Comments
Description
Transcript
中高年齢職員の持久力調査について
消防科学研究所報 21号(昭和59年) 中高年齢職員の持久力調査について StudyonEnduranceo fAged F i r e f i g h t e r s 張 替 久 雄 本 高屋敷 勘 六 本 Experimentswerec a r r i e do u ton1 9f i r e f i g h t e r si ntwoagegroupso f10menfrom4 0t o4 3and9 menfrom5 0t o5 5 A f t e rconducting3 . m i n u t e sstepping(40cmhigh)and5 . m i n u t e sc o n s t a n t . s p e e drunningO, OOOmeters t h e i rp h y s i o l o g i c a l changes were measured a st ot h e i rh e a r tb e a t s with t h e a t 200meters/min) , f o l l o w i n gr e s u l t s . ( l ) Thosewhou s u a l l ytakee x e r c i s e ssucha sj o g g i n gt e n dt obes t r o n g e ri nendurancethano t h e r s ( 2 ) Constant.speedrunning( 1, 000mi n5 ' m i n u t e s )i sas e v e r ep h y s i o l o g i c a lburdenf o ragedf i r e f i g h t e r s 5 測定項目 1.はじめに ( 1 ) 身体枠│全 地方公務員の定年制が実施されること,さらに は1 0数年後に団塊の世代といわれる層が 5 0歳代を 身長,体重,胸幽,握力,肺活 ( 2 ) 踏台昇降運動 迎えることから,中高年齢職員の増加が予想され 高さ 4 0cmの踏台を 2秒に l回のテンポで 3 ている。このような状況下にあって 竺防力の確保 等の関連で,中高年齢職員の体力的実態を把握し, 分間 ( 9 0回)昇降中及び回復時の毎分あたり 適切な対応策を検討する必要がある。 の心拍数。(以下戸心拍数」という)。 ( 3 ) 一定スピード走 そこで,検討 資料を得るために持久力テストで ランニングマシンを用い 1分 間 200mの 速 ある,一定スピード走と踏台昇降運動を実施し, 廃で 5分間走行中及び回復時の心拍数。 心臓に対する負担を測定するとともに運動歴との ( 4 ) アンケー卜 関連について調査したので報告する。 2 . 測定期間 6 . 結 昭和田年 2月 果 ( 1 ) 身体特性 表 1( j )とおりである。 3 . 測定対象者 ( 1 ) 4 0 歳から 4 3歳 1 0人 5 0歳から 5 5歳 9 人 表 I 身体特性 ト¥ 年 齢 身 長 体 重 胸 囲 控室力 肺 活量 c c ) C m ) (kg) ( C m ) (kg) ( (歳) ( 4 0 平均 ( 2 ) 東京消防庁健康管理規程管理区分の指定の 代 歳 あった者及び現在指定されている者は除いた。 ーーーー ー ・・ 5 0 平均 4 . 測定場所 歳 代 2 . 5 8 9 . 5 4 3 . 5 3.5120 6 6 . 26 4 1 1 ーー ーーー・圃晶圃 圃圃圃 . 9 . 7 2 . 9 2 4 . 3 4 4696 3 . 93 . 1 5 2 . 2 5 . 9 9 0 . 5 4 6 6 . 86 5 2 1 圃圃圃園 ー - -ー S . D -包 - - .圃 圃 圃 晶 S . D 2 , 町 ー-----・ a . 2 4 . 8 4 . 7 4 . 5 6 ー ーーー.・ ・ 2 4 7 . 8 ( 2 ) 踏台昇降運動 消防科学研究所第四研究室医学実験室 4 0歳代は 9人中 4人の者が 3分間の途中 で心拍数が一般に生命の安全限界といわれて 8 0拍1)に達した。 