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佐賀県研究成果情報 魚エキス、豚肉骨粉、菜種油粕、魚粕の土壌環境

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佐賀県研究成果情報 魚エキス、豚肉骨粉、菜種油粕、魚粕の土壌環境
佐賀県研究成果情報
魚エキス、豚肉骨粉、菜種油粕、魚粕の土壌環境条件からみた窒素無機化の特徴
[要約]灰色低地土における魚エキス、豚肉骨粉、菜種油粕、魚粕の窒素無機化率(地
温20∼30℃)は、約90%、約80%、約70%、約65%と高く、無機化が速い。低温(15
℃以下)では、魚粕>豚肉骨粉≧菜種油粕>魚エキスの順に無機化が抑制される。土
性や土壌水分の違いが無機化に及ぼす影響は小さい。
佐賀農業試験研究センター・土壌環境部・
土壌・肥料研究担当
部会名
野菜
専門
土壌・肥料
連絡先
対象
0952-45-2141
[email protected]
a.lg.jp
果菜類
[背景・ねらい]
環境保全型の施肥技術を確立するためには、使用する有機質資材(堆肥・有機質肥料)
や土壌からの窒素供給パターンを考慮した施肥設計が必要となる。有機質肥料中の窒素は
そのほとんどが有機態窒素で微生物に分解されることで無機化するため、化学肥料中の窒
素に比べ遅効性であり、環境条件(温度・水分等)に左右されやすくその肥効は不安定で
ある。そこで、主な有機質肥料として菜種油粕(C/N6.9)、豚肉骨粉(C/N4.6)、魚粕(C/N5.
7)、魚抽出エキス(C/N3.5)を用い、灰色低地土における土性の違いや温度、土壌水分の違
いが窒素無機化に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1)供試肥料は、20∼30℃の温度域で、培養直後から急激に無機化が進む無機化パター
ン を 示 す ( 図 1)。 最 終 的 な 無 機 化 率 は 、 魚 抽 出 エ キ ス で 約 90% 、 豚 肉 骨 粉 で 約 80% 菜
種油粕で約70%、魚粕で約65%である。特に、液体の魚抽出エキスは2日間で約50 %が
無機化する(図2)。
2)培養温度が低くなるほど無機化速度は低下し、特に15℃以下では無機化速度の低下
は著しい(図3)。低温による無機化速度への影響は魚粕>菜種油粕≧豚肉骨粉>魚エ
キスの順に大きい。
3)同様に、最終無機化率も低温になるほど低く、5℃では魚エキス、豚肉骨粉、菜種油
粕で65%、魚粕で45%まで低下する(図4)。10℃以下では最終無機化率に到達する
のに100日以上を要する(データ略)。
4)埴土と壌土の違いが、各有機質肥料の無機化に及ぼす影響は小さく、実用上、無機化
は同程度である(図5)。
5)栽培に伴う土壌水分域(pF1.2∼2.1)での乾湿の違いが各有機質肥料の無機化に及ぼ
す影響は小さい(図6)。
[成果の活用面・留意点]
1)灰色低地土に適応する。
2)有機質肥料の無機化率は、化学肥料代替率として施肥量の目安となる。作期の地温に
応じた無機化率を参考とする。
3)魚エキスは特に速効性であり、液肥による追肥として有効である。
4)粉砕した試料による結果であり、ペレット化された肥料では無機化パターンが異なる
場合があるので留意する。
[具体的データ]
100
0∼2日
魚エキス
90
2∼7日
7∼21日
80
21∼42日
無 70
機 60
化
率 50
40
%
30
肉骨粉(豚)
︵
菜種油粕
肉骨粉(豚)
魚粕
魚エキス
42日∼
菜種油粕
︶
魚粕
20
10
0%
0
10%
20%
30%
40%
0
20
40
60
80
100
120
140
160
70%
80%
90% 100%
※縦の点線は最終無機化率を示す
図1 供試有機質肥料の無機化パターン(30℃)
60
注1)培養条件・方法
①風乾土100gに対し100mgN相当量の供試肥料(粉砕物)
を添加、水分は乾土あたり最大容水量の50∼60%および
40∼50%。
②培養温度は20、25、30℃の3段階で154日間培養し、定
期的に回収し無機態窒素を定量、同様に培養した土壌の
みの培養結果を差し引くことで、供試肥料からの窒素無機
化量を求めた。
③試料の風乾土重は20gで3反復とした。
注2)供試肥料の化学性
菜種油粕
:T-C 41.55%、T-N 6.06%、C/N 6.9
豚肉骨粉 :T-C 42.07%、T-N 9.10%、C/N 4.6
魚粕 :T-C 36.92%、T-N 6.50%、C/N 5.7
魚抽出エキス :T-C 22.77%、T-N 6.53%、C/N 3.5 100
菜種油粕
90
肉骨粉
50
無機化率(%)
魚粕
50%D(日)
60%
図2 有機質肥料の期間別窒素無機化率(温度30℃)
培養日数(日)
魚エキス
40
30
80
70
60
菜種油粕
50
肉骨粉
40
20
魚粕
30
注3)50%Dとは、各温度における最終
無機化率の50%が無機化するのに要す
る日数であり、無機化速度を評価する
指標として用いた。
魚エキス
20
10
10
0
0
0
5
10 15 20 25
培養温度(℃)
30
0
35
図3 培養温度と無機化速度
80
10
30℃
25℃
20℃
30℃
25℃
20℃
15
20
25 30 35
培養温度(℃)
pF1.2∼1.6
pF1.2∼1.6
pF1.2∼1.6
pF1.6∼2.1
pF1.6∼2.1
pF1.6∼2.1
100
90
最終無機化率(%)
90
5
図4 培養温度と最終無機化率
埴土
埴土
埴土
壌土
壌土
壌土
100
最終無機化率(%)
50%
窒素無機化率
70
60
80
30℃
25℃
20℃
30℃
25℃
20℃
70
60
50
50
40
40
菜種油粕
肉骨粉
魚粕
魚エキス
図5 土性の違いが無機化率に及ぼす影響
菜種油粕
肉骨粉
魚粕
魚エキス
図6 土壌水分の違いが無機化率に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:施設野菜における有機質資材からの窒素供給パターン推定による環境保全型
施肥技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2005∼2008年度
研究担当者:福田敬、田川毅明、田中靖
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