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表示メディアとしての紙と電子メディア: 環境の視点から

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表示メディアとしての紙と電子メディア: 環境の視点から
技術論文
表示メディアとしての紙と電子メディア:
環境の視点からの比較
Paper and electronic media as presentation media:
A comparison from the environmental point of view
要
旨
本稿は、表示メディアとしての紙と電子メディアを
環境の側面から比較検討するものである。読んだり閲
覧したりという作業で、紙を利用する場合と電子メ
ディアを利用する場合とで CO2 排出量を比較する。
長時間にわたって文書を読む場合、少人数の会議で文
書を共有する場合には、概して電子メディアに比べて
紙のほうが CO2 排出量が少なくなる傾向にある。ま
た、作業を行なう際に紙を利用する場合と電子メディ
アを利用する場合とで作業効率を比較した実験を紹
介する。前後関係を把握しながらの校正読み、異なる
ページを頻繁に行き来する読み、複数の文書を相互参
照する読みにおいて、紙は電子メディアに比べて 6~
25%速く作業を行なうことができる。このような分析
をとおして、状況に応じて紙と電子メディアの両方を
適切に使い分けることの必要性を述べる。
Abstract
執筆者
柴田 博仁(Hirohito Shibata)
大村 賢悟(Kengo Omura)
富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011
This report compares paper and electronic media as
presentation
media
from
an
environmental
perspective, and analyzes the comparison results.
CO2 emissions are compared between when using
paper and electronic media for reading and reference.
In the case of reading for hours and sharing
documents in a small meeting, CO2 emissions tend to
be lower when using paper instead of electronic
media. This report also introduces experiments that
compared the efficiency of using paper with that of
using electronic media for reading-related tasks. Work
efficiency is 6 to 25% higher when using paper instead
of electronic media in the following cases:
proofreading requiring the understanding of context,
going back and forth through pages, and reading
multiple documents at the same time for reference.
With these analyses, this report explains the need for
appropriately choosing paper or electronic media
depending on the situation.
85
技術論文
表示メディアとしての紙と電子メディア:環境の視点からの比較
いる
1. まえがき
3)4)
。少なくとも日本においては、天然林
の樹木がそのまま伐採されて紙が作られるとい
紙の原料は木であり、木はエコの象徴である。
うイメージはまったくの誤りである。
このことが紙のイメージを悪くしている。机の
さらに、紙は使っても減らないため、使い終
上に高く積まれた紙は、紙が森林伐採の産物で
わったら積まれる。そして、紙の消費量がひと
あることを連想させる。日本製紙連合会が
目で把握できるようになる。このことは、紙の
2008 年 7 月に 1000 名を対象に実施した調
消費が資源の無駄使いの象徴として考えられる
1)
では、「紙の消費と森林減少に関係がある
一因になっている。これに対して電力やガソリ
か」という問に対して「あると思う」
「ややある
ンについては、使った量が蓄積されないため、
と思う」と答えた人が 73.8%に達した。逆に、
ある一定期間にどれだけ消費したのかを意識す
「関係ないと思う」
「あまり関係ないと思う」と
ることは少ない。もし、電力やガソリンの消費
答えた人は 9.4%にすぎなかった。現在、熱帯
量につても紙と同様の形で見える化されたなら、
雨林を中心とした森林資源の減少が深刻な問題
資源消費としての電力やガソリンに対する見方、
査
とされている
2)
。多くの人が、この問題の一因
として紙の消費を強く結びつけて考えているこ
さらにはそれと対比した紙に対する見方もだい
ぶ違ったものになることだろう。
環境の側面から紙が悪玉のように考えられて
とがわかる。
また、環境への意識の高まり、さらにはリー
