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1時間調理実習シート6(3191KB B4判よこ 28頁)
本社……………〒114-8524 東京都北区堀船2-17-1 Tel:03-5390-7308(家庭編集部)Fax:03-5390-7326 北海道支社……〒064-0806 札幌市中央区南6条西14-1-5 札幌東書ビル Tel:011-562-5721 Fax:011-562-5492 東北支社………〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡3-7-22 仙台東書ビル Tel:022-297-2666 Fax:022-297-6040 東京支社………〒114-8524 東京都北区堀船2-17-1 Tel:03-5390-7467 Fax:03-5390-6017 関東第一支社…〒114-8524 東京都北区堀船2-17-1 Tel:03-5390-7467 Fax:03-5390-6017 関東第二支社…〒114-8524 東京都北区堀船2-17-1 Tel:03-5390-7467 Fax:03-5390-6017 北陸支社………〒920-0919 金沢市南町6-1 朝日生命金沢ビル Tel:076-222-7581 Fax:076-232-2719 中部支社………〒461-0004 名古屋市東区葵3-15-31 千種ニュータワービル Tel: 052-939-2722 Fax: 052-939-2720 関西支社………〒532-0004 大阪市淀川区西宮原1-4-10 大阪東書ビル Tel:06-6397-1350 Fax:06-6397-1358 四国支社………〒532-0004 大阪市淀川区西宮原1-4-10 大阪東書ビル Tel:06-6397-1350 Fax:06-6397-1358 中国支社………〒732-0814 広島市南区段原南1-3-53 広島イーストビル Tel:082-568-2577 Fax:082-568-2580 九州支社………〒810-0022 福岡市中央区薬院1-17-28 トッパンビル Tel:092-771-1536 Fax:092-714-3519 沖縄出張所……〒900-0025 那覇市壺川1-2-1 Tel:098-834-8084 Fax:098-834-8095 ホームページ……http://www.tokyo-shoseki.co.jp 東書Eネット……http://ten.tokyo-shoseki.co.jp A3447 このところ,1 単位時間で調理実習を行う学校が増えているようです。1 単位時間での実習といっても, 調理実習 1 学校によって 50 分だったり 70 分だったりと時間が異なり,また,前後の休憩時間などを使ったりして行っ ている学校もあります。本書では,約 30 分で調理できる組み合わせの実習を取り上げました。 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ① 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ② 調理実習のページは表裏で構成され,表のページはコピーして生徒に配布してご使用いただくものです。 調理実習 2 裏ページは先生方が調理実習を進めるときに参考になるような実習内容の補足や解説,スムーズに進める ためのポイントなどです。各学校の実態に応じてご活用ください。 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ③ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ④ また,最後のページは,本書に載っていない実習をするときの記入用紙として,コピーしてお使いください。 調理実習 3 今回は,郷土料理特集で,東北 6 県のものを取り上げました。地元の郷土料理の再発見につながるとと もに,修学旅行などの事前学習として,役立てていただければと思います。 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑤ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑥ 本書が,1 単位時間で効果ある調理実習ができる資料になれば,幸いです。 調理実習 4 青森県◆けの汁,キャベツの即席漬け 青森県◆ながいもけいらん,南部串もち 岩手県◆ひっつみ汁,ずんだひっつみ 岩手県◆かまもち,けいらん 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑦ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑧ 調理実習 5 宮城県◆あぶらふ丼,笹かまぼこと青菜の煮びたし 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑨ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑩ 調理実習 6 宮城県◆炒めうーめん,梅干しスープ 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑪ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑫ 調理実習 7 秋田県◆麦巻き 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑬ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑭ ひょう干しの煮物 調理実習 8 秋田県◆だまこ鍋 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑮ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑯ 調理実習 9 山形県◆いも煮,なすのぬたあえ 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑰ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑱ 調理実習 10 山形県◆納豆汁,ひょう干しの煮物 なすのぬたあえ 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑲ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ⑳ 調理実習 11 福島県◆こづゆ,豆腐もち 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ㉑ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ㉒ 調理実習 12 福島県◆さんまのぽうぽう焼き,八杯汁 さんまのぽうぽう焼き 八杯汁 生徒用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ㉓ 教師用‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ㉔ 生徒用記入プリント(原紙) けの汁,キャベツの即席漬け 郷土料理〜青森県 1 人分 けの汁 「けの汁」は実だくさんの汁物で「カ ユの汁」がなまったものとされ,旧暦 の小正月に食べられるならわしがあり ます。津軽では小正月を女正月と呼び, 女性は台所仕事から解放されて,里帰 りする風習がありました。その留守の 間の食事の支度を簡単なものにするた めに大量に作っておき,1 食分ずつ温 め直して食べる保存食的な料理です。 ①さいの目切りの切り方を学ぶ。 ②青森県の郷土食を学ぶ。 だいこん にんじん ごぼう ぜんまい ふき 高野豆腐 だいず(水煮) 赤みそ キャベツの 即席漬け ②高野豆腐は水で戻し,5㎜角に切 り,他の材料もすべて 5㎜大に切 る。 ③ご ぼうは切ったら,水または酢水 につけてあくを抜く。 ④だ いずをすり鉢でよくする。直径 6㎝くらいに平らに形づくり,フ ライパンで両面を焼く(じんだ)。 ①キャベツをたんざく切りにする。 ②き ゅうりは塩(分量外)で板ずり して,小口切りにする。 ③し ょうがは皮をむいて,せん切り にする。 ④材料をボールに入れて塩をふりか けて混ぜ合わせ,漬物器(ねかせ ておくだけでもよい)に入れて, 30 分以上置く。 事前授業では,切り方について学習しておきます。 30g 20g 20g 10g 10g 20g 10g 10g キャベツ きゅうり しょうが 塩 ⑤鍋 に野菜,じんだを入れ,ひたひ たの水を加えて火にかける。やわ らかくなるまで煮込む。 30g 20g 1g 材料の 2% 鍋 ボール ( 小 ) ボール ( 大 ) すり鉢・すりこ木 包丁 まな板 玉じゃくし さいばし 菜箸 1個 2個 2個 1 セット 2本 2枚 1本 1組 ⑥野 菜類がやわらかくなったら,み そを入れて味を調え,盛り付ける。 ⑤最後によく水気を切って,盛り付 ける。 *けの汁は,一度にたくさんの野菜類を摂取できるため,好みの野菜を入 れて,煮込んでもおいしく食べることができます(煮崩れする野菜に注 意する)。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 試食・後片付け けの汁 ①だいこん,にんじんを 5㎜角に切 る。 キャベツの即席漬け 85kcaL 3.8g 2.1g 98.9mg 6.2g 2.6g 1 けの汁,キャベツの即席漬け 材料と分量 材料 / 分量 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 1 人分 けの汁 だいこん 30g 150g にんじん 20g 100g ごぼう 20g 100g ぜんまい 10g 50g ふき 10g 50g 高野豆腐 20g 100g だいず 10g 50g 赤みそ 10g 50g キャベツ 30g 150g きゅうり 20g 100g しょうが 1g 5g 材料の 2% 材料の 2% けの汁について ○ 「けの汁」は実だくさんの汁物で「カユの汁」がなまった ものとされ,旧暦の小正月に食べられるならわしがあり ます。 ○だいずは戻すのに時間がかかるため,洗って水につけ一 晩で戻しておくか,水煮のものを使用するとよいでしょ う。 ○味付けはみそ仕立てですが,みそを入れてから長時間煮 込んでいくとみその風味が消えてしまうので,最後にみ そを加えるとよいでしょう。 けの汁 ○火の通りと見た目をよくし,食べやすくするため,切り方をそろえさせること がポイントです。 ○保存食でもあるので,味付けは薄口にならないように注意させます。 キャベツの即席漬け 塩 の汁 け ○食 材には,主に根菜類の野菜を使い,長時間煮込んでも 形崩れしない食材を使うといいでしょう。 キャベツの即席漬け ○キャベツ以外に,白菜でも食感のよい漬物ができます。 器具名 / 数 1 クラス分 ( )班分 1 班分 鍋 1 個 ボール ( 小 ) 2 個 ボール(大) 2 個 すり鉢・すりこ木 ・切り方をそろえることを注意します。 ・あくの強い野菜は水にさらさせます。 ・野菜類がやわらかくなるまでよく煮ます。 ・調味料は最後に入れさせます。 1 セット 包丁 2本 まな板 2枚 玉じゃくし 1本 さいばし 1組 菜箸 ・野菜の切り方(5㎜角のさいの目切り)の説明をします。 ・山菜の扱い方について説明します。 ・青森県の郷土食(食文化)について説明します。 けの汁 ○全ての野菜を同じ大きさにそろえて切るのが難しかった ようですが,できあがったものを見ると見栄えがよいと 気付いていました。 ○野菜が一度にたくさんとれるバランスのよい料理で,調 理が苦手な生徒も手軽に作れると話していました。 ・津軽の郷土料理や特産品にもふれられ,昔から受け継がれる味がある ことにも気付き,関心を持たせる機会となります。 ・けの汁は全ての野菜をやわらかく煮込んでいるため,食欲がないとき でも食べることができる健康・ダイエット食にもなります。 キャベツの即席漬け ○簡単に漬物ができたと喜んで試食していました。 2 ながいもけいらん,南部串もち 郷土料理〜青森県 1 人分 ながいもけいらん ①だしのとり方を学ぶ。 ②白 玉粉を使っただんごの作り方 を学ぶ。 ③小麦粉の特徴を学ぶ。 ④青森県の郷土料理を知る。 ながいもけいらんは,ながいもと白玉 粉を混ぜて作ったもちをけいらん(鶏卵) に見立てたお吸い物です。けいらんの中 には,あんことくるみが入っており,汁 の塩味とあんこの甘みが絶妙に合う不思 議な汁物です。 青森県南部・下北地方の冠婚葬祭時に 供される定番の料理です。 串もちは農作業の「小昼」 (おやつ)と して食べられてきた物です。 ながいも(蒸したもの) 白玉粉 あん(こしあん) くるみ そうめん(乾燥) 昆布(水の 1%) かつお節(水の 2%) みつば ぬるま湯 塩 薄口しょうゆ 南部串もち 25g 25g 20g 5g 5g 2g 4g 2g 200mL 1.2g 1.4mL 薄力粉 みそ 砂糖 南部串もち ③① を半分にし,丸くのばし,あん とくるみを入れて丸める。 ※あんこ玉の中にくるみを 1 かけ入 れておくと作業しやすい。 ④熱 湯に③を入れてゆで,冷水にと る。 ※ゆ で時間は,沸騰したお湯にけい らんを入れて浮き上がって,1 分 程度を目安とし,取り上げたら, 冷水中で冷やす。 ⑤そうめんをゆでる。 ⑥みつばを 3cm 長さに切る (結びみつばを作ってもよい)。 ⑦だ し汁を人数分計量し,0.8% 塩 分になるように塩としょうゆで味 を調える。調味しただし汁にけい らんを入れて温める。 ①薄力粉を箸でかき混ぜながら熱湯 を入れる。まとまってきたら,手 でまとめてこねる。 ②串 を通す部分を厚めになるように 形を整える。 ③沸 騰した湯に入れてゆでる。浮か んで 1 分程度したらざるにとる。 ④み そと砂糖を混ぜてもちに塗り, オーブンで軽く焦げ目がつくまで 焼く。 ⑤④に割り箸を刺す。 昆布は沸騰させると雑味と粘り気が出てしまうので気をつけましょう。 作業過程を考えて,必要なものを前もって準備しておきましょう。 例えば,ざるにキッチンペーパーをかぶせて,こす用意をしておく,だんごをゆでるためのお湯を沸かして おく,だんごを冷やすための冷水を用意しておく,食器を用意しておく,など。 包丁 まな板 鍋 玉じゃくし 穴あきたまじゃくし ボール(中) ざる(中) 布巾 計量スプーン 計量カップ 1本 1枚 2個 1本 1本 2個 2個 2枚 1 セット 1個 ⑧汁 椀にそうめん,みつばを入れ, けいらん 2 個と汁を注ぎ入れる。 *白玉粉にながいもを混ぜることにより,口あたりがより滑らかになり ます。嚥下がスムーズになるので,お年寄りの方の食事としても喜ば れます。 *葉物(青菜)は塩を入れた湯でゆでてから冷水にとることにより,緑 色が鮮やかに仕上がります(葉緑素の安定)。 *小麦粉に水を加えてこねると「グルテン」が形成されます。 試食・後片付け ながいもけいらん ①な がいもと白玉粉を混ぜ,ぬるま 湯を少しずつ加えながら,耳たぶ ぐらいのかたさになるまで混ぜ る。 ※な がいもはあらかじめ蒸して裏ご ししておく。 ②昆 布を入れた鍋を火にかけ,沸騰 直前に取り出す。少しだけさし水 (温度を下げるため)をしたあと, かつお節を入れてひと煮立ちした らこす。 50g 9g 4g エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 189kcaL 4.8g 3.9g 15mg 1.5g 2.1g 3 ながいもけいらん,南部串もち 材料と分量 材料 / 分量 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 1 人分 ながいもけいらん ながいも (蒸したもの) 25g 125g 白玉粉 25g 125g あん 20g 100g クルミ 5g 25g そうめん 5g 25g みつば 2g 10g 昆布 (水の 1%) 2g 10g かつお節 (水の 2%) 4g 20g 200mL 1L ぬるま湯 塩 1.2g 6g 1.4mL 7mL 50g 250g みそ 9g 45g 砂糖 4g 20g 薄口しょうゆ ○だしのとり方を学びながら,汁物の標準塩分と塩分計算 の方法についても学習させることができます。 ○だ し(うまみ)の成分の特徴を理解させ,調理上の特徴 や扱い方についても学習させることができます。 〈成分〉 昆布 = グルタミン酸 かつお節 = イノシン酸 〈特徴〉 「うまみの相乗効果」→うまみ物質は単独で使うよりも, 組み合わせることで,うまみが飛躍的に強くなるという こと。 ○小 麦粉に含まれるたんぱく質の特徴(グルテンの形成) を理解するための体験ができます。 器具名 / 数 包丁 1 クラス分 ( )班分 1 班分 1枚 鍋 2個 玉じゃくし 1本 穴あき玉じゃくし 1本 ボール(中) 2個 ざる(中) 2個 布巾 2枚 計量カップ ○汁 物の具(椀種,椀妻,吸い口)の組み合わせについて どのようなものがあるか考えさせましょう。 椀種……お吸い物の主となる実のこと。 豆腐,白身魚,とり肉,ゆば等。 椀妻……味と色彩との両方で,椀種を助ける浮き実。青 み,あしらいとも呼ばれるように,季節の野菜 が用いられる。 吸い口…汁物に添える薬味のこと。味をひきしめ,香り を添えたり,季節感を出すためのもの。ねぎ, あさつき,ゆず等。 1 本 まな板 計量スプーン ※塩分計算方法の説明 180 mL 中の 0.8% 分にする場合の塩分を出します。 計算式 180×0.008=1.44 「塩」だけであれば 1.4g 必要 味付けに使用する塩としょうゆの塩分比率は,塩 : しょうゆは 4:1(標準)で あるため,塩だけの分量を先に計算します。 〈塩〉 計算式 1.44×4/5=1.152 → 四捨五入 → 1.2g 〈しょうゆ〉 計算式 1.44×1/5=0.288 しょうゆ分の塩分 しょうゆの塩分は塩の 1/6(16% 塩分)なので 0.288×6=1.728 → 四捨五入 → 1.7g 塩としょうゆの使用量 塩≒ 1.2g しょうゆ≒ 1.7g 南部串もち 小麦粉 ○ながいもは大きめの乱切りにして蒸すか,電子レンジで加熱し裏ごししておく とよいでしょう。時間に余裕があるときには,この作業からスタートします。 ○裏ごしの時間がない場合は,白玉粉としっかり混ぜれば大丈夫です。 ○だんごや串もちを丸めるときには,使い捨ての手袋を使うと手につかずにまと めることができます。 ○結びみつばを作ってもよいでしょう。塩を入れた熱湯にみつばをさっとくぐら せ,冷水にとってから結びます。 ○だしのうまみ成分とその特徴について学習させましょう。 1 セット 1個 ○だんごの生地を作るときの水加減がわかりづらいようで, 生地づくりに苦労する様子があります。 ○丸め方もまた,手慣れていないために戸惑っている様子 もありますが,食べ慣れない食感・味覚により達成感を 感じるようです。 ○白 玉粉(もち米)と小麦粉の違いを実感し,納得するよ うです。 ・昆布を取り出すタイミング,だんご生地のかたさの調整に気をつける ように説明しておきましょう。 ・けいらんの生地を作るときのかたさ(耳たぶ程度)について指示しま しょう。 ・けいらんをゆでて取り上げるときのタイミング(けいらんが浮き上がっ て 1 分程度)について再確認しておきましょう。 ・他の地域の郷土料理についても調べさせてみるとよいでしょう。 ・調理過程の組み立てがスムーズに行えたかどうかを振り返らせましょ う。 ・一番だしを使った料理にはどんなものがあるか考えさせましょう。 4 ひっつみ汁,ずんだひっつみ 郷土料理〜岩手県 1 人分 ひっつみ汁 ①とり肉や野菜の切り方を知る。 ②小 麦粉の調理上の性質と扱い 方を知る。 ③岩手の郷土料理を知る。 ひっつみは岩手を代表する郷土料理で す。昔はご飯が足りないときや農作業の 合間のおやつとして食べられていました。 「手で引きちぎる」ことを方言で「ひっ つむ」ということから名付けられました。 地域によって「つめり」 「とって投げ」な どと呼び,入れる具もさまざまです。 昔ながらのしょうゆ味のひっつみ汁の 他に「ずんだ」や「あずき」をまぶして 食べるなど,多様なひっつみ料理があり ます。 ②とり肉はそぎ切りにした後,2cm 角程度の大きさに切る。 ずんだ ひっつみ ①えだまめをゆでる。 ③だし汁ににんじん,ごぼうを入れ て煮る。 ②えだまめをさやからはずし,薄皮 をとる。 ひっつみの生地は 2 時間以上ねかせると薄くのびます。急ぐときはぬるま湯でこねますが,当日の朝や前日 にこねておくのがよいでしょう。 