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学童期の孫が祖父母に抱く親密性の関連要因
家 族 看 護 学 研 究 第 10巻 第 3号 2005年 87 〔報告〕 学童期の孫が祖父母に抱く親密性の関連要因 宮 地 由 紀 II 泊 要 。 ヒ 祐子21 目 本研究の目的は,学童期にある孫が抱く祖父母の親密性と,祖父・祖母別,祖父母の年齢,孫の性別 と居住距離がどのように関連しているのかを明らかにし,高齢者への親密性が生まれる原点を考察す ることである研究方法は 自我の形成される時期にある小学 4 5 6年生 202名に構成的な質問紙 によるアンケート調査を行い, 175名の有効回答を得た.調査項目は,対象の学年,性別,対象から みた父方,祖父母の年齢,居住距離,身近に感じている祖父母,親密性について杉井らの祖父母から受 けた世話の程度の 9項目である 以下の結果が得られた. 1 . 身近な祖父母については,性別では「祖母Jの方が多く,父方,母方別は「母方」の祖父母を選 択しており,「女性j の優位性がみられた. 2 . 居住距離では,遠居に比べ同居,近居である祖父母を選択しており,居住距離の近さというもの から身近さを抱く傾向にあった. 3 . 祖父母の性別,年齢,孫の性別と世話の程度の比較では,祖父母の年齢では,「食事の世話をし てくれる」という直接的な世話において 70歳代に比べ 50歳代の祖父母が有意に高かった. 4 . 孫の性別では,女子が男子に比べて「家の中で遊んでもらった J「話し相手になってもらった jと し、う情緒的な世話において有意に高かった. 5 . 世話の 9項目と祖父母の居住距離との比較では 「贈り物をもらったJ「お小遣いをもらった jと いう道具的な世話では,遠居が同居に比べて有意に高く,「家の中であそんでもらった」という情緒的 な世話では逆に同居が遠居に比べて有意に高かった. キーワード:世話の程度,学童期の孫,祖父母,居住距離 のために若い世代と高齢者の親密性がどのように形 . I はじめに 成されていくのかに注目する重要性があると考えら れる. 近年,わが国では少子,高齢化に伴い,人口学的な 祖父母一孫関係についての研究では,祖父母と孫 変化によって,三世代世帯の減少,核家族化という家 それぞれの立場からみた関係認識,親密性,結びつき 族形態の変化も見られている.この変化は,家族関の といった心理的側面に着目した研究が多い 31∼71とい 親子関係だけでなく祖父母 孫関係において変化を える.また,祖父母を研究対象にしたものが多く,孫 起こしていること 1)2)ヲ三つ目には高齢者と若い世 を対象にした研究では,高校生,大学生といった青年 代とのふれ合いを減少させていると考えられる.そ 期の孫を対象に,祖父母の性別,年齢,居住環境,接 1名 古 屋 市 立 大 学 看 護 学 部 元滋賀医科大学看護学科(現岐阜県立看護大学) 2 ) 触頻度,その祖父母の父方,母方別,中間世代との関 係がどのように関連しているのかという視点からみ 88 家 族 看 護 学 研 究 第 10巻 第 3号 宇 2005年 た . 3 . 対象者 自我の形成される時期にある小学 4,5,6年生の 202名.そのうち有効回答 175名を分析対象とし た 4 . 調査期間,方法 図1 . 枠組み 調査期聞は平成 1 3年 6月下旬∼同年 7月上旬. 調査方法としては,構成的な質問紙によるアン ている 81∼10). ケート調査を行った.言葉の表現方法や項目数の妥 一方,祖父母役割の研究については,祖父母を対象 当性を確認するため予備調査を行い,本調査に進め に役割を見ている研究 111∼13),孫側から捉えた研 た.本調査は,調査依頼時に担当教員と確認のうえ, 究 14),またその中で孫が祖父母の役割を捉えていく 担当教員からアンケート用紙を配布し実施,後日回 のに発達段階によって異なること,祖父母と孫との 収を行った. 居住環境の違いが関連していることが明らかとなっ 5 . 倫理的配慮 ている.以上のように,孫の祖父母に対する役割の捉 倫理的配慮として,調査依頼の際に学校責任者に え方は,居住環境の違いが関連していることより,幼 対して研究主旨と無記名であり,結果については統 し、頃からの祖父母と孫の相互の関わりが何らかの影 計的処理を行い,本研究以外には用いない旨を書面 響を与えていることが推測される.しかし,学童期で にて説明した.家族に対しては学校責任者より同様 の祖父母と孫関係が取り上げられている研究はみら の説明を行った.また,児童自身には,同様の主旨を, れず,何が祖父母,孫の関係を規定しているのか明確 担当教員より理解度を考慮した上で説明を行った. ではなく,このような視点での研究の必要性が伺え 6 . 調査内容 る . 1 ) 対象の学年,性別 そこで,本研究では,学童期にある孫が抱く祖父母 2)対象からみた父方,母方祖父母それぞれの年 の親密性と,祖父・祖母別,祖父母の年齢,孫の性別 齢,居住距離,その中でもっとも身近に感じている祖 と居住距離がどのように関連しているのかを明らか 父母を l名選択 にし,高齢者への親密性が生まれる孫の体験を考察 することを目的とする. 