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平成20年度 第2回 新潟市立中央図書館協議会

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平成20年度 第2回 新潟市立中央図書館協議会
平成20年度
第2回 新潟市立中央図書館協議会
日 時 平成21年3月18日(木)午後2時~4時
場 所 中央図書館3階 ビーンズホール
次
第
1.開
会
2.館長あいさつ
3.会長あいさつ
4.議
事
(1)平成21年度中央図書館の事業計画及び予算について
(2)図書館が取り組んでいる重点事項の経過報告
ア 「(仮称)新潟市子ども読書活動推進計画」の策定について
イ 学校図書館支援センターの取り組みについて
(3)今期協議会の協議テーマ
「新・新潟市の図書館づくりについて」
(4)その他報告事項
ア サービス内容変更について
①相互利用の実施(近隣自治体,新潟大学附属図書館,新潟県立図書館)
②視聴覚資料の貸出期間の拡大
③多目的ホール(ビーンズホール)の利用許可申請受付の始期
イ 個人情報掲載の資料の取り扱いについて
(5)その他
5.閉
会
出 席 者
委 員 : 岩田委員 大島委員 大宮委員 越智委員 里村委員 清水委員
高澤委員 高橋委員 永田委員 中山委員 真柄委員 安岡委員
渡辺委員(欠席:大竹委員,地主委員)
事務局 : 八木館長 渡辺課長 持田補佐 山下補佐 村山主幹 星野主幹
子安副主幹 辰島主査
・傍聴者
4名
- 1 -
1 開会
(司 会)
ただいまより,平成20年度第2回新潟市立中央図書館協議会を開催させていただきます。
本日は,大竹委員と地主委員から欠席のご連絡をいただいています。
2 館長あいさつ
(館 長)
昨年7月以来ということになるのが,この間,9月には2回に分けて,中心図書館を視察
していただいた。12月には,県の「公立図書館協議会委員連絡協議会,また2月には人権
同和の研修会にも一部の委員から出席していただいた。それぞれご出席された委員の方々に
は,大変ありがとうございます。
ほんぽーとは,1月27日に入館者が100万人を達成し,市長も参加してエントランス
ホールでセレモニーを行った。予想を超える早い時期に 100万人を迎えることができよ
ろこんでいる。図書館協議会委員の皆様,多くのボランティアの方々に支えていただいたお
かげと思っている。
今日は,新年度の事業計画と予算,図書館振興ビジョン,子どもの読書活動推進計画づく
りなどについて,協議をいただきたいと思っている。そのほかに,制度の改正についてもご
説明させていただきたいと思っているのでよろしくお願いします。
3 会長あいさつ
(高澤会長)
先日,今話題の映画「おくりびと」を見てきた。映画のヒットによってそれまではほとん
ど知られていなかった原作が大きくクローズアップされ,評価されている。図書館も,単に
読書活動に資するということではなくて,映像を含めた多様な資料を駆使して,たくさんの
市民の皆様においでいただき,結果として豊かな地域づくり,いきいきとした市民生活に大
いに役立てたいと考えている。
本日はたくさんの議題があるが,よろしくご審議をお願いしたい。
4 議事
(1)平成21年度中央図書館の事業計画及び予算について
(事務局)
説明は,中央図書館だけではなく,中央が所管している旧市域図書館(松浜,山の下,石
山,舟江,鳥屋野,生涯学習センター,坂井輪,内野,黒埼,亀田図書館)を含む。基本目
標・重点目標を受け,来年度実施予定の取り組みについて説明する。
- 2 -
1「市民の調査研究を支援するとともに,図書館からの情報発信に努めます」
―――予算額3,745千円
今年度とほぼ同じ内容になっている。
(1)オンラインデータベースの情報提供
(2)オンラインデータベース利用講座の開催
オンラインデータベースは,有償で契約してインターネットで見ることができるデータ
ベースで,新聞記事の検索ができる「日経テレコン21」などの11のデータベースを利
用できる。
(3)ビジネス支援講座の開催
起業創業を考えている方に役立つ実用的な講座を開催し,あわせて図書館資料やデータ
ベースの利用を呼びかけるもの。
(4)中小企業診断士による起業・経営相談会
本庁の産業政策課と連携して行っているもので,毎月4回実施し,各回2名の方の相談
に応じている。(3)と(4)は,今まで図書館をあまり利用していなかった層,主に仕
事を持つ男性に図書館の利用を呼びかけるもの。中小企業診断士などの専門家からのアド
バイスと,図書館からは,受講後に自分で勉強する際に役立つよう,図書やデータベース
などの紹介を行っている。今年度は多数の申込みをいただき好評だった。
(5)調査相談(レファレンス)の充実
利用者からの質問に対してきちんと答えることができる職員を目指して,館内研修と館
外への派遣研修も行う。
(6)広報事業
ホームページの充実,中央図書館だより「Bメール」を発行。
2「子どもの夢や生きる力を育むため,子どもの読書活動の推進に努めます」
―――予算額 3,673千円
今年度とほぼ同じ内容になっている。
(1)講演会・講座の開催
子どもの保護者など,子どもの周囲にいる大人を対象とするもの。絵本の原画展は,来
年度は行わず,もっと一人ひとりのお母さんやお父さんに,子どもの読書の大切さを働き
かけることができる事業を行うことにした。乳幼児の親などを対象とした「おひざにだっ
この絵本の講座」と「父親のための絵本講座」をあわせて4回行う。
(2)ふれあい子どもフェスティバルの開催
今年で2回目の実施。外で遊ぶ場所の少ない冬の時期に,図書館の施設全体を使って,
親子に物語の世界の劇や,折紙や工作などを楽しんでもらうもの。日本福祉医療専門学校
や県立新潟女子短期大学と連携して行っている。
- 3 -
(3)読み聞かせボランティア養成講座の開催
子どもに本の楽しさを伝えることができるボランティアの新規養成を行うもの。
(4)学校等支援事業
体験学習の受け入れ,団体貸出,読み聞かせ・ブックトークなどの職員派遣を行う。
(5)その他
職員やボランティアによる絵本の読み聞かせや,図書館のおすすめ本のリストを配布。
