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プリント(p7-15)

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プリント(p7-15)
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
2
2.1
7
1 階微分方程式
1 階常微分方程式:方程式の形による解法 (1)
もっとも基本となるのは,同次(斉次)1 階線形微分方程式
y ′ + p(x)y = 0
(2.1)
である.これは,次の変数分離型になる.
以下では,一般解を暗記
するよりも,解き方を覚
えよう
教科書 p9
変数分離形 右辺が変数ごとに分離した関数の積になるとき:
微分方程式 y ′ = f (x)g(y)
(2.2)
解き方:
f (x)dx =
dy
g(y)
と変形して,両辺を積分.
一般解は,
∫
1
=
g(y)
∫
f (x)dx + C (C は積分定数)
(2.3)
以下,解ける例をいくつか紹介していく.
「同次形」は,ちょっと特殊に見えるが,問題を簡単
に設定する時などに登場する微分方程式.
同次形 2 変数あるように見えても,実は
y
だけの式のとき:
x
y
微分方程式 y ′ = f ( )
x
(2.4)
解き方:
u(x) =
y(x)
つまり y = xu
x
として,u(x) の微分方程式に変形する.
y ′ = (xu)′ = u + xu′ を (2.4) に代入すると,
u + xu′ = f (u) より du
1
1
=
f (u) − u dx
x
となって,変数分離形になり,
∫
1
du = log |x| + C (C は積分定数)
f (u) − u
左辺の積分後,u =
y
を代入して,x, y に戻す.
x
(2.5)
教科書 p14
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
8
次の 2 つの線形微分方程式は,セットで学習するとよい.
1 階線形非同次だけど定
係数,教科書 p17
定係数・線形 未知関数 y について 1 階の導関数と線形項:
微分方程式 y ′ + ay = Q(x)
(2.6)
解き方: 両辺に eax をかけると,左辺がまとめられる.
– 両辺に eax をかけると,
左辺 = eax y ′ + aeax y = (eax y)′
なので,
(eax y)′ = eax Q(x) より eax y =
∫
eax Q(x)dx + C (C は積分定数)
最後の式から,y の解を表すと,
{∫
}
−ax
ax
y=e
e Q(x)dx + C
(C は積分定数)
(2.7)
– 後述の未定係数法でも解ける.
1 階線形非同次の一般
形,教科書 p20
1 階線形 未知関数 y について 1 階の導関数と線形項:
微分方程式 y ′ + P (x)y = Q(x)
∫
解き方: 両辺に e
P (x)dx
(2.8)
をかけると,左辺がまとめられる.
– 定数係数のときと同様にして
{∫ ∫
∫
y = e− P (x)dx
e
– 後述の定数変化法でも解ける.
}
P (x)dx
Q(x)dx + C
(C は積分定数)
(2.9)
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
9
授業の題材(1 階微分方程式,Part 2)
このプリントは,授業で扱いたい問題を載せています.
各自,計算練習は,教科書の章末問題等で進めてください.
1.6 放射性元素が崩壊するとき,単位時間に崩壊する原子の数はその瞬間の原子数に比例す
る.このとき,比例定数 λ(λ > 0) をその元素の崩壊定数という.
放射性元素が崩壊
(1) 時刻 t における原子の数を N (t) として,微分方程式を作れ.
(2) この微分方程式の解として,N (0) = N0 を満たすものを求めよ.
(3) 原子数が現在の量から半分になるまでの時間を半減期という.崩壊定数 λ と半減
期 T との関係を求めよ.
(4) t = 1 のとき,N (t) が N (0) の 99%となるとき,この物質の半減期を求めよ.
(log 2 = 0.6931, log 100 = 4.605, log 99 = 4.595)
1.7 室温が 20 [o C] の部屋に置いたコーヒーの温度の変化率は,時刻 t におけるコーヒーの
温度 T (t) [o C] と室温との差に比例する.すなわち,
コーヒーの温度
dT
= −k(T − 20) (k > 0; 定数)
dt
となる.t = 0 で,100 [o C] であったコーヒーが,2 分後に 70 [o C] になったとすると
き,40 [o C] になるのは何分後か.
