理大 学 附属 天 理図 書 館今 西文 庫を はじめ、日 本 国 内 の各 機 関 ・個 人 が所 蔵 する近 世 朝 鮮 の記 録 類 の調 査 を進 めてきた。本 課 題 はそれをさらに継 続し、第 2 次調 査をおこなうことにより、解題 目 録の完成 を期すことをめざ す。すでに近 世 朝 鮮 の古 典 籍 類 (いわゆる「朝 鮮 本 」)については総 合 的 な調 査 が進 められ、 その全 貌 がある程 度 解 明 されているが、これに対 し地 方 官 庁 や民 間 で作 成 され、「成 冊 」など と呼 ばれる帳 簿 類 など各 種 の記 録 類 については、これまで全 体 的 な調 査 がなされることがほと んどなかった。2004 年 度 からの第 1 次 調 査では、もはや現 地では所 在が確認されていない資 料を発見し、その内 容分 析 をおこなうなどの成果 もあげており、第 1 次 調 査と今 回 の第 2 次調 査によって、日本 における当該 資 料 類 の悉 皆 的な調 査をほぼ達成 できるものと見込 まれる。 [研究 実 施概 要] a) 『日本 所 在近 世 朝鮮 記 録 類解 題 Ⅱ』刊 行の準備 作 業を進めた。 b) 調 査 済 み資 料 について書 誌 データの整 理 と分 析 を進 め、また韓 国 所 在 の資 料 類 との対 照作 業を通じて近 世朝 鮮 の各 種記 録 類の性格 を検 討した。 c) 未調 査 資料 のリストを作成 し、予 備的 調 査を行った。 ② 「清朝 満洲 語 檔案 資 料 の総 合的 研 究(2)」 清 代 の第 一 公 用 語 である満 洲 語 は、清 初 ばかりでなく、清 朝 一 代 にわたって用 いられた言 語 である。18 世 紀 の乾 隆 帝 代 より、京師 に暮らす旗 人 たちは、日 常 語 として漢 語 をもちいるよ うになっていったが、文 章 用 語 としての満 洲 語 は、民 国 にいたるまで継 続 して利 用 された。現 在 、北 京 ・中 国 第 一 歴 史 檔 案 館 には、約 1千 万 件 の文 書 資 料 が保 存 されているが、そのかな りの部 分 は、満 洲 語 (または漢 語 とのいわゆる合 璧 )によって記 されたものである。このことは、 清 代 の文 書 伝 達 体 系 全 体 において、満 洲 語 の利 用 が不 可 欠 であったことを示 している。とく に入 関前(1644 年 以 前)および清 初の時 期の文書・書籍 、ならびに旗人 、藩部 をはじめとする 5 辺 境 地 方 、そして対 外 関 係 等 の文 書 において、多 くの場 合 満 洲 語 が用 いられている。本 研 究 は、これら満 洲 語 で記された、または場 合 によっては印 刷された清 代の文 献 資 料 について、清 初期 を中 心 として総 合的 に検討 を加 えようとするものである。 [研究 実 施概 要] 清初 の「内 国史 院」関係 文 献と『鑲 紅旗 満 州衙 門 檔 案』の研 究 を実 施する。2012 年度 に出 版 した「天 聰 五 年 檔 Ⅱ 」にひき続 き、崇 徳 年 間 分 の檔 案 研 究 を継 続 した。また、『鑲 紅 旗 檔 』 研究 編(TBRL The Bordered Red Banner Archives in the Toyo Bunko )の編 集 作業 を継 続し た。また、本 研 究 グループが長 年 にわたって実 施 した調 査 によって得 られた清 史 関 連 文 献 の 整理・研 究を併せておこなった。 ③ 「清代 東アジア・北 アジア諸領 域の歴 史的 構 造分 析 (2)」 中 国 ではこの数 年 にみられる内 外 政 治 ・経 済 ・民 族 を中 心 とする国 家 事 業 が急 進 するなか、 長 期 間 に亙 って内 在 していた政 治 ・経 済 ・民 族 ・文 化 問 題 が表 面 化 している。チベットやウイ グルをめぐる自 治 区 の問 題 はその端 的 な事 例 であり、その影 響 は広 く中 央 アジア・北 アジア領 域 世 界 にも及 んでいる。そこには、中 国 内 地 の諸 領 域 世 界 とその周 辺 に連 な る諸 領 域 世 界 と の一 体 化 を進 展 させた清 朝 の最 大 版 図 が直 接 に現 代 中 国 と繋 がるなか、その一 体 化 から生 じた政 治 ・経 済 ・民 族 ・文 化 の問 題 も現 代 中 国 に直 結 していた反 映 と捉 えられる特 徴 が多 々 窺える。新たに用 いられ始 めている「中 華民 族」の呼 称 はその顕 著な例 として捉 えうる。本 研 究 班 では、中 国 内 地 の諸 領 域 世 界 とその周 辺 に連 なる諸 領 域 世 界 との一 体 化 を独 自 に進 展 さ せた清 朝 の国 家 領 域 構 造 と対 外 関 係 の問 題 を総 合 的 に研 究 ・分 析 してきた。刊 行 予 定 の英 文 論 文集 にこれまでの成 果を反 映させると共 に、引 き続 き清代 東 アジア・北アジア諸 領 域にお ける歴 史 的 構 造 の全 容 を総 合 的 に捉 える研 究 体 制 を構 築 するべく、清 朝 の国 家 領 域 構 造 と 対 外 関 係 を分 析 する上 で不 可 欠 な檔 案 (公 文 書 )類 のうち、保 存 収 蔵 状 況 が未 詳 な 檔 案 類 を中 心に体系 的に蒐 集、整理 、デジタル化し、向 後 の研 究に貢献 することを目 的とする。 [研究 実 施概 要] a) 欧文 論 叢(TBRL)『清代 諸 領域 の歴 史 的構 造 分析』第 1 巻・清朝 初 期政 治 史 研究(1)な らびに同『清 代諸 領 域の歴 史的 構 造分 析』第 2 巻・『壇廟 祭 祀節 次』の刊 行を準備した。 b) 前 年 度 に引 き続 き、清 朝 政 治 史 、清 代 中 国 社 会 経 済 史 、清 代 中 国 近 代 政 治 史 、清 代 モ ンゴル・露 清 関 係 史 、清 代 中 国 西 南 民 族 史 の各 専 門 研 究 領 域 をもとに、既 成 の領 域 世 界・時代 区 分の枠 を越えて海 外における図 書 館・檔案 館・研究 機 関などに所 蔵されている 檔 案 文 献 史 料 類 の史 料 調 査・現 地 調 査 を実 施 し、旧 来 のマイクロ=フィルム方 式 や新 たな デジタル化 方 式 による蒐 集 ・整 理 ・分 析 作 業 を行 うと共 に、中 国 で新 たに影 印 されている 大部 の檔 案 文献 史 料類 の蒐集 することを進 めた。 c) 上 記 の文 献 史 料 類 について、目 録 作 成 を進 めると共 に、デジタル化 によって 幅 広 い利 用 ができるようにした。またこれらの新 規 蒐 集 史 料 と東 洋 文 庫 収 蔵 の文 献 資 料 とを活 用 し、 上 記 の課 題 に関 する研 究 を推 進 し、その研 究 成 果 を個 別 論 文 ・論 文 集 ・史 料 集 などの形 で公 開 することを目 指 した。欧 文 論 叢 (TBRL)として準 備 した『清 代 諸 領 域 の歴 史 的 構 造 分析』第 2 巻・『壇 廟祭 祀 節次』はその一 環であり、東洋 文 庫所 蔵の『壇 廟祭 祀節 次』(漢 文・満 洲 文)を取り上 げ、広 く中国 の国 家 祭祀 研 究への大きな貢 献をめざしたものである。 (4)日本 研究 班 「岩崎 文 庫貴 重 書の書誌 的研 究(2)」 東 洋 文 庫 所 蔵 の岩 崎 文 庫 には日 本 の文 化 ・文 学 ・言 語 を研 究 する上 で重 要 な典 籍 が数 多 く 所蔵されているが、その書 誌的 調 査 は未 だ十 分にはなされていない。2006 年 度 までに室 町時 代 以 前 に成 立 した古 写 本 ・古 版 本 についての書 誌 解 題 ( I~V)を公 刊 したことを受 けて、ひき続 き 近 世 の成 立 ないしは刊 行 の貴 重 書 を調 査 して研 究 の基 盤 を整 備 するとともに、その成 果 を広 く 公開 することをめざしている。 [研究 実 施概 要] 2015 年度刊行予定の『岩崎文庫貴重書書誌解題Ⅷ』に向けて、岩崎文庫所蔵資料について書 6 誌調査を行い、研究会を催し、執筆作業を進めた。また、その資料群の全体像の把握に努めた。 2.内 陸アジア研究 部 門 (1)中央アジア研究 班 ① 「サンクトペテルブルグ所 蔵古 文 献の研究 -ウイグル文を中心 として-」 東 洋 文 庫 が入 手 したサンクトペテルブルグの東 洋 学 研 究 所 のマイクロフィルムのうち、ウイグ ル語 とソグド語 については『東 洋 文庫 所 蔵 St.Petersburg ウイグル文 字・ソグド文 字・マニ文 字 写本 マイクロフィルム仮 目 録[第 1 稿]』として、初期 の現 地での実 見データの一部 を取 り込 ん だフィルム番 号 整理 一 覧を、2002 年に刊 行した。その後、マイクロフィルムのデータを昨年 まで のプロジェクトでデジタル整 理 を続 けた。