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温室効果ガス算定の新しい流れ

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温室効果ガス算定の新しい流れ
システム認証事業本部
温室効果ガス算定の新しい流れ
地球温暖化対策の推進に関する法律改正により 2010 年より排出量の報告の範囲が事業所から事業者へ拡大
されました。また、東京都における温室効果ガス排出総量削減義務が 2010 年 4 月から開始されており、温室
効果ガス(以下、GHG)排出量の算定、報告に関する法制度が大きく変わってきています。
同様に、GHG の排出量の算定、報告に関する企業における自主的な動きも変化しています。今回はその一例
として、企業の排出量の算定の範囲の拡大についてご紹介したいと思います。
排出量の分類
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------まず、最初に GHG の排出量が「スコープ 1、2、3」と呼ばれることがあることをご存知でしょうか。この「スコープ」
というのは、GHG プロトコルという世界的に認められた GHG 算定のガイドラインの中に定義されている排出量
の呼び方で、排出量の範囲を示すときによく利用されています。
スコープ 1 というのは、事業者が所有又は管理するものから直接排出される温室効果ガスのことです。例えば、
事務所の給湯で利用しているガスがこれに当ります。
スコープ 2 というのは、電気、蒸気、熱の使用に伴い発生する温室効果ガスのことです。例えば、事務所の照明
に使用している電気がこれに当ります。事務所では GHG の排出はありませんが、発電所で間接的に GHG が
排出されます。
スコープ 3 は、その他の排出のことで、例えば自動車メーカーにとっては、調達した部品を製造する過程で排出
される GHG や販売し
た車が消費するガソ
リン、職員の出張、通
勤などによる GHG 排
出が含まれます。
サプライヤーの多い
業種等では、スコー
プ 3 の排出量がスコ
ープ 1、2 の排出量の
100 倍になるようなこ
ともあるようです。
図 スコープ 1、2、3 における GHG 排出活動例(出所:WRI の資料を基に BV 加工)
スコープ 3 をめぐる動き
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------スコープ 1、2 の排出量の算定は、法的要求への対応、ステークホルダーへの開示を目的としてすでに算定され
ている会社も多いですが、スコープ 3 に関しては、自社の活動範囲を超えてデータ収集をしなければならないた
め、排出量の算定はまだあまり行われていません。
しかし、気候変動対策への取り組みが積極的な企業を中心に、排出量の算定範囲をスコープ 1、2 からスコープ
3 まで拡大し、企業の活動に関する排出量を全て把握しようとする動きが出てきています。
各会社への影響
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------我が社は法的対応で精一杯、さらに算定する範囲を広げるなんて無理、という声が聞こえてきそうですが、実は
このスコープ 3 を算定しようとする動きに皆様も何かしらの影響を受ける可能性があります。それは自社のスコ
ープ 1、2 の排出量が、他企業のスコープ 3 排出量となるからです。
企業全体の排出量の算定を始めている先進的な企業では、サプライチェーンも含めた全企業活動の中で排出
量の多い活動を特定し、削減をしようとしています。その一貫として、サイプライヤーに排出量や気候変動対策
への取り組みなどの情報開示を求める動きがすでに始まっています。実際サプライヤーへのアンケート調査を
開始したある企業では、いずれこのアンケート結果
を元に各サプライヤーを評価、取引先選定際の 1 つ
の判断材料として利用するということです。
このようなことから自社のスコープ 3 の算定はまだ
考えられなくとも、こうした動きがあることを把握し、
対応を進めておくことが重要です。取引企業の要求
にいち早く対応することができれば優良取引先とし
て他のサプライヤーと差別化を図ることができます。
今後の動き
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------このスコープ 3 排出量の算定する動きは、今後ますます広がっていくことが予想されます。今までスコープ 3 の
算定があまり行われて来なかったもう 1 つの要因として、算定のための明確なルールのなかったということが
ありました。しかし現在、スコープ 3 の算定方法を定めたガイドラインが続々と作成されています。
2009 年 9 月にはイギリス政府によりで組織の排出量の算定・報告を支援するガイダンスが発表されました。また、
現在 GHG プロトコルを作成した世界資源研究所(World Resource Institute)や国際標準化機構(International
Organization for Standardization )でもスコープ 3 を含めた企業の活動全体の排出量を算定するガイドラインや
規格を作成中です。
今後スコープ 3 を含めた排出の算定をする企業やサプライヤーへの情報開示の要が増えてくることが予想され
ます。いざというときのために、改めて自社の排出量がステークホルダーからの情報開示に対応できるものか
見直しをされてはいかがでしょうか。ビューローベリタスでは、第三者の立場から排出量の算定を評価する
サービスを行っています。ご興味がありましたら、地球環境部までぜひご相談下さい。
システム認証事業本部 地球環境部 丸山奈緒子
【お問い合わせ先】
ビューローベリタスジャパン株式会社 システム認証事業本部
地球環境部
TEL:045-641-6024 FAX:045-641-4330
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