(log 2 = 0.6931, log 5 = 1.609)
1.8 人口に関するマルサスの法則の修正版として,人口の増加率は人口が増えると減少する,
dy
というモデルがある.すなわち,人口 y の増加率は,マルサスの法則
= ky での定
dt
数 k の代わりに,
k = a − by (a, b は,定数)
ロジスティック方程式
として,
dy
= (a − by)y
dt
と考えるものだ(これをロジスティック方程式という).これを解け.
1.9 化学反応の速度は,混合する 2 つの薬品の濃度に関係する.初期濃度がそれぞれ a, b(a ̸=
b) であるような 2 つの薬品 A,B を混ぜて,薬品 C ができるとき,時刻 t における C の
量を x とすると,C が生成される速さは,その時刻に残っている A,B の濃度 a− x, b −x
の積に比例するとしよう.このとき,x を時刻 t の関数として求めよ.
1.10 底面が 1 辺 20 cm の正方形で,高さ 10 cm の正四角錐の容器がある.頂点を下にし,
底面を水平にして水をいっぱいに入れ,頂点に小さな穴をあけて水を流し始めた.流れ
始めの流量は毎秒 1cm3 であった.単位時間当りの流量は水深の平方根に比例するとし
て,全部流れ出るのに要する時間 T を求めよ.
1.11
(1) y = xu とおくことにより,次の微分方程式を解け.
dy
xy + y 2
=
dx
x2
化学反応の速度
水流の速さ
同次形
(x > 0)
(2) y = xu とおくことにより,次の微分方程式を解け.
y′ =
x+y
x−y
(3) x + y = u とおくことにより,微分方程式 y ′ = (x + y)2 を解け.
(4) x + y + 1 = u とおくことにより,微分方程式 y ′ = x + y + 1 を解け.
1.12
(1) 半径 r の円 x2 + y 2 = r2 で,r がパラメータの曲線群を考える.これらが,微分
方程式から出てきた仲間だとすると,元の微分方程式は何か.
(2) 同様,原点を通る傾き k の直線群 y = kx が解となる微分方程式を求めよ.
微分方程式を求める問
題
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
2.2
2.2.1
10
非同次(非斉次)方程式の一般解:未定係数法と定数変化法
未定係数法
(2.6) で考えた,定係数非同次(非斉次)線形 1 階微分方程式とその右辺をゼロとした同次
(斉次)方程式を考える.
y ′ + ay
y1′ + ay1
= Q(x)
= 0
教科書 p18
(2.10)
(2.11)
次が成り立つ.
[
] [
] [
]
非同次方程式 (2.10)
同次方程式 (2.11)
非同次方程式 (2.10)
=
+
の一般解 y
の一般解 y1 (x)
の特殊解 y2 (x)
最後の非同次方程式 (2.10) の特殊解は,Q(x) の形に応じて,決まってくる.表の右側の関数
形を仮定して,(2.10) に代入し,未定係数を決めて y2 を求める.
Q(x) A, B, α, β は定数
y2 (x) k, l, m は未定係数
Axd + Bxd−1 + · · ·
A cos αx + B sin αx
kxd + lxd−1 + · · · + m
k cos αx + l sin αx
{
β ̸= −a のとき keβx
β = −a のとき kxeβx
Aeβx
2.2.2
定数変化法
(2.8) で考えた,非同次(非斉次)線形 1 階微分方程式とその右辺をゼロとした同次(斉次)
方程式を考える.
y ′ + P (x)y
y1′ + P (x)y1
• (2.13) の一般解は,
y1 = Ce−
∫
= Q(x)
= 0
P (x)dx
(2.12)
(2.13)
(C は積分定数)
(2.14)
であった.
• この積分定数を敢えて関数 u(x) に置き換え,
∫
y = u(x)e− P (x)dx
(2.15)
これを (2.12) に代入すると,
(
u(x)e−
∫
P (x)dx
)′
∫
(
+ P (x) u(x)e−
−
すなわち u′ (x)e
∫
• したがって,u′ (x) = Q(x)e
P (x)dx
P (x)dx
∫
)
P (x)dx
= Q(x)
= Q(x)
より u(x) を求めることができる.