いる一方で、実際に情報を取り扱う業務を行な
マンショック以降の世界的な不況の影響により、
う個人においては紙が強く好まれていることを
多くの組織でプリントやコピーの出力枚数を厳
示す事例やデータがある。Sellen & Harper5)
しく制限するレスペーパー化が実施されている。
がさまざまな組織の観察にもとづいて指摘する
2009年8月にオフィスワーカー2050人を対
ように、電子機器の導入が進んでいる先端的な
象にわれわれが独自に実施した調査では、全体
組織においてさえ、オフィスは紙であふれてい
の59%の企業や役所において、複写機やプリン
る。そして、猛烈なナレッジワーカーほど紙に
*1
ターで利用するOA用紙 の節減施策が実施さ
依存した働き方をしている。2008 年 9 月にオ
れていることがわかった。その目的は、第1に
フィスワーカー826 名を対象にわれわれが調
コスト削減(44%)
、第2に業務の効率化(22%)
、
査した結果でも、読みやすさの点で紙が圧倒的
第3に環境への配慮(18%)、第4にセキュリ
な支持を得ていることが示された
ティ対策(15%)である。環境問題への対応の
場合と PC のディスプレイで読む場合について、
みが理由ではないにせよ、多くの組織にとって
熟読しやすさ、没頭しやすさ、一覧しやすさな
紙は排除すべき対象と見なされている。
どの 18 の評価項目すべてにおいて紙はディス
しかし、事実を紐解いていけば、このような
認識が適切でないことは容易に理解できる。日
本製紙連合会の報告
3)
6)
。紙で読む
プレイよりも高い評価を得た。
このような背景をふまえると、環境の観点か
によれば、2008 年時点
ら紙の消費は減らすべきだと思いながらも、業
での日本での紙・板紙の古紙利用率は 61.9%
務を進めるうえで紙はなくてはならないものと
であり、世界的に見ても高い水準にある(韓国、
考えられている構図が浮かび上がってくる。紙
ドイツに次いで世界第 3 位)。すなわち、紙の
の消費は本当に環境にとって望ましくないのだ
原料の大半は紙であり、紙は木ではなく紙から
ろうか。そして、個人はそれを知りながらも、
作られているともいえる。
業務の効率化のため、またはこれまでのワーク
パルプ材の調達においても、植林された人工
林からの調達が大半(6 割以上)であり、残り
に関しても間伐財や製材残材などが活用されて
スタイルを変えられないために、仕方なく紙を
使い続けているのだろうか。
本稿では、環境の側面から見たときの電子メ
ディアに対する紙の位置づけを明らかにする。
まずは、作業ごとに紙を利用する場合と他のメ
*1
86
PPC(Plain Paper Copier)用紙ともいう。2009
年の統計で紙全体の生産量の 5.0%を占める。
ディアを利用する場合とでの CO2 排出量を比
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表示メディアとしての紙と電子メディア:環境の視点からの比較
較する。また、読む作業において異なるメディ
アを利用する場合の作業効率を比較する。
本研究が提供する価値は以下の 2 点である。
第 1 に紙と電子メディアを定量的に比較するこ
表 1. 情報表示のための CO2 排出の分類
Types of CO2 emission for displaying information
エネルギー消費
紙
プリンター電力
電子
ディスプレイ電力、
PC 電力、プロジェ
クター電力
とにより、これまで漠然と考えられてきた「紙
資源消費
紙、トナー
見なし消費
プリンター利用
ディスプレイ利
用、PC 利用、プ
ロジェクター利用
は環境に悪いが便利」という構図から脱却し、
実際のところはどうなのか、さらには両者の違
しての基本的考え、算出に必要な基礎データを
いがどれほどなのかを認識できるようになる。
示してから上記の比較を行なう。
第 2 に紙か電子かという二元論ではなく、状況
に応じて両者を使い分けることの重要性を再確
2.1
CO2 排出量の算出の基本的考え
情報を紙で閲覧する場合と電子メディアで閲
認する。
なお、紙と電子メディアを比較するにあたり、
覧する場合の CO2 排出の種類を表 1 のように
本稿では表示メディアとしての側面に焦点を当
整理する。大まかに、電力、ガソリンなどのエ
てる。メディアには、情報を保存したり、伝達
ネルギー消費、紙、水、食料などの資源消費、
したりといった役割もあるが、これらについて
機器やインフラの利用量に比例してその製造や
は別途検討が必要である。また、雑誌、書籍、
運搬の段階で排出される CO2 が均等配分され
新聞、衛生用紙、包装用紙など、紙にはさまざ
ると考える見なし消費にわける。
まな種類のものがあるが、本稿では情報用紙の
一種である OA 用紙に限定して議論を行なう。
エネルギー消費としてプリンターやディスプ
レイの電力、資源消費として紙、トナー、見な
し消費としてプリンター利用、ディスプレイ利
2. CO2 排出量の観点から見た紙
最初に、日本の典型的なオフィスでの CO2 排
出量の内訳を示す。伊藤ら
7)
は事務・営業を主
用などがある。ここで、プリンター利用とは、
プリンターの素材、製造、運送、廃棄の段階で
の CO2 排出量(ライフ・サイクル・アセスメン
ト(LCA)での利用段階を除いた CO2 排出量)
体業務とする従業員 50 人規模のオフィスを想
をプリンターでの各出力の枚数に応じて均等配
定し、そこでの CO2 排出量の全体像を明らかに
分したものである。ディスプレイ利用、PC 利