5 0歳代については心拍 いる 1 数が 1 8 0拍に達した者;まいなかった。 ホ第四研究室 (21 ) は 3人であった。 また測定条件に合せて昇降することができ 0 歳代 9人中 3人. 5 0 歳代 9 なかった者は, 4 ( 4 ) 心拍数及び心拍数i 曽加率 人中 2人であった。 心拍数とその個人差 を取除くために用いる 心拍数の平均については. 4 0 歳代 5 0歳代と 心拍数地加率は, 4 0歳代 5 0歳代とも一定スピ 8拍から時間の経過とともに上 もスター卜時 9 ード走の方が踏台昇降運動 より高し h 3分直後には 1 7 0拍前後に達した。 昇し また,踏台昇降運動 と一定スピード走につ いて年代ごとに心拍数と心拍数地加率を比較 図1.及び図 2の凡例 すると,いずれも 4 0歳代より 5 0 歳代の方が r J j 凡例 ¥ f 直を示している。 l 口自ら中止し1 8 0出こ達していなし占 z 心拍数増加率 = 自ら中止したとき聞に達していた者 1 8 0拍でも余力はあるが中止させられた丹 図 B E 動的のl.-t a 数)ー ( " i <n 日 干 の心泊費 聖 ) 安静時の心拍数 XIOO (図/分) 2 0 0 図完走者 完走 1 5 0 (分) (踏台昇降運動) 3 ー← 。 t 足 。 {一定スピ 5 0 歳代 ド走) 4 0 歳代 5 0 歳代 ー・ー 2 4 0歳代 4 0歳代 5 0総代 ー← 5(分) 3 図 3 心拍数の変化 図 l 踏台昇降運動の状況 1 0 0 ( % ) ( 3 ) 一定スピード走 4 0歳代は,ランニングマシンの速度につい 0人中 6人であ て行けなくなり止めた者は, 1 った。 5 0 心拍数が 1 8 0拍に達したのは,途中で止めた 者を含めて 2分後に 6人 (路台昇降連 動) 3分後に 4人の全 -ーー 員であった。 。 5 0歳代は.途中で止めた者が 9人中 4人で あり,心拍数が 1 8 0拍に達したのは, 2分後に l人 (一定スピード走) 4 0歳代 5 0成 代 ----ー( 2 4分後に 2人であった。 4 0殺 代 5 0歳代 ---0ー 3 5 (分) 図 4 心拍数増加率の変化 途中で止めた 4人のうち 3人は 1 8 0拍に達 していなかった。また以後まで完走できた者 ( 5 ) アンケート調査 完走 5 (分) ( 7 ) スポ ーツをやったことがありますかっ YES 3 4 0歳代 80% 50歳代 100% ( イ ) 現在何かスポーツをやっていますか? 2 。 YES 4 0歳代 5 0 歳代 4 0歳代 40% 5 0歳代 66% ( ウ ) 勤務中の体力練成はやっていますか? YES 図 2 一定スピード走の状況 ( 12 2 ) 4 0 歳代 80% 5 0歳 代 1 0 0% 7 考 ( エ ) 踏台昇降運動はきついと思いましたか 7 YES 4 0歳代 50% ( 1 ) 一定スピード走の走行状創や心拍数の状況 5 0歳代 44% がスポーツ歴とど ωような関連があるかにつ ( オ ) 一定スピ ード はきついと思いましT こか? Y ES いて見ると,例外はあるが平素から何らかの 4 0歳代 80% スポー ツを実施している者 の方が総体的に持 5 0歳代 55% 久力は優れている。 特に気の付くこと:J:,たとえ若い E 3代 ; こス ( カ ) 同年代と比べて体力に自 信 があります効、 ? YES 察 4 0 t &代 20% ポー ツを やった経験があ っても ,継続して実 5 0歳代 33% 施していない者は,生理的な衰えが結果:こ出 ていることである。 表 2 完走又は 1 8 0拍に達しても余力のあった者の心拍数回復率(%) ¥¥ 運動終了後の時間(分) 1 2 3 ス 4 ポ ツ 歴 0代 , 3 0代 野 球 9. 3 7 2. 6 7 2. 6 1 0代 陸上 , 2 8 . 3 6 4 0 B 4 C 0代 野 球 5年 0代 陸 上・野球, 2 7 .9 1 8 . 8 6 8 . 8 7 3 2 . 5 6 E 5 2. 6 7 8 . 9 7 8 . 9 81 .0 H 5 4 . 5 81 .8 K 0代か ら毎日 ジョギン グ 3~ 1 0 k m 6 9 . 