教科書 p22
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
11
授業の題材(1 階微分方程式,Part 3)
このプリントは,授業で扱いたい問題を載せています.
各自,計算練習は,教科書の章末問題等で進めてください.
1.13 次の微分方程式を解け.
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
教科書 p25 も解くこと
+ 2y = 0
+ 2y = e2x
+ 2y = 3x + 4
+ 2y = 3x2 + 4x + 5
+ 2y = 3 sin 4x
+ 2y = 3 sin 4x + 3 cos 4x
+ 2y = e−2x
1.14 次の初期値問題を解け.
教科書 p25 も解くこと
dy
− 3y = 0, y(0) = 3
dx
dy
(2)
− 3y = 0, y(0) = −1
dx
dy
(3)
+ 2y = e−2x , y(0) = −2
dx
(1)
1.15 雨滴が無限大の速さにならないのは,空気抵抗により減速されるからである.空気抵抗
は,粒子の速度 v のみに比例する.すなわち,抵抗の比例定数を k ,粒子の質量を m,
重力加速度を g とすれば,運動方程式は,鉛直上向きを正として
m
雨滴の最終速度
dv
= −mg − kv
dt
となる.初速をゼロとして,粒子の最終速度を求めよ.
1.16 ボールを投げる時,空気抵抗がなければ,45 度の高さに投げると最も遠くまで到達す
ることが知られている.空気抵抗があるときはどうか.次の順で考えよう.
(1) 水平方向を x 軸,鉛直方向を y 軸(上向きが正)に取り,ボールを投げる位置を
原点とする.抵抗の比例定数を k ,粒子の質量を m,重力加速度を g ,時刻 t で
の 速度を (vx (t), vy (t)) とすれば,運動方程式は,
dvx
dt
dvy
m
dt
m
= −kvx
= −mg − kvy
となる.初速度を v0 ,投げ上げる角度を θ とすれば,初速度の x, y 成分は
(v0 cos θ, v0 sin θ) となる.速度 (vx (t), vy (t)) を求めよ.
(2) 時刻 t での ボールの位置 (x(t), y(t)) を求めよ.
(3) 水平方向の到達点を求めるには,高さがゼロであればよい.時刻 T で,y = 0 と
なり,そのとき x = X であるとする.ボールの位置の式にこれらの値を代入し,
θ を消去することにより,X を T の関数で表すと,
√
m
X(T ) = 2 (k 2 v02 − m2 g 2 )(1 − e−(k/m)T )2 + 2g 2 kmT (1 − e−(k/m)T ) − g 2 k 2 T 2
k
となることを確かめよ.
空気抵抗のある場合
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
12
(4) X(T ) の式は,k と T を与えないと,値が定まらない.簡単のため,以下では,
k 2 v02 − m2 g 2 = 0,すなわち k = mg/v0 としよう.X(T ) の最大値を与える T の
値が,T = m/k であることを確かめよ.
(5) 上記の k = mg/v0 , T = m/k の条件から,ボールを投げ上げる角度は,45 度よ
り高い方がよいか,それとも低い方がよいかを示せ.
1.17 抵抗値 R の抵抗,インダクタンス L のコイル,容量 C のコンデンサで構成される RLC
回路を考える.以下の事実が成り立つ.
• 起電力 E の電源からは,電荷 Q が流れ,電流 I となる.電流の値は,I =
で定義される.
RLC 回路 (1)
dQ
dt
• 抵抗では,熱が発生し,電流の流れを妨げる.生じる電圧降下は,オームの法則
により,ER = RI となる.
dI
• コイルでは,電磁誘導により電流の流れを妨げる.生じる電圧降下は,EL = L
dt
となる.
• コンデンサは,電荷を蓄えることにより電荷の流れを妨げる.生じる電圧降下は,
Q
EC =
となる.
C
• キルヒホッフの法則により,
「閉回路を 1 周した電圧降下の代数的な和はゼロ」に
なるので,次が成り立つ.
E − ER − EL − EC = 0
(1) 抵抗とコイルからなる RL 回路を考え,電流 I に関する微分方程式を書け.さら
に,加える起電力が一定値 V であり,時刻 t = 0 で I = 0 とすると,解はどうな
るか.