している。このモデルによれば、1 人 1 日あた
用、プロジェクター利用についても同様である。
り 21 枚の OA 用紙を消費するものとして、資
ここで、見なし消費の増減は実際の CO2 排出
源としての紙の CO2 排出量はオフィス全体で
量に直接的に寄与しない。たとえば、ある状況
の CO2 排出量の 1.2%に相当するとしている。
でプリンターの利用を取りやめたとしても、プ
OA 用紙の出力に伴うファクス、複合機、プリ
リンターそのものがなくならない限り、実際の
ンター等の消費電力による CO2 排出量を加え
CO2 排出量は減ったことにはならない。このよ
ても、オフィス全体での CO2 排出量の 2.7%で
うな観点から、見なし消費を含めた CO2 排出量
ある。これは、空調(30.2%)の 11 分の 1、
の算出については、一般の理解が得られにくい
照明(14.8%)の 5 分の 1 に満たない。紙の
とする見解もある 7)。そこで、著者の別稿 8)で
消費を減らすことで削減できる CO2 排出量は、
は、見なし消費を除外し、エネルギー消費と資
オフィス全体での CO2 排出量のわずかな部分
源消費をもとに紙と電子メディアの CO2 排出
にすぎないと言える。
量を比較した。
より具体的に紙の環境負荷を検討するため、
しかし、見なし消費を含めない CO2 排出量の
本稿では文書を読む際に紙にプリントして読む
算出方法は、次に示すような矛盾を含む。すな
場合とディスプレイで読む場合、さらには会議
わち、プリンターは紙に出力するために作られ
で情報共有をする際に紙で配布する場合とプロ
た機器であるにもかかわらず、紙出力の CO2
ジェクターで投影する場合について、CO2 排出
排出量にはプリンターの素材や製造段階での
量を比較する。まずは、CO2 排出量の算出に際
CO2 排出量が含まれていない。確かに、一時的
富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011
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表示メディアとしての紙と電子メディア:環境の視点からの比較
表 2. 製品ごとの単位量あたりの CO2 排出量
CO2 emission per unit quantity for each product
製品
標準的 PC
高性能 PC
17 型ディスプレイ
19 型ディスプレイ
ノート PC
プロジェクター
プリンター
選定条件
製品数
インテル Core
メモリー4GB 以下
インテル Core
メモリー4GB 超
17 インチ
19 インチ
解像度 1280×800
以上
A3 プリント可
電子写真方式
ライフサイクル
CO2 排出量
11
225.00
6
446.42
5
6
9
105.67
119.58
125.15
13
286.75
3
2379.73
使用条件
単位量(1 時間の利用
または 1 枚の出力)
あたりの CO2 排出量
49.60 g/h
稼動 4.5 時間/日、省電
力 4.5 時間/日、240 日/
年、4 年間
3.5 時間/日、100 日/
年、5 年間
プリンターによって総プ
リント枚数が異なる
98.42 g/h
23.36 g/h
26.34 g/h
27.59 g/h
163.58 g/h
2.58 g/枚
に機器を利用しなかったとしても機器の素材や
製造段階での CO2 排出量が変化することはな
PC については、プロセッサやメモリー容量
い。しかし、機器の利用が恒常的に減ると経済
によって CO2 排出量が大きく異なる。そこで、
的観点から機器の所有が減り、最終的には CO2
表 2 ではプロセッサがインテル®Core™のもの
排出量の削減につながる。すなわち、見なし消
に限定している。またメモリー容量について、
費を含めた CO2 排出量の算出は、行為ひとつを
4GB 以下のもの(標準的 PC)と 4GB を超え
取り上げたミクロな視点では直感に合わないが、
るもの(高性能 PC)にわけてライフサイクル
メディア選択の方針を恒常的に継続する場合の
CO2 排出量の平均を算出している。また、オ
マクロな視点では現実を正しく反映していると
フィスで利用される典型的なプロジェクターと
いえる。
して、解像度が 1280×800 以上のものに限
このような認識のもと、本稿では表示メディ
定している。プリンターについては、インク
アとしての紙と電子メディアの CO2 排出量を
ジェット方式や電子写真方式などの描画方式の
比較するにあたり、見なし消費も含めた算出を
違いに応じて CO2 排出量が大きく異なる。ここ
行なう。ここで、CO2 排出量の算出において見
では共有プリンターを想定し、A3 プリントが
なし消費を含めるべきか否かは、どのような視
可能な電子写真方式のプリンター(コピー、ファ
点で何を分析するかという観点から判断する必
クスが可能な複合機を含む)に限定している。
要があることを明示しておく。ひとつの行為だ
PC、ディスプレイ、プロジェクターについて、
けを見るミクロな視点では見なし消費は含めな
ライフサイクル CO2 排出量をライフサイクル
いほうが取り扱いやすく、継続的な行為を大局
での総利用時間で割れば、単位時間あたりの
的に見るマクロな視点では見なし消費を含める
CO2 排出量が算出される。これは、各製品の素
のが望ましい。
材、製造、運搬、廃棄に加え、利用段階での消
費電力も含めた CO2 排出量になっている。また、
2.2
基本データ
プリンターのライフサイクル CO2 排出量をラ
