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議事録(PDF:444KB)

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議事録(PDF:444KB)
平成 19 年度 第1回長野県観光振興審議会 議事録
1 日 時:平成 19 年5月 16 日(水) 午前 10 時から 12 時 15 分まで
2 場 所:長野県庁3階 特別会議室
3 出席者
[委 員] 相澤節子、青山佳世、新井徳二、大槻幸一郎、岡庭一雄、小口利幸、小日
向義夫、加藤英一、佐藤博康、シルヴィー・ジャコ、藤井龍子、松沢貞一、
両角良昭、渡邉充子
[長野県] 長野県知事 村井仁、観光部長 久保田篤、観光企画課長 大井潤、観光
振興課長 関昇一郎 ほか
4 議事録
(事務局)
私、当審議会の事務局を務めます、県の観光部の観光企画課の大井と申します。よろし
くお願いします。
会長を決定するまでの間、進行を務めさせていただきますのでよろしくお願いします。
なお本日ですが、おおむね正午、終了を目途とさせていただきますので、よろしくお願い
します。
まず、本審議会の委員の委嘱についてご報告いたします。本審議会の委員は、お手元に
差し上げました資料2の名簿のとおりの 15 名の方で、
本日付けで観光審議会の委員を委嘱
申し上げております。お手元に、委嘱状を置かせていただいておりますのでよろしくお願
いします。
なお本日ですが、玉沖委員は所要のため欠席する旨のご連絡がありました。そして今、
小口委員は若干遅れているところでございます。
それでは、最初に知事から、ごあいさつをお願いいたします。
(村井知事)
おはようございます。
長野県知事の村井仁でございます。
本日、第1回の長野県観光振興審議会を開催するにあたりまして、一言ごあいさつを申
し上げさせていただきたいと存じます。
皆様方には、大変お忙しい中、審議会の委員にご就任をいただきまして、誠にありがと
うございます。今回、それぞれ所属される団体や、あるいは専門分野の第一線でご活躍さ
れている皆様方に、この審議会という場を通じまして、長野県振興のためにご尽力いただ
くことに対しまして、
心から感謝を申し上げる次第でございます。
ありがとうございます。
長野県は、観光資源に恵まれておりまして、年間1億人を超える観光客にお越しをいた
だいたということがございましたが、残念なことに、近年、減少傾向が続いております。
観光事業、観光産業というのは、長野県にとりましては、農業あるいは電子、電気等々の
製造業と並びまして、基幹産業の一つだと認識しておる次第でございまして、取り分けて
- 1 -
地域経済の活性化ということを考えますと、早急に観光立県長野県の再興というのが大切
だと、このように感じております。そのために県が推進役になりまして、長野県観光の振
興を図るべく、この4月に新たに観光部を設置し、体制の強化をいたしたところでござい
ます。
さらに市町村や地域の皆様と力を合わせながら、全県挙げてすそ野の広い観光施策を計
画的かつ戦略的に推進するために、新たに、長野県らしい骨太な観光振興の基本計画を策
定したい、このように考えている次第でございます。
そういう面で、委員の皆様方におかれましては、観光立県長野の再興に向けて、自由で、
どうぞ忌憚のないご議論を賜りますように、お願い申し上げまして、大変簡単でございま
すが、私からのごあいさつにさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございます。
(事務局)
それでは、委員の皆様から自己紹介をいただきたいと思います。資料2の、名簿の順番
に従いまして、相澤委員からお願いいたします。
(相澤委員)
私、相澤節子と申します。松本市公園通りの、花時計公園のすぐそばに、ちっちゃな酒
屋をやっております。どうぞよろしくお願いいたします。
(事務局)
青山委員、お願いします。
(青山委員)
青山佳代でございます。私は長年、NHKの旅番組を受け持ってきた関係で、この長野
県にも何回も訪れるファンの一人として、今回は参加させていただきたいと思っておりま
す。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
(事務局)
新井委員、お願いします。
(新井委員)
何分あるんですか。
(事務局)
最初は自己紹介ですので、簡潔にお願いします。
(新井委員)
そうですか。すいません。
長野県の一番南におりまして、面積は四国の香川県くらいの南信州観光公社でございま
- 2 -
す。18 市町村、今 15 市町村になりましたですが、そこの出身でありまして、観光を一手
に、南信州はここでやろうということでつくった会社でございまして、その代表をやって
おります新井徳二でございます。よろしくお願いします。
(事務局)
大槻委員、お願いします。
(大槻委員)
おはようございます、大槻でございます。この名簿では、私、技術士森林部門と記載さ
れておりますが、平成 10 年、ちょうど冬季オリンピックが終わりました、そして県民が大
変疲れ切っているころに、私、ここの長野営林局長で赴任いたしまして、3年半ですか、
ここで森林行政を担当させていただきました。その後、千葉県で5年半、副知事をやりま
して、昨年の秋に軽井沢町へ居を移しております。そんな意味で、長野県民としてこの審
議会の一員に参加できること、
大変うれしく存じております。
よろしくお願いいたします。
(事務局)
岡庭委員、お願いします。
(岡庭委員)
岡庭一雄と申します。長野県町村会の方のご推薦で、委員を務めさせていただいており
ます。現在、阿智村の村長を務めさせていただいておりまして。阿智村は今、南信州では
一番大きな宿泊施設、
昼神温泉を抱えておるところでございます。
よろしくお願いします。
(事務局)
小日向委員、お願いします。
(小日向委員)
小日向義夫と申します。長野県ホテル旅館組合会、ちょっと聞き慣れない会だと思いま
すが。昨年、旅館には3団体というのがございまして、旅館ホテル生活衛生同業組合と、
それから国際観光旅館連盟、それから日本観光旅館連盟。本部の方では、ちょっと、まだ
統一にはなっておらないんですが、新潟県はじめ、また長野県も昨年、旅館団体3団体が
統一したということで、いろいろまとまった提言ができるのではなかろうかと思っており
ます。それの、専務理事をしております。うちの方では、白骨温泉の泡の湯旅館を経営し
ております。よろしくお願いいたします。
(事務局)
加藤委員、お願いします。
(加藤委員)
ジェイ・エヌ・ティー・オー(JNTO)、独立行政法人国際観光振興機構の加藤でござ
- 3 -
います。今、JNTO、国が進めております、ビジット・ジャパン・キャンペーン、2010
年に訪日外国人を1千万人にしましょうという、この運動の中心的な役割を担わせていた
だいておりまして、海外に 13 事務所がありますけれども、こちらで日本の観光魅力を一所
懸命発信しております。ぜひまた、長野県の観光魅力をですね、一緒に外国の方に大いに
ピーアールしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
(事務局)
佐藤委員、お願いします。
(佐藤委員)
長野県にあります三つの大学のひとつで、松本大学の観光ホスピタリティ学科というと
ころで、人づくりを担当させていただいております佐藤と申します。ひとつよろしく。
(事務局)
シルヴィー委員、お願いします。
(シルヴィー委員)
シルヴィー・ジャコと申します。よろしくお願いいたします。
フランスからまいりました。長野県の自然がとても好きで、現在、旧戸隠村の一の鳥居
地区に住んでおります。よろしくお願いいたします。
(事務局)
藤井委員、お願いします。
(藤井委員)
藤井と申します。肩書は、大阪大学の招へい教授ということになっておりますが、もと
もとは労働省の公務員を長くやりまして、最後、女性局長で退職をいたしました。つまり、
退職した需要家といいますか、それから、たまたま団塊の世代でございますから、団塊の
世代で、女性で、第一線を退職しているということで、長野県には何の縁もゆかりもござ
いませんので、客観的に第三者として消費者として、ご意見を申し上げられるんじゃない
かということで参加させていただきましたので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(事務局)
松沢委員、お願いします。
(松沢委員)
松沢貞一と申します。
長野県索道事業者協議会の会長ということでございますが、耳慣れない方もおられるか
と思いますが、索道というのはですね、いわゆるロープ、ワイヤーロープで動くというこ
とで、索道と言っておりますけれども、簡単にいうと今、不況を囲っておりますスキー場
- 4 -
事業者の代表でございます。個人的には、登山の山小屋とスキー場をやっております、株
式会社白馬館と申しますが、よろしくお願いいたします。
(事務局)
両角委員、お願いします。
(両角委員)
ジェイ・アール(JR)東日本の長野支社営業部長の両角でございます。長野県の茅野
市の出身でございます。経験豊富な委員の皆様方の中で、自分は若輩でございますが、よ
ろしくお願いいたします。交通機関、それから地域交通という立場で、ご指名いただいた
というふうに理解しておりますが、なにぶんよろしくお願いしたいと思います。
(事務局)
渡邉委員、お願いします。
(渡邉委員)
大町市からまいりました、渡邉と申します。よろしくお願いいたします。
町の中が大変衰退している中での特産館を開設いたしまして 10 年を迎えたんですが、
大
変大きな節目を迎えております。また、町の中に大変いいものがいくつか残っておりまし
て、古民家を再生いたしまして2年ほど前に、食を、地元の食を使いました、お食事どこ
ろ兼何でもできるという古民家を再生をしてスタートいたしました。私は、どちらかとい
うと現場で悪戦苦闘している日々でおりますが、よろしくお願いしたいと思います。
(事務局)
ありがとうございました。
今、塩尻市長がおみえになりましたので、小口委員、自己紹介を簡単にお願いいたしま
す。
(小口委員)
塩尻市長を務めます小口と申します。北信越市長会の帰りでございまして、初っぱなか
ら遅れたことをお詫び申し上げるところでございます。県市長会、19 人の市長の中で経済
部会長を仰せ付かったゆえにですね、この会に一緒に研究させていただく立場になりまし
た。よろしくお願いいたします。
(事務局)
それでは、長野県側の出席者を紹介申し上げます。
村井知事のほかに、観光部長の久保田。
(久保田観光部長)
よろしくお願いします。
- 5 -
(事務局)
観光振興課長の関。
(関観光振興課長)
よろしくお願いいたします。
(事務局)
そのほか、観光部及び関係課の人間が出席しておりますので、よろしくお願いいたしま
す。
続きまして、会長の選任をお願いいたしたいと思います。本審議会の会長につきまして
は、お手元の資料1の長野県観光振興審議会条例の規定によりまして、委員の互選により
選任することとされております。会長の選任等について、ご意見等ございましたら、ご発
言をお願いいたします。
相澤委員。
(相澤委員)
私でございますけれども、観光については、豊富な学識経験もお持ちであり、そして地
域の事情にも非常にお詳しく、そしてまた、私ども松本市の市民とともに一緒に観光ホス
ピタリティ向上のために取り組んでおられます、松本大学の佐藤委員を、私は適任かと思
いますが、いかがでしょうか。
(事務局)
ただいま、相澤委員より佐藤委員を会長にお願いしたらいかが、とのご発言がありまし
たが、皆様いかがでしょうか。
(全委員)
異議なし。
(事務局)
ありがとうございました。
それでは、佐藤委員に会長をお願いすることに決定いたします。
佐藤委員、お手数ですが会長席にご移動をお願いいたします。
(事務局)
それでは早速ですが、佐藤会長より、一言ごあいさつをお願いいたします。
(佐藤会長)
佐藤でございます。松本大学で、先ほど申しましたように人づくり、これをベースに県
づくり、国づくりへと、いろいろと研究をさせていただいておりますが、今回かく大役を
- 6 -
仰せ付かりまして、非常に緊張しているところでございますが、できる限り皆様のご意見
等をまとめながら、よりよい提言がつくれていけたらいいなと、こう思っております。
皆さんも、すでにご高承のとおりですね、わが国は昨年、例の観光立国推進基本法とい
う、たいへん難しい名前なんですが、それまでの観光基本法というものを大幅に修正しま
して、この国はこれからどういう形で行くのかって、その一つの国の形の表現の仕方とし
て観光という、人と人とのお付き合いの中で、国をつくっていこうと、こういう方向性が
打ち出された訳でありますけれども、その中で取り分けですね、地域といいましょうか、
地方の観光魅力をどう生かしていくか。その生かし方について、地域の皆さんが主体的に
なってですね、自分から進んでつくり上げていく、こういう動きを支援していこうと、こ
んな形で法律の中身ができあがっております。それをベースに、できればというか、方向
性としては、国際競争力って、これまた新しい言葉が含まれておるんですけれども、国際
競争力のある観光資源、あるいは観光地、あるいは人材づくり、こういうところにですね、
国を挙げて取り組もうと、こういうことが謳われております。
こういったことの環境で、今、刻々と国土交通省等含めて、いろんな動きが出ておりま
して、たとえば従来型の旅行業のあり方であるとか、あるいは外国から来るお客さんたち
の対応されているガイドと、こういう人たちも、今まではわが国が勝手につくってきたと
いうところがありましたけど、グローバルな見方で、世界からどう見られているんだろう
か、そういうようなことで、いろいろ変化、なんと言いますかね、修正を加えながら、先
般も着地型の観光をつくろうということで、旅行業法の一部改正とか、そういうことも含
めてですね、いろいろな動きが出ております。お客様も多様性っていうことももちろんあ
りますけれども、受け側で、じゃあ、われわれはどういうことができるか、どういうこと
をしなければならないか。
ぜひですね、長野県というのは日本でも1、2を争う、争うって言ったらおかしな話で
すが、1、2を競う観光県であります。そこで、長野県らしい、さすが長野県というよう
な、骨太のと、先ほど知事のお話ございましたけど、骨太の基本計画案などが皆さんとと
もに生み出されたら、これはいいかなという、そういう感じでおりますので、ぜひ皆さん
ご協力をお願いしたいと思います。ちょっと長くなりましてごめんなさい。よろしくお願
