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東西南北
平成23年10月10日発行 毎月1回10日発行 第64巻第10号 日 本 消 防 第 十 号 財 団 法 人 日 本 消 防 協 会 ● 東日本大震災全国消防団 報告研修会 10 2011 日本消防 CONTENTS 10 2011 Vol.64 No.10 口 絵 第20回全国女性消防操法大会 H23.10.19 於 横浜市消防訓練センター (財)奈良県消防協会及び(財)和歌山県消防協会に災害対策支援金を交付 (財)日本消防協会 平成23年度 消防団長等幹部海外消防事情調査 H23.9.12(月)∼9.20(火) 於 ヨーロッパ 巻頭言 「日常で育まれた、あきらめないでやりきる心」 …………………………………………………………財団法人 神奈川県消防協会 会長 嶋村 尚美 ……1 東日本大震災災害活動報告 ………………………………宮城県名取市消防団 団長 昆布谷 清太郎 ……3 東日本大震災災害活動報告 …………………………………福島県いわき市消防団 団長 麻原 秀雄 ……5 東日本大震災全国消防団報告研修会 報告蘯「東日本大震災における消防団活動」……………岩手県山田町消防団 分団長 大石 秀男 ……7 報告盻「東日本大震災 黒い津波の襲来」………………宮城県名取市消防団 分団長 樋口 惠一 …13 女性消防団員による災害図上訓練∼「DIG−SVFC(下関市消防団)」∼ ……………………………………………………………………山口県下関市消防団 団長 植田 喜好 …22 特別表彰「まとい」を受章して「更なる地域防災力の向上を目指す地元密着の消防団」 ………………………………………………………………青森県青森市青森消防団 団長 小笠原峰一 …26 東西南北(三重県) 「災害に強いまちづくりへ」 ……………………紀北町消防団 団長 世古 勝典 …28 東西南北(埼玉県) 「地域に密着した災害に強いまちづくり」を目指して ……………………………………………………………………………三郷市消防団 団長 本間雄一郎 …30 東西南北(鹿児島県)「姶良市初の女性消防団員誕生」について …姶良市消防団 団長 七反田正勝 …32 東西南北(島根県) 「地域防災のリーダーとして」 …………………益田市消防団 団長 中田 巖 …34 東西南北(熊本県) 「地域を守る邇消防団」 …………………………天草市消防団 団長 春木 重昭 …36 シンフォニー(徳島県) 「女性分団の活動を通して思うこと」 ……………………………………………………三好市三野町消防団 女性分団 分団長 野田 冬美 …38 シンフォニー(静岡県) 「『知識よりも意識、資格より自覚』今、私たちができることを目指して」 …………………………………………………………………湖西市消防団 女性団員班長 井川まゆみ …40 頑張れ!少年消防クラブ(岐阜県) 「こども防火管理講習を受講しました」 ………………………………………………………………中濃消防組合消防本部 予防課 太田 悠一 …42 平成23年秋季全国火災予防運動 ……………………………………………………総務省消防庁 予防課 …43 うちの名物団員 ………………………………………………………………………………………………………44 消防団の広場(宮城県) 「3.11から学んだ経験を後世へ」 ……………………………………………………………気仙沼市消防団第3分団 分団長 村上 貴敏 …46 11月の日本消防協会関係行事 編集後記 表紙写真説明 「伊勢神宮」 皇室の祖先神で日本の総氏神である、天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祭神とし、神 体は三種の神器の一つ八咫鏡。五十鈴川のほとり、神路山のふもと、うっそうと茂る樹林につ つまれ、参道には玉砂利が敷きつめられている。 (三重県伊勢市) ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 第20回全国女性消防操法大会 (平成23年10月19日 於 横浜市消防訓練センター) 譛奈良県消防協会及び譛和歌山県消防協会に 災害対策支援金を交付 財団法人 日本消防協会 日本消防協会では、平成23年8月25日に発生した台風12号に伴う豪雨において、災害活 動に従事した消防団員を支援するため、奈良県消防協会及び和歌山県消防協会の両会長に、 災害対策支援金を交付いたしました。 ■奈良県 ■和歌山県 平成23年度 消防団長等幹部海外消防事情調査 (平成23年9月12日(月)∼9月20日(火) ヨーロッパ) アムステルダム消防視察 巻 頭 言 「日常で育まれた、あきらめないでやりきる心」 財団法人 神奈川県消防協会 会長 嶋村 尚美 はじめに、3月11日に発生した、 東日本大震災により被災された各 県の皆様に対し、心からお見舞い を申し上げます。また多くの消防 職団員、関係者が殉職されました。 プロの消防人として「自分たちの 街は自分たちで守る」という、強 い使命に殉じられた尊い活動に深 く敬意を表すとともに、ご冥福を 心からお祈りいたします。 今回の大震災から、地震、津波 女性消防団員研修 による被災、台風9号による未曾 有の大水害などを十分に検証し、日々の防 た日本の窓として、時代を先導する役割を 災活動に生かしていくことが殉職された 果たすとともに首都圏に位置し、904万人 方々への責務と思います。 の人口を擁し、力強い経済力を持ち、我が さて、神奈川県はこれまで世界に開かれ 国の発展を支えてきた地域です。 神奈川県を取り巻く社会環境は今、さま ざまな分野で大きく変わりつつあります。 県内の災害の一元的な窓口として平成11年 6月1日に災害発生時への迅速で的確な対 応を図る指揮命令機能など災害対策全般を 持つ組織として、都道府県で初めて「防災 局」を新設、さらに平成17年4月1日に県 民の安全、安心を総合的に確保するため、 防災局と県民部の安全、安心まちづくり部 門を統合するとともに、防災部門の組織を 火災防ぎょ訓練 再編し「安全防災局」を設置、また政令都 1 市、横浜市、川崎市、相模原市を中心とし、 ⑨女性消防団婦人消防隊研修(1日) 県内63消防団1万8,497人余の消防団員 等を開催し、消防団員の技術向上を図る (女性消防団員990名)を有しております。 とともに全消防団員が8年に1回は県消防 東日本大震災の影響を受け三浦半島の断 協会が行なう入校研修に参加できるように 層を震源とする地震発生の確率が高まった しております。 と発表された。この地震が発生すれば、横 今回、東日本大震災で被災した消防団員 浜市内でも沿岸部を中心に最大で震度7の の方に、 消防大学校消防団長科入校が縁で、 揺れが起きると想定されている。死者数は その団員の被災地に、当消防団として救援 県下で4,350人に上がると言う。これらに 金、 また消防自動車を現地に送る手配など、 対応すべき神奈川県消防協会では、横浜市 後方支援した報告を受け、その尽力に感謝 内から厚木市内に設置された県総合防災セ しております。 ンター、県消防学校と連携、大規模災害に これらも、サッカー日本代表「なでしこ ジャパン」の女子ワールドカップで優勝し 備えた ①地震課程(1日2コース) た澤キャプテン「あきらめない心」久々に ②指導員研修(1泊2日) 明るくて元気になる話題は消防団員にとっ ③指導者研修(1日、9コース) ても同じこと。地域の歴史を学び、マナー、 ④消防団幹部研修(1日) 協力、思いやりを高め、先人の知恵と努力 ⑤正副団長研修(1日) に思いを馳せ手際よく準備をされ、県民が ⑥副団長研修(1日) たよれる消防団の御旗をしっかりと立てよ ⑦分団長研修(1日) う。 ⑧消防団幹部候補研修(1日) AED使用による指導員の取扱い説明 2 東日本大震災災害活動報告 宮城県名取市消防団 団長 昆布谷 清太郎 平成23年3月11日午後2時46分に発生した大き な揺れの中、とうとう来た「宮城県沖地震」と頭 の中をよぎりました。しかしその揺れは違ってい ました。これまでに経験したことのない激しい揺 れが長く続き、その直後に東北(宮城県)沿岸部 に大津波警報が発令され、避難指示が出されまし た。地震被害の対応、そして大津波警報の対応に 追われる中、襲来した巨大津波は、沿岸部地域に あった赤貝の産地で有名な閖上と仙台空港の東隣 の北釜の2つの(集落)を全てのみ込み、そこに 住む多くの住民にも甚大な被害をもたらしました。 北釜地区の航空写真 津波による被害は、死者911名、行方不明者70 名、建物の被害は、全壊3,738棟、大規模半壊344 火災現場には近づくことすらできずただ見守るし かなく、歯痒い感じに思いました。 棟、半壊1,008棟、一部損壊10,161棟にも及ぶ未曾 消防団員は、地震発生後には各詰所に参集し担 有の大震災となりました。津波による浸水面積は27 裄であり、名取市の総面積の28%が浸水しました。 当地区の警戒巡回活動や被害状況調査などの情報 収集を実施。また、沿岸部の消防分団は、大津波 消防団においては、消防団車庫詰所6棟が津波 により流失、車庫が3棟水没、小型動力ポンプ積 警報に伴い住民への避難広報や避難誘導を行いま した。津波発生後に消防本部に集合した消防団幹 載車7台が大破し、名取市消防団発足以来初めて 部団員に、被災地で浸水し孤立した住民の救助を の殉職者16名を出したことはとても残念でなりま せん。また、水防倉庫2棟も流失しました。 指示し活動にあたらせました。 2日目以降の活動は、消防署隊や自衛隊・緊急 火災は、災害発生から3月中で12件発生してお り、建物火災が4件、その他瓦礫火災が8件発生 消防援助隊と協力して、まだ生存しているであろ うという望みを持ち、行方不明者の捜索・津波浸 しています。11日に発生した建物火災には、道路 が津波で水没していたり、瓦礫の山と化していて 水により孤立してしまった住民の救助活動を実施 すると共に、孤立した避難所からの避難者を小型 閖上地区の航空写真 閖上町内の被災状況 3 北釜地区被災状況 津波により流失した消防団車両 動力ポンプ積載車での搬送に従事しました。また、 現場において、住民を見放し我先に安全な場所に 津波によって発生していた火災の消火作業も、自 避難することはできません。そこが消防の難しい 衛隊による道路の瓦礫撤去が進むにつれて活動を 行うことができました。 ところであります。いかなる状況においても、命 を落とすことのないよう徹底した検証を行い、安 しかし、捜索活動には、重機等の機械が使えず 人力による捜索に頼らなければならない現場もあ 全・確実な消防活動がおこなわれるようその体制 を確立し、団員を守ることが、今回の大震災で得 り、個人装備品の不足や、防護・安全管理に不安 を感じられるところもありました。 た最も重要な教訓であると痛切に感じておりま す。 消防団員の活動に従事する時間が増えるにつ 現在、被災した消防団員は数箇所の仮設住宅に れ、一刻も早く休養を取らせるために、指揮本部 と調整しながら各分団においてローテーションを 入居し避難生活を送っておりますが、地域住民の 生命、身体、財産を災害から守るという、強い消 組み、捜索活動に従事しました。また、大震災か ら60日目には自衛隊と連携して、被災地を200メ 防精神を持ち、消防団活動に従事しております。 名取市消防団と同様に被災されました消防団員 ッシュに区切り徹底的に捜索を行いました。 の皆様におかれましても、まだまだ厳しい環境が 今回の東日本大震災において、幹部団員そして、 将来を有望視された若手団員16名の尊い命が奪わ 続くものと思いますが、団員皆様が一致団結して、 地域住民の安全安心を守って行こうではありませ れたことは、名取市消防団にとっては大変な痛手 であり残念でたまりません。 んか。 最後になりますが、全国から様々な御支援、御 消防団員としての使命感に満ちた活動は我々の 誇りであり、頭の下がる思いであります。 消防は、その性格上、まさに危険が迫っている 捜索活動する団員・援助隊員 4 協力をいただき衷心より御礼を申し上げまして、 活動報告とさせていただきます。 消火活動にいけなかった現場周辺 東日本大震災災害活動報告 福島県いわき市消防団 団長 麻原 秀雄 初めに、未曽有の大災害である「東日本大 震災」が発生し、いわき市におきましても甚 大な被害を受けましたが、全国各地の皆様か ら様々な御支援と御協力をいただきましたこ と、この場をお借りいたしまして心より御礼 を申し上げます。 3月11日の14時46分頃に発生した、三陸沖 を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震 は、当市におきましても震度6弱を観測、特 に沿岸部においては、想定を超えた津波によ 津波によりなぎ倒された ホース乾燥塔と基礎だけが残された詰所跡 り、多数の死者・行方不明者が発生するなど 甚大な被害を被りました。 