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第13号(2010年6月30日発行)

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第13号(2010年6月30日発行)
大東文化大学図書館
大東 BOOKS
第13号 2010年6月 30 日
図書館からのお知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
図書館から「パピルス」がなくなる日 ? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
アメリカの図書館あれこれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
図書館からのお知らせ
◆前期
前期定期
前期定期試験
定期試験のため
試験のための
のための開館時間延長等
開館時間延長等
・6月、7月の土曜日の開館時間を延長しています。
7月は3日、10日、17日、24日、31日の各土曜日の開館時間を延長し、
閉館時間を 18 時 30 分とします。試験勉強等のためぜひご利用下さい。
・7月 1 日(木)から7月31日(土)まで、「グループ学習室」を開放します。
通常は予約して使用している「グループ学習室」を試験勉強のための座席として利用
してください。利用可能な時間は掲示します。ただし、予約は優先します。
◆オープンキャンパスによる
オープンキャンパスによる開館案内
による開館案内
2010年度「オープンキャンパス」に伴い下記の日を開館いたします。
・東松山キャンパス:7/18(日)、7/25(日)、8/28(土)
・板橋キャンパス :7/11(日)、8/6(日)、9/12(日)、10/3(日)
※開館時間:10:00~オープンキャンパス終了まで、館内閲覧のみ
1
◆夏
夏季休暇中の
休暇中の開館・
開館・休館について
夏季休暇中の開館・休館は下記のとおりになります
・開館時間は平日9時~17 時、土曜日9時~16 時 30 分。
8月の土曜日、30 日(月)及び8月 11 日(水)~8 月17日(火)の一斉休暇日は
休館となります。
詳細は
詳細は開館カレ
開館カレンダーをご
カレンダーをご覧下
ンダーをご覧下さい
覧下さい。
さい。
・夏季休暇中は長期貸出をします。
7月 21 日(水)から長期貸出をします。
返却日は 10 月 1 日(金)です。ご利用ください。
◆図書館資料の
図書館資料の複写に
複写に注意
図書館では、サービスの一環として図書資料の複写のためにコピー機を設置してい
ますが、図書を全部コピーすることは著作権法違反となります。ノート・プリント類
のコピーもできません。ご注意ください。
◆板橋中央棟
板橋中央棟・
図書館より
板橋中央棟・図書館より
・蔵書点検
下記の期間開館をしておりますが、蔵書点検を実施いたしますので騒音等でご迷惑をお
かけしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。
蔵書点検実施日:8月 23日(月)~9月1日(水)
◆祝祭日の
祝祭日の開館
7月19日(月)海の日、9 月 20 日(月)敬老の日、10 月 11 日(月)体育の日は、
通常授業が行われるため、図書館は通常開館となります。
2
図書館から
図書館から「
パピルス」がなくなる日
がなくなる日 ?
から「パピルス」
五味俊樹(
五味俊樹(法学部政治学科教授)
法学部政治学科教授)
(図書館長)
図書館長)
ひょっとしたら後世の史家は「2010 年が書籍、雑誌、新聞などの印刷媒体の領域におい
て革命的出来事が起こった年」と記すことになるかもしれない。古代エジプトの時代から
人間はなにかを記す媒体として「パピルス」
(紙)を用いてきた。手紙を書くにせよ、ノー
トを取るにせよ、原稿を執筆するにせよ、文書を作成するにせよ、いずれの場合もそれを
表記する媒体はほとんどが「パピルス」であるといってよい。ところが、そうした状況が
大きく変わろうとしている。1990 年代半ば以降、パーソナル・コンピューター(パソコン)
が世界中に普及しはじめると、電子媒体は紙媒体の不動な地位を揺るがし、私たちのライ
フ・スタイルさえも変えることになった。むろん、こうした変化は地球上のすべての人び
とにあまねく起こっているのではなく、いわゆる「デジタル・デバイド」という別の問題
を生み出していることも事実である。しかし、今後も電子媒体の普及が拡大することはあ
