...

肉 罐 詰 に 關 す る 研 究 畳

by user

on
Category: Documents
19

views

Report

Comments

Transcript

肉 罐 詰 に 關 す る 研 究 畳
肉 罐 詰 に 關 す る 研 究 畳
奥
田
譲
(昭和十三年三月七 日受理)
肉罐 詰 の 中鮭,蟹 は本 邦 輸 出 食 品 の王 座 を 占 め,牛 肉 罐 は 重要 な る 軍 需 食 品 の 一 で あ る 。從
て 此 等 肉罐 詰の 製 造 の 際 及 び 貯 藏 中 に於 け る化 學 的変化 並 に共 榮 養 的価値 を研 究 す る事 は 興 味
あ る事 で あ る 。
余 輩 は嚢 に 山藤,川 崎 及 片 井 三 氏 と共 に 肉罐 詰 に 關 す る研 究 第 一 報 乃 至 第 三 報 を他 の 雑 誌 に
公 表 した 。茲に 片 井,花
田,望 田三 氏 め 助 力 を得 た 本 研 究(第 四 報)を 記 載 す るに 先 立 ち,既
報 の 梗 概 を附 記 す る事 に す る 。
第 一 報 ω7に於 て は 肉罐 詰 製造 の 際 に 起 る変化 に就 て研 究 した 。1)罐 詰 内容 の 水素 イ オ ン 濃
度 は罐 材 の 腐蝕 並 に共 貯 藏 中 肉質 の変化 に關 係 す る所 大 な る を以 て 加増加 熱 の 際 に 肉蛋 白並 に
生 肉の 水 素 イオ ン濃 度 が 如 何 に変化 す るや を鯨.家 兎,鶏,鯛,鯖1,鯉,鰹,烏
賊 及伊 勢 蝦 の 肉
蛋 白及 生 肉 を使 用 して 實 験 した る結 果,何 れ の 場 合 に於 て も加 熱 の 結 果 其 性 は 中性 に近 づ く。
即 ち酸 性 な り し もの は幾 分 ア ル カ リ性 に,叉 ア ル カ リ性 な りし もの は幾 分 酸 性 に変化 す る 。但
し或点 に於 て は加 熱 に よ りて も性 の変化 は な い 。此 不変化点 はpH7に
の 種 類 に よ りて 多 少異 な る 。此 の 如 きpHの
近 い 或 鐵 で あ るが 筋 肉
動 揺 は揮 磯 性 の 盤 基 及酸 性 物質 並 に 可 溶 性両 性
電 解 質 の 生 成 に原 因 す る もの と思 考 され る 。2)肉
蛋 白の20%内
外 が ペ プ トソ・ ア ミノ酸 及
ア ンモ ニ ア態 に変化 す る 。此 の 如 き可 溶 性 窒 素 の 生 成 は 開罐 後 罐 詰 肉 の 腐 敗 を誘 起 し易 き原 因
を構 成 す る もの と認 め られ る 。3)炭
素,水 素,窒 素,硫 黄 及燐 の定 量 の結 果,窒 素 及 硫 黄 は 一i
般 に減 少 す る 。而 して共 減 少 はpHの
大 な る溶 液 に於 て加 熱 す る際 に特 に著 しい 。4)加 熱 に
よ りて蛋 白か ら放 出 され るNH3及H2Sは
共 にpH大
な る場 合 に於 て 著 しい 。此 事 實 は罐 材
不 良 な る場 合 に 肉質 の 黒変 を誘 起 す る 原 因 を 構 成 す る もの で あ る 。5)
Arginine,
Histidine,
及 Lysine
て は 加 熱 前 の 溶 液 のpH債
甚 しい 。6)及Tyrosine,
x九
高 きに從 て,叉
Tryptophane
州帝國大學農學部
の 含 量(%)は
Cysteine,
Cystine,
何 れ も 減 少 す る 。 シ スチ ン 及 シ ステ ィ ンに 於
リヂ ンに 於 て は pH 債 低 きに 伴 つ て共 傾 向 は特 に
Proline
の 含 量 は殆 或 は全 く変化 しない 。
生物 化學状室邦文報告114號
第 一':報("に於 て は貯 藏 罐 詰 の 瓦斯 及金 属 含 量 に 就 て 研 究 した 。罐 詰 内 瓦 斯 σ)定量 は 貯藏 中 に
於 け る 肉質 の変化 及 罐 材 の 腐 蝕 状 況 を槍 知 す る に適 當 な る一 手 段 で あ ろか ら ・其 含 量 を定 量 し
併せ て 鐵 及 錫 の 分 析 を 試 み た 。陸 軍 糧 秣 支 廠 製 牛 肉罐 詰 の 罐 齢2乃
至15年 の もの に於 て 實