管内の被害状況につきましては、9月13日 現在、死者309名、行方不明者38名、住家被 害は、58,529戸に及び、当市消防団の被害も き、団員各自が詰所に参集し、管轄地域にお ける被害状況の把握に努めるとともに警戒活 動を行いました。 また、沿岸部地域においては、大津波警報 公務外による死者が2名、詰所の全壊12棟、 発令に伴い、地区住民等への広報活動や避難 半壊4棟、一部損壊36棟、消防車両につきま 誘導活動を行い、津波発生後には、家屋から しては、全損16台、一部破損14台の被害を受 逃げ遅れた地区住民の救助活動や避難誘導活 けました。 動、負傷者の搬送活動等を行いました。 当市消防団の活動状況につきましては、発 内陸部の地域におきましても、震災直後か 災直後から電話等の通信手段が使用出来ない ら、市内各地の避難所等の補助活動や、給水 状況下でありましたが、当市防災計画に基づ 活動にあたるなど、不眠不休で活動しており 消防団詰所にて救援物資等を配付する消防団員と 列に並び順番を待つ市民 市内各所において実施されていた 消防団員による給水活動 5 津波による行方不明者の捜索活動といった 様々な活動を行いました。 消防団の出動状況は、3月11日より4月 25・26日の沿岸部における集中捜索の実施ま で、延べ14,026人が出動し、上記活動に従事 しました。 特に、団員自らが被災し、かつ東京電力㈱ 福島第一原子力発電所の事故に伴う、放射能 汚染といった、今まで経験したことのない状 津波により壊滅的な被害を受けたいわき市薄磯地区 況下にあっても市民の生命と財産を守る為、 各種活動を実施した団員各位に対しては、深 ました。 その後につきましては、市内各地が断水し、 く感謝したいと思います。 なお、今回の大震災を振り返り、消防団活 生活物資の流通も滞る状況が続いたことか 動を行うにあたっての課題につきましては、 ら、市災害対策本部等からの要請により、給 発災直後の数日間、電話等の通信手段が使用 水活動や食糧配布の広報・配布活動を実施す できない状況であったことから、各地の被害 るとともに、東京電力㈱福島第一原子力発電 状況、特に沿岸部地域の津波による被害状況 所の事故発生の際には、屋内退避広報や安定 を把握することにかなりの時間を費やしてし ヨウ素剤の配布といった広報活動、そして、 まったことや、原子力発電所の事故発生以後、 沿岸部地域においては、それらの活動に加え、 数週間は、市内の物流が滞る状況となり、燃 料が不足したことから、様々な活動を行うに も支障が出るといった状況等があげられます。 これらの課題につきましては、今後検証を 重ね、更なる防災体制の確立を図る為、改善 する対策を見出す必要があると思われます。 終わりに、まだまだ、余震が続き、予断を 許さない状況下ではありますが、今後は、い わき市消防団も「がんばっぺ!いわき」を合 言葉に、当市の復旧・復興に協力していきた いと考えておりますので、皆様の益々の御支 放射線防護服を着用し捜索活動する消防団員 津波により引きちぎられた消防団車両 6 援と御協力をお願いいたします。 津波により壊滅的被害を受けたいわき市久ノ浜地区 前号より引き続き、「東日本大震災全国消防団報告研修会」をお送り致します。 東日本大震災全国消防団報告研修会 報告蘯 「東日本大震災における消防団活動」 岩手県山田町消防団 分団長 大石 秀男 ※本稿は、研修会での報告内容を掲載しております。 山田町消防団第10分団分団長の大石です。今回、 帯数は727世帯で、多くの家庭が漁業関係の仕事 私たちが東日本大震災において経験した消防団活 動を、全国の消防関係者の前で発表することが、 をしております。また、団員のほとんどが漁業に 従事しており、その関係で、災害発生時は高い参 皆さんの、今後の活動に少しでもお役に立てれば 集率であります。 と思い、発表することにしました。よろしくお願 いします。 団員数は、ここ数年来30人と、定員数の100% です。 はじめに、私達が住んでいる山田町の位置につ いてですが、山田町は、岩手県沿岸のほぼ中央に 被災前の大沢地区西側は、国道45号が南北に走 っており、国道の両側には、チェーン店のスーパ 位置しております。主な産業は、カキ・ホタテ・ ーマーケットや衣料品店、ホームセンター等が建 ワカメ等の養殖漁業と、鮭漁を中心にした水産業 です。私も、カキとホタテの養殖棚を15台所有し ち並んでいます。 被災前の大沢地区中央は、住宅が密集しており、 ておりましたが、津波ですべて流されてしまいま した。 県道が東西に走っています。県道の南側には、防 潮堤が並行して作られており、すぐ漁港となって 山田町の町制施行は昭和30年3月1日で、山田 いました。 町・豊間根村・大沢村・織笠村・船越村が合併 し、新山田町が発足しました。面積は263裄、人 被災前の大沢地区東側は、埋め立て地で、漁業 施設が建ち並んでおりました。 口は1万9,461人、世帯数は7,210世帯です。 山田町消防団の概要についてですが、消防団は、 第10分団が、岩手県及び山田町から管理委託さ れている水門門扉の数は全部で38施設です。その 昭和30年3月に町が合併したことで、各地区の消 中で、津波注意報・警報発表時に閉鎖する施設は、 防団も統合され、15の分団650人をもって山田町 消防団が発足しました。その後、昭和40年の条例 水門が7施設、門扉が16施設となっております。 それでは、本題の東日本大震災にかかわる活動 改正により、13の分団400人の定員数をもって組 織され、現在にいたっています。平成23年7月1 内容について、発表いたします。 東日本大震災にかかわる消防団の活動は、大き 日現在の実員数は347人で、充足率は86.75%とな っております。 く分けると2つになります。 一つ目は、地震発生直後の活動で、水門門扉の 閉鎖と、住民の方々の避難誘導です。この活動に ついては、毎年、町の総合防災訓練で実施してお りますし、年に数回、津波注意報・警報が発表さ れますので、迅速に対応しました。 二つ目は、津波襲来後の活動で、このことは今 まで全く経験したことがなく、津波によって破壊 された建物の瓦礫が広範囲にわたり散乱し、消火 活動や救助活動の妨げとなりました。 特に、安否不明者の捜索活動にあっては、破壊 された建物の瓦礫の中からの捜索ということで、 長期間に及び苦労しました。 私が住んでいる大沢地区は、袴田・川向・山 谷・新開地・上条・中条・下条・浜川目と8つの 水門門扉閉鎖活動ですが、各水門、門扉ごとに 担当者を割り当てており、屯所より遠い所から閉 行政区に分かれております。人口は2,219人、世 鎖してきて、最後に屯所に集合し、全閉鎖を確認 7 するようにしています。全閉鎖は、毎回8分ぐら いで完了しております。3月11日も約8分で完了 も、各地区の皆さんは、指定された避難場所及び 避難所に避難しておりますので、経路については、 しました。 把握しておりました。 車両の避難についてですが、消防ポンプ自動車 は、住民の方々を避難誘導しながら、避難所の 「ふるさとセンター」に避難しました。また、団 員の自家用車も高台の広場に避難させました。 津波襲来時の写真です。この写真は、住民の方 が高台から撮影したもので、防潮堤をはるかに越 える津波であったので、撮影者はさらに高いとこ ろに避難したそうです。 門扉閉鎖活動です。この門扉の高さは4.8mで、 海面から約6.4mになっております。門扉には、 非常用の小さい扉が付いています。また、門扉脇 の防潮堤には、非常用の階段も付いています。 避難誘導についてですが、山田町地域防災計画 により、地区ごとに避難場所・避難所が示されて おります。 毎年実施される山田町総合防災訓練において 8 津波は、大沢地区の住宅の半分以上を飲み込ん でしまいました。団員の殆どが住宅をなくし、被 波浸水区域を避けて現場に向かいました。 現場への経路は、「ふるさとセンター」よりさ 災後5日間は、2台の消防車両で仮眠をとりなが らに高いところにある林道を経由して、もうひと ら、消防団活動を実施しました。また、大沢地区 が孤立したため、燃料を調達できず、エンジンを つの避難所になっている「大沢小学校」の脇を通 り、津波が浸水した所より上の道路にポンプ車を 止めての車内仮眠となりました。東北の春は遅く、 寒くて眠れない日々が続きました。 止めました。 津波浸水状況です。この写真は、津波襲来時の 写真を撮影した方が、高台に避難して撮影したも のです。 現場到着時、火災は延焼中でした。この写真は、 付近の住民の方が撮影したものです。写真中央に 折り重なっています多数の車両は、黄色の屋根の カーショップから、流されてきたものです。 救助活動については、津波が浸水した区域では、 住宅の2階や屋根に救助を求める方々がいました が、津波の水がなかなか引かなかったので、救助 活動にはただちに取り組めませんでした。津波の 水が引けてから、瓦礫の上を歩いて救助に向かい、 要救助者を背負って避難所まで搬送しました。 浸水した津波が、徐々に引けていく写真です。 この写真は、避難所の「ふるさとセンター」に 避難した住民の方が撮影したものです。 現場到着から放水開始、そして鎮圧までの活動 ですが、現場において、最初に行ったのは、水利 の確保です。津波により建物は倒壊し、風景は様 変わりしていました。それでも、津波浸水前の建 物のイメージがしっかりと頭の中に残っていたの で、瓦礫の中から防火水槽を迅速に探し出すこと ができました。そこへ、小型動力ポンプを部署し、 瓦礫の上をホース延長しました。そして分水器を 消火活動についてですが、津波襲来後間もなく、 使用して、出火建物の南北に筒先を配備し、限ら れた水量を有効に活用し鎮圧しました。足元の悪 津波浸水区域内で火災が発生しました。避難所に い瓦礫の上でのホース搬送については、大変苦労 いた団員の中から、留守番5人を残し25人で、津 しました。しかし、軽量のホースを整備していた 9 ので、その点は助かりました。また、今回あらた めて、防火水槽の大切さをしみじみと感じた火災 は、発見場所・服装・顔を関係者に確認していた だき、身元が判明した場合、身元を示したタグを 現場でした。 付けて、避難所に一時安置しました。このとき、 ご遺体を覆うものが何もなく、避難所のカーテン をはずして使用しました。このときは、何とも言 いがたいものがありました。その後、警察に連絡 して引き渡し、警察が町の指定安置所に搬送しま した。 これが、実際に捜索に使用したタグです。すべ て手作りです。紙も、ヒモも、避難所の「ふるさ とセンター」にあったものを使用しました。 また、捜索活動において、団員疲労の軽減をは かるためローテーションも考えましたが、避難所 にいる住民の方々の捜索にかかる要望が強く、団 員を休ませることができませんでした。 火災鎮火の写真ですが、焼失した建物の周りに は、津波で押し流されてきた、瓦礫が散乱してお りました。後から現場を見て、よくこの瓦礫の上 をケガもしないで、迅速に消火活動ができたもの と思っています。 消防隊は、自分たちしかいないという必死の思 いもあったのでしょう。 自衛隊との連携についてですが、3月15日から 自衛隊が大沢地区に入り、本格的な捜索が開始さ れました。団員は自衛隊とともに行動し、ご遺体 が発見されれば、安否不明者名簿と照らし合わせ て、避難所にいる身元関係者と思われる方を発見 現場に案内し、身元の確認を迅速に行いました。 2週間後、雪や低温で殆どの団員が体調を崩した 為、1日休みを取ることにしました。 次に、捜索活動についてですが、津波による瓦 私はその時、まだ兄が行方不明だったので、一人 礫により道路が寸断され、大沢地区が孤立した状 態となりました。そのような状況下で、「ふるさ で捜索に行こうとしたら、団員が自主的に捜索に 参加してくれました。お陰様で、その日に兄を発 とセンター」に避難していた大沢地区コミュニテ ィーの会長から、安否不明者の捜索の指揮を消防 見することができました。団員には、非常に感謝 しております。 団に委ねられました。 捜索活動は、1ヵ月以上続きました。ご遺体の そこで、団員が居住していた行政区ごとに団員 を割り当て、安否不明者名簿を作成し、捜索を開 発見も少なくなり、団員の肉体的・精神的疲労も 蓄積してきたことから、4月17日の日曜日に、地 始しました。このことが、後々、ご遺体を発見し たときに、身元不明者を殆ど出さなかったよい結 元漁民の協力により漁船40艘にて、大沢地区海岸 の一斉捜索を実施しました。参加人員は、地元の 果となりました。 漁民、隣接の消防団員等約500人で、陸上と海上 警察との連携についてですが、発見したご遺体 10 に分かれて捜索を実施しました。