ひっつみ生地は,ぬらした手で指先と親指のはらを使って薄くひっぱってちぎります。 とり肉は衛生面を考えて,野菜の後に切るか,まな板を使い分けましょう。 ひっつみ生地 (ずんだひっつみにも使用) 小麦粉 (中力粉) ひっつみ生地 100g をまとめる 水 50mL だし汁 250mL とりもも肉 20g にんじん・ごぼう 各 30g ぶなしめじ・ねぎ 各 15g しょうゆ 7.5mL 酒 7.5mL 塩 少量 ③フ ードプロセッサーにえだまめ, 砂糖,塩,水を入れすりつぶし, ずんだを作る。 えだまめ(さやつき) 砂糖 塩 水 50g 10g 少量 10mL 鍋(大・中) ボール(大・中・小) ざる 包丁 まな板 さいばし 菜箸 玉じゃくし フードプロセッサ— 計量カップ 計量スプーン ④野菜がやわらかくなったら,とり 肉とぶなしめじを加える。 ⑤汁に味をつけた後,ひっつみ生地 の半分を一口大にちぎって入れ, 浮き上がるまで煮る。 ⑥ねぎを加えてひと煮たちしたら火 を止め,盛り付ける。 ④沸騰した湯に残り半分のひっつみ 生地を一口大にちぎって入れ,浮 き上がるまでゆであげる。 ⑤ひっつみを皿に盛り,ずんだをか ける。 * 「ずんだ」とはえだまめをすりつぶして作るあんで,東北地方の郷土料 理としてあえ衣などに用いられます。 *ひっつみに使う小麦粉は,家庭により強力粉や中力粉を用います。たん ぱく質のグルテン量の多い強力粉を用いた方が歯ごたえがあります。 *小麦粉はたんぱく質の量の違いによって,強力粉,中力粉,薄力粉に分 けられます。そのため,中力粉がない場合は,強力粉と薄力粉を半量ず つ混ぜ合わせて使うことができます。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 各1個 計3個 1個 3本 2枚 2組 1本 1台 1個 1 セット 試食・後片付け ひっつみ汁 下準備 小麦粉に水を加え耳たぶくら いのかたさにこねた後,ぬれ布巾を 掛け 2 時間ほど置く。 ①にんじんは厚さ 2mm のいちょう 切り,ごぼうはささがき,ねぎは 斜め薄切りにする。 ずんだひっつみ 529kcaL 16.8g 6.1g 64mg 2.3g 7.4g 5 ひっつみ汁,ずんだひっつみ 材料と分量 材料 / 分量 1 人分 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 ひっつみ汁 ○岩手県は,山間地が多く夏でも比較的冷涼な気候のため, 米の代わりに小麦やそば,だいず,雑穀などが栽培され ていました。中でも小麦は当時から,うどんなどに調理 して食卓に並べられていました。 ○岩 手県では地粉の「南部小麦」や「すいとん粉」を使用 する家庭もあります。 ひっつみ生地(ずんだひっつみにも使用) 小麦粉(中力粉) 100g 500g 水 50mL 250mL 250mL 1250mL だし汁 鶏肉 20g 100g 各 30g 各 150g 各 15g 各 75g しょうゆ 7.5mL 37.5mL 酒 7.5mL 37.5mL 塩 少量 少量 50g 250g 砂糖 10g 50g 塩 少量 少量 水 10mL 50mL にんじん・ごぼう ぶなしめじ・ ねぎ ○1 時間の実習のときは,当日の朝や前日にひっつみの生地をこねておきましょ う。時間がないときは,ぬるま湯で生地をこね,30 分程度ねかせて作ること もできます。グルテン形成が早まり,ある程度生地がのびます。 ○えだまめは,やわらかくゆでるとつぶしやすいので,フードプロセッサーがな くてもすり鉢で作ることができます。 ○1 班の人数が少ないときや,時間に余裕がないときは, 「ずんだひっつみ」を「き なこひっつみ」や「ごまひっつみ」に変えると時間短縮になります。 ○できあがったひっつみ汁を長時間おくと,ひっつみが汁を吸ってふやけ,汁が 少なくなって味が落ちます。家庭で作る際には食べる分ずつひっつみを汁に加 えましょう。 ずんだひっつみ えだまめ (さやつき) ○昔 ながらのひっつみの種類として「ひっつみ汁」と「あ ずきひっつみ」がありますが,県南地域では「ずんだ」 「ご ま」「しょうが」などがあります。 ○ 「ひっつみ汁」の具やだしは地域や季節によってさまざま であり,季節の野菜や肉,魚,きのこなどを用います。 ・野菜の切り方は,事前に教科書や資料集で把握させておきましょう。 ・小麦粉の種類とグルテンの性質について学習しておきましょう。 器具名 / 数 1 クラス分 ( )班分 1 班分 鍋(大 ・ 中) 各1個 ボール(大・中・小) 計3個 ざる 1個 包丁 3本 まな板 2枚 さいばし 菜箸 2組 玉じゃくし 1本 フードプロセッサー 1台 計量カップ 計量スプーン 1個 1 セット ・ひっつみは,水でぬらしてちぎると手につかないことと,生地の半分 は「ひっつみ汁」に,残り半分を「ずんだひっつみ」に使うことを指 示します。 ・ずんだは,少し粒が残る程度にすりつぶすことを指示します。 ○ひっつみは,生地をねかせておくことでのびがよくなり, 手にもつきにくくなるので,初めてでも薄く食べやすい 大きさにちぎることができます。 ○食材によって切り方が異なり,切り方の練習になります。 ○ず んだは,豆の薄皮をむくのに手間取りますが,その他 の作業は簡単で手軽にでき,おいしいと好評でした。 ○ずんだひっつみは冷めるとかたくなるので,やわらかめ にゆであげた方が食べやすいようです。 ・地域の郷土料理の由来や,自分が食べている郷土料理について関心を 持たせることができます。 6 かまもち,けいらん かまもちは中にみそあんを入れた半 月形のおやつです。鎌に形が似ていこ とからついた名前で,地域により「み みっこもち」「きんかもち」などと呼ば れ,生地や中身に用いる材料は地域に よってさまざまです。 けいらんは,鶏卵と同じくらいの大 きさ,形に作ったあん入りのだんごを 熱いゆで汁の中に浮かせて食べます。 寒い遠野地方で食べられた,体を温め る冬のおやつです。 郷土料理〜岩手県 1 人分 ①小麦粉ともち粉の扱い方を知る。 ②岩手の郷土料理を知る。 かまもち けいらん 薄力粉 30g 塩 少量 水 25mL 玉砂糖 (なければ細かく砕いた黒砂糖)8g くるみ 2g みそ 1g 水 少量 もち粉 水 こしあん 30g 24mL 30g 鍋(中) ボール(中) 包丁 まな板 さいばし 菜箸 玉じゃくし 計量カップ 計量スプーン けいらん ②薄 力粉に塩を入れて混ぜ,そこに 熱湯を入れて箸で混ぜ,耳たぶく らいのかたさになるまでこねる。 ③生 地を人数分に分け,手のひらで 丸くのばし,中央はくぼませる。 生地の真ん中にみそあんを置き, ふちに水をつけて二つ折りにし, 周りをしっかり留める。 ④た っぷりの熱湯で,③を浮き上が るまでゆでる。 ⑤水分を切って,器に盛り付ける。 ①こ しあんを 1 人 2 個になるよう に丸める。 ②も ち粉をボールに入れ,箸でかき 混ぜながら水を注ぐ。耳たぶくら いのかたさになるまでよくこねる。 ③生 地を 1 人 2 個になるように分 け,手のひらで丸くのばし,こし あんを包む。丸くした後,片方を 少しとがらせて卵型にする。 ④た っぷりの熱湯で,最初は強火, その後弱火にし,中に火が通って 浮き上がるまでゆでる。 ⑤ゆで汁ごと器に盛る。 「かまもち」のみそあんに加える水は材料をまとめるためにほんの少量加えます。入れすぎると少しおいた 状態ではゆるくなるため,包みにくくなります。 「けいらん」のこしあんがゆるくて丸めにくいときは,黒すりごまを加えてかたさを調節するとよいでしょ う。 「かまもち」 , 「けいらん」ともに,生地を直径 3㎝ほどの棒状にして,包丁で等分に切り分けてから丸める ようにします。 「かまもち」のみそあんもくるむ前に等分にしておくとよいでしょう。 *白玉粉ともち粉は,どちらももち米を原料として作られますが,製法が 異なります。白玉粉の方が粒子は細かく,舌ざわりが滑らかですが,あ んをくるむ作業はもち粉の方が扱いやすいです。 *粉類に水を加えてこねることをこの地方では「しとねる」といい,しと ねて作る物を「しとねもの」と呼びます。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 2組 1本 1個 1 セット 試食・後片付け かまもち ①玉砂糖,粗く刻んだくるみ,みそ, 水を合わせて練り,みそあんを作 る。 2個 2個 1本 1枚 311kcaL 7.7g 2.5g 39mg 0.1g 3.2g 7 かまもち,けいらん 材料と分量 材料 / 分量 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 1 人分 かまもち 薄力粉 30g 150g 塩 少量 少量 水 25mL 125mL 玉砂糖 8g 40g くるみ 2g 10g みそ 水 1g 5g 少量 少量 30g 150g 24mL 120mL 30g 150g ○地域によって「みみっこもち」 「きんかもち」 「かまもち」 「か ますもち」「かまやき」「かまだんご」 「ひゅうず」など名 称はさまざまなようです。皮は小麦粉,米粉を使用し中 身はくるみみそ,黒砂糖などが入っており,地域によっ て味付けが少し異なります。 ○岩手県遠野市を中心とする地域の小正月や,来客のもて なしに振る舞われてきました。「けいらん」は,お吸い物 の一種で,卵(鶏卵)の形をしただんごを 2 つお吸い物 の中に入れた郷土料理です。おやつとして食べるのが一 般的なようです。かつての南部藩領内全域で食されてい たとされています。 ○ 「けいらん」を食べるときは,箸で真ん中を切って食べま す。現在はうずら卵の大きさに作ることが多いようです。 ○ 「かまもち」は,時間がたってかたくなったものは焼いて 食べることから,「かまやき」とも呼ばれます。 ○ 「かまもち」はゆであげた方が簡単ですが,蒸し器で蒸す方法もあります。 ○ 「かまもち」 「けいらん」ともに,耳たぶくらいのかたさの生地にしてあんを包 みますが,時間がたつと生地が乾くため,あまり時間をかけないで包むように します。 けいらん もち粉 水 こしあん ○ 「けいらん」は昔,野田村(岩手県東北部)で禁忌が非常 に厳しかった頃,精進料理に用いられ,くるみ,黒砂糖, からしをもち米の粉のだんごでくるんでゆでたものを, 椀種にし,お吸い物にしていました。 ・小麦粉ともち粉(もち米粉)について,事前に教科書や資料集で学習 しておきましょう。 