いいたします。
(事務局)
ありがとうございました。
引き続きまして、会長代理の選任ついてお願いいたします。
会長代理につきましては、条例の規定に基づきまして、あらかじめ会長が指名すること
となっております。それでは、佐藤会長より指名をお願いいたします。
(佐藤会長)
それでは、早速、指名ということでございますが、県内の事情に詳しいということと、
それから、一応事務局的なこともございますし、行政などの豊富な経験がどうしても必要
かなということもございますので、ぜひここは、ご無理をお願いして、大槻委員に代理を
お願いしたいと思うんでありますが、お引き受けいただけませんでしょうか。
- 7 -
(大槻委員)
はい。承知いたします。よろしくお願いいたします。
(佐藤会長)
よろしくお願いします。
(事務局)
ありがとうございました。それでは、大槻委員に会長代理に就任していただきます。
続きまして、審議会の条例に基づきまして、知事から諮問をいたします。
(村井知事)
これは読むんですか。
(事務局)
いや、読まなくて大丈夫です。
《知事から、諮問書を佐藤会長に手交》
ありがとうございました。
なお、これ以降の議事につきましては、佐藤会長にお願いをいたしたいと思います。
(佐藤会長)
それでは、早速審議の方に入りたいと思いますが、まず皆さん方のお手元の資料、それ
と、おそらくこの委員会の始まる前に送付されていたいくつかの資料、合わせてお持ちか
と思いますが、まずこの会議の性格ということで公開扱いにするか、傍聴者を認めるかう
んぬんにつきまして、一応事務局提案並びに委員会提案としましては、原則として公開す
るということと、それから議事内容については県のホームページ等を使ってですね、市民
の皆さん、住民の皆さんに公開していくと、こういう形で進めたいと思いますけれども、
その資料はお手元にありますね。
何かご意見がございましたら、お願いしたいと思いますけれど、ございませんようでし
たら、そのように進めたいと思いますがいかがでしょうか。
(全委員)
異議なし。
(佐藤会長)
ありがとうございます。
それでは、公開ということと、議事録等についてのホームページ掲載、これを進めてま
いりたいと思います。
- 8 -
続きまして、審議の方に入りたいと思いますが、ただいま村井知事の方から承りました
諮問、この内容については皆さんのお手元に今、配られているかと思いますけれど、この
内容でわれわれ委員会は、委託を受けたということで、話し合いを進めさせていただきた
いと、こう思っておりますけれど、この内容について、趣旨につきましてですね、ちょっ
と事務局の方からご説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
(事務局)
今回の諮問の要旨についてでございますが、長野県では観光振興を県政の重要課題の一
つと位置付けまして、昭和 35 年以来数次にわたりまして、観光振興にかかわる基本計画を
策定し、観光の振興を図ってまいりました。また近年、少子高齢、人口減少社会の到来や
国際交流や、高度情報化の進展などに伴い、観光事業の個性化、多様化、観光地間の競争
激化など、観光を取り巻く情勢は大きく変化しており、その的確な対応が求められている
ところでございます。
本県は、全国トップクラスの自然や観光資源に恵まれまして、大きな発展可能性を秘め
つつも、
平成 10 年まで年間1億人を超える観光客数が、
現在は 9,000 万人を下回っており、
早急に観光立県長野の再興を図ることが必要となっております。
こうした状況を踏まえまして、すそ野の広い観光施策の計画的かつ戦略的な推進を図る
ために、平成 20 年度から平成 24 年度までの5か年を計画期間とする、新たな観光振興の
基本計画を策定することといたしました。つきましては、本県の今後の観光振興の指針と
なる基本計画を策定するにあたり、その基本的な考え方について審議会の意見を求めるも
のでございます。説明は、以上でございます。
(佐藤会長)
ありがとうございます。
皆さん、ご趣旨、急にって訳に、なかなか難しいかと思いますけれど、ぜひご理解の上
で、この審議会が長野県の観光の方向性について、基本的なところを考え方を示していく
んだということでございます。
それとですね、さらにいろいろ資料がお手元に配られているかと思いますけれど、この
審議をするにあたって参考資料となるその他につきまして、これもまた、ちょっと事務局
の方から簡単なご説明をお願いしたいなと思います。
(事務局)
まず、お手元の資料4でございますが、計画策定の今後のスケジュール等について申し
上げます。
計画策定の趣旨は、今申し上げたとおりでございまして、スケジュールですが7月の下
旬には中間とりまとめ、11 月には答申をいただくというような、少し忙しいようなスケジ
ュールですが、よろしくお願いいたします。
その後、計画案を策定しまして、2月には計画案を決定するというような形で進めたい
と思っております。あと、計画づくりにあたっての県民意見の反映でございますが、新た
な計画の策定にあたっては、幅広く多くの方々からの意見を踏まえる必要があると思って
- 9 -
おります。
現在のところ、その資料4の下の「県民意見の反映」という部分でございますが、10 地
方事務所単位で市町村、関係団体等交えての懇談会を開催したいと思っております。この
地域別の懇談会には、審議会の委員の皆様にも時間の許す限りご参加をお願いしたいと考
えておりますので、また別途日程等ご相談させていただきたいと思っております。
また、②ですが、観光について識見を有する方々との意見交換も、別途やってまいりた
いと思います。この方からは意見を聞いておいたほうがいいんじゃないかというような方
がございましたら、ぜひ事務局まで教えていただければと思います。
あと、広く県民からの意見募集ということで、ホームページ等を通じて県民からの意見
募集を図りたいと思っております。
また、節目節目、中間とりまとめの段階でありますとか、計画案の段階ではパブリック
コメント等を行う予定でございます。以上が、資料4についての説明でございます。
続きまして資料5ということでございますが、1枚おめくりいただきますと、40 ページ
以上大部にわたっておりまして、なので、もう1枚おめくりいただきまして、この観光統
計から見た長野県の観光の現状について、われわれがどのように認識しているかというこ
とを説明させていただきたいと思います。
下の、背景にありますような、社会経済状況の変化でありますとか、観光環境の変化等
を受けまして、現在の長野県の観光は非常に厳しい状況にあるんではないかと認識してお
りますが、その一方で豊富な観光資源でありますとか、低迷しているとはいえ依然として
根強い人気があるなど、長野県には十分な潜在力、底力があるんではないかと思っており
ます。
具体的には、まず左の箱の、低迷する長野県観光ということですけれども、長野県観光
の厳しい側面について、若干解説をいたします。
まず①の観光客数、観光消費額の減少でございますが、観光客数につきましては平成3
年の1億 764 万人をピークに、年度による多少の増減はございますが、全体として減少ト
レンドにございまして、
平成 17 年にはピーク時の約8割の 8,918 万人ということになって
おります。
また、観光消費額につきましても同様でございまして、平成 10 年の 4,565 億円をピーク
に、減少トレンドにありまして、平成 17 年は、ピーク時の約7割の 3,327 億円となってお
ります。ここには、記載しておりませんが、これが全国と比べてどうなのかということで
すけども、観光統計の調査手法は、今現在、各都道府県によって異なっておりまして、単
純な、正確な比較はできないんでございますが、日本観光協会で各都道府県の統計を取り
まとめておりまして、その数字を並べて単純に比較した場合ですね、平成 12 年、平成 16
年で観光地の入り込み客数を比較すると、その間に統計手法を変更している都道府県もあ
りますので、比較可能なのは 41 しかないんですが、
長野県はその中で 38 位ということで、
下から数えた方がはるかに早いというようなポジションにいるところでございます。
②の、スキー場利用者の減少についてでございますが、スキー場利用者についても平成
4年度の 2,120 万人をピークに、減少トレンドにございまして、平成 17 年度はピーク時の
約4割の 851 万人となっております。
また、実際、長野県に観光にいらっしゃった方の顧客満足度でございますが、これは県
- 10 -
内に来訪経験のある方々の観光関連サービスへの満足度でございますが、従業員のサービ
ス、食事等にかかるホテル・旅館に対する満足度でありますとか、飲食店に対する満足度
でございますとか、土産店等に対する満足度、これはいずれも3割から4割程度というこ
とで、総じて低い状況にございます。
また④の、日帰り客の割合の増加でございますけれども、これはやはり新幹線でありま
すとか、高速道路網の整備等の影響もございまして、日帰り客の割合は増加傾向でござい
ます。平成7年の 58.3 パーセントから、平成 17 年には 66.5 パーセントと。このことが①
で申し上げました観光消費額の低迷に影響を与えているものと考えております。
次に右の箱、これは、今はちょっと暗い話ばっかりなんですけども、長野県の潜在力と
いうか、これから頑張っていけるという部分でございます。①は、これはやらずもがなで
ございますが、豊富な観光資源ということで、温泉でありますとかスキー場、これは北海
道に続いて全国2位というような状況にございます。
また博物館、美術館、それぞれ特色を持ったものが県内にいろいろございまして、この
数については全国1位。また自然環境という意味では、自然公園面積でありますとか森林
面積は、北海道とか新潟県とか、そういったところに続いて全国3位ということで、非常
に豊かな自然環境に恵まれております。
また宿泊観光客についても、これは財団法人の日本交通公社の統計でございますが、低
迷している、低迷しているとはいえ、年間平均入れ込み客数、これは 1,743 万人というこ
とで、全国1位でございます。また、その平均宿泊数でありますとか旅行費用につきまし
ては、近県の山梨県ですとか岐阜県とか静岡県とか愛知県に比べても、若干上回るという
ことで、
低迷しているとはいえ、
まだ競争力も残っているのではないかと考えております。
また、今後の長野県観光を考えるときに重要なのは、団塊世代等において非常に長野県
は高い人気があると。上の、長野県、上のポツですけども、長野県が3大都市圏で行った
調査、これは平成 17 年度に行ったんですが、7月と1月、2度調査を行いましたが、この
時は信州という聞き方をしているんですが、信州はいずれも移住希望先で1位でございま
す。
また、下の方は、国土交通省の「二地域居住人口」研究会というところのアンケートで、
首都圏住民の中でですけども、二地域居住の希望先では長野県が1位というような状況で
ございます。
また、外国人宿泊数につきましても、これは平成 11 年からの統計しかないんですが、平
成 11 年の4万 6,689 人から、17 年には 11 万 6,630 人ということで、2.5 倍と大きく増加
しているということでございます。
以上が、観光統計から見た長野県の強みと弱みということでございます。以上でござい
ます。
(佐藤会長)
ありがとうございました。
これより、さらにいっぱい資料がお手元に集まっているかと思いますけれども、ぜひ今
日の会議の終わった後ですね、
ご自宅にお持ち帰り、
あるいは職場にお持ち帰りになって、
ちょっと目を通していただいて、
次回の議論に備えていただけたらなあと思っております。
- 11 -
それで、本日の次第というのを見てみますと、今の3の(2)で策定についてで、もう
ほとんど終わっちゃったって感じになるんですが、その次の(3)その他、というところ
がございます。実は、本日の、皆さん初めて初回で顔を合わせていただいて、こういう会
議かなということをご理解いただいたという感じを、僕は持っているんですけれども、皆
さんにですね、ここからちょっとフリーの時間を取っていただいて、今、長野県の観光と
いうことに関して、どんなふうにお考えになってらっしゃるか、ある意味で所信表明って
いったらおかしいですけど、自分の寄って立つところのポイントをですね、ちょっと5、
6分でご説明をいただいて、私はこんなふうに見てる、私はこんなふうに考えてますよっ
てなことを、率直にですね、お話しいただけたらなと。
こういうことを基に、次回以降の議論を深めるための素材にさせていただきたいなと、
こんなふうに思ってますので、ぜひご協力のほどをよろしくお願いしたいと思います。
先ほどは、あいうえお順でございましたけれども、座り方がこんなふうでございますの
で、誠に恐縮なんですが、私の右の小日向さんのほうから何かコメントをですね、スター
トしていただければと思います。よろしくお願いします。
(小日向委員)
座ったままで失礼いたします。
突然のご指名でビックリしているところでございますけれども。観光業に携わっている
というその立場からも、まあアンケート等を見ると非常に長野県の場合、さっき課長さん
も読み上げたとおり、非常に低い。3割程度しか満足度がないんですけれども、これはど
こに問題があるかというと、観光ってのは旅館ばかりでは成り立たない。それと観光地だ
けでも成り立たない。やはり、その周辺、地域挙げてのおもてなし、それができないと、
やはりおいでいただいたお客様に満足はいただけないだろうと思います。
それと、やはりそこに住む事業者なり、お土産屋さん、食堂、それから交通機関すべて、
住民すべて含めて、その土地を好きにならないと、やはり自分たちの住んでいるところが
好きでないと、訪れたお客様が本当に、真に満足しては行かれられないだろうと、そんな
ふうに思っております。
それともう一つ、観光に関してはいろんな数値が出る訳ですけれども、これの統計の基
準というのをしっかりしないと、取る地域とか、調べる機関によって、本当にさまざまで
ございます。これも統一的な統計の計数というか数値をしっかりしないと、本当の人数把
握っていう、あるいは、それから経済に及ぼす波及効果というものも定かには認められな
いと、そんなふうに思っております。以上です。
(佐藤会長)
ありがとうございました。
急なご指名で申し訳ありませんでしたけど、今、小日向委員の方からですね、三つのポ
イント、一つはサービスとかおもてなしとかっていうものは、個々の施設、あるいは個々
の会社がやってもなかなか難しい。地域全体で支えていかないと、なかなかお客様には伝