製品のライフサイクルでの CO2 排出量につ
イフサイクルでの総プリント枚数で割れば、プ
いて、現段階で各社のものが出揃っている状態
リント出力 1 枚あたりの CO2 排出量が算出さ
には程遠い。それでも、その動きは加速しつつ
れる。プリンターのライフサイクル CO2 排出量
9)
あり、
産業環境管理協会の Web サイト では、
の定義から、これはトナーの消費を含んでいる
いくつかの製品のライフサイクル CO2 排出量
が、紙の消費は含んでいない。
が公開されている。表 2 は、これをもとに、
そこで、OA 用紙 1 枚あたりの資源としての
2008 年以降の PC、ディスプレイ、プロジェ
CO2 排出量を別途算出する。環境情報科学セン
クター、プリンターのライフサイクル CO2 排出
ターによる『CO2 排出原単位表 (2007 年版)』
量の平均を示している。
10)
88
によると、OA 用紙 (上級印刷用紙) 1kg あ
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表示メディアとしての紙と電子メディア:環境の視点からの比較
たりの CO2 排出量は 1kg-CO2 であり、これを
OA 用紙 1 枚あたりに換算すると 4~5g-CO2
になる。以降では、OA 用紙 1 枚あたり 5g の
CO2 排出量に相当するものとして議論する。
2.3
文書を読む場合の CO2 排出量
4 枚であり CO2 排出量は 30.3g-CO2 になる。
120.0
高性能PC構成
高性能PC構成
二
酸 100.0
化
炭
素 80.0
排
出 60.0
量
g
)
ページの文書を両面プリントすると、紙出力は
紙
ノートPC
(
8 ページの電子文書を読む場合を考える。8
140.0
40.0
20.0
一方、8 ページの文書をノート PC で 30 分間
読むとすると、CO2 排出量は 13.8g-CO2 にな
0.0
15分
30分
45分
1時間
る。17 インチディスプレイを備えた標準的 PC
(標準的 PC 構成)では 35.3g-CO2、19イン
チディスプレイを備えた高性能 PC(高性能 PC
構成)では 62.4g-CO2 になる。
図 1. 文書を読む場合の CO2 排出量の比較
The comparison of the CO2 emission in a reading situation
らに、紙には書き込みできるという利点もある。
このような具合に、紙と上記の 3 種類の電子
論文や技術文書などのように、内容を吟味しな
メディアに対して、読みの所要時間に応じて
がらじっくりと読み込む必要のある文書を読ん
CO2 排出量を算出し、グラフ化したものが図 1
だり校正する場合、あるいは一定期間内に繰り
である。紙は出力時のみ CO2 を排出するため、
返して閲覧する場合などには、紙に出力するほ
トータルでの CO2 排出量は作業時間に依存し
うがよいことが多い。ただし、PC とディスプ
ない。これに対して PC では作業時間に比例し
レイの電源を切らずに紙に出力して読むとすれ
て CO2 排出量が増加する。
ば、CO2 排出量は紙と電子機器の両者の和にな
読書時間が 30 分の場合は紙よりもノート
る。また、読みながら電子辞書やインターネッ
PC で読むほうが CO2 排出量が少ないが、論文
トで随時検索を行なう状況を考えると、PC や
や技術文書などを読み込む際には 30 分で読み
ディスプレイの電源を切ることもできないため、
終わることは稀である。1 時間以上にわたって
電子的な閲覧のほうが望ましいといえる。
読むことを考えれば、逆に紙はノート PC より
素材や製造段階での CO2 排出量、消費電力や
も CO2 排出量が少ない。標準的 PC 構成では、
書き換え時間などの仕様が明らかにされていな
30 分の文書閲覧で CO2 排出量が紙出力の CO2
いため、ここでは比較対象から外したが、電子
排出量を超える。高性能 PC 構成では、15 分
パーパーを組み込んだ電子書籍端末(典型例と
の文書閲覧で紙の CO2 排出量と同程度になる。
して、Amazon 社の Kindle®)についても検討
別の言い方をすれば、プリント出力 1 枚は、
が必要である。電子ペーパーは目に優しく、軽
ノート PC で 16.5 分、標準的 PC 構成で 6.4
量・薄型で、折り曲げ可能という利点をもつが、
分、高性能 PC 構成で 3.6 分の CO2 排出量に
環境負荷の観点からは省電力という点に注目す
相当する。
る必要がある。電子ペーパーでは、書き換え時
CO2 排出量の観点からの紙と電子メディア
のみ電力を消費し、情報の表示を維持するのに
の比較は以上に示したとおりであるが、これを
電力を必要としない(電子ペーパーの技術的な
もとに実際の活用の場面を想定して考察を行な
詳細については面谷による解説書
11)
を参照)。
®
えば、以下のようになる。紙では情報の再利用
Kindle の場合、1 回の充電で 1 週間以上の継
が可能であり、捨てずに取っておいて後で再び
続的利用が可能だという 12)。省電力であり、少
読んだり、読んだものを他人に渡したりという
なくとも利用段階における CO2 排出量は少な
状況において、追加で CO2 排出が生じることは
いと考えられる。正確な比較が可能になるよう、
ない。電子メディアでは、再表示の度に電力が
製品の仕様とライフサイクル CO2 排出量につ
必要になり、CO2 の排出を伴うことになる。さ
いての公開が待たれる。