子どもを対象とした映写会の開催など。
(6)(仮称)新潟市子ども読書活動推進計画の策定
この後の議事で詳しい説明を行う。
3「市民主体のまちづくりに役立つ郷土資料や行政資料の体系的な収集に努めるとともに,
ボランティア活動の場を提供します。」
―――予算額60千円
(1)郷土資料や行政資料の収集・保存・活用
新潟市の過去・現在・未来を知るために必要な資料を収集・展示を行う。
(2)新潟市ゆかりの作家セミナー・講演会の開催
NHKテレビの「天地人」関係の講演会を計画している。
(3)図書館ボランティア活動支援事業
ボランティアに活動の場所を用意するだけでなく,交流会や共催事業を行う。
4「読書普及事業」
―――予算額118,948千円
図書館のベースとなる資料の購入のための予算が主なものだ。
(1)資料収集要綱に沿った資料の収集
来年度購入予定の資料の冊数をあげた。表の中の「その他図書館」は,中央の所管する
10地区図書館と地区図書室の合計の冊数。この資料購入冊数は,新潟市全体の来年度の
予算方針から,今年度と比較してマイナス10%となっているが,図書館ネットワークに
よりその図書館になくても,どこの図書館の窓口でも本を取り寄せすることで対応しいく
ことができると思っている。
(2)マンガ関連事業の実施
来年度は昭和のマンガの歴史をたどれるような展示会を計画している。
(3)ハンディキャップサービス事業
障がいなどの理由で図書館に直接来館することが困難な方に,図書をご自宅までお送り
するもの。そのほか,ボランティアによる対面朗読も行っている。
(4)職員スキルアップ研修
より充実した図書館サービスを行うための専門的な能力をスキルアップするために,職
員を研修に派遣する。
ここまでほとんどが中央図書館で行う事業で,中央図書館が所管する地区図書館は施設
が狭く,職員数も限られているため,大きな事業は行えないが,カウンターで利用者の皆
- 4 -
さんと図書の提供を通した密接なつながりがある。また,定期的に職員やボランティアに
よる絵本の読み聞かせを行い,夏休みなどに子どもを対象とした事業も行っている。
5「図書館ネットワークの構築」―――予算額101,201千円
(1)図書館情報システムの運用
現在オンライン化されている14館の運用。
(2)地区図書館・地区図書室などへの配本車の運行
オンライン化されている図書館の蔵書はコンピュータで簡単に検索できるようになって
おり,予約本はこの配本車により届けられる。オンライン館には毎日,非オンライン館と
地区図書室には週1回の運行となっている。
(3)利用者用インターネットの充実
利用者が自宅からインターネットで蔵書の検索,予約や自分の借りている本の状況が確
認できるようになっている。
(4)豊栄・新津・白根・西川の平成22年度システム統合準備
来年度からその準備を開始。
6「(仮称)巻図書館建設事業」―――予算額227,500千円
合併建設計画で巻に図書館を建設するもので,そのための土地・建物の取得と,その基
本設計・実施設計の予算。巻駅の近くの東北電力所有の建物を改築し,平成23年度に開
館する予定。
(中山委員)
郷土史資料についての収集方針等を聞きたい。合併して,区それぞれの郷土資料を抱えて
いる。郷土資料館などでも集めている。今後,これらを図書館で収集していくのか,郷土資
料館が責任を持つのか。図書館でやる場合には,ほんぽーとで一括して各地区の郷土資料を
集めていくのか,それとも,各区の中心図書館が中心となって集めていくのか。
(事務局)
郷土資料館(みなとぴあ)については,どのようなものがあるかというのは確認している。
中央図書館では古文書などは集めていない。普通に出版されていたり,新潟県内の自治体が
出しているようなものは,中央図書館もみなとぴあも同じようなものを持っている。みなと
ぴあでは個人の方には貸出をしていないが,中央図書館はほとんどの資料を貸し出している
という違いがある。各区の郷土資料館がどのようなものを持っているかということはまだ調
べていない。
中央図書館と各地区図書館との資料の振り分け,収集の仕方については,今年度,行政資
料で本庁の各課などが発行したものは,中央図書館で一括集めて,ものによっては各区の中
心館に配布し,ものによっては全館に配布することにした。行政資料・郷土資料の担当者は,
新聞などを見て集めるようにはしている。各区で発見したものや寄贈を受けたものは,なる
- 5 -
べく中央図書館にも連絡してもらうようにしている。
(中山委員)
予算6万円というのは少ない。また,合併して各区の資料収集の責任を持つ人がいなくな
るのではないかという心配をしている。区で精力的に集めていくという方向の方が集まって
くるのではないか。私は西区だが,西区の資料を地元の図書館で集めてほしいと思う。郷土
資料は後から集めようと思っても集まらないものも多いと思う。きちんと保存して,後の人
たちが調べようと思ったときにきちんと出てくるようなシステムをどこかで考えていただき
たい。
(事務局)
言われるとおりだと思う。各区中心館以外の図書館は施設が狭いために,集めたものを並
べたり保管しておく場所が少ないが,やはり,地元に密着した資料を集めるということはと
ても大事なことだと思う。そのようなことができるように努めたい。
(清水委員)
「図書館ネットワークの構築」による組織のスリム化,人員のスリム化等の効率化で,具
体的なことはどうか。
(館 長)
ネットワークの構築整備によって職員を増やすとか減らすということとは直接関係はない。
14館のネットワークのための中央館も含めた各館のさまざまな機器類,端末などのリース
料やメンテナンスに要する経費,通信費といった諸々の経費約9千万円が入っている。残り
の約 千百万円は,平成22年度予定している中心4館と統合のための準備費で,テストを
やったりするなどの経費。そのほか,巡回する配本車の経費も約 千万円弱が,この中に入
っている。
(清水委員)
組織のスリム化のためのネットワークではないのか。
(館 長)
18館を結ぶための電算と配本車のネットワークに要する経費だ。
(永田委員)
新聞46紙を集めているということだが,例えばどのような新聞か。「その他の図書館」
の71紙を入れると 117紙になるが,これは全部題字が違う新聞か。
