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特集テーマのねらい③先進的スケジューリング(APS)の 方法・展望・課題
ー 特集テーマのね らい③先進的スケ ジュ リング (APS)の 1 特 集 テ ー マのね ら い 2 記 方法 ・ 展望 ・ 課題 事 の構 成 見込み生産 を行 い,受 注 に対 して製品在庫 を引 き当てれ 上記 のね らい に沿 って,本 号 では,以 下 の論壇 1件 , ケース ・スタディ 5件 ,テ クニ カル ・ノー ト1件 ,プ リ ばよかった。 つ まり,顧 客 か ら注文 を受けて納品 する と ズム 3件 の記事 を掲載 してい る。 い う営業側 と,資 材調達 をして製品 を完成 させ る製造側 (1)論 が,製 品在庫 によって分断 されていた と考 えられ る。 し か し昨今 では,顧 客 ニ ーズの多様化 と製 品 ライフサイク スケジ ュ 京都産業大学 の井上一郎先生 に,「生産計画 ・ ー リング業務 と戦略展開」と題 して,APSの 出現背景 と ルの短期化 により,需 要予測 が困難 とな り,従 来型 の見 概要 をまとめて頂 いた。そのポイ ン トは,APSの 作 れば売 れる大量生産 の時代 には,需 要予涙rに基 づ く 壇 込 み生産 では過剰在庫 や欠品 となることが多 い。 このた J情 め多 くの企業 で受注生産 を志 向 し,受 注 報 をいかに資 有効 性 を発揮 するためには,単 なる情報 システムの構築 ・運用 と考 えるのではな く,人 間的 ・組織的側面 をも総合的 に 材調達 ・製造 プ ロセ スに結 びつ け,少 ない在庫 で短 い リ ー ドタイム を達成す るかが重要な課題 になうてい る。 考慮 した システムアプ ローチの重要性 を説 いてい る こと で ある。 この意味 において、 スケジュー リングを自動化 このような状況下 において,資 材調達 な どを含 めた生 するべ きであるとい う主張 に対 して警鐘 をな らしてい る。 産計画 (プラ ンエ ング)と 設備台数や稼働時間 な ど有限 の資源待J約を考慮 した スケジュー リングを同期的 に行 う つ まり,絶 え間 な く変遷,進 化 してい く生産 システムの 極 めて微妙 な業務 である生産計画 ・スケジュー リング業 先進的 スケジュー リング (Advanced Planning and Scheduling:APS)が 学界 か ら大 きな注 目を ,産 業界 ・ 務 を完全 に自動化す る ことは技術的 にも至難 であるばか 集 めてい る。どのような機能 をAPSと 捉 えるかについて する とい うことである。 121 ケ ー ス ・スタデイ は様 々な解釈 が存在す るが,一般的 には,MRP(Material Requirement Planning)が かかえていた様 々な問題点 へ の対応,個 別 の注文 ごとに迅速 に再 スケジュー リング りでな く,シ ステムの 自己成長性 の観点 か らも熟考 を要 APSに よる生産構造改 ① 日立バ ルブの竹尾邦美氏 に,「 革」と題 して,加 工組立型 ジ ョブシ ョップエ程 へ のAPS されてい る。 しか しなが ら, どのような業種 や生産形態 の導入事例 を詳 しくご紹介頂 いた。多品種少量の事例 で, マスター に登録 されてい る製 品だけで も13,000種類 を超 で もAPSが 効果 を発揮 す るのか,APSを 導入す る前 に行 え,特 殊仕様品 の 占める割合 は60%を 超 えてい る。APS ってお くべ きことな どについて は,あ まり論 じられてい 導入前 の課題 は,① 納期回答が遅 い②回答 した納期 の遵 守率 が低 い,そ して③ リー ドタイムが長 い とい うことで し正確 に納期回答 を行 うことな どがその特徴 として指摘 ない。 とにより,上 言 己の点 を明 らかにしたい と考 えて企画 を行 あった。APSを 導入 した結果,標 準 品 については納期 土 1日 に950/。 の納期遵守率 を実現 し,納 期回答 のスピー ド った。 や生産の リー ドタイム も目標 を達成 した。そのAPS導 入 ・APS導 入前 の基本的 なモノ ・情幸長の流れ とその時点で 過程 について詳 しく記述 していただ いたので,今 後 の導 そ こで本特集 は,APSに ついて次 の構成 で記述す る こ の問題点 ・APS導 入 の狙 い と位置 づ け 入 を検討 してい る企業 には大変参考 になると思われる。 操業制約 による遺伝的アル ② 」FE技 研 の藤井聡氏 に,「 ・APS導 入 の前 に行 ってお くべ き事項 (条件整備 など) ゴ リズムの探索効率化 と出鋼順編成 へ の応用」 と題 して, ・APS導 入 による具体的 な改善効果 装置産業 におけるAPSの 導入事例 をご紹介頂 いた。製鋼 ・APSの 中で も特 に重 きを置 いている特徴的 な点 は何か 工程 の日程計画 システムに最適化手法 を用 いて,加 工の 4● IEレピュー240号 策定す る新 しい出鋼順編成 システムの実用化 につ いて紹 介 されてい る。