富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011
89
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2.4
会議で文書を共同閲覧する場合の
CO2 排出量
会議のシーンで、紙の資料を配布する場合と
排出量が紙での資料配布の場合と逆転する(紙
で配布するほうが CO2 排出量が多くなる)には
16 人以上の参加人数が必要になる。
プロジェクターで電子文書を投影する場合を比
配布資料の少ない 2~3 名程度の打合せで話
較する。5 人参加の 1 時間の会議で、10 ペー
合い中にメモを取ったりするのであれば、紙を
ジの文書を両面プリントして全員に配布すると
用いる方が望ましく、逆に大人数に対するプレ
プリント枚数は全部で 25 枚になり、CO2 排出
ゼンテーションではプロジェクターを用いる方
量は 189.5g-CO2 になる。配布資料の紙の枚
が望ましいことになる。
数は会議への参加人数に比例し、参加人数と
2.5
CO2 排出量の関係は図 2 のようになる。
400.0
見なし消費を含める場合と含めない
場合の比較
これまで、見なし消費を含めて紙と電子メ
二 酸 化 炭 素 排 出 量 (
g)
350.0
ディアの CO2 排出量を比較してきた。見なし消
300.0
費を含めない場合と比べて、これはどのような
変化をもたらすのだろうか。表 3 に紙、ノート
250.0
PC、標準的 PC 構成、高性能 PC 構成、プロジェ
200.0
クターの単位量あたりの CO2 排出量とそのな
150.0
かで見なし消費の占める割合を示す。
100.0
紙
プロジェクタ+ノートPC1台
プロジェクタ+ノートPC全員
50.0
0.0
2人
3人
4人
5人
6人
7人
8人
図 2. 会議シーンでの CO2 排出量の比較
The comparison of the CO2 emission in a meeting situation
いずれの場合も、全体の CO2 排出量における
見なし消費の割合が 30%を超えている。ノー
ト PC については、消費電力が少ない代わりに、
見なし消費の占める割合が大きくなっている。
表示メディアの CO2 排出量においては、見なし
消費分が全体に与える影響が大きいため、CO2
これに対して、ノート PC をプロジェクター
排出量の算出に際して見なし消費分を含めるか
に接続して投影するモデルでは、CO2 排出量は
否かについては事前に十分な検討が必要なこと
会議時間に比例し、参加人数には依存しない。
がわかる。
ノート PC とプロジェクターを用いて 1 時間投
影すると、CO2 排出量は 191.4g-CO2 であり、
紙 25 枚のプリントに伴う CO2 排出量の値にほ
表 3. 全体の CO2 排出における見なし消費による CO2 排出の占める割合
The proportion of CO2 emission caused by deemed
consumption for total CO2 emission
単位量あたりの CO2 排出量
ぼ等しい。この条件で比較すると会議で配布す
見なし消費
を含む
る紙が 25 枚以上ならプロジェクターの方が
CO2 排出量が少なく、25 枚より少ないなら紙
紙
7.5 g/枚
の方が CO2 排出量が少なくなる。前節にならっ
ノート PC
て、プリント出力 1 枚あたりに換算すると、プ
標準的 PC 構成
リント出力 1 枚はノート PC とプロジェクター
を用いた投影 2.4 分の CO2 排出量に相当する。
見なし消費を
含めない
見なし消
費の割合
(%)
5 g/枚
34.0
27.5 g/h
11.9 g/h
56.9
72.9 g/h
43.3 g/h
40.5
高性能 PC 構成
124.7 g/h
86.0 g/h
31.1
プロジェクター
163.8 g/h
121.1 g/h
35.5
また、実際の会議では、参加者の多くがノー
ト PC を持ち込み、うち 1 人がノート PC をプ
参考までに、表 3 において、見なし消費を含
ロジェクターに接続してプレゼンテーションを
めない場合、プリント出力 1 枚の CO2 排出量
行なうスタイルもしばしば見られる。参加者全
はノート PC で 25.2 分、
標準的 PC 構成で 6.9
員がノート PC を会議室に持ち込むことを想定
分、高性能 PC 構成で 3.5 分、プロジェクター
したモデルでは、参加人数に応じて CO2 排出量
で 2.5 分の CO2 排出量に相当する。
が増加することになる。このモデルでの CO2
90
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表示メディアとしての紙と電子メディア:環境の視点からの比較
3. 効率性の観点から見た紙
を把握する必要はない。文章の深い理解を求め
前節では、1 人で文書を読む、複数人で会議
を行なうという 2 つのモデルケースにおいて紙
と電子機器(前者については PC とディスプレ
イ、後者については PC とプロジェクター)の
CO2 排出量の比較を行なった。この比較では、
紙と電子機器のどちらを用いても作業効率は同
じだという前提があった。
しかし、実際のところ、利用するツールが異な
れば作業効率も異なることが予想される。作業効
率が悪化すると労働時間が増え、空調、照明と
いったオフィスインフラも長時間稼動すること
になり、CO2 排出量が増大する。空調、照明、
PC 等の電力消費がオフィスでの CO2 排出量の