以下の項目は,前項目で選択した身近に感じてい る祖父母を思い浮かべ記載してもらう 3)親密性については,杉井ら 15)の祖父母から受け 1 . 研究方法 た世話に対する 9項目からなる調査項目を用いた. 評価は, 4段階リッカート法を用いた. 1 . 枠組み 4)孫が捉える祖父母の役割については,田畑 研究枠組みを図 1に示した. ら161171によって開発された「祖父母・孫関係評価尺 2 . 用語の操作定義 度Jを用いた.本尺度の信頼性係数( Cronbachの 次のように用語を操作定義した. α係数)は 0.68 0.88である.また,本尺度は 26 親密性:孫が祖父母と親しく接し,近しいと思う 項目, 4つの下位尺度に分かれている.評価は, 3 親しみと操作定義した.本研究では,孫が祖父母から 段階で評定し,各尺度毎に合計得点を算出して尺度 それまでに受けた世話の程度で測定する. 得点とするものである. 祖父母:孫が最も身近に感じている祖父母とし 家 族 看 護 学 研 究 第 10巻 第 3号 表1 . 対象の属性 2005年 89 表 2. 身近に感じている祖父母の父方,母方別 n =1 7 5 学年 男子 女子 4年生 5年生 6年生 3 6( 2 0 . 6 ) 2 4( 1 3 . 7 ) 2 6( 1 4 . 9 ) 3 0( 1 7 . 1 ) 28 ( 1 6 . 0 ) 3 1( 1 7 . 7 ) 6 6 (3 7 . 7 ) 5 2 (2 9 . 7 ) 5 7 (3 2 . 6 ) 言 十 8 6( 4 9 . 2 ) 8 9( 5 0 . 8 ) 1 7 5( 1 0 0 . 0 ) n =1 7 5 祖父 計 祖母 言 十 父方 母方 3 4( 1 9 . 4 ) 3 1( 1 7 . 7 ) 5 2( 2 9 . 7 ) 5 8( 3 3 . 1 ) 8 6 (4 9 . 1 ) 計 6 5( 3 7 . 1 ) l l O( 6 2 . 9 ) 1 7 5( 1 0 0 . 0 ) 8 9 (5 0 . 9 ) 表 3. 身近に感じている祖父母の年齢 人数(%) n =1 7 5 年齢/父方・母方 5 0歳代 6 0歳代 7 0歳代 8 0歳代 不明 言 十 父方 母方 祖父 祖母 祖父 言 十 祖母 6 (3 . 4 ) 2 (1 . 1 ) 5 (2 . 9 ) 1 7( 9 . 7 ) 1 6 (9 . 1 ) 7 (4 . 0 ) 1 (0 . 6 ) 3 0( 1 7 . 1 ) 1 4 (8 . 0 ) 5 (2 . 9 ) 7 5 (4 2 . 9 ) 4 1 (2 3 . 4 ) 8 (4 . 6 ) 1 7 (9 . 7 ) 1 2 (6 . 9 ) 4 (2 . 3 ) 1 3 (7 . 4 ) 5 (2 . 9 ) 4 (2 . 3 ) 1 2( 6 . 9 ) 3 0 (1 7 . 4 ) 34 ( 1 9 . 4 ) 5 2( 2 9 . 7 ) 3 1( 1 7 . 7 ) 5 8( 3 3 . 1 ) 1 7 5( 1 0 0 . 0 ) 4 (2 . 3 ) 1 2 (6 . 9 ) 8 (4 . 6 ) 2 (1 . 1 ) 表 4圃身近に感じている祖父母との居住距離 人数(%) n =1 7 5 居住距離 父方 母方 祖父 8 (4 . 8 ) 同居 歩いていける所 3 0分∼ 1時間 1∼ 2時間 2時間以上 死別 計 34 ( 1 9 . 4 ) 祖母 祖父 4 (2 . 3 ) 6 (3 . 4 ) 2 (1 . 1 ) 1 4 (8 . 0 ) 1 6 (9 . 1 ) 8 (4 . 6 ) 2 (1 . 1 ) 4 (2 . 3 ) 8 (4 . 6 ) 1 0 (5 . 7 ) 4 (2 . 3 ) 7 (4 . 0 ) 8 (4 . 6 ) . 1 ) 2 (1 5 2( 2 9 . 7 ) 3 1( 1 7 . 7 ) 7 . 分析手順 分析には表計算ソフト EXCELf o rWindowsお 6 (3 . 4 ) 5 (2 . 9 ) 3 (1 . 7 ) 言 十 祖母 1 0 (5 . 7 ) 1 0 (5 . 7 ) 3 8 (2 1 . 7 ) 3 5 (2 0 . 0 ) 3 6 (2 0 . 6 ) 1 6( 9 . 1 ) 1 9( 1 0 . 9 ) 5 (2 . 9 ) 1 0 (5 . 7 ) 4 (2 . 3 ) 3 0 (1 7 . 1 ) 2 0 (1 1 . 4 ) 58 ( 3 3 . 1 ) 1 7 5( 1 0 0 . 0 ) した. 次に,祖父母を父方,母方に分け,年齢階層別に集 o rWindowsVer1 0 .0 よび統計パッケージ SPSSf 計した結果を表 3に示した.全体としては, 60歳代 を用いて, t検定,一元配置分散分析を行った. が最も多く 75名( 42.9%) 次いで 70歳代で 41 名 ( 23.4%)で、あった. 1 1 1 .結 果 また,父方母方別でみると, 父方では,父方祖父では 60歳台が最も多く 1 2名 (6.9%),父方祖母も 60歳代で 1 7名( 9.7%)で 1 . 対象の特性 あった.それに対して,母方祖父は, 60歳代が最も (3 7.7%), 表 lに示すように, 4年生全体が66名 6名( 9 . 