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JICA 草の根技術協力事業 終了時評価報告書

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JICA 草の根技術協力事業 終了時評価報告書
JICA 草の根技術協力事業
公共図書館支援を通じた図書・読書活動普及事業(ラオス)
終了時評価報告書
平成20年7月
(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)
目
次
ページ
終了時評価調査概要
2
1-1 調査団派遣の経緯と目的
2
1-2 終了時評価の方法
2
1-3 調査団の構成
2
1-4
2
第1章
第2章
調査日程
4
プロジェクトの概要
2-1 背景
4
2-2 目的
5
2-3
事業対象
6
2-4
事業の枠組み
11
プロジェクトの進捗状況
14
3-1 投入実績(日本側/ラオス側)
14
3-2 活動の実績
14
3-3 プロジェクトの実施プロセス・実施体制
17
第3章
評価結果
19
4-1 妥当性
19
4-2 有効性
20
4-3 効率性
36
4-4 インパクト
38
4-5 自立発展性
41
4-6 結論
42
第4章
第5章
43
提言と教訓
5-1 提言
5-2
43
教訓
43
添付資料1 6図書館の地図
添付資料2 公共図書館支援を通じた図書活動普及事業 終了時評価グリッド
添付資料3 PDM
添付資料4 PDMe
添付資料5 質問紙
添付資料6 写真資料
1
第1章
終了時評価調査概要
1-1
調査団派遣の経緯と目的
本 JICA 草の根技術協力事業(草の根パートナー型)、ラオス「公共図書館支援を通じた図書読書推
進普及事業」は 2005 年 12 月に開始され 2008 年 11 月に 3 ヵ年の事業を終了の予定である。終了を控
え本事業の達成状況を確認、評価し、今後の教訓提言を導き出すことを目的とするものである。
1-2
終了時評価の方法
評価にあたっては、①これまでのモニタリングシート・図書館利用データ(2005.12~2008.3)の精
査、②図書館利用者へのアンケート、③プロジェクト関係者へのインタビュー等を通じて必要な情報を
収集した。なお、ベースライン調査、中間評価調査におけるデータ不足や指標入手の困難さ、調査日程
時間の制約などの理由により、終了時評価調査で実施しうる内容にも限界があったことを付け加える。
尚、上記情報収集は前半日程を SVA ラオス事務所職員により、後半日程を前記職員に加え SVA 東京
事務所職員が合流して実施された(後半の一部に JICA ラオス事務所岩崎真紀子氏の参加を得た)。
終了時評価に当たってインタビューした対象者は以下の通りである。
・プロジェクト実施団体;シャンティ国際ボランティア会 ラオス事務所職員
・カウンターパート団体;ラオス国立図書館職員
ラオス情報文化省出版局職員
・プロジェクト関係者;ルアンパバーン県、シェンクワン県、ヴィエンチャン県、ヴィエ
ンチャン首都、サワンナケート県、チャンパサック県の各県図書
館員職員、情報文化局職員、教育局職員、
1-3
調査団の構成
評価調査メンバー
・ 伊藤解子(SVA 東京事務所海外事業課長) 評価統括
・ 髙橋久夫(SVA ラオス事務所 プロジェクトマネージャー)
・ カムコン・クンチャムヌーン(SVA ラオス事務所 事業コーディネーター)
・ 川村仁(SVA ラオス事務所
所長)
* 岩崎真紀子氏(JICA ラオス事務所) 5 月 23 日調査参加
* 三宅隆史(SVA 東京事務所次長) 調査計画、分析への助言
* 佐久間美穂(SVA 東京事務所ラオス担当) 文書編集
1-4
調査日程
◎ 前半日程;ラオス事務所(髙橋、カムコン)が担当
日程
場所
内容
2008 年3月
事業対象 6 県の図書館に利用者アンケー
ト用紙を配布
4月3日(木) シェンクワン県図書館
図書館員インタビュー
利用者アンケート回収
4月4日(金) シェンクワン県情報文化局、教育局
2
情報文化局副局長、教育局副局長インタ
ビュー
4月 22 日(火) ルアンパバーン県図書館、情報文化局
図書館員、情報文化局職員インタビュー
利用者アンケート回収
4月 23 日(水) ルアンパバーン県教育局
教育局副局長インタビュー
4月 30 日(水) ヴィエンチャン県情報文化局、教育局
情報文化局局長、教育局局長インタビュ
ー
5月7日(水) ヴィエンチャン県図書館
図書館員インタビュー
利用者アンケート回収
5 月 8 日(木)
ヴィエンチャン首都図書館
図書館員インタビュー
利用者アンケート回収
5 月 10 日(土) ヴィエンチャン首都情報文化局、教育局
情報文化局副局長、教育局職員インタビ
ュー
5月 13 日(火) サワンナケート県図書館
図書館員インタビュー
利用者アンケート回収
5 月 14 日(水) サワンナケート県情報文化局、教育局
情報文化局副局長、教育局局長インタビ
ュー
5月 15 日(金) チャンパサック県図書館
図書館員インタビュー
利用者アンケート回収
5月 16 日(金) チャンパサック県情報文化局、教育局
情報文化局副局長、教育局職員インタビ
ュー
◎後半日程;東京事務所の伊藤、ラオス事務所の川村、髙橋、カムコンが担当
日程
場所
5 月 19 日(月)
移動
5 月 20 日(火)
SVA 事務所
内容
伊藤、ヴィエンチャン到着
事務所にて打ち合わせて、その後サワンナ
ケートに移動
5 月 21 日(水)
サワンナケート図書館、
事業視察、両局にてインタビュー
情報文化局、教育局
5 月 22 日(木)
移動
サワンナケートよりヴィエンチャンに移動
5 月 23 日(金)
ヴィエンチャン県図書館、教育局
5 月 24 日(土)
チャンサワン村
移動図書館事業視察
午後 SVA 事務所
午後
事業視察、局にてインタビュー
SVA 移動図書館スタッフ、SVA コー
ディネーターへインタビュー
5 月 25 日(日)
SVA 事務所
データ整理
5 月 26 日(月)
SVA 事務所
データ整理
5 月 27 日(火)
国立図書館、情報文化省
国立図書館、情報文化省出版局長へのイン
タビュー
移動
夕方 伊藤帰国
3
第2章
2-1
プロジェクトの概要
背景
2-1-1
事業立案のきっかけ
「ハリーポッターという本が読みたい・・・」
本事業の立案のきっかけとなったのは、何人かの子どもたちの声であった。