68.7%を占めるという伊藤ら 7)の分析によれば、
労働時間やオフィス使用面積を減らすことが、
CO2 排出量削減の最重要課題のように思える。
検索、保存、伝達といった側面での電子メディ
アの効果は広く知られている。ここでは表示メ
ディアとしての側面に焦点を当て、紙と電子メ
ディアが読みのパフォーマンスにどのような影
響を与えるかを検討するためにわれわれが実施
した 3 種類の実験の結果を示す。
3.1
る課題において、紙とディスプレイの表示特性
の違いが読みにどのような影響を与えるのかは
疑問である。
そこで、文章の前後関係を把握しないと検出
できない意味内容の矛盾点(たとえば、
「おじさ
ん」であるべきところが「おばさん」になって
いる)の指摘を求める実験を行なった(詳細に
ついては著者の別稿
を参照)
。被験者は 20
名であり、年齢が 20~39 歳、PC 利用暦 3 年
以上、矯正視力 0.7 以上を条件に男女同数で募
集した(被験者のこの募集条件は、以降で述べ
る実験 2、実験 3 においても同様である)。被
験者には、1 ページのテキスト文書を読んで意
味内容の矛盾(文脈的なエラー)を指摘しても
らった。制限時間を定めることはなく、校正の
スピードは各自のペースに委ねた。
図 3 は紙で校正を行なった場合とディスプレ
イで校正を行なった場合とでの校正スピードと
エラー検出率を比較したものである。エラー検
出率は同等であるが、校正スピードについては
紙はディスプレイよりも 11.9%速くなってい
る。紙はエラー検出率を落とすことなく、ディ
スプレイよりも速く校正を行なえることがわか
実験 1:精読におけるメディアの表示
特性の影響
最初の実験は、深い理解を要する校正課題に関
するものである。実は、紙とディスプレイでの読
みの違いについて、これまでにもさまざまな比較
る。これにより、現在の最新のディスプレイを
利用しても、文章の前後関係の把握が求められ
る認知負荷の高い読みにおいては、メディアの
表示品質の違いが読みのパフォーマンスに影響
を与えることがわかる。
実験が行なわれてきた 13)14)。概して紙での読み
校正スピード
はディスプレイでの読みよりも速いとする実験
が多いが 15)16)17)18)、高性能なディスプレイを
利用すれば両者での読みのスピードは変わらな
。これら
られる。
しかし、従来の実験で取り上げられてきた読
30
20
エ
ラ
検
出
率
%
10
)
ンスの違いは限りなく小さくなっていると考え
40
)
れば、紙とディスプレイとの読みのパフォーマ
校 350
正
ス 300
ピ
250
ド
200
文
字 150
/
100
分
(
まえると、現在の最新のディスプレイを利用す
50
(
研究が 90 年代前半までになされている点をふ
400
ー
19)20)
エラー検出率
ー
くなるという結果も示されている
21)
50
0
0
Paper
Display
みの課題は、誤字脱字を見つける表層的なエ
ラー検出を求める校正読みであった。端的に言
えば、誤字脱字を検出するのに文章の前後関係
富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011
図 3. 文章の前後関係を把握しながらの校正読みの比較(N=20)
The comparison of reading performance in reading carefully
with understanding the context of documents
91
技術論文
表示メディアとしての紙と電子メディア:環境の視点からの比較
3.2
実験 2:ページめくりの操作性が読み
に与える影響
朗読スピード
第 2 の実験は、ページめくりを含んだ読みに
関するものである。従来のメディア比較研究で
これら実験では、それ以外の要因が混入しない
ド
は、メディアの表示特性の違いが読みに与える
読みが課題として取り上げられてきた。
95
280
90
270
85
260
80
250
75
240
70
230
65
220
60
210
55
200
しかし、業務での現実の読みでは、文書が最
重
要
語
再
認
率
%
50
Paper
初から最後まで読まれることは多くはなく、複
Display
図 4. 複数ページの行き来を含んだ読みの比較(N=18)
The comparison of reading performance in
reading back and forth among pages
数のページを行き来したり、複数の文書を並べ
ての読みが多いことが指摘されている
100
290
)
)
ジの単一文書を対象にした)シーケンシャルな
語
/
分
300
(
という操作を伴わない(多くの場合は単一ペー
(
よう、ページをめくったり、文書を移動したり
ー
影響を調べたものがほとんどであった。そして、
朗
読
ス
ピ
重要語再認率
22)23)
。
このような行為を伴う読みにおいて、メディア
の操作性が読みのパフォーマンスにどのような
が読みに与える影響を調べる点である。
被験者 24 名を対象に、グラフが記載された
3 つの文書とこれらをもとに作成したテキスト
影響を与えるのかを調べる必要がある。
そこで、ページめくりのしやすさが読みに与
文書を提示し、4 つの文書を相互に参照しなが
える影響を調べることを目的とし、複数ページ
らグラフから読み取れる情報とテキスト文書で
の注釈付きテキストを朗読する課題を用いて実
の主張内容の矛盾点(たとえば、グラフでは使
24)
用量が 3 万トンのはずだが、テキストでは「使
