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(IB)の研究―教員養成・資格・研修に着目して
平成 26 年度 大学院共通科目 「国際研究プロジェクト」 公開報告書 筑波大学大学院 教育研究科 スクールリーダーシップ開発専攻 2 年 福田 美紀 【課題】 オーストラリアにおける国際バカロレア(IB)の研究―教員養成・資格・研修に着目して― 【背景】 近年、日本では国際化の波を受け、教育のグ ローバル化が求められている。2013 年 6 月に開 催された教育再生実行会議の第三次提言におい て、「グローバル人材」を育てることを目的に、 国際的な大学入学資格として世界中の多くの大 学で認可を受けている国際バカロレア(以下 IB) ディプロマ・プログラム加盟校・準備校の数を、5 年以内に 200 校(2014 年 5 月時点 で 19 校)へ増やすことが閣議決定された。しかし、急激に IB 教育が推進される一方 で、今後、その教育を担う教員を十分に確保できるかは大きな懸念材料になっている。 オーストラリアには、IB 機構によって初めて認定された IB 研究コースを有する大学、 Flinders University をはじめ、現職教員や学生が IB 教育に必要な知識を学ぶことがで きる教育機関が 4 校(2014 年 5 月現在)ある。この数はアジア・太平洋地域において 最多で、IB 教育及びそれに伴う教員の養成・資格授与・研修が最も盛んに行われてい ると言え、大いに参考になると考えられる。今回、先導的な取り組みを行うオーストラ リアの IB School で IB に携わる教員にインタビューをするなどの情報収集を行うと共 に、IB 教育に関して長年、研究を行っているシドニー大学の Professor Nigel Bagnall と議論を交わし、アドバイスをもらうことは、修士論文執筆に新しい視点をもたらすと 考え、本プロジェクトを実施した。 【目的】 1)オーストラリアにおける IB 教育の取り組み、特に IB に携わる教員の資格・養成・ 研修について調査し、データを集める。 2)シドニー大学の受け入れ責任者 Nigel Bagnall 教授と修士論文の内容について議論 をし、指導を受ける。 【実施内容】 調査期間は、移動日等も含めて約 3 週間。 第 1 週目にはメルボルン(ビクトリア州)に おいて教育行政機関への訪問・インタビュー、 University of Melbourne の大学院 IB コース を担当する方にインタビューを行った。 第 2 週目及び第 3 週目には、シドニー(ニュ ーサウスウェールズ州)及びキャンベラ(オ ーストラリア首都特別地域)の 2 都市において、University of Sydney の Professor Nigel を訪問、修士論文について議論を交わしたほか、IB 校(ディプロマ・プログラム) の学校訪問を行った。そこでは、主に IB を統括するコーディネーターへのインタビュ ーや IB の授業の参与観察・教員へのインタビューを行った。 【成果】 1. IB で行われる教育に関わる貴重な資料やデータを多く入手することができた。 2. オーストラリアの中でも 3 つの州(地域)を訪問したことで、州による IB 教育 に対する姿勢の違いが明らかになった。 3. IB 校において 2 日間と比較的まとまった時間、参与観察をすることができ、IB の教育実践に加えてオーストラリアの学校の様子も伺い知ることができた。 4. IB 教育が先進的に実践されているオーストラリアと日本で考えられている IB 教育の違いを感じ、日本の IB 教育を相対的に捉えることができた。 【まとめ】 今回、大学院共通科目の海外渡航費支援を受け、オーストラリアを中心に IB に関わ る調査が行うことができ、修士論文の執筆に役立つデータを多く得ることができた。ま た、将来海外の大学院で研究を行いたいと考えている自分にとって、海外で実際に調査 を行ったという経験は、学び多く大変有意義なものになった。本調査では、IB の教員 養成について行政機関をはじめ、教員養成を担当する大学院など、アカデミックな分野 の方、学校現場で IB 教育を実践している方、また、IB を受けている生徒など、多方面 から課題にアプローチすることができた。本研究でお世話になった、シドニー大学の Professor Bagnall をはじめ、サポートしてくださった日本の指導教員の佐藤博志先生、 現地で訪問した各機関及び学校の皆様にこの場を借りて感謝申し上げたい。 写真 1) 参与観察をさせて頂いたシドニーの IB 校 Ravenswood School for Girls 写真 2) 同校教室の掲示。IB の教育理念に関わる物も含め、生徒たちが作るものも多い。