ほぼ完 成 に至 った目 録 の改 訂 版 を原 稿 とし、冊 子 か デジタルデータの形 で編 集 し直 して刊 行 することは、内 外 研 究 者 の要 望 に沿 うことになる。た だし、東 洋 文 庫 と東 洋 学 研 究 所 の初 期 の契 約 の制 約 があるため、その刊 行 方 法 については 慎 重 に検 討 をおこなうものとしたい。ついては、ウェブ上 に未 公 開 のものを含 む大 英 図 書 館 蔵 のウイグル文 字 文 献 の一 覧 表 などと合 わ せて刊 行 する可 能 性 も検 討 したい。その中 から、文 書研 究の成 果についての論文 をこれに付すこととする。 [研究 実 施概 要] a) 目録改訂版の増補をベースとして文献研究を進め、各メンバーが個別成果として発表した。 b) 古ウイグル文を中心とする古文献の研究文献一覧を増補し、下記c、dの成果に反映させた。 c) 漢文との合璧文献を中心として、2-(1)-③「漢語文献」グループとの協同研究をすすめた。 d) データベース「IOM 所 蔵 ウイグル文 書 目 録 -東 洋 文 庫 蔵 マイクロフィルムより-」を作成 して東 洋文 庫のサーバに搭載し、当 面 内 部での利 用ができるようにした。 ② 「近現 代中 央 ユーラシアにおけるイスラームと政 治 権力」 ソ連解 体(1991 年)以 後 、中央 ユーラシア近 現代 史 研究 は、大 きく可 能 性が開 かれた。これ までアクセスが不 可 能 であった多 種 多 様 な史 料 が公 開 され、また現 地 の研 究 者 との共 同 研 究 や外 国 人 研 究 者 による現 地 調 査 も可 能 になったことは、決 定 的 な意 味 をもっている。こうした 中で、本 研 究 は次 の 2 点 を課 題 とする。 第 一 に、8 世 紀 以 降 の中 央 アジア史 を考 えるとき、その政 治 と社 会 、文 化 においてイスラー ムが果 たした役 割 を無 視 することはできないが、ソ連 時 代 は無 神 論 イデオロギーのためにイス ラームに関 わる諸 問 題 は不 当 に軽 視 されてきた。いま新 たな中 央 アジア史 を再 構 成 しようとす るならば、この点を克服 することが不可 欠 である。 第 二 に、ペレストロイカ以 降 、中 央 ユーラシア地 域 においてはイスラームの復 興 が顕 著 であ り、イスラーム国 家 の樹 立 を目 標 とする急 進 派 は、世 俗 主 義 を掲 げる政 権 との間 に鋭 い緊 張 関 係 を作 り出 している。このような現 代 のイスラーム復 興 主 義 は、 中 央 ユーラシア史 の文 脈 に おいてどのように考 えるべきだろうか。それには、近 現 代 史 におけるイスラームと政 治 権 力 との 相互 関 係を実 証的に検 討 することが不 可 欠である。 [研究 実 施概 要] 研究 計 画に基づいて実施 した。 ③ 「サンクトペテルブルグ東 洋 学 研 究 所 所 蔵 内 陸 アジア出 土 漢 語 文 献 マイクロフィルム目 録 のデ ータベース化」 2002 年に東 洋 文庫 が世 界 にさきがけて入 手した東 洋 学研 究 所の内陸 アジア出 土文 書 マイ クロフィルム(全 363 リール、約 25 万齣)には、4、5 世 紀 から 15 世 紀に及ぶコータン・サカ語 、 西 夏 語 、チベット語 、ウイグル・ソグド語 、漢 語 、チャガタイ・トルコ語 、サンスクリット語 、アラビア 語、ペルシア語 、満 洲 語、モンゴル語の 11 言 語の文 書が含まれている。このフィルム資料 の目 録 をデータベース化 してそれを公 開 することは、わが国 だけでなく、諸 外 国 の研 究 機 関 ・研 究 者の希求 するところ切なるものがある。 本 研 究 は、上 記 フィルムの中 からとくに漢 語 文 献 を抽 出 してそのフィルム目 録 のデータ化 を 図るとともに内陸 アジア出 土漢 語 文献 の特 性を明らかにすることを目 的とする。 7 [研究 実 施概 要] a) 敦煌 出 土文 献 Reels256~363 のうち、漢 語 文献 のある 40 リール(266~277、279~286、 292、334~337、349~363)についてリールに付 された各 文 献 整 理 番 号 とその齣 数 とを対 照させた仮 目 録 を作 成し、文 庫の閲 覧に供 するべく各 文 書に付された文 献 番号 の「索 引」 作りを進 めた。 b) 上 記 文 献 中 、『俄 蔵 敦 煌 文 献 』(上 海 古 籍 出 版 社 、 1993)で未 収 録 とされる漢 語 文 献 約 700 件について、前 年度に引き続き内容 を検 討した。その中の 20 件については録文 を作 成し出 典を確 定することができた。 c) サンクトペテルブルク所 蔵 ウイグル・ソグド文 字文 献全 31 リールのうち、21 リールに含 まれる 漢語 文 献約 1,100 件余 りについて、文 献番 号 とその microfilm 齣 数とを対照した「仮 目 録」 を作 成 するとともに、できる限 りその録 文 と出 典 を示 した目 録 の作 成 に着 手 し、その結 果 、 非仏 典 漢語 文 献の集約 については一 定の目途 を立 てることができた。 d) 本 研 究 班 における研 究 成 果 として、『敦 煌 ・吐 魯 番 出 土 漢 語 文 献 の様 式 ・特 性 の研 究 』 (仮 )を刊 行 するために、前 年 度 に引 き続 き定 期 的 に「内 陸 アジア出 土 古 文 献 研 究 会 」・ 「8-11 世紀 内 陸アジア出土 漢語 文 書輪 読 会」を開催し、編 集 作業 を進 めた。 (2)チベット研 究班 「チベット蔵 外 文献 の書 誌 的研 究 (2)」 チベット研 究 班 においては、新 たに発 見 された写 本 を中 心 とするチベット語 資 料 を収 集 ・保 管 し、歴史・文 化・宗教 の各 分 野にわたるチベット語 文 献の体 系 的網 羅 的なコレクションの充 実をは かることを目 的 とする。収 集 した資 料 については目 録 化 を行 い、データベースとして公 開 すると同 時に、敦 煌チベット語 文 献 、河口 慧 海 将 来 文献 などとともに東 洋文 庫 所 蔵 チベット語 蔵 外 文 献と して写 本校 訂 と訳 注 研究 を行い、データベースあるいはシリーズ刊行 物 として公 開する。以上 の 3 点により、世 界 的なチベット学の研究 拠 点として高 い貢 献を目指 すものである。 [研究 実 施概 要] a) 資 料 収 集 :近 年 中 国 で出 版 されたチベット美 術 関 連 の図 書 を収 集 した。チベット語 大 蔵 経 文 献、蔵 外文 献の電 子版 を購入し、コレクションの体 系 的な充実 をはかった。 b) a)によって収 集した資 料の整理 を行 った。 c) チベット人 研 究協 力 者の協 力のもとに、次 の研 究 を行 った。 ① 筆 記 体 写 本 の校 訂 :古 いチベット語 写 本 の多 くは手 書 きの筆 記 体 で書 かれており、一 般 研 究 者 には解 読 が難 しいものがある。それらをチベット人 協 力 者 の指 導 を得 て校 訂 し、活 字体 テキストデータベースを作 成した。 ② ①のデータベースをもとに文 献の分析・研究 を行った。 d) 『西蔵仏教宗義研究 第 11 巻』、Studies in Tibetan Buddhist Texts vol. 2 の刊行準備を行った。 3.インド・東 南アジア研究 部門 (1)インド研究 班 「インド刻文 史 料の蒐集 と研究」 インド(南アジア)の刻 文 研 究 は、これまでわが国 でごく僅 かな研 究者 しかいなかったが、近 年 、 ドラヴィダ系 言 語 について石 川 寛、太 田 信 宏、アーリヤ系 言 語について三 田 昌 彦 、古 井 龍 介 とい った若 手 研 究 者 が育 ってきた。刻 文 は、「史 書 なきインド」の古 代 ・中 世 史 研 究 においての根 本 史 料 であるにもかかわらず、そのようなこれまでの状 況 から、わが国 においては、テキストおよび研 究書 の蒐 集が充 分とは云 えない。 他方 、インド自体 での刻 文 研究 は、テキストの出 版が遅れていることと、若 手研 究者 が育 たない ことによって、危 機 的 な状 況 にあるとさえ云 いうる。また、世 界 的 にも、インド刻 文 の研 究 者 数 は、 極めて少 ない。 そのような状 況 に鑑 み、わが国 の研 究 機 関 において、未 出 版 のものをも含 めてインドの刻 文 史 料 を蒐 集 し、それを国 際 的 に公 開 しながら、わが国 の新 しい研 究 者 の力 を結 集 して、インド古 代 史・中 世 史の研 究 進 展を図ることは、わが国のインド研究 に課 せられた急 務 と云 えよう。 