1%),母方祖母も, 60歳代が最も多 多く 1 5年 生 全 体 が 52名( 29.7%)' 6年 生 全 体 が 57 名( 32.6%)であった(表 1 ) . 1)身近な祖父母について 孫が 4名の祖父母の中から身近な祖父母として I 名を選択した.その結果を父方,母方別に表 2に示 く 30名( 17.1%)で、あった. 2)居住距離について 居住距離別の割合を表 4に示した.また,居住距 離として「歩いていけるところし 「 30分∼ 1時間」 である場合を[近居J' 「 l∼2時間 J, r 2時間以上j 90 家 族 看 護 学 研 究 第 10巻 第 3号 図よくしてもらった 周時々してもらつった 図ほとんどしてもらっていない 3 . 世話の程度と居住距離との関連(表 7 ) 「贈り物をもらった」が, 2時間以上Jの 「 遠居が「同居Jに比べ有意に高く( p<0 . 0 1 ),また 家の中で遊んでもらう 世 ∼2時間以内 jの遠居が 「お小遣いをもらった Jは「 l 外に連れていってもらう 「同居jに比べて高かった( p<0 . 0 5 ).また, 贈り物をもらう 中で遊んでもらった jが 環ほめられたりしかられたりする 巨 (p<0.05). 較では, 話し相手になってもらう 程 度 歳代に比べて 50歳代の祖父母が有意に高かった 世話の程度 9項目と祖父母との居住距離との比 お小遣いをもらう 話 の 2005年 「家の 「同居jが 「l ∼2時間以内 j に比べて有意に高かった( p <0.05). 本を読む お風呂にいれてもらう I V .考 食事の世話をしてもらう 0% 20% 40% 60% 80% 1 00% 回答男j l 割合 図2 祖父母から受けた世話の程度 察 1 . 孫が身近に感じる祖父母について 身近に感じている祖父母を選択してもらうと,祖 父母別では「祖母jと答えた者の割合が父方,母方合 わせて 6割以上を占めていた.母方祖母を身近に感 を「遠居J とした.居住距離別としては,多い順に じるという結果は,「祖母の方が祖父に比べて好感度 1 .7%),次いで r 3 0 「同居」が最も多く 38名( 2 が高 Lけという松村ら 181の高校生を対象とした報告 分∼ 1時間 Jの近居で 36名( 20.6% )であった. と同様であった.孫は孫自身の性別に関係なく祖母 2 . 世話の程度と孫の性別,祖父母別・祖父母の 年齢との関連 に身近さを感じていることがいえるさらに,中間世 代である調査対象である児童の親と祖父母との関係 1 ) 世話の程度 からみた父方,母方別では,父方に比べ母方,さらに 祖父母から受けた世話の程度 9項目の回答別割 母方の祖母を身近に感じている者の割合が高かっ 合を図 2に示した.「よくしてもらった」では,項目 た.この理由を検討すると,河合ら 19120)も述べている のうち「お小遣いをもらった Jが 62.0%と最も高 ように,母方祖母は特に出産後の育児の相談役やベ く,次いで「贈り物をもらった jで 58.2%であった. ビーシッタ一役など母親の子育て支援をすることに ①孫の学年別,性別との比較(表 5-1,5-2) よる孫との直接的な世話が交流の機会となり,身近 孫の学年別での比較では,有意差は認められな さを抱くのではないかと考える. かった.孫の性別では,「お風目にいれてもらった j 次いで孫が身近さを感じている祖父母との居住距 (p<0.001)の直接的な世話,「話し相手になっても 離でみていくと, f 同居jもしくは「歩いていける所J らったJ( p<0.001),「家の中で遊んでもらった j 「 30分∼ 1時間以内 j の近居の祖父母に身近さを感 (p<0.05)とし寸情緒的な世話では,孫娘の方が孫 じているものが 6割以上を占めていた.このこと 息子に比べ多く受けているものが有意に高かった. は,藤本ら 211の生活共同度や家計の共同度が多いこ ②祖父母の性別・年齢との比較(表 6-1,6-2) とが祖父母との親密度に関連していると報告されて 祖父母の性別では,いずれの項目においても有意 いることと同様の結果であると考える.しかし,孫が 差はみられなかった.祖父母の年齢では,「食事の世 最も身近に感じている母方祖母との居住距離をみて 話をしてくれる J という直接的な世話において 70 いくと同居ではなく近居という居住距離が最も多 家 族 看 護 学 研 究 第 10巻 第 3号 2005年 91 表 5ー 1 . 世話の程度と孫の学年との関連 4年生 5年生 6年生 F値 世話の項目 n =6 6 nニ 5 2 n =5 7 食事の世話をしてくれる お風呂にいれてもらった 本をよんでもらった ほめられたりしかられたりした 贈り物をもらった 外につれていってもらった 家の中で遊んでもらった 話し相手になってもらった お小遣いをもらった . 9 5 2 . 2 4± 0 . 1 8 1 . 4 0± 1 1 . 4 5± 1 . 2 0 . 9 4 2 . 1 9± 0 . 8 6 2 . 4 5± 0 . 0 0 2 . 1 5± 1 . 1 6 1 . 8 8± 1 2 . 0 0± 1 . 0 9 . 9 0 2 . 3 4± 0 2 . 4 5± 0 . 8 2 1 . 6 4± 1 . 0 0 1 . 