ったとしても、縮小することはまずあり得ないであろう。
ところで、20 世紀末から 21 世紀初頭においてのこうした疾風怒濤の動きは、
「なにかを
記す媒体」という点に限った場合、主として、メール、論文、文書などを電子版として作
成し、それを保存したり、送信したり、場合によっては紙媒体に変えるというものであっ
た。ここで、注目すべきことはそれらを読む段になると、電子メールを例外としてほとん
どの場合、電子データをプリントアウトして、紙ベースに戻してしまっている点であろう。
そのことは、書籍について特に顕著である。ひところ、ペーパーレス社会の到来がしきり
に叫ばれたものの、現実は皮肉にも「ペーパー」で満ち溢れている。
そうした状況の中から、2010 年に米国のアップル社によって電子書籍を中心に多数のア
プリケーションを搭載した新型情報端末「iPad」が発売され、情報端末業界のみならず他
のさまざまな業界に激震が走り、世界に「iPad」旋風が巻き起こっているといっても決し
て誇張ではない。もっとも、このきわめて斬新な情報端末が従来のパソコンや携帯電話に
完全に取って代わるものになるかどうかを判断するのは時期尚早である。しかし、書籍、
雑誌などを刊行する出版社(者)や新聞などのプリント版を中心とした報道機関が少なか
らず影響を受けることは想像に難くない。現に出版社の中には一部、電子書籍の販売に踏
み切るところも出てきており、新聞の場合にはかなり前から電子版とプリント版を同時に
発行してきている。とりわけ、新聞の場合、インターネットを利用して、プリント版とあ
まり大差ない記事を無料で読むことが出来るため、プリント版の購読者数が激減し、膨大
な赤字を抱え、経営難に陥っている新聞社も現れている。出版社にせよ、雑誌社にせよ、
新聞社にせよ、読み手側の大多数が電子版を受信できる情報端末を持ってさえいれば、も
3
はや、
「パピルス」に印刷された書籍、雑誌、新聞を発行する必要はほとんどなくなってし
まう。その意味において「2010 年は情報媒体の分野において人類の歴史を大きく転換させ
る革命的出来事が起こった年」になる可能性は高いといえよう。
こうした紙媒体から電子媒体への流れが世界的趨勢となり、情報インフラおよび情報端
末が地球の隅々にまで浸透していけば、図書館の姿も一変することになろう。たとえば、
大東文化大学の図書館は毎年、
「パピルス」の書籍や雑誌などを大量に購入しているが、図
書館の情報端末に電子書籍や電子雑誌を受信しておけば、あとは、図書館利用者が「iPad」
や従来のパソコンのような端末を使って好きな電子書籍、電子雑誌、電子新聞などを読め
ばよいわけである。そうなれば、図書館の所蔵スペースは従来と比べものにならないほど
少なくて済むことになろう。どこの図書館も嵩張り、しかも重量がある「パピルス」の書
籍や雑誌を保管することに頭を痛めている。その意味で電子化の流れは図書館にとって朗
報であるように思える。
書籍、雑誌、新聞などの作り手にとっても、従来の観念に囚われることなく柔軟に発想
の転換をはかれば、ビジネス・チャンスにつながる可能性を秘めている。印刷されたもの
はすべて静止状態になり、それが動くことはあり得ない。ところが、電子版であれば、作
り手の側は動画を含む書籍、雑誌、新聞の編集がいとも簡単に可能であり、また読み手の
側もそれに対応するモバイル型の情報端末を持ってさえいれば、いつでもどこでも動画入
りの書籍、雑誌、新聞などを読み、同時に見ることが出来るのである。したがって、今後、
私たちはこれまで抱いてきた出版物に対する固定観念を大幅に修正せざるを得なくなるで
あろう。
もはや私たちは出版の世界における電子化の潮流に抗することは出来そうにない。しか
し、紙媒体から電子媒体へ完全に移行してしまうことが、はたして人びとに真の恵みをも
たらすものになるのだろうか。書籍などいろいろな文章を読む場合、長い間、プリント版
に慣れ親しんできた人間からすると多少、違和感を覚えざるを得ない。モバイル型の情報
端末が非常に便利であることはまったく疑う余地はない。ただし、端末が小型になればな
るほど画面は小さくなり、表示される分量も限られてくる。そうなると、たとえば書籍の
場合、他のページをちょっと開いて現在読んでいる箇所の内容と関係づけてみたり、また
他の章や節などと比較しながら読むことは、プリント版のようには出来そうにない。その
結果、
「木を見て森を見ない」たぐいのことが起こってしまう虞がある。この問題は電子辞
書についても同様である。
また、情報端末があまりにも便利すぎるためにそれを使う人間はほとんど能動的作業を