験 の 結 果,瓦 斯 の 割 合 は大 多轍 の 罐 に於 て は窒 素 多 き も,甚 しき古 罐 に 於 て は 水素 が 最 大 で あつ
た 。空氣 中に 於 け る よ りも酸 素 が 窒素 に比 して 少 きは罐 内 に於 て酸 素 が 水 素 と化 合 し叉有 機 物
の 酸 化 が 徐 々 に起 りつLあ る爲 で あ ら う。炭 酸 は空氣 に 於 け る よ りも濃 度 大 な り しは有 機 物 の
酸 化 に よ るべ き も,共 量 甚 しく大 な らざ り しは罐 が 腐 敗 し居 らざ り し事 を 語 る もの で あ る 。要
す るに 正 常 罐 に 於 て は貯 藏 久 しきに 亘 る も炭 酸の 増 加 は認 め られ な いが ・往 々罐 材 腐 蝕 せ られ
水 素 瓦 斯増加 し外観 炭 酸 瓦 斯 の 多 量 な る腐 敗 膨 脹 罐 と異 な らざ る もの もあ つ た 。貯藏 の年 敏 の
増加 と共 に 鐵 及錫 の 溶 出量 も 亦 増 加 した 。蟹 罐 詰 は罐 齢1乃
至5年
の もの を 試験 した る に,
窒 素,酸 素,水 素,炭 酸 の 含 量,鐵 及錫 の 量 も何 れ の 罐 に於 て も著 しき変化 な く,何 れ も窒 素 約
8{}%水 素 及酸 素 各10%位
に して 炭 酸 及 金 属 は微 量 で あつ た 。之 は 蟹 罐 詰 は常 に ラ ツ カ ー ド罐
を使 用 す る事 叉 其 の 内容 の 水 素 イオ ン濃 度 が 殆 ど全 く中性 な る事 に原 因 す る事 と思 はれ る 。共
他 敏 種 の 肉罐 詰 に就 きて實 験 の結 果,一
般 に長 年 月貯 藏 した る罐 は内 容 の 鐵 及錫 の 含 量高 く,
水素増加 し,窒 素 は比 較 的 に減 少 せ る を認 めた 。
第 三 報(3)に 於 て は製 罐 並 に 貯藏 中 に発 生 す る 炭 酸 及 水素 に就 て 研 究 した 。第 二報 に 於 て は
軍 用叉 は市 販 の罐 詰 を使 用 した が,今 回 は比 較 を 一 腎正 確 に す る 爲 に 一定 の 肉 粉 に 罐材 料 た る
鐵 及 錫 の 粉 末 を混 じ硝 子管 中 に密対し,加
熱 時 間,貯 藏 時 間 ・肉粉 の 種 類 ・ 肉 の新 鮮 度,水 素
イオ ン 濃 度 等 を 異 にせ る 場 合 を 實 験 した 。炭 酸 は 肉 の 分 解 を知 らむ が 爲 に・ 叉 水素 は罐 材 の
腐 蝕 を槍 す るが 爲 に 分 析 した の で あ る 。実験 の 結 果,炭 酸 瓦 斯 の 含 量 は ・ 肉 の 種 類 ・新 古,
pHの
如 何 を問 は ず,製 罐 の 際 に於 て は加 熱 時 間 の 長 きに從 て増加 す る。叉貯 藏 中 に 於 て は 錫 の
みの 存 在 に於 て は梢 増 加 し有 機 物 の分 解 が 徐 々 に 行 はれ つ 曳あ る事 を 推 定 せ しむ るが ・鐵 の 存
在 に 於 て は却 て 減 少 す る 。之 は 鐵 の 存 在 に 於 て も錫 の みの 場 合 と等 し く叉 は之 れ 以 上 に 分 解 が
起 るべ きで あ るが,炭 酸 が 徐 々 と鐵 と作 用 す る爲 で あ ら う。 (Fe±CO2 +H2 O=Fe CO, +H2) 。
又水 素 含 量 は 総 て の 場 合 を 通 じ,鐡 の存 在 に於 て は 製 罐加 熱 時 間 の 長 きに從 て増加 し,貯 藏
中 に於 て も鐡 の存 在 に 於 て増加 す るが,錫
の みの 存 在 に 於 て は 殆 ど 増 加 しな い 。即 ち 罐 材 中
水 素 瓦斯 磯 生 の 主要 な る原 因 を構 成 す る もの は鐵 に して 錫 は殆 ど認 む る を要 しな い 。 叉共発生
量 は製 罐 の 際 に 於 て も亦 貯 藏 中に 於 て も水素 イ オ ン濃度 と大 に 相 關 連 し・ 共 濃 度 高 きに 從 て 釜
大 である。
第 四 報
貯 藏 罐 詰 肉 の 蛋 白,油 脂 並 に 榮 養価 に就 て
1・貯 藏 罐 詰 肉 の 蛋 白質 に 就 て
本 實 験 に 使 用 した る罐 詰 は 第 二報 の 瓦斯 分 析 及金 屡 含 量 の 研 究 に 供 した る もの と等 しく,陸