本会は 1992 年にラオス事務所を開設、それ以来「読書推進」
「学校教育支援」事業を継続してきてい
た。1992 年から 93 年に事務所付属の子ども図書室を開館し、日本から絵本を持ち込み、それらをラオ
ス語に翻訳して、多くの子どもたちに読書の楽しさを伝えてきた。子ども図書室開設から 10 年余。幼
児、小学生の時から図書館に通ってきていた子どもたちの多くが、中学生、高校生になっても時々当会
の図書室を訪ねてきた。
「絵本ばかりじゃなくて、私たち中学生向けの小説が読みたい。
」
「私たちが本をよめる図書室がどこにもない」
「ハリーポッターとかロードオブザリングという本はないですか。」
1992 年の事務所開設以来、当会は子どもの読書推進に集中して力を注いできた。しかし、その子ども
たちも中学生高校生、社会人になっていた。十代後半からヤングアダルトの世代が図書に親しみ、情報
を調べ、検索し、勉強できる「開かれた図書館」はラオスにはほとんどなかった。子どもだけでなく、
ユースから社会人に至るすべての世代の人が利用できる「公共図書館」が必要ではないか、と検討がは
じまった。
2-1-2
万人のための教育
ラオス政府・教育省は、Education for All「万人のための教育」行動計画を策定し、2020 年までの
目標達成を目指して実行中である。「万人のための教育」は就学前教育から初等中等教育、職業教育、
ノンフォーマル教育までを含む計画であるが、やはりその中心は初等教育の改善と拡大に最大の優先順
位がおかれている。ノンフォーマル教育分野の活動には予算も少なく、教育省内の優先順位も低い。
しかし、学校教育だけの拡大で「万人のための教育」が達成できるとは考えられない。ノンフォーマ
ル教育、社会教育にも重要性を与えるべきだと考えられた。そして、ノンフォーマル教育・社会教育分
野の施設の中でも、年齢、人種、性別、障害のあるなしにかかわらず、誰もが利用できる唯一の施設、
まさに万人のための教育施設が、「公共図書館」であった。この「公共図書館」の発展が、地域のすべ
ての人の読書活動推進に役立ち、ひいては「万人のための教育」の普及に大きく寄与すると考えられた。
2-1-3
ラオスの公共図書館
ラオスの「公共図書館」分野は情報文化省の中の「出版局」の管轄となっている。情報文化省は、名
前のとおり「情報」と「文化」の大きな2つの役割をもつ省であるが、経営的に現在は大変厳しい予算
状況にあり、政府予算のわずか3%の配分しか受けられていない。
4
情報文化省の組織チャートは以下の通りである。
ラオス情報文化省 組織チャート
情報文化大臣
情報文化副大臣
文化研究所
言語研究所
国立 TV 局
国立ラジオ
新聞各社
マスメディア局
芸術局
出版局
博物館・遺物局
大衆文化局
県情報文化局
郡情報文化局
プロジェクト開始当時、ラオス 17 県(正確には 16 県、1 首都)の中で、県の公共図書館を持ってい
るのはわずかルアンパバーン、シェンクワン、サワンナケート、チャンパサック4県であった。そのう
ちサワンナケート県とルアンパバーン県については、2002 年に当会が調査を行った。当時の図書館はど
ちらも県の公共図書館としては大きな問題を持っていた。
1)建物が古く、また狭く、一般市民や子ども達がすすんで気軽に訪れる雰囲気でなかった。
2)蔵書のほとんどが古く、また政治や革命当時の本が多く、若者が興味を持つような読み物や文学、
科学やテクノロジーに関する図書、農業や英語などの実用書などがほとんどなかった。利用できる実質
の蔵書数は数百冊程度しかなかった。
3)運営の仕方にもスタンダードが存在せず、本の分類や整理も共通していない。
4)現在ラオスには公共図書館法なども存在せず、それぞれの図書館が、共通した図書分類法やルール
などを持たず、ばらばらのまま運営されている。
どちらの図書館も実質の蔵書数は数百冊程度、一日の平均利用者は 2―5 人程度という状況であった。
2―2
目的
本事業の事業目標は、「公共図書館が住民に対し適切なサービスを提供できるようになる」ことであ
る。そして、公共図書館のサービスについては、ユネスコの「公共図書館宣言」がすべてを語っている。
以下引用。
「公共図書館は、その利用者があらゆる種類の知識と情報をたやすく入手できるようにする、地域の
情報センターである。公共図書館のサービスは、年齢、人種、性別、宗教、国籍、言語、あるいは社会
的身分を問わず、すべての人が平等に利用できるという原則に基づいて提供される。理由は何であれ、
通常のサービスや資料の利用ができない人々、たとえば言語上の少数グループ(マイノリティ)、障害
者、あるいは入院患者や受刑者に対しては、特別なサービスと資料が提供されなければならない。いか
5
なる年齢層の人々もその要求に応じた資料を見つけ出せなければならない。蔵書とサービスには、伝統
的な資料とともに、あらゆる種類の適切なメディアと現代技術が含まれていなければならない。質の高
い、地域の要求や状況に対応できるものであることが基本的要件である。資料には、人間の努力と想像
の記憶とともに、現今の傾向や社会の進展が反映されていなければならない。 蔵書およびサービスは、
いかなる種類の思想的、政治的、あるいは宗教的な検閲にも、また商業的な圧力にも屈してはならない。」
(※UNESCO Public Library Manifesto 1994)
2-3
事業対象
対象については、まず事業開始時にすでに公共図書館を持っていた県(サワンナケート、シェンクワ
ン、ルアンパバーン、チャンパサック)と SVA で建設を予定していたヴィエンチャン首都、および、本
事業で建設を計画した1県の計6県を対象とした。ただし、当初新図書館を建設予定にしていたカムム
アン県は、事情によりヴィエンチャン県に変更した(後述)。
2―3―1 サワンナケート県図書館
2002 年の調査の段階で、県の図書館を持っていたが、狭く、暗い建物、多くは古い政治思想関連の書
籍しかないという状況で、一日の利用者は多くて数人、少ない日は 0 人という状況であった。その後カ
ウンターパートであるサワンナケート県情報文化局との検討をへて、当会は、2003 年に日本のプライベ
ートドナーの協力を得て、サワンナケート県図書館を建設支援した。名古屋市の公共図書館の司書や職
員を中心としたグループと所属する労働組合(自治労)の支援により、約 220 平方メートル、子どもと
成人それぞれのコーナーを持ちながら1フロアの図書館が 2003 年 9 月開館した。