おこなう必要がなくなる。欲しい情報の多くが瞬時にして入手可能となれば、大半が受動
的作業で事足りてしまうことになりかねない。それは、人間を怠惰にし、ひいては人類全
体を退化させていくことになりはしないだろうか。
以上のような懸念を抱きつつも、出版の世界における「革命」にたいして「反革命」を
試みようとしても、それはおそらく失敗に終わるであろう。プリント・メディアに携わる
人物も、自分たちのレゾン・デートルが危機に瀕している現実を踏まえつつ、嘆きと感傷
の気持ちを籠めながら、
「iPad」の登場についてこう書いている。
4
▼今後は「電子」の猛攻に「紙」がたじろぐ図となろうか。とはいえ書物そのものに
こだわる人は少なくない。詩人の堀口大学が、「僕は殺すと云われても、万葉集や古今
そうてい
集を革の装幀に仕立てる気にはなれない」と述べていたのを思い出す▼内容と外見が
調和してこそ名著、という感覚だろう。いわゆる愛書家である。仕事柄、わが紙への
愛着もひとしおだが、選択肢が増えたのを歓迎したい。食わず嫌いはひとまずおいて。
(
「天声人語」
『朝日新聞』2010 年 5 月 29 日)
大東文化大学図書館の対応も、電子化の「革命」に全面的に与するのではなく、同時に
「反革命」を起こして時代に逆行するのでもなく、
「中庸」の徳目を心得ることが肝要であ
ると思われる。
5
アメリカの図書館
アメリカの図書館あれこれ
図書館あれこれ
河内利治(
河内利治(文学部書道
学部書道学科教授
書道学科教授)
学科教授)
(文学研究科委員長)
文学研究科委員長)
2006 年度(平成 18)の一年間、本学より長期海外研修の機会を頂戴し、ボストン大学客
員研究員(Boston University Visiting Research Scholar)としてマサチューセッツ州ケン
ブリッジ市に住んだ。私の研究課題は次の三項目の調査と資料収集であった。
⑴アメリカの博物館および美術館などに収蔵される「書跡」の基礎的調査
⑵アメリカの諸研究機関における書道の美学および芸術学に対する研究の基礎的調査
⑶アメリカの諸教学研究機関における書道教育の実態に対する基礎的調査
そのためアメリカ国内の博物館や美術館(Museum)、大学(University/College)をでき
るだけ多く訪問して、研究者、教育者、コレクター、アーティストと意見交換し、「書跡」
を実見する必要があった。お陰さまで東海岸から西海岸まで、多くの諸研究機関や個人を
訪れることができた。それらの研究機関には図書館も含まれているので、その一端を画像
をまじえながら紹介してみたい。
ハーバード燕京図書館
ハーバード燕京図書館(
燕京図書館(Harvard Yenching Library)
Library)
中国、日本を含めアジアの国々の古い書物から新しい定期刊行物まで、網羅的に収蔵さ
れている。貴重本も充実している。ID があれば簡単に閲覧カードを発行してもらえる。私
のアパートから徒歩 30 分に位置したので健康のために歩き、良く利用させていただいた。
◎ゆまに書房『ハーバード燕京図書館和書目録』岡雅彦/青木利行編〔書誌書目シリーズ 36〕
1994 年 2 月(Early Japanese Books at Harvard-yenching Library Harvard University)
◎上海辭書出版社『美國哈佛大學哈佛燕京圖書館中文善本書志』沈津著
〔哈佛燕京圖書館書目叢刊第七種〕1999 年 2 月
上記の二書は燕京図書館所蔵の貴重本リストである。日本の研究者が和書や漢籍を探さ
れる場合は、必ず上記の目録書で事前に調べてから来られるとのこと。後著の著者、沈津
氏(Curator of the Rare Books Collection)の面識を得て聞くに、今も書目を編纂されて
おり、その部屋には若い女性が助手として、中国の図書館から一年間研修に来ていた。
ボストン大学の白謙慎先生が受け入れ教授なので、訪問すべき美術館を話し合った。ボ
ストン美術館(Museum of Fine Arts, Boston)
、ハーバード大サックラー美術館(Harvard
The Arthur M. Shackler Museum)はボストンにあり、いつでも参観可能。特に中国「書
跡」を収蔵する重要な美術館は 3 つ。①ニューヨークのメトロポリタン美術館
(Metropolitan
Museum of Art)
、②プリンストン大学付属美術館(Princeton University Museum)、③ワ
6