捜索の結果は、 津波より破壊され折り重なった、養殖用イカダの 中で1名のご遺体を発見し収容しました。この捜 索活動をひとつの区切りとして、消防団による捜 索活動を終了しました。 大沢地区西側の被災前の写真です。次に、大沢 地区西側の被災後の写真です。この辺に、私の家 がありました。後日、この辺まで流れているのを、 発見しました。 大沢地区被災状況の航空写真です。写真中央の 2階建ての白い建物が、避難所の「ふるさとセン ター」です。その左上の山際に建っている2階建 ての建物が、もうひとつの避難所の「大沢小学校」 です。 大沢地区東側の被災前の写真です。ここが、第 10分団の屯所です。 次に、大沢地区東側の被災後の写真です。ここ が、第10分団の消防屯所があったところです。こ こにある漁船は、私の船で、津波に流されて防潮 堤を乗り越えてきたようです。見るのが、とても 辛かったです。 火災出動時の経路について、もう一度説明いた します。火災現場はここです。現場には、津波浸 水区域を避けて、「ふるさとセンター」よりさら に高いところにある林道を経由して、「大沢小学 校」の脇を通り、津波が浸水した所より上の道路 にポンプ車を止めて、消火活動を開始しました。 11 消防屯所の被災状況の写真です。建物は、基礎 しか残っていません。飴のようにねじ曲がってい り、災害対応の技術と知識を習得しており、水門 門扉を迅速に閉鎖し、瓦礫の中からピンポイント る銀色の物体は、ホース乾燥塔です。 に防火水槽を捜し出すことができました。このこ とは、日頃の訓練の積み重ねと、地元の地水利を 正確に把握していたからこそ、できたことです。 今回、東日本大震災における消防団活動におい て、有効に活用されたのがトランシーバーです。 このトランシーバーは分団独自で整備したもの で、火災現場等において、筒先と車両の通信手段 として活用しておりました。しかし、今回の大震 災では、津波被害により防災行政無線のパンザマ スト(鉄塔)が破壊され、役場及び消防署が被災 し、道路が寸断され、大沢地区が孤立状態となり ました。その状況下での、消火活動・救助活動・ 捜索活動等、さまざまな面でトランシーバーが有 効に活用されました。 現在、消防ポンプ自動車及び広報車は、避難所 の「ふるさとセンター」の敷地内に青空駐車し、 2階の一部が10分団の仮詰所となっております。 消防活動における教訓は、消防団の特性である 地域密着性、要員動員力、即時対応力を有効に活 用出来たことです。また、瓦礫により道路が寸断 され大沢地区が孤立し、分団独自の判断と行動と なった状況下において、分団で所有していたトラ ンシーバーが有効に活用されました。 地域密着性においては、団員が管轄区域内に居 住していたので、安否不明者の捜索に関わる行政 区ごとの名簿作成にあたり、団員を居住行政区の 担当に割り当てました。このことは、顔の見える 関係が構築されていたので、各家庭の被災時の家 写真のトランシーバーのほかに、5機の新しい 族構成まで把握できました。 要員動員力については、団員のほとんどが漁業 トランシーバーがありましたが、消防屯所に置い ていたので、津波に流されてしまいました。その 者で、消防屯所の近くで仕事をしておりました。 このことから、地震発生後間もなく、全団員が消 5機が残っていれば、活動にもっと貢献したもの と思っています。 防屯所に集合できました。今までの火災出動等に おいても、10分団は常に高い参集率でありました。 即時対応力については、団員は日頃の訓練によ 12 以上で、私の発表を終わります。 東日本大震災全国消防団報告研修会 報告盻 「東日本大震災 黒い津波の襲来」 宮城県名取市消防団 分団長 樋口 惠一 ※本稿は、研修会での報告内容を掲載しております。 ただいま、ご紹介をいただきました宮城県 ゆりあげ 名取市消防団 閖上分団 分団長をさせてい ただいております樋口惠一です。名取市を代 表しての報告と伺い、生かされた者の使命か と考え、この場に参りました。 私たち、海岸線を居住地にしている人は、 復興して元のような暮らしがしたいと願う も、なかなか先が見えず、街づくりを進めて よいものかどうか、それとも、故郷に住めな くなるのか、住みたくないのか、…と毎日気 持ちが揺らいでおります。 今日は、新しい沿岸地域をつくり上げ、後 名取川を挟み、北側に仙台平野、藤塚地区、 世に残すべく、皆様とともに考えていただき 南に面して閖上地区、となります。名取川を たい思いでお引き受けした次第です。 遡上した黒い津波が、田畑を呑み、家屋や車 我が故郷、名取市は仙台市の南隣りに位置 を押し流す。「まさか、あの家に人が…」未 し、仙台空港の所在する市であります。その 曽有の破壊力、恐怖の1コマです。ご覧のと 中において、閖上地区は太平洋に面し、人口 おり、未曽有の大災害でした。ちなみに、こ 7,103名、2,551世帯の漁業、農業を中心とした の映像は東北の人たちにとって大規模な停電 小さな街です。この街が東日本大震災の津波 により、当日見ることはできませんでした。 により未曽有の被害を受けました。閖上地区 名取市の紹介を少々させていただきます。 内で死者、行方不明合わせて845名という大 東北の中心都市、仙台市のすぐ南に位置し、 災害でした。残念なことに、私の大切な家族、 仙台空港を有する人口7万人の街です。国道 母、妻、そして親戚の方々と多数の尊い命が 4号線、仙台東部道路が市を縦断し、物流の 奪われました。これからの復興の道のりは長 中核地としても発展しております。平成19年 く険しいものではあるかと思いますが、亡く 3月には、仙台空港アクセス鉄道が開通、仙 なった人たちの無念を忘れることなく、しっ 台市のベッドタウンとして新興団地が形成さ かり歩んでゆきたいと思っております。 れ、確実に人口が増加しております。 この写真は閖上のシンボルでもあります、 名取市の位置、名取市はこのような位置に 閖上の日和山です。昔、漁に出る時、日和を あります。写真で見える川は、上が名取川、 見たと言われております。標高6mの人造の 下が阿武隈川であり、ともに1級河川であり 山です。犠牲者を追悼し、復興に願いを掛け、 ます。 黙祷している写真です。 まず、初めに津波襲来の映像をご覧いただ きたいと思います。 13 こちらも、美田園駅周辺に造成されている 美田園団地です。この場所に仮設住宅約250 世帯の方々が生活しております。 東北の空の玄関口、仙台空港とアクセス鉄 道です。この画像は山手より仙台空港を撮影 した航空写真です。緑が仙台アクセス鉄道。 黄色と青で囲まれているところが、新市街地 です。右上に見える細長い部分が、仙台空港 の3,000m滑走路です。後ほどの写真にありま すが、空港ビルまで津波が押し寄せてまいり ました。 杜せきのした新市街地。左側が、空港アク セス鉄道、杜せきのした駅に直結する大規模 なショッピングモールが右側に見えます。 14 私が住んでいる、港町閖上です。閖上とい う文字、読めるでしょうか?871年、十一面 観音像が波で浜に揺り上げられたのを漁師が 見つけた。以来、この浜を「ゆりあげ浜」と 呼んだと言われております。また、仙台藩主 が大年寺山参拝の折り、遠くはるか東に見え る波打つ浜を見て「あれは何という所か?」 と家来に尋ねたら、「ゆりあげ浜と申します」 と答えたところ、「文字はどう書くのか?」 と尋ねられ、「文字はありません」と答える と、藩主は、「門の内側より水が見えたので、 これからは門の中に水を書いて、『閖上』と 呼ぶように」と言われました。それから閖上 の文字ができたと、言い伝えられております。 そして、これらが、私の住んでいる港町、 閖上が誇れるものです。日本一の赤貝を販売 している、ゆりあげ港朝市。夏になると多く の海水浴客で賑わう、ゆりあげビーチ。夏祭 り花火大会、漁船パレード等、多くの観光客 の人々で賑わう街です。 この決定的瞬間の写真は、3月11日忘れも しない巨大地震の後の大津波です。仙台空港 から太平洋に向かって撮影されたものです。 閖上の街を呑み込み、瓦礫と化した家屋を 内陸の方へ押し流している状況です。煙が見 えるのは、津波で衝突したガスボンベや危険 物が引火し、火災となったまま流れていく状 態です。 ご覧のとおり、仙台空港ビルも完全に1階 部分が水没いたしました。写真では、ターミ ナルビルの下に滑走路があるはずですが、濁 流でまったく見えません。この時、約1,000人 の方々がこの施設に避難いたしました。幸い、 着陸中の旅客機はありませんでした。 こちらは、発災から約2日間、燃え尽きる まで消しに行くことすらできなかった閖上7 丁目の集落です。11日の夜、救助を求める 119番が鳴り続けたと聞いております。残念 ながら皆さん亡くなりました。 こちらは名取川河口の閖上大橋に救助に駆 けつけた救助隊が撮影した写真です。川の堤 防から遡上した津波が閖上の町へ溢れ出すと ころです。 15 名取市の被災状況です。発災直後震度6強。 3月11日14時46分、マグニチュード9.0。津波 の襲来、15時48分頃。冠水の面積、27裄、市 域の4分の1以上です。最大余震、震度6弱、 4月7日23時32分。 津波の到達範囲。津波は、およそ4袰の内 陸まで押し寄せ、閖上地区からは矢印で示し たとおり、約3袰の東部道路で、ある程度さ えぎられました。多数の瓦礫が防波堤となっ た仙台東部道路の法面に吹きだまりました。 青いラインが、最終的に津波が到達した範囲 です。 こちらは、名取市沿岸の人工衛星写真から の比較写真です。閖上地区、市街地の屋根が 殆ど見えなくなりました。また、仙台市の海 岸線の地形が明らかに変わっております。 これが、閖上地区の震災前と震災後の拡大 写真です。煙が見える地区が、先ほどの閖上 7丁目の大火災であります。 16 これまでの津波の歴史を振り返ってみます と、明治三陸大津波からは近年の記録として、 はっきりと残っていますが、今回の津波は、 約1,100年前の貞観大津波の周期的なものだと いうことは、ほとんどの人が、この知識を持 ち合わせていませんでした。 これまでの津波の教訓。沿岸部だから、と りあえず、大地震・津波警報が出たら高台に 逃げろ。3月9日、本震の2日前に比較的大 きな地震が発生。名取市で震度4。石巻市鮎 川で50袍の津波を観測。消防団は広報活動実 施。被害なし。心の中では、金華山リアス式 海岸の最南部より南では、津波被害がないと 思っていた。遠浅の海岸では、津波被害がな いと思っていた。すべて、甘い考えでありま した。 従って、近年の歴史から伝わった意識だけ では、まさか津波が砂浜の防波堤を乗り越え、 街まで呑み込むとは誰が想像したでしょう か。本当に、甘い考えでありました。 津波が引いて、数日後の航空写真です。漁 港前の写真からは、木造家屋の基礎部分しか 残っていません。閖上中学校は避難場所とな り、校庭には流れ着いた漁船、車、瓦礫の山 が体育館前の所で、せき止められております。 宮大工が丹精込めて作った東禅寺は、さす がの巨大津波でも壊すことはできませんでし た。しかし、中は全壊状態です。河口から閖 上の街を見渡すと、戦時中の空襲後の写真の ようです。 防砂林として植えられた松の木が津波によ りなぎ倒され、流木となって家や畑を荒らし ました。 右側の写真は、一刻も早く救援物資を我々 に届けてくれるために、昼夜を問わず整備し た3,000m滑走路、3月16日に、アラスカから 3棟ある黄色い建物の介護施設では、34名 の米軍輸送機が初めて降りたっております。 の方々が亡くなりました。周辺の大きな水溜 世界中から輸送機が離着陸し、まさに東北一 まりは、海水が引かず、水浸しになった田畑 の国際空港の機能を果たしました。民間旅客 の状態です。右側の写真は、家屋の密集で、 機が運行をはじめたのは、4月13日で、震災 津波の勢いが弱くなり、流失を免れた閖上1 から1ヶ月以上経過してからです。 丁目地区です。この周辺からたくさんの遺体 が収容されております。 周辺の流失車両の仮置き場となった空港駐 車場。鉄道の駅にはアメリカ軍が駐屯してお 閖上の漁協は、建物がしっかりと残っては ります。 いますが、内部の設備はすべて流失いたしま 空港南側の北釜集落は、北釜メロンという一 した。水揚げ場所の路面も、ひどく陥没して 大ブランド品を産出していた臨空の町です。 います。監視塔の下にはトタンのような瓦礫 塩分を含んでしまった畑では、当面、作物は が引っかかっていました。津波に乗って陸上 育てられないと聞いております。右側が、そ を動き回った4.9tの漁船。どこの被災地でも、 の住民の広報活動に回った小型動力ポンプ積 よく見かける光景でもあります。 載車も一瞬にして流されました。 17 建物については、市の約4割が被災しまし た。住宅の全壊と大規模半壊を合わせた数で いえば、市全体の約1割に相当する規模にな ります。避難状況では、ピーク時でおおよそ 人口の15%が避難しました。