その当時図書館員は 2 名。一人はロシアで図書館学を勉強していたが、当時の粗末な図書館では利用
者も少なく、低待遇、図書館の予算もなく、あまりやる気を感じていなかった。また、日本的なすべて
の人に開かれた「コミュニティ図書館」という考え方はなじんでおらず、司書というのは「図書の管理、
保存」をする人だと考えていた。
新しい図書館が開館後は利用者が急増、週末などは 100 人を超える利用者(特に小学生)があり、重
労働、休憩のできないこと、土曜日にも開館したこと、から一時体調を悪くするような時期もあった。
2002 年当時のサワンナケート県立図書館
6
2003 年に完成したサワンナケート新図書館
2-3-2 ルアンパバーン県公共図書館
2003 年にはルアンパバーン県の公共図書館の調査をおこなった。サワンナケート県同様、暗く狭い図
書館で、蔵書数も限られていた。しかし、同じ敷地にある「子ども文化センター」がさまざまな活動を
活発におこなっていたこと、立地場所が大変いいこと、などから図書館を建て直すことができれば、多
くの利用者に利用されるだろうことが予想された。
県の情報文化局と相談し、①別の場所に新図書館の建築、②現図書館を取り壊して新築、③現図書館
の改築、という三つの選択肢を検討した。当会としては、現図書館の建物のデザイン、サイズが公共図
書館としては適当とおもわれない理由から、新築を検討したが、ルアンパバーンは街自体が世界遺産に
登録されており、現建物の取り壊し、新築は許可されないとわかった。その結果、現建物を改修するこ
とを合意した。
2004 年に日本のプライベートドナーの協力により、図書館建物の全面改修、書棚や家具の支援、蔵書
の支援を行った。
7
改築前のルアンパバーン図書館。かつて
は録音や放送のための建物だったことか
ら、窓がすくなく、暗くて入りにくかっ
た。
改築後の図書館。世界遺産に登録された
地域のため、建て替えや新築は許可され
ず、いままでのデザインのままの改築し
2―3―3 シェンクワン図書館
か許可されなかった。しかし、窓をふや
したことでずっと明るく、入りやすい建
物になった。
8
2-3-3 シェンクワン県公共図書館
2004 年に当会はシェンクワン県立図書館の調査をおこなった。現状を知るため、先方への連絡なしで、
まずは平日の昼に図書館を訪問したが、午前 10 時と午後 2 時に訪れたときには、鍵がかかったままで、
しばらく待ったが職員も来ない、という状態であった。翌日改めて連絡をし、職員にやっと会うことが
できた。聞き取りによれば、以下のような状態であった。
「このシェンクワン県の図書館は、アメリカにいるモン人の支援で建設されました。しかし、その後
運営費の支援はなく、県情報文化局が管理していますが、予算もすくなく、図書を購入する費用もなく、
今年は以前 3 人いた職員のうち 2 人が研修や別の部門に異動になってしまい、今は私ひとりです。一人
では図書館を開け閉めも十分にできず、利用者もすくないです。
」
蔵書を確認するとわずかに当会やNGOの支援した子ども向けの図書があるものの、それ以外は、ロ
シア語の政治関連とおもわれる図書がほとんどで、これでは学生などが利用するはずもないだろうと想
像された。そして利用者がこないことで、たったひとりの職員もやる気もおきず、日によっては鍵をあ
けることもなく、そのため余計利用者も来ない、という悪循環に陥っていた。
2―3―4 チャンパサック県図書館
チャンパサック県の図書館は、2003 年にアメリカ人の支援で新築された図書館であった。県の博物館
と同じ敷地の中に、2 階建てで上下階を大人用と子ども用の部屋として分けていた。2004 年に私たちが
訪問したときには、開館から半年ほどであったが、当初 8 人スタッフがいたが、利用者が増えず、仕事
もあまりないため、5 人に減らした、ということであった。
(しかし、最初から 8 人の職員を配置したと
いう県の思い入れが感じられた。)
建物は新築のため特に大きな問題はなかったが、建物のデザインは図書館としてあまり検討されたも
のでばなかったように感じた。また蔵書数が少ないのが問題で、利用者がすくないのも理解できた。
しかし、立地のよさ、しっかりとした建物、県情報文化局の協力などよい面が多くあり、可能性が感じ
られる図書館であった。
チャンパサック県図書館
2―3―5 ヴィエンチャン首都図書館
2003 年にサワンナケート県図書館を建設を決めたあと、当会は、将来的にラオス全県に公共図書館を
拡大していくためには、首都であるヴィエンチャンにモデルとなる公共図書館が必要であることを感じ、
9
国立図書館、情報文化省他関係者に公共図書館建設の土地を提供してくれるように、交渉を開始してい
た。
しかしながら、首都のヴィエンチャンには地方の県と違い、空いている土地はなかなか見つからず、
また提案されても場所が中心部からかなり離れた場所で、図書館建設には不適切な場所ばかりであった。
土地を探し始めてから 1 年を経て、急にヴィエンチャン首都関係者から土地を提供してもよいという
話が持ち上がった。場所は凱旋門の近く、隣にはラオス随一の名門校であるヴィエンチャン中高等学校
があるという絶好の場所であった。しかもその場所はラオス初めての国立図書館があった場所であった。
その後、実際に建設が始まるまでには、さまざまな難題と紆余曲折があった。特に図書館のサイズ、
デザインについては、我々日本側は子ども用スペースと大人用スペースを持つワンフロアの図書館を提
案したが、ヴィエンチャン首都情報文化局と情報文化省出版局は、3 階建ての巨大なデザインを提案し、
「ワンフロアの小さな図書館では許可できない」と最初の会議で拒否されるなど、考え方の違いが大き
かった。
その後何とかこのデザインと予算で図書館建設を実現すべく、ヴィエンチャン首都教育局長にアプロ
ーチし、密かに当時のヴィエンチャン都副知事(現知事)にぜひ本事業を実現させてほしいと直訴した。
そして結果的に副知事が仲裁をしてくれ、建設ができることに決まった。そして 2006 年 12 月に 450 平
米の図書館と多目的ホールを備えた「ヴィエンチャン首都図書館」が開館した。
ヴィエンチャン首都図書館
10
2―3―6 ヴィエンチャン県
当初JICA草の根技術協力事業で建設支援する図書館は、カムムアン県を想定していた。北部には
ルアンパバーンとシェンクワン、南部にはサワンナケート、チャンパサック、そしてヴィエンチャン首
都と、5 つの県に図書館ができ、次に建設するとすれば、中部と南部をつなぐ要衝県であるカムムアン