を参照)。被験者 18 名を対象に、2 ページの注
用量は 2 万トン」と記述されている)を指摘し
釈付き文書(1 ページ目が本文、2 ページ目が
てもらった (詳細については著者の別稿 25)を参
注釈文のリスト)を注釈を参照しながら読んで
照)。制限時間は定めずに、校正のスピードは各
もらった。紙条件では 2 枚の紙の左上をホッチ
自のペースに委ねた。紙条件では 4 枚の紙をば
キスでとめたものを配布し、両手を用いてペー
らばらに配布し、ディスプレイ条件では 4 つの
ジめくりをしてもらった。ディスプレイ条件で
PDF 文書を異なるウィンドウで、紙と物理的に
®
は PDF 文書を Adobe Reader 9 で 1 ペー
同 じ サ イ ズ に な る よ う に 表 示 し た 。 OS は
ジ全体が閲覧できるように表示し、マウスを用
Windows® XP 、 文 書 表 示 に は Adobe®
いてスクロールまたはページ切り替えボタンに
Reader® 9 を利用した。
験を行なった(詳細については著者の別稿
®
よりページめくりをしてもらった。
結果は図 5 に示すとおりである。紙はディス
結果は、図 4 に示すとおりである。紙での読
プレイよりも 25.5%速く校正を行なうことが
みはディスプレイに比べて 6.8%速かった。理
できた。さらに、紙はディスプレイよりも
解度の代替指標として測定した重要語の再認テ
10.7%エラー検出率が高かった。作業効率だけ
ストの成績には違いはなかった。ページめくり
でなく作業の達成度でもディスプレイよりも紙
を含んだ読みにおいて、紙は理解度を落とすこ
のほうが優れていることが示された。
となく速く読めるメディアであることがわかる。
オフィス業務で文書を読んだり書いたりする
場面では、単一の文書のみを取り扱うのではな
3.3
実験 3:文書の移動・配置の操作性が
読みに与える影響
第 3 の実験もメディアの操作性の違いに着目
く同時に複数の文書を行き来したり、見比べた
りしながら作業することが多いことが指摘され
ている
5)23)26)
。Adler ら
26)
は読みを 10 種
したものであるが、第 2 の実験との違いはペー
類に分類し、現実の読みの観察から個々の種類
ジめくりではなく文書の移動や配置のしやすさ
の読みの頻度を集計した。そのなかで最も頻度
92
富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011
技術論文
表示メディアとしての紙と電子メディア:環境の視点からの比較
いずれの読みにおいても、紙は電子メディア
校正スピード
エラー検出率
ことを示した。電子メディアを利用した実験で
90
ー
70
60
80
(
50
40
30
)
0
フォーマンスに大きな影響を与えることが予想
検
出
率
手が多く(全員が 20~39 歳)、全員が PC 操
作に慣れ親しんでいた(日常的な PC 利用経験
%
が全員 3 年以上)
。また、実験で利用した OS
)
文 60
字
/ 40
分
20
は、メディアに対する慣れの要因が読みのパ
エ
ラ
(
80
ー
校 120
正
ス 100
ピ
ド
よりも 6~25%ほど効率的に作業を行なえる
100
140
20
やアプリケーションも広く普及した一般的なも
10
のであった。以上の点をふまえ、被験者は実験
0
Paper
される。しかし、今回の実験では、被験者は若
Display
図 5. 複数文書の相互参照を含む校正読みの比較(N=24)
The comparison of reading performance in cross-reference
reading among multiple documents
で利用した電子メディアに十分に慣れ親しんで
いたと考えることができる。すなわち、本稿で
紹介した実験の結果は PC を用いて業務を行な
う多くの人に当てはまるものであり、電子メ
が多かったのは複数文書を用いた相互参照の読
ディアに不慣れな人においては、紙と電子メ
みであり、これが全体の 30%近くを占めた。
ディアの両者のパフォーマンスの差がさらに大
今回、このように業務で頻繁に生じる相互参照
きくなると考えている。
の読みにおいて、紙はディスプレイに比べて
先にも述べたように、業務効率が悪化すると
25.5%作業効率が向上することを確認した。こ
労働時間が増え、オフィスでの CO2 排出量の増
れは、個々の作業で最適なメディアを選択する
加につながる。そこで、実験的に紙の効果を検
ことにより業務効率を大幅に改善できる可能性
証した上記のような作業においては、環境の側
があることを示唆する。
面からも紙の利用を検討することが望ましい。
このような点をふまえると、紙を徹底的に排
4. 考察
2 節で表示メディアとしての紙の CO2 排出量
除するペーパーレス化あるいは紙消費を少なく
抑えるレスペーパー化が必ずしも環境に配慮し
た働き方につながるとは限らないことがわかる。
を電子メディアと比較した。どちらの CO2 排出
特に、上述した点を考慮することなく「何が何
量が少ないかという問題は、状況に依存する。
でも紙をなくす」というスタンスでの紙の節減
資源としての紙の CO2 排出量はプリント出力
は、かえって環境にやさしくない働き方になっ
時の 1 回きりのものであるため、作業時間に依
たり、業務の生産性の低下をもたらしかねない。
存しない。これに対してディスプレイやプロ
そのような失敗事例は Sellen & Harper22)に
ジェクターの電子機器では、情報を表示するた
よる調査のなかで多数報告されている。われわ