軍 糧 秣 支 廠 製 牛 肉罐 詰 に して 製 造 後 の1年 齢(罐 齢)2--15年
の もの であ る 。其 内 容 を乾 燥 し
分 析 した る結 果 を,無 水 物 の 百分 率 に て 示せ ば次 の 如 くで あ る ・
罐
齢
全
窒
素
粗
蛋
白
粗
脂
肪灰分
1510.86%67.88%8.89%10.94%
1011.2970.569.168.85
710.2864.2512.22『[3.24
510.4265.1312.5612.07
210.7267.009.5011.79
以 上 の罐 詰 の 内 容 を乾 燥 細粉 し醋酸 に て微 酸 性 とな した る多 量 の 水 と数 回煮 沸 し
凝 固物 を
更 に アル コール 次 に エ ー テル セ
こて 各 敏 回浸 出 して 作 りた る粗 肉 蛋 白 と・ 新 鮮 牛 肉 を直 ち に水 と
煮 沸 し,次 に アル コ ール,エ
ーテ ル に て浸 出 して得 た る粗 肉 蛋 白 とを分 析 し無 水 物 及 無 荻 無水
物 に於 て比 較 すれ ば 次 の 如 くであ る 。
罐
齢
灘__無
雛rsL窒_*≧_窒X*
灰無水物中
151.78%15.37%15.65%
100.9115.7715.91
70.9515.7715.92
50.5615.4815.57
20.3815.5815.63
i新鮮0.2515.7815.82
一上 記 の 結 果 を見 る に全 窒 素 の 含 量 は各 蛋 白 に於 て 殆 ど相 等 しき も灰分 含 量 は罐 齢 高 き に從 つ
で大 で あ る 。此 事 實 は第 二報 に示 すが 如 く,罐 齢 高 きに從 つ て 罐 材 た る 鐵 及 錫 の 溶 出量 大 な る
事 と一 致 す る 。
・
以 上 の 各 蛋 白 をVanSlyke法
に て 麗理 した る結 果 を 無 水 無次 物 百分 率 に て 示せ ば 次 の 如 く
である。
無 水無 灰蛋 白百分 中
罐
齢1510752新
鮮
Total -N15.65
15.91
15.92
15.57
15.63
15.82
0.98
1.00
1.00
1.03
1.06
0.07
0.07
0.07
0.08
0.08
0.07
0.34
0.24
0.32
0.25
0.25
0.13
Arginine-N2.07
2.10
2.04
2.07
2.05
2.05
Cystine-N0.14
0.14
0.14
0.15
0.14
0.14
Histidine-N1.03
0.94
1.11
1.04
1.08
0.92
Lysine-N1.80
1.94
1.80
1.80
1.82
2.03
Mono-amino--N8.59
8.86
8.76
8.78
8.65
8.92
Non-amino--N0.63
0.50
0.57
0.36
0.50
0.49
15.77
15.81
15.53
15.60
15.81
Amide-N0.97
Insoluble-Humine
-N
Soluble-Humine--N
Sum15.64
窒 素
罐
百 分
中
齢1510752新
鮮
Total-N100
100
Amide-N6.20
100
100
100
100
6.16
6.28
6.42
6.59
6.70
InsolubleHumine-N
0.45
0.44
0.44
0.51
0.51
0.44
Soluble-Humine-N
2.17
1.51
2.01
1.61
1.60
0.82
13.20
12.81
13.29
13.12
12.96
Cystine-N0.89
0.88
0.88
0.96
0.90
0.88
Histidine-N6.58
5.91
6.97
6.68
6.91
5.82
12.19
11.31
11.56
11.64
12.83
55.69
55.03
56.39
55.34
56.38
3.14
3.58
2.31
3.20
3.10
99.12
99.31
99.73
99.81
99.93
Arginine-N13.23
Lysine-N11.50
Mono-amino--N
Non-amino-N4.03
Sum99.94
54.89