5 5± 1 . 0 3 2 . 1 0± 0 . 8 9 2 . 2 8± 0 . 9 7 2 . 2 8± 0 . 8 1 2 . 0 5± LOO 2 . 1 0± 0 . 9 3 . 6 5 2 . 5 5± 0 . 8 9 2 . 2 9± 0 1 . 4 2± 1 . 1 0 1 . 6 1± 1 . 1 0 2 . 3 9± 0 . 7 4 2 . 3 9士 0 . 7 9 2 . 1 0± 1 . 0 6 1 . 9 7± 0 . 9 8 1 . 8 6士 0 . 9 9 2 . 6 4± 0 . 6 1 0 . 5 5 8 1 . 1 2 4 0 . 3 2 2 1 . 7 0 1 1 . 2 7 1 0 . 4 8 2 0 . 2 8 7 0 . 6 3 1 2 . 4 8 8 表 5一 2. 世話の程度と孫の性別との関連 男子 世話の程度項目 日二 食事の世話をしてくれる お風日にいれてもらった 本をよんでもらった ほめられたりしかられたりした 贈り物をもらった 外につれていってもらった 家の中で遊んでもらった 話し相手になってもらった お小遣いをもらった 8 6 2 . 2 4± 0 . 9 5 . 0 9 1 . 1 9± 1 1 . 4 4士 1 . 1 5 . 8 6 2 . 1 9± 0 . 7 5 2 . 4 2± 0 . 9 3 2 . 0 8± 0 . 1 0 1 . 7 7± 1 . 0 6 1 . 6 9± 1 7 2 2 . 6 0± 0 女子 n =8 9 2 . 3 9± 0 . 8 3 1 . 7 7± 1 . 0 4 . 0 7 1 . 6 2士 1 2 . 2 7± 0 . 8 8 2 . 3 3± 0 . 9 8 . 0 0 2 . 2 7± 1 2 . 1 5± 0 . 9 7 2 . 2 8± 0 . 8 7 2 . 4 1± 0 . 7 7 t値 1 . 1 3 3 -3 . 6 7 2** 本 -1 . 0 5 4 -0 . 6 0 0 0 . 7 1 8 1 . 3 2 5 一2 . 4 9 8* -4 . 1 2 2*** 1 . 6 9 0 . 0 0 1 • p< 0 . 0 5 ** 本 p< 0 表 6-1. 世話の程度と祖父母の性別との関連 祖父 祖母 世話の項目 n =6 5 n =l l O 食事の世話をしてくれる お風呂にいれてもらった 本をよんでもらった ほめられたりしかられたりした 贈り物をもらった 外につれていってもらった 家の中で遊んでもらった 話し相手になってもらった お小遣いをもらった . 9 5 2 . 1 8± 0 . 0 6 1 . 5 2± 1 . 1 3 1 . 5 7± 1 . 8 5 2 . 2 0土 0 2 . 3 2± 0 . 8 3 . 9 8 2 . 3 5± 0 . 0 3 1 . 8 9± 1 . 9 7 1 . 8 5± 0 . 7 9 2 . 5 2± 0 2 . 3 8± 0 . 8 7 1 . 4 6± 1 . 1 2 1 . 5 3± 1 . 1 1 2 . 2 5± 0 . 8 8 2 . 3 7± 0 . 9 2 2 . 0 7土 0 . 9 6 2 . 0 3± 1 . 0 7 2 . 0 5± 1 . 0 4 2 . 4 6± 0 . 7 4 t値 -1 . 4 0 2 0 . 3 4 5 0 . 2 4 0 -0 . 4 0 0 -0 . 3 5 8 1 . 8 5 5 -0 . 8 1 6 -1 . 2 5 9 0 . 5 0 1 表 6-2. 世話の程度と祖父母の年齢との関連 世話の項目 5 0歳代 n =1 7 6 0歳代 n =7 5 7 0歳代 n =4 1 8 0歳代 n =1 2 F値 食事の世話をしてくれる お風呂にいれてもらった 本をよんでもらった ほめられたりしかられたりした 贈り物をもらった 外につれていってもらった 家の中で遊んで、もらった 話し相手になってもらった お小遣いをもらった . 4 4 2 . 7 6± 0 1 . 2 6± 1 . 1 0 . 2 7 1 . 8 8± 1 . 0 0 2 . 0 0± 1 . 7 2 2 . 4 7± 0 . 9 9 2 . 2 9± 0 . 3 3 1 . 8 2士 1 . 0 5 2 . 2 9± 1 2 . 5 9± 0 . 5 1 2 . 4 0± 0 . 8 5 1 . 5 9± 1 . 1 3 1 . 4 8± 1 . 0 3 2 . 3 2± 0 . 8 1 2 . 3 6± 0 . 8 3 2 . 2 8± 0 . 9 4 1 . 9 6± 1 . 0 5 . 9 0 2 . 1 2± 0 2 . 4 4土 0 . 7 9 . 9 6 2 . 0 0± 0 1 . 5 4± 1 . 0 7 1 . 6 3± 1 . 0 9 2 . 2 4± 0 . 8 0 2 . 5 1± 0 . 8 4 2 . 1 2± 0 . 8 7 2 . 1 2± 0 . 8 7 1 . 7 3± 1 . 0 3 2 . 5 6± 0 . 7 8 2 . 0 0± 1 . 1 3 1 . 2 5± 1 . 1 4 1 . 2 5土 1 . 2 2 1 . 8 3± 1 . 1 9 2 . 1 7± 1 . 1 9 1 . 9 2± 1 . 1 6 . 1 9 1 . 8 3± 1 2 . 