(事務局)
中央図書館の46紙は,いわゆる全国紙と新潟日報などの地域紙,日本農業新聞や,図書
関係の「読書人」などの業界紙,近隣の県の新聞や英字紙なども入れている。「その他図書
館」の71紙は10館分の図書館のトータルで,71タイトルではなく,全国紙と新潟日報
などほぼ同じものを各館で入れている。
(永田委員)
- 6 -
重点目標の中に,オンラインデータサービスの情報提供というのがあるが,そのデータベ
ースが見れる所はどこか。
(事務局)
中央図書館2階の「調査相談カウンター」のすぐ脇にある。
(永田委員)
アクセスできるデータベースはどのようなものか。
(事務局)
「ジャパンナレッジ」,「官報情報検索サービス」,「ルーラル電子図書館」(農業関係
の情報),「JRS経営情報」(経営関係の書式がダウンロードできるもの)「聞蔵(きく
ぞう)Ⅱビジュアル」(朝日新聞の記事データベース)などだ。
(永田委員)
世の中,活字離れで,データベースが普及して,それを見ればすぐに分かって使えるもの
があるが,新聞も一緒だが,やはり活字が大事なのではないかと思う。
(真柄委員)
私が校長をしている万代長嶺小学校にとってはほんぽーとの存在はとても大きく,子ども
たちも活用している。学校等支援事業の中で,「読み聞かせ・ブックトークなどの職員派
遣」とあるが,本年度の読み聞かせや職員派遣の実績はどうだったか。平成21年度では拡
充の方向なのか,今年度並みなのか。
(事務局)
昨年度は,講師派遣が7件,参加人数 210名。今年度も数校の小学校,保育園や子育
て支援センターも訪問し,支援センターなどでは親子で楽しんでもらった。
(事務局)
学校支援事業ということで項目に挙げているが,新潟市内は小学校・中学校の学校図書館
に司書が配置されているので,その司書たちが各校で役割を果たせるように図書館として支
援していくということも大事なことだと思っている。市立図書館の司書やボランティアさん
にお願いするとしても,行ける学校というのは限られている。ご要望によってこちらで行く
こともあるが,来年度は,学校図書館司書がそうしたことを各校でできる支援を頑張ってい
きたい。
(2)図書館が取り組んでいる重点事項の経過報告
(事務局)
ア「(仮称)新潟市子ども読書活動推進計画』」の策定について
昨年7月24日の第1回図書館協議会で,子ども読書活動推進計画づくりについての考え
- 7 -
方や,今年度と来年度の2か年かけて策定するスケジュールなどについて説明した。その際,
外部有識者による有識者会議を11月頃立ち上げるとお話した。この場では,この有識者会
議の取り組みを中心にご報告させていただく。
有識者会議委員は,足立幸子さんから宮下寿雄さんまで7人の方々に委員をお願いした。
いずれも,子どもと読書に関してそれぞれ専門的な立場でかかわられている方々だ。座長の
荒川正昭さんは元新潟大学の学長で,平成16年度から17年度に策定した新潟市教育ビジ
ョン検討委員会の委員長を務めた方だ。
第1回目の会議を昨年11月22日に開催した。この会議に提出した資料が,「新潟市の
子どもと読書に関する『現状と課題』」で,この資料は有識者会議での論議や,その後判明
したデータなどについて修正を加えてある。新潟市の子どもと読書に関する現状と課題を
「就学前」「就学後」「市立図書館」の3つに分け,整理したもの。これは,市役所内の1
7の課と機関からなる「庁内検討委員会」を設置し,それぞれの業務から,子どもの読書活
動を進めるという切り口で施策をピックアップし,その施策ごとに現状と課題を提出しても
らって,事務局とのやり取りの中で整理したものだ。
就学前段階については,現状の業務からだけでは実情がよく分からないため,新潟市にお
ける就学前の児童と保護者,保育園・幼稚園における読書活動について,その実態を今回初
めて調査した。
就学後については,学校現場における既存のさまざまな調査から,読書という切り口で分
析したものをベースにしながら,関係課と協議しながら取りまとめた。例えば小中学校段階
における子どもの読書活動を進めるうえで中心となる学校図書館を取り上げると,教育委員
会内部だけで8つの課と機関がかかわっている。現状と課題の整理をとおして,関係する8
つの課・機関の担当者が初めて一堂に会する会議を開催した。作業を通して,連携するとい
うことは出会うことから始まるということを改めて教えてもらった。
第2回の有識者会議は,今年の1月22日に開催した。現状と課題についての委員会から
の質問への事務局回答と,この段階での7人の委員の現状認識と提案を発言してもらい「委
員からの現状認識と提案」ということでまとめた。いずれも,読書離れ,本離れと言われる
現状への危機感と,子どものときからの読書習慣確立のためには,周りの大人たちが本に親
しむ姿を見せること,とりわけ子育て世代の大人たちへの働きかけが大事だということ,そ
して学校図書館の果たす役割の大きさなどが語られている。
第3回と第4回は,今月,保育園・小学校・中学校を視察し,それぞれの現場で意見交換
をし,現状認識を深める作業を行っている。
今後の予定では,5月30日に「教育フォーラム2009」を開催する。新潟市では教育
ビジョンを市民とともに進めていくということで,毎年テーマを決めて教育フォーラムを開
催している。来年度は中央図書館が事務局を務め,「子どもの読書活動を進める市民のつど
い」と題して市民プラザで開催する。基調講演にはノンフィクション作家の柳田邦男さんを
- 8 -
お迎えする。柳田邦男さんは,近年,絵本の持つ力について各地での講演や新聞,テレビ,
ラジオ,著作を通して発信され,絵本は子どもの成長だけではなく,大人の再生にとっても
大きな力を持つと訴えている。パネルディスカッションでは,有識者会議の委員からそれぞ
れの立場での発言をいただき,子どもの読書活動を進めることの大切さについて市民や教育
関係者に発信していきたいと考えている。
新年度に入り,このフォーラムにおける意見や,本協議会をはじめ市内5つの図書館協議
会からの意見や提案,小中の校長会などからの意見ももらいながら,11月くらいまでに計
画素案を作成し,パブリックコメントを実施し,来年3月末には計画を完成させたいと考え