現在では避難所 のすべては閉鎖され、家を失った人々も新し い住居で新しい生活を始めております。 ご覧のように、被災前の名取市は、閖上地 区の一部や下増田地区の新興団地開発にとも ない、市全体の人口は着実に増えております。 ところが、今回の震災で、閖上・下増田の住 民が死亡、又は転出により、世帯の減少が著 しく目立つようになってきております。 名取市の消防団の紹介です。組織は1本部 6分団で定員は480名です。幸いにも名取市消 防団においては成り手不足の不安はなく、常 に460名前後の団員を維持しております。震災 前の3月1日当時は473名充足率98%です。 震災での犠牲者、殉職消防団員15名、閖上 分団11名、下増田分団3名、増田分団1名。 公務外での死亡団員5名。殉職消防職員3名、 名取市消防署閖上出張所当日勤務職員です。 7月4日現在の死者・行方不明者の数はご 覧のとおりです。今現在も、最後の1人まで 必ず見つける信念を抱き、自主的な捜索活動 を続けておりますが、最近ではなかなか発見 にいたっておりません。死者・行方不明者合 わせて1,012名になっております。 消防団の被災施設、被災車庫・詰所6棟、被 災車両7台。我々の仲間の犠牲者です。誠に 残念な結果です。しかしながら、消防活動中 に、父・母・妻・子供が災害に遭い、亡くし た団員が多くいることも忘れてはならない事 実です。 地震直後の私の行動、3月11日当日、地 元・閖上中学校の卒業式に招かれ、帰宅後、 いつもより遅い昼食を終え、妻と卒業式の様 子などを語り合っていた14時46分、これまで、 体験したことのない激震。いつ止むともなく 長い揺れで、5分くらい続いたでしょうか。 地面から揺さぶられるような余震が次々起こ る中、店の中は商品がひっくり返り、揺れが 一時収まったところで外に出て見ると、店舗 18 2階の壁が道路を覆っていたので車の通行の 民館を見て叫んでいる若者もいて、公民館の 邪魔にならないようにと撤去し、続いて新中 マイクコードを繋ぎ、救出を試みたわけです 学1年生の制服が沢山入荷していることもあ が、渦巻いた津波は遠くへ遠くへと引き離し り、浸水により汚してはならないと思い2階 無力にも何もできませんでした。多数の犠牲 に運び込み、ホッとする間もなく妻に急いで 者が出て、まるで地獄絵図そのものでした。 避難するようにと促しました。妻は車で、自 閖上中学校・閖上小学校が避難所になってい 分もすぐ消防の活動着に着替え、約500m離 て、海岸から1.2袰から1.8袰くらいあります。 れた公民館に向かいました。この日、32回目 1階は1.5m∼2mの水没です。津波の遡上は の結婚記念日を迎えた妻との別れとなってし 海岸より4袰。その中に津波を阻止した仙台 まったのです。 東部道路の法面があります。 私は途中、まだ避難してない方々に津波が この鉄筋コンクリート2階建ての閖上公民 来るから早く避難するようにと呼びかけをし 館は、避難所指定にはなっているものの、当 ながら、持ち場である公民館に急ぎました。 時の10mの大津波に対応できるかどうか、危 途中、仲間の団員も近所の老人世帯に声かけ ぶまれていました。 をしていました。その消防団員は消防団とし しかしながら、小学校・中学校までたどり ての任務遂行し、自分のガソリンスタンドの 着けなかった78名の住民が身を寄せた場所で 戸締まりに戻って被災し、残念な結果となり す。ここまでもたどり着けなかった人が大勢 ました。私は公民館にあとわずかというとこ おります。 ろで、東側に黒煙が見え、地震により火災が 発生したのではと思い「火事だー」と騒いだ 瞬間、お寺の墓石が津波によりなぎ倒される 音、バキ、バキ、バギーっと黒い津波。5∼ 6mくらいはあったか。見た瞬間、夢中で大 声で「津波だー!逃げろ」と叫び公民館に滑 り込みました。危機一髪で公民館に滑り込み ましたが、私の後ろを走ってきた人たちは一 瞬にして津波に呑まれ、どうすることもでき ませんでした。 公民館の自動ドアを閉めた後は、1mくら いの高さまで水が押し寄せていました。そし て、開閉式のドアを閉め、階段を5∼6段昇 った所で、津波が胸付近まで来ました。玄関 で5人の人たちの姿も確認しましたが、一瞬 のうち、津波に飲み込まれてしまいました。 手の施しようがありませんでした。階段で、 私の前にお婆ちゃんが津波に足をすくわれ歩 けなくなっていたのを後ろから支え、渦巻く 津波に私も足をすくわれながら、やっと2階 まで上がったら津波も追いかけるように2階 の廊下まできました。これ以上、水が上がっ たら大変なので、避難している人たちにテー ブルを寄せ上にあがるように指示しました。 窓の外を見ると柱にすがり、「助けて」と公 消防団の捜索活動はこのようなものでし た。招集命令により、団長指揮の下で活動し 19 たのは、延べ日数22日間。延べ人員1,378名で した。 内容といたしましては、震災翌日から常備 消防と災害対策本部指令で救助活動、併せて 遺体の捜索をはじめました。初めは足場が悪 く、泥だらけの捜索活動でした。私も、見覚 えのある横転している車より知人を発見して おります。 道路確保ができてから本格的な捜索がはじ まりました。15日より、各隊4名以上、10隊 編成で組織し、常備とともに活動いたしまし た。 5月になってから、自衛隊・警察・常備消 防・消防団で、被災地を202のメッシュで区 切り、自衛隊の指揮の下、徹底した遺体捜索 を開始いたしました。 私の担当したのは用水堀の捜索活動。自衛 隊より胴長靴を借用し、堀の幅により人員を 振り分け、横一列1m間隔で前進する過酷な 作業でした。いちばん深い場所は、自衛隊の 人が泳ぎながらの捜索で、頭が下がる感謝の 気持ちでした。それ以外でも、沿岸部の分団 員は、家族・知人の捜索のため、自主的な活 動を続けています。 捜索活動、8時30分、公民館へ集結。団長 から今日の現場と活動内容が指示されます。 活動中の事故、怪我が心配でしたが、幸いに も公務災害の発生はありませんでした。この ような瓦礫の中での捜索活動は、ぬかるみで 足場が悪く、釘やガラスがいたるところにあ り困難を極めました。捜索活動を進めるにあ たり、晴れた日には特に瓦礫からの粉塵がひ 20 どかったのでゴーグルを使用しました。ぬか るみが多く、編上靴だけでは泥だらけになる ために、胴長靴も必要な資機材だと思います。 犠牲者が発見されたときは、警察官や自衛 隊の鑑識に引き継ぐこととされております。 左側の写真のように、容易に分かるように旗 印を立て目印といたしました。 ハウスの中などは、重機が入れないので、 手作業でバケツリレーの要領にて瓦礫を排除 し捜索をいたしました。このような地道な捜 査で、3遺体が発見されております。 津波襲来時刻には、車に乗って逃げる人の 交通渋滞が多発いたしました。津波は渋滞中 の車を瓦礫ごと呑み込み、乗っていた人たち はシートベルトを締めたままの状態で帰らぬ 人となっていました。 津波が引いた後の田や畑は排水が悪く、1 ヶ月近く泥沼の状態でした。重機も入れず、 ここを捜査するには腰まで浸かって歩かなけ ればならなかったのです。 今回の震災においては携帯電話が使えず、 情報を把握することが困難でした。消防車両 に取り付けられてある受令機では、一方的な 指示及び状況だけを聞くだけで、受け答えが できない状態です。消防団用の送受信できる 通信機材が必要かと考えます。各分団車両に 指示も出せるし、リアルタイムで現場状況も 把握することができます。また、消防本部に 指示を求めることや、現場の状況を報告する こともできると思うからです。 こちらが、大規模半壊と言われる住宅です。 名取市の復旧に向けて、まだまだ犠牲者の 家の形は保たれていますが、玄関は流れ込ん 思いが断ち切れたわけではありませんが、名 だ瓦礫が埋め尽くし、部屋の奥で犠牲者が発 取市は復興しなければなりません。この写真 見されることもしばしばありました。 は、いち早く町を活性化すべく、場所を移し ポンプ小屋の外壁に津波の痕跡が残ってお ります。おおよそ180袍の位置でした。 たにせよ、閖上の朝市が復活しました。6月 には仮設住宅がおおむね完成し、いつもの生 活を取り戻しつつあります。名取市では、9 月を目標に復興計画を作っております。 被災消防車両。下増田5部の車両では、広 報中の団員が3名、車両に乗ったまま犠牲に なりました。分隊長は放送マイクを握ったま までの状態で発見されました。閖上9部の最 終わりになりますが、今回の震災により、 新型の車両は、自力避難ができない人を閖上 全国各地、さらには世界中から温かいご支援 小学校まで搬送し、校舎に担ぎ込んだ瞬間に をいただき、大変感謝いたしております。惜 津波が来て押し流されました。 しくも犠牲になりました消防団員に敬意を表 し、これから名取市が復興することを誓い、 この震災で得た教訓を風化することなく、後 世に伝えることも我々の使命かと、力強く生 きてゆきたいと思っております。 ご静聴、誠にありがとうございました。 21 女性消防団員による災害図上訓練 ∼「DIG−SVFC(下関市消防団)」∼ 山口県下関市消防団 団長 植田 喜好 1 はじめに 3月11日に発生した東日本大震災は、地震と津波等により未曾有の被害をもたらしました。この震災で、 消防職団員をはじめ犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました多くの 皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復興をお祈り申し上げます。 2 災害図上訓練DIG-SVFCとは 災害図上訓練「DIG」は、災害時にどのような行動をとるか、地図等を使用して図上(机上)で行うゲ ーム感覚の防災訓練です。自治会、自主防災組織等を対象に全国各地で行われ、その成果を挙げています。 図上で行う訓練のため、直接消防機械器具等の取扱技術の向上にはつながりませんが、消防隊の指揮要領 や情報収集要領等ソフト面の訓練には大きな効果があります。また、訓練場所、訓練内容など柔軟に対応 することができ、訓練にかかる経費も安価で行えます。 DIG-SVFCとは、DIG(Disaster Imagination Game)災害図上ゲーム、SVFC(Shimonoseki City Volunteer Fire Company)下関市消防団の略で、下関市消防団が消防団員研修用として、通常実施されて いるDIGに消防団員に必要な知識の習得を目的に改良を加え考案したものです。 「訓練のねらい」として、盧現場対応能力の醸成、盪情報収集要領の習得、蘯情報伝達要領の習得、盻 情報整理要領の習得、眈召集団員、出動団員の人員管理、眇消防署、消防局等への報告要領の習得、以上 のことを習得することを目的としています。 3 DIG-SVFCの流れ 訓練参加者の役割 プレイヤー:訓練団員です。 情報付与班:情報を訓練団員に付与します。ここでは、地域住民や消防署です。 付与補助者:各災害現場のブースにいて、訓練団員に個別の災害状況を伝えたり、訓練団員の質問 に答えます。ここでは、災害現場です。 配 置 図(例) ※ ○は訓練団員、情報付与者及び付与補助者 22 前提条件(例)の付与 訓練にあたり、DIGの前提条件(訓練開始前に分かっていること)を与え、訓練を開始します。 盧 大雨の概要 山口県全域「大雨・洪水警報、雷注意報」発表中です。土砂災害、浸水、河川の氾濫等の重大な 災害の発生に備え厳重な警戒が必要です。 突如として、豪雨(ゲリラ豪雨)が、下関市を襲ってきました。 盪 訓練団員のいる所と状況 下関市に災害対策本部が設置され、消防機庫(中央の机)に待機しています。 蘯 行政の対応 消防局・消防署や警察署等は、豪雨による災害対応が多数にわたるため、到着には相当な時間を 要します。(いつ来るか分からない状態。) 盻 通信の状況 携帯電話、公衆電話等すべての通信は使用できます。 訓 練 開 始 1 街(訓練地域)の地図に、訓練団員が各種情報を持ちより、主要道路や河川にラインを、避難 所、病院等にマークします。 プレイヤーが地図に、可能な限り情報を書き出します。 ※プレイヤーの地元の地図を使うとより実践的になります。 2 状況付与カードが付与されたら地図を確認し、情報を書き込みます。 付与された情報を地図に書き込みます。地図に書けない(場所がわからない)等の場合は情報付与 班に、その旨を情報要求カードに書き込み提出します。 情報付与班が、聞かれた内容に答えます。 3 次に消防機庫(中央の机)で受けた災害に対する対応策を検討します 受けた災害にどのように対応するか、訓練団員内で 検討し、決定します。 そして災害現場(別の机)に団員を出動させます。 (付与記入例)状況確認のため、消防車で 団員4名災害現場に出動させる。 4 災害現場に到着した訓練団員は、現場の状況・情報・対応策を検討する。 (災害現場対応) 災害現場に出動した団員は、災害現場で必要な情報・状況を調査します。(付与補助者に情報・状 況を、直接尋ねる)情報・状況などが分かったら、どのように対応するか(どのように処置するか) 現場対応等を出動した団員で検討し決めます。 現場対応等が決まったら、災害現場の情報とその対応(処置)を、現場行動カードに記入します。 現場行動カードを作成し、消防機庫に携帯電話(実際は口頭)で報告します。報告後、現場行動カー ドは、付与補助者に提出します。 (対応の例)けが人を、近くの病院へ連れて行く。 屋根をロープで固定する。 23 5 消防機庫の訓練団員は、出動した団員の情報・対応など報告を受ける。 (消防機庫の対応) 災害現場に出動した団員から、災害現場の情報など報告を受けたら、災害現場と同じように現場行 動カードに記入し、消防署などに報告できるようそれらの情報を簡単に整理します。報告を受けた中 で緊急の情報と判断した場合は、直ちに消防署(情報付与班が代行します。)に、その情報を報告し ます。 最後に、整理した情報等を、消防署(情報付与班)に提出します。 6 訓練中は、次々と付与カードが消防機庫に配られます。 災害発生等の付与カードは、訓練中次々と配られますので、訓練する団員の皆さんは、積極的に協 力し合って、訓練を進めていきます。 7 訓練終了後、各付与カードに対する行動が適切であったか考察します。 行動カード(例) 24 状況付与カード(例) 4 なぜ消防団員にDIGが必要なのか 下関市の人口は約30万人、消防職員数は322人で下関市の住民約930人に1人の割合となっています。そ れに対し、消防団員数は約1,900人で下関市の住民約160人に1人の割合で、東日本大震災のような大災害 が発生した際に、動員力のある消防団員がそれぞれの地域でリーダーとなって、災害活動を行うことが期 待されます。そこで、DIG-SVFCを通じて、消防団員が地域の実情を再確認し、実際に発生が予測される 災害を想定して災害対応をシミュレーションしておくことで、実災害時により効果的な活動が期待できま す。消防操法訓練のように、消防機械器具に精通するハード面の訓練も必要ですが、火災だけでなく自然 災害をはじめ様々な災害に対処するためには、消防隊の指揮、現場での情報収集など、今まであまり実施 していなかったソフト面の訓練も必要であると思います。大規模な図上訓練でなく、比較的簡単に実施で きるDIGは、消防団員のソフト面の訓練に非常に有効な手段だと考えています。 5 おわりに 下関市消防団では、平成17年から女性消防団員を対象とした自主研修を、年間10回程度開催しており、 毎年2月にDIGを実施しています。最初は、通常のDIGを行いましたが、消防団員の活動能力向上を目的 としたDIGを行いたいと考え、より災害に近いものとするために、直接災害現場での活動を想定した災害 現場の机を設け、現場における対応能力や情報収集要領などソフト面の習得できるDIGとして、DIG− SVFCを考案しました。女性消防団員の間では、数回実施していることもあって、訓練要領にも慣れスム ーズに訓練を行っており、好評を得ています。しかし、一部の男性消防団員で実施したときは、まだまだ 馴染みがなくDIGの実績はありません。今後は全消防団員対象に行い、消防団の更なる活動技術の習熟を 図り、災害対応能力の向上に努めていきたいと考えています。 下関市消防団ホームページ http://www.svfc.jp/ 25 特別表彰「まとい」を受章して 更なる地域防災力の向上を目指す 地元密着の消防団 青森県青森市青森消防団 団長 小笠原 峰一 はじめに qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq 当消防団は平成23年2月24日、日本消防会 館ニッショーホールにおいて、第63回日本消 幹線新青森駅も開業し、「一路青森。うまし、 うつくし、北のまほろば。」をスローガンに、 全国からのお客様をお迎えするべく、観光に も力を入れて取り組んでいます。 防協会定例表彰式が厳粛かつ盛大に執り行わ また、青森市は山海の幸にも恵まれ、四季 れる中、永年の念願でありました、最高栄誉 折々のイベントには切り離すことができない 章である特別表彰「まとい」を高木繁光会長 食材が用意されます。春の花見の時期にはト 「焼津市消防団発足 60ゲクリ蟹とガサエビ(シャコ) 年目の栄誉」 、日本の夏祭 より拝受いたしました。日本全国2,000を超え る消防団の中から、選ばれてこのような栄誉 りとして有名なねぶた祭りの時季には最近一 ある表彰を受章できましたことは、消防団に 押しの黒房すぐり(カシス)、秋にはご存知 携わる者として、この上ない喜びであり、改 のりんご、そして寒い冬には体を芯から温め めて関係者の皆様にお礼申し上げますと共 てくれるタラのじゃっぱ汁など。また、一年 に、全国の消防団の亀鑑となるべくがんばっ を通じて楽しむことのできる陸奥湾のほたて てくれた当団の団員の皆さん、そしてそれを や特においしいと評判のヒラメなどの魚介類 支えてくれたご家族の皆さん、また、数々の は市内の多くの飲食店で堪能することができ 輝かしい歴史と伝統を築き上げていただいた ます。 諸先輩方に対し、深く敬意と感謝の意を表す るところであります。 青森市の紹介 青森市青森消防団の紹介 qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq 青森市青森消防団は、平成17年4月に旧青 qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq 森市と旧浪岡町が合併し現在の青森市が誕生 青森市は、本州最北の青森県の中央部に位 したことに伴い、旧浪岡町消防団であった青 置し、南に八甲田連峰を抱き、北に陸奥湾を 森市浪岡消防団と共に発足しました。人員及 湛える地方中核市です。昨年12月には東北新 び組織等は旧青森市消防団をそのまま引き継 まとい振り はしご乗り 26 いでおり、人員については平成23年7月1日 現在、条例定数1,600名に対し、実員1,502名、 消防車両88台、小型動力ポンプ10台、管轄区 域については現在の青森市のうち、合併前の 旧青森市の区域となっています。 消防団としての活動は、多くの消防団と同 様、災害現場での消防活動はもちろんのこと、 それに備えての消防訓練や警戒、パトロール が主なものですが、加えて当団独自の行事が ありますのでご紹介します。 初午祭 qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq 幹部研修会 年間を通じて活発に活動しています。 毎年2月の初めての午の日に、その年の無 特に今年は、当団の女性分団である「青桜 火災を祈念して行われます。この由来は、も (せいおう)分団」の団員が、10月19日に横 ともと五穀豊穣や厄除けであった初午の日の 浜市消防訓練センターにおいて開催される 風習に、青森市では独自に火の用心の意味が 「第20回全国女性消防操法大会」に青森県代 込められるようになったものです。当団では 表の「青森市青桜女性消防隊」として参加す その日、団員が家々をまわり火の用心を呼び ることとなっております。 かけたり、市長をはじめとした消防団・常備 消防の幹部が神社に参拝し、玉串を捧げると 共にまとい振りの奉納を行うなどします。 分団・方面隊定期点検 qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq おわりに qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq 当団が本表彰を受章してから1ヶ月も経た ない間に、東日本大震災が日本を襲いました。 わが身の危険を顧みることなく危険な災害現 当団では年に1度、消防団の幹部(団長、 場で活動し、地域の皆さんを救い、その結果 副団長及び本団分団長)が割り当てを決め、 惜しくも職務に殉じて命を落とされた消防団 管内91箇所の各分団各班の消防団機械器具置 の同志の皆様には、改めて衷心より哀悼の意 場を点検に訪れ、建物の使用状況やホース及 を表しご冥福をお祈り申し上げますととも び防火衣等の備品の維持・管理状況、表彰記 に、そのご家族の皆様の心の傷が一日でも早 録や機械日誌等の管理簿冊をチェックしま く癒えますことをお祈り申し上げます。 す。 我々青森市青森消防団の団員は、今回の受 また毎年10月下旬には、方面隊ごとに全98 章と東日本大震災の教訓を深く心に刻み、今 台の消防車両、小型動力ポンプを市内の広場 後も「私たちのまちは私たちが守る」という に集結させ、団長及び副団長による機械器具 崇高な理念のもと、地域の皆様に信頼される 点検を実施しています。 ような消防団活動に努めて参りたいと決意を これらの点検結果は点数化され、最も成績 新たにするものであります。 の良かった分団が優秀分団として、また成績 結びにあたり、このたびの受章に関し格別 の良かった班のうち上位1位から3位が優秀 のご高配を賜りました日本消防協会並びに青 班として、4位から6位が優良班として観閲 森県消防協会の皆様に重ねてお礼を申し上げ 式において表彰されます。 ますと共に、全国の消防団の今後益々のご発 これらの他にも、毎年1月には新任消防団 展と、先の震災で甚大な被害を受けた被災地 員研修、非常召集訓練、6月には消防団観閲 が一日でも早く復興されますことをご祈念申 式、11月には消防団員等公務災害補償等共済 し上げまして、受章のご挨拶とさせていただ 基金との共催で消防団幹部研修を行うなど、 きます。 27 「災害に強いまちづくりへ」 三 重 紀北町消防団 団長 世古 勝典 1 紀北町の紹介 紀北町は、三重県南 部の東紀州地域の玄関 口に位置し、大台山系 から連なる急峻な山々 と熊野灘特有のリアス 式海岸に囲まれた風向 明媚なまちです。 また、日本有数の多 雨地域でもあり、平野 部が少なく町の総面積 の9割近くを森林が占 消防出初式 めています。 四季折々で表情を変える「世界遺産・熊 現在、1本団、10分団、団長以下404名 野古道」、大台山系に源を発した清流の の団員を有するとともに、小型ポンプ積載 「銚子川」や、奇石や巨岩がたたずむ「魚 車23台、資機材搬送車4台、小型ポンプ30 飛渓」 、“海のねぶた”とも称され巨大な燈 台を配備しています。 籠が花火をバックに海上を舞う姿が幻想的 「自分達のまちは自分達で守ろう」とい な「燈籠祭」、自然豊かな山々の恵みを受 う郷土愛護の精神のもと、災害に強いまち けて流れ込む川の水と黒潮が混じり合う汽 づくり・人づくりを目指して、火災予防活 水湖で育てられた「渡利牡蠣」等、多様な 動をはじめ、災害時の警戒防御活動、自主 地域資源に恵まれたまちでもあります。 防災組織等の訓練指導,伝統行事の消防警 備などの活動をしています。 2 紀北町消防団の紹介 紀北町消防団は、平成17年10月11日、紀 ◎訓練 伊長島町と海山町の合併と同時に消防団も 紀北町消防団は、9月1日防災の日前後 合併し紀北町消防団となり、紀伊長島方面 に行われる紀北町総合防災訓練、年2回の 隊と海山方面隊の編成となります。 消防団総合訓練を中心に、各方面隊、各分 28 団ごとに訓練を行い、いつ発生 するかわからない災害に備えて います。また隔年で実施してい る尾鷲市消防団との合同訓練に おいては、火災防御技術の向上 のみにとどまらず、市町をまた ぐ交流を行うことにより大規模 災害時等において相互協力がで きる体制を整えています。 ◎予防活動 春秋火災予防運動期間中は各 女性消防団による創作劇「ぴょん吉君の大変な一日」 地区に消防車両を出動させ、防 火パレードを実施し火災予防思想の普及向 れた地域の一日も早い復興を願い、被災さ 上に努めています。また、女性消防団員に れました多くの皆様に、謹んでお見舞い申 よる町内各地域の一般家庭(主に独居老人 し上げます。 家庭)を訪問し、防火診断を行い、各保育 また、9月上旬に上陸した台風12号がも 園・幼稚園を訪れ、創作劇を実施する等火 たらした豪雨が紀伊半島を襲い、和歌山県 災予防の啓蒙を図っています。 を中心に、ここでも想定外と言う雨量を記 ◎警戒活動 録し、近隣地域に多くの被害が発生しまし 火災や台風時の警戒のみならず、毎年実 た。この災害により被災された皆様につき 施される町内各地での花火大会、祭り等の警 ましても、謹んでお見舞い申し上げます。 備に積極的な活動を展開しています。また年 私たちの住むここ日本。地震大国と呼ば 末には、各分団にて全地区を防火パトロール れ、また、台風の通り道にもなり、常に災 して、火災の未然防止を図っています。 害と背中合わせです。また、ここ紀北町は、 近い将来必ず発生されると予測されている 3 終わりに 先の東日本大震災におきまして、被災さ 東海・東南海・南海地震とこれらの地震に 伴う津波により甚大な被害が発生すると言 われている地域です。