が適当と考えたからであった。
相談した国立図書館からもカムムアン県を第1候補としたい、という回答があり、当会として実地踏
査、CP との交渉にはいった。しかしながら、調査の結果、カムムアン県にはまだ、読書推進活動の基礎
ができていないこと、CP となる情報文化局の関心がまだ低調であることなどから、別の県に変更したほ
うがよいとの結論を得た。そして、再度国立図書館館長と相談、また現地との交渉をへて、最終的にヴ
ィエンチャン県を対象県に決め、新図書館建設をおこなうこととした。
ヴィエンチャン県は県立図書館はなかったが、すでに読書推進活動は行われており、情報文化局と教
育局の基本的な協力体制もできていた。そのため、事業開始当初は、カウンターパートを情報文化局と
教育局の両局とし、新図書館の建設予定地は、現在ある学校の敷地内に建設することに合意した。
2―4
事業の枠組み
本事業の主要なコンポーネントは以下の通りである。
1
県モデル図書館の建設
2
図書館員・司書の研修支援
3
蔵書の支援
4
移動図書館車サービス
5
視覚障害者・ストリートチルドレン等へのサービス
6
図書館協会設立支援
1のモデル図書館の建設については、サワンナケート図書館の際にデザインした「小規模であるが、
子ども用スペースと大人用スペースを備えたワンフロアの図書館」というモデルは現在のラオスの事情
に適しており、これをサワンナケート以外の県にも建設し、県レベルのひとつのモデル図書館として定
着させたいという期待であった。
実際のところ 220 平米の図書館というのは、日本でいえば学校図書室程度の広さではあるが、一年間
に出版される図書のタイトルが数十タイトルにとどまるラオスではしばらくは十分であると考えられ
た。220 平米でも約2万冊程度の蔵書は問題なく配架できるように設計されている。さらに必要な図書
館員、司書の数の問題がある。ワンフロアの図書館の利点は、少ない職員で管理でき、見渡しがきくこ
とである。最低 2 名の職員で運営できる。
2の図書館員の研修については、実際に各図書館で働く職員のほとんどは図書館についての基本的な
研修はまったく受けていなかった。わずかにロシアやベトナムで図書館学を学んだ職員もいたが、閉架
式の図書館システムしか勉強していない場合もあり、現在主流の考え方については改めて研修の必要が
あった。
また、各図書館がばらばらの分類法をつかっているのも問題と感じられた。蔵書数が少ないうちは適
当でよくても、将来を考えれば、国全体で今から同じ分類法と登録方式で統一することが不可欠と思わ
11
れた。基本的な図書館員の役割、貸し出しの方法、分類法、そして、子どもたちへの読書推進活動の技
術など、図書館員に期待される役割と技術は多くあった。
3の蔵書の支援については、当初より懸念され、しかし図書館の発展のためにどうしても不可欠な事
項があった。それはタイ語の図書の補充ということであった。現在ラオスでラオス語で出版されている
本のタイトルは年に数十タイトルから多い年で 100 タイトル余といったところである。特に問題は、外
国の本の翻訳ものがまったく出版されないということである。もちろんラオス人作家の養成やラオス語
の図書の振興は必要である。しかし、それだけに頼っていては読みたいとおもうような図書を十分にそ
ろえることは不可能であった。そのため、ラオス語に非常に近く、中学生以上であれば問題なく読むこ
とのできるタイ語の図書を補充することが図書館の利用を増やし、ニーズにこたえるためにもっとも適
当な方法と考えられた。
しかし、県立図書館にタイ語の図書を大量にいれるというのは、政府関係者にとっては大変抵抗の予
想される事柄であった。しかし、それなしでは本当に利用される図書館にはなりえない、という確信か
ら、関係者とは交渉と説得が必要であった。
4と5については、ユネスコの公共図書館宣言にあるように、「通常のサービスや資料の利用ができ
ない人にも・・特別なサービスが提供されなければいけない」ため、特に図書館に通ってこられない地
域の子ども、若者、また障がい者やストリートチルドレンというような社会的な弱者に対しても、サー
ビスを行うことが公共図書館の役割である、ということを訴え、将来的には各県レベルでも同様のサー
ビスが始まることを期待したものであった。
6の図書館協会の設立支援に関しては、すでに当会は 2000 年から現国立図書館長と「ラオス図書館
協会」の設立に関して意見交換を継続していた。将来ラオスの図書館が発展していくために必要なもの
として、「図書館法」と「図書館協会」は欠かせない。ラオス全国に図書館ネットワークを広げ、図書
館員の研修や育成、さらに世界の図書館とつながっていくためにも「ラオス図書館協会」の設立は急務
だという意見で一致していた。しかしながら、国立図書館の毎年の申請も、情報文化省大臣から許可さ
れない状態が数年間続いていた。当会としても、是非この協会の設立と運営をバックアップするべきで
あると考えたのである。
(その後ついに 2007 年 1 月念願であったラオス図書館協会は設立され、初代協会長にコンドゥアン・
ネッタヴォン現国立図書館長が就任した。
)
以上6つのコンポーネント、活動を支援することによって、いままでばらばらであった県レベルの公
共図書館の設計やデザインモデルを提供し、さらに運営モデルを確立することができると考えた。そし
て、図書館協会を中心として、各県の図書館がネットワークを構成し、その経験、成果を各県の郡の図
書館や各学校図書室に拡大できると期待したのである。
12
ラオス公共図書館システムとネットワーク
設立運営
情報文化省出版局
支援
国立図書館
ラオス図書館協会
ルアンパ
シェンク
ヴィエン
ヴィエン
サワンナ
チャンパ
バーン県
ワン県図
チャン県
チャン首
ケート県
サック県
図書館
書館
図書館
都図書館
図書館
図書館
図書館建設
移動図書
移動図書館運営
図書館員研修
館活動
活動モデル化
蔵書支援
障害者施設
小中学校
図書室
子どもセン
ターなど
13
第3章
3-1
プロジェクトの進捗状況
投入実績
本事業における日本側、ラオス側の投入は以下のようになる。
日本側
ラオス側
<日本人>
人材
図書館員
・日本国内調整員(25%)
ルアンパバーン県(4)
・プロジェクトマネージャー(1)
シェンクワン県(3)
<ラオス人>
ヴィエンチャン県(4)
・事業コーディネーター(1)
ヴィエンチャン首都(4)
・事業アシスタント(1)