8 [研究 実 施概 要] a) 実 際 の出 来 事 を記 録 する刻 文 と、年 代 を経 て語 り継 がれる口 頭 伝 承 の関 係 は重 要 で、 2015 年 2 月 、Brenda Beck トロント大 学教 授 と Y. Subbarayalu 元タミル大学 教 授を招いてセミナ ーを行い、中 世 タミル地 方 の口 頭伝 承 と刻 文の関 係 を検 討した。 b) 2014 年 3 月に東南アジア研究班と合同で行った、南アジア・東南アジア前近代における国家形 成と社会統合についての国際シンポジウム報告書(TBRL)の作成を行い、原稿を完成させた。 c) イン ド研 究 班 が 2009 ~2014 年 度 に行 ったインド刻 文 研 究 についての報 告 書 Report on Indian Epigraphical Studies の作 成にかかり、その原 稿をほぼ完成させた。 (2)東南アジア研究 班 「近現 代 東南 アジアに関 する史 料研 究」 近 代 日 本 と東 南 アジアは、明 治 期 の後 半 から緊 密 な関 係 を有 し始 め、第 二 次 世 界 大 戦 期 に 日 本 は東 南 アジアを軍 事 占 領 した。また戦 後 日 本 は、東 南 アジアと緊 密 な経 済 関 係 を形 成 する に至っている。こうしたなかで日 本の東 南アジア研 究も、この 40 年 間に飛躍 的な研究 の発 展をと げた。ただし日 本 の東 南 アジア研 究 は、第 二 次 世 界 大 戦 後 にいきなり始 まったわけではない。す でに大 正 期 より東 洋 史 の東 西 交 渉 史の一 分 野 として南 洋 史が注 目 を浴 び、また南 洋 ブームの高 まりとともに経 済 関 係 の文 献 も出 版 されていた。そして第 二 次 世 界 大 戦 期 には、翻 訳 本 も含 め多 数 の東 南 アジア関 係 の文 献 が出 版 された。これらの文 献 は、一 部 の実 証 研 究 を除 いて、学 術 的 にあまり注 目 を浴 びてこなかった。しかしそれらは、日 本 の東 南 アジア観 を検 討 するためのみなら ず、東 南 アジア社 会 を考 察 する上 においても、重 要 な資 料 となりうる。本 研 究 は、従 来 力 点 が置 かれた日 本 の東 南 アジア関 与 という観 点 からのみならず、当 時 の東 南 アジアの社 会 統 合 に果 し た日 本 人 の役 割 の視 点 からその記 述 を検 討し、日 本 人 をはじめ中 国 人 やインド人 さらにはアラブ 人や欧 米人 など多様 な人 々が居 住した近 代 東南 アジア社 会の特 質について研究 する。 [研究 実 施概 要] a) 近 代 東 南 アジアの都 市 の社 会 統 合 に果 たす日 本 人 の役 割 に関 する文 献 資 料 の整 理 を行 い、 関係 文 献目 録のデータベース作成 について検討した。 b) カンボジアをはじめとする東 南 アジアの主 要 都 市 を訪 れ、外 来 系 住 民 の居 住 空 間 の歴 史 的 展開 について調査した。 c) 研究 会 を開 催し、日 本 人をはじめ外 来 系住 民 を交えた近代 東 南アジアの都 市の社会 統 合に ついて議 論し、併せて成果 の出 版について検 討した。 4.西 アジア研 究部 門 西アジア研 究 班 「イスラーム世界 における契 約文 書の研 究 (2)」 ワクフ(宗 教 的寄 進)は、都 市や農 村の宗 教 施設 を建 設するだけでなく、経 済 基 盤 となり、政 治 権 力 者 、名 士 、民 衆 の結 びつきをつくった。ワクフに関 わる、法 学 書 、年 代 記 、地 理 書 などの叙 述 史料 とワクフ寄 進 文 書や調 査台 帳 などの文 書 史 料 を収 集し、諸地 域 における実 態と歴 史 的変 容を解明 する。 [研究 実 施概 要] a) 第 1 期 からの継 続課 題であるヴェラム文書(モロッコの契 約文 書、東 洋 文庫 所 蔵)について、 アラビア語 文 書 校 訂 および英 文 解 説 のための研 究 会 を月 例 で開 催 するとともに、関 連 資 料 の収 集や調査 を行った。 b) ワクフ文書 の総 合 的研 究にむけ、フランス CNRS 国 際 共同 研 究(GDRI)と連 携し、アルジェリ アでのワークショップ(6 月)に参 加するとともに、第 4 回中 東 研究 世 界大 会(WOCMES、アン カラ、8 月)において、ヨーロッパとイスラーム世 界の寄 進を比較 するパネルを組織 した。 c) 第 2 期の成果 として、TBRL15 The Vellum Contract Documents in Morocco in the Sixteenth to Nineteenth Centuries : Part I を、編纂・刊 行した。モロッコやオランダの研 究 者の協力 を得 て、本 研 究 における国 際 的 な研 究 の端 緒 となるものと位 置 づけられる。 『イマーム・レザー廟 ワ クフ文書 集』(TBRL、ペルシア語)の校 訂 と研 究を進 めた。 9 C.資料研究 資料研究部門 東アジア資 料 研 究班 「東アジア資 料の研 究」 中 国 、台 湾 、香 港 、東 南 アジア華 人 社 会 などに所 蔵 される文 献 資 料 の探 索 、各 国 図 書 館 との 国際 的 情報 交 換・資 料 交 換・人 的 交流 を目 指 す。 [研究 実 施概 要] a) 中 央 研 究 院 歴 史 語 言 研 究 所 の 漢 籍 全 文 資 料 庫 授 権 使 用 協 定 に よ り 、 洋 書 ( 旅 行 記 ) 10,000 頁 をデジタル撮 影 して提 供 した。 b) 中国 人 民大 学 、副 教 授呉 真博 士を約 1 か月 間 、招 聘 し、東 アジア比 較演 劇 史の共同 研 究を 実施した。 c) 中 国 祭 祀 演 劇 関 係 写 真 データベースの開 発・公 開・補 充 を行 った。このデータベースの月 間 アクセス数は、400,000 件に達し単 独 項目 としては、東 洋文 庫の蔵 書資 料 検索 項 目の中で最 高値 を示 すに至っている。 D.各種 研 究会・講 演会 開 催 数 量 /月 研究会数 参加人数 4月 7 55 5月 4 44 6月 7 78 7月 8 149 8月 2 24 9月 6 101 10 月 5 63 11 月 4 60 1月 4 41 12 月 8 197 2月 5 107 3月 11 235 計 71 1,154 Ⅱ .資 料 収集 ・整理 A.資 料 購 入 超 域 アジア研 究 、アジア諸 地 域 研 究 、資 料 研 究 において必 要 とされる一 次 資 料 を中 心 に購 入 を進 めた。購 入 冊数 は別 添資 料の通りである。 区 分 総合 アジア圏 域 研究 超域・現 代中 国 研究 超域・現 代イスラーム研 究 東アジア研 究 内陸 アジア研 究 インド・東南 アジア研 究 西アジア研 究 共通(継 続・大 型資 料) 合 計 和漢 書 0冊 259 冊 6冊 316 冊 18 冊 0冊 0冊 1,016 冊 1,615 冊 洋 書 0冊 8冊 547 冊 14 冊 58 冊 50 冊 338 冊 22 冊 1,235 冊 その他 0件 0件 0件 0件 11 件 0件 0件 0件 11 件 10 B.資 料 交 換 国内 外 各提 携 機関 との間 で資 料 交換 を進 めた。 区 分 受 贈 寄 贈 単行本 和漢書 1,555 冊 洋 書 336 冊 その他 56 冊 計 1,947 冊 和漢書 167 冊 洋 書 595 冊 計 762 冊 定期刊行物 計 1,465 冊 3,020 冊 397 冊 733 冊 ― 56 冊 1,862 冊 3,809 冊 4,499 冊 4,666 冊 855 冊 1,450 冊 5,354 冊 6,116 冊 C.資 料 保 存 整 理 2014 年 4 月 1 日 ~2015 年 3 月 31 日 までの期 間 における、保 存 整 理 作 業 は、下 記 の通 りである。 ・マイクロフィルム劣 化 防 止 作 業 1,281 件 Ⅲ .研 究 資料 出 版 A.定 期 出 版 物 刊 行 1.『東 洋文 庫 和文 紀 要』(東洋 学 報) 第 96 巻第 1~4 号 A5 判 4 冊(刊 行済) 2.『東 洋文 庫 欧文 紀 要』(Memoirs of the Research Department of the Toyo Bunko) No.72 B5 判 1 冊(刊 行済) 3.『近 代中 国 研究 彙 報』 第 37 号 A5 判 1 冊(刊 行済) 4.『東 洋文 庫 書報』 第 46 号 A5 判 1 冊(刊 行済) 5.Modern Asian Studies Review(新 たなアジア研 究に向けて) Vol.6 A4 判 1 冊(刊 行済) 6.Asian Research Trends New Series A5 判 1 冊(刊 行済) 1.『水 経注 疏 訳注 洛水 /伊 水 』 東 洋 文庫 論叢 78 A5 判 1冊(刊 行済) 2.2014 年度 国際 シンポジウム要旨 集 A4 判 1 冊(刊 行済) No.9 B.