シントン DC のフリーア美術館(Freer Gallery of Art)。特にフリーア館内には、館員が利
用する図書室があり、「書跡」調査にも利用させていただいた。
ハーバード燕京図書館入口(06.4.9)
ボストン美術館外観(06.4.12)
ハーバード大学芸術図書館
ハーバード大学芸術図書館(
大学芸術図書館(Harvard University Fine Arts Library)
Library)
ハーバードには多くの図書館があるが、私がよく利用したのは芸術図書館(Fine Arts
Library)である。その珍しい所蔵品に Special Visual Collections: East Asia があり、総数
2602 枚中、書道の拓本(Rubbing)が 1938 枚所蔵されている。
http://hcl.harvard.edu/libraries/finearts/collections/rubbings.html
さらに下記のサイトでは検索してその画像を見ることが出来る。
http://via.harvard.edu:9080/via/deliver/advancedsearch?_collection=via
ただしこれは、ハーバード大学図書館全体の画像検索エンジン VIA(Harvard University
Library Visual Information Access)である。
ハーバード大学図書館全体の検索には、HOLLIS と呼ばれる次のサイトがある。
http://discovery.lib.harvard.edu/
これは今までにどのような書物が世界全土で発行されているかといったことを調べる場合
にも有効である(自著を見つけて嬉しくなった)
。ところで、アメリカの大学院では博士論
文を書く能力があるかどうか、申請書(Proposal)を提出しなければならない。これは単
なる申請書ではなく、論文執筆ための研究計画書である。
論文の主題と導入(Thesis Statement and Introduction)
先行研究と問題点(Prior Studies and Problems)
論理と方法(Theories and Methods)
概説、資料と調査計画(Outline, Sources, and Research Plan)
結論と重要性(Outcome and Significance)
この五つについて、理路整然と英文で書くことが要求される。これを書きあげ、指導教授
が許可すれば、後は時間と体力勝負。この点はどの国でも同じであろう。
しかし、なぜハーバード大に学生や大学院生が集まるかであるが、それは一言でいえば
リソース(Resource)があるからであろう。資料の宝庫というニュアンスに近い。そこに
行けば、必ず原書、原典から参考文献が見つかるという信頼感である。先行研究を調べる
ことにはじまり、思考を繰り返すわけだが、宝の山を探索するのは楽しいものである。
7
ボストン大学東
ボストン大学東アジア
大学東アジア考古学
アジア考古学と
考古学と文化史国際研究センター
文化史国際研究センター(
センター(ICEAACH)
ICEAACH)
私の正式の受入機関は、ボストン大の人文科学部(College of Arts & Sciences)の一つ、
美術史学科(Department of Art History)である。しかしここに籍を置くものの、部屋も
机も無く不便なので、考古学科(Department of Archaeology)に属す研究機関、東アジア
考古学と文化史国際研究センター(ICEAACH:International Center for East Asian
Archaeology and Cultural History)を利用させてもらった。専用図書室があり、研究所と
言う方がふさわしい施設で、専任スタッフはハーバード大で考古学の PhD を取得したボブ
とディビッド(写真中央二人)
。他にもスタッフは居るそうだが、私のような研究者が世界
各国から長期、短期を問わず絶えず訪問し、加えてハーバード大やボストン大の院生諸君
が閲覧、調査、質問に来ており、非常に国際的で居心地がよかった。
センター内の図書室とスタッフ(06.5.10)
ボストン大人文科学部の看板(06.4.7)
ボストン公共図書館
ボストン公共図書館(
公共図書館(Boston Public Library)
Library)
バックベイ(Back Bay)はボストンで人気のスポット。パブリックガーデン(Public
Garden)、ジョン・ハンコック・タワー(John Hancock Tower)、トリニティ教会(Trinity