第 一報 に 示せ るが 如 く肉罐 詰 製 造 の 際 に 於 て 肉蛋 白の 一部 分 は ベ プ トン,ア
ミ ノ酸 の 如 き 可
溶 性 物 質 に変化 し,從 て淺 留 す る凝 固蛋 白 は原 肉蛋 白 と必 ず し も組 成 等 しか ら ざ るべ き も,以
上 分 析 の範囲 に 於 て は 罐 齢 の異 な ろ罐 詰肉 よ り製 した る各 蛋 白相互 間 に も,亦 罐 詰 肉及 新 鮮 肉
よ り得 た る各 蛋 白相互 間 に も定 量 的 の 相 異著 しか らず,唯 僅 に,罐 齢 高 き もの 程 精 ア ミ ド窒素
減 少 し,可 溶 ヒユ ミン窒 素増加 す る傾 向 をi認む るの み で あ る 。此 事 實 は単に 蛋 白質 の み に 就 て
考 慮 すれ ば新 鮮 肉,新 罐 詰 及 貯藏 罐 詰 相互間に 榮 養上 大 差 な き事 を推 定 せ しむ る もの に して,著
者等 が 十数 年 前 に 行 ひ た る動 物 試 験 の結 果 ω と一 致 す る もの で あ ろ 。
II.貯 藏 肉罐 詰 の 淋 脂 に 就 て
油脂 の貯藏中 に於 け る変化 に就 きて は 我 國に 於 て も研 究 ① 勘 か らざれ ど も,牛 肉 罐 詰 に 於 て
は無 きが 如 くで あ るか ら,吾 人 は陸 軍 糧 秣 支 廠製 牛 肉罐 詰 の 油 脂 に 就 き数 種 の實 験 を試 みた 。
(A)罐
齢2--15年
た る残 部 を乾 燥 し
の 牛 肉 罐 詰 に於 て 前 記 の 如 く瓦 斯 及 金 属 含 量 及 蛋 白質 組 成 の 研 究 を行 ひ
エ ーテ ル に て浸 出 し,酸 償 及沃 素 慣 を測 定 した 。
罐
齢
酸
償
沃
素
償
1530.4549.08
1025.4748.10
713.6745.85
511.4043.65
210.4445.98
本実験 の材 料 は乾 燥 し,貯 藏 した る もの な る を以 て此 種 の 研 究 試 料 と して は適 當 な る もの と
認 め難 き も,測 定 の 結 果 に よれ ば罐 齢 の 増 加 と共 に 油 脂 の 酸慣 は 大 に増 加 した 。
(B)次
に宇 品陸 軍 糧 秣 支 廠 に て製 造 し約6ヶ年間
貯 藏 した る牛 肉大 和 煮 罐 詰 中,1旺 常 な る
もの と膨 脹 した る もの とに付 き其 油 脂 の特 数 を測 定 比 較 した 。
罐 詰 の 良 否 は特 殊 の場 合 を除 き一般 に 開 罐 す る事 な く打 槍 法 に よ りて鑑 別 され る ・ 此 際 に は
罐 内 の 瓦 斯 の 有 無 多 少が 唯 一 の根拠 とな る 。此 の 方法 に よ りて は腐 敗 に よる炭 酸 瓦斯 膨 脹罐 と
罐 材 の 腐茲に よる水 素 膨 脹罐 とを区 別 す る事 は 困難 で あ る 。前 者 は製 造 後 比 較 的 短 時 間 に生 じ ・
後 者 は敏 年 を経過 して 後 に 生 ず る を普 通 と し
析,金属
の 含 量,蛋
油 脂 の採 集 及分 析
雨者 の区 別 は 内容 物 中微 生物 の 繁 殖,瓦
斯の分
白質 及 油脂 の変化 な ど で行 はれ る 。
罐 詰 肉 を磨 礫 し,約 倍 量 の エ ー テル と数 回振 勲 し,エ ーテ ル液 を 無水 硫
酸曹達 にて脱水 し
エーテ ル を炭 酸 瓦斯 を通 じつ 曳減 墜 下 に 蒸 溜 し去 り・ 油脂 を 眞塞 デ シ ケ ー
ター中 に乾 燥 した 。油 脂 は 常 源 に 於 て 固 盤状 に て淡 黄 褐色 を 帯び 一種 の 臭 氣 を有 した ・其特 轍
は次 の如 くで あ る 一
新
鮮
肉
微
黄
色
貯
藏 罐
詰
肉
正常副
腿
帯 褐 微 黄 色
徹
罐
「
色
i
閲
さ
酸
儂
i
固
軟
11.61
;
黄
中
16.】4
色
間
11.09
償
…
199
19.7.5
エ ス テ ル 償
…
187.39
181.36
186.21
沃
1
47.96
46.39
44:08
9.36
9.25
10.58
93.51
93.05
94.16
鹸
千ヒ
素
債
ア セ チ ル 償
へ 一
不ル イ
買
瓢 へ鶏 債
VitaminA呈
197.3
1.56
1.54