論 叢 等 出 版 3.TBRL15 The Vellum Contract Documents in Morocco in the Sixteenth to Nineteenth Centuries: Part I B5 判 1冊(刊 行済) 4.Financial-Administrative System and Institutionalization of the First National Assembly of Iran A5 判 1 冊(刊 行済) 5.IOM 所蔵 ウイグル文 書 目録 -東 洋文 庫 蔵マイクロフィルムより- DB (館内 公 開 済) 11 Ⅳ .普 及 活動 A.研 究 情 報 普 及 1.東 洋 学 講 座 (前 期 ) 『華 北 の発 見 』 第 541 回 6 月 30 日(月) 「朝鮮 在 住日 本 人の華北 認識 -総 合雑 誌『朝鮮 及 満洲』掲 載記 事を事 例として-」 東洋 文 庫研 究 員 日本 大 学教 授 松重 充浩 氏 第 542 回 7 月 7 日(月) 「華北 地 域概 念の形 成と日 本 」 東洋 文 庫研 究 員 信州 大 学教 授 『中 国 近 世 の規 範 と秩 序 』 第 543 回 7 月 15 日(火) 「光棍 例の成立 とその背 景 -清初 における秩 序 形成 の一 過程 -」 東洋 文 庫研 究 員 慶應 義 塾大 学 教授 久保 亨 氏 山本 英史 氏 第 544 回 7 月 24 日(木) 「明末 江 南の商 業 化 と宗 族 規範 」 東洋 文 庫研 究 員 (台湾)国立 曁 南国 際 大学 教授 濵島 敦俊 氏 (後 期 ) 共 通 テーマ「アジアの古 地 図 を読 む」 第 545 回 12 月 1 日(月) 「中国 古 地図の世 界 -『地図 文 化史 上の広 與図』-」 鳥取 大 学講 師 第 546 回 12 月 3 日(水) 「山形 細 谷(細 矢)家 伝 来「大明 地 理之 図 」 -江 戸 時 代の東アジア大 絵 図 -」 東洋 文 庫研 究 員 東北 学 院大 学 名誉 教 授 東洋 文 庫研 究 員 東北 学 院大 学 准教 授 要木 佳美 氏 細谷 良夫 氏 小沼 孝博 氏 第 547 回 12 月 4 日(木) 「地理 的 認識の交 流 -古 地図 から-」 京都 大 学 名 誉 教授 応地 利明 氏 12 2.特 別講 演 会 9 月 26 日(金) 「中国 民 間歴 史 文献 の収 集と整 理 」 〔中国 語・通訳 あり〕 厦門 大 学歴 史 系 教 授 11 月 29 日(土) 「中国 近 代史 研 究と日 中 関係 」 「歴史 認 識と日 中関 係 」 中山 大 学哲 学 系 教 授 Seton Hall University 准 教 授 鄭 振滿 氏 袁 偉時 氏 汪 静 氏 〔中 国語・通 訳あり〕 12 月 12 日(金) 「中国 中 古の仏 教 王 権観 」 〔中 国語・解 説あり〕 復旦 大 学文 史 研究 院 副教 授 孫 英剛 氏 2 月 20 日(金) “Is this just one more folk legend? ” 〔英語・通訳 なし〕 Professor, Department of Anthropology, The University of Toronto BECK, Brenda 氏 3 月 7 日(土) 「毛沢 東 時代の経 済 制度 と政策 の評 価 」 北京 大 学国 家 発展 研 究院 教授 北京 大 学国 家 発展 研 究院 教授 周 其仁 氏 姚 洋 氏 〔中 国語・通 訳なし〕 3 月 20 日(金) 「中国 中 世における地獄 の審判 と俗世 の法 律 」 〔中 国語・解 説あり〕 国立 台 湾師 範 大学 歴 史学 系 教 授 陳 登武 氏 3.東 洋文 庫 談話 会 9 月 10 日(水) 「戦後 中 国「留 用」帰 国 者 に関する資 料 -東洋 文 庫所 蔵「中共 事 情」を中心 に-」 東洋 文 庫 外 来 研究 員 下関 市 立大 学 教授 飯塚 靖 氏 10 月 20 日(月) 「17-18 世紀 のチベット仏 教僧ネットワークと清朝 -アムド(東北 チベット)の諸寺 院 との関わりを中 心に-」 日本 学 術振 興 会特 別 研究 員(PD) 池尻 陽子 氏 3 月 9 日(月) 「宋代 文 書から読 み解 く中 国 怪 異 譚」 東洋 文 庫奨 励 研究 員 「南宋 中 期における史彌 遠 政権 の成 立 とその変質 」 日本 学 術振 興 会特 別 研究 員(PD) 4.公 開 講 座 〈トルコ -日 本・トルコ国 交樹 立 90 周 年-〉 5 月 24 日(土) 「オスマン帝 国 という国家 」 東京 大 学東 洋 文化 研 究所 名誉 教 授 小林 隆道 氏 小林 晃 氏 鈴木 董 氏 13 5 月 31 日(土) 「オスマン文 化の形 成と変 容 」 東京 大 学東 洋 文化 研 究所 名誉 教 授 6 月 28 日(土) 「オスマン帝 国における伝 統演 劇 と西 洋 演劇 の受 容 」 東洋 文 庫研 究 員・元 明 治 大学 教 授 7 月 13 日(日) 「100 年の恩~日 本・トルコ友好 史 」 作家 8 月 9 日(土) ワークショップ「トルコのタイル文様 を描 いてみよう!」 トルコ細 密画 の会 8 月 10 日(日) ワークショップ「トルコ刺繍「オヤ」を使ったアクセサリー作りに挑 戦!」 オヤ講師 ワークショップ「トルコ式書 道で名 前を書いてみよう!」 日本 アラビア書 道協 会・事 務局 長 演奏 会「トルコの民 族 楽器 サズの演 奏 」 サズ演奏 家 9 月 21 日 (日 )・10 月 4 日 (土 ) アジア資 料 学 研 究 シリーズ 「西 洋 古 典 籍 書 誌 講 習 会 -西 洋 書 籍 と東 洋 研 究 Ⅱ -」 東洋 文 庫研 究 部長 シンガポール国 立大 学 教 授 東洋 文 庫主 幹 研究 員 東京 大 学史 料 編纂 所 教授 龍谷 大 学名 誉 教授 鈴木 董 氏 永田 雄三 氏 秋月 達郎 氏 青木 節子 氏 新井 久美 乃 氏 宮本 千鶴 氏 小島 優子 氏 山岡 幸一 氏 大平 清 氏 濱下 BORSCHBERG, 牧野 松井 江南 10 月 31 日 (金 )・11 月 1 日 (土 ) アジア資 料 学 研 究 シリーズ 「東 洋 の Codicology Ⅲ -文 理 融 合 型 東 洋 写 本 ・版 本 学 (講 習 会 )-」 東 洋 文 庫 研 究 員 ・東 京 大 学 准 教 授 東 洋 文 庫 研 究 員 ・東 京 外 国 語 大 学 AA 研 教 授 東 洋 文 庫 研 究 員 ・日 本 大 学 副 学 長 東 洋 文 庫 研 究 員 ・北 海 道 大 学 名 誉 教 授 東 洋 文 庫 研 究 員 ・和 光 大 学 教 授 慶應義塾大学教授 〈岩崎コレクション -孔 子 から浮世 絵 まで-〉 9 月 27 日(土) 「岩崎 彌 太郎が見 た幕末 長崎 と海外 」 長崎 歴 史文 化 博物 館 研究 員 11 月 24 日(月) 「浮世 絵の話 :東 洋 文庫 コレクションを中 心に」 大和 文 華館 館 長 あべのハルカス美術 館 館 長 武志 Peter 元紀 洋子 和幸 氏 氏 氏 氏 氏 杉山 清彦 中見 立夫 加藤 直人 石塚 晴通 深沢 眞二 石川 透 氏 氏 氏 氏 氏 氏 岡本 健一 郎 氏 浅野 秀 剛 氏 14 11 月 30 日(日) 「日本の漢 籍受 容 と古写 本 」 慶應 義 塾大 学 附属 研 究所 斯道 文 庫教 授 髙橋 智 氏 12 月 7 日(日) 「東洋 文 庫コレクションにみる浮 世絵 としての春 画 」 立命 館 大学 衣 笠総 合 研究 機構 専 門研 究 員 石上 阿希 氏 2 月 28 日(土)・3 月 1 日(日) ≪ 総 合アジア圏 域研 究国 際シンポジウム≫ (使 用言 語:英語) Islamic and Chinese Studies and Inter-Asia Research Networks: Integrated Study of Dynamism in the Supra -Regional Spheres of Islamic and Chinese Regions Opening Address: HAMASHITA Takeshi (Research Department Head, Toyo Bunko) Session 1: Some Aspects of Chinese Muslim Society: Focusing on Migration, Network, and Gender Speaker: WANG Jianxin (Professor, Cultural Anthropology, Ethnology Institute of Lanzhou University; Vice Director, Center for Studies of Ethnic Minorities in Northwest China of Lanzhou University) “Sermon