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Title Potential of fluid-attenuated inversion recovery

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Title Potential of fluid-attenuated inversion recovery
Title
Author(s)
Journal
URL
Potential of fluid-attenuated inversion recovery
MRI as an alternative to contrast-enhanced MRI for
oral and maxillofacial vascular malformations :
experimental and clinical studies
佐々木, 秀憲
歯科学報, 114(4): 392-393
http://hdl.handle.net/10130/3382
Right
Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
392
歯科学報
さ
氏
名(本
籍)
Vol.114,No.4(2014)
さ
き
佐 々 木
士(歯
よし
のり
秀
憲
学
位
の
種
類
博
学
位
記
番
号
第 1994 号(甲第1235号)
(秋田県)
学)
学 位 授 与 の 日 付
平成25年3月31日
学 位 授 与 の 要 件
学位規則第4条第1項該当
学
Potential of fluid-attenuated inversion recovery MRI as an
位
論
文
題
目
alternative to contrast-enhanced MRI for oral and maxillofacial
vascular malformations : experimental and clinical studies
掲
載
雑
誌
名
Oral Surgery Oral Medicine Oral Pathology and Oral Radiology
第116巻
論
文
審
査
委
員
(主査)
片倉
朗教授
(副査)
佐野
司教授
柴原
孝彦教授
阿部
伸一教授
松坂
賢一准教授
論
1.研
究
目
4号 503−510頁 2013年10月
文
内
容
の
要
旨
的
顎顔面領域に生じる腫瘤性病変には嚢胞,良性腫瘍や悪性腫瘍がある。良性腫瘍の中でも血管腫を含む血管
奇形は治療法が多岐にわたり,術中や生検時の出血リスクを伴うため,術前画像診断による他の病変との確実
な鑑別は重要である。磁気共鳴画像(MRI)
は血管奇形の診断に有用な画像検査の1つとされている。Fluidattenuated inversion recovery
(FLAIR)
法は水の MR 信号を抑制する MRI 撮像法である。中枢神経領域にお
いて脳脊髄液に隣接する急性脳梗塞巣や実質性病変の描出に FLAIR 画像は優れているという報告があるま
た,中枢神経領域以外での FLAIR 画像の適応の報告では躯幹領域における嚢胞と腫瘍の鑑別,特に血管腫と
の鑑別に有用であるという報告がある。そこで,我々は顎顔面領域においても FLAIR 画像が血管奇形の診断
に有用であるという仮説を立て,ファントム実験および Retrospective な臨床研究を行った。
本研究目的は T1および T2緩和時間の FLAIR 画像での画像コントラストへの影響を確認すること,顎顔
面領域の血管奇形に対する FLAIR 画像の有用性について検討することである。
2.研
究
方
法
ファントム実験ではガドリニウム(Gd)
希釈液(3.
0,1.
5×10−1,7.
0×10−2,1.
5×10−2,8.
0×10−3,3.
0×
10−3mmol/l)と蒸留水を封入した試料瓶を取付けたアクリル製 MRI 用ファントムを用いた。Gd 希釈液は筋,
顎下腺,リンパ節,血液,高蛋白水,唾液,脳脊髄液と同等の T1および T2緩和時間を有している。
Retrospective な臨床研究では2011年1月から6月の間に東京歯科大学千葉病院放射線科にて MRI 検査が施
行され,T2強調像にて境界明瞭な高信号を示す顎顔面部腫瘤性病変が認められた患者32名32病変(男性10
名,女性22名,平均43.
