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緩和ケアⅡ (2) 症状マネジメント総論と その他の症状コントロール

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緩和ケアⅡ (2) 症状マネジメント総論と その他の症状コントロール
緩和ケアⅡ (2)
症状マネジメント総論と
その他の症状コントロール
自治医科大学緩和医療
丹波嘉一郎
[email protected]
1
症状マネジメント総論
• 症状マネジメント総論
– 4つの側面
– 症状と病態,原因
– 薬剤の薬理学的特徴
– 薬剤の投与経路
– 評価
2
緩和ケアの定義を復習しよう
3
WHO(世界保健機関)の
緩和ケアの定義(2002年)
「緩和ケアとは,生命を脅かす疾患による問題に直面し
ている患者とその家族に対して,疾患の早期より,痛
みその他の身体的問題,心理社会的問題,スピリチュ
アルな問題に関してきちんとした評価をおこない,それ
が障害とならないように予防したり対処したりすること
で,QOLを改善するためのアプローチである。」
QOL(quality of life:生活の質,命の質)
4
WHOの緩和ケアの定義の補足
• 痛みとその他の苦しい症状の軽減に努める
• 生きることを尊重すると同時に,死は誰にでも訪れ特
別のことではないことを知る
• 死を早めることも遅らせることも行おうとしない
• 心理的な面,Spiritual な面に対するケアも行う
• 死が訪れるまで患者が積極的に生きられるように支援
する体制を提供する
• 患者の闘病中及び死別後を,家族が上手く対応できる
ように支援する体制を提供する
• 患者 家族の要求に対してチームアプローチを行う
• QOL の向上に努め, 闘病生活に積極的に関わる
5
臨床倫理における基本原則
1.
自律性尊重の原則
–
2.
患者が目的を追求するにあたり,その自律的な信念と行動に
干渉しないようにする
善行・無危害の原則
–
患者の利益を最大にし,害をなさない
忠実義務と公平性の原則
3.
–
–
他人が幸福になるよう,あるいは他人の努力が実るよう不断
に尽力すること。労力の傾注と,ときには自己利益の犠牲が
要求される
負担と利益の公平な分配
6
症状コントロール
• 医療面接,身体診察,血液尿検査,画像診
断などによる情報収集
• きちんとした評価
• 医学的なアプローチ
• ケア重視のアプローチ
7
4つの側面とtotal pain
8
身体的な痛み
痛み
他の身体症状
ADLの支障
精神的な痛み
不安
いらだち
孤独感
おそれ
うつ状態
怒り
Total pain
全人的な痛み
スピリチュアルペイン
人生の意味
価値観
苦しみの意味
罪悪感
死の恐怖
神の存在への追究
死生観への悩み
社会的な痛み
仕事上
経済上
家庭内
人間関係
遺産
9
頬つねり4つの苦痛を総て知る
 身体的苦痛
左頬部の侵害受容性疼痛
 心理的苦痛
不安・恐怖・怒り
 社会的苦痛
アカハラ・パワハラ
 スピリチュアルな苦痛
親にもつねられたことがないのに・・・
10
症状と病態,原因
• 緩和ケアの領域に特殊な症状があるわけで
はない
• それぞれの症状には,病態生理が背景にあ
る
• 特に末期患者では,症状・身体所見があるの
が当たり前!
11
緩和ケア医の七つ道具
1. 聴診器
2. 打腱器
3. ペンライト
4. 椅子
5. No Watch 腕時計を持たない/見ない
6. No PHS 呼ばれても出ないか手短かに
7. 医師免許証
12
STAS-J(Support Team Assessment Schedule)の
症状評価項目
13
症状が患者に及ぼす影響
0= なし
1= 時折,断続的。患者は今以上の治療を必要としない。(現在の治療に満足している,介入不要)
2= 中等度。時に悪い日もあり,日常生活動作に支障をきたすことがある。(薬の調節や何らかの処
置が必要だがひどい症状ではない)
3= しばしばひどい症状があり,日常生活動作や集中力に著しく支障をきたす。(重度,しばしば)
4= ひどい症状が持続的にある。(重度,持続的)
14
* 評価不能
Edmonton Symptom Management System (ESAS)
疼痛
倦怠感
悪心
うつ
10/12 13
14
15
不安
眠気
食欲
幸福感
呼吸苦
せん妄のチェック
いわゆるPS
評価した人
他
学歴
アルコール中毒のチェック
15
MMSE (Mini Mental State Examination)
日時(5点)

今年は何年ですか?