Poems in Uyghurs and Huis: A Comparison Approach toward the Socio -Religious Representations of Muslim Minorities in China ” Maria JASCHOK (Director, International Gender Studies Centre; Research Fellow, Lady Margaret Hall, University of Oxford) “Soundscape of a Women’s Mosque and Potency of Silence: Evocations of Islamic Faith, Ruptured Memory and Precarious Presence in Kaifeng, China ” MATSUMOTO Masumi (Professor, Muroran Institute of Techology) “Islamic Education for Women in China: Vocational or Ethical Schooling? ” Commentator: OKA Natsuko (Research Fellow, Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization) Session 2: Parliamentarism and Constitutional Systems in Islamic and Chinese Regional Spheres Speaker: Mohsen KHALILI (Associate Professor of Political Science, Faculty of Economics and Administrative Sciences, Ferdowsi University of Mashhad ) “Two Dimensions of the Iran’s Constitutionalism: Familiar Notions, Lack of Theory” SASAKI Shin (Assistant Professor, Faculty of Humanities, Seikei University ) “After the ‘Second Empire’: New Horizons of Ottoman Constitutional History ” SUZUKI Emi (Research Fellow, Toyo Bunko; Fellow, Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies ) “Notable Politics and Parliament in Modern and Contemporary Egypt ” AJIOKA Toru (Professor, Faculty of Liberal Arts, University of the Sacred Heart ) “Constitutional Government and the Local Administration System of Republican China ” Commentator: Hamid AHMADI (Professor of Political Science, Faculty of Law and Political Science, University of Tehran) Session 3: Local and Global Problems around Islamic and Chinese Regional Spheres Speaker: MA Qiang (Professor, Institute for Western Frontier Region of China, Shaanxi Normal University ) “Middleman: The Integrated Function of Hui among Ethnic Groups in Yining City of Xinjiang ” 15 KOH Keng We (Assistant Professor, Nanyang Technological University) “Islam and the Chinese in Southeast Asia: A Historical Overview ” XIANG Biao (Lecturer in Social Anthropology, University of Oxford ) “Economic Globalization, Population Mobility, and Islam in China: The Case of Yiwu” Commentator: HAMASHITA Takeshi General Discussion Closomg address: HAMASHITA Takeshi 〈もっと知 りたい!イスラーム〉 3 月 15 日(日) 「遠くて近 いイスラーム世界 」 東洋 文 庫研 究 員 お茶の水 女子 大 学教 授 三浦 徹 氏 「サイバー・イスラーム:インターネットがつなぐ日 本と中 東 」 日本 エネルギー経 済 研究 所研 究 理事 保坂 修司 氏 5.普 及 展 示 企 画 東 洋 文 庫 ミュージアムにおける展 示 企 画 について、展 示 テーマ、展 示 品 の検 討 を重 ねた。 6.参 考 情 報 提 供 『東 洋 文 庫 年 報 』 2013 年 度 版 A5 判 1 冊 (刊 行 済 ) B.データベース公 開 2014 年 4 月 1 日 ~2015 年 3 月 31 日 までの期 間 における、東 洋 文 庫 の図 書 ・資 料 のデータ(日 本 語 ・英 語 )に対 するオンライン検 索 アクセス状 況 については、別 添 資 料 の通 りである。 C.海 外 交 流 以 前 より研 究 協 力 協 定 を締 結 しているフランス極 東 学 院 、台 湾 中 央 研 究 院 、ハーバード・エンチン 図 書 館 、ハーバード・エンチン財 団 、アレキサンドリア図 書 館 、イラン議 会 図 書 館 にくわえ、ロンドン大 学 東洋 アフリカ学 院(SOAS)図書 館 と協 力 関係 を結 んだ。 また、2 月 28 日(土)・3 月 1 日(日)に≪ 総 合アジア圏 域研 究 国際 シンポジウム≫ として、“Islamic and Chinese Studies and Inter-Asia Research Networks: Integrated Study of Dynamism in the Supra-Regional Spheres of Islamic and Chinese Regions ” (The Third International Symposium of Inter-Asia Research Networks) を開 催した。 16 Ⅴ .学 術 情報 提 供 A.図 書 ・資 料 の閲 覧 (協 力 )サービス 数量 /月 閲覧 者 人数 閲覧 図 書数 レファレンス数 10 月 212 人 1,818 冊 57 件 4月 193 人 2,397 冊 52 件 5月 203 人 1,864 冊 55 件 6月 225 人 2,099 冊 61 件 7月 206 人 2,105 冊 56 件 8月 269 人 3,153 冊 72 件 9月 195 人 2,160 冊 53 件 11 月 239 人 3,403 冊 64 件 12 月 211 人 3,012 冊 57 件 1月 164 人 3,123 冊 44 件 2月 179 人 2,416 冊 48 件 3月 200 人 2,786 冊 54 件 計 2,496 人 30,336 冊 673 件 B.研 究 資 料 複 写 サービス マイクロフィルム・紙 焼 写 真 電子複写 申し込 み件 数 125 件 1,039 件 焼付 枚 数 35,074 件 C.研 究 情 報 提 供 サービス 刊行 物の全 文データ公 開 を随 時更 新した。 D.展示 一般 多 数の方々を対 象 とした東 洋 学の普及 を図 る手 段として「東 洋 文庫ミュージアム」を運 営した。 1.基 本方 針 このミュージアムでは、特 に東 洋 学 に興 味 を持 たない一 般 の方 々を主 な対 象 とし(中 学 生 程 度 の 歴 史 知 識 を前 提 )、これらの利 用 者 に、ミュージアム見 学 を通 して東 洋 学 に興 味 を持 つ機 会 を提 供 するものである。本 ミュージアムは、東 洋 文 庫 の蔵 書 ・史 料 を中 心 に種 々の展 示 企 画 を組 み立 て、 常に新たな発 見 と変 化のある展 示を心がけている。 2.