1.53
一
色
III.貯 藏 罐 詰 肉の 榮 養 慣 値 に就 て
前 記 の 如 く同 種 肉 罐 詰 の 新 しき もの と貯 藏 した る もの と よ り分 離 した る蛋 白は 組 域 も大 差 な
く又 榮 養 慣値 も殆 ど等 しき もの で あ るが,茲に は罐 詰 内 容 を全 部 乾 燥 して得 た る 肉粉 を使 用 し・
配 合 飼 料 を作 り其 肉 蛋 白 含 量 を何れ も7%と
な し,白 鼠 の 同 腹仔 の 同性 の もの を以 て 試 験 し
た 。罐 詰 肉の 種 類,飼 料 の配 合 生長 の 比 較 等 は次 の 如 くで あ る 。
市 販牛 肉大 和 煮 及鮭 罐 詰 の新 しき もの(1ヶ年
牛
供
試
鼠
品
1剰
性
肉
肉A1牛
♀
粉
12.0,11.4
貯藏)と
肉B
古 き もの(8ヶ年
牛
貯 藏)と の比 較
鮭
肉C
古 L釧
古
♀
♀
≒)
♀
♀
10.1
11i8
14.3
15.2
.新L古
.妬
肉
一{一声
ε
δ
9.7
9.8
酉巳
澱
粉
合
何 れ の 飼 料i:も
肉 粉,澱
粉 の 外 は 簾 糖5,寒
天1,氏
MCCOLLUM
無 機塩4,
飼
バ タ159及
ナ リ ザ ニ ン4c・c・ な 配 合 した ・使 用 した る 肉 粉 は 何 れ も79
料
の蛋 白 に相 當 す る
試
験
期
間
何 れ も自5月3日
至6月30日
・約2ヶ月
間
初体重5046454644、454644
終
資豊
重130,1281261081118i78154136
11
屠
カロ
量8082816274,3310892
一
日 」曾 カロ 量1.41.41.41.()1.20.61・81・5
試
験II.
睦 軍 糧 秣 支 廠製 牛 肉 罐 詰
罐
齢151052
鼠
配
・
性1♂1♂1♂
【
♂
ミ
肉
紛11.010.7111.211.0
澱
紛64・
合
・64・3163・864・
・
飼
其 他 の配 合試験1に
料
試験期
初
艘
間
自10月19日
等 し
至2月12日,約4ヶ月
間
重15。5-46!42
終体S1851881801186
増加量1351381341144
一一 日 士
曾 カロ 量1.21・21・2}1・3
試
験III・
市 販 た らば 蟹 罐 詰 肉
1
罐
齢
レ53i1
鼠・性
酒
合
一
肉
粉9・49・2、9・0
澱
粉65.665.8…66.O
li
飼
♀
其 他 の配 合,試 験1に
料
試験期
間
等し
自10月19日
初体
重363246
絡体
重135132160
至12月18日,約2ヶ月
増加量99100126
一
日増加
量1
巨
.71.72.1
以 上 の 結 果 を生 長 曲 線 に 書 け ば 次 の 如 くで あ る 。
之 を要 す る に 陸 軍 糧 秣 支 廠製 牛 肉 罐 詰 並 に 市 販 の 蟹 罐 詰(試 験II及III)に
の大 な る相 異 に も拘 らず,共
於て は罐齢
内容 の 榮 養 慣 値 ば小 差 あ るの み で あ る 。此 結 果 は先 年(4)10%の
肉蛋 白含 量 に於 て著 者 等 が 行 つた 結 果 と一致 す る 。 叉此 等 の 罐 詰 肉 に於 て は飼 料 中 肉 蛋 白 含 量
7%に
て 正 常 に近 き生 長 を な す 。
然 る に製 造 工場 を異 にせ る 市 販 牛 肉罐 詰(試 験1)の
場 合 に は趣 を異 に し,久 しく貯 藏 した
る もの は比 較 的 新 し き もに比 して 榮 養価値 梢 劣 る もの もあ り,叉 甚 し く劣 る もの もあ る 。之 は
内容 の 不 同 に も よるべ き も,罐 材 の 相 異 も亦 關 係 あ るべ しと思 考 され る 。
鐵 及錫の有 害作 用
上 記 の 如 く同種 肉類 の新 古 罐 詰 は共 肉 蛋 白の 榮養 慣 値 殆 異 な らざ る に ・罐 詰 内 容全 鐙 と して
は往 々共価値 大 に相 異 す る を以 て罐 材 よ り溶 出 す る金 属 の影 響 を試 験 した 。
罐 詰 内 容 乾 物 中鐵 及 錫 の 最 大 量 は吾 人實 験 の範囲 に於 て は夫 れ 夫 れ03及0・6%な
て,夫 れ 夫 れ 其2-3倍
糖5,盤4,バ