わっていかないんだと。これは、他のところでもおそらく同じ理屈になるんだろうと思う
んですけど。
- 12 -
それから二つ目は、自分がその土地を好きにならなければダメだと。これはたいへん大
事なポイントでございまして、今度の観光立国推進基本法の中でも、
「住んでよし」という
のが頭に来ます。その後に「訪れてよし」ということでございまして、まず自分が住んで、
そこでハッピーでなきゃダメだと。そうしなければ、いかにいいものを訴えても伝わって
いかないよと、こういうことであります。
それから三つ目は、統計の資料を整備する。わが国の観光が今、大きな課題を抱えてい
るのはここでございまして、実は。正しい数字をどう評価するか。数字をどう見るかって
いうことも含めて、今後は統計の基準をつくっていかなきゃいけないんだろうなって感じ
はいたしますが。
次、小口委員、いかがでございましょうか。
(小口委員)
当然、長野県が観光メインに立県しているという方向はですね、各市町村にできない範
疇でありまして、県が主体となってやっていただく、極めて取り組みやすいというか、取
り組んでいただかなきゃいけないテーマだと思っております。
2年前ですか、塩尻市の総合教育センターで、各 10 広域の地方事務所長が集まって研修
会をやっていただきました。私も、オブザーバーとして参加いたしましたが、10 のうち7
つの広域において観光をメインに地域づくりをやっていくという方向が示された次第であ
りまして、まさにそれを裏付けているのかなという気がいたします。
村井知事の大変なご尽力によりまして、信州まつもと空港がですね、あんな形で存続で
きましたので、北海道と長野県は比較的観光のベースは一緒になっちゃうんで、九州と大
阪からですね、早い時期に2便に期待しながら、ニワトリとタマゴの関係になりますが。
ある意味での安心・安全がないと二の足を踏んでしまうという環境がありますから、2便
にすることを共に努力していき、そこから、松本空港は長野県の真ん中にありますので、
長野市、松本市、飯田市でしょうかね、三つの基点から、その周りのプラスアルファを重
ねた形での広域観光圏を、明確に示す必要があるのかなって気がしてます。
市レベルでも、多くの住民からは一杯磨けば光ものがあるのに、どうして磨かないんだ
というおしかりを受ける訳でございますが、なかなか、個別の分散型ではですね、今、日
本国民は、あるいは世界も目が肥えておりまして、すぐ飽きてしまうというのがですね、
自分も含めてそんな気がしております。やはり集積的な提案をできないと、一つの市に3
箇所いいところがあるから、そこを回遊してくれと言ってもですね、なかなかそれはつい
てこないと、1回やれば終わるという時代ではないかと思っておりますんで、そんな方向
かなと思います。
そしてまた、宿泊客が少ないってのは、ある面で私たちも、新幹線、高速道路等が便利
になるとですね、その反面として宿泊が少なくなっちゃうんで、これはある程度是認しな
がらいくしかないんではないかと、私は思っておりますですけどね。ちょっと、支離滅裂
な表現になりましたけど、以上です。
(佐藤会長)
いいえ、とんでもありません。大変ありがとうございました。
- 13 -
小口委員の方からは、また三つばかりポイントいただきました。いずれも、片仮名で今
度はやってみたいと思いますけど。
イニシアティブは誰が取るのかと、観光振興のイニシアティブは誰が取るのか。今回の
基本計画ができた後に、そのイニシアティブを県ないしは公的な機関、行政で取っていた
だけないものかというポイントと。
それからアクセスの問題ですね。長野県の観光にとって、やはり一番大きな課題はアク
セス。ちょうど日本の真ん中に位置しているところで、どこから来るか。その中で、取り
分け空港をどう使うかと、こういう問題がわれわれ投げかけられているところであります
が、それもテーマになるだろうと。
それからあとは、広域性というネットワークの問題ですね。一つの町とか、一つのポイ
ントだけで頑張ってもなかなか難しい。その努力を、どう結集させるか、そういったネッ
トワークの問題、こんなところが委員のお話があったかと思います。
次に、岡庭委員、ひとつお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
(岡庭委員)
県がですね、今度、観光部という形で設置していただいて、大変ありがたいと思ってお
る訳でございます。その点を申しますと、観光っていうのは後からお話ししたいと思うん
ですが、トータル産業なんですね。ですから、ただ単に一部の旅館業だけが栄えればいい
ってことではない。先ほどお話しがございましたように、地域全体の、地域力全体が、や
っぱり観光の魅力をつくり上げていくってことから考えていくと、部という形で設置して
いただいたってことは、ただ課という形でわれわれはお願いしとったんですが、部までい
くとか思ってもいなかったんで、大変ありがたいと思っておるところであります。
私も、日夜、昼神温泉とか、いろんな、村の中にも観光施設ございまして苦闘している
んですけれども、問題は長野県の観光、1億人いた観光客が衰退傾向にある訳ですが、そ
の原因はどこにあるのかっていうことを、よく徹底的に分析する必要があるんではないか
と思って、その上に立って、どういう新たな観光を構築していくべきなのかということを
考える必要があると思っております。
そういう点では、この審議会そのものが、明日はどうするかっていう議論も非常に大事
だとは思いますけれども、今までがどうだったか、それが国民のニーズやなんかにどう応
えてこれなかったのかと。ボウッとしている意識としては、観光産業と言われる旅館業と
か、そういうところだけに依拠してきた。あるいは、その人たちがその地域全体に目を向
けなんだってことは、ボウッとはわかる訳でありますが、それが具体的にどうであったの
かということが、非常に大事になってきているんじゃないかと。
だから各町村、今、非常に委縮傾向にあります、長野県の町村は全体的に。そういう中
で、なんとか、その委縮から再生へという形、考えとる訳ですが。その中で最大の課題は、
やはり誇りの空洞化ですね、地域に住んでいる人たちの誇りの空洞化を防いでいきたいと。
誇りを持って住めるような地域をつくることによって、地域の再生、集落の再生を行って
いこうというのが、今、課題になってきている。そういう点から言いますと、特に都市の
皆さんとの交流とかっていう点での誇りの再発見といいますか、再確認ということになっ
ていきますと、観光というのは、ただ単に観光産業としてだけではなしに、その地域の発
- 14 -
展ということに非常に深いかかわりを持ってきている。
そのことと、まさに観光産業というものが、どういう形で連携し合って、長野県観光の
全体を押し上げていくのかっていうところにかかっているんではないかと、こう思ってい
るわけでございます。そんな点で、よろしくお願いしたいと思っています。
(佐藤会長)
ありがとうございます。
また一つ、今後の、われわれが研究するというか、三つばかりテーマをいただいており
ます。やはり、今までのこと、一度総ざらいしてみて、何が悪かったのかって。今、皆さ
ん「停滞だ」、
「停滞だ」って言っているけども、その停滞した原因は何だったんだろうか
って、もう一度棚卸しをやってみましょうよと、こういうご意見が一つ出ております。
それから、まあそれに基づいて、何となく空気が委縮しちゃってるって、その委縮を取
っ払うためには、じゃあどういうことができるのか。
「地域の誇り」という言葉が出てきま
したけど、やっぱり誇りを、どう、もう一度再生するか。先ほどの「住んでよし」という
のにもつながるんですけど。やはり自信がないところには何となくお客さんも喜んで来る
って感じには出てきません。そういう意味では、非常に観光産業、幅の広い、すそ野の広
い産業ですが、それぞれの部分が、やっぱり誇りをもう一度取り返してみようと、そのた
めには何ができるかって、こういうような議論も深めたいと、こんなふうなご意見でござ
いました。
それでは次は、新井。
ごめんなさい。大槻委員、お願いいたします。
(大槻委員)
私から、二つの切り口で、ちょっと提起申し上げたいんですが、一つはですね、このプ
ランづくりの後の進め方の問題でございます。よく、こういう計画っていうのは、つくる
まで精一杯つくってですね、あと神棚に掲げて、
あと終わりっていうのがよくありまして。
その行政担当者も、ほんとに徹夜しながら一所懸命やるんですけども、その後どうなっち
ゃったっていうのが、ほんとに多いんでございます。
そういう面でですね、今回のこの観光振興審議会での計画、新しい部をつくったってい
う、その根性据えた中のですね、あと実践論をどう、この委員会のメンバーも加わって現
地に定着できるかという、そのフォローアップもよく頭に置いたプランづくりを、ぜひ進
めたいなというのがお願いの一つでございます。
それともう一つは、一市民感覚からの話なんでございますが、私も昨年の秋以降、軽井
沢町の住民になってみた中で、先ほどの統計にありましたように、東京にいる皆さんは、
やっぱり信州、長野県っていうことに対する憧れ、非常に強い印象は、これもう、本当に
統計で出ているとおりだと思うんでございますが、その印象と現実のギャップ。これをい
ろいろと分析する必要があると思うんでございますが、それが一つの観光というような要
素とつながるんだろうと思います。
軽井沢の一住民に、いろいろ聞くとですね、やはり観光的憧れで、軽井沢町に、団塊の
世代もひっくるめてドンドン入って来ておりますが、いろんな「印象がずいぶん違うね」
- 15 -
というような話がございます。ここでは個々申し上げませんが、そういう視点でこの観光
をとらえたときに、やっぱり観光の要素、一番大事にしなきゃいかんのは、リピーターが
しっかりつかまるかどうか。それは、やはり観光客として、一市民として、また来たとき
に「素晴らしい」と、
「驚き」というものをですね、何かその、現地の自然だとか、人だと
か施設、これは温泉だとかホテル、いろいろあると思いますね。そういう「驚き」ってい
うことを、その旅の中で体験できるかどうかのシナリオが、この信州にはあるはずなんで
すが。
スキーという、ああいうものもなぜ衰退しているかっていうのは、やっぱりいろんな面
で、あれに互角に渡り合えるようなレジャーがどんどん出ているからだと思うんですけど
も、そういう意味での「感動」
、「驚き」っていうことを旅の中でどういうシナリオづくり
になっているかは、本当に現地の観光の直接携わっている方やら、私ども一住民も真剣に
考えているかというところにいくんじゃないかというふうに思います。
そんな意味で、私は、森林という世界からずっと携わっておりますけれども、幸い自然
はあんまり人を裏切らない、というところがございますんで、どうかエコツーリズムとい
うような表現がありますように、ちょっと地味なんではございますが、そのからくりの中
で、さっき申し上げた「驚き」をどう演出するかというようなことを、知恵出しをぜひや
っていただきたいと思いますが。その一つに、さっきアクセスのお話もありました、人づ
くりもありました、施設もありましたが、抜けているのは、やっぱり食材の関係が出てく
るんじゃないかと思います。この春の時期、山菜がほんとに豊富に出ているはずでござい
ますが、管内のホテルに行ってですね、うまい山菜をたくさんごちそうになったという話
を聞いたことございますでしょうか。
やはりその地区のですね、地産地消じゃございませんが、いいものが一杯あるはずなん
ですね。それをあんまりチマチマ出すんじゃなくて。千葉県は海があったんですが、なぜ
か勝浦へ行ってマグロの刺身が出てがっかりしてくるお客さんがあんまり多いもんですか
ら、これはおかしいと。誰が考えてもそうですわね。勝浦へ行ったら、カツオがおいしい
はずだって言ったのに、マグロが出てくるのに、これいかにってことで。この信州、白銀
の世界を見ながら山菜のうまいものを、ほんとにフルメニューで出るようなホテルが、き
ちっとあるなら、またこれ話になると思うんですね。そんな意味での切り口に食材を、ぜ
ひ忘れてはいけないんではないかと思っております。私からはそのへんでとどめさせてい
ただきます。
(佐藤会長)
ありがとうございました。
最初は非常に辛いお話でございましたけれども、私なんかもそうなんですが、報告書を
つくるって、つくって書棚に入れて終わりって、一件落着と、こういうのが大体どこの委
員会でもそうでございまして。国のやるものについてもみんなもう、終わったらそこに収
まって「はい、終わり」と。
「後どうするんだい」っていう議論が、やっぱりどこかで欠け
てきます。そういう意味では、この審議会の方ではですね、できるだけ、今までの報告書
とはちょっと違った、辞書代わりに、いつでも引っ張り出して使えるようなね、あるいは
引っ張り出して使わないといけないような、そういう内容の報告書に、ぜひ事務局の皆さ
- 16 -
んと汗かいてつくり上げていきたいと思っておりますけれど。やはりフォローアップ、先
ほどは過去の清算という問題がありましたけど、今度は将来の生産の問題で、未来の評価
っていうところについては、やはりきちんと委員会は進めていかないと、ある程度ウォッ
チしていかないと、こう思います。
それから、二つ目のイメージの問題ですね。イメージと現実の問題。これもこれから、
やはり議論をしていかなきゃいけないとこかなと。われわれは、呼ぼうとしている人たち
は誰なのか、来ようとしている人たちは誰なのか、何を求めてくるのか。このあたりをや
はりきちっと明確に、皆さんと議論を進めていきませんと、先ほどの食材の問題もありま
すし、よく言われることは、ほんとに住む側と訪れる側のイメージの大きな乖離ですね、
ギャップです。住んでる人は、
「こんなとこは早く出たい」と思っているとかね。ところが
外から来る人は、
「こんな素晴らしいとこあるのに」っと、こういうような、ものすごい、
埋め難いようなギャップがあります。このギャップの差をうまく使っているのが、実は観
光なんだということが、僕は学生たちに指導しているんですけれども、そういう意味で、
ほんとの価値観というかイメージと現実というのを、上手にこの中で結びつける手法など
が研究されればいいかなと思ってます。
それから、食のテーマを一ついただきました。やはり食も、観光では大変大きな部分で
すので、ぜひこれも取り入れて議論を進めたいなと、こう思っております。
じゃあ、次に、新井委員、ひとつよろしくお願いします。
(新井委員)
それではですね、先ほど岡庭村長さんが言われたように、南信州は確たる観光資源がな
いものですから、観光というのは、やっぱり総合産業であるということを基本に置いてで