今の季節は?

今日は何曜日ですか?

今日は何月何日ですか?
2.
現在地(5点)

ここは何県ですか?

ここは何市ですか?

ここか何病院ですか?

ここは何階ですか?

ここは何地方ですか?
3. 記憶(3点):相互に無関 係な物品名を
3つ聞かせ,そのまま復唱させる。
1個答えられるごとに1点。すべ
て言えなければ6回まで繰り返す。
1.
4.
7シリーズ(5点):100から順に7を引いていく。5回できれ
ば5点。間違えた時点で打ち切り。あるいは「フジノヤマ」
を逆唱させる。
5.
想起(3点):3で示した物品名を再度復唱させる。
6.
呼称(2点):時計と鉛筆を順に見せて名称を答えさせる。
7.
読字(1点):次の文章を繰り返す。
8.
言語理解(3点):次の3つの命令を口頭で伝え,すべて
を聞き終わってから実行する。「右手にこの紙を持ってく
ださい」「それを半分に折りたたんでください」「机の上に
置いてください」
9.
文章理解(1点):次の文章を読んで実行する。「目を閉じ
なさい」
10.
文章構成(1点):何か文章を書いてください。
11.
図形把握(1点):左の図形を書き写してください。
16
癌, 非癌の症状の頻度(%)
Solano, Bomes, Higginson. JPSM 2006, 31:58-69
17
医学的なアプローチ ケア重視のアプローチ
薬物治療
患者・家族が中心で支
えられている安心感
非薬物治療
・手術
・放射線療法
環境の整備
多職種参加
いつでもどこでも支えら
れているという安心感
18
治療薬について
• 薬理学的特徴
– 吸収・分布・代謝・排泄
• 投与経路
– 経口・経皮・経直腸・経静脈/皮下・硬膜外etc.
• 副作用
• 相互作用
19
異なるのは病の軌跡 ( Illness Trajectory)
癌の種類などで差はある
体調, ADL
2ケ月?
癌, 腎不全
心不全
呼吸不全
神経疾患
急性期の対応
ADL:日常生活動作
QOL:生活の質
時間
20
病気の流れとは(Illness trajectory)
• 生命を脅かす慢性疾患をADL (activity of
daily life)の時間的な変化で表す。
• ①悪性腫瘍,②慢性心不全・慢性呼吸不全,
③神経疾患などに大別して考えることができ
る
• Illness trajectoryで疾患を捉えることで,予後
を考えながら対応することができる
21
症状コントロール各論
(精神症状を除く)
22
主な身体症状
• 消化器症状
• 呼吸器症状
• 泌尿器症状
• 神経症状
• その他
23
消化器症状
•
•
•
•
•
•
•
悪心・嘔吐
便秘
腹水
下痢
消化管閉塞
嚥下困難
黄疸
24
悪心嘔吐
痛みならまだ何とか我慢できるが
吐き気があると仕事にならない
25
慢性悪心の原因
•
•
•
•
•
•
自律神経障害
• 代謝障害
便秘
– 肝不全
– 腎不全
オピオイド
– 電解質異常(高Ca他)
腸閉塞
SSRI, NSAIDs等の薬剤 • 頭蓋内圧亢進/脳転移
• 化学療法
放射線療法
• 脱水
26
原因 (11M)
• 転移 (Metastases)
• 髄膜刺激 (Meningeal
irritation)
• 精神的要素 (Mental
anxiety)
• 薬剤性 (Medications)
• 粘膜刺激 (Mucosal
irritation)
• 機械的閉塞
(Mechanical
obstruction)
• 動作 (Movement)
• 腸運動 (Motility)
• 代謝性 (Metabolic)
• 微生物 (Microbes)
• 心筋 (Myocardial)
27
悪心の評価と対策
Step1 悪心の評価
① 悪心の強さを測る VAS
② 増悪因子を知る
③ 始まり, 持続, 頻度, 性質
④ 便通を確認する