McCollum
同 腹の 雄 白鼠 を2ヶ月
る を以
量 を第 二臨 化 物 の 形 に於 て カゼ イ ンに 混 じ,カ ゼ イ ン22,澱 粉53,藤
タ15,寒天lgに
間 飼 養 した 。
(1)(2)(3)(4)(5)
カ ゼ イ ン 中 の 金 属(%)FeO,6FeO.9Sn1.2Sn1。80
全 飼 料 中 の 金 隠(%)FeO.12FeO.18SnO.2SnO.340
オ リザ ニ ン4c・c.を 添 加 した る 配合 飼料 を作 り.
以 上 の 結 果 を見 れ ば鐵 含 量 過 多の 時 に は下 痢 を起 し体重 増 加 せ ざ る場 合 あ り,錫 よ り も有 害
な るが 如 くで あ る 。
総
括
1),肉
罐 詰 に 關 す る本 研 究(第 四 報)を 記 載 す るに 先 立 ちて 先 づ 第 三 報 ま での 梗 概 を記 した 。
2),本
研 究 に於 て は貯 藏 罐 詰 肉 の 蛋 白,油 脂並 に 榮養価値 を論 じた 。
(a〕,蛋白 ・罐 齢2-15年
を維 た る陸 軍 糧 秣 支 廠 製 牛 肉罐 詰 及新 鮮 な る 牛 肉 よ り粗 蛋 白 を調
製 した ろ に,窒 素 の 含 量 は各 供 試 品 に於 て殆 等 しき も,灰分 の 含 量 は罐 齢 高 き程 増 大 した 。此
原 因 は 主 と して 貯藏 中 に罐 材 た る鐵 及錫 の溶 出 す る事 に あ る と思 考 され る 。
以上 各 種 の 蛋 白供 試 品 をVanSlyke法
に て分 析 した る に共 相 互 の 化 學 的 組 成 は 大差 な く,
從 つ て其 榮 養価値 も相 近 か るべ き を推 定 せ しむ る結果 を得 た 。 此 結 果 は余 等 が 十 厳 年 前 行 ひ た
る動 物 試験 の結 果 と 一致 す る もの で あ る 。
(b),油 脂,罐 齢215年
を分 離 し,酸 悌
鹸 化 慣,エ
の 上 記 罐 詰 肉,罐 齢6年 のiii常罐,同 水 素 膨 脹罐 及新鮮 牛 肉 よ り油 脂
ステ ル慣,沃 素 債,ア セ チル債,ヘ
ー ネル慣,ラ
便 を測 定 した う に・罐 齢 高 き もの 程 酸 債 大 な るの 結 果 を得 た る外,著
以 上 の 供 試 油 につ きて Carr-Price
(c),榮 養債,罐
しき相 異 を認 め なか つ た 。
の ビ タ ミンA呈 色反応 を試 みた るに 何 れ も陰 性 で あ つ た 。
詰 の全 内 容 を乾 燥 して 得 た る 肉粉 を使 用 し,配 合 飼 料 を作 り,白 鼠 の 同 腹仔
の 同 性 の もの を以 で 飼 養 試験 を行 ひた る に罐 齢2-15年
罐 齢1-5年
イ ヘル トマ イ スル
を維 た る 陸 軍 糧 秣 支 廠 製 牛 肉罐 詰 及
の 市 販た らば 蟹罐 詰 よ り得 た る 肉粉 は 貯藏 年 月 の相 異 に も拘 は らず,榮 養 慣値 大 差
な く何 れ も共 肉 蛋 白 含 量7%に
して 既 に正 常 に 近 き生 長 を得 せ しめた 。
然 るに製 造 工場 を異 に せ る市 販 の 牛 肉 及鮭 罐 詰 よ り得 た る 肉粉 の 場 合 に は貯 藏 久 しき に亘 り
た る もの は往 々不 良の 結 果 を與 へ た 。此 結 果 は材 料 及製 法 の 相 異 に もよ るべ き も亦 罐 材 と も關
係 を繋 ぐべ き を思 ひ 配合 飼 料 に鐵 及 錫 の塩類 を混 じて 飼 養 試 験 を行 びた るに,鐵 過 多 の 害 は 錫
過 多 の場 合 よ りも大 な るが 如 くで あ る 。
附記
本 報 告 は片 井 喜太 郎,花
田稔 及農 學 士 望 田慶次 郎 氏 と共 に行 ひた る業 績 を奥 田が 記 載
した る もの に して,本 研 究 の費 用の …部 分 は財 團法 人服 部 報 公 會 の 援 助 に よ る もの で あ る 。
交
(1),奥
田,山
9.532(昭
(2),奥
田,片
藤:日
本 農 熱 化 學 會 誌.9.835(昭
田,片
和8年)奥
田,Ill藤,川
崎:日
Bulletin of the Chemical Society of Japan, Vol.