ている。
イ 学校図書館支援センターの取り組みについて
これについても,第1回協議会で西蒲区の西川図書館で試行が始まったという報告をさせ
ていただいている。ほぼ1年が経過し,多くの取り組みを実施してきた。
平成17年の広域合併まで,合併した区域の小中学校では学校図書館に司書は配置されて
いなかった。合併後,臨時司書が配置されたが,長い間司書が配置されてきていた旧新潟市
の学校図書館とは,蔵書や設備,運営面でもかなり格差があるのが現状だ。
支援センターでは,西蒲区の21の小中学校を訪問し,学校図書館の実情や希望を把握す
ることから取り組みを始めた。情報交換会を繰り返し行い,緊急に必要なものと中長期的に
必要な支援を分け,読み聞かせの講座や,古くなった蔵書を除籍する研修を学校図書館の現
場で実施するなど,実践的な研修を中心に取り組みを行ってきた。中央図書館としても,セ
ンターが置かれた西川図書館と一体となってこの取り組みを進めてきた。その歩みについて
は,「学校図書館支援センター通信」をご覧いただきたい。
試行の1年が経過し,校長会などからもその取り組みに評価をいただき,さらに充実した
支援と,ほかの区への拡大を求められていることから,教育委員会としては来年度は北区の
豊栄図書館に2番目の支援センターを設置することになった。
学校図書館支援センターは子ども読書活動推進計画においても,小中学校における読書活
動推進の大きな柱となるものと考えている。中央図書館としては,今後も支援センターが置
かれる中心図書館と連携し,各区の実情にあわせた運営を支援していきたいと考えている。
以上,2つの報告はいずれも,この後提案する,図書館振興ビジョンにも大きくかかわり,
その中に位置づけられていく施策と考えている。また,子ども読書活動推進計画については,
新年度,改めて本協議会で議論いただくことにしている。
(越智委員)
「子ども読書活動推進計画」は,非常にいいことだとは思うが,学校で本が嫌いになって
いくというと,どうしても国語の授業内容などに関連してくると思う。例えば小学校,中学
校の国語の授業と,高校の現国の授業などとは連携するのか,しないのか。図書館だけの問
- 9 -
題として考えるのか,それとも図書館も含めて授業の中まで踏み込んでいくのか,どちらか。
(事務局)
実は,有識者会議の足立幸子委員からも,小学校,中学校段階における読書教育のあり方
を変えたいという提案をいただいている。
教科書以外の同じ本をクラス全員の子どもが同時に読んで,その中身について,例えばク
イズ形式であったりさまざまな投げかけをする中で,読みを深めていくアニマシオンという
実践があると聞いている。今まではそういう手法があると言っても,同じ本を40冊揃える
ということはどこもやっていなかった。各学校図書館で同じ本を40冊揃えるということは
全く不可能なので,市立図書館こそそういう提案をしてほしいということが出てきている。
このような提案も含めて,教育委員会の中の学校現場を支援する学校支援課など,さまざま
なところに提案しながら,子ども読書活動推進計画の中には,そういうことも計画の中に盛
り込んでいければいいのではないかと考えている。
(越智委員)
有識者会議の方々が一生懸命議論されていると思うが,やはり現場で教えている先生たち
が40冊読むということについてどう考えているかということを確認したうえで,現場との
連携をきちんとしないとうまくいかないのではないかと思う。
夏休みの読書感想文コンクールが本を嫌いにさせている,とよく冗談で言われる。読みた
くもない本をむりやり読ませられ,感想文を書けと言われて,本が嫌いになっていくという
こともけっこうある。例えば40冊同じ本を読むというアイディアそのものは,いろいろな
アイディアが出るという意味においてはいいと思うが,本というのは読みたいと思うまでが
大事で,これを読みなさいと教員が教室に40冊の本を持ってきた瞬間にいやになる可能性
もある。特に教育の中でのクラス一律の読書という場合は,そうならないように気をつけて
ほしいと思う。
(事務局)
子どもの読書活動推進計画づくりで,「庁内検討委員会」の中には,教員研修を担当して
いる総合教育センターや,学校運営について広く支援している学校支援課などさまざまな課
が入っている。そういう中で,読書教育のあり方についても問題提起し,研修の中にもそう
いうものを含めていただくなど,そういうものがないかぎり,本を揃えるだけでは有効では
ないと思っている。そういう取り組みを,計画づくりと同時に,連携を敷くことができたら
いいと思っている。
子どもの読書嫌いについていろいろな意見がある。有識者会議の中では,子どもの周りに
いる大人たちが押しつけるのではなくて,自ら楽しいと思って,そういう姿を見せることに
尽きるのだという意見が何人かの委員から出ています。学校であれば担任の先生や校長先生
などが,本を強制するのではなく,こんなに楽しいということを見せることだし,家庭にお
いては,親やおじいちゃん,おばあちゃんも含めて楽しむということなのだろうと思う。
- 10 -
子ども読書活動推進計画というのは法律に基づくもので,かなり理念的なところもあり,
意識啓発を含めたものになると思う。行政の施策がそういうものと一体となって,市民に行
政としてもこういうことをやっていきたいということをアピールしていくものになっていく
のだと思っている。無理やり読ませるなどというのは論外の話なので,学校の先生たちも現
場でそういう技を作っていただきたいと思っている。
公共図書館としてやれることもたくさんあるのではないかと思っており,平成21年度の
事業計画を説明したが,子どもの読書ということに焦点を当てて,まず自分たちでできるこ
とを市立図書館として戦略的に取り組みたいと考えている。
(3)協議テーマ「新・新潟市図書館づくりについて」
(館 長)
先回,今期の協議テーマとして,「新・新潟市の図書館づくり」について,図書館振興策
のような形で,平成20年度,21年度にわたって策定したいということで,ごく簡単な骨
子をお配りした。
「子ども読書活動振興計画づくり」を先行させ,新・新潟市の図書館づくりについての具
体的な作業については着手していない。本日の配付資料については,図書館内部でも詰めき