Step2 薬剤のチェック
① Opioid, SSRI, 抗生剤など-止
められる?変更?
Step3 徹底した身体診察
① 腸管閉塞除外/便秘?
② 神経所見があれば頭部?
Step4 検査
① 腹部単純Xp・CT
② 肝腎機能, 電解質
③ 頭部CT・MRI
Step5 原因を治す
① 便秘:下剤だけでなくプリン
ペランも
② Opioids:ローテート
③ 頭蓋内圧亢進:ステロイド,
放射線治療
④ 電解質異常:補正
⑤ 脱水:補液
Step6 一般的ケア
① 口腔ケア
② 少量頻回摂取
③ ×臭い×脂っこさ×甘さ×
香辛料の強いもの
④ 食後は座位でくつろぐ
⑤ 楽しく食べる
28
症例で考えよう
• 60歳 男性
• 大腸がん 腹膜播種 肺転移
• 悪心嘔吐を反復
• 原因として何を考えるか • 腹部所見異常なし
• Ca 基準範囲内
• どんな検査が必要か
• オランザピンがやや
• 治療は?
有効
29
当初の頭部単純CTは「異常なし」
• 3週間後,複視が出現
• 頭部造影MRIを施行
• 小脳転移
• 放射線治療
• 悪心嘔吐には,
すべて頭部造影
MRIを施行する
• 原因のはっきりしな
い悪心嘔吐の場合,
頭部造影MRIを検
討する
30
モルヒネの50%鎮痛用量に対する各種薬理作用の比率
360
は
(倍) 1000
10
100
1
10
吐く前に使おう
ノバに似た薬
0.1
0.01
0.02
0.1
1
便秘
悪心
嘔吐
鎮痛 呼吸抑制
死亡
31
悪心の対策ー薬物治療ー
• メトクロプリミド(プリンペラン® )
–
–
–
–
–
•
胃腸の動きを改善
消化管だけでなくCTZ(嘔吐中枢)にも効く
安い
錐体外路症状に注意
消化管閉塞には禁忌
プロクロルペラジン(ノバミン® )
 CTZに作用
 安い
 消化管閉塞でも使える
6.4円
64円
(10mg)
9.7円
64円
(5mg)
32
悪心の対策ー薬物治療ー
• ドンペリドン(ナウゼリン® )
–
–
–
–
–
デキサメサゾン 12-18mg 分3
•
•
•
•
主に胃の動きを改善
消化管だけに効く
やや安い
錐体外路症状に注意不要
消化管閉塞には禁忌
やや高い
Taperingが必要
12.8円
73.7円
(10mg)
6.4円
(0.5mg)
抗ヒスタミン薬は眠気が起きるし,
胃腸には効かない
33
悪心嘔吐は身体的苦痛か?
•
•
•
•
乳癌患者さん
悪心嘔吐のコントロール不能
消化管,頭部,電解質など異常なし
制吐薬は複数処方
打つ手はあるのか?
• 打つ手なし
• 相談の翌日が偶々その方の誕生日
• 「何かしてさしあげたら?」
34
翌日
☀「お誕生日おめでとうございます」のメッセー
ジカード
♡ 「私のことを覚えていてくれる人がいた」
✓その後,悪心嘔吐は激減して退院
教訓:誕生日をチェックしろ!
• 患者さんの思いがどこにあるのか?
• あったのか?
• どの言葉がそうだったのか?
35
便秘
36
便秘
360
(倍) 1000
10
• オピオイド(フェンタニルを除く)を使っている患
100
者は予防しなければ95%が便秘を来す
1
10
0.1
1
0.01
0.02
0.1
便
秘
悪
心
嘔
吐
鎮
痛
呼吸抑
制
死
亡
37
く
クソ出なくならないように
カマ・下剤
38
←今は使用困難
ローテーション
39 改編
便秘の原因
• 経口摂取低下と脱水
• 低栄養:自律神経障害/Anorexia-cachexia/
無気力
• 薬剤:オピオイド, 抗コリン薬, 利尿薬, 鉄剤
• 活動度の低下
• 腹部腫瘤
• 低カリウム血症
• 高カルシウム血症
40
便秘の弊害
• 腹痛
• 腹満と腹部の不快
• 悪心嘔吐
• 逆説的な下痢(通過障害があるとその先は
液状のものしか通らない)
• 痔瘻,痔核
• 偽腸閉塞
• 尿閉
41
便秘の診断