(2) 抵抗とコンデンサからなる RC 回路を考え,電荷 Q に関する微分方程式を書け.
さらに,加える起電力が一定値 V であり,時刻 t = 0 で Q = 0 とすると,解は
どうなるか.
(3) (1) の RL 回路で,加える電圧が交流起電力 E = E0 sin(ωt) のとき,定常状態の
回路の電流を求めよ.
(4) (2) の RC 回路で,加える電圧が交流起電力 E = E0 sin(ωt) のとき,定常状態の
回路の電荷を求め,流れる電流を求めよ.
以上で,
「未定係数法」まで.
1.18 次の微分方程式を解け.
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
dy
dx
+ xy = 0
+ xy = 2x
y
=3
x
y
+ = 3x + 4
x
y
+
= ex
x+1
−
+ (tan x) y = 0
+ (tan x) y = 3 sin x
+ (tan x) y = 3 sin x + 4 cos x
以上で,
「定数変化法」まで.
教科書 p26 も解くこと
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
2.3
13
1 階常微分方程式:方程式の形による解法 (2) 特殊な例
ベルヌーイ (1654-1705)
教科書 p24
Bernoulli 方程式 右辺に y の高次の項がある非線形方程式
微分方程式 y ′ + P (x)y = Q(x)y n (n ̸= 0, 1)
(2.16)
解き方: 両辺を y n で割り,u(x) = {y(x)}1−n とおくと,線形になる.
リッカチ (1676-1754)
Riccati 方程式 右辺に y と y 2 の項がある非線形方程式
微分方程式 y ′ = P (x) + Q(x)y + R(x)y 2
(2.17)
解き方 1: 1 つ解 y1 が見つかれば,y = y1 + z とおけば (2.16) に.
解き方 2: y = −v ′ /vR とおくと,2 階線形方程式に.
クレーロー (1713-65)
Clairaut 型 以下の形で,関数 f (s) は f ′′ (s) ̸= 0 を満たすもの.
dy
+f
微分方程式 y = x
dx
(
dy
dx
)
(2.18)
解き方: 両辺を x で微分して,y ′ = y ′ + xy ′′ + f ′ (y ′ )y ′′ となり,
x + f ′ (y ′ ) = 0, または y ′′ = 0
2 つの場合に分け,元の微分方程式に代入することにより,一般解と特異解を得る.
授業の題材(1 階微分方程式,Part 4)
このプリントは,授業で扱いたい問題を載せています.
各自,計算練習は,教科書の章末問題等で進めてください.
1.19 (Bernoulli 型)次の微分方程式を解け.
(1) y ′ + 2y = e3x y 2 (教科書 p26)
√
(2) xy ′ + y = x2 y
1.20 フォン・ベルタランフィ(von Bertalanffy) による魚の成長モデルは,魚の体重 w(t) を
時間 t の関数,α, β を定数として,
dw
= αw2/3 − βw
dt
とするものである.右辺第 1 項は栄養分による体重の増加で魚の表面積に比例するも
の.第 2 項は呼吸による体重のロスの割合で魚の体重に比例するものである.w(t) を
求めよ.
1.21 (Clairant 型、教科書範囲外)
接線の両座標軸にはさまれる部分が一定の長さ a であるような曲線を求めよ.
ベルヌーイ型である
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
2.4
14
1 階常微分方程式:方程式の形による解法 (3) 完全微分形
2 変数の微分が含まれる微分方程式のうち,
「全微分」に関連したものは,解ける.
「完全微分形」は,力学
系でよく登場する.
教科書 p27
完全微分形 微分方程式
M (x, y)dx + N (x, y)dy = 0
(2.19)
微分方程式は、
M (x, y)
dy
=−
dx
N (x, y)
の形をしたもので、関数 M (x, y), N (x, y) が、次の式を満たすもの.
∂M
∂N
=
∂y
∂x
(2.20)
の形でもよい.
∂U
∂U
= M (x, y),
= N (x, y)
∂x
∂y
(2.21)
∂2
∂2
U=
U
∂y∂x
∂x∂y
解き方: 2 式より,
を満たす 2 変数関数 U (x, y) = C(= 定数) が存在する.U (x, y) が求められれば,微分
を含まない形で,y を x の関数として表すことができる.