0 8 6 . 2 9 4 . 0 9 4. 2 4 M 0 年 ( 毎日 3k m) 5 . 2 7 4 4. 3 6 9 . 0 7 7 . 3 ジョギング 1 O 0年(毎週 4 0 k m) 8 . 9 8 6 . 2 9 4 . 8 自転車ロード 1 3 4 . 4 6 P m) 5 2. 9 8 2 . 0 8 2 . 3 8 8 . 2 ジョギ ング 2年(毎 日 4k Q 9 . 5 8 6. 6 高校時代野球, 5 6 . 8 7 5 . 0 9 喜 重 代 5 0 歳 代 10~40 代ジョギ ン グ 時々 ィ10 どν 代沢 ( 陸 受 上 り ・中距離), 2 0 代機械体操・柔道 ・スキー 4 0 f 叱スキューパーダイビ ング 30{~ 20代以降時々ジョギング 5~7km 表 3 途中で止めた者と 1 8 0 捕に達し余力のなカ、った者の心拍数回復率(%) ¥¥ 4 0 運動終了後の時間(分) ス 1 I2 I3 I4 ポ A 2 7 . 8 5 5 . 6 6 9 . 4 7 9 . 1 2 0代 , 3 0 代(野球・卓球) D 2 5 . 0 5 1 .0 6 3 . 0 7 3. 0 ゴルフ F 歳 G // // 'フ u 附 代2年 4 0 f t 年) 7 . 1 9 3 8 . 6 71 .4 8 8 . 6 なし ぞ/ 〆/ / ゴルフ 5年 4 17 8 3 . 3 9 5 . 21 0 0. 0 週 2回 5 0 S 司 L ジ ョギング 2年 ジョギ ング 7 . 5 7 0代!こ水泳 31 .2 6 2. 5i 5. 0 1 奇 襲 ? ¥ 7 2 8 . i 517 6 5 . 5 6 8. 9 20 代 ~40代 交 山 , 30代 ~50代剣道 代 4 0代と 5 0代 l年) R 4 3 . 1 6 8 . 9 8 9 . i 9 4. 8 ゴルフ ( ( 1 2 3) 歴 サイクリング ( 3 0代 5年 ) 4 0代 3年 4 . 7 7 4 4 . 1 6 3 . 5 7 3. 5 なし {~ ツ ( 2 ) 一定スピード走の完走者文は心拍数が 1 8 0 拍に達しても余力のあった者とそうでない者 とについて,心拍数回復率とスポーツ歴を表 拍に達した者は 1 3人と非常に高い率を示して いる。 本測定は,ランニングマ シン を使用したた にしてみると,表 2,表 3の とおりとなり, め , グランドを走る場合と比較し条件が異な 平素からスポーツを実施している者の方が回 ることから一慨に断定できないが中高年齢職 復率は高く優れた結果が出ている。 員にとって,一定スピード走は生理的な負担 心拍数回復率 (遭動終 が大きいものと考えられる。 r 1 量の心拍敏)ー (n分後の心拍敏) [運動終了後の心拍敏)ー ( 安"防の心拍数)" 8 . まとめ 1 0 0 歳代より 5 0歳代の方が優れ ( 3 ) 本測定では, 40 ( 1 ) 平素における体力練成との関連をみると, ジ ョギング等のスポーツを継続して実施して た結果がでているが,これは体力測定を実施 いる者の方が持久力が高い傾向にある。 するということで 5 0歳代は体力に自信がある ( 2 ) 消防職員は,日頃から体力の維持向上のた 者が被験者となったきらいがあり,また,母 め,勤務中又は体育文化会,趣味等を通じ積 数が少ないことから,この結果をもって一般 極かつ継続的に体力練成をするよう心がりる に消防では 5 0歳代の方が優れていると結論づ 必要がある 。 けることはできない。 ( 3 ) 当庁で実施している一定スピード走は中高 0歳代でも平素からスポー ツを実 しかし, 5 年齢職員にとって,生理的に負担が大きいも 施している者は 40 歳代の被験者と比較しても のと考えられる。 劣らない持久力を維持できるといえる 。 ( 4 ) 一定スピード走は, 4 0歳代 5 0歳代の被験者 9 . 文 献 9人中 1 0人の者が途中で測定条件のス 合せて 1 1 ) 渡辺巌ー ピードについていけず測定を止めている。ま た生命の安全限界といわれている心拍数 1 8 0 ( 12 4 ) 「基礎環境衛生学 J ( P . 4 3 4 5 ) 朝倉苫庖(昭和 4 8年)