サワンナケート県(4)
・移動図書館担当(1)、・公共図書館担当(1)
チャンパサック県(5)
・図書館協会担当(1)、業務全般補助(2)
・ドライバー(1)、・総務課職員(50%)
・経理課職員(50%)
・ヴィエンチャン県公共図書館
建物 1 棟
・図書の補充支援 28,363 冊
・コンピューター、プリンター
資機材
・ヴィエンチャン県図書館
建設用地
・各県図書館の電気、水道、電話、飲料
4セット
水代金、移動用の車(一部)
・視覚障害者等用朗読 CD 300 タイトル×7セット
・読書推進キャンペーンポスター 1000 枚、
・読書推進活動用の音楽 CD(歌詞カード付)300 枚
・
「図書館協会ネットワーク」機関紙 340 部
3-2
活動の実績
活動1-1. 公共図書館の建設
ヴィエンチャン県公共図書館をヴィエンチャン県ヴィアンカム郡ムアンガオ小中学校敷地内に建設。
2006 年 11 月 22 日に建設調印、2007 年 3 月 21 日に竣工、2007 年 5 月 11 日に贈呈式・開所式がおこ
なわれた。
建物は 13.5m×22.4m で平屋、鉄筋コンクリート柱、レンガ壁、スレート屋根構造である。トイレ、
井戸は外に設置された。室内は大部屋一室の作りであるが、子ども向け空間と大人向け空間に大まかに
分けられており、事務室・倉庫はドアによって区切られて設置されている。
尚、当初予定の建設地が県教育局の意向により現在地に変更になったため、土盛り、井戸、窓の鉄格
子の追加工事がおこなわれた。
活動1-2. 現在ある公共図書館への図書の補充支援
6 県の公共図書館に補充支援された図書の総数は 28,363 冊。
内訳はルアンパバーン図書館へは 4,204 冊、シェンクワン図書館へは 5,692 冊、ヴィエンチャン県図
書館へは 6,586 冊、ヴィエンチャン首都図書館へは 1,943 冊、サワンナケート図書館へは 4,189 冊、チ
ャンパサック図書館へは 5,749 冊である。
14
図書の購入は年 1 回、計 3 回おこなわれたがいずれも 2~3 ヶ月を要した。ラオス語図書については、
本屋がほとんど無いため、まず本を出版、販売(配布)している団体を一つ一つ訪ねてタイトル、在庫
の有無を確認する作業を積み重ね、購入した。タイ語図書については、タイ・ウドンタニの大きな書店
を直接訪ね、まる一日をかけて書棚から書籍を選び出し、購入本のリストを作成、さらにその一覧表を
ラオス情報文化省出版局に提出、輸入の許可を申請した。許可を得るのに約 1 ヶ月を要した。
さらに、この国では郵便輸送や小口トラック便等の荷物輸送システムが未整備なために、購入した図
書を各図書館へ配送するには車をチャーターするか、事業モニタリング時の訪問の際に一緒に運ぶしか
なく、全ての図書館への配送を終わるのに 2~3ヶ月要した。この結果、図書の選定から各図書館へ到
着するまでには 4 ヶ月から 6 ヶ月が必要であった。
活動1-3. 障害児者むけの点字および朗読テープコーナーの設置
本の朗読を収めた CD を 2006 年(7 月~9 月)に 150 タイトル制作、翌年 2 月の公共図書館研修会
にて使い方の研修をおこない。さらに 2007 年(4 月)に追加で 150 タイトル制作配布された。計 300 タ
イトルの内容は文学、民話、歴史、社会科学に関するものが多い。これらは計 7 セット制作され、事業
対象の 6 つの公共図書館と移動図書館車に配備された。
移動図書館車は週 1 度定期的にヴィエンチャン首都内の『Home of Light』
(視覚障害者児童施設)を
訪問し CD を使用、同時に同施設に貸し出しをしている。各図書館においては地元の障害者協会と連絡
を取りながら随時貸出をおこなっている。ヴィエンチャン県図書館においては、月に 2 度、CD とプレ
ーヤーを持って各村の障害者のいる家庭を個別に訪問し朗読を聞いてもらう活動をしている。
この CD は、視覚障害者用に作成されたものであるが、文字がまだ充分に読めない小さな子どもたち
にも好評である。
活動1-4 タイ語英語の絵本などをラオス語への翻訳
2006 年度、2007 年度合わせてタイ語より 42 タイトル、日本語より 36 タイトルの絵本がラオス語に
翻訳された。これらは随時、必要に応じて訳文貼り付けや翻訳出版のための素材として使用の予定であ
る。
活動2-1. 移動図書館車の運行マニュアルを整備する
下記が運行マニュアルとして確立された。
・運行:1月~12 月(1月には次年度運行先の調査選定、本の入れ替え等を実施)
・週 5 日(月~金)、原則一日2ヶ所
・訪問先:計 10~11 ヶ所(小学校7~8 校、その他、)
原則として各箇所への訪問は週 1 回で、1 年間継続。(毎年見直し)
*6~8 月の小学校の長期休暇中は訪問先変更
・訪問先選考基準
小学校;1、貧困家庭の児童が多い
2、既に図書を持っているが活用されていない
3、教師の意欲がある
4、郡教育局の推薦
その他特に図書にアクセスする機会の少ない施設;
15
視覚障害児施設、薬物リハビリセンター、経済的に貧困地域等
・訪問先での活動
1、図書の閲覧
2、本の貸し出し(個人毎、学校毎)
3、読書推進活動:読み聞かせ、歌、ゲーム、図画等
4、訪問先の教師への指導
活動2-2. 移動図書館車担当スタッフの研修を実施する
2006 年度(2007 年 3 月)、2007 年度(2008 年 1 月)の計 2 回、移動図書館車の訪問先であるヴィエン
チャン首都の教員、郡教育局職員を対象に研修会を実施した。各 2 日間の研修会に、2006 年は 24 名、
2007 年は 51 名の参加があった。
研修内容は、読書の意義、子どもにどのように本を読ませるのか、本の管理の仕方、読書推進活動(読
み聞かせ、ゲーム、折り紙、歌)研修などである。これにより、移動図書館活動だけではなく、すでに
各学校が持っている図書の有効活用も図られるようになってきている。
活動2-3. ストリートチルドレンや物乞いの子どもなどへの定期的なサービスを実施する
ヴィエンチャン首都の現状に合わせて、以下のように活動を実施した。
1、貧困家庭の多い地域での移動図書館車の定期的運行(チャンサワン村等)
2、SVA 付属図書館の実施する週 1 度の子ども向け読書推進活動に、近隣(トンカムカン村)の貧困
家庭児童、NGO の運営する『フレンズ』(子どもの一時シェルター)の子どもの参加を積極的に促
した。