ったものではない。
計画の名称は,「新潟市立図書館振興ビジョン」としたいと考えている。新潟市の目指す
図書館像という形で示したらどうかということで,配付した資料では構成案の骨格だけを示
している。
1 背景(策定の趣旨)
新潟市には,合併により,18の図書館と29の地区図書室がある。さらに,今後,合併
建設計画で,平成21年度予算化する巻図書館,亀田図書館,その後,新津図書館が新築移
転する予定になっている。全体が大きな組織的なあるいは施設的な変わり目でもあり,合併
建設計画で建設される新たな図書館も含めた今後の図書館の方向性のようなものを示す必要
があると思っている。そういう背景がある。
2 位置づけと性格
「新・新潟市総合計画」,「新潟市教育ビジョン」のいずれも後期実施計画が平成22年
度から26年度までの5か年で,それに合わせる形で,実施計画のようなものを併せてこの
中に盛り込みたいということでございます。
3 策定年次及び策定方法
平成20年度から21年度,策定の方法としては,どちらかというと行政計画的な色彩が
強いことから,例えば有識者会議を設けるとか,改めてそのための検討会議を設けるという
ことではなく,たたきとしては図書館サイドで事務的に作ったものを,図書館協議会の意見
- 11 -
を伺いながら計画づくりを進めたい。図書館協議会は,中央図書館以外にも4つあり,それ
らの協議会の委員の皆様の提言も受けながら策定していきたい。
6 新潟市が目指す図書館像
(1)運営の理念
「政令市にいがたが目指す心豊かな創造都市づくりの力となる 情報の発信基地新潟市立
図書館」と,キャッチフレーズ的に並べてみた。「創造都市」という言葉は,地域社会の課
題に対して創造的に問題解決を行えるような創造の場に富んだ都市という意味合いで使って
いる。「市民と地域の自己実現に貢献できる」の,地域の自己実現という言葉はあまり使わ
れていないと思う。新潟市が政令市の理念のひとつにもしている「分権型」を踏まえ,行政
区を念頭においた地域のアイデンティティを意識した,地域づくりに貢献できる図書館とい
うような意味合いで使っている。
ひっくるめた趣旨として,市民生活や地域の課題解決に資することを使命とする図書館に
するという理念で説明したい。非常に未熟な言葉づかいになっておいるので,次回以降,皆
様の知恵,意見,提案をいただければありがたいと思っている。
(2)新潟市の目指す図書館像の4本の柱
先回の協議会で運営理念と併せて運営の基本ということで,「中央図書館を核にしたネッ
トワーク型」,「地域づくりに寄与する分権型」,「子どもの読書活動を推進する学・社・
民融合化型」と,3本柱で示したが,真柄委員から,市民とのパートナーシップについても
基本的な柱の中に入れたらどうかという発言をいただいた。その意見を参考にし,ここでは
4本柱とした。
ア ネットワークを活かした「課題解決型図書館」
イ 地域づくりに寄与する「分権型図書館」
図書館は18館でネットワークを構築する予定だが,図書館というものが地域施設である
と同時に,館全体が一体となってネットワークを組んで動く。それらが一体となって役立つ
図書館,あるいはワンストップサービスをする図書館。一方ではネットワークを活かした図
書館づくりであり,もう一方では逆に地域づくりに寄与する分権型図書館という,若干相反
するようなものが一つになるといったイメージだ。
ウ 子どもの読書活動を推進する「学・社・民融合型図書館」
子どもの読書活動と教育ビジョンを活かした理念を盛り込みたい。新潟市教育ビジョンの
キーワードが「学・社・民の融合」ということ。社会教育の分野で以前から学校と社会教育
が連携,融合するという考え方があるが,教育ビジョンの検討委員会の場では「民」という
言葉を入れた。これは地域,NPO,PTAなどさまざまな地域団体,民間団体を含めて,
学・社・民が融合する形で教育を進めるべきだろうということで,これが教育ビジョンの一
つのキーワードになっている。図書館振興ビジョンについても学・社・民の理念を踏まえた
子どもの読書活動を推進したいという意味合いで使っている。
- 12 -
エ 市民参画と協働を推進する「パートナーシップ型図書館」
中央図書館の基本的な考え方で,さまざまな形でボランティア,サポーターの方と連携を
図りながら図書館づくりを進めたいという趣旨だ。
図書館振興ビジョンは,まだまだ未熟で,今日すぐに意見をほしいということではない。
今後の協議会の予定にふれるが,先回の協議会で,平成21年度は,子どもの読書活動推
進計画,市立図書館振興ビジョンも含めて3回開催させていただきたいと申し上げた。今の
状況では,通常どおり7月に平成21年度の第1回を行い,第2回を10月ないし11月頃
に開催し,そのときに,この2つの計画づくりについて集中ご審議をお願いしたいと考えて
いる。第1回には,経過報告のような形で,もう少し詰めた形でお示ししたい。
(真柄委員)
昨年6月の社会教育法の改正で,条文は覚えていないが,社会教育施設で学んだ成果を学
校等で活用するという条文が確かあったと思う。図書館で市民が本に親しむとか学ぶ,その
成果を活かして図書館で活用するとかいうことを付け加えたらいいのではないか。そうする
とよりパートナーシップ型というものが生きてくるのではないか。「参考」の中に社会教育
法の改正というものも入れながら書くと,より根拠がはっきりし,いいビジョンになるので
はないか。
(館 長)
非常にいいご意見をいただいたと思います。参考にして検討させていただきます。
先ほど触れなかったが,「参考」として,図書館振興ビジョン策定のための資料について
紹介させてもらう。
資料には,図書館に関連する法改正として,平成18年に改正された教育基本法,改正教
育基本法を受けて新たに策定した教育振興基本計画を載せておいた。
真柄委員から指摘いただいた社会教育法は,博物館法,図書館法とあわせて社会教育3法
改正として,昨年6月に公布施行されている。直接図書館に関連する改正した部分を掲載し
た。
また,国の答申では,中央教育審議会の平成20年2月の「新しい時代を切り開く生涯学
習の振興方策について」という答申の中から,図書館に関連する部分として,「具体的方