器具名 / 数 1 クラス分 ( )班分 1 班分 鍋(中) 2個 ボール(中) 2個 包丁 1本 まな板 1枚 さいばし 菜箸 2組 玉じゃくし 1本 計量カップ 1個 計量スプーン 1 セット ・小麦粉ともち粉をまちがわないように使用させます。 ・「かまもち」は,ぎょうざを包むように二つ折りにして中身が出ないよ うしっかり閉じるよう指示します。 ・「けいらん」は,生地の縁をあまり厚くせず,あんをくるみ丸めてから, あんが出ないように卵の形に似せて作ります。 ○ 「けいらん」では,汁はただのゆで湯なのに,割って食べ たときに溶け出たあんの甘さととろみがとてもおいしい と生徒には好評でした。 ○ 「かまもち」では,みそあんのみそや玉砂糖の量を好みに 合わせて加減するといい,という声がありました。 ○ 「かまもち」 ,「けいらん」ともに包む作業があり,少し難 しいようです。「けいらん」の形がうまくできると,満足 感が高いようです。 ・地域の郷土料理の由来や,自分が食べている郷土料理について関心を 持たせることができます。 8 あぶらふ丼,笹かまぼこと青菜の煮びたし 郷土料理〜宮城県 1 人分 あぶらふ丼 あぶらふとは,旧仙台藩地域,宮城県 北部登 米 地方に昔から伝わる食材で,小 麦粉のたんぱく質成分グルテンを油で揚 げたものです。 宮城のあぶらふは長さが 25 〜 26cm 直径が 5cm ぐらいで,「フランスパン」 のような形をしています。 仙台ねぎは,栽培地域の地下の水位が 高く,深く作れないために,途中で一度 ねぎを抜き,斜めに埋め直して育てます。 と ①郷土料理に関心を持つ。 ②食 材に合った材料の切り方を覚 える。 ③和風だしのとり方を覚える。 め あぶらふ 仙台ねぎ 卵 ぶなしめじ 温かいご飯 紅しょうが 〈調味液〉 だし汁 しょうゆ みりん 砂糖 ②ね ぎは斜め切りにする。ぶなしめ じは,根元を切り落とし,バラバ ラにしておく ③卵を割り,ボールに溶いておく。 ④調味液を混ぜておく。 ⑤平 鍋に調味液を入れ,煮立ったらあ ぶらふを入れて 2 〜 3 分ほど煮る。 ふにだしがしみこんだら,ぶなしめじ とねぎを散らし 2 〜 3 分煮て,全体 に火が通ったら 10 秒ほど強火にし て沸騰させる。 ①青 菜はよく洗い,塩を加えて沸騰 し た 湯 で 2 〜 3 分 ゆ で て, す ぐ に水にとる。 ②笹 かまぼこはさっとゆでて,薄切 りにする。 ③青 菜を軽く絞り,3cm ぐらいに 切る。 ④鍋 にだしと調味料を入れ,沸騰し たら笹かまぼこと青菜を入れ,ひ と煮立ちさせて火を止める。 事前に各班 1 人分 200mL(1 カップ)×人数分のお湯を沸かして,だしを作っておきます。 丼物のご飯は,必ず炊き立てのご飯を用います。ご飯が冷めてしまうと,汁を吸収せず水っぽくなります。 ねぎを早く入れてしまうと煮え過ぎて,ねぎの食感が損なわれるので,入れるタイミングに注意します。 卵を入れてからの火加減に注意し,一度煮立たせてからすぐに火を止めないと焦げてしまうこともあります。 10g 40g 50g 30g 150g 10g 笹かまぼこ しょうゆ 青菜 みりん だし汁 25g 2.5mL 80g 5mL 50mL 80mL 15mL 15mL 2g ⑥溶 き卵を一面に流し入れ,すぐに ふたをして火を止める(卵のかた さは好みにする)。 鍋 1個 親子丼用鍋(各自が作る場合)1 個 平鍋(班ごとまとめて作る場合)1 個 ボール(小) 1個 ざる 1個 包丁 1本 まな板 1枚 玉じゃくし 1本 しゃもじ 1本 計量カップ 1個 計量スプーン 1 セット 炊飯器 1台 ⑦炊 き立てのご飯をどんぶりによそ い,具をのせる。好みで紅しょう がを散らす。 ⑤水 気を軽く絞り,小鉢に中高に盛 る。 *あぶらふは,もともとは登米地方のお盆に食する精進料理の食材(特に うどんなどの汁物の具材)として用いられていました。 *かつ丼のかつや親子丼のとり肉の代わりに使うところ以外は,基本的作 り方は同じ。あぶらふは水分を多く吸収しますので,だしは多めに使用 し,全体に味が絡まるようにすると食感がやわらかく仕上がります。 *今回,青菜はこまつなを考えていますが,みずな(きょうな)やほうれ んそうでもおいしく食べられます。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 試食・後片付け あぶらふ丼 笹かまぼこと 青菜の煮びたし ①あ ぶらふは,1cm 幅の食べやす い大きさに切る。 笹かまぼこと青菜の煮びたし 623kcaL 26.7g 11.0g 0.3mg 4g 4.3g 9 あぶらふ丼 笹かまぼこと青菜の煮びたし 材料と分量 材料 / 分量 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 1 人分 あぶらふ丼 あぶらふ 10g 50g 仙台ねぎ 40g 200g 卵 50g 250g ぶなしめじ 30g 150g 紅しょうが 10g 50g 温かいご飯 150g 750g だし汁 80mL 400mL しょうゆ 15mL 75mL みりん 15mL 75mL 2g 10g 〈調味液〉 砂糖 ○あ ぶらふは今では年中食べられるようになりましたが, 昔は夏の食材だったようです。暑い時期の肉の代わりの 貴重な栄養源だったようです。 ○も ともとあぶらふは,汁物の具としての食材でしたが 2008 年の仙台・宮城デスティネーションキャンペーンに 合わせて,宮城県内でご当地グルメを再評価して名物化 する動きがあり,登米地方を中心に試行され,2009 年頃 から「B 級グルメ」として一般的に知られるようになり ました。 ○ご飯の炊きあがり時間に注意させてください。ご飯が冷めてしまうと汁を吸収 せず,水っぽくなってしまいます。 ○本校では,ここで使うだしは「昆布とかつお節」でとった一番だしを使ってい ます(だしのとり方の学習も含んでいます)。 ○だしを準備するときには,蒸発分も考えてやや多めに準備させます。時間がな いときには,まとめて教師側で準備しておいてもよいと思います。 ○あぶらふは,乾物ですので生物で行う調理実習よりも食中毒の心配が少なくな ります。生物を扱う場合には,まな板の使い分けなどが必要ですが,その配慮 が少なくてすむのは,初めて調理実習を行う場合,教師側も楽です。 ○非常に応用範囲の多い献立です。 あぶらふを,とり肉に→親子丼,豚肉に→他人丼, あぶらげ→きつね丼など。 ねぎをたまねぎにして,卵でとじれば→卵丼。 ○今回はこまつなを使っていますが,季節に合わせた青菜 でも十分です。そのときには,ゆで時間や量も少し異なっ てくると思います。 笹かまぼこと青菜の煮浸し 笹かまぼこ 25g 125g 青菜 80g 400g だし汁 50mL 250mL しょうゆ 2.5mL 12.5mL 5mL 25mL みりん 器具名 / 数 1 クラス分 ( )班分 1 班分 鍋 1個 親子丼用鍋(各自が作る場合) 1個 平鍋(班ごとまとめて作る場合) 1個 ボール(小) 1 個 ざる 1 個 包丁 1本 まな板 1枚 玉じゃくし 1本 しゃもじ 1本 計量カップ 1個 計量スプーン 炊飯器 ○初めての調理実習で行う献立ですが,ほとんど失敗しま せんし,とても評判がよい献立です。 あぶらふには独特の風味と食感があり,ヘルシーですが, ボリュームも感じられるようです。家庭でも自分で実際 に作り,家族からの高評判をもらい,うれしそうに話し てくれる生徒が毎年たくさんいます。 ○なかなか野菜を食べない生徒たちもちょっとした一手間 を加えることでいつもとは違った食べ方となり,量が多 くても食べてくれます。 ・宮城の郷土料理について考えさせましょう。 ・宮城の食材について考えさせましょう。 ・日本の行事食や郷土料理に関心を持たせましょう。 ・だしのとり方(一番だし・二番だし),うまみ成分について説明します。 ・段 取りの確認:丼物を温かい状態で出すために,炊飯時間を逆算し, ご飯の炊きあがりと具の仕上がり時間を考えましょう。 ・溶き卵を入れてからの火加減と火にかける時間に注意します。 ・調理作業は,手順よく行われたか,チームワークはとれていたかを振 り返りまとめます。 ・自分でできる料理にはどんなものがあるか,話し合わせます。 1 セット 1台 10 炒めうーめん,梅干しスープ 郷土料理〜宮城県 1 人分(10 個) 炒めうーめん しろ いし うー めん ①めんの扱い方について学ぶ。 ②野菜の切り方について学ぶ。 ③だしについて学ぶ。 ④宮城県南部の特産品を知る。 宮城県南部の特産品である白石温麺は, 約 400 年前,胃病の父に食べさせたいと 油を使わない製法のそうめんを息子が考 案したものです。長さ 9㎝と短く,どん な人でも食べやすいめんです。冷やして も温めてもめんつゆでおいしく食べるこ とができます。 梅干しも県南部の特産品です。県南部 は温暖で日照時間も長いことから,梅干 し作りが盛んです。 ②鍋 にお湯を沸かして,うーめんを ゆでて水にとり,水気を切る。 梅干しスープ 野菜を切るもの,肉を切るもの,まな板は 2 枚使うと衛生的で効率もよいでしょう。 火の通りを均一にするため,材料の切り方や大きさをそろえるとよいでしょう。 うーめんを湯に入れた後は,めんが束にならないように菜箸で軽くほぐしながらゆでましょう。 うーめんはゆでた後にも熱を加えるので,ゆで過ぎに注意しましょう。 片付けながら調理を進めることを意識して,実習に取り組みましょう。 80g 20g 40g 10g 5mL 1.5g 少量 1.3mL 梅干し(中) かつお節 とろろ昆布 しょうゆ 熱湯 1個 1g 2g 少量 160mL 鍋(深鍋) フライパン やかん 1個 1個 1個 菜箸 包丁 まな板 ピーラー ボール ざる 2組 2本 2枚 1個 2個 1個 さいばし ③熱 したフライパンに油を入れ,豚 ばら肉,野菜,うーめんの順に加 えて炒める。 ④塩,こしょうで味を調える。 ⑤しょうゆを加え,軽くかき混ぜて から火を止める。 ⑥皿に盛り付ける。 ①椀に種を取った梅干し,かつお節, とろろ昆布を入れる。 ②やかんに分量のお湯を沸かす。 ③椀に沸騰したお湯を注ぎ,しょう ゆを加える。 ④食べるときには,梅干しをくずし ながら食べる。 *うーめんは冷やしても温かくしても,めんつゆでおいしく食べることが できます。 *梅干しスープは,昆布とかつお節のうまみと,梅干しの塩味,酸味で調 味料なしでも十分おいしく食べることができます。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 試食・後片付け 炒めうーめん ①材料を切る。 