0 8± 1 . 1 6 2 . 4 2± 1 . 5 1 3 . 7 4 7キ 0 . 5 6 0 1 . 0 1 0 1 . 5 1 0 0 . 6 2 4 0 . 6 8 5 0 . 4 6 3 1 . 9 1 4 0 . 3 7 7 *p<0.05 家 族 看 護 学 研 究 第 10巻 第 3号 92 2005年 表 7. 世話の程度と居住距離との関連 世話の項目 同居 n =3 6 食事の世話をしてくれる お風呂にいれてもらった 本を読んでもらった 誉められたり叱られたりする 贈り物をもらった 外につれていってもらった 家の中で遊んでもらった 話し相手になってもらった お小遣いをもらった 2 . 4 2± 0 . 8 9 1 . 7 6± 1 . 1 3 1 . 7 6± 1 . 0 5 2 . 3 2± 0 . 9 0 2 . 1 1± 0 . 9 0 2 . 3 2± 0 . 9 3 2 . 1 3土 0 . 9 3 2 . 0 3± 0 . 9 1 2 . 3 4± 0 . 9 1 歩いていける所 n =3 5 3 0分∼ 1時間 2 . 2 3± 0 . 9 4 1 . 6 3± 0 . 8 8 1 . 3 1± 1 . 0 8 2 . 2 6土 0 . 8 2 2 . 5 1± 0 . 8 4 2 . 2 3± 0 . 9 6 2 . 2 0± 1 . 0 0 1 . 9 4± 0 . 6 6 2 . 4 9± 0 . 6 6 以内 n =3 6 1∼ 2時間以内 n =1 7 2時間以上 n =3 1 2 . 4 4土 0 . 8 9 1 . 3 1± 1 . 2 0 1 . 8 8± 1 . 0 2 2 . 1 3土 0 . 7 3 2 . 5 6± 0 . 9 8 2 . 1 9± 1 . 2 4 1 . 2 5士 1 . 0 6 . 4 0 2 . 2 5± 0 2 . 8 1± 0 . 4 0 2 . 2 3± 0 . 9 0 1 . 2 3± 1 . 1 7 1 . 4 0± 1 . 1 3 2 . 2 7± 0 . 4 3 2 . 8 7± 0 . 9 9 2 . 1 0± 1 . 0 7 1 . 1 7± 1 . 1 4 1 . 7 7± 0 . 5 3 . 5 3 2 . 7 0士 0 . 6 9 2 . 4 4土 0 . 1 3 1 . 3 6± 1 . 1 3 1 . 5 3± 1 . 9 7 2 . 1 7± 0 . 0 2 2 . 1 7± 1 2 . 2 5± 1 . 0 2 . 0 0 2 . 0 8± 1 1 . 9 7± 0 , 7 7 . 7 7 2 . 5 3± 0 死別 F値 n =2 0 2 . 0 0± 1 . 1 7 1 . 4 5± 1 . 1 5 1 . 5 0± 1 . 2 8 2 . 2 0± l . C O 1 . 9 5± 1 . 2 0 1 . 8 0± 1 . 1 2 . 9 7 2 . 0 0± 0 2 . 0 0± 0 . 9 1 2 . 1 0± 0 . 9 1 0 . 9 1 1 1 . 1 0 1 0 . 9 8 4 0 . 1 7 6 * 4 . 6 2 0* 0 . 8 4 5 2 . 3 9 9キ 0 . 5 1 0 2 . 5 1 6本 *p<0.05 **p<0.01 く,結果は母方祖母の場合には,身近に感じる要因と を通じて親密性を感じていることがし、えた. して居住距離よりも,前に述べた女性としての優位 性ということが強く影響していると考えられる. v .結 論 2 . 親密性を生み出す祖父母,孫側からの要因 祖父母側から検討した結果,祖父母の年齢では, 今回の研究より以下の結論を得た. 「食事の世話をしてもらった j という直接的な世話 1 . 孫が身近に感じている祖父母は「祖父」に比べ が , 50歳代が 7 0 ,80歳代の祖父母に比べて有意に て「祖母j,父方より母方の祖父母を選択しているよ 高かったことは, 50歳代の祖父母は直接的な世話を うに「女性J の優位性がみられ,居住距離では,遠居 できる健康があり,関わりがもちやすいと考える.今 に比べて同居,近居である祖父母を身近に感じてい 回,孫側からの調査であり,祖父母の心理的状態は把 た . 握できていないが子育て支援に関して主観的幸福感 2 . 祖父母の性別,年齢,孫の性別では前期高齢期 は後期より前期高齢者の方が高 L同ことが明らかに の祖父母は直接的な世話からの親密性をもちやす されているように祖父母側の心理的側面にもプラス く,孫の性別では女子の方が男子に比べて「家の中で に影響していると考えられる. 遊んでもらった J f話し相手になってもらった j とい 祖父母との居住距離では「贈り物をもらう J fお小 遣いをもらう j という物のやりとりといった道具的 う情緒的な世話からの親密性を持ちやすいことが伺 えた. な世話による親密性は,同居に比べて遠居の方が有 3 . 世話の程度と祖父母との居住距離では,「同 意に高いこと,逆に「家で遊んでもらう jという情緒 居j「近居Jであるものは情緒的な世話からの親密性 的な世話からの親密性は,遠居に比べて同居の方が をもちやすく,「遠居」であるものは,道具的な世話 有意に高いことが明らかとなった.居住距離の近さ からの親密性を持ちやすいという違いが明らかと による交流は,情緒的な世話が行われ,祖父母と孫の なった. 