すね、やらざるを得なくなった訳でございまして、長野県は観光資源というのはたくさん
あると思うんですよね。ただ、それをこの長野県の県民が認識をしてないというところに
大きな問題があるというふうに思います。
私が、この南信州観光公社の代表になったときに、何を始めたかというと、住民に自分
の近辺にある、何か珍しいものとか、いいものを探し出してほしいと。それは、とりもな
おさず観光資源であるという、そういう認識をしてもらいたいということで、各町村にで
すね、自分の村のそういうものを全部抽出してくれと。それについて、いろいろ物語とか、
いろいろなものあるじゃないかと。そういうのを、一つ考えたらいかがでしょうかと。と
いうのはですね、住民が観光に対する関心を持っていただかないと、観光というのは絶対
成功いたしません。住民ぐるみでないとダメだというのが一つ。
それからもう一つは、南信州の方は非常に県下でも、今までは薄くさせていただいてお
りまして、予算とかそういうもの、あまり来なかったんですが、つまり何にもないところ
で自律するためにはどうやったらいいかという、そこなんですよね、問題は。だから、今
まで通過型であった観光を、目的地化することが大切だということから発想いたしまして、
それには何をしたらいいかということで、現在、南信州にある資源を使って体験をさせた
らどうだということで、体験というものを取り入れてきました。
体験となりますと、最低でも2時間、3時間は滞在いたします。おのずから宿泊が生ま
れてまいります。そういうことを手始めにやりまして、実は今、南信州はそのことで大成
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功いたしておるところでございます。つまり、文部科学省の通達もありましたけれども、
生徒たちに体験をさせなさいという通達が出まして、その機を逃さず飯田市を中心として
南信州は体験教育旅行というものを始めた訳でございまして、これが全国に先駆けてやっ
た訳です。全国の先進地ということで、非常に全国的に評判を得まして、今、私どもが進
めておる、この体験教育旅行というのは、すごい人気でございます。
現在、私はここへ無理して出てきとるんですが、この5月、6月で 100 校の、1万 3,000
人入ってまいります、1カ月足らずで。これ全部、住民が全部かかわるんですね。農家と
か、それからインストラクター、そば打ちだとか、いろいろインストラクター、全部かか
わるんです。要するに、ああいう観光資源があまりないところへ、やっぱり住民が一緒に
なってそういう観光資源を売り出していくことが、一番大切だというふうに思います。
僕はいろいろ見とって、スキー場がだんだん減ってきたって出てましたね。
スキー場も、
ただスキーで滑ってくれっていうんじゃなくて、
それに付加価値をつけなダメなんですよ。
そういう宣伝をしないと、今後もダメだと思います。だから、改めて長野県は観光資源を
探すことは、現在あるものを見出して、それに付加価値を付けるということが、実に大切
だというふうに思います。
それから、私は、もう一つインバウンドもやっておりまして、ビジット・ジャパン・キ
ャンペーンが小泉内閣から出てから、飯田市は一番先に取り組みました。私はその関係の
責任者をやらせていただきまして、いち早く台湾、韓国に参りまして、今こっちへ誘引を
しております。実を申しますと、前知事さんの時は、どうしてこんなにうまくいくんだか
教えてくれということで、私のところへ聞きに来ました。
みんな教えてやりましたけどね。
ただ、行政としては、やっぱり総花的に宣伝をするでしょ。それはね、絶対ものになりま
せん。向こうもはっきり言っていました。台湾へ、長野県だけで来るんじゃない。全国か
ら来るから、そんなのいちいち相手にしておりませんと。ただ、行政が来るから相手して
やるだけだと。こういうこと、はっきり言ってます。
私は何をしたかというと、何軒か特定の業者と、民間ですからね、何軒か特定の業者と
提携いたしまして、今、ものすごい人気で、今来ています。南信州へは、台湾、韓国はゼ
ロでした、観光客は。今、3,000 人とか 4,000 人という単位で来てますけれども、そうい
ったこともやっぱり考える必要があると思います。
それから、佐藤先生の得意の分野でありますホスピタリティですね。これについても、
外国人の受け入れについては、やっぱり言葉の問題がありますんで、昼神温泉では、韓国
語、台湾語、中国語の勉強会を開きました。その専門の中国人を呼んできまして、やりま
した。独自にやりました。やっぱり、そういうものがすべて整わないと、実際にお客を受
け入れたときに、非常に、お客の感じ方が違うという、そういうふうに感じております。
だから、僕が言うのは総合産業であり、住民を巻き込むことであり、それからホスピタ
リティは絶対に必要なことだなというふうに考えてます。以上です。
(佐藤会長)
ありがとうございます。
南信州は県内でもかなり元気な場所でね、成功事例をたくさん生み出しているところで
ありますし。ご紹介ありませんでしたけど、エコツーリズムとかグリーンツーリズムの分
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野でも、かなり先端的な活動をされてらっしゃって、私も十分勉強させていただいている
場所なんでありますけれど、基本、その住民参加っていうところですね。やはり国が太鼓
をたたいたりなんなりするっていう以前に、
住民が、
やっぱりそっちに向かってなければ、
なかなか事業自体は成功しない、
前向きに進んでいかない、いいケースだったと思います。
今回の、その観光立国推進基本法は、皆さんのお手元に観光立国の推進というね、国土
交通省で作っているパンフレットがあります。これ、ちょうど真ん中のところ、スパンと
見開いていただきますと、基本法の概要というところがございまして、今回、先ほど私も
ちょこっと説明カットというか、説明できなかった部分がありますが、いったい誰がやる
のかって。前はですね、すべて国の行政の、前の観光基本法というのは、国はこうすべき
だ、ああすべきだという議論が羅列されてあったんですけれども、今回は四つの責任に分
けておりまして、国、ただ2行ですね。地方公共団体、ここにかなりの、なんて言いまし
ょうか、プライオリティが置かれているって。その次に、住民というところと、それから
観光事業者と、四つの柱で、この事業を進めるんだという、こういう提言がなされていま
す。
そういう意味で、おそらく新井さんところで頑張ってくださったことの成果がね、こん
なところにもちょっと出てるのかなって、僕は感じを持っているんですけれど。やっぱり
地元の人が頑張らなきゃだめなんだと、最終的にはという、こういうところであります。
それから、体験、要するに通過型から滞在型にもっていくためには、体験が効果的であ
った、あるいは効果的であろうと、こういうお話でございまして、そのためには住民、身
の回りでもってですね、宝探しをやりましょう。これも、飯田市中心に、市民の皆さん、
住民の皆さんがですね、身の回りの宝探しっていうのを、一所懸命取り組んだ、そういう
ことも、ここの場でちょっとご報告をさせていただけたらなと思っています。
それから、インバウンドについては、今日は加藤委員もおいでになってますから、飯田
市が、おそらく南信州が、かなり目についているんだろうなと、こう思いますので、これ
もまた、おいおい別の項目でお話が聞けるかと思いますので、以上、新井委員の意見でご
ざいました。
それでは、青山委員、ひとつよろしくお願いいたします。
(青山委員)
先ほどからお話が出ていますように、もう長野県にはほんとにたくさんの観光資源があ
りますので、仕事、プライベート含めて、いつでもどこでも行きたいなと思っております
が、私の知り合いなどは「ああ、信州行きたいわね」って言っているうちに、北海道でラ
ベンダーが咲きましたっていったらですね、パッとそちらの強烈なインパクトに行ってし
まうということがあるんですね。信州というのは、それぞれに素晴らしい魅力があって、
とても大きな魅力があるんですけれども、それぞれが素晴らしいがために全体として、こ
うインパクトに欠けてしまうというようなところがあるのかもしれません。ですので、こ
のシーズンは、この売りはこれ、そして来ていただいたお客様には周辺をいろいろ見てい
ただくというような、そんな売り方なども必要なのかなというふうに思っています。
そういう意味では先ほどからお話が出ている、各地域、地域の魅力の核づくりというの
は、相当に進んでいるように思います。町並み保存に始まり、新しい観光、魅力づくり、
- 19 -
グリーンツーリズム、日本風景街道の取り組み、そして大槻さんのところでなさっておら
れる、森林セラピー基地っていうのも、やっぱり全国に先駆けて何箇所も手を挙げて、積
極的な取り組みをしておられます。やっぱり魅力の核づくりっていうのは、先ほどもお話
が出ているように、各地域の、またそこに住んでいる人々の取り組みということで大変重
要なんですけれども、やっぱり今は全国総観光地時代で大競争をしておりますので、単発
の魅力だけではなかなか人を呼び込むことができません。そうした魅力を、いかにつない
でいくかっていうところが、これからの信州の大きな課題なのかなというふうに思います。
私は、この審議会をきっかけに、昨日はですね、水芭蕉の鬼無里に行ってまいりました
けれども、大勢の方たちが水芭蕉を楽しんでおられました。そこで、皆さんたちがおっし
ゃるのは、
「ここへ来たから、この後どこへ行けばいいの」っていうことを、皆さん聞いて
おられるんですね。その先のルート案内というのが、あまり十分ではない。つまり、そう
いった広い意味での観光ルート開発っていうのも、重要なのかなというふうに感じていま
す。そういう意味では、各地域、地域の核づくりができたところで、今度はこうして県の
中に観光部というところができて、大きな力でそうしたものの魅力を結んでいくというと
ころに、大きな貢献をしていただけるのではないかなというふうに、私は期待しておりま
す。
そして、長野県は、ほんとに従来からの観光地というところで、多くのファンの皆様が
おいでになるわけですが、
「従来の」っていうことは、それをリニューアルして、ブラッシ
ュアップしていかないと、それは古い魅力になってしまう訳です。今、新しい魅力づくり
が進んでいる訳ですので、やっぱり甘んじていてはいけない訳ですね。
あとでフランスのシルヴィーさんがおっしゃるかもしれませんが、スイスやフランスへ
行きますと、美しい風景の中に、ホテルを撮っても、レストランを撮っても、お土産物屋
さんを撮っても、それから個人の家々にしても、どこの写真を撮っても、切り取っても、
素晴らしい美しい風景が広がっています。
それは、
その風景や自分の住んでいるところを、
どう受け止めているかっていう、心の表れであり、住まい方であり、それは観光政策であ
ると思うんですね。お膝元をご覧いただくと、古い観光地にあるお土産物屋さんはどうで
しょうか。ホテルは、頑張っておられるところもありますけれども、そうではないところ
もあるように思います。まだまだ、信州にやっていただかないことが、たくさんあるよう
に思っています。そうしたことを、個別の問題なんですけれども、やっぱり大きな目で引
っ張っていっていただくのは、もう少し広い行政単位であると思います。
そして、もう一つは、県の役割ということについて申し述べたいと思いますが、最近は
この長野県ということに限らずですね、地方の県は財政が足りないからということで、な
かなか、そうした、その各地域の細かい政策に対応しきれないところがあって、市町村は
直接に国の施策とつながって、そうしたものに取り組んでいるところがあり、県を向かな
くなってしまっているところが多く見られます。それは本当は、やっぱり県が一番身近な
ところですので、頑張っていただきたいなと思いまして、財政がそんなに豊かでないので
あるならば、もうちょっと違う応援の仕方なんかもあるんじゃないかなと思ってまして。
国の施策が縦割りであるのであるならば、それを横断的に幅広く展開していただけるのが
県ではないかと思っておりますので、そうした、この部、観光への取り組みという意味で、
私は大いに期待をしたいと思います。
- 20 -
(佐藤会長)
ありがとうございます。
最後は、県への期待とね。観光には、観光っていうのは、あまり政治とか、なんだかド
ロドロしたようなのは絡まないような、僕は気がしてて、割ときれいな産業ですから、進
んで行政の皆さんは「やりたい」
、
「やりたい」って言っていただけるとありがたいなと、
こう思いますね。
今、青山委員の方からは、地域の観光の核をつくりなさいと、核づくりを。やはり、こ
ういう指摘をいただくのは割と東京とか首都圏の皆さんが、長野県とか、あるいは地方の
観光サイトを見るときにね、「何が売りなのよ」
、
「何が目玉なの」って、そういう視点を、
こう時々言ってくださって、ハッと僕らなんかも気が付くんですけど、そういう意味では
魅力の核っていったい何だろうって。やっぱり、これは見直しを、もう一度しっかりとや
っていかないといけないかなと。
それから、先ほどの鬼無里の延長のルート化の問題でありますけれども、どうしても、
僕も住むようになってから5年ぐらいなんですけど、要するに住むようになってくると、
行動の範囲とか目線の広さとか、目の高さって、大体均一化されちゃいましてね、
「あ、こ
んな具合かな」って、自分の中で囲いを作っていっちゃうって、こういうことがあるんで
すけど。やっぱり、外から来る人が1日なり2日ぐらいかけてね、やって来られる。だっ
たら、こういうこともある、ああいうこともある。海外なんかですと、たとえば車で 200、
300 キロは、行って帰ってくるぐらい、その日のうちにちょっとした旅行の範囲なんだと。
日本で考えてみたら、東京まで行って帰ってくる距離になると。このくらい、普通はあり
得るんだということはね、すっかり忘れてしまう、住んでいるとね。
そういう意味では、
旅行者の目線に立ってくださいと、
こういうことだろうと思います。
そうすると、ブラッシュアップのことも必要になってくるし、今の観光の魅力っていった
い何だろうって、常にアップデートしていくってことも必要になってくるし、そこへつな
がっていくかな、そういうご意見をいただきました。取り分けですね、景観だとか環境を
守るってことに関して、やっぱり宝ってものは大事にしていかなきゃいけないのかなと。
そういう意味では、貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