3、障害者施設(視覚障害児施設、身体障害者授産施設)への移動図書館車の定期運行
尚、大人が対象であるが、薬物中毒患者のリハビリテーションセンター『ソムサガー』に移動図書館
車を週 1 度定期的に運行、自由に外部との接触ができない患者たちに読書推進活動を実施した。
活動3-1. 公共図書館の手引き・基準を作成する
この事業で実施した「公共図書館員研修会」を集大成する物として、2007 年度(2008 年 3 月)に
『Manual for Library Management Training』(ラオス語)が 500 部発行され、県、郡、学校、各省庁
の図書館に配布された。
尚、SVA 独自事業として国立図書館翻訳編集による図書分類(デューイ・デジマル・クラフィケーシ
ョン:DDC)
『DDC
21』
(561 ページ、500 部)の出版支援をおこない、各図書館に配布された。DDC
分類のラオス語版は初めてで、各図書館での図書分類作業には必須のものである。
活動3-2. 公共図書館員のための研修会を実施する
通算 3 回の研修会を実施した。これらには各県公共図書館員に加えて県教育局職員、県情報文化局職
員等が参加した。講師は国立図書館職員、SVA 職員等があたり、2005 年度(2006 年 2 月)6 日間
名参加、2006 年度(2007 年 2 月)6 日間
29 名、2007 年度(2008 年 2 月)6 日間
33
40 名の参加があ
った。
主な内容は、「図書館の役割」
「図書の分類法」
「図書館の広報」
「図書館内外での活動」
「活動の実習・
16
実演」等である。
研修会には、各図書館員だけではなく、図書館を直接管轄する各県情報局職員、また図書館活動を学
校に広げるための鍵となる各県教育局職員も参加することで、各県での図書館活動を支援する体制の強
化に役立たせた。さらに、国立大学中央図書館員、財務省付属図書館員、軍付属図書館員等ラオスの主
要な図書館の職員の参加を得た。
活動4-1. 読書推進のためのキャンペーン活動を実施する
各図書館に図書館で読書推進活動ポスター(計 500 枚)、活動用の音楽 CD(歌詞カード付)(計 300 枚)
を作成配布。さらに 6 県の県教育局を通じて小学校に配布。(2006 年4月~6 月)
活動4-2. 読書に関するコンテストを実施する
絵本コンテストのポスターを作製、各県図書館、各県教育局を通じて小・中・高に配布された(2007
年 3 月制作、4 月~6 月配布、説明)。
各図書館に寄せられた作品の中から、各図書館ごとに優秀作品が選ばれ表彰された。さらに表彰され
た作品から情報文化省と SVA 職員の選考によって 2 作品が出版された。(2008 年 3 月、各 3,000 部)
活動5-1. ラオス図書館協会の設立支援をする
2006 年 9 月に『ラオス図書館協会』が設立認可され、10 月にはその実務を担う情報文化局長と国立
図書館文書課長の 2 名を日本に招聘し研修を実施した。
2007 年 1 月には、ラオス図書館協会設立総会が開かれ、会長に国立図書館館長コンドゥアン氏、副
会長に国立大学中央図書館長チャンシー氏が選任された。
活動5-2. ニュースレター「図書館ネットワーク(仮称)」を定期的に発行する
ラオス図書 館協会の 機関紙『 ラオ・ライ ブラ アリー・アソ シエーシ ョン
ニ ュース
L.L.A.
BULLETIN』創刊号が 2008 年 2 月に発刊された。印刷された 340 部は国立図書館を通じて全国の図
書館、図書館関係者に配布された。
3-3
プロジェクトの実施プロセス・実施体制
当事業は、JICAからの資金支援を得て実施団体(社)シャンティ国際ボランティア会がラオス情
報文化省出版局との連携の下に実施された。
事業の直接のカウンターパートは国立図書館と 6 県(ルアンパバーン県、シェンクワン県、ヴィエン
チャン県、ヴィエンチャン首都、サワンナケート県、チャンパサック県)の県公共図書館、情報文化局、
教育局である。
直接の事業対象である各県公共図書館は各県情報文化局の管轄下にあるが、本事業においては当初よ
り本事業の目的に賛同した各県教育局との連携が図られた。各県教育局は学校教育の観点から読書推進
活動を進めており、学校における図書の配布、図書室の設置、教員の指導を進めており、そのセンター
としての役割を公共図書館に期待していた。
具体的に情報文化局の役割は、図書館の運営全般(職員の派遣、運営費の負担)ということであり、
教育局はその運営の支援と管轄する各学校と図書館とのネットワークの構築にある。しかし、例えばヴ
ィエンチャン県図書館においては情報文化局の人員・予算不足により教育局が人員・予算等運営の全て
17
を担っているケースもある。また、サワンナケーと県では情報文化局からの職員に加えて 1 名の職員が
教育局から派遣されている。
また、図書館の外部へのつながりということでは、学校生徒が授業の一環として図書館を訪問したり、
生徒のボランティア活動受け入れ、図書館の学校への移動図書館活動の実施において教育局は大きな役
割を担っている。
実施体制とその役割
JICA
――――――-―SVA
パートナーシップ
・事業の実行
情報文化省出版局
・事業承認、監督、指導
国立図書館
・指導、助言、講師派遣
6 県情報文化局
6 県教育局
・図書館の運営
・人材、資機材、経費の支援
6 県公共図書館
18
・学校とのネットワーク構築
第4章
4-1
評価結果
妥当性
本事業の妥当性は、対象地域における必要性、政策との整合性、手段の適切性の3つの観点から高い
と判断される。
(a) 対象地域における必要性(ターゲットグループの選定)
本事業の対象地域 5 県、1首都では、公共図書館が無い(ヴィエンチャン首都、ヴィエンチャン県)、
公共図書館が存在していても(シェンクワン、サワンナケートは 1997 年開設)、蔵書数、図書館サービ
スの質、利用者への周知度の低さなどの課題から、公共図書館が存在していても機能せず、住民の読書
習慣が促進されていない、という課題があったもので、事業の必要性は高いと考えられる。
2003 年から、SVA により、サワンナケート県(2003 年)、チャンパサック県、ルアンパバーン県(2004
年)へ順次公共図書館建設、修復などの支援が実施されていたが、蔵書数、図書館員による図書館サー
ビス研修など統合的なインプットを行うことができない状況であり、住民の読書習慣がないあるいは定
着していない、という課題があった。
表 4-1 2006 年(プロジェクト開始時)の対象地域の公共図書館状況