Church)、コープリースクエア(Copley Square)、プルデンシャルセンター・タワー
(Prudential Center Tower)、シンフォニーホール(Symphony Hall)、チャールズ川
(Charles River)の遊歩道など、見どころ歩きどころがたくさんある。ジョン・ハンコッ
ク・タワー全体のガラス窓に、トリニティ教会がこぢんまりと映し出され、現代と古代建
築のコントラストを味わえる。1895 年創建の
ボ ス ト ン 公 共 図 書 館 ( Boston Public
Library)は誰もが利用できる憩いの場になっ
ている。独特の風格で、旧舘の館内はまるで
西洋中世の感じ。吹き抜けの書架と緑色の電
気スタンド傘が印象的だった。
ボストン公共図書館(06.4.22)
8
ウェルズリー大学
ウェルズリー大学 (Wellesley College)
1870 年に創立された私立女子大で、アイビーリーグに並ぶ「7sisters」の代表格。ヒラ
リー・クリントンが出た大学としても有名。かつてはハーバード大が男子校であったため、
優秀な女子はみなこの大学に進学したが、ハーバードが共学になって以降も 2000 人の学生
が素晴らしい環境の中で学んでいる。校内に美しい湖があり、立派な図書館を見学した。
映画「モナリザ・スマイル(MONA LISA SMILE)」2003 年作の舞台ともなった大学でご
存知の方もいらっしゃるであろう。映画の中で
「Doctor(PhD)を取得すれば呼ばれるか」と尋
ねられ、
「違う」とジュリア・ロバーツは答えてい
た。彼女は 1 年契約の美術史を教える Lecture だ
からである。ジャクソン・ポロックの現代絵画も
映画に登場し、
「分かるまで見なさい」とジュリア
が言ったのが印象に残っている。人生は教科書的
解釈では回答が得られないからである。
ウェルズリー大学図書館標識(06.5.7)
スタンフォード大学
スタンフォード大学(
大学(Stanford University)
University)
ロスからハイウェイ 5 号線を北上。サンホセを
通過し、3 時間ノンストップでサンフランシスコ
市内に入る手前にある、スタンフォード大学
(Stanford University)に行った。こんなにも美
しい大学は、世界にいくつあるのだろうか。アメ
リカで一番美しいと友人は言う。ロダン美術館、
スペイン風の教会。どれもこれも美しい。あいに
く月曜日の上に、プレジデントデーのため、図書
館も美術館も教会も閉まっていた。
スタンフォード大学チャペル(07.2.19)
カリフォルニア大学
カリフォルニア大学ロサンゼルス
大学ロサンゼルス校
ロサンゼルス校(UCLA)
UCLA)
快晴の穏やか陽射しの下、カリフォルニア大学
ロサンゼルス校(University of California, Los
Angels)を参観した。Charles B. Young Research
Library は、アジア関係(日中韓)の雑誌や書籍が
充実している図書館。本館を含め、学内に全部で 4
つの図書館があるそうだ。
UCLA 図書館(07.2.21)
9
カリフォルニア大学
カリフォルニア大学サンディエゴ
大学サンディエゴ校
サンディエゴ校(UCSD)
UCSD)
沈揆一教授が勤務する大学、カリフォルニア
大学サンディエゴ校(UCSD)を見学。テディ
ーベアーの大きな彫刻もあったが、一番印象に
残ったのは、姿自体が奇怪で、不安定にさえ感
じる、菱形の現代建築。これが大学のシンボル
にもなっている図書館で、寄贈者で絵本作家の
Theodor Seuss Geisel の 名 を 冠 し た Geisel
Library である。
UCSD 図書館(07.2.23)
イェール大学
イェール大学(
大学(Yale University)
University)
コネチカット州ニューヘブン(Connecticut,New Haven)にあるイェール大学へ、ボス
トンからアムトラック(Amtrak、長距離列車)で往復し、日帰りで見学した。1701 年創
設。東海岸のハーバード大、プリンストン大、そして西海岸のスタンフォード大と並び、
米国を代表する名門大学として不動の地位を保っている。これら 4 校は BIG4 と呼ばれ、
頭文字を創立年順に並べて HYPS と略記されることもある。大学院レベルでは、特に Law
School(法科大学院)が全米最難関として知られ、クリントンをはじめとする大統領を 6