策」と「施策を推進するにあたっての行政の在り方」から抜粋している。文部科学省が「こ
れからの図書館の在り方検討協力者会議」という有識者会議のようなものをやっており,こ
の報告が平成18年に「これからの図書館像~地域を支える情報拠点をめざして~」という
表題で出ている。
2つの報告のいずれにおいても,今後の図書館は,資料の収集整理・保管というベーシッ
クな図書館の役割だけではなくて,地域が抱える課題解決,あるいは医療・健康・福祉・法
務に関する情報(法律に関する情報),地域資料といった諸々の実情に応じた情報サービス
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を提供すべきだということが書いてある。少し具体的な部分にふれておりますので,あわせ
て紹介させてもらっている。
他都市のいい事例が見つからないが,鳥取県では片山前知事が図書館を非常に大事にされ
力を入れて,「鳥取県立図書館が目指す図書館像」を平成18年につくっている。そこに示
された6本の柱からの抜粋と,川崎市立図書館協議会の名前で平成20年につくった「川崎
市立図書館の運営理念と活動目標」を紹介した。こちらは,「市民の生涯学習を支える図書
館」から「市民に信頼され市民が支える図書館」まで,5本柱になっている。
最後に,「新潟市立中央図書整備にあたっての基本的な考え方・重点事項」をあわせて紹
介させていただいた。
(安岡委員)
中央図書館友の会に入って活動している。こういうものがあったらいいなということにつ
いて発言する。
会長のあいさつにあったように,本だけではなく視聴覚資料がまだまだ足りないのではな
いかと感じている。中央図書館として視聴覚施設がほしい。例えばここのカーテンを自動的
に暗幕にできる設備など,そのような予算要求をこの後やっていってほしい。
規模は大きくなるが,階段式劇場。階段式というものがないと,映画などを見る場合に少
し不便だ。最近,各地域で小劇場形式の映画館などをつくっているから,その辺の知恵を借
りながらできないか。将来構想として,テント劇場のような中に小映画館やビデオを観られ
るような施設が中央図書館としてほしい。例えば美術館へ行くとビデオをしょっちゅう上映
している。東山魁夷の世界とか,NHKの絵画の世界といったものを見られるようになって
いる。そういうものが市民のためにあるといい。
(事務局)
あったらいいなと思うが,この中央図書館が開館して間がなく,中央図書館を利用してい
ない方も大勢いる。中央図書館を使っていろいろなサービスができると思っているので,ま
ずそこで頑張っていきたい。そのなかで,この次には安岡委員の言われるようなものが必要
だと認められてくれば,設置することも可能になってくるのではないかと思う。
(中山委員)
以前からこのような図書館振興ビジョンがほしいと思っていたので,やっと出てきて,図
書館の方にお礼を言いたい。
ビジョンの中に盛り込んでいただきたいのは,図書館の地域格差があるのではないかとい
うこと。立派なほんぽーとができて,ここに来られる人はいいが,合併市町村の中には図書
館のアクセスポイントが全然ないような,このままだと忘れられてしまうのではないかとい
う地域もある。そういう地域も含めて,図書館に来ない人に対する啓発活動も含めて,全市
的にどこにアクセスポイントが足りないのか,小さくてもいいから情報弱者が歩いていける
ポイントをもう少し考えていただきたい。車のある人はいいが,高齢者,障がいを持った方,
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子どもも含めて情報弱者に対する配慮,新潟市の住民全員の読書環境を考え,ハードとして
ではない図書館という機関であってほしいと思うので,その辺も盛り込んでいただきたい。
(館 長)
趣旨はよく分かるので,どのように入れ込むか検討させていただきたい。
先ほども触れたが,「運営の理念」の表現が非常に未熟だと思っているので,次回に意見
なり提案を是非いただきたい。
(4)その他報告事項
(事務局)
ア サービス内容の変更について
平成20年度に新たに他図書館などと相互利用を開始した。
近隣自治体との間の相互利用については,7月の図書館協議会で渡辺委員が,豊栄図書館
では以前近隣の市町村の住民の方たちに個人貸出をしていたが,新潟市と合併したことで近
隣市町村住民の個人貸出ができなくなったことから,個人貸出できるように要望された。教
育長が出席しており,その場で,前向きに実施できるように検討しているとお答えしたとこ
ろだ。
新潟市立図書館では資料の個人貸出の範囲を市内在住者,通勤・通学者に限定していたが,
広域合併前に市外在住者に個人貸出を認めていた図書館利用者を中心に,新潟市に隣接する
自治体住民から新潟市の図書館利用の要望が寄せられた。また,新潟市の住民が阿賀野市や
五泉市などの図書館を利用できていたということも分かった。
そこで,平成20年9月にパブリックコメントを実施し,新発田市,五泉市,阿賀野市と
協定書を締結して,相互に利用できようにした。平成21年4月からは新たに聖籠町も加わ
る予定になっている。
その結果について,平成20年11月から21年1月までの実施状況をあげた。新潟市の
館別登録人数では,豊栄図書館では 市外の方が,125名,中央図書館は 132名と続き,
合計303名が新潟市の図書館に登録された。相手先図書館では,新発田市の図書館に登録
した新潟市民は10人,阿賀野市では29人,五泉市では11人,合計で50人となってい
る。2月の実績がまだまとまっていないが,ほぼ毎月100人ほど人数が増加することにな
るので,かなりの人数になると思う。
次に,新潟大学附属図書館から申出があり,新潟市立図書館の配本車を週に1回,大学に
廻して,お互いの資料が非常に利用しやすくなった。新潟市の図書館利用者では,大学所蔵
の専門書などで,特に多いと思われるのは新潟大学附属図書館旭町分館の医学関係の本の利
用が目立つ。県立図書館との間でも,現行週1回車が廻っているが,3月からは2回に増便
した。昨年12月から今年の1月まででは,新潟市が大学から借りたものが37冊,大学へ