それじゃ、相澤委員、ひとつよろしくお願いします。
(相澤委員)
皆さんは、広い立場で、今いろんなご発言をされて、
「なるほどなあ」と耳を傾けていま
したけれども。
私は非常に小さな小売業のなかで、家庭のおふくろであったりしますので、
そんな折に、観光客の方と、やはり松本駅前ですので、一番最初にきっと出会うのが私で
はないかと。
形あるものは、そこにずっと存在して、そこそこ手入れをすればもつ訳ですけれども、
観光客の方の多くの方は、この、たとえば松本駅に降りたときに、また触れたい。あの町
の、あの人たちに触れたいという思い、それが、
「去年来てこうだった」って、
「また来年
も会いに行こう」っていうような、観光というか、そういうリピーターのお客さんが、都
度、都度、訪れてくれるような形になっていけば、お題目を唱えて、大きく唱えるのでは
- 21 -
なく、人と人との触れ合い観光というのが非常に大切ではないかと思うのです。
いろんなこと、皆さんのおっしゃったこと、ほんとにそうだと思いますが、多くの方は
何かっていうと、ほんとに「いらっしゃいませ」っていう、その声だけを聞いて、このお
店に入りたいか、入りたくなくなるかということを、咄嗟に判断するようでございます。
ですから、ニコッと笑った顔で、何を買う訳でもなく、外に向けて発信したときに、寄る
つもりはなかったんだけど、ちょっと立ち止まりたいなっていう、そういう町の辻であり
たいし、そういうふうにお客様を大切にしたいし、たくさんお金を使ってくれるから大事
ではなく、そこを通ってくれたことに感謝ができるような。そういう、おもてなしという
のは、取って付けたものではなく、私たちが一番今、少々欠けている「人育(ひといく)
」
といいますか、人間の心の、今まで昔はあったものが、どんどん形が変わっていってしま
った分だけ、心のそういう、おもてなしが減っているように思うんです。
それで、おうちのお母さんたち、それから、まあ旅館の方たちもいらっしゃるので、ち
ょっと厳しいことを言うようですけれども、
やはり信州は漬け物文化の国だと思うんです。
どの旅館で、どのおかみさんが、どれだけ野沢菜を、たくわん漬けを漬けて、それをその
時期だけお出しするかということを考えれば、ほとんど袋を開いたものが並ぶ。そして、
京都がいけない訳じゃないですが、他県のものが色どり良く並ぶ。そうじゃなくて、やは
り飯田はウメの産地ですから、飯田のウメを漬ける。それが、しょっぱかろうが何であろ
うが、
「今年はこんな味になったのよ」と言ってお客さんにお出しする、それがおもてなし
ではないかと、私は、ほんとにちいちゃな中かもしれませんが、それは誰にもできること
で、予算がないからできないんじゃなくて、気持ちがあればできる観光というのを、私は
これからも心掛けていきたいと思いますし。
そして長野県はやはりお米、そしてお酒、ほんとにおいしいわけです。それこそ、先ほ
ど言いましたように、山菜、それこそ丼ぶりで、そんな上品に出すんじゃなくて、ほんと
にちょっと、おいしいお醤油とおかかを掛けて、
「さあ食べましょう」、
「さあ飲みましょう」
という、そのやっぱり心というものが。建物は絵はがきでも見れますけれども、その人に
出会えるというのは、そこまで行かなきゃ出会えないわけですね。ですから、私は駅前で
いつも「いらっしゃいませ」の門番をして、最初に感じがよければ、出会った人に感じが
よければ、きっとその町のイメージも、その県のイメージも上がるのではないかと、ささ
やかな気持ちですけれど、そんなふうに考えて観光を、なんていうか伝えていけたらいい
な。松本市、長野県の魅力を伝えていけたらいいなと思っております。以上です。
(佐藤会長)
ありがとうございます。
もう基本は、人を感動させることだということで、その感動の基本は何か。もう最初の、
目と目と合ったときっていう感じになるんだろうと思いますけど。先ほどのデータでね、
事務局の方、課長さんご説明してくださいましたけど、
低い顧客満足度というところでね、
なかなか東京の皆さんで僕の仲間にも、
「長野県来てどう」って、「行きたい」って、行っ
たはいいんだけれども、
「なかなかね、よくしてくれなかった」っていう言い方は変なんだ
けど、
「笑顔がない」ってよく言われましたね。笑顔がないから、なんとなくとっつきにく
い。とっつきにくいから、入っていいのか入っていけないのかわからない。この雰囲気が、
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どうやら長野県にありそうだというのが、僕もなんとなく感じるようになりまして。
そこでうちの大学、ホスピタリティって、頑張ってるんですけども、そこではね、やは
り、お客さんと目が合ったら、絶対この人離さない。離さないためにはどうするかって、
頭の中で滅茶苦茶に格闘して知恵を絞る、こういう人材をね、やっぱりたくさんつくって
いかないことにはダメかなと、そういうふうに思っておりますので、ひとつ相澤委員のご
指導を得ながらですね、この方面もほんとに、地にやっぱり足の付いたことをやっていき
ませんとね、結果が出てこないということがありますので、ぜひご指導いただきたいなと
いうふうに思います。どうもありがとうございます。
次、加藤委員、ひとつよろしくお願いします。
(加藤委員)
外国人というか、インバウンドという観点ですね、少しお話をさせていただきたいと思
いますが、ちょっと最初に長野県がどういうような状況になっているかということ、それ
から、次いで、こんな視点でいかがですか、ということを、ちょっと話したいと思います。
ちょうど、ビジット・ジャパン・キャンペーンが 2003 年に始まりまして、ちょうど4年。
2006 年、
昨年は 733 万人の外国の方が日本に来られました。直近のJNTOの調査ですと、
長野県の外国人の訪問率というのが、大体2パーセント前後で推移していますが。2パー
セントといいますと、約 15 万人の方が1年間で延べで来られていると、こういう状況なん
ですね。その中心のところは、やはり、韓国、台湾、香港、それからアメリカの方もいら
っしゃいますけども。そういう方で、おそらくリピーターの方、日本に何回も来られる方
が中心だろうというふうに、大体思われる訳なんです。
そういうような中でですね、今、日本に多くの方が、2010 年には1千万人目指して頑張
っておりますけれども、1千万人達成するには何度、どのくらいリピーターの方に来てい
ただくか。リピーターの方っていうのは、はじめは東京から入ってですね、箱根・富士山
とか、京都・奈良へ行って大阪へ出るようなコースを取られますけど、やっぱり何回も行
くと、もっといろんな日本の地方とか自然とか、そこのことをどういうふうに引っ張って
くるかというのが課題だと思います。
それを前提としましてですね、外国人の誘致を考えるときに、いくつか視点があると思
うんですけどれも。三つほど述べますけれども、一つは、やっぱり日本人にとって魅力あ
る観光地が、外国人にとっても非常に魅力があると。要するに、得てしてですね、日本人
の観光客が少なくなったから、そこを外国人で埋め合わせようとかですね、こういう発想
は一部にちょっとあったかもしれませんけれども。これはやっぱり彼らも、皆さんも情報
は今持ってますから、日本人がみんな行きたい魅力のある観光地に、実は自分たちも行き
たい訳なんです。でも、得てして、またそういう時っていうのは、なかなか宿が取れない
とかといった問題もありますけども、まず、そういう視点で。
それは当然、魅力ある観光地というのは、ハード面でももちろんそうでしょうけども、
ホスピタリティという面で、やはり大きな魅力があるということが一番なんで。
ですから、
日本の、その地域の観光の魅力度を高めることが、すなわち外国人の、また吸引力を高め
るという、これになるというのが一点あるんですね。
それからもう一つ、
二点目として、
海外でやはり長野県を売りたいというときにですね、
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実は単独だけではなかなか、そう難しいですよというのを、率直に申し上げたいと思いま
す。海外でいろいろと外国の旅行博覧会なんかに、実際何度も皆さんブース出展したりと
か、あるいは自治体のプロモーション、観光プロモーションでよく来られて、JNTOの
事務所がアポイント取ったりするんですけども、時によっては同じ訪問先に1週間のうち
に隣の県同志がですね、バラバラに訪問してピーアールをすると。そこで、見せる観光地
図は、自分の県のところだけの地図ですね、いろいろとここにこういう観光施設があった
といって、県境でパッと切れて、その後いったいどうなっているか、まったくわからない
といった形で、それぞれの県がお持ちすると。ところが海外の人が日本に来られるときに
は、長野県だけのためにっていうのは、よっぽどでなければなかなかないんで、やっぱり
その、たとえば地域全体あるいは隣接県を回るとか、あるいは東京とこっちを組み合わせ
るとかですね、そういう観点でありますので、そこは何というのか、より広い心でですね、
隣県とパートナーシップを組みながら、ぜひ広域としてのピーアールをしていただきたい
ということが二点目でございます。
それから、三つ目としてですね、海外でのいろんなプロモーションをするにあたって、
ぜひ、やっぱり信州ブランド、どういうものを、どのターゲット、どの国のどういう層に、
どういうふうに売り込んでいくかということを、絞ってやっていただかないと。得てして
国とか自治体なんかでやると、こちらの顔を立てて、こちらの顔も立ててというんで、非
常に総花的にやる。青山委員も言われたように。非常に長野県、観光の魅力ある資源が、
広い県内に点在しておりましてですね、こちらもこちらも、こちらといっても、1回のと
ころでなかなか回りきれない。
まさしく、じゃあ信州のブランド・イメージで、パッとなるのが何かというと、なかな
かわかりにくいんですが、北海道は、たとえば香港なんか行っても、外国の航空会社がで
すね、北海道のラベンダーの畑の、このポスターを示して、
「北海道ここです」と、「香港
の皆さん、この大自然に触れて、この癒し」と言ってね、このイメージでと、割と単純な
メッセージを送っていると。そういうもので、信州ブランドのどういうメッセージを送る
か、どの層に。それは歴史なのか、それとも自然なのか、あるいは韓国の特定のマーケッ
トだったらスキー場でもいいかもしれないしとかですね。そういうセグメントをして、し
かも同じイメージで、一つのマーケットにですね、少なくとも3年ぐらいは擦り込んでい
くという、こういうことをしないとダメ。得てして予算を取ると、去年は韓国やりました、
今年はじゃあ台湾です、来年は香港ですとか、こういうことがありますが、これをすると
どれも薄くなってしまう。それは一方で、国の役割なんですが。
もう一つは、さっき新井委員が言われたようにですね、国とか自治体とかそういう部分
は少しつくりますけども、実際に、そういうようにお客さんを引っ張ってくるのは旅行会
社同志なんですね、やはりホテル。そこで、地元にどれだけ熱意を持って、信念を持って、
誇りを持ってですね、海外にそういうプロモーションに足しげく運んで、向こうでフェイ
ス・ツー・フェイスでいろんなコミュニケーション、人脈をつくれる人がいるかどうか。
ここが成功している県は、結構そこに来ています。ですから、そういう形での、まさしく
官民連携というのが、実体的にも進んでいるということが非常に大切だと思います。
それからもう一つ、相澤委員が言われましたように、まさしく、そうやってプロモーシ
ョンをして日本に来ましたと。行ってみたけども、行ってよかったかという、その満足度、
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これは外国人もまったく同じでありまして、よければ今度は口コミで「また、あそこはい
いよ」、あるいは「あそこの旅館がいいよ」と、こういう話になりましてですね。その満足
度、あるいはリピーターになっていただけるかどうかというのが、実は大きな鍵になって
おります。
ですから、そういう意味で、ぜひ外国の方が来られたときにですね、非常に満足して帰
っていただける。その人の口コミで、あるいは、その人もまた訪れたいというようなホス
ピタリティ、これはソフトの面になると思いますけどもですね、そこもぜひ力を入れてい
っていただきたいなと思っております。とりあえず、以上でございます。
(佐藤会長)
ありがとうございました。
インバウンド、つまり、外国人旅行者を誘致するという立場から見た長野県の現状、な
いしは可能性ということを簡単にちょっとご説明いただいた訳ですけど。本来ならその部
分だけで、かなり勉強会でも開いて皆さんとね、共有したいなと思うくらいでありました
けれど。まず外国人を呼ぶためには、日本人が魅力を感じているようなとこじゃなきゃダ
メだって、これは当然のことかなという感じはいたしますし、そう思えば、取り分け外国
人を誘致することは難しいということではないんだということになろうかと、そういうお
話をいただきました。
それから、その後、マーケティングの話でしたよね。外国人を呼ぶために、じゃあどこ
でまず目を引っ張るかって、あるいは関心を呼ぶか、そういう、そのやり方の上手さとい
いましょうか、やり方によって、かなり影響が出てくる、結果が出てくると、こういうお
話でもありました。
やっぱり、最後のところは満足度ということでね、外国人も、やはり日本のお客さんも、
この満足度でリピート率が変わってくるという、そういうご提言をいただきました。詳し
いデータ等については、またJNTOの方から、ひょっとしますとというか、ひとつお願
いしたいなと、こう思いますのでよろしくご協力をお願いします。
それでは、シルヴィーさん、いかがでしょうか。
(シルヴィー委員)
私はですね、仕事柄で、長野県の隅々まで取材に行ったりするので、あまり外国人が行
かないような小さな村とか小さなところをよく行きます。その中で一番感動するのは、も
ちろんその人との出会い、それから景色との出会いですね。こういうものは、当然ながら、
さっき委員さんからお話がありましたけれども、こういう感動は出発点になるんですね。
仕事で行ったんだけれども、こういう出会い、こういう感動があったから、じゃあ今度、
プライベートで行ってもいいんじゃないかな、というふうになりますね。それは、大きな
ことだと思うんですね。
先ほど何人かからも言われたんですけれども、自分のところが好きで、自分のところが
好きだから人が訪れるというのは、もうまったく同感で。私の生まれたところはですね、
フランスで、
「美しい村運動」が始まった国なんですね。皆さんご存じのように、フランス