手組 みをベ ース とする従来 の計画 は 1日 “ "や “ 管理する こと,企 業間で異 なる 管理粒度 時間粒 "を どのように吸収す るか,そ してAPSの 計画系 と実 度 行系をどのように一元管理するか ということである。 APS を工場 にお けるスケジュー リングに限 るのではな く,サ 分 を数時間 か けて作成 していたが,本 システムでは, 1 プライチ ェー ン全体 を対象 として捉 えてお り,非 常 に広 週間分の最適化 された計画 を約 20分で策定 してい る。長 い視点か ら示唆 に富 むご指摘 を頂 いた。 131 テクエカル ・ノー ト 待 ち時間最少化,標 準 の通貨工程以外 の代替処理工程発 生 によるコス ト増 を抑 えるとともに, 1週 間分 の計画を 期 の出鋼予定 が立案 できることによって,下 工程 に供給 構造計画研究所の中野一 夫氏 に,「APSが MRPに される鋼片 の見通 しがつ き,下 工程 での在庫削減 や納期 の精度向上 につ ながって い る。 スケジュー リングを最適 てかわる」と題 して,APSの 化す る こ との重要性 を強 く認識 させ られる事例 で ある。 執筆頂 いた。筆者 はAPSを ③ 三菱化学 の高 田真好氏 に,「 板状製品 にお ける生産計 画 ・スケジュー リング システム導入事例」 と題 して,従 つ資材在庫,仕 掛 り在庫,製 品在庫 などの在庫 を可能 な とっ 特徴 とその導入 についてご 「 顧客 の要求 を満足 させ,か 限 り少な くするために資材調達計画 と資源 スケジュー リ APSに ついて ご紹介頂 いた。 従来 のOEM供 給 か ら自社販 ングを同期 させ,実 行可能 かつ最適 なスケジュール を立 案す るスケジュー リング中心 の生産管理手法」 と定義 し, 売へ の変更 とい うビジネ ス環境 の変化 にともない,製 品 MRPと 在庫削減 による売 れ残 リリス クの低減 や倉庫間 の物流横 につ いて詳 しく解説 して い る。 持 ち費用抑制 が必要 となった。ここにAPSを 導入す るこ 14)プ リズム 来 の見込生産か ら受注生産 へ の移行 に際 して導入 された の違 い,TOCと の関係,ERPと の統合効果 な ど とで、加工 開始 か ら出荷 までの時間管理 が正確 に出来 る ①法政大学 の西岡靖之先生に,「アメリカにおけるAPS ようにな り,仮 置 き減少 による在庫削減 がなされると同 の動向」と題 して,筆者 が滞在中の米国 を中心 としたAPS 時 に,地 方へ の直送割合 が増加 し横持 ち費用が削減 され た。 スケジュー リングが モノ と情報 の流れを変 え,物 流 の捉 え方 についてご執筆 を頂 いた。APSに とって不可欠 費用改善 にまで結 びつ けたケー スで ある。 場 と主張 してい る。 なIT的 側面 は米国が強 く,生 産管理的側面 は日本 の独壇 ハ イテク製造業 ④ ベ リングポイ ン トの北澤英人氏 に,「 にお けるAPSパ ッケー ジ短期導入事例」と題 してご執筆 たSCM全 体最適 と次世代 APS」 と題 して,次世代APSに 頂 いた。本事例 では,ビ ジネスプロセス とSCMモ デル を 求 められる機能 を短期的視点 と中期的視点からご執筆頂 見直 し,こ れを実現する情報 システム としてAPSの 導入 を選択 した。従来 は生産 スケジュー リングを大手 で行 っ いた。APS実 現 を実現す るために重要な ことは,現 場 レ ベルか ら経営 レベル までのデータ連携である。 ていたため膨大 な工数がかかっていたが,APS導 入 によ りこの部分 が 自動化 された。基幹 システム としてのERP スケジューラ導入で成功す る ③ 日揮の佐藤知一氏 に,「 ための10の方法」と題 して,APSパ ッケージ導入の際の を含 む導入事例 で あるが,導 入開始 か ら11か月 とい う短 具体的なチェックリス トをご提示頂 いた。導入失敗 の原 期間で稼動 を開始 してい る。APS導 入の豊富な経験 に基 づいて まとめ られた 「 短期導入 を実現するポイ ン ト」 は、 因 は,ソ フ トの機能の問題だけではな く,受 け入れる企 今後 の導入企業 にとって大変参考 になると思われ る。 「 ⑤ イーマニ ファクチ ャ リングの奥村直正氏 に 日本製 造業 の新 たな管理 モデル を探 る」 と題 して,サ プライチ ェー ン全体 を管理対象 としてい る事例 および管理 モデル が果 たす役割 につ いてご執筆頂 いた。 この管理 モ デルの “ "で “ "で ポイ ン トは,静 的 な 在庫 はな く動的 な 流 れ ② プロセス経営研究所の川内晟宏氏 に,「 製造業から見 業側 の体制や考 え方にも問題があると主張 している。 ☆ 以上,本 誌 ではこれ まで あ まり取 り上 げられて こなか ったスケジュー リングに焦点 をあて,最 近注 目を集 める APSが モ ノ造 りにどのような影響 を与 えているのかを考 察 してみた。APSの 導入 を検討 されてい る読者 の参考 に なれ ば幸 い で ある。 (伊呂原 隆/企 画担当編集委員) Vol.46 No 2 2005.5 1E Review● 5