展 示手 法 広 く一 般 の方 々にミュージアム訪 問 の興 味 を喚 起 するため、① 見 学 に適 切 な規 模 の展 示 内 容 と し、② 展 示 の解 説 は日 頃 東 洋 学 とは疎 遠 な利 用 者 にも十 分 理 解 できる簡 易 なものとし、 ③ デジタル 技術 等を取 り入 れた視 聴 覚的 かつ斬 新 な展 示で利 用者 の興 味を引 くことに努 めた。 3.施 設 温 度 ・湿 度 管 理 、窒 素 ガス消 火 設 備 運 用 により、展 示 図 書 ・資 料 の保 全 に万 全 を期 した。また、 併 設 のギフト・ショップ、ミュージアム・カフェでは、東 洋 文 庫 の所 蔵 資 料 も紹 介 し、一 般 利 用 者 に対 してミュージアムの魅 力を高め、東 洋 学普 及の一 翼 を担 う、ミュージアムの一体 施設 として運 営した。 17 4.展 示スケジュール 常設 展 と企 画 展の組み合 わせからなる展 示 スケジュールを立て、以 下の展示 を開催した。 a) 常 設 展 は国 宝 と浮 世 絵 を中 心 に構 成 されており、保 存 と集 客 の観 点 から、毎 月 初 めに展 示 資料 の入 れ替えを行 った。 b) 企画 展 は一年に 3 回の頻 度で行っている。本 年度 は以下 の企 画 展を実施した。 ①「仏 教 -アジアをつなぐダイナミズム-」(2014 年 1 月 11 日~4 月 13 日) ②「トルコ -日 本・トルコ国 交樹 立 90 周 年-」(2014 年 4 月 23 日 ~8 月 10 日 ) ③「岩 崎コレクション -孔 子 から浮 世 絵まで-」(2014 年 8 月 20 日~12 月 26 日) ④「もっと知りたい!イスラーム」(2015 年 1 月 10 日 ~4 月 12 日) c) 各 企 画 展 において展 示 図 録 を作 成 した。全 ページカラーで画 像 を多 用 し、解 説 文 も平 易 な ものわかりやすいものに仕 上 げた。A5 版でハンディなブックレットタイプである。 d) 上記 企 画展 会 期中 に公 開 講座(企 画展 示 記念 講 座)を開 催した。 Ⅳ .普及 活動 -4.公 開 講座 を参 照 e) 六義 園 特別 展 示「六 義 園 をめぐる歴 史」を開 催した。 会期:①2014 年 3 月 19 日~4 月 7 日 ②2014 年 11 月 19 日~12 月 7 日 会場:東 洋文 庫ミュージアム 1 階オリエントホール f) 小岩 井 農場 での出 張展 示 「時空 をこえる本の旅:東 洋 文庫 の世 界」を行った。 会期:2014 年 11 月 ~2015 年 5 月 会場:小 岩井 農 場 資 料 館 5.ガイドツアー ミュージアムへの来 客 サービス・集 客 戦 略 の一 環 として、館 内 ガイドツアーを実 施 し、好 評 を得 た (開館 期 間は毎 日 15 時に開催している)。 6.学 校連 携 a) 東 京 藝 術 大 学 との協 力 協 定 により、記 念 コンサートを何 度 かミュージアム内にて開 催し、多 数 の来 場者 を得 た。 b) 成 蹊 大 学 図 書 館 との協 力 協 定 により、東 洋 文 庫 の貴 重 書 を大 学 図 書 館 入 口 にて常 設 展 示 した。 c) 小 岩 井農 場 での「時 空 をこえる本 の旅:東洋 文 庫の世 界」展に関 連し、岩 手 県 雫 石 町立 七 ツ 森小 学 校 6 学 年校 外 学習 にて学 芸 員がレクチャーを実施した(12 月 16 日)。 7.博 物館 連 携 静嘉 堂 文庫 との連 携展 示 として、下 記の美 術品 の借 用展 示を行 った。 『青花 六 果文 瓶』 明 代(15 世紀 初期)景 徳鎮 官 窯 一口 『色絵 冠 形香 炉』(古 清 水) 江 戸 時代(17~18 世 紀) 一 合 『色絵 鳥 兜香 炉』(古 清 水) 江戸 時 代(17~18 世紀) 一 合 『三彩 獅 子』(白、茶) 唐 代(8 世 紀) 二 躯 8.入 場者 数 2014 年 4 月 1 日~2015 年 3 月 31 日における、ミュージアム総入場者数は以下のとおりである。 月 入場 者 数 4月 1,908 人 5月 1,637 人 6月 1,398 人 11 月 3,529 人 7月 1,856 人 12 月 4,060 人 8月 1,730 人 1月 1,419 人 9月 2,325 人 2月 2,398 人 10 月 2,478 人 3月 3,257 人 計 27,995 人 18 E. 広 報 普及 東 洋文 庫 所 蔵の図書・史 料の掲 載・報 道・放 映等 の依 頼に適宜 対 応 すると共 に、ホームページを随 時更 新し、利 便 性を確保した。東 洋学の若 年 層への普及 を目 指し、学 校 連携 活動 も行 った。 1.要 人の訪問 a) 行幸 啓:天 皇 皇后 両 陛 下 が東洋 文 庫ミュージアムを来 訪、観 覧された(4 月 9 日)。 b) キャロライン・ケネディー駐日米国大使、福田赳夫元首相、他 。 2.関 連書 籍の刊 行 東洋 文 庫 創 立 90 周 年 記 念事 業の一 環として、下 記 の書 籍を刊行した。 東洋 文 庫善 本 叢書 全 12 巻(勉 誠 出版 刊) 『記録された記憶 -東 洋 文庫 の書 物 からひもとく世 界の歴史 -』(山 川出 版 社 刊) 『アジア学の宝庫 、東 洋 文 庫 -東 洋 学の史料 と研 究 -』(勉誠 出 版刊 ) 3.報 道実 績 ミュージアムに関しての報 道実 績の主なものを以 下に挙 げる(50 音 順)。 新 聞: 全 国 紙『朝 日新 聞 』、『読 売新 聞』、『日本 経 済新 聞』、『毎 日新 聞』など 雑 誌: 『マンスリー三菱 』、『東 京人』など テレビ: テレビ東 京『アンサー』(2015 年 2 月 16 日 放送)にて「もっと知りたい!イスラーム」展が 紹介された。 ラジオ: J-WAVE『LOHAS TALK』(2015 年 2 月 9 日 ~2 月 13 日)に牧 野元 紀 主幹 研 究員 が出 演し、東洋 文 庫の諸活 動 について紹 介した。 4.『東 洋見 聞 録』 東洋 文 庫の活動 をご支 援 頂いている「名 誉 文庫 員」、「友の会会 員」、職 員OBほか関係 者 をつな ぐニュースレターとして発 行 ・頒布した。 5.メールニュース 東洋 文 庫ミュージアムのメールニュースをメール会員 向けに毎 月発 信している。 6.近 隣の中学・高 校とのミュージアム・フリーパス連 携 a) 小石 川 中等 教 育学 校 とのミュージアム・フリーパス連 携を引き続き締結し、同 校 の新 入生 160 名を招待した課外 授 業を実施した(4 月 25 日)。 b) 神 田 女 学 園 中 学 ・高 等 学 校 地 理 歴 史 部 のスクールプログラムに基 づき顧 問 、部 員 に展 示 案内 他 学芸 員がレクチャーを実 施した(12 月 10 日)。 19 7.東 洋文 庫 アカデミア 東 洋 文 庫 研 究 員 をはじめとする各 分 野 の専 門 家 が講 師 となり、所 蔵 資 料 やこれまでの研 究 成 果などの専 門 知識 をわかりやすく教授 する市民 むけ講 座を下記 のとおり実 施した。 講座 名 講師(所 属) 期間 人数 ペルシア語の世界 渡部 良 子(東 京 大学 非 常 勤講 師) 4/11-7/4 8 イスラーム美術 写 本挿 絵 入 門 青木 節 子 (トルコ細密 画 専 門家 ) 4/14-6/23 3 ドリュール 中村 美 奈子 (Les fragments de M) 7/5-7/19 4 イスラーム美術 写 本挿 絵 入 門 青木 節 子 7/14-9/22 3 7/14-8/18 7 7/25-9/5 4 8/26 13 霊と神 と人 第一 次 世界 大 戦と日 本 東洋 文 庫バックヤードツアー 平 㔟隆 郎 (東 洋 文 庫 研 究 員 ・東 京 大 学 東洋 文 化研 究 所教 授) 加 藤 博 章 (国 立 公 文 書 館 アジア歴 史 資 料センター調 査 員) 會 谷 佳 光 (東 洋 文 庫 )・岡 崎 礼 奈 (東 洋 文庫) 初歩 の文 人 画 講 座 伊藤 忠 綱 (二 松 学舎 大 学 非常 勤 講師 ) 9/3-11/19 8 イランの芸 術ペルシア書 道 に親しむ 角田ひさ子(拓殖大学語学研究所講師) 9/6-11/15 3 ペルシア語の世界(中 級編 ) 渡部 良 子 9/12-12/19 6 ペルシア語の世界(初 級編 ) 渡部 良 子 9/24-12/10 4 イスラーム美術 写 本挿 絵 入 門 青木 節 子 10/13-12/22 4 10/16-11/18 23 牧野 元 紀 (東 洋 文庫 ) 10/19 13 同「中 国 古代の文 字 とことば」 内山 直 樹 (千 葉 大学 准 教 授) 12/14 18 同「中 国 古代の文 字 とことば」 内山 直 樹 1/25 15 同「江 戸 時代の仏 教」 會谷 佳 光 3/14 9 イスラーム美術 写 本挿 絵 入 門 青木 節 子 1/12-3/23 3 初歩 の文 人 画講 座 2 伊藤 忠 綱 1/14-3/18 6 江戸 の書 物 1 清水 信 子 (二 松 学舎 大 学 非常 勤 講師 ) 1/15-1/29 3 イランの芸 術ペルシア書 道 に親しむ 角田 ひさ子 1/17-4/4 4 バックヤードツアー 會谷 佳 光・牧 野 元紀 1/21 7 江戸 の書 物 2 清水 信 子 2/12-3/19 2 東洋 文 庫コレクションで浮 世絵 に親しむ 岡崎 礼 奈 2/18 6 孟嘗 君 と函 谷 関 平㔟隆 郎 3/2-3/16 5 3/20-4/24 6 毛 里 和 子 ( 東 洋 文 庫 研 究 員 ・早 稲 田 大 学名誉教授)・山田辰雄(慶応義塾大学 現代 中 国理 解 セミナー 名誉教授)・姫田光義(中央大学名誉教 授 )・中 兼 和 津 次 (東 洋 文 庫 研 究 員 ・東 京大学名誉教授)・阿古智子(東京大学 准教授)・菱田雅晴(法政大学教授) ことばの塾 講 習会 「マルコポーロと東 方 見聞 録」 建築・絵画にみるインド・イスラームの歴史 小 名 康 之 (東 洋 文 庫 研 究 員 ・青 山 学 院 大学 名 誉教 授) 20 F.