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02
Apr 27, 2012
身体の構造:筋肉
1.  「かたち」となるもの
2.  内部構造の表象
3.  文化との接合点
「かたち」となるもの
筋肉は骨を可動させるだけでなく,外形を
直接構成するもの.
「収縮」と「伸展」により,運動という
機能が生じ,形も変化する.
筋肉の名称は主に部位/形状/運動に由来
している.
かたちと筋肉
筋肉は.骨とは対照的に,個体差が大きく,
性差も大きい.
発達や鍛錬の程度次第で,全く異なる体型
を生み出す.
ただし,筋肉それ自体は誰にも同じように
備わっており,個体差も性差もない.
骨との関係
筋肉は骨以上に「機能」と深く関わるもの.
個々の骨は筋肉の末端である
よって繋げられ,機能する.
や靭帯に
骨それ自体で運動をすることはなく,筋肉
(骨格筋)によって作動する.
手
肩
肩と上肢
肩と上肢
解剖学的正位の腕
前腕の回内
運動による変化
筋肉は運動によってフォルムが変化
する.
多層構造のため,他の筋肉の運動の
影響を強く受ける.
複数の筋肉が連動して,一つの運動
を支えることが多い.
運動の種類
筋肉の運動は,以下のような種類が
ある.
屈曲・伸展,内転・外転,内旋・
外旋,回内・回外.
こうした運動は,関節を起点に定義
される.
かたちの美
身体の形態美は,運動を伴ってこそ
実現するもの.
視覚表現として表象されたものでも,
運動によるフォルムの変化が根底に
ある.
<静止している=運動していない>
ということではない.
内部構造の表象
身体をどう見ていたかは,解剖図
という「表現」に集約されてきた.
医学的知識を伝えるのと同時に,
身体の内側を表象したもの.
近代解剖学の誕生以降,その傾向
が強くなる.
Andreas
Vesalius
解剖図と身体
解剖図はあくまで絵でしかない.
どんなに精密に描いたとしても,
二次元の情報.
三次元の実体である身体をいかに
平面上に再現するか.
Albrecht Dürer Prospettografo (1525)
人体筋骨構造図譜
1749年に,アルビヌス(Bernardi
Siegfried Albini 1697-1770)に
よって出版された解剖学書.
原題は Tabulae Sceleti et
Musculorum Corporis Humani .
図版はヤン・ヴァンデラー(Jan
Wandelaar)により描かれた銅版画.
遠近法と解剖学
芸術表現としてのリアリズムを追求
した結果,遠近法と共に解剖学が発
展した.
視覚表現技術の向上は,曖昧な領域
だった身体の内部構造を正確に露わ
にする結果となった.
解剖という眼差し
ルネサンス期に大きな転換期を迎え
た解剖学は,ヴェサリウスを起点と
して,絵画と並行して発展した.
技術的なことに留まることではなく,
「ヒトをどう見るか」という眼差し
の変化.
下肢
フォン・ハラー
『解剖図集』(1756)
眼差しの系譜
表象されるものは,たとえ表象する
側が変わっても,変わらない.
表象する側の,表象するものの見方
は,それぞれ異なる.
ただ,同じものを表象すれば,重複
する情報は存在する.
文化との接合点
身体そのものの構造と身体文化は,
どこで接続されるのか.
文化の側からだけではなく,それを
生み出している身体側から,文化を
眺めてみること.
Paul Cézanne"
Jeune garçon au gilet rouge!
(1888-1890)
Paul Cézanne Pommes et oranges (1895-1900)
セザンヌの見方
彼はモティーフをどう見ていたのか?
彼にはモティーフがどう見えていたの
だろうか?
何故,このように描かなければなら
なかったのか?
対象をよく観察する
自分の視覚のあやうさについて考えて
みよう.
何が見えていて,何が見えていないか.
見えていない(気付いていない)部分
に重要な要素が潜んでいるかもしれ
ない.
文化を「観察」する
文化を論じる(表象する)のに必要
なスキルは何か?
文章力や知識量が全てではない.
対象をどのように見ているかという
「視点」.
参考文献
• 
藤田尚男.『人体解剖のルネサンス』,平凡社,1989.
• 
坂井建雄.『からだの自然誌』,東京大学出版会,1993.
• 
マーティン・クレイトン,ロン・フィロ.『レオナルド・ダ・
ヴィンチ[人体解剖図]』,同朋舎出版,1995.
• 
森於菟,小川鼎三,大内弘,森富.『分担 解剖学1』,金原
出版株式会社,1950.
• 
中尾喜保,宮永美知代.『美術解剖学アトラス』,南山堂,
1986.
• 
荒俣宏.『解剖の美学』,リブロポート,1991.
• 
Düchting, Hajo. Cézanne, Taschen, 1991.
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