私たち消防団も、特 に想定外とされるあの津波を教訓にさせて いただき、様々な訓練・活動に取り組み、 災害に負けないよう日頃から災害現場にお いての安全管理を念頭に、活動に必要な知 識と技術の習得に努めています。 今後とも、災害に強いまちづくりへの努 力を惜しまず、活動してまいりたいと思い 世界遺産 馬越峠「象の背」から見た紀北町 ます。 29 「地域に密着した災害に強い まちづくり」を目指して 埼 玉 三郷市消防団 団長 本間 雄一郎 1 三郷市の紹介 三郷市は、埼玉県の東南端に位置し、東京 都と千葉県に隣接しており、東は江戸川、西 は中川という1級河川に挟まれ南北に細長い 平坦な地形で、都心から20㎞圏とは言え、い まだ田園の残る人口13万人の都市です。 交通網としては、首都高速、常磐自動車道、 外環自動車道の3つの高速道路を結ぶ三郷イ ンターチェンジがあります。また、平成17年 には都市高速鉄道「つくばエクスプレス」が 災害対応機動車 開通したことにより、都心へのアクセスが更 に良くなり首都近郊の住宅都市として人口の 増加が見られると共に、大型商業施設の出店 により市内の賑わいが増しています。 さらに、来年5月には市制40周年を迎え、 2 三郷市消防団の紹介 三郷市消防団は、東和村、彦成村、早稲田 村の三ヶ村が町村合併促進法により合併し 「三郷村」が発足したのを機に、昭和32年6 「きらりとひかる田園都市みさと∼人にも企 月に三郷村消防団として、消防団員362名、 業にも選ばれる魅力的なまち∼」を将来都市 三輪消防ポンプ車3台、可搬ポンプ22台で発 像としてまちづくりを進めています。 足しました。 その後、昭和47年の市制施行に伴い、三郷 市消防団となり現在に至っています。 組織としては、1本部・6分団・24班の構 成で、条例定数360名のところ平成23年8月1 日現在328名でポンプ車2台、小型全自動消防 車4台、小型ポンプ付積載車12台、各種災害 対応機動車5台、救助資機材搭載型車両1台の 合計24台の消防車両を運用しています。 また、団長1名、副団長2名、女性消防団 員(アザレア)13名は団本部となっています。 3 三郷市消防団の活動 三郷市消防団は、地域に密着した「市民の 安心・安全を守る、災害に強い、まちづくり」 住宅用火災警報器設置 30 を目指し、平成17年度から民生委員の協力を 得て「ひとり暮らし高齢者宅」の住宅防火訪 定し、すべての消防団車両に爪付き油圧ジャ 問を行っています。始めた当初は、平日に民 ッキ、救助ロープ、四折担架等を積載すると 生委員に案内をしてもらい、女性消防団員2 ともに、平成19年度から小型ポンプ積載車の 名と地元男性団員1名で訪問し、消火器や住 車両更新の際には、各種災害対応機動車を導 宅用火災警報器の設置状況、いち早く安否確 入し、現在5台を保有しています。 認をするための情報収集を行ってきました。 この各種災害対応機動車は、4輪駆動車の しかしながら、多くが会社勤めの男性団員 小型可搬ポンプ積載車に、充電式油圧救助器 には平日の訪問は負担が多いと、平成21年度 具セット、エンジンチェーンソー、チェーン からは、女性団員は「防火啓発」を目的に、 レバーブロック等を積載しており、さらに高 男性団員は、大規模災害時に備え「災害時要 度な救助活動を行うことが出来ます。 援護者」の情報収集と高齢者とのコミュニケ 順次、小型ポンプ積載車の車両更新時には、 ーションを目的として、それぞれが防火訪問 各種災害対応機動車を導入していく予定とな を行っています。 っています。 また、防火訪問先で住宅用火災警報器が未 設置で希望があれば、三郷市防火安全協会か ら寄贈された住宅用火災警報器を取り付けて います。 4 結びに 全国的に消防団員数が減少している中、三 郷市においても団員確保に苦慮しています。 7月末日現在、延べ1,548軒訪問し、230個 の住宅用火災警報器の設置を行いました。 団員が一丸となって団員確保に力を入れてい ますが、開発により首都近郊の住宅都市とな 女性団員は、この活動とは別に春と秋の火 ることにより、地域への関心が薄くなり、市 災予防運動に合わせ年に2回、市内保育所等 外への就労者が多くなったため、平成14年以 に訪問し、子供達に防火啓発劇や防火クイズ、 降の団員数は条例定数の360名を満たすこと ミュージックベルによる演奏を行い、子供達 はできず、平成23年度は325名、平均年齢42.7 に楽しく防火知識を身に付けてもらっていま 歳でのスタートとなっております。 す。この活動は大変好評で、最近では口コミ で他の施設からの依頼が多数あります。 車両装備は、大規模災害時には地域で消防 団が独自に救助活動、消火活動を行う事を想 このような状況下ではありますが、地域住 民の「安心・安全」を守るため、更なる地域 に密着した消防団を目指し取り組んで行きた いと考えております。 女性消防団員(アザレア)防火訪問 31 「姶良市初の女性消防 団員誕生」について 鹿児島 姶良市消防団 団長 私たちの街「姶良市」は、昨年3月23日 に、3町(加治木町・姶良町・蒲生町)合 七反田 正勝 団員の誕生に向け前向きに協議を進めたと ころでした。 併により誕生いたしました。現在、鹿児島 募集に際しては、団の関係条例上も性別 県内で最も新しい市であります。誌面で歴 限定の記載もなく条例改正をしないで募集 史と観光豊かな市の紹介をしたいのです に着手できました。また、2月に県の女性 が、昨年の本紙10月号の東西南北に「姶良 消防団研修会に団係と参加し、女性消防団 市誕生と消防団の再編」ということで掲載 の雰囲気や活動状況等を研修してきまし させて頂きましたので、ぜひ、御一読下さ た。その中で、知恵を出し合い、それぞれ い。でもやはり一言。世界の活火山である の団員の特技を生かし、例えば寸劇や紙芝 「桜島」を、波おだやかな錦江湾越しに一 居による施設訪問で防火予防を訴える等の 望できる様は「なんちゅあならんです。 」 活動発表がありました。それらを参考にし さて、本日は、本年5月18日、市長承認 て、機構的に機能別消防団扱いとし、所属 により姶良市初の女性消防団員15人(現在 は分団所属ではなく団本部付と位置付けま は16人)が誕生いたしましたので、ここで した。募集人員は、条例定数に空きがあり 紹介をさせていただきます。誕生のきっか ましたが、新入男性団員の枠も見込み確保 けになりましたのは、いまさらいうまでも し、20人程度としました。(その後、男性 ありませんが、姶良市に限らず、少子高齢 団員が増えましたので最終的には女性団員 化等による社会環境の変化という全国的な 枠は16人になりました。)また、団員とし 流れに伴い、消防行政に対する住民ニーズ ての適性を確認するために、団長始め幹部 があらゆる面で多様化したからです。特に、 による面接も条件付けしました。 高齢化・1人暮らし世帯の防火予防活動等 そして、4月から、全戸配布の市報等で については逼迫する問題であり、住宅用火 募集を開始したわけですが、正直、募集し 災警報器の普及や消火器更新等、市として たけど何人集まるのだろうか?いや一人も も、これに対応するためにはどうしても女 来なかったら……等と一抹の不安を抱えて 性の参加が必要となっていました。そうい おりました。しかしながら、驚くべきこと う状況の中、昨年の秋ごろ、市長からも話 に、すぐに数人の願書提出がありました。 があり、常備消防の消防本部警防課内に新 その後も友人が友人を誘うという形で、 設された消防団係を中心として、女性消防 次々に増えました。同時に、地域的かたよ 32 規律訓練 りに注意しながらの声掛けもお願いしなが 第、団長からの辞令交付式を計画していま ら、結果的には、旧町バランスもほぼ理想 すが、今回は初めての女性消防団員の辞令 的になりました。正に「案ずるより産むが 交付と言うことで、市長・議長・消防長を 易し」でした。 始め行政幹部にも見守っていただく予定で 面接では、待遇面や募集に至った経緯あ す。きっとそこには、入団時より頼もしく るいは女性消防団員に求める将来像も説明 なった女性団員が、凛々しい制服姿で敬礼 し、更に、既存の男性団員とぎくしゃくし する姿があることでしょう。そして、いつ ないように、少し厳しかったかもしれませ か全国の皆さんと交流会が出来るかもしれ んが、入団に際してはある程度の覚悟を求 ません。その時はよろしくお願いします。 めました。しかし会話の中で、すぐに、彼 いっどききばっがね!我がまちの女性消 女たちはいろんな特技や経歴を持ち、なに 防団員! よりも「市民の生命財産を守 りたいという崇高な精神」を もった優秀な人材であり、団 活動に限りない可能性を秘め ていると確信をいたしまし た。 現在は当初の目的を達成す べく、基本的な事についての 全員勉強会や、規律訓練・普 通救命講習会の受講等々、来 るべきデビューに向け着実に 充電中です。 活動服や制服が配付され次 応急手当訓練 33 「地域防災の リーダーとして」 島 根 益田市消防団 団長 中田 巖 1 益田市の紹介 益田市は、島根県の最西端にあっ て山口県と接しており、北は日本海 を望み、南は中国山地に至る、山陰 と山陽を結ぶ交通の要衝地です。 平成16年11月の合併により面積 733.24裄となり、島根県の総面積の 約1割を占め、県内最大の面積を持 つ新生益田市が誕生しました。 県大会優勝:益田市消防団 市の中央を流れる高津川は、珍し くダムのない一級河川として有名であり、 動車8台、小型動力ポンプ付積載車45台、 源流は中国山地を発しております。また、 小型動力ポンプ54台を配備し防災活動や消 平成22年の国土交通省による水質調査結果 火活動にあたっています。 において、3年ぶりに水質日本一に復活し、 鮎釣りシーズンにはこの清流高津川に全国 各地から太公望が訪れます。 3 消防団の活動 消防団の活動は、4月の辞令交付式から 始まり、新入団員研修会及び幹部研修会の 2 益田市消防団の沿革等 開催、 夏季訓練・合同防ぎょ訓練等の実施、 益田市消防団は、昭和27年11月1日に設 置され、旧町村を分団単位とし10個分団の 編成で団員約1300名でスタートしました。 平成16年11月の合併により定数754名とな り、現在709名が在籍し、そのうち女性分 団(実員39名)については愛称を募集し 「益田ひなげし(火無消)小町」の名のもと、 市民に親しまれ地域に密着した活動をして います。 車両等の装備については、消防ポンプ自 34 女性団員(看護師)による健康指導 ェック等きめ細かい指導をしていただき頭 の下がる思いでした。おかげで、各団員の 健康意識が芽生え健康管理を啓発するとい う所期の目的を達成することができ、非常 に意義のあるものでした。 また、平成21年度からは市の単独事業と して継続しており、さらに団員の健康管理 部隊訓練風景 また益田市消防団独自に地域防災力の強化 に努めているところです。 5 おわりに 充実に努めることを目的として団員指導員 3月11日に発生しました東日本大震災で 制度を設け、各分団内の班長以上2名選出 は、自らの命も顧ず避難誘導にあたられ殉 し指導員候補者としてそれぞれが教養を身 職された消防団員の方々やそのご遺族に対 につけ、資質の向上を図っています。 し、心からお悔やみ申し上げます。消防団 特に消防の基本である消防操法には熱心 の特性として、地域密着性、要員動員力、 に取り組んでおり、市の消防操法大会では 即時対応力は今後益々重要視されます。当 各方面隊から選抜された選手が県大会出場 市消防団では、定数に対し実員94パーセン をめざし、練習の成果を競いあいます。そ ト前後でここ数年推移している状況です の結果、県の消防操法大会では常に優秀な が、団員確保について一部地域では、高齢 成績を残しており、今年度ポンプ車の部で 化・過疎化が進み団員を確保したいが、消 は優勝し、平成24年10月東京で開催される 防団となってくれる若い人がいないという 全国大会に島根県の代表として駒を進める 如何ともし難い現実があります。しかし、 こととなりました。 これ以上の減員は地域防災力の衰退に繋が りかねないため、行政とともに増員を図る 4 女性分団「益田ひなげし(火無 消)小町」 施策をさらに推し進めていきたいと考えて います。 消防団員等公務災害補償等共済基金の事 業で平成18年度から3年間、消防団活動に おける脳、心臓疾患の予防を主体とする健 康配慮義務を履行するため個別健康指導モ デル事業が設けられました。そのモデル団 体として益田市消防団が指定を受け、看護 師等の資格がある女性団員を中心に健康指 導スタッフとして活動してもらいました。 