相互の行為やコミュニケーションを要し,そのよう な親密性が生まれやすいのではないかと考える. V I . 今後の課題 また,孫の性別において,孫娘の方が孫息子に比べ て直接的な世話,情緒的な世話が有意に高くなって 今回の調査では,対象を 4 ,5 ,6年生としたため, いた.つまり,孫娘は孫息子に比べて祖父母との相互 表現能力を考慮してアンケート調査を行った.今後, の行為やコミュニケーションをとりやすい遊びゃ話 祖父母と孫の親密性がどのような体験によって生ま 家族看護学研究第 1 0巻 第 3号 93 2005年 G r a n d p a r e n t s: AnE x p l o r a t o r yS t u d y ,J .Agingand れるか明らかにする必要がある. HumanD e v e l o p m e n t ,1 0( 3 ):299-310,1979 1 0 )M a t t h e w s ,S . H .& S p r e y ,J .: A d o l e s c e n t s 'R e l a t i o n s h i p sw i t hG r a n d p a r e n t s: An E m p i r i c a lC o n t r i b u - 謝 辞 t i o nt oC o n c e p t u a lC l a r i f i c a t i o n ,J .o fG e r o n t o l o g y , 稿を終えるにあたり,本研究を快く受け入れて下さいました小 学校の校長先生はじめ諸先生方,また協力して下さった児童の皆 40 ( 5 ) :621-626,1985 1 1 ) Newgarden,B . L .& W e i n s t e i n ,K . K . , :TheChanging AmericanG r a n d p a r e n t ,J .o fM a r r i a g eandt h eFam- 様に深く感謝いたします. i 03.12.27 受付 ’ 採用 ’ 0 5 .1.11 i l y ,26:199-204,1964 1 2 )R o b e r t o s n ,J . F . :Grandmotherhood:A Study o f R o l eC o n c e p t i o n s ,J .o fM a r r i a g eandt h eF a m i l y , 39:165-174,1977 1 3)阻v n i k ,H . Q .: Grandparenthood;An O v e r v i e wo f 文 献 1 ) 角尾美果,草野篤子:高齢者をめぐるストレスと世代間 交流のすすめ,老年精神医学雑誌, 1 1( 1 2 ) :1372- 1379,2000 2)岡 澄子,上回礼子,吉川千恵子,他: 3世代同居家族の 意識と行動ー性役割観を中心に一,保健の科学, 39 ( 1 2 ) :892-896,1997 3)河合千恵子:孫世代との関係の行方,現代のエスプリ別 冊 , 53-66,1 998 4) Thomas,J . L . :GenderandP e r c e p t i o n so fGrandp a r e n t h o o d ,I n t e r n a t i o n a lJ .AgingandHumanD e v e l o p m e n t ,29 ( 4 ) :269-282,1989 5)宮中文子,松岡知子,西田茂樹,他・中年女性(祖母)の 子育て参加の実態と心理的健康の関連について(第 l 報),社会老年科学, 1 7( 1 2 ) :21-29,1995 6)杉井潤子,堀智晴,泊祐子,他:祖母の子育てに関 する研究主観的幸福感との関連において一,大阪市立 大学生活科学部紀要, 42:89-100,1 997 7)泊 祐子:高齢者の QOLに及ぼす孫との関係に関する 研究,財団法人笹川医学研究財団平成 7年研究業績年 報 , 175-179,1 995 8)松村孝雄,中野いく子:老人の家庭内役割ー孫のしつけ 985 の実態とその機能に関する研究,研究成果報告書, 1 9 )H o f f m a n ,E . :Young A d u l t s 'R e l a t i o n sw i t hT h e i r MeaningandM e n t a lH e a l t h ,TheG e r o n t l o g i s t ,22: 59-66,1982 1 4 )K a h a n a ,B .