にんじん,キャベツは 4㎝くらいの長さのせん切りにする。豚ばら肉は細 切りにする。 白石温麺 豚ばら薄切り肉 キャベツ にんじん サラダ油 塩 こしょう しょうゆ 梅干しスープ 408kcaL 12.5g 11.7g 42.5mg 4.6g 4.0g 11 炒めうーめん,梅干しスープ 材料と分量 材料 / 分量 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 1 人分 炒めうーめん 白石温麺 80g 400g 豚バラ薄切り肉 20g 100g キャベツ 40g 200g にんじん 10g 50g サラダ油 5mL 25mL 塩 1.5g 7.5g こしょう 少量 適量 しょうゆ 1.3mL 6.5mL 1個 5個 1g 5g ○そうめんは生地をのばす際,表面の乾燥を防ぐために油 を塗って作るのが一般的ですが,白石温麺は油を用いな いのが特徴です。長さがわずか 9㎝と短いことで,乳幼 児から高齢者まで,どんな人でも食べやすいめんです。 ○宮 城県南部は,温暖で日照時間も長いことから,うめを はじめとして,多くの農産物が作られています。 ○うーめんを複数束ゆでるときは,あらかじめ帯を外しておきます。お湯に入れ るたび帯を外すと,ゆで時間に差が出てしまいます。 ○うーめんをゆでるときは,束のままゆで上がらないように,菜箸でめんを軽く ほぐしながらゆでます。 ○うーめんをゆでた後水気を切ってしばらく置くと,めんが固まってしまうので, 野菜に火が通る頃と,めんがゆで上がる頃のタイミングを合わせるように注意 します。 ○うーめんを炒めるとき,火加減などによってめんがフライパンにこびりついて しまうことがあります。フッ素樹脂加工のフライパンをおすすめします。 ○梅干しは梅肉の硬さがさまざまです。やわらかいものは,椀の中で簡単にくず すことができますが,かたいものはあらかじめ粗く刻んでから椀に入れると塩 味・酸味が広がります。 梅干しスープ 梅干し(中) かつお節 とろろ昆布 しょうゆ 熱湯 器具名 / 数 鍋 ( 深鍋 ) 2g 10g 少量 適量 160mL 800mL 1 クラス分 ( )班分 1 班分 1 個 フライパン 1個 やかん 1個 さいばし 菜箸 2組 包丁 2本 まな板 ○炒めうーめんの具材は他の野菜や肉やベーコン,地域の 食材などでもおいしく食べることができます。 ○炒めうーめんは,炒め油にバターやごま油を使うと風味 の違ったものができます。 ○梅干しスープは他に刻みのり,みつばなどを散らしても おいしく食べることができます。 ○梅干しスープは調味料なしでもおいしく食べられるので, 材料をラップなどに包み,インスタントスープとして携 帯することもできます。 2 枚 ピーラー 1個 ボール 2個 ざる 1個 ○短時間で簡単にできる献立なので,家庭でもぜひ作って みたいとの声が多かったです。 ○炒めうーめんは,他にどんな具材を使うとよいか…など グループで話しながら食べている様子でした。 ○梅 干しスープは,だしのうまみがよく出ていたことや, 梅干しの意外な使い方に驚いていました。 ○梅 干し嫌いの生徒が思った以上に多く,残念ですが,梅 干し抜きでもしょうゆを多めにすると,おいしく食べら れたようです。 ・めんのゆで方について。 ・野菜の切り方について。 ・うまみ成分について。 ・安全・衛生面に気をつけるようその都度,声をかけます。 ・うーめんをゆでるとき,かたまりにならないよう,菜箸でめんを軽く ほぐしながらゆでるよう指示します。 ・うーめんのゆで時間を短めにすること,水気をしっかり切ることに気 を配るよう指示します。 ・にんじんを厚く切り過ぎた場合は,にんじん→キャベツの順番に炒め るよう指示します。 ・片付けながら調理を進めるよう声をかけます。 ・短時間での調理実習を通して,分担・協力できていたか,効率よく進 めることができたかを振り返ります。 12 麦巻き 郷土料理〜秋田県 1 本分 / 約 10 切れ程度 麦巻き 麦巻きは,小麦粉に卵を混ぜて焼い た秋田県の郷土料理です。 「小麦粉」を使用しているので,「麦」 巻きと名付けられています。 昔は,卵は貴重な食材であり,冠婚 葬祭や運動会などのときに,親しまれ て食べられていました。 ①滑らかな生地にするために,薄力 粉と砂糖はふるいに掛けておく。 ①郷 土に昔から伝わる,伝統的な お菓子の作り方を知る。 ②小 麦粉や卵,砂糖の調理性を学 ぶ。 ③フ ラ イ パ ン に 油 を キ ッ チ ン ペ ー パーなどで薄くのばし,生地を玉 じゃくし 1 杯分程度流し,中火〜 弱火で,表面にプツプツと穴があ き,色が変わり乾いてきたら,く るくると端から巻いていく。 生地が滑らかになるように,砂糖と薄力粉は,必ずふるいにかけて,塊がないようにしましょう。 フッ素樹脂加工のフライパンやホットプレートがなければ,卵焼き器でも代用できますが,生地がはがれに くいときは,途中でも油を薄く引きましょう。 巻き簀がなければ,ラップで巻いて形を整えてもいいですが,冷めにくくなるので,その際は巻き終わった ら広げておきましょう。 ④卵 焼きを焼くように,生地がなく なるまで,数回繰り返す(7 〜 8 回程度)。 110g 中2個 110 〜 130g 少量 150mL 適量 ⑤巻 き簀で巻いて形を整え,十分に 冷ます。 (巻き簀がなければ,ラップで可 能だが,巻き終わったら必ず広げ て冷ますこと) フライパン(大) 1個 (あるいはホットプレート 1 台) ボール 3個 泡立て器 1本 ふるい 1個 フライ返し 1本 玉じゃくし 1本 まな板 1枚 包丁す 1本 1枚 巻き簀 ⑥冷 めたら,1.5 〜 2cm 幅に切り 分ける。 *塩を少量入れることにより,味の対比効果が生まれ,甘さが際立ってき ます。 *中にココアやコーヒー,抹茶や野菜ペーストなどを加えると,色とりど りの麦巻きが作れます。 試食・後片付け 麦巻き ②ボールに卵を溶きほぐし,水を加 え,砂糖,塩を加える。その後, 薄力粉を数回に分けて加え,だま にならないようによく混ぜる。 薄力粉 卵 砂糖 塩 水 サラダ油 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 993kcaL 20g 32.9g 82.2mg 0.6g 2.8g 13 麦巻き 材料と分量 材料 / 分量 1 人分 1 班分 (5)人分 1 クラス分 学年分 ( )人分 ( )人分 麦巻き 薄力粉 卵 砂糖 110g 550g 中2個 10 個 110〜130g 550〜650g 塩 少量 適量 水 150mL 750mL 適量 適量 サラダ油 器具名 / 数 フライパン (あるいはホットプレート 1 クラス分 ( )班分 1 班分 1 台) 3個 泡立て器 1本 ふるい 1個 フライ返し 1本 玉じゃくし 1本 まな板 1枚 包丁 1本 巻き簀 ○生地には,ココア,コーヒー,練乳,抹茶,ごま,野菜のペー ストなどを加えて,色や味を変えることが簡単にできま す。 ( 例 : コ コ ア の 場 合, 小 麦 粉 を 90g に 減 ら し, コ コ ア 20g,砂糖を 10g 程度増やして加える) ○砂糖や卵の量を変えたり,砂糖を黒糖に変えたりすると, 風味の違いを学ぶこともできます。 ○冷凍保存が可能です。 ○小麦粉に米粉をプラスして,食感の違いを学ぶこともで きます。 1個 ボール す ○秋田県の県北部の能代市,中央部の南秋田郡で食べられ ている郷土菓子です。厚焼き卵のような作り方と,もち もちとした食感が特徴的です。 ○添 加物など使わない,シンプルな材料のお菓子として, 小さい子どもから高齢者まで安心して食べることができ ます。 ○生 地には,いろいろなアレンジを加えることができ,色 どりを工夫する楽しさもあります。 ○クレープ生地とは異なり,生地をねかせる必要がないの で,短時間で作ることが可能です。 1個 ○数回,巻く作業があるのですが,苦戦する生徒もいます(フ ライパンだと,丸みがあるので,卵焼き器やホットプレー トよりも苦戦するようです)。 ○シンプルな甘さで,懐かしい感じがするようです。 ○い ろいろな生地を用意すると,更に楽しいようです。自 分で考える楽しさもあります。 ○生地が温かいうちは,切りにくいので,冷ましてから切ります。冷ましている 間に,後片付けをするように指示します。 ○簡単な作業で,短時間で完成できます。プレーン味だけだと単純になる場合が 多いので,いろいろな中身の生地を用意し,色どりを工夫させたり,盛り付け の仕方を考えさせたりするとよいと思います。 ○卵の場合,砂糖を加えることで,熱凝固温度が上昇します。たんぱく質は,温 度が高く加熱時間がゆるやかになるほど,ふっくらとやわらかく凝固できます。 このため,卵 + 砂糖は,ふっくらと焼き上がります。また,砂糖の保水性も, できあがったものに対して,ソフトさを加えることができるので,そのことに ついても触れるといいと思います。 ○このレシピは,砂糖の量を 110g で考えていますが,伝統的な風味を楽しむと すると 130g 程度になります。 ・小 麦粉のグルテンの性質,クレープとの違いを学んでおきましょう。 砂糖,卵の調理性を学んでおきましょう。 ・滑らかな食感にするため,だまができないように,小麦粉,砂糖はしっ かりふるい,混ぜるように指示します。 ・焼き過ぎるときっちりと巻けないので,焼き加減に注意するように指 示します。 ・しっかりと冷ますと切りやすくなります。 ・自分の身の回りにある,昔ながらのお菓子などについて学んだり,市 販のお菓子などの成分との比較してみたりすると,食文化や食生活に ついて考えることができます。 14 だまこ鍋 郷土料理〜秋田県 1 人分 だまこ鍋 ①秋 田県の郷土料理の由来と特徴 を知る。 ②う るち米(飯)の扱い方や調理 性を学ぶ。 ③食 材の切り方と扱い方を身に付 ける。 ④地 域の特産品の特徴と調理法を 知る。 別名「やまもち」ともいわれるだまこ 鍋は,山林で働いた人々が,夏場の食欲 のないときに弁当のご飯を木の切り株の 上にのせ,おのの背ですりつぶして丸め, 沢水にみそを溶いた汁につけて食べたの が始まりとされています。 「だまこ」の語源はその形状からきてお り,「だま」は丸い・丸める(「だまける」 ともいう)の意味で,それに秋田なまり 独特の,語尾に「こ」がついています。 ②炊 き あ が っ た ご 飯 を, 熱 い う ち に す り 鉢 で つ ぶ し, 直 径 2.5 〜 3cm ほどのピンポン球状に丸め, 塩水にさっと(30 秒ほど)くぐ らせ水を切る。 ③あ ら か じ め と っ て お い た だ し 汁 に,ごぼうを入れて煮立たせ,と り肉を加えてあくを取る。 ④しょうゆ・酒・みりんで味を調え, まいたけ・糸こんにゃくを入れる。 鍋(大) 鍋(中) まな板 包丁 すり鉢・すりこ木 ボール 110g 160mL 50g 50g 25g 25g 25g 25g 300mL 30mL 少量 ⑤具 材に味がついたら,だまことね ぎを入れる。 さいばし 菜箸 玉じゃくし だまこのご飯は半つぶし(半殺し)程度につきます。丸めるときは,塩水を手水に使うとよいでしょう。熱 いうちに作業しますので,やけどをしないように気を付けましょう。ご飯は,多くつくほどくずれにくくな ります。また,ねばりのない米を使う場合は,つく際に片栗粉を少量加えたり,丸めてから表面を軽く焼く と煮崩れしにくくなります。 1組 1本 ⑥だ まこに味がついたら,食べる直 前にせりを入れる。 だまこ鍋 時間の実習なので,事前にご飯を炊き,とりがらでだしをとっておきましょう。時間に余裕のあるときは, 1 だしをとるところから始めましょう。 1個 1個 2枚 2本 1 セット 3個 試食・後片付け ①ごぼうをささがきにし水にさらす。 とり肉は一口大,ねぎは大きめの斜 め切り,せりは 5 〜 6cm の長さ に切る。まいたけは手でさいてち ぎる。糸こんにゃくは下ゆでする。 うるち米 水(炊飯用) とり肉(比内地どり) ねぎ まいたけ 糸こんにゃく せり ごぼう とりがらのだし汁 しょうゆ 酒・みりん *だまこ鍋はだし汁のおいしさがポイントです。昔は八郎潟でとれるわか さぎをだしに使い,みそで味付けをしていましたが,現在はきりたんぽ 鍋同様にとりがらでだしをとるようになりました。今回はとりがらのみ でだしをとりますが,昆布や煮干し,かつお節でとっただしを加えると, こくのある味に仕上げることができます。 *せりは最後に加えて香りを楽しみます。秋田県ではせりの根も食べます。 せりに根が付いていたら,ぜひ食べてみましょう。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 588kcaL 23.2g 9.0g 88.8mg 4.8g 5.5g 15 だまこ鍋 材料と分量 材料 / 分量 1 人分 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 だまこ鍋 うるち米 110g 550g 160mL 800mL 50g 250g ねぎ 50g 250g まいたけ 25g 125g 糸こんにゃく 25g 125g せり 25g 125g ごぼう 25g 125g 300mL 1500mL 30mL 150mL 少量 適量 水(炊飯用) 鶏肉 (比内地どり) とりがらのだし 汁 しょうゆ 酒・みりん 器具名 / 数 1 クラス分 ( )班分 1 班分 鍋(大) 1個 鍋(中) 1個 まな板 2枚 包丁 すり鉢・すりこ木 ○ 「だまこ鍋」は,秋田県では「きりたんぽ鍋」と人気を二 分する郷土料理です。 「きりたんぽ」のみを入れる家庭, 「だ まこもち」のみを入れる家庭,また 2 種類を入れ,両方 のおいしさを味わう家庭とさまざまな楽しみ方がありま す。「きりたんぽ」は,北秋田地方のマタギや木こりたち がご飯をつぶし棒に刺して焼いたものを,ヤマドリやキ ジのとり鍋と一緒に煮込んだものが始まりといわれてい ます。 ○ご飯は少しかために炊いた方がうまく仕上がります。米 の種類や状態,炊飯器等に応じて水加減を調整してくだ さい。 ○鍋 の具材として,油揚げやさといも,じゅんさいなどを 加える地域もあります。 ○ほ ぼ同じ材料できりたんぽ鍋を作ることができます。き りたんぽは市販のものがありますが,次の要領で作るこ とができます。 【きりたんぽの作り方】 ①ご飯が熱いうちに 7 分程度つき,こねる。 ②① のご飯を茶碗 1 杯程度取り,一握りに丸め,杉のくし に上から下に伸ばすようにして握りつけ,20cm くらい の竹輪のような形に整える(薄い塩水を手水にするとよ い)。 ③炭 火もしくはホットプレートで,こんがりときつね色に なるまで焼く。 ボール 3個 さいばし 菜箸 1組 玉じゃくし 1本 ※余裕がある場合は,半量程度を煮干し・だし昆布・かつお節でとっただしを 加える。あるいは,とりがらでだしをとる際にだし昆布を加えてもよい。 ・野菜の切り方や下処理の方法,だしのとり方を教科書や資料集で確認 しておきましょう。 ・だまこもちを作る際の注意点を説明しておきましょう。 ・ご飯のつぶし具合や,だまこもちを丸める際のかたさなどに注意しま しょう(だまこもちは,耳たぶくらいのかたさがよいとされています)。 2本 1 セット ○時間短縮のために,次のⅠ・Ⅱを準備しておきます。 Ⅰ 米を炊いておく。 Ⅱ とりがらでだしをとっておく。 【材料】 (約 1 クラス分) とりがら 6 羽 水 18L 程度 (煮干し・だし昆布・かつお節) 適宜 【作り方】 ①とりがらは水できれいに洗い,鍋に入れる。 ②①の鍋に水を入れ強火にかける。一度沸騰した後は煮立たせないように弱火 にし,2 〜 3 時間ほど煮る。 ○どこの家庭でも食べられている料理であり,小学校など で行われている「なべっこ遠足」でも定番となっている 鍋ですが,だしの香りが食欲をそそり,大変喜びます。 ○同じ材料を使用していても,作り方や分量などで味に違 いが出てくるので,お互いに「家庭の味」や「こだわり」 について意見を出し合いながら調理をしている姿がみら れます。 ・他の郷土料理やその由来についても調べ,郷土をより深く知るきっか けとします。 ・地産地消について考え,地元の食材を使用するという意識を高めます。 16 いも煮,なすのぬたあえ 郷土料理〜山形県 1 人分 いも煮 いも煮は山形の秋を代表する味覚で す。9 月から 10 月にかけて,県内の 河原では,仲間同士で鍋を囲む光景が 見られます。 夏になるとえだまめの収穫期を迎え ます。山形県村山地方ではすりつぶし たえだまめを「ぬた」と呼んでいますが, 他に「じんだん」 「ずんだ」と呼んでい る地区もあります。 ①郷土料理を知る。 ②さといもの扱い方を知る。 ③あ えもは食べる直前にあえる理 由を知る。 ④な すを色よく仕上げる方法を知 る。 さといも 角こんにゃく 牛肉(薄切り) ねぎ しょうゆ 砂糖 酒 水 なすのぬた和え 160g 30g 70g 30g 15mL 4.5g 15mL 200mL なす えだまめ(さや付き) 砂糖 塩 酒 50g 75g 4.5g 0.8g 2.5mL 鍋 ボール ざる 包丁 まな板 計量カップ 計量スプーン 玉じゃくし すり鉢・すりこ木 蒸し器 竹串 さいばし 菜箸 なすの ぬたあえ ②こ んにゃくは手でちぎって下ゆで しておく。 ③牛肉は 4 〜 5㎝に切り,ねぎは斜 め切りにする。 ④鍋 に分量の水と半量のしょうゆと 酒を入れ,さといもとこんにゃく を入れて火にかける。 ①な すはへたを取り,半分に切って 5 〜 6㎜の厚さの半月切りにし, 薄い塩水につける。 ※な すを色よく仕上げるには,みょ うばん水でもみ洗いする。 ②え だまめは塩でもんでから熱湯で ゆでる。 ③な すを数分蒸し,冷めたらよく水 気を切る。 ぬた作りで時間を短縮したいときは,フードプロセッサーを使うと早くできます。 肉を切るまな板と野菜を切るまな板は分けておきます。生肉を触ったら手洗いをきちんとします。 すり鉢は溝の汚れが取りにくいので,洗うときは目にそって洗います。 ⑤さ といもがやわらかくなってきた ら,残りの調味料と牛肉を入れて あくを取りながらさらに煮る。 ④え だまめをさやから出し,薄皮を 取り,すり鉢でよくすりつぶし調 味料を入れて味を調える。 1組 ⑥味 がしみたらねぎを加え,器に盛 る。 ⑤食 べ る 直 前 に な す と ぬ た を あ え る。 *いも煮会は冬期保存が利かないさといもを食べきるために始まったとい われています。 *えだまめはだいずの未熟なもので,枝つきのまま塩ゆでするのでこの名 がついたといわれています。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 試食・後片付け いも煮 ①さといもは,大きいものは 2 つに 切り,ぬめりを取るために塩でも んで洗う。 1個 2個 2個 3本 2枚 1個 1 セット 1本 1 セット 1個 1本 404kcaL 21.7g 16.3g 106mg 3.4g 10.1g 17 いも煮,なすのぬたあえ 材料と分量 材料 / 分量 1 人分 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 いも煮 さといも 160g 800g 角こんにゃく 30g 150g 牛肉(薄切り) 70g 350g ねぎ しょうゆ 砂糖 30g 150g 15mL 75mL 4.5g 22.5g 酒 15mL 75mL 水 200mL 1000mL 50g 250g ○さといもはぬめりを取るため塩でもんで洗います。 ○こ んにゃくは,味をしみ込みやすくするため手でちぎっ て下ゆでをしておきます。 ○さといもを煮るときは吹きこぼれやすいので,半量のしょ うゆと酒を入れておくと吹きこぼれにくくなります。あ くも出るのでこまめに取ります。 ○牛肉を入れるとさらにあくが出るので取りながら煮ます。 ○な すにはあくがあるので,切った後食塩水につけてあく 抜きをしておきます。なすを色よく仕上げるには,みょ うばん水でもみ洗いします。 ○ぬたをあえるときは食べる直前にあえます。 ○さといもはぬめりがあるので,切るときは手を切らないように注意しておきま す。 ○野菜を煮るときは,煮えにくいものから鍋に入れていくことを理解させておき ます。 ○さといもがやわらかくなったかは,竹串を刺してみるとよいので,準備してお きます。 ○えだまめは薄皮を取り,すりつぶしにくいときは,粗く刻んでおくとすりつぶ しやすくなります。 なすのぬたあえ なす 枝豆(さや付き) 75g 375g 砂糖 4.5g 22.5g 塩 0.8g 4g 酒 2.5mL 12.5mL 器具名 / 数 ○い も煮は,牛肉・しょうゆでの味付けですが,山形県の 庄内地方では豚肉・みそ味で作ります。どちらもおいし いので,お好みで作ってみましょう。 ○ぬ たはなすだけでなく,もちやだんごにあえてもおいし いので「ぬた餅」「ぬた団子」として山形ではよく食べら れています。 1 クラス分 ( )班分 1 班分 鍋 1個 ボール 2個 ざる 2個 包丁 3本 まな板 2枚 計量カップ 計量スプーン 玉じゃくし すり鉢・すりこ木 1個 1 セット 1本 1 セット 蒸し器 1個 竹串 1本 さいばし 1組 菜箸 ・調理の手順をよく確認しておくように指示します。 ・さといもや牛肉はあくが出るので,こまめに取るように指示します。 ・蒸 し器の湯が十分かどうか確認し,空炊きにならないように注意させ ます。 ○い も煮は小さいときからいも煮会で作っているのでなじ みの料理です。生徒たちは大好きで,喜んで実習してい ます。それぞれ家庭の味があるので自分たちで食材を足 し「我が家の味」にして作ったりもしています。 ○な すの紫色とぬたの緑色がとても合っていて,料理は彩 りも大事だということに気付くようです。 ・いも煮やぬたに使われる食材は,山形県のどこが産地かを調べ,郷土 料理の由来などに興味を持たせるよい機会になります。 18 納豆汁,ひょう干しの煮物 郷土料理〜山形県 1 人分 納豆汁 ①冬の郷土料理を知る。 ②乾物の取り扱い方を知る。 ③野菜を均一に切る理由を知る。 山形では,1 月 7 日の七草に納豆汁を 食べます。内陸地方の人々は,動物性の たんぱく質をとる機会が多くなかったた め,みそ汁にだいず製品を加え,いもが らやねぎ,せりでビタミン類を取り合わ せて作りました。 ひょうは「すべりひゆ」ともいい,夏 の土用の頃に干したものがいちばんおい しいといわれています。正月には「今年 もひょっとしていいことがありますよう に」と願いを込めて食べます。山形の縁 起かつぎの料理です。 ③い もがらはお湯でもみ洗いし, 1㎝の長さに切る。 ①ひ ょう干しは,洗ってからたっぷ りの水で火にかける。煮立ったら 火を止め,しばらく置く。 ②油 揚げは,油抜きをしてたんざく 切りにし,にんじんはせん切りに する。ちくわは,5㎜幅の輪切り にする。糸こんにゃくは食べやす い長さに切る。 ③打ち豆はお湯でゆでてやわらかく する。 ひょう干しの 煮物 納豆汁の具は,すべて同じ大きさに切ることによって均一に火が通り,食べるときも食べやすくなります。 煮物の煮汁は少なくなると焦げやすいので,火加減に注意します。 ④鍋 にだし汁といもがらを入れて煮 る。やわらかくなったら,油揚げ, こんにゃく,なめこを入れて煮る。 20g 25g 8g 3g 30g 25g 10g 10g 200mL 13g ひょう干し 油揚げ 糸こんにゃく にんじん 打ち豆 ちくわ サラダ油 しょうゆ 砂糖 酒 だし汁 6g 5g 8g 8g 5g 10g 3mL 4.5mL 2.3g 7.5mL 50mL 鍋 ボール ざる 包丁 まな板 計量スプーン 計量カップ 玉じゃくし すり鉢・すりこ木 みそこし さいばし 菜箸 ⑤火 が通ったら,みそ,納豆,豆腐 を入れてひと煮立ちさせる。 ⑥器に盛り,せりとねぎをのせる。 ④ひ ょうは水気を絞り,3 〜 4㎝の 長さに切る。 ⑤サ ラダ油で全ての材料を炒め,だ し汁と調味料を加え煮汁がなくな るまで煮る。 *冬 の寒い夜など納豆をつぶして出たとろみが汁を冷めにくくしていま す。冬の料理として喜んで食べられています。 *ひょう(すべりひゆ)は保存食として乾物にしますが,そのままゆでて 酢みそやからしじょうゆで食べてもおいしいです。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 2個 3個 2個 3本 2枚 1 セット 1 セット 1個 1 セット 1個 2組 試食・後片付け ②豆 腐,こんにゃくは 1㎝のさいの 目切りにする。せりは長さ 1㎝に 切り,ねぎは小口切りにする。油 揚げは,熱湯をかけて油抜きし, 1㎝角に切る。 納豆汁 ①納豆はすり鉢でよくすりつぶす。 納豆 豆腐 油揚げ いもがら 板こんにゃく なめこ せり ねぎ だし汁 みそ ひょう干しの煮物 235kcaL 12.6g 11.6g 173.2mg 2.5g 6.2g 19 納豆汁,ひょう干しの煮物 材料と分量 材料 / 分量 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 1 人分 納豆汁 納豆 20g 100g 豆腐 25g 125g 8g 40g 油揚げ いもがら 3g 15g 板こんにゃく 30g 150g なめこ 25g 125g せり 10g 50g ねぎ 10g 50g 200mL 1000mL 13g 65g ひょう干し 6g 30g 油揚げ 5g 25g 糸こんにゃく 8g 40g にんじん 8g 40g 打ち豆 5g 25g だし汁 みそ ○昔,山形は雪が降るため冬は野菜を栽培できなかったの で,野菜不足を解消するため保存してあった山菜を豊富 に入れ,豆腐や油揚げなどで栄養を補給できる納豆汁を 食べていました。 ○ひ ょう干しは道端に自生しているものを土用前に摘み, たっぷりのお湯でさっとゆでてから手早く風にあてなが ら広げ,干して乾燥させてから保存します。 ○納豆汁は納豆を入れてから絶対に煮立たせないように注意します。香りがなく なってしまうからです。 ○普通のみそ汁よりも少し濃いめにすると味がよく仕上がります。 ○すりつぶした納豆はみそと合わせておき,鍋に入れるとときやすいです。 ○油揚げは油抜きをしないと,煮物が油っぽくなるので忘れずに行いましょう。 ひょう干しの煮物 ちくわ 10g 50g サラダ油 3mL 15mL しょうゆ 4.5mL 22.5mL 2.3g 11.5g 酒 7.5mL 37.5mL だし汁 50mL 250mL 砂糖 器具名 / 数 ○ひょう(すべりひゆ)は保存食として乾物にしますが,そ のままゆでてもおいしいです。 ○ひょう干しは,戻したものを煮物だけでなく,くるみあえ などにしても食べられています。 ・ひょう干しを戻すときは,たっぷりのお湯でゆで,水を何度か変えな がら浸しておくとあくが抜けることを指示します。 1 クラス分 ( )班分 1 班分 鍋 2個 ボール 3個 ざる 2個 包丁 2本 まな板 計量スプーン・カップ 計量カップ 玉じゃくし すり鉢・すりこ木 2枚 1 セット 1個 1個 1 セット みそこし 1個 さいばし 2組 菜箸 ・納豆汁の食材は同じ大きさのさいの目切りにすることを指示します。 ・保存食である乾物(ひょう干し,打ち豆,いもがら)を多く扱うので 戻し方をそれぞれ指示します。 ○生 徒たちは納豆汁に肉類は入っていなくても,納豆,豆 腐,みそなどだいず製品を使うことによってたんぱく質 をとっていたことに気付きます。 ○ひ ょうは雑草で生命力が強く,炎天下でも暑さに負けず 根を張り続けるので,自分たちも暑さに負けないように という意味を込めて食べているようです。また,冬期間 の野菜不足の時期に大変貴重な食べ物だったという先人 の知恵を知るようです。 ・北日本の豪雪地帯では乾物を多く作っているのはなぜかを考えさせま す。 ・せりやいもがらは山形で栽培されているので,山形のどこが産地なの かを調べさせるとよいでしょう。 20 こづゆ,豆腐もち 郷土料理〜福島県 1 人分 こづゆ ①郷土料理について学ぶ。 ②材 料の下ごしらえの方法を学 ぶ。 ③乾物の利用の仕方を知る。 ④もち料理について理解する。 こづゆは,会津地方に伝わる郷土料理 で,お正月には欠かせません。冠婚葬祭 の席で必ず供され親しまれてきました。 味付けは上品な薄仕立てで,椀は会津塗 りの手塩皿を使うのが正式です。乾物を 上手に活用し,うまみを引き出す方法を 学びましょう。 豆腐もちは,会津の湊地区に伝わる郷 土料理で,簡単な材料ですぐ作ることが できます。先人の知恵が詰まったヘルシー なおもち料理として受け継いでいきま しょう。 〈にんじん〉 〈さといも〉 〈しらたき〉 〈乾しいたけ〉 〈さやいんげん〉 〈きくらげ〉 い ち ょ う 切 り し い ち ょ う 切 り し 3 ㎝ の 長 さ に 切 せん切りにする。 さ っ と ゆ で せ ん 1㎝幅に切る。 て下ゆでする。 て塩でもみ,下ゆ り,下ゆでする。 切りにする。 でする。 豆腐もち ①切りもちを鍋に入れ,もちの厚みの 2 倍程度の水を入れ火にかける。 ②豆 腐 を 4 つ に 切 り 皿 に 載 せ 2 分 30 秒電子レンジにかけるか,ざる に載せ 30 分ほど水切りしておく。 ③切 りもちの鍋が煮立ったら弱火に し,2 分程度ゆでる。その後火を 止め放置するとやわらかくなる。 事前準備の中で,乾物を水で戻しておきましょう。 材料の切り方を予習しておきましょう。 具材の種類が多く,あらかじめ下ゆでするので,調理器具を片付けながら作業を進めましょう。 3g 10g 30g 1g 16g 2g 2g 2g 0.6g 1mL 3mL 100mL 切りもち 木綿豆腐 みりん しょうゆ なたね油 (サラダ油でも可) 2 切れ 75g 5mL 5mL 5mL ざる(小) ボール(小) 片手鍋(小) 片手鍋(中) フライパン 2個 1個 1個 1個 1個 菜箸 玉じゃくし まな板 包丁 電子レンジ 2組 1個 2枚 2本 1台 さいばし ③鍋 に貝柱を戻し汁ごと入れ,水を 加える。貝柱はさっとほぐすとよ い。豆ふ,青味以外の材料を加え 火にかける。 ④ひ と煮立ちしたら,水気を切った 豆ふを加え,またひと煮立ちさせ, 調味して火を止める。 ⑤椀 に盛り,さやいんげんなどの青 みをあしらう。 ④フ ライパンに油を入れ,温まった ら②の豆腐を手でほぐしながら加 え炒める。 ⑤豆 腐 が ぱ ら ぱ ら に な っ た ら み り ん,しょうゆで調味する。やわら かくしたもちを加えあえる。 ⑥盛り付ける。 *こづゆの豆ふは会津地域特有のものなので,手に入らない場合,他の小さめ のふで代用してください。 *こづゆに用いる青みは,山菜のわらびやゆでた青豆を用いることもあります が,手に入りやすいもので結構です。 試食・後片付け こづゆ ①各々の乾物(貝柱,きくらげ,乾しいたけ,豆ふ)はあらかじめ水で戻しておく。 ②具材を切り,必要なものは下ゆでする。 