女性団員においては、健康指導会の受付 から始まり、体重測定やBMI及び血圧のチ 清流高津川 35 「地域を守る邇 消防団」 熊 本 天草市消防団 団長 春木 重昭 1 天草市の紹介 天草市は、熊本県の南西部にあり、旧 2市8町(本渡市、牛深市、有明町、御 所浦町、倉岳町、栖本町、新和町、五和 町、天草町、河浦町)が平成18年3月に 合併して誕生しました。面積は683.24平 方裄、人口9万1,365人、世帯数は3万 7,936世帯となっています。周囲を東シナ 海、八代海、有明海などの藍く美しい海 に囲まれ、天草上島と天草下島、御所浦 島などで構成されている天草諸島の中心 操法大会(支部) 部にあります。地形はほとんどが山林で 占められていて、傾斜が多く平野部分が少な 2 天草市消防団の概要 いため、住宅は湾岸線の河口部や平地に多く、 天草市消防団は1団、10方面隊(本渡、牛 それを結ぶための国道や県道が海岸線沿いに 深、有明、御所浦、倉岳、栖本、新和、五和、 整備されています。産業は、温暖な気候を活 天草、河浦)、54分団、204部、団員の条例定 かした農業や、豊かな水産資源を活かした漁 数は3,200人、現員数は3,089人、そのうち女性 業を主として発展してきました。また、自然 消防団員は48人で、団全体の平均年齢は37歳 景観、南蛮文化やキリシタンの歴史など、多 となっています。 くの観光資源にも恵まれています。 3 消防団の活動 主な消防団の行事としては1月に消防出初 式、3月及び11月には春・秋の火災予防運動 に伴う防火活動、夏季訓練、冬季訓練(規律 訓練、操法訓練、水利調査など)を実施し、 市民の安全・安心のため、日夜訓練に励んで います。 また、毎年各地区をまわって実施される天草 市総合防災訓練に参加しており、大雨や台風、 地震、津波などあらゆる災害を想定し、避難訓 出初式 36 練や、救出訓練を行っています。 天草市消防団の取り組みとしまし て就業構造の変化等により、昼間の 出動団員数は減少傾向にあり、新た な団員の確保や消防力の維持に向け て対策を進めています。新たに検討 しているのは消防団OBで構成する機 能別消防団です。火災現場でのバッ クアップや豊かな知識をもとに助言 をいただきたいと考えています。 防災訓練 平成19年には女性消防隊を発足さ せ、春・秋の火災予防週間には一人暮らしの 所もあり、毎年、海難事故に対応する訓練を 高齢者宅を訪問し、火災予防啓発活動を行っ 各機関と合同で積極的に行っています。天草 ています。熊本県女性消防操法大会には1回 市は台風の上陸が多い地域ですが、近年大き 目から出場し、2回目になる今年も8月に出 な被害は出ておりませんが、このような訓練 場したところです。平成22年には、離島であ や体制づくりを行うことで、市民を始め観光 る御所浦地域の安心・安全を守るために御所 で訪れるお客さまに対しても「安心」を与え 浦方面隊内に女性消防部を創設しました。昼 ることができているのではないかと思ってい 間の出動団員の不足が課題となっておりまし ます。 たが、31人が入団し、御所浦地域内の消防団 日ごろから訓練を重ね、火災が発生した場 の組織が拡充・充実したため、市民の安心感 合は現場に急行し、消火活動、救助活動、避 もより大きくなったものと思っています。 難誘導を行い、火災を未然に防ぐための年末 天草は周辺が海ということもあり、海難事 特別警戒や行方不明者の捜索、大雨洪水警報 故に備え県水難救済会に所属する救難所が設 発令時の警戒をはじめ、近年多発しているゲ 置されています。救難所は、毎日漁業に従事 リラ豪雨による災害が懸念されるなか被害を されている地元漁師や当団員で構成されてい 最小限にくいとめるための水防訓練など様々 ます。 な活動に従事しています。 また、漁業組合の組合長を代表とする救難 4 おわりに 天草市消防団は、今後も「自分たちの地域 は自分たちで守る」という精神に基づき、消 防署や地域の自主防災会と連携を図りなが ら、安全で安心して暮らせるまちづくりを目 指してまいります。 最後に、東日本大震災により、消防団員を はじめお亡くなりなられました方々のご冥福 をお祈り申し上げますとともに、被災されま した皆様、そのご家族の方々に対しまして、 高齢者一人暮らし宅 防火訪問 心よりお見舞い申し上げます。 37 シンフォニー(徳島県) 「女性分団の活動を通して 思うこと」 三好市三野町消防団 女性分団 分団長 野田 冬美 私の住んでいる三好市は徳 島県の西端にあり、西は愛媛 県、南は高知県、北は香川県 に接しており四国のほぼ中央 にあることから 〈四国のへそ〉 とも呼ばれています。そして 北部には阿讃山脈が連なり、 西日本第2の高峰剣山や市の 中央部を流れる吉野川など、 自然豊かな地域です。 私達は平成15年4月に、そ 平成21年操法県大会予選会に参加 の年の10月にある全国女性操法大会に出場 の話し合いを何回か行い、本団の熱意と過 する為に〈三野町消防団女性消防隊〉とし 疎が進む私達の町での昼間消防団員の減少 て結成されました。実はその時、大会に出 と今後30年以内に50∼60%の確率で起こる 場したら終わりと思っていたので軽い気持 と予測される南海地震、そして未来の子供 ちで入隊してしまいました(笑)。しかし、 たちに伝え残すものなどを考え、今の私達 週に4回、大会が近づくにつれ毎日の練習 に何ができるのか、何をすればいいのか、 と私自身、その当時、仕事と幼児と小学1 おのずと答えは出ました。これが私達のス 年生の子供2人を抱えてでの練習は本当に タートです。 体力的にも精神的にもいっぱいいっぱいで 当初は10㎏の玄米袋から手をつっこんで した。…が消防団員である主人の理解と練 金の米1粒を探しだすくらい全員で模索す 習の都度、交代で応援に来てくれる分団員 るようなものでした。初めは自分の住んで や本団の指導により、浅はかな考えを恥じ、 いる地区の消火栓と格納箱の確認から始め 7人一致団結をしていいものが創れたと思 たんです。何か所も普通に知らずに通り過 います。全国大会当日は入賞こそ逃しまし ぎていることに気付きました。その次は避 たが、各自得るものは大きかったです。大 難所の確認です。 会が終わり、消防隊を存続するかしないか そんな時間のかかる無駄なことと思われそ 38 うですが簡単に分かっ てしまえば、すぐ忘れ てしまうものです。自 分で苦労したものほど 忘れにくい方法をあえ て選びました。そんな こんなでしていくうち に、消防隊で出来る範 囲が狭いことと住民の 消防隊の認識度が低い ことに気づきました。 たとえば、大会で支給 平成21年度操法県大会予選会に参加 された活動服で活動したのですが分団員の など説明と意見交換などをしたり、保育所 活動服と違うために、「何しよる人?どこ では水の出る消火器を使って幼児に初期消 から来たん?」など聞かれ、説明をしても 火の体験をしてもらいました。 最後まで分かってもらえず疑われたままな 私達の女性分団は男性分団の様に火を消 しに行くことも吉野川氾濫やがけ崩れで土 どです。 平成18年4月にそれまでの消防隊での活 嚢を積むこともしません。逆に邪魔になっ 動が評価され正式に徳島県西部で初めての てしまうのです。それなら未然に防ぐこと 女性分団〈三好市三野町消防団女性分団〉 と対策を女性ならではの活動(前文は一部 となりました。 です)として皆んなが一つになって自分達 消防活動服を着て身を引き締め、地域の で案を出し意見を言い、ひとつひとつ作り 住民とのふれあいを重視し、各地域で立ち あげ実践していくという方向性にしまし 上げられた自主防災組織の会に参加した た。最初は緊張と恥ずかしさで失敗もあり り、婦人会の方にも地震災害の際の持ち出 ましたが、それも次のステップへの一歩と し袋を実際手に取って重さを体感してもら いうことで、住民に溶け込んだ女性分団を ってから中身を広げ、中身についての用途 団員全員で継続してやっていこうと思いま す。新しい団員も増えました。 まだまだ駆け出しで勉強することは た くさんありますが、徳島県にある数少ない 女性分団や他県の女性分団との交流を深 め、いろんなことを学び、地域住民が安心、 安全に暮らせるよう努めるとともに「女性 分団があってよかった」と笑顔で言われる ような分団であり続けたいと思います。 男性分団長と合同での礼式訓練 39 シンフォニー(静岡県) 「『知識よりも意識、資格より自覚』 今、私たちができることを目指して」 湖西市消防団 女性団員班長 井川 まゆみ 静岡の一番西の端に位置する湖西市は、 団員の中には、元バスガイド、元教師を 東海道東西の交通の要所として栄えた歴史 はじめ、介護福祉士、塾講師、現役通信大 を誇り、トヨタ自動車の前身である豊田織 学生、市職員、教習指導員など職歴もさま 機を発明した豊田佐吉翁の生誕地としても ざま。また、字が上手、歌が上手、ピアノ 知られています。平成22年3月に新居町と が得意、体を動かすのが得意など、いろい 合併し、人口6万3千人の新湖西市となり ろな才能や、特技を持ち合わせた個性あふ ました。 れる団員がたくさんいます。今後は、持ち 湖西市消防団は全団員数374名、1本部、 13分団で構成されております。 味を生かしたそれぞれの才能や特技を、ど んどん発揮してくれることを期待している 湖西市消防団の女性消防団員は、平成20 ところです。 年10月に誕生し、今年で3年目を迎えまし 現在の主な活動は、普通救命講習を通し た。初めに7名でスタートし、21年度には て、一般の市民の皆さんに応急救護処置の 12名となり、昨年、新居町との合併を機に 普及活動をしています。 新たに募集をして現在は27名で活動してい ます。 団員の年齢は、22歳から67歳までと幅広 い年代。 21年度に11名、22年度に9名の女性消防 団員が、応急手当普及員の資格を取得しま した。また、今年度には7名の女性消防団 員が資格を取得の予定です。 規律訓練 40 救急講習 今後は、救命講習には練習などしなくて もサッとできる、身近で起こり得るシナリ 来的には、全国女性消防操法大会に参加で きたらと、日々訓練に励んでいます。 オを即興劇にして、応急救護処置がもっと その他の活動として、年2回の防災訓練 わかりやすく、楽しく参加できる講習を考 には各自治会からの依頼を受け、各会場に えていきたいと思っています。 分かれて救命講習を実施しています。また、 広報活動では、救急の日に女性ならでは 出初式、湖西市消防操法大会、中継訓練な の活動ができないかと検討し、市内4ヶ所 ど各行事の受付、アナウンス、タイム計測 のスーパーに分かれて、チラシの配布や、 なども私たちの出番です。 住宅火災警報器設置の呼び掛け等を行って やりたいことはたくさんありますが、ま います。 店頭に立って街頭広報することで、 ずは、無理をせずにできることから少しず 買い物に来た主婦やお年寄りや子供たち つ地道に活動していくことが長く続く秘訣 と、幅広い年代の皆さんにチラシを手渡し ではないでしょうか? ながら呼びかけ、啓発活動に効果をあげて います。また、発足して間もない、まだ知 名度のない女性消防団員のPRもでき、一 石二鳥の活動となっています。 そして、徐々に活動の幅を広げていけれ ばと思っています。 分団化に向けて、自立して自分達の目指 す活動ができるようにと只今奮闘中です。 全団員で話し合った年間の活動計画に沿 って、毎月2回、男性団員の月例訓練に合 わせて、訓練礼式、消火栓を使った初期消 火訓練、応急救護訓練等の月例訓練を行な っています。 3年目に入り、団員の中からは「ポンプ 操法もやってみたい」、と積極的な意見が 聞かれるようになってきました。団体行動 するには規律ができていないと動けない と、月1回の訓練礼式に熱が入ります。将 消防操法大会アナウンス 41 No.43 中濃地区少年消防クラブ(岐阜県) 頑張れ! 「こども防火管理講習を 少年消防 受講しました」 クラブ 中濃消防組合消防本部 予防課 太田 悠一 平成23年8月12日(金)に岐阜県関市と 美濃市の少年消防クラブ員40名が岐阜県広 る危険を知ることができました。 また、住宅防火について、住宅用火災警 域防災センターにて「こども防火管理講習」 報器や住宅の火災危険を学習し、帰宅後も を受講しました。 家庭の防火管理者として、住宅防火チェッ 「こども防火管理講習」は中濃消防組合 が主催する講習で、こどもたちに防火管理 者の目線で学習してもらい、自助力を養う ことを目的としています。 ク表によりしっかりと防火診断を行い消防 署へ提出しました。 講習の最後には受講した40名全員に「こ ども防火管理講習修了証」が交付されまし 消火器や屋内消火栓、自動火災報知設備 た。これからの将来を担う少年消防クラブ など様々な消防用設備の学習だけでなく、 員に「こども防火管理者」として更なる活 立入検査についても体験し、身の回りにあ 躍を期待しています! 