• 以下があれば便秘を疑う:
– 不規則な便通
– 下痢
– 悪心嘔吐
– 腹部の不快
– 腸閉塞
• 直腸診
• 時に腹部単純Xp
(「便秘スコア」が程度の評価には有用)
42
便秘の予防
• 水分を十分摂るよう促す(8-10杯/日)
• 食物繊維を十分摂る(多くの場合は具合の悪い人には
うまくいかない。徐々に↑)
• 身体を動かす
• オピオイド開始時には下剤併用(プルゼニド®とカマなど
のMg製剤)
• 1,2日に一度は便通が出るように下剤を調節
• 錠剤が無理ならラクチュロース®,モニラック®など
• 2日出なければ3日目に浣腸やレシカルボン座薬®
43
溢流性(逆流性)下痢に注意
Overflow diarrhea (paradoxical diarrhea)
44
悪性消化管閉塞
45
消化管閉塞の症状/所見
• 腹部の内臓痛
• 腹部膨満
• 腸雑音が金属音か,無音
• 腹部の打診で鼓音
• 便通が不規則
• 放屁がない
46
消化管閉塞の治療
• 外科治療
– 全身状態との相談
– 切除からストーマ造設まで様々
– PEG,やP-TEGだけを入れるという手もある
(嘔吐のコントロールのため)
– NG tubeは一時的にすべき
47
消化管閉塞の治療
• 内科治療
– 不完全閉塞ならプリンペラン®も可
• 完全な腸閉塞ならプリンペランは禁忌
– 補液(1-2L/日)
– ステロイド(腫瘍周囲の腫脹,炎症の軽減)
• 10mg po/sc 1日2回からtapering.
– ノバミン® ,セレネース®で嘔吐をコントロール
– ブスコパン® 10mg scを1日4回
– オクトレオチド(サンドスタチン® ) 50-100μg sc を1日2回(持続
皮下max 300μg)
– 長期にわたるならPEG(一時的にはNG tube)
– 経口摂取していない人には積極的な口腔ケア
48
腹水
• 抜くべきか?抜かざるべきか?それが問題だ!
49
EPEC – Oncologyの資料を改編
Education in Palliative and End-of-life Care – Oncology
症状 – 腹水
50
がんによる腹水とは. . .
• 定義: 腹腔内の体液貯留
51
がん性腹水
• 疫学
– 腹水:10%ががんによるもの
• がん性腹水の80% は上皮系の腫瘍:
– 卵巣がん
– 子宮がん
– 乳がん
– 大腸がん
– 消化器系のがん
– 膵がん
521998.
Runyon, et al. Hepatology,
がん性腹水
• 症状:呼吸困難, 早い満腹感,倦怠感, 腹痛
• 予後:不良
– がん性腹水の平均余命は4ヶ月以下
– 化学療法に反応するがんの場合(例えば診断さ
れたばかりの卵巣癌など) は6ヶ月 – 1年
53
病態生理学
• 正常な状態での生理学:
– 血管内圧=血管外圧
– 血管外への体液貯留はおこらない
• 腹水:
– 体液の流入の増加
– 体液の排泄の減少
– 体液貯留
54
病態生理学
• 静水圧の上昇(うっ血性心不全,肝硬変など)
• 血管浸透圧の減少(ネフローゼ症候群,低栄
養など)
• 体液の産生> 体液の再吸収(感染, がん)
55
病歴と症状
•
•
•
•
•
•
•
足踵の浮腫
体重増加
肥満
満腹感
腹部膨満感
不快感
重苦しさ
•
•
•
•
•
•
不消化感
嘔気
嘔吐
反射
臍部の変化
痔
56
身体所見
•
•
•
•
側腹部の腫脹
打診:濁音
肝濁音界の移動
波動
•
•
•
•
•
•
肝腫大
ヘルニア
陰嚢水腫
下腿浮腫
腹壁血管の怒張
平坦な,突出した臍
57
診断的な画像所見
• 臨床所見や検査で不確実な場合
• 少量の腹水とその部位をみつける
• ‘スリガラス様’ レントゲン像
• CTスキャン
58
腹水穿刺
•
•
•
•
色
細胞診
細胞数
タンパク質の濃度
– 漏出液 ≦2.5 g/dl