干し貝柱 にんじん さといも きくらげ しらたき 乾しいたけ 豆ふ さやいんげん 塩 薄口しょうゆ 酒 水 豆腐もち エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 393kcaL 12.6g 8.4g 102mg 1.1g 4.7g 21 こづゆ,豆腐もち 材料と分量 材料 / 分量 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 1 人分 こづゆ 干し貝柱 3g 15g(3 個) にんじん 10g 50g さといも 30g 150g きくらげ 1g 5g しらたき 16g 80g 乾しいたけ 2g 10g( 中 2 枚 ) 豆ふ 2g 10g さやいんげん 2g 10g 塩 0.6g 3g 薄口しょうゆ 1mL 5mL 酒 3mL 15mL 水 100mL 500mL 切りもち 2 切れ 10 切れ 木綿豆腐 75g 375g みりん 5mL 25mL しょうゆ 5mL 25mL 5mL 25mL ○乾 物は食料の長期保存と,栄養価やうまみ成分の凝縮と いう両面から利用価値が高い食材です。こづゆは万人受 けするおいしさで,うまみ成分を理解するのにふさわし い味付けです。したがって,干したものは調理に時間が かかり利用しにくいという先入観を取り除き,食材の価 値を理解するためには最適の教材といえます。 ○調 理の基本が学習できます。基本的な切り方のほか,ぬ めりを取る,あく抜き,水で戻す,ゆがくなどの調理用 語が実践により自然に理解できるようになるでしょう。 ○干し貝柱,乾しいたけ,きくらげ,豆ふはあらかじめ水で戻しておきます。水 で戻す前の食材を展示し,水戻しの過程を認識できるようにしておきます。 ○ 1 つの調理過程ごとに調理台の片付け,整理を指示します。安全に効率よく作 業を進めるのに必要なことです。 ○干し貝柱の戻し汁はうまみ成分が入っているので,絶対捨てないように強調し ておきます。うっかり捨ててしまうミスを防ぎます。 豆腐もち なたね油 (サラダ油可) 器具名 / 数 ○こ づゆの具材はこのほか,ぎんなん,ひめたけのこ,と り肉,ちくわ,なるとなど,地域によりさまざまなので 現代風にアレンジしてもよいでしょう。 ○干 し貝柱のだしは,汁物のだしのほか中国風のあんかけ 料理や炊き込みご飯に活用できます。 ○豆 腐もちの味付けは,だしとしょうゆだけのもの,みり んの代わりに砂糖を用いたものなどがあります。好みに あわせてアレンジ可能です。 1 クラス分 ( )班分 1 班分 ざる(小) 2個 ボール(小) 1個 片手鍋(小) 1個 片手鍋(中) 1個 フライパン 1個 さいばし 菜箸 2組 玉じゃくし 1本 まな板 2枚 包丁 2本 電子レンジ 1台 ・基本的な切り方,さといものぬめりの取り方,こんにゃくのあくの抜 き方など,材料の下処理について学んでおきます。 ・下ゆでが必要なものについて確認させ,下ゆでを指示します。 ・青もののゆで方について簡単に説明ないしは師範が必要です。 ○郷 土料理は難しいと思っていたようですが、簡単でおい しいことに満足していました。今年の正月は家の手伝い をしたいという感想もみられます。 ○自 分の家庭の「こづゆ」に何が入っているかの話題で盛 り上がっていました。食がつなぐ家族のあたたかさを感 じたようです。 ○豆腐もちは豆腐ともちの組み合わせに面白さがあります。 食べたことがない生徒も受け入れられる味のようです。 ・郷土に伝わる料理の食材,器について解説し,当時の人々の暮らしぶ りに触れ,文化の深みについて認識させます。 ・日本の食文化のもととなるだし(うまみ成分)の味を舌で覚え,次の 世代に伝えるよう促します。 22 さんまのぽうぽう焼き,八杯汁 郷土料理〜福島県 1 人分 さんまのぽうぽう焼き 福島県いわき市に伝わる郷土料理です。 「さんまのぽうぽう焼き」はさんまのすり 身を使った,いわばさんまハンバーグで す。漁師が船上で料理したときさんまの 脂が炭火に落ちて,ぽうぽうと炎が出た ことに由来するといわれています。 「八杯汁」は,おいしくて 8 杯もおかわ りしてしまうことから名付けられたそう です。とろみのついた,体が温まる具だ くさんの汁物です。 八杯汁 下準備 乾しいたけを水で戻す。 ①鍋にお湯を沸かし,かつお節を入れてだし汁をとる。(B) ②豆腐と生揚げ以外のすべての材料をせん切りにする。 ③豆腐と生揚げを 1cm 角のさいの目切りにする。 1 尾分 10g 1/4本 50g (20g) 3g 9g 適量 ほし 乾しいたけ にんじん たけのこ さといも 生揚げ 豆腐 しょうゆ A: 片栗粉 A: 水 B: かつお節 B: 水 ③さ んまのすり身に①とみそ,片栗 粉を混ぜ合わせる。 ④③を 8 等分し小判型に丸めたら,フライパンに油を引き,両面を焼く。竹 串を刺して透明な汁が出たら,焼き上がり。 ④鍋 にだし汁を入れ,にんじん,た けのこ,しいたけを入れてやわら かくなるまで煮る。 ⑤さ らにさといもと生揚げを加え煮 る。さといもがやわらかくなった ら豆腐を加える。 んまのぽうぽう焼きの生地を小判型に丸める際には,厚みを厚くせず若干薄めに形作り,中心部までしっ さ かりと火が通るようにしてください。 八杯汁の野菜類をせん切りするときは,長さ,幅をそろえて切ることで加熱時間にむらがなくなり,見た目 もきれいに仕上がります。 八杯汁の作り方において,「水溶き片栗粉」を加えたら,必ずその後軽く沸騰させないと汁にとろみがつか ないので注意してください。 ⑥し ょうゆを加え味を調えたら,最 後に水溶き片栗粉(A)を加えて ひと煮立ちさせとろみがついたら 火を止める。 1/2枚 10g 10g 小1個 1/6枚 20g 5mL 3g 10mL 水の 2 〜 4% 350mL 包丁 まな板 フライパン フライ返し おろし金 鍋 ボール大小 ざる 玉じゃくし 2〜3本 2〜3枚 1個 1本 1個 1個 各2個 2個 1本 ⑤④ を皿に盛り付け,だいこんおろ しを添える。 試食・後片付け さんまの ぽうぽう焼き ①しょうがとねぎをみじん切りにする。 ②だいこんはおろし金ですりおろし,水気を軽く絞ってだいこんおろしを作っ ておく。 ①郷土料理に親しむ。 ②薬 味には魚の臭みを取り除く働 きがあることを知る。 ③だしのとり方を知る。 ④食品の切り方を知る(せん切り, さいの目切り) 。 ⑤で んぷんで汁にとろみをつける 方法を知る。 さんまのすり身 しょうが ねぎ だいこん (だいこんおろし) 片栗粉 みそ サラダ油 八杯汁 ⑦椀に盛り付ける *さんまなどの青身魚には血液の流れをよくするといわれるイコサペンタ エン酸(IPA)が多く含まれていて,脳梗塞・心筋梗塞などの病気を予 防する効果があります。 エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 480kcaL 27g 32g 145mg 4g 4g 23 さんまのぽうぽう焼き,八杯汁 材料と分量 材料 / 分量 1 班分 1 クラス分 学年分 (5)人分 ( )人分 ( )人分 1 人分 さんまのぽうぽう焼き さんまのすり身 1 尾分 5 尾分 しょうが 10g 50g ねぎ 1/4本 1本 だいこん 50g (だいこんおろし) (20g) ○乾しいたけを短時間で戻すには,ぬるま湯に砂糖少量を加えた中に浸すとよい です。 ○だし汁は,全班分をまとめて教師側で事前に準備をしておくと,より短時間で 調理を進めることができます。 ○白飯を事前に炊いておき,主食を添えると,より栄養バランスの整った献立と なります。 ○さんまと相性がよいので今回はだいこんおろしを添えてみましたが,なくても 構いません。 250g (100g) 片栗粉 3g 15g みそ 9g 45g 適量 適量 乾しいたけ 1/2枚 2〜3枚 にんじん 10g 50g たけのこ 10g 50g さといも 小1個 小5個 1/6枚 小1枚 サラダ油 ○福 島県いわき市は,太平洋に面し,古くから漁業が盛ん な地域でした。さんまの水揚げ高も多く,漁師はとれた てのさんまを船上で料理して食べていたそうです。そう いった漁師料理が,地元に伝わり,広く家庭料理として 食べられるようになりました。 ○八 杯汁は,動物性たんぱく質を使わない精進料理です。 使用する野菜を見てもわかるように,秋から春先のまだ 寒い時期が旬である野菜類を,とろみのついた汁に仕立 てて,体を温めるような工夫をしています。 八杯汁 生揚げ 豆腐 20g 100g しょうゆ 5mL 25mL A: 片栗粉 A: 水 B: かつお節 3g 15g 10mL 50mL 水の 2 〜 4% B: 水 350mL 器具名 / 数 1750mL 1 クラス分 ( )班分 1 班分 包丁 2〜3本 まな板 2〜3枚 フライパン 1個 フライ返し 1本 おろし金 1個 鍋 ボール(大・小) 1個 各2個 ざる 2個 玉じゃくし 1本 ○さ んまのぽうぽう焼きは,調理時間の短縮を図るため, さんまのすり身を使用しましたが,時間があればさんま を三枚おろしにしてから包丁でたたいたものを使用する と,より本格的に仕上がります。 ○青 じそをみじん切りにしてすり種に加えて焼くと,香り のよいものに仕上がります。 ○ねぎの代わりにわけぎを使ってもよいです。 ○八 杯汁は,野菜類をせん切りにして作りましたが,現在 ではたんざく切りにして作る方法もあります。 ○八 杯汁では,さといもを切るとき,ぬめりがあるので切 りにくいかもしれません。このようなときにはさといも を少量の塩でもんで水洗いしてから,せん切りするとぬ めりが軽減して切りやすくなります。 ○乾 しいたけは石突きだけでなく,可食部である軸の部分 も廃棄しようとする傾向があるので声かけが必要です。 ○汁 に水溶き片栗粉を入れ,とろみがついた瞬間,驚きの 表情を見せてくれます。「でんぷんの糊化」について触れ る機会になります。 ・作業分担 ・野菜の切り方 ・魚の取り扱い方(三枚おろし) ・だしのとり方(かつお節) ・でんぷんの糊化 ・地産地消と郷土料理の関連性 ・やけどやけがのないよう声かけをします。 ・野菜を切る作業の前に,切り方の見本を作っておき提示し,生徒に確 認させます。 ・さんま(すり身)は調理直前まで冷蔵庫に保管しておくなど,衛生的 な扱いを心がけるようにし,また焼くときには中心部までしっかりと 火を通すことを意識させてください。 ・使った調理器具はしっかりと洗って清潔に管理するよう指示します。 ・作業が手順よく行われたか,作業分担はきちんとできていたかの振り 返りを行います。 ・自分の住んでいる地域の他の郷土料理や,各都道府県の主な郷土料理 について学習することで関心を持つ機会になります。 24 人分 試食・後片付け エネルギー たんぱく質 脂質 カルシウム 塩分 食物繊維 kcaL g g mg g g 25