• (2.21) を満たす U (x, y) を求める.(2.21) の第 1 式を x について積分すると
∫
U (x, y) = M (x, y)dx + f (y)
(2.22)
y を止めて x について積
分したので,y に関する
関数の自由度がある.そ
れを意味するのが f (y)
• これを (2.21) の第 2 式に代入し,
[∫
]
∂
M (x, y)dx + f (y) = N (x, y)
∂y
したがって,
df
dy
f (y)
(2.21) は,x と y の偏微
分で絡みあっているの
で,f (y) を決定できる.
∫
∂
= N (x, y) −
M (x, y)dx
∂y
[
]
∫
∫
∂
=
N (x, y) −
M (x, y)dx dy
∂y
(2.23)
• こうして求められた f (y) を (2.22) に代入すれば,U (x, y) が求められる.
完全微分形 2 (2.21) が成り立たなくても,
∂(P M )
∂(P N )
=
∂y
∂x
(2.24)
を満たす 積分因子 P が見つかれば,(2.19) に P を乗じたものが完全微分形になる.
積分因子の見つけ方のヒント
d(xy) =
2
2
xdy + ydx
d(x + y ) = 2xdx + 2ydy
( )
(y)
xdy − ydx
x
ydx − xdy
d
=
,
d
=
x
x2
y
y2
(
)
y
xdy − ydx
d tan−1
=
x
x2 + y 2
)
(
2xdy − 2ydx
x+y
=
d log
x−y
x2 − y 2
(
)
(
)
x+y
2xdy − 2ydx
x−y
2ydx − 2xdy
d
=
, d
=
2
x−y
(x − y)
x+y
(x + y)2
(2.25)
(2.26)
(2.27)
(2.28)
(2.29)
(2.30)
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
15
授業の題材(1 階微分方程式,Part 5)
このプリントは,授業で扱いたい問題を載せています.
各自,計算練習は,教科書の章末問題等で進めてください.
1.22 (完全微分形)次の微分方程式を解け.
(1) (4x + 3y)dx + (3x + 2y)dy = 0
(2) (cos x + cos y)dx + (ey − x sin y)dy = 0
(3) (2x + 1/y)dx + (2y − x/y 2 )dy = 0
1.23 血液中のあるホルモンの分泌量 y は,時間 t の関数として
(
)
dy
2πt
= a − b cos
− ky
dt
24
として表される.a は平均分泌速度であり,b cos (2πt/24) は、毎日の 24 時間の周期的
分泌速度、ky は血液からのホルモンの除去速度である.a = b = k = 1, y(0) = 2 とし
て解を求めよ.
1.24 1947 年,フェルメールの絵画として持ち込まれた絵が贋作かどうかの判定で実際に用
いられた式がある.
• ほとんどの絵に使われる顔料は,半減期 22 年の放射性物質である白鉛 (Pb210 ) を
含む.Pb210 は,ラジウム (Ra226 ) が,半減期 1600 年で崩壊してできる.
• Pb210 に崩壊する Ra226 の総量は,単位時間ごとに,崩壊・減少する Pb210 の総
量と等しい.すなわち,Pb210 と Ra226 は平衡状態になる.
• 顔料の製造過程では,ラジウムはほとんど除去されるが,完全には除去されない.
顔料となった Pb210 は崩壊を始める.やがて,除去されずに残った微量のラジウ
ムと平衡状態に達する.
以上の過程を微分方程式のモデルにすると,
y(t) = 時刻 t における通常の鉛 1g ごとの Pb210 の量
r(t) = 通常の鉛の中における毎分 1g ごとの Ra226 の崩壊数
とし,λ を Pb210 の崩壊定数として,次の式になる.
dy
= −λy + r(t)
dt
(1) この微分方程式を,y = · · · の積分形にせよ.
(2) ラジウムの半減期 1600 年に対して、フェルメールの絵かどうかは 350 年くらいの
話なので、ラジウムの崩壊数 r はほぼ一定と考えてよい.r を定数として,顔料
製造の時刻を t0 ,y(t0 ) = y0 を用いて,y について解け.