開館年
本事業開始 月間利用者 月間貸出数
事 業 前 の 備考
時蔵書数
数(2006.1) (2006.1)
SVA 支援
1997 年
2500 冊
33 人
NA
-
サ ワ ン ナ ケ ー ト 1997 年
6029 冊
1,721 人
449 冊
03 年 SVA 建
シェンクワン県
県
ル ア ン パ バ ー ン 2004 年
設
5886 冊
2,806 人
NA
県
チ ャ ン パ サ ッ ク 2004 年
04 年 SVA 建
物修繕
1891 冊
NA
NA
-
-
-
-
-
県
ヴ ィ エ ン チ ャ ン 2007 年
県
ヴ ィ エ ン チ ャ ン 2006 年
JICA 事 業 で
建設、開設
-
-
-
首都
-
SVA 資金で建
設、開設
H19 年度業務完了報告書(途中年次)
、表3-3-1公共図書館利用統計
(b)政策との整合性
本事業はラオス政府の政策と合致すると考えられる。1989 年、ラオス情報文化省国立図書館は、国家
読書推進政策として「全国読書推進事業」を立案している。教育省一般教育局、国立図書館、教育科学
研究所の共同事業としてスタートしたが、1991 年から国立図書館が実施責任を負い、現在に至っている。
国立図書館は、公共図書館はすべての人に開かれており利用者の制限が無いため、非常に重要だと認
識している。更に、2006 年の第 8 回党大会宣言で、すべての国民が本を読み知識を得ること、学校に
は図書室を設置すること、大きな村には公共図書館(村のコミュニティ図書館)があるべきであること
が確認された。また、ラオス政府が国家目標にしている 2020 年までの貧困撲滅に向けて、人材育成と
19
人々の生活の質の向上は非常に重要で、生涯学習の観点からも公共図書館は重要だと認識している。
また、ラオス教育省は、Education for All「万人のための教育」行動計画を策定し、2020 年までの
目標達成を目指して実行中である。「万人のための教育」は就学前教育から初等中等教育、職業教育、
ノンフォーマル教育までを含む計画であるが、やはり初等教育の改善と拡大に最大の優先順位が置かれ
ている。2015 年までの達成数値目標は、幼稚園純就学率 22%、小学校純就学率 95%、前期中等教育純
就学率 74%、識字率(15 歳から 40 歳)93%、教育分野への政府予算配分 18%である。一方で、この「万
人のための教育」行動計画の中にほとんど触れられておらず、今後ラオスで対応が必要となる対象グル
ープとして、ひとつは、障がい児、障がい者であり、もうひとつは、ストリートチルドレン、物乞い、
極貧の子どもたちがあげられるが、本事業では対象者として設定している。
また、本事業は、日本政府の対ラオス援助政策との整合性が認められる。対ラオス国別援助計画(外
務省)(2006年改訂)では、対ラオス援助の3つの援助目標と6つの重点分野と重点分野別援助方針が
定められている。内、本事業は目標「『人間の安全保障』の視点から貧困削減を促進すべく、ミレニア
ム開発目標(MDGs)の達成に向けた着実な歩みを支援する。」 の下の重点分野「①基礎教育の充実
(教育環境・アクセス改善、就学阻害要因の軽減、教育の質の向上)」について、公共図書館を拠点と
した読書推進事業の展開を図っており、教育環境の整備、教育の質の向上(ソフト面の支援)に該当し
ている。
(c)手段の適切性
技術の優位性、
事業実施のアプローチは、4つの特徴をもち、ラオスの読書推進の課題へ取組むにあたり、その活動
要素として必要とされる事項をカバーしており、適切であると判断される。第一に施設、蔵書の確保、
図書館員人材育成、第二に子どもから大人まで利用者促進のためのキャンペーン、第三に、既存システ
ムである小学校や不利な立場にある人々への移動図書館活動を利用したアウトリーチとシステム形成、
そして第四に、中央からの介入となる、ネットワークの形成といったアプローチである。(詳細は活動
参照)
ターゲットグループは、公共図書館という特質から、全世代を対象にしているが、加えて、本事業で
は、ラオス全国、多くの小学校において、図書室が存在していないことから、教育省、県教育局をカウ
ンターパートに、小学校への働きかけを行なっている。また、不利な立場にある人々(障がい者、都市
部貧困層など)、大人、麻薬リハビリテーション施設などを対象としている点で、ラオスでは、障がい
者向けの公教育システムが完全ではないことから排除されており、外出などがままならない人々、公立
図書館へのアクセスが無い人々を対象としていることは、妥当であると考えられる。
4-2
有効性
本事業の有効性は、プロジェクト目標の達成度、成果とプロジェクト目標の間の因果関係、促進・阻
害要因の 3 つの観点から高いと判断される。
(a) プロジェクト目標の達成度
プロジェクト目標である「公共図書館が住民に対し適切なサービスを供給できるようになる」の 2 つ
の指標は、ともにプロジェクト終了時までに達成される見込みである。
20
プロジェクト目標
公共図書館が住民に対し適切なサービスを提供できるようになる
指標 1 公共図書館から 5 キロ圏内の登録者数の人口比率が 10%増加する。
指標 2 利用者へのアンケートで 70%以上の人が図書館サービスに満足している。
PDM0 の指標 1 であった「公共図書館から 5 キロ圏内の住民の 10%が図書館を利用する」に関して
は、この圏内の人口を把握すること、利用者の住所を把握し測定することは困難なことから、評価時の
PDMe で指標を変更し、登録者数の図書館所在郡の人口比率について事業前・後の増加率を指標とする
こととした。結果、下記の通り、どの図書館も登録者数が増加しており、また、その増加率が 6%から
約 33%と顕著な数値となっていることから、公共図書館の地域の住民に、図書館利用者が増加している
ことがうかがえる。
開始時
所在郡人口比
終了評価時
所在郡人口比
増加率
登録者数
(%)
登録者数
(%)
(%)
ルアンパバーン
54
0.07
1033
1.3
19.13
シェンクワン
44
0.06
426
0.6
9.68
サワンナケート
41
0.04
378
0.34
9.22
チャンパサック
46
0.06
1517
1.97
32.98
ヴィエンチャン首
265
0.36
1597
2.17
6.03
251
1.38
1537
8.45
6.12
都
ヴィエンチャン県