人も輩出している。ヒラリー・クリントンも Law School の出身。図書館、貴重本図書館、
学部生用大ホール(映画『ハリーポッター』に出てくるのとそっくり)、学部生寮、院生寮、
Law School 教室、Department of the History of Art 教室など、小雪が降るなかを 2 時間
かけて見て回った。さらに本国イギリスを除いて最大規模のイギリス美術コレクションを
誇るイェール・イギリス美術センター(Yale Center for British Art)
、イェール大学美術館
(Yale University Art Gallery)も参観した。なかでも印象に残ったのは、貴重本図書館の
外観と館内。外から見るとこれが図書館かと思うのだが、館内中央部に巨大なタワーがあ
り、このタワーに貴重本がぎっしりと所蔵されており、まるで空中に浮かぶ巨大ステーシ
ョンにいるような錯覚に捉われた。
イェール大学貴重本図書館の外観と館内(07.3.7)
10
おわりに――
おわりに――大東文化大学図書館
――大東文化大学図書館の
大東文化大学図書館の発展に
発展に期待して
期待して
本、Book、図書、書籍といろいろな呼び方がある。図書館はその宝庫である。出版物が
刊行されるたびに、どんどんと蔵書数が増えて行く。その管理と運営だけでも大変な仕事
である。しかし忘れてならないのは、貴重本(Rare Book)と書跡(Calligraphy)の存在
である。ハーバード大もイェール大も、図書館には貴重本を蔵し、美術館には書跡を所蔵
している。この二つは現代では異なるが、実は歴史的に繋がっている。手書き文字(書跡)
から木版・銅版・写植などの活字(貴重本)になったからである。特にアジアの場合はそ
うである。つまり、拓本を含む書跡から、和装本などの貴重本、そして洋装版の書籍にな
ったのである。さらに活字は進歩して電子になり、画像になり、映像になり、いまや電子
書籍の時代である。そのような趨勢にあって、大東文化大学図書館は、書籍のみならず、
貴重本も書跡も収蔵し続けている。
書道に関する貴重本では、『大東文化大学別置本目録
大河内文書
高島蔵書
前川蔵
書』1971.9 があり、本学最重要の蔵書の一つであろう。コレクションとしては、日外アソ
シエーツ編集部編『個人文庫事典(2 巻)
』2005 に紹介がある。本学に目録がある貴重本、
コレクションは次のとおり。
市川蔵書:
『大東文化大学図書館所蔵市川任三先生寄贈図書目録』1992.3
大河内文書:『大東文化大学別置本目録 大河内文書
高島蔵書 前川蔵書』1971.9
佐伯文庫:
『大東文化大学佐伯文庫目録』1983.3
白木豊蔵書:『大東文化大学白木豊氏蔵書目録』1982.3
杉村文庫:
『大東文化大学所蔵杉村文庫目録』1979.3
高島蔵書:
『大東文化大学別置本目録 大河内文書 高島蔵書 前川蔵書』1971.9
武井亮吉蔵書:
『武井亮吉先生寄贈図書目録』1982.3
戸田蔵書:
『大東文化大学図書館所蔵戸田浩暁博士舊蔵書目録』2005.2
The Beatrix Potter Collection:
『大東文化大学図書館・英米文学科所蔵 Beatrix Potter Collection 文献目録』2003.10
前川蔵書:
『大東文化大学別置本目録 大河内文書 高島蔵書 前川蔵書』1971.9
増淵蔵書:
『大東文化大学図書館所蔵増淵龍夫先生図書目録』1992.3
マン文庫:
『マン文庫目録』1993.3
八木沢蔵書:『大東文化大学
八木沢蔵書目録』1981.3
このほか、寒泉文庫、ヘレル文庫、原田蔵書がある。
一方、書跡では、最近確認したばかりだが、上記の高島蔵書に法帖が含まれ、東京国立
博物館に所蔵される高島コレクションに比しても決して遜色のない逸品が含まれている。
また大学院文学研究科書道学専攻創設時(2003)に購入した手鑑や短冊、書道研究所に別
置される「宇野文庫」の拓本類なども忘れてはなるまい。
本学の図書館は、こういった文化遺産を大切に保存し、リソースとして積極的に公開し、
社会に還元し、多くの方々に活用して頂きたいと切望する。
11
(2010.5.25 記)
大東文化大学図書館報『大東 BOOKS』
第13号
2010 年 6 月 30 日刊行
編集発行人 五味俊樹
連絡先
大東文化大学図書館事務部図書課
住所
〒175-8571 東京都板橋区高島平 1-9-1
電話
(03)5399-7331
Email
[email protected]
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