& K a h a n a ,E . :Grandparenthoodf r o m t h eP e r s p e c t i v e so ft h eD e v e l o p i n gG r a n d c h i l d ,D e v e l o p m e n t a lP s y c h o l o g y ,3 ( 1 ) :9 8-105,1970 15)前掲書 6 ) 1 6)田畑治,星野和実,坪井さとみ,他:青年期における 孫・祖父母関係評価尺度の作成,心理学研究, 67( 5 ): 375-380,1996 1 7)片山美由紀,今野裕之:人間と社会のつながりをとらえ るく対人関係・価値観>, (吉田富二雄編集・堀 洋道 監修),心理測定尺度集 I I , 159-165,サイエンス社, 2000 ) 1 8)前掲書 8 1 9)河合千恵子,下仲順子,中里克治,他:孫の誕生とその 1 ) :3 2-41,1998 心理的影響,老年社会科学, 20 ( 20)前掲書 3) 2 1)藤本信子,上子武次,増田光吉編:祖父母・孫の関係, 75 195,垣内 三世代家族一世代間関係の実証的研究, 1 出版, 1 976 22)前回大作,野口裕二,玉野和志:高齢者の主観的幸福感 の構造と要因,社会老年学, 3 0:3-16,1989 94 家 族 看 護 学 研 究 第 10巻 第 3号 2005年 F a c t o r sR e l a t e dt ot h eI n t i m a c yt h a tS c h o o l A g eC h i l d r e nE x p e r i e n c ew i t hT h e i rG r a n d p a r e n t s Y u k iM i y a c h iu YukoT o m a r i 2 1 l l N a g o y aC i t yU n i v e r s i t ySchoolo fNursing 2 1 F o r m e rS h i g aU n i v e r s i t yo fM e d i c a lS c i e n c e( P r e s e n tG i f uC o l l e g eo fN u r s i n g ) ラ K e yw o r d s: degreeo fc a r ep r o v i d e dbyg r a n d p a r e n t st og r a n d c h i l d r e n; g r a n d c h i l d r e no fs c h o o lage, g r a n d p a r e n t s; d i s t a n c ebetweenr e s i d e n c e s I no r d e rt oe v a l u a t et h eo r i g i n so fi n t i m a c ytowarde l d e r l yp e o p l e ,t h ep r e s e n ts t u d yaimedt oi n v e s t i g a t e r e l a t i o n s h i p sbetweent h ei n t i m a c yt h a ts c h o o l a g ec h i l d r e nhavew i t ht h e i rg r a n d p a r e n t sandt h ef o l l o w i n g・gendero ft h eg r a n d p a r e n t; ageo ft h egrandparent;gendero ft h eg r a n d c h i l d;andt h ed i s t a n c eb e tweent h er e s i d e n c e s .Weconductedaq u e s t i o n n a i r es u r v e yu s i n gas t r u c t u r e dq u e s t i o n n a i r ea d m i n i s t e r e d t oat o t a lo f202e l e m e n t a r ys t u d e n t si nt h ef o u r t h ,f i f t h ,ands i x t hg r a d e s ,ando b t a i n e d175u s a b l er e s p o n s e s .Theq u e s t i o n n a i r ei n c l u d e dt h ef o l l o w i n g・ gradeo ft h ep a r t i c i p a n t ,gendero ft h ep a r t i c i p a n t , a g e so ft h ep a t e r n a landm a t e r n a lg r a n d p a r e n t sa c c o r d i n gt ot h ep a r t i c i p a n t ,d i s t a n c ebetweenr e s i d e n c e s , t h egrandparentw i t hwhicht h ep a r t i c i p a n tf e l tmorei n t i m a t e ,anda9 i t e ms c a l ea s s e s s i n gt h ec a r ep r o v i d e dbyt h eg r a n d p a r e n t s ,d e v e l o p e dbyS u g i ie ta l . Thef o l l o w i n gr e s u l t swereo b t a i n e d . 