42 平成23年秋季全国火災予防運動 総務省消防庁 予防課 消防庁では、 「消したはず 決めつけないで もう この運動は、火災が発生しやすい時季を迎える 一度」を平成23年度全国統一防火標語とし、平成 に当たり、火災予防思想の一層の普及を図り、火 23年11月9日から15日までの7日間にわたり、平 成23年秋季全国火災予防運動を実施します。 災による死傷者及び財産の損失を防ぐことを目的 として、毎年「119番の日」である11月9日 (一部地域を除く。)から毎年実施されているもの です。この運動期間中には、各地で住宅防火診断、 防火講演会、防災訓練など様々な行事やイベント の開催が予定されておりますので、防火に対する 正しい知識・技能習得のため、積極的に参加して いただくようお願いします。 なお、今回の火災予防運動では、平成23年6月 に住宅用火災警報器の設置が全国で義務化された ことから、未設置世帯に対する働きかけ及び適切 な維持管理に関する周知をはじめ、住宅火災によ る死者の発生防止対策の要点をまとめた「住宅防 火 いのちを守る 7つのポイント」を活用し、総合 的な住宅防火対策の推進について積極的な広報を 行うこととしています。また、この運動の実施に あわせ、火災の主要発生原因の一つとなっている 「平成23年秋季全国火災予防運動」広報ポスター 「たばこ」に関して注意喚起広報を行う「たばこ火 災防止キャンペーン」を全国一斉に実施します。 「住宅防火 いのちを守る7つのポイント」 3つの習慣 ○寝たばこは、絶対やめる。 ○ストーブは、燃えやすいものから離れた位置で 使用する。 ○ガスこんろなどのそばを離れるときは、必ず火 を消す。 4つの対策 ○逃げ遅れを防ぐために、住宅用火災警報器を設 置する。 ○寝具、衣類及びカーテンからの火災を防ぐため に、防炎品を使用する。 ○火災を小さいうちに消すために、住宅用消火器 等を設置する。 ○お年寄りや身体の不自由な人を守るために、隣 近所の協力体制をつくる。 「たばこ火災防止キャンペーン」ポスター 43 横浜市港北消防団 副団長 伊藤 武夫 港北区は横浜市内で人口最多の区で、新横浜駅を中心とする商業地区があ る一方、浜梨を栽培するなど自然豊かな魅力的な地域です。 伊藤副団長は本業の自動車整備と消防団活動の傍らで、25歳から始めた篠 神 奈 かね 「岸根はやし連」の 笛、和太鼓、鉦の腕前は相当なもので、消防出初式では、 にぎ 仲間たちと年始を賑やかに盛り上げています。 (著:部長 濱田正二) 茅ヶ崎市消防団 部長 川 県 高橋 十大(たかはし じゅうだい) 茅ヶ崎市消防団で活躍している高橋十大さんは、日頃の消防団活動はもと より、「湘南ちがさき屋十大」として、茅ヶ崎の名物となった「たこせん」 の製造販売及び様々な茅ヶ崎ブランドの商品開発をおこなっております。 茅ヶ崎市で行われる各種イベントにも積極的に参加し、特に茅ヶ崎市最大 のイベントである「浜降祭」では観光用のポスターづくり、そして自らも御 神輿を担ぎ、大きな声をあげてはりきっています。 日夜、茅ヶ崎市のために頑張っている高橋さんは誰もが認める名物団員です。 雲南市消防団掛合方面隊掛合上分団 団員 陶山 朋之 島 根 県 雲南市消防団の陶山団員を紹介します。 陶山団員は、島根県の伝統芸能「安来節」の唄、絃(三味線) 、 鼓の師範で、平成23年8月に開催された安来節全国優勝大会で は、絃「師範の部」で、見事、準優勝する程の腕前です。若手 グループ「SOW∼想創∼」のメンバーとしても活動しており、 福祉施設へのボランティア公演も積極的に行っています。 消防団活動だけでなく、芸能分野でも力を発揮する陶山団員は、地域にとって貴重な存在であ り、これから益々の活躍を期待しています。 飯能市消防団 団員 山下 美保 埼 玉 県 「飯能消防団の女性団員(は組)が発足して2年目になります。 山下さんはいつでもこの爽やかな笑顔で、一緒に居ると周りの人がみんな笑 顔になってしまいます。 普段は都内のAEDメーカーに勤務しており、一人でも多くの市民や消防団員 にAEDをもっと理解してもらいという強い思いから入団されました。 朝早くから夜遅くまで仕事が忙しい中、積極的に消防団活動に参加しています。 なにより自分自身が消防団にやりがいを持ち楽しんで活動されています。 剣道初段・陸上長距離・水泳・ハンドボール・登山などの経験があり、大らかな見た目とは裏 腹に意外と体育会系です。 泳ぎを教える事が得意なので、泳げるようになりたい人はぜひ声をかけて下さい。 」 44 三重県鈴鹿市消防団 合川分団副分団長 及び 女性消防団員 鈴木敏一、鈴木節子、鈴木景子 三 重 県 三重県鈴鹿市には、親子3人で活躍されている消防団員 がいます。 今回紹介します鈴木さん親子は、父(敏一さん)が合川 分団副分団長として、母(節子さん)及び娘(景子さん) は女性消防団員として、地元鈴鹿を守りたいとの想いで本 団の各種活動に参加いただいております。 娘の景子さんは、 「父親と母親の活動の様子や話を聞き、 私も是非とも地域の防災活動及びそれに伴う活動に参加、 貢献したい。」との強い気持ちで入団を希望されました。 現在は、看護学校に通う元気いっぱいの女性消防団員です。 親子3人で「地域のために」と消防団活動に取組まれる姿は、本当に素晴らしく、また付近住 民にとっても頼もしく映ることでしょう。 今後の鈴鹿の安全・安心のために、鈴木家の御活躍に期待しています。 浜松市消防団 東区支団 浜松第34分団 団員 冨永 武利(とみなが たけとし) 消防団歴29年、「トミさん」の愛称で多くの団員から親し まれる冨永武利さんを紹介します。トミさんは何事において も前向き、大きな声で常に若手団員を引っ張り、分団活動を 静 盛り上げてくれる、浜松っ子気質の「やらまいか精神」を絵 に描いたような豪快で元気なベテラン団員です。お 岡 しゃべりが大好きで、トミさんの周りには常に笑い 県 声が絶えません。冨永さんの本業はバスの運転士さ ん、その運転テクニックには定評があり同僚の間で も一目置かれる存在だとか。トミさんの抱負は「生 涯、消防団員」。本業も大変ですが、体を大事にして これからも「元気なトミさん」で浜松第34分団を盛 り上げてくださいね。 大和村消防団 第1分団 団員 大野 英則(オオノ ヒデノリ) 埼玉県狭山市出身で島人歴4年目、団員歴3年目の大野さ んを紹介します。 鹿 大野さんは、「奄美フォレストポリス」で 森林浴公園の管理、運営、窓口案内、そ 児 島 して営業の責任者として頑張っています。 趣味はエギングですが、特技がなんと 「猛毒のハブ捕り」で、ある日、全く釣れずに日が暮れたエギングの帰 り道、たったの20分間で4匹のハブを捕らえたそうです。ただでは帰 らない大野さんの根性に脱帽です。 ちなみにこの4匹のハブは、買い取り制度により、愛娘の誕生日プ レゼント(自転車)になりました。(笑) 45 消 防 団 の 宮城県 「3.11から学んだ経験を後世へ」 広場 気仙沼市消防団第3分団 分団長 村上 貴敏 去る7月30、31日の2日間、日本消防会館 において東日本大震災全国消防団報告研修会 に参加させて頂きました。被災各県の消防団 員や関係機関の方々の発表をとおし、地元気 仙沼市と照らし合わせてみると、どこの県も 地震、津波、火災と甚大な被害を受けており、 あらためて今回の震災の巨大なことを実感し ました。人間の力ではどうすることもできな い自然の猛威、想像を絶する破壊力の前では、 今回の震災で全ての物を失った多くの人々が ただ呆然と見守るだけでした。また、福島県 においては、原子力発電所が津波により倒壊 したことで放射線被害までもが発生し、福島 県だけでなく隣県にまで被害が拡大しており ます。 このような災害を経験した消防団員と関係 機関の方々の様々な災害活動報告をもとにし て、NHK解説員の方をコーディネータに消防 庁、大学教授の方々と討論し検討したことを、 46 ここに集った消防団、防災関係者に役立てて頂 きたいと思います。私も今後の消防防災活動に 大いに役立てていきたいと思っております。 私たちはこれから、この大震災を後世に伝 えていく必要があると思っております。その 中で開催された今回の東日本大震災全国消防 団報告研修会は大変意義のあるものでした。 今後は日本消防協会を通し、これからの消防 団員や若い多くの人々のために本や、映像等 に残して頂き、歳月とともに忘れ去られてし まわないように伝えていきたいと思います。 3月11日の震災当時、気象庁の発表、防災 行政無線、消防団員による広報活動の呼びか けに対し、どれほどの人々が危機感をもった ことでしょうか。この震災を機会に消防団と 地域住民との連携をより一層深め、今こそ消 防団員だけでなく、一人でも多くの方々が防 災意識の向上に努めていく必要があると思い ます。 災害はいつ襲ってくるかわかりません。私 たち消防団員も常に訓練を重ね今回の震災を 教訓に、ますます消防防災活動に邁進してい きたいと思います。 今回、全国の消防団の皆様をはじめ、多くの 方から御支援や励ましの言葉を頂き深い絆を感 じました、本当にありがとうございました。 平成23年度 全国統一防火標語 消したはず 決めつけないで もう一度 11月の日本消防協会関係行事 11月11日(金) 第17回全国女性消防団員活性化大会(香川県高松市) 11月29日(火) 東日本大震災消防殉職者等全国慰霊祭 編 集 後 記 日毎にしのぎやすく、朝夕には冷気日増しに加わり、秋色愈々深まりゆく実りの季節。皆様如何お過ごしの ことでしょう。炎暑の中、省エネ・節電を旨に電力を遣繰りした日々がまるで嘘のように、一足飛びに季節は 次の暦をめくり、はや雪便り。冬の訪れも早いという被災地の皆様のご苦労、ご心労や如何ばかりかと心痛め る毎日です。 さて私事で恐縮ですが、先月号は海外研修のため「日本消防」の編集作業をお休みさせて頂きました。不在 中はご不便ご迷惑おかけ致しましたが、研修ではヨーロッパ3カ国を訪問し、それぞれの国で消防組織やその 活動、装備などを親切丁寧にレクチャー頂き、「消防に国境なし」の想いを深く強く実感して参りました。同 時にご参加頂いた全国の消防団幹部の方々とさまざまなお話ができ、大変貴重な経験を積むことが出来ました。 この日々は間違いなく私の財産となり、今後の活動に大きな実りをもたらしてくれるものと信じております。 皆様におかれましても、秋冷の候、くれぐれもご自愛頂き、稔りの季節、尚一層活動に精進されますようお祈 り申し上げます。 (T・M) 購読募集 購読を希望される方は、譛日本消防協会へお問い合わせください。 ※ 年間購読料(送料込) 2,388円 (問合せ先) 総務部企画担当 03―3503―1481 寄稿のお願い 皆さまの消防団活動への取り組み、ご意見な 印 どをもとに、より充実した有意義なものにして いきたいと考えておりますので、多数のご寄稿 をお待ちしています。 Eメールでも受付しています。 [email protected] 電日 話本 ︵ 3833 印 ︶刷 六 九株 七式 一 ︵会 代社 ︶ 発 編 東刷 行 集 京 電東 都所 話京 所 人 千 都 代 〇港 田 三区 岩 ︵虎 区 日 3503 ノ 外 ︶門 本 田 神 一 田 四二 消 六 八︱ ︱ 一九 防 知 三 ︵︱ ︱ 代十 協 三 ︶六 会 也 平平 成成 二二 十十 三三 年年 十十 月月 十五 日日 発印 行刷 月 刊 ﹁ 日 本 消 防 ﹂ 第 六 十 四 巻 第 十 号 平毎 消防人の火災共済の補償が増額されました 「1000倍補償を1500倍補償にUP」 B 型火災共済 (加入口数は 5 口から25口まで) 10口の場合 掛金1000円で 火 災 共 済 金 100万円を150万円に増額しました。 風水雪害等共済金(全損で)20万円を30万円に増額しました。 『掛金は、500円∼2,500円(500円単位)で加入できます。』 C 型火災共済 成 二 月 十一 三 年回 十十 月 十日 日 発 発 行行 『加入口数は、最高200口』 第 十 号 火 災 共 済 金 2,000万円を3,000万円に増額しました。 風水雪害等共済金(全損で)400万円を600万円に増額しました。 ※ 風水雪害等共済金とは、これまで災害見舞金としてお支払いしていたものです ※ 加入にあたり、組合員となっていただくために出資金が必要になります。 生活協同組合 全日本消防人共済会 事務局 (財)日本消防協会内 支 部 都道府県消防協会内 日 本 消 防 第 六 十 四 巻 第 十 号 加入申込みは消防事務担当へ 問 合 せ 先 ●各市町村の消防事務担当係 ●都道府県消防協会 (日本消防協会ホームページ) ●(財)日本消防協会 年金共済部 ●生活協同組合全日本消防人共済会 〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-9-16 日本消防会館 TEL.(03)3503-1481∼5 http://www.nissho.or.jp 日 本 消 防 財 団 法 人 日 本 消 防 協 会