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貸し出したものが21冊となっている。これからPRしていきたい。現在は試行だが,覚書
を交わし,4月からは本格実施とし,4月26日にこの会場で記念講演会を開催する。「天
地人」の関連で,新潟大学附属図書館長から講演していただく。
新潟大学附属図書館と県立図書館と新潟市の間で,単なる配本だけではなくて,いろいろ
な事業や図書館職員同士で意見交換等も行えるようなネットワークを組もうということで,
そのネットワークの名前を3図書館の職員で考えている。
新潟市の図書館で利用者から求められた資料が未所蔵の場合,できるだけ購入により提供
するようにしているが,絶版などで入手が不可能な場合や,最近の出版物でないなどの場合,
ほかの図書館から相互貸借で借り受けて提供している。費用は図書館で負担している。
一方,県立図書館は市町村の図書館を支援することが業務にあり,県立図書館からの借り
受けは,送付の費用を県立図書館が負担し,返却は,新潟市の配本車を週1回県立図書館に
まわしていた。相互貸借の順位として,まずお金がかからない県立図書館から借り,次は県
内の図書館,関東ブロックの図書館,それでもなければその他,最終的には国立国会図書館
からも借り受けるということで,利用者に提供している。
県立図書館と新潟大学附属図書館では自分の館にない資料を求められた場合,ほかの館か
ら借り受けたり返却する費用は利用者の負担としていた。また,県立図書館は,ほかの図書
館から借り受けたものは館外貸出をしないで館内閲覧としていた。
配本車を3者で運行することにより,借り受けることができる資料については,県立も大
学も利用者から送料を求めないことになり,また県立はこの3月から相互貸借資料の館外貸
出を開始した。この方法で,県立や大学でも利用者に対するサービスが拡大し,新潟市は相
互貸借により他館から借りることができるサービスを改めて認識してもらうためPRする機
会になった。
2番目に,視聴覚資料等の貸出期間の拡大等を行った。
視聴覚資料は蔵書数が少ないこともあり,貸出期間を7日間としていたが,所蔵点数も増
えたことから,図書や雑誌と同じ14日間に変更した。また,所蔵館以外での取り寄せが一
部できるようにした。視聴覚資料は著作権の規定と,配送時に破損の恐れがあるため,所蔵
館以外での貸出はしてこなかったが,中央図書館と生涯学習センター図書館間のみ,相互利
用を11月からできるようにした。平成21年4月からは,各中心館でも中央図書館と生涯
学習センター図書館の資料の取り寄せができるようにする。
3番目に,多目的ホールの利用許可申請受付の開始時期を早めた。中央図書館の多目的ホ
ール・研修室は,図書館主催事業等の利用がない場合に市民団体・グループ等に有料で貸出
を行っており,申込みができる日を利用日の1月前からとしていたが,多目的ホール利用の
場合,広報期間が十分にとれないなどの実態を踏まえ,利用日の3月前から申込みを受け付
けるようにした。
イ 個人情報掲載の資料の取り扱いについて
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昨年11月に元厚生事務次官等が相次いで襲撃され,3人の方が死傷された。犯人が元次官
等の住所を図書館所蔵の「職員録」を使って調べたと供述したことから,厚生労働省から県
の教育委員会に対して,個人情報を特定できる図書の閲覧・貸出について配慮を求めるとい
う依頼文書が届き,この文書の写しが,県教育庁生涯学習推進課長名で市教育長へ伝達され
た。
それを受け,新潟市では新潟市立図書館全館の,国の機関の職員や地方公共団体の職員等
の個人情報(住所・電話番号)が掲載されている資料を調査した。そのうえで,これまでの
個人情報掲載資料の取り扱い方針を追加したものだ(今回問題となった国の職員録は,平成
7年以前のものには個人情報が掲載されていたが,新しく出版されているものは掲載されて
いない。新潟市は中央図書館ができるまでは大きい図書館がなかったため,中央図書館では
一番新しいものだけを所蔵しており,古いもので個人情報が掲載されているものは所蔵して
いなかった)。
個人情報掲載資料についての図書館の取り扱い方針だが,図書館は資料の提供の自由を有
している。図書館の資料収集要綱にのっとり,正しく選定・受け入れしたものに関しては,
基本的に提供を制限する必要はない。ただし,多数の名前と住所,電話番号などが名簿形式
で掲載されている資料はプライバシーに配慮したうえで,次のような取り扱いとした。
図書館資料は「公刊」と「非公刊」に分けられる。「非公刊」は,通常の出版物ではなく,
頒布や配付対象が限定されているもので,例えば新潟市の職員録や学校の卒業アルバム,同
人誌,団体の会報等で,図書館では寄贈で頂くことがけっこうある。「公刊」は,出版物と
して広く世間一般に出されているもので,図書館では貸出・複写・開架,一般利用者が手に
取るところに置くことにしている。「非公刊」のうち,発行者(寄贈者)が公開を許可した
ものについては,開架に置き,貸出や複写もOKとする。ただし,寄贈いただく場合に,公
開を許可をしていただけるかということを確認することにした。発行者が図書館には寄贈す
るが公開しないでくださいという場合,開架には置かず,貸出はしないで,該当箇所につい
ては複写をお断りする。発行者の公開の意思が不明な場合(古書店から購入する場合など)
は,開架・貸出・複写,該当箇所の複写は×とする。これらは「個人情報注意」というシ
ールを貼付して,利用者が手に取れない場所におき,利用者からの請求により閲覧していた
だく。現在,開架に出ているものも見つかりしだいこのようにする。地方公共団体の職員等
の自宅住所や電話番号が掲載されている業務用職員録等の図書は,開架・貸出・該当箇所の
複写はできないこととした。閲覧時に利用目的を口頭で確認し,閲覧の際に職員が立ち会い,
マスキング等で該当箇所は閲覧できない措置を取る。
新潟市の図書館では新潟県職員録,新潟県教職員名簿,新潟市職員録,新潟市小中学校職
員名簿の4タイトルで,新潟市図書館では中央のみで所蔵している。
(中山委員)