研 究 者 の交 流 および便 宜 供 与 のサービス 1.長 期 受 入 (1)外来研 究員 の受 入 彌永 信美 (フランス国立 極東 学 院東 京 支部 長) 「日本 仏 教」 (2014 年 4 月 1 日~2014 年 12 月 31 日) 宋 好 彬 (高 麗大 学 校 民族 文 化研 究 院研 究 員) 「朝鮮 本 古典 籍の調 査」 (2014 年 4 月 1 日~2014 年 9 月 30 日 、高 麗 大学 校 ) 飯塚 靖 (下関 市 立大 学 教授 ) 「「満洲 国」期の重 化 学工 業基 盤の構 築とその戦 後 中国 への影響 」 (2014 年 4 月 1 日~2014 年 9 月 30 日 、下 関 市立 大 学 ) [受 入 担当 : 藤本 幸 夫] [受 入担 当 : 久保 亨] 蘇 基 朗 (香 港 科技 大 学 人 文 科学 部 長 ) 「中国 近 代 化の為の実 業・法律・教 育 」 (2014 年 5 月~2014 年 8 月) [受 入担 当 : 斯波 義 信 ] 蘇 寿 富美 (George Mason 大 学 副教 授) 「中国 近 代 化の為の実 業・法律・教 育 」 (2014 年 5 月~2014 年 8 月) [受 入担 当 : 斯波 義 信 ] 姚 小 鴎 (中 国 伝媒 大 学文 学 院教 授 ) 「中国 古 代文 学 」 (2014 年 7 月 20 日~2014 年 8 月 20 日) [受入 担 当 : 田 仲 一成 ] オリヴィエ・テシエ (フランス国 立 極東 学 院 ハノイ支 部 准教 授 ) 「20 世紀初 頭のベトナム大 衆文 化 」 (2014 年 8 月 14 日~2014 年 8 月 21 日、極 東学 院 ) [受 入 担当 : 極東 学 院 ] 康 保 成 (中 山 大学 中 文系 教 授 ) 「中国 古 代戯 曲 演劇 史 」 (2014 年 8 月 25 日~2014 年 11 月 24 日) [受入 担 当 : 田 仲 一成 ] ダヴァン・ディディエ (フランス国 立 極東 学 院東 京 支 部長) 「中世における臨 済 宗 」 (2015 年 1 月 1 日~2015 年 12 月 31 日[延長]) 呉 真 (中国 人 民大 学 副教 授 ) 「中国 古 代戯 曲 演劇 史 」 (2015 年 1 月 24 日~2015 年 2 月 28 日) [受入 担 当 : 田 仲 一成 ] (2)2014 年 度 日 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 PD・RPD の受 入 池尻 陽子(筑波 大 学大 学 院 PD) 「チベット仏 教 僧の思想 とネットワークが清代 内 陸アジア史に与えた影 響に関 する研究」 (2010 年度採 用、11・12(中断)・14 年 度・3 ヵ年 間) [受 入指 導 者・吉 水千 鶴 子] ※ 2014 年 10 月 31 日をもって身分 を終 了 21 小林 晃(北 海道 大 学大 学 院 PD) 「12〜15 世紀 中国 における華 北・江 南の政治 的 統 合過 程」 (2012 年度採 用、13・14 年 度・3 ヵ年 間) [受 入指 導 者・山 本 英史] 五味 知子(慶應 義 塾大 学 大学 院 PD) 「17〜19 世紀 中国 基 層社 会における規範 とジェンダー」 (2013 年度採 用、14・15 年 度・3 ヵ年 間) [受 入指 導 者・岸 本 美緒] 阿部 由美 子(東 京 大学 大 学院 PD) 「旗人 から満洲 族 へ-20 世紀 中 国理 解 への新 たな視座 」 (2014 年度採 用、15・16 年 度・3 ヵ年 間) [受 入指 導 者・松 重 充浩 ] 河野 正(東 京大 学 大学 院 PD) 「1950~1960 年代、多 地 域比 較による華北 農 村 社 会の変容 に関 する研究 」 (2014 年度採 用、15・16 年 度・3 ヵ年 間) [受 入指 導 者・内 山 雅生 ] 西村 陽子(東洋 文 庫研 究 員 ) 「地図 史 料批 判によるシルクロード探 検 隊資 料の統 合 と遺 跡 データベースの作 成 」 (2014 年度採 用、15・16 年 度・3 ヵ年 間) [受 入指 導 者・斯 波 義信 ] ※就 職につき、2014 年 度 をもって身 分を辞 退。 濱本 真実(東洋 文 庫研 究 員 ) 「近代 ユーラシア陸上 貿 易 におけるタタール商人 の活 動とその文 化 的影 響 」 (2014 年度採 用、15・16 年 度・3 ヵ年 間、RPD) [受入 指 導者・小松 久 男 ] (3)2014 年 度 東 洋 文 庫 奨 励 研 究 員 の受 入 小林 隆道(2014 年 度採 用、就 職につき終 了) 2.外 国 人 研 究 者 への便 宜 供 与 China 栄新 江[北京 大 学教 授](ほか 9 名) Mongol CHULUUN, S. [Director, Institute of History, Mongolian Academy of Science](ほか 5 名) Iran AHMADI, Hamid [Professor, University of Tehran](ほか 2 名) Singapore BORSCHBERG, Peter [Professor, National University of Singapore] India SUBBARAYALU, Yellava [Retired Professor, Tamil University] USA ZHOU Gang [Associate Professor, Louisiana State University] Egypt FAWZY, George [President, Leila Books] France NEYESTANI, Mohammadreza [Post Doctor Research Fellow, CNRS] Pakistan AQEEL, Moinuddin [Professor, University of Karachi] Canada BECK, Brenda [Professor, University of Toronto] Italia VITA, Silvio [Director, Italian School of East Asian Studies] Vatican PROVERBIO, Delio V. [Curator of Oriental Manuscripts, Vatican Library] Taiwan 海中 雄 [蒙 蔵 委員 会 処長 ] 22 Ⅵ .地 域 研究 プログラム A.イスラーム地 域 研 究 資 料 室 「イスラーム地 域 研究 史 資 料の収集・利用 の促 進 と史 資料 学の開 拓 」 本 研 究 では、イスラーム地 域 の現 地 語 史 料 について、書 誌 情 報 や文 献 情 報 の体 系 化 を進 め ることによって研 究 の基 盤 を作 り、同 時 に史 資 料 の体 系 的 な収 集 や利 用 のための環 境 を構 築 す る。史 料 群 を地 域 社 会 全 体 を表 す縮 図 と捉 え、これを体 系 的 ・俯 瞰 的 に研 究 することによってイ スラーム地域 の重 層 的な像 を解 明することを目 的 とする。 [研究 実 施概 要] a) 現 地 の出 版 状 況 や、現 地 及 び海 外 の研 究 動 向 を踏 まえ、現 地 語 資 料 および欧 文 研 究 書 等 の収 集 と整 理 を行 った。我 が国 のイスラーム地 域 研 究 の成 果 を国 内 外 により開 かれたものに するため、「日 本 における 中 東 ・イスラーム研 究 文 献 データベース」のデータの更 新 および科 研 費 (研 究 成 果 公 開 促 進 費 )との連 携 による国 際 版 の作 成 ・公 開 を行 った。