和9年)
井:H本
農 藝 牝 學 會 誌.12.1059(昭11和
of Japan, Vol. 11. 715
(3),奥
献
井:H本
年)
本 學 術 協會 報 告 ・
9. 75 (1934)
Bulletin
of the Chemical.
Society
Bulletin
of
Society
(1936)
農 藝 化 學 會 誌.12.1064(昭
和11年,
the
Chemical
of Japan, Vol. 11. 718. (1936)
(4),鈴
木,奥
田,松III,沖
(5),中
尾,池
邊:瀟
雑 誌.28、16.(大
本,片
倉,班
田:東
邊 中央 試 験 所 報 告
正14年).深
京化學會誌
第7輯(大
山,猿
谷:水
第41幟
正11年),第11輯(昭
・381(大1E9年)
和2年)・
産 講 習 所 研 究 報 告 ・29巻
第1珊(昭
廣 瀬=v[業
和8年)
化學
CHEMICAL
STUDIES
ON CANNED
MEATS
(Resume)
Yuzuru
The
results
preceding
of
papers
I.
the
present
described
OKUDA
communication
together
with
those
of the
here.
Chemical Changes of Muscle Proteins
in Cannine
(1) The muscle proteins of some hens, various fishes and certain
animals were prepared as samples for the purpose of studying what changes
take
place
in the muscle
proteins
at the
time
of canning
meats
under
pressure and heating.
The materials were sealed in glass-tubes and heated
at 130-140°C for one hour, and changes of materials were studied.
(2) The hydrogen ion concentration
of all of the proteins
tendency to approach toward the neutral point.
showed a
(3) About 20 per cent of the protein nitrogen was transformed
by
heating to peptone, peptide, and amino acid nitrogens.
The formation of
soluble nitrogen
putrefaction
compounds,
of contents
such as these, is considered
to cause a speedy
of an opened can.
(4) As the results of elementary analyses of carbon, hydrogen, nitrogen,
sulphur and phosphorus, it was found that the quantities
of nitrogen and
sulphur contained in the proteins generally decreased by heating, and the
changes
were more
appreciable
amount
marked
the higher
change in phosphorus
decreased
percentage
when
when
solution
the values of pH.
the solution
was acidic or
was
There was no
neutral,
alkaline,
and
but
its
hence
the
of carbon increased.
(5) The quantities of NH3 and H,,S generated
in proportion to the values of pH of the solutions.
by heating were greater
This result explains the
fact that, when the tin of cans are bad and the pH of the contents
is high,
the contents
changes
of the can
deteriorate
more readily
and the colour
to black.
(6)
method,
As the results of the analyses of the protenins by the Van Slyke
the decrease of the total nitrogen, ammonia nitrogen and cystine
nitrogen
and
the increase
of melanine
when the pH value indreased.
nitrogen
The quantities
were
of cystine,
detected
arginine,
especially
histidine
and lysine contained in the materials showed a tendency of decrease in all
three cases and the same tendencies were very remarkable on cystine at
the higher value of pH and on lysine at the lower.
(7) Tryptophane by the May-Rose method and the tyrosine by the FolinDenis method were quantitatively analyzed, and the decrease of these
substances by heating were very insignificant.