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これは,蔵書検索をかけたときには所蔵ということで出てくるのか。
(事務局)
できる。今までも持っていたが,閲覧や複写を求められるということはなかった。
(安岡委員)
選挙のたびに出る国会議員名簿などは公刊に入るのか。
(事務局)
国会議員や,選挙に立たれるような方の名簿は利用制限する必要はないと考えます。
(5)「その他」
(館 長)
平成21年度の協議会の予定だが,7月に開催予定の次回会議では,平成20年度の事業
報告とあわせて,その時点での子どもの読書活動推進計画と新潟市立図書館振興ビジョンに
ついても協議いただき,第2回(10月か11月くらいになると思う)にはある程度固まっ
た計画素案のようなものを示したい。第3回は,例年3月に開催しているが,場合によって
は少し早まるかもしれない。次年度の事業計画と予算とあわせて,2つの計画の最終的な内
容について確認する場にしたい。
(清水委員)
100万人の入館者だが,出入口で自動的にカウントしているのか。
(館 長)
カウントは,専門用語で言うと「ブックディテクションシステム」で,無断で持ち出すと
ブザーが鳴るアーチ型のものがありますが,そこを通ると赤外線センサーでカウントしてい
る。
(清水委員)
行ったり来たりする人はダブってカウントされるということか。
(館 長)
そういうことになる。人の動きを感知してカウントする。
(清水委員)
どういう目的で来ている方がいるのかという把握はしているのか。本を借りるために来て
いる方,閲覧するために来ている方,学習するために来ている方などいろいろとあると思う
が,その辺の把握はできまるのか。
(館 長)
それは,今のところしておりません。
(事務局)
例えばインターネットの情報コーナーを利用している方が何人いるか,データベースのコ
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ーナーを何人の方が利用しているか,個人学習室は何人利用しているかということはつかん
でいる。
(清水委員)
中央図書館は,「こどもとしょかん」が売りになっていると思うが,100万人の中に子
どもたちがどのくらいいるのか。だんだん減る傾向にあるのか,それとも子どもたちが増え
る傾向にあるのかということが大事になってくると思うので,その辺の把握は自動的にはで
きるのか。
(館 長)
カウンターで機械的に把握できる範囲ということで,本の貸出冊数では年代別,あるいは
登録者数については年代別には出せる。例えば,年代別でいいますと,データから相対的に
20代から50代の男性の利用が今でも少ないということが分かる。貸出に対応してとか,
カードをお持ちの登録者に対応するデータについては分析はできる。ただ,こどもとしょか
んだけでの利用で,親御さんも含めて何人というところまでは分類しての把握は今のところ
していない。
(清水委員)
大人はいいとしても,これから子どもたちがどのような傾向にあるかということは把握し
ておいた方がいいのではないかという気がしたので,できたらお願いしたい。
もう1点は,入館者が100万人ということで,多分,月々で集計したと思うが,その報
告は市報などで月々やっているか。
(館 長)
特に外には出していないが,「友の会ニュース」には載せていただいている。
(清水委員)
友の会ニュースには載せてもらっているが,できれば,入館者よりも,どのくらいの方が
本を借りているのかということも一緒に,月々の報告の中に入れてもらえれば非常に助かる。
(館 長)
入館者数のほかに,貸出冊数,貸出人数,予約をしていただいた冊数,登録者数などを毎
日集計しているので,提供できる。
(渡辺委員)
次回の協議会では,平成20年度の活動報告の資料が出てくると思う。分野別,年齢別の
データで,どのような年代の方がこういう時期に本をたくさん借りるというようなデータを
資料として出してほしい。
オンライン化は豊栄図書館では平成22年度からスタートすることになっているが,平成
22年度にはきちんとスタートするということにはなっているのか。
(事務局)
かなりの蔵書が一緒にオンライン化されるというのは危ないことでもありますので,時期
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をずらしながら,平成22年度中には全館がオンライン化の予定で進めている。
(渡辺委員)
館によって時期がずれることもあるということか。
(館 長)
館によっては,使っているデータのマークが中央図書館と違っている。データの内容も修
正したり,今使っている電算システムをやめてもらってこちらのシステムに統合するという
ことで,かなり手間暇がかかるため順次移行する予定だ。
(中山委員)
これは提案なのですけれども,中央図書館では混む日と混まない日があると思う。銀行な
どだと,何曜日の1時から2時くらいはわりとすいているとか,3月の第何金曜日はものす
ごく混みますよというような,例年の人の動きの予測をつけて,今までの傾向ということで
掲示が貼ってある。中央図書館でも,例えば日曜日の2時から3時は駐車場に入れないくら
い混みますとか,ネット上でおおまかな予測を出してもらえると,5時すぎに行こうかなと
か,利用者の方で多少調整がきく部分がある。朝いちがいいのか,夕方がいいのか,昼に行
くと混んでいるのかというような,傾向がある程度分かるように,ネット上なりでインフォ
メーションしていただけると,私たちの方でも協力しますという提案だ。
(館 長)
土曜日,日曜日,祝日の午後は駐車場も非常に混み合っており,苦慮している部分でもあ
るので,検討する。
(高澤会長)
皆様のおかげをもちまして,無事に議事を進めることができた。次回は7月になるので,
予定いただきたい。
(館 長)
さきほど紹介した,子ども読書活動計画に関連した5月30日の教育フォーラムについて,
別途案内させていただくが,是非ご参加いただければと思っておいる。
(高澤会長)
私からも是非参加をお願いしたい。以上をもって閉会させていただく。
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