1 Morep a r t i c i p a n t ss e l e c t e d“ grandmother”a st h ec l o s e rg r a n d p a r e n ti nresponset ot h eq u e s t i o na s k i n gt h egendero ft h eg r a n d p a r e n tw i t hwhomt h ep a r t i c i p a n tf e e l smorei n t i m a t e .I na d d i t i o n ,p a r t i c i p a n t s moreo f t e ns e l e c t e dm a t e r n a lg r a n d p a r e n t si nresponset ot h eq u e s t i o na s k i n gaboutf a t h e r’ so rmother ’ s s i d ei n d i c a t i n gap r e f e r e n c ef o rf e m a l e s . 2 . Regardingt h ed i s t a n c ebetweenr e s i d e n c e s ,morep a r t i c i p a n t si n d i c a t e de x p e r i e n c i n gi n t i m a c yw i t h g r a n d p a r e n t swhol i v e dt o g e t h e rw i t ho rc l o s et ot h ep a r t i c i p a n t s ,a scomparedw i t hg r a n d p a r e n t swhol i v e d f a ra w a y .T h i ss u g g e s t satendencyf o rp r o x i m i t yt ol e a dt og r e a t e ri n t i m a c y . 3 . Weperformedana n a l y s i so ft h egenderandageo ft h eg r a n d p a r e n t ,t h eageo ft h eg r a n d c h i l d ,and t h edegreeo ft h ec a r ep r o v i d e dbyg r a n d p a r e n t s .T h i sdemonstratedt h a tg r a n d p a r e n t si nt h e i r50sp r o v i d e ds i g n i f i c a n t l yg r e a t e rd i r e c tc a r e ,sucha s“ p r e p a r i n gmeals ” ,a scomparedw i t hg r a n d p a r e n t si nt h e i r . 70s 4 . Ana n a l y s i so ft h egendero ft h ep a r t i c i p a n t sshowedt h a tg i r l sr e c e i v e ds i g n i f i c a n t l yg r e a t e re m o t i o n a l p l a y i n gt o g e t h e ra thome ” , and“ t a l k i n g ” ,a scomparedw i t hb o y s . c a r e ,sucha s“ 5 . Ana n a l y s i scomparingt h e9i t e m so fc a r ew i t ht h ed i s t a n c ebetweenr e s i d e n c e sshowedt h a tgrand p a r e n t swhol i v ef a rawayp r o v i d e ds i g n i f i c a n t l ymorei n d i r e c tc a r e ,sucha s“ g i v i n gag i f tt ot h egrand ” , and“ g i v i n gp o c k e tmoneyt ot h eg r a n d c h i l d ’ ' ,a scomparedw i t hg r a n d p a r e n t swhol i v e dc l o s e r . c h i l d Moreover,g r a n d p a r e n t swhol i v e dw i t ht h ep a r t i c i p a n tp r o v i d e ds i g n i f i c a n t l yg r e a t e re m o t i o n a lc a r e ,such a s“ p l a y i n gt o g e t h e r ’ ' ,a scomparedw i t hg r a n d p a r e n t swhol i v e df a ra w a y . 』