(8) The test for proline was made by the Fisher-Bechner
but no decomposition by heating was observed.
method,
(9) Cysteine and cystine were analyzed quantitatively by the OkudaKatai `method, and it was found that a part of any one of these acids
always changed to the other acid by heating. But the sum of the two
always decreased, and the decomposition of both of these acids was remarkable at the higher value of pH, and the decomposition of cysteine was
greater than that of cystine.
(10) A part of the protein-sulphur changed by heating to hydrogen
sulphide, other sulphides, sulphuric acid and soluble organic sulphur, and
the quantities of these substances generated were greater at the higher pH
of the solutions, as in the case of the .decompositions of cysteine and
cystine.
II. On the Contents of Gases and Metals in Storaged Cans'"
The experiments were carried out with canned meats of different ages
of storage, from 1 to 15 years, were as follows :1) Among gases conteined in cans examined, the quantity of nitrogen
was the largest in the majority of the cans, but in some old cans the
amount of hydrogen was fiequently more than that of nitrogen.
2) The proportion of oxygen as compared to that of nitrogen was
much smaller than it is in the air.
3) The content of carbon dioxide in cans was larger than that in the
air,, but it did not increase appreciably during the storage of the cans.
4) Free amonia and hydrogen sulphide showed only traces.
5) The concentration of hydrogen ion of the canned meats showed
almost no change in storage.
6) The contents of iron and tin in both canned beef and fish were
nearly .proportional to that of hydrogen in the cans Which was produced by
corrosion of can-materials. But in the case of crab meat packed in the
cans which are covered inside with lacquer, almost no increase of the
contents of iron, tin and hydrogen was obsered.
7) Unusual increase of hydrogen gas in some very long-stored beefcans sometimes gave rise to the so called " blown " cans, in which the ends
become convex, and are apparently analogous to the spoiled cans dilated by
the pressure of carbon dioxide produced by the action of bacteria upon the
contents.
III. Carbon Dioxide and Hydrogen Gasses Produced
at Canning and in Storage")
In the present case, instead of commercial cans, sealed glass tubes
containing a certain meat, tin and iron powders, and sloutions of different
dydrogen ion concentration were used.
1) The production of carbon dioxide during canning increased a little
more, as a rule, in the presence of iron than in the presence of tin alone.
And also the longer the time of heating the more was the increase.
2) The production of carbon dioxide during storage, gradually increased
in the presence of tin alone, but decreased in the presence of iron. The
decrease seems to be due to the fact that carbon dioxide produced by
gradual oxidation acts on iron to make iron carbonate and hydrogen.
3) The production of carbon dioxide seems to have some relation
with the hydrogen ion concentration of meat-juice and the kind of meats,
but the relation with the freshness of the meat is not definite.
4) The production of hydrogen is chiefly due to the presence of iron
but only slightly to that of tin. In the presence of iron, the production had
an intimate relation with the hydrogen ion concentration of meat-juice, the
stronger being the concentration the more the production. The production
increased proportionally to the length of time of heating in canning, and to
the period of storage of cans.
5) The kind and freshness of meats have more or less influence upon
the production of hydrogen from can-material.
6) The quantity of carbon dioxide produced was generally very small
as compared to that of hydrogen.
)
IV. Protein, Fat and Nutritive Value of Storaged Canned Meats.
The present
investigation
deals with the chemical changes of the
proteins and fats, and also the nutritive value of meats in cans which have
endured long storage. The results of the experiments carried out with
canned meats of different ages of storage were as follows :1) The proteins obtained from fresh and canned beef aged from 2 to
15 years contained nearly equal amounts of nitrogen but differed greatly in
amounts of ashes. The ash-content was the more the older the cans.
2) The results of analyses of the proteins by, the Van Slyke method
showed no remarkable difference eash other. This analogy of the chemical
composition of those proteins indicates the similarity of the nutritive value
of them. This result agrees with that of feeding experiments performed by
us long years ago.®
3) Acid value, saponification value, ester value, iodine value, acetyl
value, Hehner value, and Reichert-Meissl value were examined in the fats
obtained from fresh and canned beef of different ages of storage, but no
definite conclusions were obtained, except that the longer the time of
storage the higher was the acid value.
4) Carr-Price test for vitamin A was negative in all of the fats
examined.
5) The nutritive value of the meat powders obtained from canned beef
from 2 to 15 years old, and from canned crab from 1 to 5 years old showed
only slight differences, when feeding experiments were performed with albino
rats.
6) When the great excess of iron and tin in the form of their chlorides
was adminitrated to the rats, the injurious action of iron was greater than
that of tin.
Fly UP