また、アラビア文 字 資 料 司 書 連 絡 会 を開 催 し、機 関 の枠 を超 えたアラビア文 字 資 料 の収 集 と利 用 に関 する情 報共 有を行 った。通 算 4 回目 となる「卒 論を書 くための情 報検 索リテラシーセミナー」では、大 量 の情 報 から効 率 的 に必 要 な情 報 を検 索 するための方 法 を学 生 に直 接 レクチャーし、検 索 スキルの面 でも向 上 を図 った。同 セミナーは新 たに現 代 パレスチナ地 域 研 究 を専 門 とする錦 田 愛 子 (早 稲 田 拠 点 構 成 員 )による、フィールドでの資 料 収 集 についてのレクチャーを加 え、 より広 く専 門 の学 生 に対 応 することができた。資 料 の整 理 に関 しては、大 学 図 書 館 等 におけ る現 地 語 資 料 の整 理 に有 益 な、アラビア文 字 とラテン外 字 の入 力 補 助 パネルを拠 点 ホーム ページ上に公 開した。 b) 史 料 研 究 では、昨 年 度 に引 き続 きオスマン民 法 典 の翻 訳 を目 的 とした「シャリーアと近 代 」研 究 会を計 5 回 行うと共 に、共著『イスラーム法 の「変 容」』(山 川出 版 社 、イスラームを知 るシリ ーズ)を刊 行した。NIHU 連携 研 究で作 成したオスマン民 法典 研 究関 係 文献 データベースを nDP (nihu Data Provider)上 で公 開 すると共 に、基 本 文 献 1点 の全 頁 画 像 をウェッブサイト 上 に公 開 し、オスマン民 法 典 研 究 の研 究 環 境 の整 備 を行 った。特 定 史 料 の研 究 成 果 として、 東 洋 文庫 研 究 部 西アジア研 究 班 との連 携により東洋 文 庫 所蔵 ヴェラム(皮 紙)契 約 文書 のア ラビア語 テキスト校 訂 と研 究(TBRL15 The Vellum Contract Documents in Morocco in the Sixteenth to Nineteenth Centuries: Part I)を刊 行した。第 3 回オスマン史 研究 会 のほか、共 催 により近 代 中 央 ユーラシア比 較 法 制 度 史 研 究 会 、「イスラーム圏 におけるイラン式 簿 記 術 の成 立と展 開」研 究 会、第 13 回中 央アジア古文 書 セミナー、第 7 回オスマン文 書セミナーを 開 催 し、トルコ、エジプト、イラン、中 央 アジアの幅 広 い分 野 で史 資 料 を扱 う若 手 研 究 者 や学 生 の育 成 を行 った。国 際 連 携 の面 では、科 研 費 (基 盤 研 究 )「ワクフ(イスラーム寄進 制 度 )の 国 際 共同 比 較 研 究」との連 携により、第 4 回 中 東 研 究 世 界大 会(アンカラ)でのセッションの 開催 や東京 でのワークショップ開 催(2 月)などの活動 を行 った。 B.現 代 中 国 研 究 資 料 室 「日 本 における現 代 中 国 資 料 の情 報 ・研 究 センターの構 築 : 資 料 の長 期 的 系 統 的 分 析 による現 代 中 国 変 容 の解 明 」 中 国 研 究 に関 するウェブやデータベースに関 する情 報 を交 換 し、研 究 者 の知 見 を広 めるため に、国 内 外 の研 究 者 ・実 務 家 を招 いての国 際 シンポジウム及 び小 規 模 なワークショップを開 催 す る。また東 洋 文 庫 所 蔵 及 び新 規 収 集 の一 次 資 料 に基 づいた共 同 研 究 会 を継 続 して開 催 し、資 料の読 解 能 力 を高 め、若 手 研 究 者の養 成をはかる(年 数 回)。また、データベースや文 献 資 料 以 外に、現 代史 研 究に必要 な資 料の史料 学 的研 究を進めるセミナーなどを開 催 する。 [研究 実 施概 要 ] a) 資 料 利 用 環 境 の整 備 および国 内 外 諸 機 関 との連 携 については、国 立 情 報 学 研 究 所 との 連 携により NACSIS-CAT への書 誌登 録を継 続して行 った。本 年 度中 に約 6,000 タイトルの東洋 23 b) c) d) e) 文 庫 近 代 中 国 研 究 委 員 会 (現 ・近 代 中 国 研 究 班 )収 集 資 料 および現 代 中 国 資 料 が登 録 さ れ、登 録 タイトル数 は 56,000 件あまりとなった。 電 子 図 書 館についても、引 き続 き拡 充に努 めた。画 像 をインターネットで完 全 公 開している資 料 は 516 タイトル、公 開画 像数 は 41,000 画 像あまりに増 加した。また目 次 から検索 できるシス テムの整 備など、利 用環 境 の向 上を継続した。 資料 研 究活 動については、5 つの研 究 班のもとで活 発に行った。研 究班 体 制 の 3 年目 として、 過 去 2 年間 の実 績をもとに、他 機 関・他 大学 との共 催 も含 めて計 17 回の研究 会 ・シンポジウ ムが開 催された(江 南地 域 社会 班 6 回、図 画像 資 料 班 1 回、ジェンダー資 料 班 5 回、政治 史資 料 班 3 回 、1950 年代 史料 班 2 回)。 海外 交 流面 では、中 国第 二歴 史 檔案 館 副館 長 馬振 犢氏ら 5 名を招 聘し資 料 デジタル化に かかわるワークショップを催 した。また江 南 地域 社 会班 により 20 世 紀中 国 江南 における指導 者・中堅 層の人 材 養 成に関する海外 調 査 、海 外 研 究 機関 との間 でデータベース相 互 利 用に 関する協 定の締結 等 を行 った。 活 動 の成 果 として、近 代 中 国 の知 識 人 が残 した手 書 き日 記 の一 部 を活 字 化 し注 釈 をつけた 「王 清 穆 『農 隠 廬 日 記 』(4)」を『近 代 中 国 研 究 彙 報 』に公 表 した。また戦 前 期 に出 版 された 写 真 帳 をもとに「『亜 細 亜 大 観 』データベース」を作 成 し公 開 した。さらに、各 研 究 班 の活 動 を もとに、英 文 著 作 の翻 訳 出 版 、基 本 史 料 の解 題 出 版 、大 学 における講 座 の開 催 、データベ ースの拡 充などの形 態 で成 果を公表 する準 備を行い、2015 年度中にその一 部が公刊される。 東 洋 文 庫 研 究 部 現 代 中 国 研 究 班 との協 同 で行 っている所 蔵 資 料「汪 政 権 駐 日 大 使 館 文 書」 についても目録 作 成事 業 を継 続し、来 年度 の出 版に目処 をつけた。 24 2014年 度 公 益 財 団 法 人 東 洋 文 庫 特 別 事 業 報 告 書 公益 財 団法 人 理事 長 東 槇 洋 文 原 庫 稔 2014 年 4 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日 までに行 われた公益 財 団法 人 東洋 文 庫特 別 事業 報 告の 概要 は下 記の通りです。 事 業 内 容 特別 調 査研 究 並びに研 究 成果 の編 集 等 A.日 本 学術 振 興会 科 学 研究 費 補助 金による事 業 1.研 究成 果 公開 促 進 費(データベース等)の対象 事 業 「東洋 学 電子 図 書館 情 報 システム」 [東洋 文 庫電 算 化委 員 会 委員 長:斯波 義 信 ] 「日本における中 東 ・イスラーム研 究 文献 目 録データベース 1868-2015」 [研究 代 表者:三浦 徹] 「八世 紀 末期 ~十 一 世紀 初期 燉煌 氏 族人 名 集成 」 [研究 代 表者:土肥 義 和 ] 2.基 盤研 究 等の対象 事 業 (1)「「モノ」の世 界 から見 た中世イスラームの女 性 〜ガラス器 と陶器 を中 心に〜」 [研究 代 表者:真道 洋 子] (基盤 研 究(B)、2011 年 度 採用 、4 ヶ年 間・最 終 年度 ) (2)「江戸時 代 知識 人の清 朝史 研 究と近 代日 本における東 洋 史学」 [研 究代 表 者:楠 木 賢道] (基盤 研 究(B)、2011 年 度 採用 、4 ヶ年 間・最 終 年度 ) (3)「ワクフ(イスラーム寄 進 制度)の国 際共 同 比 較研 究」 [研 究代 表 者:三 浦 徹] (基盤 研 究(B)、2013 年 度 採用 、5 ヶ年 間・第 2 年度) (4)「ジャウィ史 料の利用 によるマレー民 族の形成 過 程 の研 究」 [研 究代 表 者:坪 井 祐司] (若手 研 究(B)、2012 年 度 採用 、4 ヶ年 間・第 3 年度) (5)「宋金元 代 中国 における石 刻「文 書」の歴史 的 展 開 」 [研 究代 表 者:小 林 隆道 ] (若手 研 究(B)、2014 年 度 採用 、3 ヶ年 間・初 年 度) 25 B.三 菱財 団 補助 金による事業 「東洋 文 庫アーカイブスの構築 に関 する調査 研 究」 [研究 代 表者:牧野 元 紀] (2012 年度採 用、3 ヶ年間 ・最終 年 度) 以 上 26