めに継続して電力が消費されるため、CO2 排出
れが独自に開発したペーパーレスワーカー、紙
量は作業時間に比例して増加する。概して、長
依存ワーカの診断テストを利用した調査でも、
時間の作業の場合には紙の CO2 排出量のほう
熟練したナレッジワーカーはこのどちらのワー
が少なくなる傾向がある。
クスタイルでもなく、紙と電子メディアの両方
3 節では、以下の3種類の読みについて、紙
を効果的に利用する併用型ワーカであることを
を用いる場合と電子メディアを用いる場合の作
示唆するデータが得られている 27)。どこで紙を
業効率を比較した。
使い、どこで電子メディアを使うべきなのかを
z 前後関係を把握しながらの校正読み・熟読
明らかにし、必要最小限の紙を効果的に利用す
z 異なるページを頻繁に行き来する読み
るアプローチを検討する必要があるとわれわれ
z 複数文書を参照したり比較することが頻繁に
は考えている。
生じる読み
富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011
93
技術論文
表示メディアとしての紙と電子メディア:環境の視点からの比較
5. むすび
本稿では、作業ごとに異なるメディアを利用
する場合の CO2 排出量と作業効率を比較した。
紹介した事例はメディアの特性を捉えるには好
例であると思うが、これで必要なものが網羅さ
れているとは考えていない。本稿で提示した分
析と実験は、紙を減らすことが必ずしも環境に
やさしいとは限らないという問題提起のための
ものであり、また状況に応じて適切なメディア
を選択することの必要性を主張するためのもの
である。
現在、われわれは紙と電子メディアを定量的
に比較するための一連の実験を実施している最
中である。今後、さまざまな条件でメディア比
較の実験を継続し、検証結果の網羅性と信頼性
を高め、状況に応じて最適なメディアを使い分
けるためのガイドラインの作成へと発展させる
予定である。
(柴田 博仁, 大村 賢悟 訳: ペーパーレスオフィ
スの神話. 創成社, 2007)
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(2010)
6. 商標について
z Kindle®は、アマゾン米国およびその他の国
における登録商標または商標です。
z Adobe® Reader は、アドビジステムズ社の
米国およびその他の国における登録商標また
は商標です。
z Windows®は、Microsoft Corporation の
米国およびその他の国における登録商標また
は商標です。
z その他、掲載されている会社名、製品名は、
各社の登録商標または商標です。
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Muter:
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Attempts
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isolate
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会 創立 50 周年記念全国大会, (2010)
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analytic resource for the design of new
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立 50 周年記念全国大会, (2010)
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る紙の効果: 複数文書を用いた相互参照の読み
における紙と電子メディアの比較. ヒューマン
イ ン タ フ ェ ー ス 学 会 論 文 誌 , Vol.12, No.3,
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26) A. Adler, A. Guja, B. Harrison, K. O'Hara, A.J.
Sellen: A diary study of work-related
reading: Design implications for digital
reading devices. Proc. CHI '98, (1998),
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27) 大村 賢悟, 柴田 博仁: 人はなぜ紙を好み続ける
のか: ペーパーレスワークスタイルへの転換と
筆者紹介
紙 の 未 来 . 紙 業 タ イ ム ス , Vol.62, No.15,
柴田
(2010), 28-41
博仁
研究技術開発本部 システム要素技術研究所に所属
Research & Technology Group, System Technology Laboratory
専門分野:インタラクションデザイン
大村
賢悟
研究技術開発本部 システム要素技術研究所に所属
Research & Technology Group, System Technology Laboratory
専門分野:認知科学
富士ゼロックス テクニカルレポート No.20 2011
95
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