でいろんな小さな村、いろんな観光地があるんですね。なんでこんなに頑張れるかという
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と、やっぱりプライドがある。でも、いい意味でプライドがある。
「うちの村、こんなおい
しいクルミがあるんだよ」とか、
「うちの村は、こんな赤い屋根の、素晴らしい屋根がある
んですよ、見に来てください」とか、そういう自分からピーアールをする。何も、利益も
ないのにピーアールする、ピーアールをするというか、魅力を語れるというのは大きなこ
とですね。
日本では、どうも外の人に意見を求めるんですね。どうしても日本人が。
「これでいいの
か」とか、
「うちの村、ほんとにいいんですか」
、
「何がいいの」ってみたいに、逆に私によ
く聞かれるんですね。だからそのへんは、大きな問題はあるんですね。つまり、自信を持
ってもいいんじゃないかっていうことですね。
それから、今までの観光というと、観光開発とか観光施設とか、アクセス道路はどうな
のかっていう、いわゆるハードの面の充実を重視していたところは、どうもあるような気
がするんですね。先ほどの話じゃないんですけれども、さて、いい観光施設ができた、だ
けれども見たら空っぽなの、そういうことは結構あるんですね。だから今度は、そういう
ハードの面っていうんじゃなくて。
この資料の中にも書いてあるように、財産ですね、その観光の財産は、いくつかあるん
ですよね。温泉、スキー場、それは確かですね。それから、第2位のところをちょっと注
目していただきたいんですけど、美術館のことですね。確かに全国では1位なんですけれ
ども、実は私も美術館巡りをするのは好きで、よく行くんですけれども、ガッカリするこ
とが多くて、なんで、こんな高いお金払って、なんで、それで見たら 15 分で終わってしま
う。じゃあ、それはね、数字だけ、1位、2位とかそういうことじゃなくて、じゃあ実際
に充実しているかどうかっていうことなんですね。スキー場に関しても、そういう同じこ
と言えるんですよ。ちっちゃなスキー場で、高いリフトで、じゃあそれで満足するかどう
か、満足しないんですね、大体。だから、そういう充実。あることはあるんだけれども、
数字の上では1位とか2位かもしれませんけど、
中身を見ないといけないと思うんですね。
その自然公園面積もそうなんですけど、確かに。
私が大好きな自然の面積は大きくて、3位ですね。でもその自然、せっかくあるその自
然、いわゆる、たとえば公園ですね、国立公園。どう生かしているかというと、ほとんど
生かしてはいないんですね。私の住んでいるところは、一の鳥居地区というところなんで
すけれども、国立公園の中、ど真ん中なんですね。そこには素晴らしい公園があって、私
としてはうれしいんですけどね、ほとんど人が来ないのは静かでいいんですけど。ただし
これは、勿体ないといえば勿体ないですね。だから、もうちょっと、そういうソフトの面
である財産ですね、お金の財産でもあるし、その自然の財産を、どう生かすか、もうちょ
っとこう、自然に優しいやり方で考えてほしいなと思うんですね。
その中で一つのキーワードは、
「歩くこと」だと思うんですね。すべて、歩くこと自体は、
それでまず自然に優しいことですし、いろんなものが見えてくるんですね。だから、そう
いうことで、特に今、団塊の世代とか高齢者とかですね、あるいは都会に住んでいる外国
人、さっき海外から来ている外国人の観光客の話がありましたんですけれども。長野県に
来る外国人の中で、実は東京に在住の方とか大阪在住の方も多いかと思うんですね。そう
いう人たちは、なんで長野県に来るかというと、話を聞いてみますと、やはり静けさを求
めて来るんですね。だから、うるさいスキー場は、正直いっていらないんですね。むしろ、
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そういう、せっかく自然があるから、人が自然を損なわないような観光の生かし方という
か、そういうことはとても大事だと思うんですね。
それは外国人にとってもいいことだし、
たとえば高齢化の方とか、そういう静けさを求めている人たちは結構いるんです。ゆとり
ですね。
先ほど、なんか競争の何とか、言葉が出てきたんですけれども、競争よりもゆとりだと
思うんですね。それはもう、ほんとに長野県の大きなインパクトのあるものになれるはず
です。一つの例としては、具体的な例としては、今年はですね、長野市の戸隠イヤーです
ね。戸隠の住民の人たち、私も参加させていただいて、住民たちは、いろんなことを考え
てやり出したんですね。その中で一つ素晴らしいなと思うのは、戸隠の古道を歩くこと。
毎月、一部、一部を歩くんですね。戸隠の古道というのは、昔の道というんです。長野市
から、善光寺から奥社までを歩くとか、いろんな、あとは周囲の古い道もたくさんありま
してね。必ずそのときに、その地元の人たちが、歴史に詳しい方とか、文化に詳しい方と
か、小鳥に詳しい方とかが、自然に詳しい方が、一緒に同行して説明しながら歩く。それ
は、歩くことによって、いろんなものに気が付くんですね。その歩いた後は、その人の話
をまたじっくり聞く、そういう企画なんですね。これは、実はあんまりお金を掛けてない
はずです。だけれども、素晴らしい企画だと思うんですね。取り組みだと思うんですね。
だからこういった、エコツーリズムとか、英語で言えばね、片仮名語で言えば、エコツ
ーリズムとかグリーンツーリズムの、まさにそれなんですけれども、こういうもの、
「歩く
こと」
、私の、一つの、ここで言いたいことですね。すいません、長くなりました。
(佐藤会長)
ありがとうございました。
日本に滞在されて、何年くらいいらっしゃいますか。
(シルヴィー委員)
18 年目になります。
(佐藤会長)
18 年。
(シルヴィー委員)
はい。
(佐藤会長)
さすがですね。
外国の方から見た日本の魅力、とりわけ今長野県というところがテーマになっています
から、かなりピシピシといいところを押さえてくれたかなと思うんですが。要するに住民
というか住んでいる人たちの自尊心、誇りというところは、これは、先ほどから私も触れ
させてもらってますけど、
やっぱり、
住んでる人たちが住んでよかったと思えるかどうか、
これをやはり日本の人たちは、なんか性格上表現できないのか、しないのか。おそらくハ
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ッピーなんだけれども遠慮して言わないとか、そういうこともあるのかもしれませんが、
もう出してもいいんじゃないかっていう話と。
それから素材はあるけれども、それを生かし切ってない、あるいは生かしてない、まっ
たくと、こういう感じでございました。これもまた、われわれは新たにですね、数でない、
内容で勝負という意味の素材を研究する、いいテーマかと思います。
それから、各素材をつなぎ合わせるため、旅行者の立場にたってですね、つなぎ合わせ
るための一つの手掛かりというか仕掛けとしては、
「歩く」というキーワードはどうでしょ
うかと、こういうお話をいただきました。長野県はご承知のように、日本の真ん中にあり
まして、山に囲まれて細い狭い平地の部分、これを活用せざるを得ないと。その活用した
部分は、かつての古道であり街道であったということもありますから、今のその道という
ことも、歩くということも、まあ新たな、これは情報をつなぐということもありますけれ
ども、そういう意味の活用の仕方があってもいいのかなと、いろいろアイデアをいただき
ました。
それで、次にですね、もう、あと4名の方でございますが、藤井委員、ひとつよろしく
お願いします。
(藤井委員)
私は、ほんとに長野県に住んだこともございませんし、先祖がそうだったということも
ないんで、まったくほんとに客観的にお話を申し上げたいと思うんですけれども。私は九
州で生まれ育っておりまして、特に九州でも炭坑町、汚いところで育ったもんですから、
小さいころから長野県には限りない憧れを持っておりまして、アルプスの山々とか、シラ
カバ林とか、カラマツ林、高原のですね、そういうのに、小さいころから、ほんとに大変
な憧れを持っておりまして。ですから仕事で東京へ出てまいりましたときに、まっさきに
その夏、信州一周一人旅をした訳でございます。ほんとに、カラマツ林の中で、北原白秋
の詩を思い出したりなんかしてですね、感激し。その時は行けなかったんですが、その後
あそこへ行きましてね、上高地へ行きまして、もうほんとにその時は涙を流さんばかり、
体が震えるばかりの感動を味わった訳です。それだけやっぱり信州というのは、素晴らし
いものを持っているんじゃないかと、私は思っております。
ただ、それをどういうふうに打ち出していくかという打ち出し方が、まだまだ決して上
手ではないという感じがしている訳なんですね。ですから、たとえば観光って、こういう
計画を立てるとき、まあちょっと口悪いことを申し上げれば、観光産業のためのですね、
産業振興のための観光計画っていうふうにどうしてもなりがちなんですが。それだけでは
なくて、ぜひやはり訪れる人たち、私みたいに九州で育ったような者にですね、どういう
感動を与えることができるか、どういうメッセージを、特にこれからの 21 世紀型の観光と
いうのは、そういう、人にどういうメッセージを与えられるかということになるんじゃな
いかなと思うんですよね。たとえば、京都とか奈良というのは日本の歴史、古い歴史とか
って、そういうものを日本人あるいは外国の方にも語ることができる場所として、非常に
意味のあるところではないかと思うんですね。
ですから、長野県の場合は、そのメッセージに何を求められるかということを、まずよ
くご議論いただいたほうがよろしいんではないかなと。ご参考までに申し上げれば、やっ
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ぱり自然の美しさっていうのは、特にこれだけの高い山が集積している地域というのは、
日本に、他にはない訳でございますんで、そこのところをやっぱりもっと大事にしていか
れたらいいんじゃないかな。特に今、環境の問題とか自然とどう共生して生きていくかっ
ていうのが、大きな社会全体の課題になっている訳ですから、そういうものに対して何か
メッセージを与えられることができる、そういう計画になればいいかなという感じがして
おります。
それから、もう一つメッセージとして、ご参考として申し上げたいなと思うのは、よく
統計を拝見しますと、長野県の場合は、病院の入院日数が一番短いとかですね、非常にそ
ういう医療体制といいますか、そういうのがきちっとしていると、そういう価値観の方か
らすればですね、そういうふうに言われている訳でございますので、ある意味では、今、
団塊の世代とかなんかは、やっぱり健康志向が極めて強うございますので、そういう、そ
の健康志向にマッチしたような、何かテーマ、メッセージというのが提供できるような、
たとえば温泉もたくさんございますよね。ですから、温泉なんかも、ドイツのバーデンバ
ーデンとかはクアハウスとか、そういうようなものをお考えになって、温泉と健康、そう
いうものを結びつけた、何かテーマというか、そういうような打ち出し方ができるとかで
すね、これは単なる参考でございますが、おやりになったらよろしいんじゃないかなとい
う感じがしている訳でございます。
その他、私、海外にもしょっちゅう行ったりなんかしておりますが、まあ、来月エルサ
レムに行きますので、来月のこの会議は、すいません、欠席させていただきますが。海外
へ行って、特にドライブ旅行なんかしておりますと、やっぱり向こうはミシュランの地図
とかなんか、非常にそういう体制がしっかりしておりますね。ですから、夫と2人で、ほ
とんど道を間違えずに行くことができるし。それから、ちょっとした町へ行きますとイン
フォメーション、日本でいうと観光案内所でしょうか、そういうものがきちっとしたのが
ございますから、ホテルも予約なしでも、その日のうちにパッと泊まれると。しかも、ビ
ー・アンド・ビー(B&B)。イギリスなんかB&Bでベッドとブレックファーストだけっ
ていうことで、夕食は好きなところで食べられると。その地域の、なんて言うんですか、
有名レストランで食べられるというようなことになっている訳で、そういったような体制
というのも、少し、これからはお考えになったほうが、これからは長期滞在型、団塊の世
代になりますと長期滞在型、個人旅行型っていうことになる訳ですんで。いろんな泊まり
方、訪れ方っていうのができるような体制を整えていただければ、大変ありがたいなと思
う訳でございます。
それから、私、スキーを今でもやっているほど、スキーが大好きでございまして、八方
尾根なんかでよく滑っておったんですが。スキー人口がもう、ひところの4割、5割に落
ちている、これは全国的傾向ですから、もうこれはほんとにしょうがないと思いますね。
ですから、スキーは、昔のスポーツとしてのスキーというよりは、リフレッシュとしての
スキーを求めるというのがニーズとして高まってきているんじゃないかなと思いますので、
スキーはぜひ、集約して、ある意味ではもう選択を進めてですね、残すべきところはより
高度化していくというか、
高級化していくとか、
そういう方向に行っていただいたほうが、
皆さんの満足度は高まるんではないかなという感じがいたします。
それからいずれにしろ、住んでる方が、シルヴィーさんもおっしゃいましたように、住
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みやすいと。楽しく、そこで生活をしているということでないと、訪れた方も楽しく帰れ
ないですね。住んでいる方が、
「いや、こんなもう貧しいところ」って感じで、せこせこし
ながら生活されていると、訪れた人間も決して豊かな気分で帰ることができないという感
じでございますので、もうこれはほんとに、どなたもおっしゃってますが、ぜひそういう
ことで市町村の方々、誇りをもって自分たちの郷土というものを、もう一度見つめ直して
いただければいいんじゃないかなっていう感がします。以上です。
(佐藤会長)
ありがとうございました。
社会的な課題というんでしょうか、環境問題も医療の問題も含めてでありますけど、そ
ういうことを念頭に置いて、訪れて来る人たちの目線に、どのようなアピールというかメ
ッセージが出せるか、そこに議論をやはり集中してもらえたらいいんじゃないかって、こ
ういうお話でございました。
それから切り口として、たとえば健康であるとか自然であるとか、それからあとはサポ