(3) y, r は測定可能,λ = 3.151 × 10−2 は既知である.顔料を作る前の鉱石もラジウ
ムと白鉛の平衡状態であり,λy0 = R は,0 < R < 200 程度であることが知られ
ている.判定を依頼された絵は,λy = 8.5, r = 0.8 であった.本物だろうか.
以上で,
「1 階微分方程式」終了.
Vermeer(1632-1675)
【微分方程式 (2009 年度 真貝)】 2. 1 階微分方程式
16
コラム:数値計算による積分 真貝「徹底攻略微分積分」(共立出版,2009)p107, p111 より.
微分方程式を解くことは,関数を積分することである.コンピュータを使って,数値的に解く方法は,基本
的には区分求積法である.y = f (x) より下の部分を短冊状に区切り,その和を取る方法である.
• 最も簡単なのは,長方形に区切る場合(Euler 法)である.ただし,横軸の値が xk ≤ x ≤ xk+1 の
ときに,縦軸の値を f (xk ) で与えるのか,f (xk+1 ) で与えるのかで,総和の値は若干違ってくる.例
えば,f (x) = x2 のような増加関数の場合,明らかに
n−1
∑
f (xk )(xk+1 − xk ) < S <
k=0
y
y
f (xk+1)
xn x
xk xk+1
x0
f (xk+1 )(xk+1 − xk )
k=0
f (xk)
x0
n−1
∑
xn x
xk xk+1
であり,本来の面積 S は両者の中間にある.
定積分の定義をするときのように,n を無限に大
きくとれば,誤差は小さくなるのだが,プログラ
ムを組んで数値計算をするときには,無限の数を
取ることはできずどうしても誤差が生じてしまう.
そこで,よく使われるのが台形公式と Simpson の
公式である.
• 台形公式は,その名の通り,短冊に区切ったときの (xk , f (xk )) と (xk+1 , f (xk+1 )) の点を結んで台形
で近似して足し合わせる方法である.yk = f (xk ) とすると,
∫ xk+1
1
y
f (x)dx ≃ 台形の面積 = (yk + yk+1 )(xk+1 − xk )
2
xk
yk+1=f (xk+1)
となるから,区間 x = x0 から xn までの総和は,
∫
xn
f (x)dx ≃
x0
n−1
∑
k=0
=
yk=f (xk)
1
(yk + yk+1 )(xk+1 − xk )
2
xn − x0
{y0 + 2 (y1 + y2 + · · · + yn−1 ) + yn }
2n
x0
xn x
xk xk+1
となる.ただし,横方向は等間隔に n 等分したものと仮定した.これをプログラムして得る結果は,
当然ながら,長方形で行う場合の上限値と下限値の間になる.
• Simpson の公式は,台形のように y = f (x) を直線近似するのではなく,2 次曲線で近似する方法であ
る.2 次関数は 3 つの点を与えれば特定できるので,積分する区間を 2n 個に等分に分割し,(x2k , y2k ),
(x2k+1 , y2k+1 ), (x2k+2 , y2k+2 ) の 3 点を与えたとすると,
∫ x2k+2
1
y
f (x)dx ≃ {y2k + 4y2k+1 + y2k+2 } (xk+1 − xk )
6
x2k
となるので(この式の導出は読者の課題とする),区間 x = x0 か
ら xn までの総和は,次のようになる.
∫ xn
xn − x0
f (x)dx ≃
{y0 + 4 (y1 + y3 + · · · + y2n−1 )
6n
x0
y2k+2
y2k+1
y2k
x0
+ 2 (y2 + y4 + · · · + y2n−2 ) + y2n }
∫
1
• 例えば,定積分 I =
0
x2n x
x2k x2k+1 x2k+2
dx
π
= を上記の 2 つの方法で計算してみよう.
1 + x2
4
– n = 10 で台形公式に当てはめると,I ≃ 0.78498. 故に 4I ≃ 3.13992.
– n = 5 として Simpson の公式に当てはめると,I ≃ 0.78539. 故に 4I ≃ 3.14156.
本来の値は,4I = 3.14159265 · · · だから,Simpson の公式の方が確かに近い値になっている.
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