浸出液 ≧3.0 g/dl
• 血漿ー腹水アルブミン濃度勾配(SAAG)
– 門脈圧亢進 ≧1.1 g/dl 亢進関与なし<1.1 g/dl
591983.
Hoefs J. Lab Clin Med,
腹水の診断-まとめ
• がん性腹水を示唆するような所見:
– 血性(淡黄色〜血性または乳び様)
– 細胞診陽性
– 好中球数 < 250 cells/ml リンパ球優位
– タンパク濃度 > 2.5 g/dl
– 血漿ー腹水アルブミン濃度勾配(SAAG)< 1.1 g/dl
60
マネジメント
• 目標:症状の緩和
• 症状が少ないか不快感がない場合: 治療しな
い
• 腹水穿刺をする前に,予後,有益性,危険性
を検討する
61
いつ治療するのか?
• 以下のような症状がある時:
– 呼吸困難
– 腹痛(緊満)
– 倦怠感
– 食欲不振
– 早い満腹感
– 運動能力の低下をきたす
62
治療の選択
•
•
•
•
•
•
•
食事制限
化学療法
利尿剤
オピオイドによる腹部膨満感の緩和
腹水穿刺
外科的治療
腹水濃縮濾過再静注法
63
食事療法
• 塩分と水分の制限
•
~患者にとっては難しい場合がある
– 有益性や不利益な点,そのほかの治療を選択
– したほうが良いかを検討する
64
化学療法
• がん性腹水に抗がん剤の腹腔内注入が有用
であると論文は散見される
• まだ,十分なコンセンサスが得られていない
のが実情
65
オピオイドによる症状緩和
• 文献的なエビデンスははっきりしない
• 腹部膨満感による苦痛の緩和として,オピオ
イドは経験的に有効
66
利尿剤
• 有効であるという文献もあるがRCTはない
• 継続しやすい
• 治療目標:
– 症状を和らげるために過剰な水分を減らす
– 緩徐な利尿
671992.
Pockros J, et al. Gastroenterology,
選択的利尿剤
• スピロノラクトン25 mg – 50 mg/日
• Amiloride 5 mg/日
• フロセミド 20 mg/日 ←低い生体利用率
68
利尿剤使用にあたっての注意点
• 塩分の過剰摂取を避ける
• 有益な面と不利益な面を検討する
• 以下のような患者では避けたほうが良い:
– すでに運動制限のある患者
– 排尿障害のある患者
– 食欲不振の患者,水分摂取ができない患者
– 多剤内服中の患者
69
利尿剤の副作用
• 問題点としては
– 睡眠の中断
– 尿失禁により自尊心が傷つく
– 皮膚のトラブル
– 安全面
– 倦怠感
– 低血圧
70
治療のための腹水穿刺
• 必要な場合は:
– 呼吸困難のある時
– 利尿剤に効果のない場合
– 早急に症状緩和が必要な場合
• 安全
• 病院で,または在宅で
71
治療的腹水穿刺の技術
• 患者は仰臥位または • 穿刺
側臥位
• 3方活栓をつける
• 部位を決める
• 腹水を抜く
• 清潔で感染のない皮 • もとの状態にもどす
膚を選ぶ
72
外科的方法
• 腹腔ー静脈シャント(Denver shunt)
– 腹水を内頸〜鎖骨下静脈に流す
– あまり行なわれない
– 良性腹水には有用
• Tenckhoff, その他のカテーテル
– 局所麻酔下
– 大量の腹水
– 外来患者では有効
Barnett TD, Rubins J. J Vasc Intery Radio, 2002.
73
Burger JA, et al. Ann Oncol, 1997.
腹水濃縮濾過再静注法(CART)
• 細胞成分をフィルターで除去
• 一時的には有用だが一過性
• 効果<<高価 2810点+62400円
(腹腔穿刺 230点)
74
腹水のまとめ
• 腹水はがん患者において苦痛の原因となる
• がん以外の原因を鑑別する
• 治療は症状緩和を目的に行なう
• 薬物療法,外科的な治療法などが可能であ
る
75
Fly UP