ートとしては情報システムを、やっぱり整備しないと旅行者にとっては難しかろうなと。
これはまさにそのとおりでございますので、
そういうことも含めていきたいと思いますが。
ちなみに健康の部分でいきますと、今、世界的に話題になっておりますヘルスツーリズ
ムという言い方がございます。日本でもですね、ようやく昨年から真剣に、これ、取り組
むようになりまして、たまたま私も、その委員会の座長をやらせてもらって、日本のヘル
スツーリズム、これのガイドラインづくりというのを、今、手がけ始めております。その
意味では、長野県というのが非常にいい事例を提供してくれていまして、取り分けここに
いらっしゃる白骨温泉さんなんかも協力してくださって、その実証実験なんかもやらせて
いただきました。そういう意味で、その切り口は、長野県にとっては非常におもしろいと
ころかなというふうに思います。これもまたおいおいですね、皆さんとお話を共有してい
きたいと、こう思っております。
はい、次にですね、松沢委員、ひとつよろしくお願いします。
(松沢委員)
私のほうは、まず、スキー場の現状をちょっとお話ししたいと思うんですけれども。先
ほどらい話も出てきておりますが、
この資料によると平成 17 年度で4割というような数字
が出てるんですが、これは、国土交通省の方への数字ですので、ほぼ正確かと思いますが、
現状は非常に厳しくてですね。スキー場のピークはバブルの時代と一緒でして、平成4年
の 12 月から平成5年の春までのシーズンがピークでございまして、
それから落ち続けてい
るんですけれども。ピークを 100 としてですね、今シーズンですね、平成 18 年の 12 月か
らこの春までのシーズン、輸送人員と収入という数字があるんですけども。輸送人員とい
うのは、いわゆるリフト、ゴンドラ、ロープウェイに何人乗ったかという数字ですけれど
も、これが 34.5 パーセント。それから収入がですね、27.8 パーセントで、収入は 30 パー
セントを割っています。
簡単にいうと十何年間で輸送人員は3分の1、収入は4分の1に落ち込んでいるという
のが、索道業界の現状です。大きなスキー場ほどですね、ピークが高かったりしているん
- 30 -
で、逆に反動が大きくて、あるいはもっと数字的には落ち込んでいるスキー場もあります。
日本酒がですね、お酒の日本酒ですけど、日本酒が 30 年で消費量が2分の1になってい
るという話を聞いたことがあるんですが、それよりもっとひどいんで、時々、大町市の造
り酒屋さんとも話すんだけど、
「そっちはまだいいよ」って、話してるんですけど。これは
ですね、いろいろな要素があるんでしょうけども、もうスキー人口ですね、スキーのプレ
イヤーの激減が一番で、これを回復するのが非常に難しいというのが現状だと思っており
ます。これは、スキー場に出てくる層がだんだん若年化していることとか、その若者がも
うスポーツしなくなっているとか、それから趣向が激しくて短く揺れるというようなこと
もあるんだろうと思います。
ほかの、ヨーロッパ、伝統あるヨーロッパのスキー場とか、あるいはアメリカは一時落
ち込んだんですが、盛り返しているというような話も聞いておりますけども、特に日本だ
けの現象というふうに見ております。文化の違いかなとも思っておりますが、とにかくこ
れだけ急激に落ち込んでいるのは日本だけです。最近、学生なんかにも聞いてみるんです
けども、私どもの世代だと、学生のころ必ずスキーに行こうとかって、誘われたり誘った
りして行ったんですが、最近はですね、若者の学生の間で「スキー」という言葉さえ出な
いという、ウインターレジャーの選択肢から消えたような感じがしております。
そういう状況の中で、スキー場、非常に苦しんでいるんですが、とにかく、需給のアン
バランスで、スキー場は、長野県 106 あると言ってるんですが、これだけのスキー場が全
部生きていける訳では、もうありませんので。いずれにしても、先ほども話しがありまし
たが淘汰されなければいけないだろうということなんですが。一つは大滝村に代表される
ように、投資した負債が残っていることとですね。それから小さなスキー場でもスキー場
というのは、特に閑村で、村おこしでスキー場をやったようなことが多いもんですから、
地域経済を背負っている部分がスキー場にあるもんですから、簡単にやめられないという
か、そういう部分がありまして、その地域経済とともにどうやって、淘汰するんだったら
淘汰して、軟着陸させるかっていうような、そういうところが非常に難しいのがスキー場
です。
需給のアンバランスもそうで、どこの業界も一緒だと思うんですが、結局は、その過当
競争で価格の値下げ競争で、質も落ちてきて、安かろう悪かろうの世界に入っているのは
スキー場かなとも思っていますが。これで今、盛んに淘汰も進んでいるんですが、スキー
場が減っていかなければ全体が生き残っていくのが難しいんですけども、なかなかダメに
なったスキー場を、また二束三文で買って始める業者が出てきたりして、スキー場が減ら
ないという、片方にそういう現状もありまして、
非常に難しいという感じがしております。
スキー場業界としては、
過去を振り返って非常に反省すべきところも多いということで、
先ほどらい出ているように、これからの長野県をどうしようかっていう、
こうしたらいい、
こうしたらいいっていうふうな話が出ているんですが、それとまったく逆のことをやって
きたのがスキー場かなっていうような感じもしてまして。そういう意味では反省すべきと
ころも非常に多いんで、スキー場業界も、そういう反省の上に立って、これから進めてい
かなければいけないと思っております。
観光全体のことを考えれば、観光のキーワードっていうのは、
「本物」
、
「びっくり」
、
「癒
し」と言われてまして、最近はそれに「環境」が加わって、観光というもののキーワード
- 31 -
は、
「本物」、
「びっくり」
、
「癒し」、
「環境」と、こういうようなことを言われてますけども、
まさに長野県の観光もですね、やはりこの「本物」
、
「びっくり」、
「癒し」
、
「環境」、これを
追い求めていくのが、これからの長野県の観光の大事なところかなと思っております。
それから、スキー場の反省に立ってもそうですけども、マスで、団体で来て、団体で「は
い、ご一行様」っていうような、そういう感じではなくて、一人ひとりを大事にしてです
ね、リピーターを増やすということに尽きっていくんじゃないかなと思っております。
今のは観光全体の話しですけれども、スキー場の今後については、今、インバウンドに
も力を入れておりまして、
インバウンドの場合は、
やはりアクセスの問題がありますので、
たとえば韓国等は富山空港とか小松空港に着いた場合に、ここまで、長野県までどうやっ
てもって来るかというような部分も、大事な要素になってくるかと思いますので、そうい
うことも考えていっていただきたいと思っております。
それから、スキー場業界だけではないんですけれども、やっぱり広域で考えて、自分の
ところだけのピーアールとか、そういうことではなくて、やはり広域で考えて、全体とし
てお客様を呼び込むような、そういう戦略でいかなければ、増えていかないんではないか
というふうに思っております。
そんなことで、非常に難しい状況にいるスキー場業界ということで、ご理解をいただき
たいと思います。以上です。
(佐藤会長)
ありがとうございました。
まあ、スキー場ばかりじゃなくて、長野県がフィーチャーしている山岳系のね、リクリ
エーションのあり方っていう、これは一つどこかで起こしておかないといけないだろうな
という感じはしますね。スキーを含め、登山者もだんだん高齢化していく。その中でいろ
んな事故が起きたり、いろんな問題が起きてます、現実にね。そういう中での、あり方っ
ていうのも考えていかなきゃいけないかなという感じはしています。
次に両角さん、よろしくお願いします。
(両角委員)
よろしくお願いいたします。
今日の、お手元のこの資料の 10 ページのところに、これは何の資料ですか、長野県統計
関係資料なんですけれども。ここに「信州を旅行したくない理由」というのが、ここが私
も非常に気になってさっきから見てたんですが、
「行きたい場所がない」というところと、
それから「観光地等の情報がない」という、こういうところが県の調査の中にもありまし
て。やはり、われわれ信州にいながら、情報をこれだけ発信していながら、いろいろやっ
ていながら、実は、受け手の東京のお客様にとっては、場所がないとか情報がないという
見方をしているなということで、非常にここは、私も今ショックを受けているんですが。
実は私、今、地元で、先ほどらい会長さんから、
「着地型の観光」という話とか、知事か
ら「長野県らしさ」というような言葉がありまして、そういうのも当社JR東日本として
も、何としても首都圏からお客様をお呼びしようという取り組み、着地観光ということを
やっている訳ですが、ここのところで、先ほどらいお話が出てますように、個別具体的な
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地域の情報、地域の人でしかなし得ない情報を、いかに発信していくかということが、課
題なのかなというふうに思っています。
今、信州は非常に新緑で素晴らしい景色なんですが、新緑、新緑とわれわれ言っている
んですが。実は今、青森県は、この新緑を「春モミジ」という表現を使って、秋のモミジ
じゃなくて春のモミジなんだと。
「春モミジ」という表現を使って首都圏で発信をしていて、
これが非常にわかりやすい表現で、新緑の十和田湖へ行こうというようなことが、私ども
JR東日本が首都圏でも発信されているというような。従来われわれが思っていた考えで
なくて、そういうふうな、地域の人でしか感じ得ないこの思いを、いかに伝えていくかと
いうことが大事なのかなというふうに思っています。
長野県観光、今までずっと取り組んできてまして、信州、あるいは長野県という一律の
議論では、なかなかもう、これからはダメだなと。地域、地域でさまざまな取り組みが今
行われておりますので、やはりこういうふうな、さまざまな取り組みを大事にしていく必
要があるのかなというふうに思っています。
それからあと、先ほどらいお話がございますように、信州は高原とか湖とか、いろいろ
な代表される素晴らしいものがある訳ですが、その素晴らしさと、やはり東北観光と違う
のは、その近くに松本市なり、長野市なり、上田市なり、諏訪市なり、街並みがありまし
て、その街並みに非常に近いところに、有名な観光地が、一部例外のところもありますけ
ど、あると。その街づくり、街というのが非常に大事なのかなと思っていまして、その素
晴らしい街というのは、信州観光、また大事にする部分があります。先ほどらいお話ござ
いましたように、青山委員さんからもございましたけど、高原の次どこで過ごしてみるか
なって。松本市内で過ごす、あるいは長野市内で過ごすって。その街が素敵な街でないと
いけないのかなと。そこが、われわれ、街の玄関口が駅だというようなことが、おこがま
しく言っているんですが、その駅も合わせて、きちんとそこは一緒にやっていかなきゃい
けないのかなと。ここが課題かなというふうな感じがしております。
それから、もう一つ、私ども首都圏から中央東線、それから長野新幹線が走っておりま
して、新幹線ができて、それから高速道路ができて、高速交通網が整備されてきまして、
広域観光ということが叫ばれて久しい訳ですが。広域観光という流れと、それからもう一
つ信州観光は、軽井沢とか上高地とか白馬であるとか、そういうような、非常に有名な観
光地に代表されるように、軽井沢へ行きたいと。それから上高地へ行きたいと。広域観光
という反面と、有名観光地を目指してくるという旅行形態があると思いまして、その広域
観光というのは、その交通網、地域交通をどういうふうに整理するかという部分がありま
して。それから上高地にしろ、ほかの観光にしろ、駅からのアクセスをどういうふうにす
るかということも非常に課題だなと思って、地域交通の皆様方と私ども取り組んでいる訳
ですが。今、長野市を中心としますこの北信地域で、信州北回廊というプロジェクトを地
域の行政の皆様方とお願いして取り組んでまして、当社と、しなの鉄道さんと、それから
長野電鉄さんと、この地域を乗り放題のパスをつくって取り組もうということで、1年間
始まったわけですが。こういうふうなことを、県内各地域でできないかなというふうな取
り組みも、いろんなところと今取り組みをしておりますので、ぜひこんな、その地域観光
と、それから交通網、こういうふうなことの観点で、何とかやっていかなければいけない
かなというふうに思っています。
- 33 -
それからもう一点、最近の高速交通網の発展で、長野新幹線をご利用いただいて、上田
駅とか長野駅でお客様が降りて、行く先はどこかというと、北陸であり、岐阜県の高山で
あり、上田駅で降りて行く先は高速道路を使って、安房トンネルと越えて高山だとか。そ
れから上田駅で降りて、高速道路を使って行く先は北陸、和倉だというふうな、従来にな
い、そのお客様の流れというのが出ております。こういうふうなものを隣県、隣の県の観
光地と、どういうふうに合わせて取り組んでいくかということも、やはりこれから将来に
向けた高速交通網と合わせた、長野県観光の課題ではないのかなというふうに感じており
ます。以上でございます。
(佐藤会長)
ありがとうございます。
今、両角さんからも、いくつか重要なポイントを指摘していただきましたけど、何より
も行きたい場所がないって、このデータはかなり強烈なパンチでしてね。長野県へ行って
も行きたい場所がないって、これはやはりなんとか0パーセントに限りなく近いところに
持っていかないと、長野県の将来はないかなって、そういう感じがするくらいであります
から。
今ご指摘の内容、アクセスであるとか、あるいはどこへ呼んできて、ターゲット、どう
広域性なり偏在性なり、どうやって絞っていくかということも。この視点、行きたい場所
をつくるという視点から見てみる必要があるんではないかと、こういうご意見でございま
した。そういう意味では、鉄道従事者の皆さんが、日々、もう刻々感じてらっしゃること、
ご意見をいただけたのだと思います。
大分お待たせしちゃいました。長いこと、もうぐっすりお休みになっていたんじゃない
かって、そうでもないですか、大丈夫ですか。ごめんなさいね。
それでは、渡邉さん、最後のトリを取っていただいて、ひとつよろしくお願いします。
(渡邉委員)
ほとんど皆さん、専門的なお話やらございまして、大変勉強になりました。そのとおり
だと思いますし、
むしろ私は実際に、
先ほど申し上げましたけど現場におります立場から、
