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第1章 図書と印刷の歴史 1)粘土板 ・古代メソポタミア アッシリアの古都ニネヴェで 粘土板の書庫を発掘 (紀元前7世紀) ・粘土板は両面が使用され、 表は凸、裏はやや凹面 ・粘土板には楔形文字 1)粘土板(続き) • 古代メソポタミア地図 2)パピルス ・古代エジプト、ギリシア、ローマで使用された書写 材料。パピルスの茎から作られる。英語の paper 等の語源。 ・古代エジプトで、ナイル河畔に茂っていた葦に似 た高さ2メートルほどの植物。 現代ビクトリア湖畔のパピルス 植物見本 ・B.C.3000年頃からA.D.5Cごろまでパピルスは巻 物形式の巻子本として用いられた。 2)パピルス(続き) • 古代地中海・エジプト地図 2)パピルス(続き) ・古代エジプトのパピルス文書例 (左)B.C.約1200年第19王朝「死者の書」 (右)第19王朝「イシス神に手を引かれる王妃」 2)パピルス(続き) • ギリシアへはB.C.700年頃、ローマへはB.C.300 年ごろ伝わる。 • アレキサンドリアの大図書館(B.C.4C-A.D.4C)は パピルスの巻物を集めた図書館。70万巻に達す ると言われる。 • 古代エジプトのパピルスに書かれた文字は、ヒエ ログリフ:神聖文字、ヒエラティック:神官文字、デ モティック:民衆文字 3)パーチメント(羊皮紙) • 羊や山羊など獣の皮から作られた書写材料 • 中世ヨーロッパで用いられた。 • A.D.4Cごろにはヨーロッパではパピルスに代わっ て、パーチメントが有力な書写材料に。 • 丈夫で保存性にすぐれる。冊子にすることが出来 る。欠点は分厚く重たいこと。また高価である。 • 15C以後紙にとってかわられる。 4)木簡・竹簡 • 古代中国で用いられた書写材料 • 木で作られたものを木簡、竹で作られたものを竹 簡という。 • 春秋から後漢(B.C.8C-A.D.2C)にかけてよく用 いられたが、紙の出現とともにすたれる。 • 1枚1枚を簡といい、これにひもを通して束ねたも のを策または冊(さく)という。 4)木簡・竹簡(続き) 木簡の例 5)紙の発明 • 後漢時代の初期、蔡倫が発見(A.D.105)。 • 植物繊維を細かく砕き、それを漉いて出来 る • 樹皮、麻くず、ぼろ布などを石臼で細かく 砕き、水の媒介で紙を漉く。廃物利用のた めコストが安く、量産がきき、筆記も楽で持 ち運びが簡単。 5)紙(続き) −紙の伝播− • 日本への伝来 • 推古天皇の18年(610)、高麗の僧侶曇徴(どんちょ う)が製紙技術を伝えた。 • その後独自に改良が加えられ、わが国独得の良 質の和紙ができた。 • ヨーロッパへの伝播 • シルクロードを通り、千年を越える歳月を経て、 13∼15世紀にヨーロッパへと伝わった。 6)印刷と印刷物 • 木版印刷 中国唐代初期636年頃始まったといわれる。 • 現存する世界最古の印刷物 法隆寺にある「百万塔陀羅尼」(770年)。東 大寺、薬師寺など10大寺に10万基ずつ寄 進され、うち法隆寺分約4万基が現存。小 さなお経の印刷物を、小塔木の中に収め たもの(木版か銅版かは不明)。 7)西洋における活版印刷 活版印刷とは 活字を組み合わせて 作った印刷原版 (活版)を用いて 印刷すること。 大量印刷に適して いるが、現在では デジタル製版に 取って代わられて いる。 7)西洋における活版印刷(続き) 西洋における活版印刷の発明者 グーテンベルク(ドイツ、1397?−1468) ヨーロッパで最初の活版印刷を行った。 『42行聖書』(1455年)が最古といわれる。 見本1 見本2 インキュナブラ ラテン語でゆりかごの意。1455年以後15世紀末ま でに、ヨーロッパ各地で活版印刷によって作られ た印刷物。 7)西洋における活版印刷(続き) • 活版印刷前と後で何が変化したのか (1)図書の普及が進み、保存中心から利用 中心へ ・写本(手で書き写した本)の時代は、図書は 少なく高価で一般人が読むようなものでは なかった。したがって図書館においても、 保存中心に運用された。印刷物の発明後 は、大量に作られ安価となった。図書館に おいても、利用中心に運用。 7)西洋における活版印刷(続き) (2)図書館資料の質の変化 写本の時代、図書館資料は唯一資料であっ た。この時代には、博物館資料や文書館資 料と同様の性格を持っていた。 しかし活版印刷以後、図書館資料は複製物 の1つという性格を帯びるようになる。博物 館資料や文書館資料との比較で、質の変 化が起こる。