7歳,年齢幅7−89歳,粘液嚢胞11例,血管奇形12例,唾液腺腫瘍9例)
を対象とし
た。なお,本臨床研究は東京歯科大学倫理審査委員会の承認を得ている(No.348)
。いずれの研究についても
FLAIR 画像(TR/TE=9000ms/168ms,TI=1700ms)
と同条件の heavily T2強調像の撮像を行い,contrastto noise ratio(CNR)
を計測した。ファントム実験では筋を想定した試料とその他の試料における CNR を計測
し,臨床研究では咬筋と病変の CNR を計測した。さらに T2緩和時間を強調するため FLAIR 画像と heavily
T2強調像から CNR change ratio を算出した。なお,統計解析には一元配置分散分析および多重比較(Tukey
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歯科学報
Vol.114,No.4(2014)
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-Kramer test)
を用い,P<0.
05を有意差ありとした。
3.研究成績および考察
ファントム実験では長い T1および T2緩和時間を有する試料間で FLAIR 像における CNR および CNR
change ratio に有意差が認められた(P<0.
05)
。臨床研究では FLAIR 像における CNR change ratio は粘液嚢
胞,血管奇形,唾液腺腫瘍の順に高値を示し,各群間には有意差が認められた(P<0.
05)
。ファントム実験か
ら CNR change ratio では血液と唾液間の差をはじめとした長い T1および T2緩和時間を有する試料間でそ
の差を捉えられると考えられ,臨床研究の結果から確認できた。本研究結果から T1および T2緩和時間を用
いた病変の鑑別には FLAIR 画像を用いることが有用であると考えられ,特にルーチンの T2強調画像で高信
号を示す血管奇形については診断に有用であると考えられた。
4.結
論
FLAIR 画像は顎顔面領域に生じる血管奇形の診断に有用であると考えられた。
論
文
審
査
の
要
旨
FLAIR 画像は水の信号を抑制した画像であり,中枢神経領域ではルーチン検査とされている。FLAIR 画像
は T1緩和時間と T2緩和時間の影響を受けやすいため,病変の質的診断に有用あるとされるが,顎顔面領域
での報告はない。本研究目的は基礎研究と臨床研究により顎顔面領域において造影 MRI の代替としての
FLAIR 画像の有用性について検討した。基礎研究では様々な組織を模した試料を作成し,臨床研究では内部
に血液を含む血管奇形と嚢胞性病変および唾液腺腫瘍とのコントラストを評価した。本研究結果では T2強調
像と比較し FLAIR 画像ではコントラストの差が大きく,T1緩和時間および T2緩和時間の差を詳細に捉え
られた。また臨床研究においても FLAIR 画像で血管奇形と嚢胞性病変および唾液腺腫瘍の T1緩和時間およ
び T2緩和時間の差により鑑別が可能であった。本結果から FLAIR 画像は造影 MRI の代替となりうる可能
性が示唆された。
本審査委員会では本研究の妥当性,論文の解釈などを中心に以下のような質疑が行われた。1.FLAIR 像
の有用性
性
2.本研究の臨床的意義
5.基礎研究と臨床研究の関連
3.他の病変における有用性
4.病変と比較する組織が筋である必要
6.同様の研究はないのかなどの質問があった。これらの質問に対する
回答として,1.本論文では FLAIR 法の有用性についての説明が不十分であるためタイトルを修正し,造影
MRI の代替としての FLAIR 法であることを明記する。2.本研究により造影 MRI 適応症例を少なくするこ
とができると考えられるが,さらに症例を増やし今後の検討が必要である。3.顎顔面領域における FLAIR
法の有用性についての報告はなく,今後の研究課題であると考えられる。4.顎顔面領域には様々な組織が存
在するものの,断面像であるため基準となりうる組織が少なく,本研究ではすべての断面で描出される筋以外
を基準にすることは困難であった。5.基礎研究と臨床研究間では数値に大きな差が認められたことについて
の考察を追記する。6.同様の研究を行った英論文は存在せず参考文献として追記できない。などと説明され
た。また,論文の文章構成や英語表現などについての指摘があり,修正が行われた。
以上より,本研究論文は今後の MR 画像診断技術の発展のための基盤をなすものと評価された。本研究で
得られた結果は,今後の歯学の進歩,発展に寄与するものであり,学位授与に値するものと判定された。
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