ちょっといろいろ感じたことを、実は、取りまとまらないと思います。10 分の時間じゃ足
りないかなと思いながらおりますけれども。私はもともと観光に従事した家庭に育った訳
ではございませんで、まったくサラリーマンの家庭に育ちまして、なぜ今こんなことをし
ているのかと自分でも不思議に思いますが、やはりある時点で、怒りみたいなものはござ
いましたね。
実は、大町市というところは、ある意味、通過点。なかなか、大町というふうに全国へ
行って語りましても、山ほど大町というところがございますので、黒部ダムの入り口です
とか、松本市から白馬村へのちょうど真ん中ですよというお話をしないとわからない場所
です。今現在も、通過点になっているのが現状です。
ダム景気がございまして、それから昭和電工ですとか、大手の企業がありましたから、
ほんとに裕福に育ってきてしまった町だと思いますね。そのことが逆にですね、大変人間
的には、こういう言い方をしてはきついかもしれませんが、まず一番感じることは、人づ
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くりではないかというあたりが、
一番の思いが強いところです。商売をしなくても動いた、
何も宣伝もしなくても人が来た、そういった状況の中で、先ほどもありましたけど、安か
ろう悪かろうでもお客さんがみえた。それを、やはり長い時間体験しすぎてしまったよう
な感じがします。特に、今の大きく抱えているのが、そのへん、長野県、特に、何もしな
くても来た時代があったことに甘んじすぎてしまったような感じがします。
それが、現実今、私、大町特産館も持っておりますけれども、ものづくりの中にも、そ
ういったその井の中の蛙というような、ほんとに自分の作っているものが売れない訳けが
ないというような、何ともおごりに浸った生産者もおります。そして、勉強しないといい
ますか、4、5年前からですね、昔のようにお土産を山ほど、これ 10 個くださいという方
がピタッとなくなりまして、ご自分のためだけのお土産を買う方がすごく増えてまいりま
した。これはほんとに、こういう産業に関しては、非常に厳しい時代を迎えたと思います
けれども。裏をご覧になられて添加物ですとか着色料、そういったものが入っていると、
「あら、よく平気でこんなもの販売してるわね」という、都会の、やはりそういうことに
関心のある方たちが多くなってきていますが、現実はそういうものをたくさん入れて、な
るべく長期に保存するようなものを生産しなかったら、結局は自分が生きていけないよう
な、このギャップは大変大きいと思います。
ただ、現実はどこもそうだと思うんですね。いいものを、安心、安全といいますと、や
はり賞味期限が短くて大量にできないもの、これがやはり、ある意味特産であると思いま
す。永遠に、1年ももつようなものを、やはり箱詰めして、山積みにして販売していると
いう特産の開発の仕方だけではなくて、ほんとにこだわった、1日 10 本しかできないとい
うあたりがね、これからは希少価値になって、一つの色となっていくと思います。
私、実は2年ほど前に大町市の中、ほんとに頑固な商売人が多い町でして、このあいだ
も統計を取りましたら、ほとんど半数以上の方が後継者がいないので、これで店を閉める
という方が主になってきております。今日も1軒閉まった、明日も1軒閉まりそうだとい
うような話しの中の町中ですけれども、もともとは京都の町屋づくりの建物が大変多くて
ですね、今そういったものがほとんど手付けなしで残っている現状があります。
今回私たちが、実は手を掛けたところも、町の中にあります1軒の大庄屋なんですが、
基本的にですね、町の方たちは「あ、あれはあの人のものであるから、あの人が何かすれ
ばいいだ」っていうような解釈なんですよ。でも、私はそろそろですね、これは町の財産、
県の財産というふうな位置付けをして、手を掛けて残さない限りは、そういうものを持っ
てらっしゃる方たちにとりましても、これは非常に負担でもある、重荷でもある部分なん
です。実際お金を掛けて直さないと、そのお金も半端な額じゃない金額のかかるものばか
りですので。何しろ県の方々にはぜひお願いしたいのは、そのへんの、もう一度各地区に
ある財産ですね、建物も含め、自然も含めた財産の、もう一度見直しをして、この地区に
は、これはやはり残そうという、一つの色をつくっていただきたいと思います。それぞれ
が、その町の歴史を物語る財産として、必ずあるはずだと思うんですね。訪れた方たちが、
「あ、この町はそういう町だったんですか」というような、お話の中で感じてくださる郷
愁みたいなものっていうのは結構あります。
先ほどらい、静かな観光地っていうことありますけど、私、現場にいて、これはすごく
感じます。ドヤドヤってしたところに、ワンワンとしているところに行きたいんじゃない
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という方がすごく増えてきたと思いますね。と言いますのは、湖が三つ町にはございます
けども、毎年来る若い方たちがいらっしゃって、
「観光シーズンが終わった後の、誰もいな
いあそこを歩いてみたいんだ。それが、私の唯一の贅沢で、最高のゆとりの、癒しの空間
なんだ。
」っておっしゃる方が多いんです。
私は、この手付かずの自然が山ほど残っている、この信州の素晴らしさは、もう一度ほ
んとにみんなが足元をしっかり見ないと、無いものねだりをしますし、人が羨ましいです
し。とかく、褒めない谷民族だというふうに言われますが、人を褒めませんから、自分も
褒められない。よく新潟県のお酒が売れましたのは、
「あそこのお酒もおいしいよ、でもう
ちのお酒もおいしいから」というような、やはり人を褒めることによって、自分のうちも、
結局は新潟県全体のお酒の価値観を高めたというお話がありますけれども。そのへんが大
きな、ちょっと間違った、要するに高度成長時代に壊すことを美徳、何でも新し物好きに
走りすぎたことが大きな反省点ではないかと思います。
私は冬が大好きなんですね。この冬は、とかく観光のシーズンの方たちからすると、冬
眠の時期だとおっしゃるんですけども、このへんはやはり、どこかで逆手に取っていかれ
ないものかというふうに思います。特に、北アルプスの麓ですから、2月の寒のころの寒
さというのは、また格別です。寒い冬に雪が降っているところで、温泉に入るなんて最高
じゃないかと思うんですが、今度はそんなポスターも作っていただけたらと思います。
ちょっと食の話しをしたいと思いますが、
私も食べること、
作ることが好きなんですが、
今回、大町市が美麻村、八坂村というところと合併いたしまして、私はほんとに素晴らし
い財産を得たと思っています。先ほどらいあります山菜ですとか、凍み大根、冬の間しか
できない、凍らせて作るお大根があるんですが、こんな物語のあるものが山ほどある。と
ころが、長野県の特産というのはすべて説明をしなければ、お話をしなければ売れないも
のがほとんどだと思いますね。北海道に行けばカニがあって、九州に行けば明太子があっ
て、黙ってても動く商品がある中で、すべてやはり、一つひとつお客様とお話をしなかっ
たら理解もしていただけないし、その物語も語れない。そういった食材が山ほどあると言
うことに、もう一度足元、先ほどの足元なんですけれども、田舎のおばさまたちにしたら、
「ああ、そんなものがいいだかいね」とおっしゃるんですよ。でも、そんなものがと思う
ものが、やはりもう一度見直され始めてきていると思いますね。
凍りもちにしましても、高野豆腐にしましても、この地ならではしかできないものがあ
ります。湯布院に行きますと、おかみさんの会があるということで、ちょっと私、一度お
伺いしてみたいと思うんですが、そこでやっぱり板長さんたちが、ご自分たちで、皆さん
が集まって地元の特産を生かしたお料理の勉強会をされているという。個々に、その食材
を生かすのは、今度個々の腕になる。でも、これは頑張って、みんなで一つ発信してみよ
うというものを研究しているということは、そういうつながりが、ものすごく大事に思い
ますね。個々に頑張っているものがつながっていくような発想を持たないと、非常に、バ
ラバラに発信しているだけでは、長野県の一本の色ですとか、香りが立ち上がらないとい
うふうに思います。
先日、たまたまおみえになった方に、蕗の薹をちょっとお出ししましたら、ちょっと食
の関係の方らしいんですけど、うちの従業員に「あら、今どき蕗の薹なんて」って、そう
いうふうに言われて、本人はすごくショックだったんですね。ところが、標高 300 メート
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ルの差がある大町市ですので、早いときはもう2月から出てますが、今でも蕗の薹が採れ
る場所があるんです。私は、やはりそれで、何でも、ファッションでも先取りで、今、春
に秋のものを売ることが先取りではなくて、今この地で、まだ蕗の薹が採れて、まだおい
しく召し上がっていただけるんだというあたりを伝えていきたいというふうに思います。
桜前線っていいまして、NHKなんかでも、こう見てますと、ここらへんで咲きました
というのがありますけど。長野県もこれだけ縦に長いところですので、長野県の桜前線で
すとか、先ほどの新緑前線みたいなね、何か、今はここが素晴らしいというようなものが、
長野県の中で、一つ、全国に発信しながら。そうするとやはり季節、ものすごく春でも長
い、夏でも長い、そして冬の素晴らしさを、もう一度再認識してほしいというふうに思い
ます。
そして、大町市は大変お水がおいしいんです。私はこれが一番の財産だというふうに思
いまして、食材もそうですけれども。一つ、お米を炊くお水も、「黒部の伏流水」ですね、
こういったものがほんとにキーワードになって、お客様にお話しできる、そういったスタ
イルをつくり上げなくてはいけないと思います。
そういった訳で、現場の全体の底上げですね。いいものが一杯あるんですが、こんなお
そば屋さんがあってもいいのかと思うおそば屋さんもあるんです。やはり、そのへんをみ
んなでですね、もう少し全体に、こう、全体の力を上げないと、いいものだけが光るんじ
ゃなくて、結局悪いもののことが全体の評価になることもあると思います。とかく行政の
皆さんは、やはり心配りをされて、網羅なくすべてを載せることが素晴らしいと思ってい
らっしゃると思うし、私もそれは大事なことだと思うんですけれども、でも、やはり勉強
しなければならないこと、直さなければならないことの指導も。これは非常に厳しいです
が、全体の底上げをしない限りは、長野県の価値も上がっていかないように思っておりま
す。という、現場の声でございました。失礼いたしました。
(佐藤会長)
どうもありがとうございました。
怒りから出発して、そこまでいって頑張ってくださいということなんでありますけれど
も、皆さんの、一応お話お伺いしまして、長野県の持っている素材って、やっぱりすごい
なあって。これだけあるのに、なんで減っていくんだろうということも、僕なんかお話を
伺っていて感じさせていただいているんですが。
それはある一つの答え、大槻委員の方からも出てたかと思うんですけど、今の、渡邉委
員の方からも出ましたけど、それをくっつける、接着剤の役割を果たすなにがしか。大槻
さんの場合には、それを「シナリオ」とおっしゃってくださったんですけど、渡邉さんの
場合には「ストーリー」というお話をしてくださいました。やっぱり、何か、モノとモノ
と、間に入った人が結びつけるときにですね、嘘でもいいからって言ったら怒られちゃい
ますけれども、何かこう、人を引き付けるようなお話だとか、ちょっとした情報みたいな
ものだとか、そういうものの操作がやはり必要になってくるのかなというか、大きな役割
を果たすかなという、そういう印象を持っているわけですけれども。
今日はですね、一応皆さんの、それぞれ委員の皆さんの独自のお考え、あるいは寄って
立っているところのお話をいただきました。
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次回以降はですね、もう予定の時間、ちょうどピッタンコですね。いいですか、これで。
(全委員)
はい。
(佐藤会長)
実に、皆さんお気遣いいただきまして、ぴったりと合わせていただきました。次回以降
はですね、こういった皆さんのお話を事務局の方で、それぞれ細分化させていただいて、
何がどんなテーマで、あるいは章立てにしてもですね、どういうこの話題性でもって並べ
られるか、そういうことを含めて、さらに細かなお話。これは、放言では、この次からは
放言ではございませんで、具体的な方向性を持った議論にしたいと思いますので、そうい
う方向にやっていくということを、まずご了解いただいて。できるだけ、この会議の前に
は、会議のサマリーというんでしょうか、資料をお手元に届けさせていただくような、そ
んなことを考えたいと思いますので、ひとつご協力のほど、よろしくお願いします。
皆さんのご質問の中で、お話の中でわからなかったことは、またこちらからバックさせ
ていただくこともあるかもしれませんが、その節はひとつご協力をお願いしたいと思いま
す。
お忙しい時間ですね、長いことお付き合いいただいたんですけれども、次回の予定をで
すね、ここでお話をさせていただきたいと思いますが、次回の審議会は6月の 13 日。同じ
く水曜日でありますが、水曜日、同じ時間。場所は、まだ未定のようでございますが、長
野市内で開催ということにさせていただきます。
私の方から、座長の方からは大体こういうことですけれど、事務局のほうから何か付け
足すようなことがございましたら、ひとつよろしくお願いします。
よろしいですか。はい。
それではですね、本日、ほんとにお忙しいところご参集いただきまして、大変ありがと
うございました。進行、不手際、いろいろございましたけれども、ご協力いただきまして、
感謝をいたします。
知事、何か、お話ございませんか。これだけ聞いたら、何か出てきちゃうかな。よろし
くお願いします。
(村井知事)
やっぱり、いいご発言をそれぞれに頂戴しまして、感謝をいたしております。立場上、
非常に言いにくいことも、実はおっしゃっていただいたってのは、本音の感想でございま
して、大分うなずいて拝聴させていただいた部分も多々ございますんで、これはとらえよ
うによっては、
「あいつ、ああいう意見持ってたんだ」って、思われるかもしれませんが、
非常にいいご議論を頂戴した。成果を楽しみにいたしております。どうぞよろしくお願い
申し上げます。
(佐藤会長)
どうもありがとうございました。
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