指標 2 に関して、PDM0 では「利用者へのアンケートでサービスへの満足度が開始年にくらべ 30%
以上向上する」とされていた。しかし、図書館を初めて利用した時とその後ではサービスへの満足度よ
り要求が高まることが予想されるため、評価時の PDMe では、指標を変更した。中間評価時、終了時評
価時のサービスへの満足度の比較は下記の通りとなった。
「大変満足」
「満足」と回答した利用者の合計
をみると、ヴィエンチャン首都以外のすべての図書館において、約 9 割以上となり、目標を達成してい
る。
各図書館中間評価と終了時評価時の満足度(回答者%)
満足
以上
大変満足
中間
終了
満足
中間
普通
終了
中間
やや不満
不満
終了
中間
終了
中間
終了
終了時
ルアンパバーン
94.0
87.6
68
7.32
26
4.88
4
0
0
0
0
シェンクワン
90.0
98.0
62
2.0
28
0
10
0
0
0
0
サワンナケート
88.0
100
60
0
28
0
12
0
0
0
0
チャンパサック
90.0
100
62
0
28
0
10
0
0
0
0
ヴィエンチャン首都
62.0
―
38
―
24
―
32
―
4
―
0
ヴィエンチャン県
96.0
―
64
―
32
―
2
―
0
―
0
なお、当初の指標について、中間評価を実施したルアンパバーンを除く 3 つの図書館に関し、ほぼ全
員が「大変満足」と回答していたのに対し、終了時評価では、全図書館において、回答に「大変満足」
21
から「やや不満」までばらつきが出ている。この結果からは、サービスへの満足度が開始年にくらべ 30%
以上向上したとは言えない。考えられる理由としては、利用者が図書館の利用に慣れたことによって、
より図書館への要求が向上した結果、簡単に満足度を示さなくなった。あるいは、質問紙のインタビュ
ーの聞き方によっても差がでる可能性もある。この差は、図書館利用者の意識の向上が見られたという
ポジティブなインパクトであるということもいえる。同時に、サービスとしては、よりレベルの高い要
求へ対応することが必要とされているといえる。
なお図書館間の比較では、ヴィエンチャン首都での満足度が普通以下の利用者が 3 分の 1 を占め、他
の図書館では回答が無かった「やや不満」という回答が入っており、必ずしも適切なサービスが提供さ
れていたとは判断できない。
成果 1 公共図書館に住民が求める図書、資料が揃っている。
指標1-1 デューイの 10 進分類法で各分野の図書が揃っている
指標 1-2 住民の本のリクエスト(カード)に 50%は対処できる
指標1-1、各図書館の DDC 分類別の蔵書冊数内訳は下記の表の通りで、全分野の図書が配架され
ている。
表
DDC 分類別の蔵書冊数内訳(2008 年 5 月)
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
総記
哲学
宗教
社会
語学
科学
技術
芸術
文学
歴史
ルアンパバーン
3553
255
379
790
404
1049
351
280
2498
シェンクワン
158
138
125
537
253
290
470
125
サワンナケート
302
136
140
2616
947
643
1147
チャンパサック
242
158
170
883
466
499
ヴィエンチャン県
118
186
252
726
434
ヴィエンチャン首都
172
82
104
484
271
未分類
合計
744
-
10303
2123
250
2549
7018
351
5637
698
-
12617
642
157
2755
401
1391
7714
154
1372
156
1230
470
3731
8829
340
985
257
4190
331
1909
9125
「未分類」の内訳は古書(ロシア語、ベトナム語)
、政府刊行物、雑誌、新着図書である。
配布した図書の DDC 分類の割合は下記の棒グラフの通りで、配布図書の分類の割合では、図書館ご
との依頼に沿い、各分野をカバーして配布されている。 しかし図書館間には、分野ごとの割合にばら
22
つきがみられる。
「未分類」の図書の割合は、ヴィエンチャン首都で 42%、シェンクワンで 36%、ヴィエンチャン県で
21%、チャンパサックで 18%となり、残るルアンパバーンとサワンナケートはゼロであった。
図書配布は、事業開始時点で既に開館していたシェンクワン県、ルアンパバーン県、サワナケート県、
チャンパサック県の4図書館には期間中計 3 回、新設のヴィエンチャン首都、ヴィエンチャン県の2図
書館には計 2 回補充された。
2005 年 12 月の本事業開始時点では各図書館の蔵書数は極端に少なく、
SVA
がそれ以前から支援していた 2 図書館(ルアンパバーン、サワンナケット)が各約 6,000 冊、支援の入
っていなかったシェンクワン、チャンパサック図書館について各約 2,000 冊であった。各図書館への補
充冊数は既蔵書数、職員の習熟度に応じて決められた。補充支援された図書の総数は 28,363 冊で当初
予定の 30,000 冊を若干下回っているが、これはタイ語本の購入単価が予定価格を上回まわったためで
ある。
本事業で各図書館に配布された図書の冊数、蔵書数は以下の表3-1-1の通りである。表中のそれ
ぞれの蔵書数には、当事業配布分だけではなく、事業開始前蔵書、SVA 独自配布、他団体・個人支援、
図書館購入分が含まれている。
23
表3-1-1 各図書館に配布された図書の冊数、蔵書数
図書館名
事業開始時蔵
書
(2005.12)
ルアンパバーン県 5,886 冊
図書館(2004 年開
館)
シェンクワン県図 2,500 冊
書館(1997 年開館)
サワンナケート県
図書館(1997 年開
館)
チャンパサック県
図書館(2004 年開
館)
ヴィエンチャン県
図書館(2007 年 5
月開館)
ヴィエンチャン首
都(2006 年 12 月
開館)
6,029 冊
1,891 冊
‐
‐
2005 年度当事業配
布
(2006 年 3 月~4 月)
10,917 冊(ラオス
語7,267冊、タ
イ語 3,650 冊)
2,425 冊(ラオス語
1,780 冊 、 タ イ 語
645 冊)
3,011 冊(ラオス語
1,855 冊 、 タ イ 語
1,156 冊)
2,408 冊 ( ラ オ ス
語 1,777 冊、タイ語
631 冊)
3,073 冊(ラオス語
1,855 冊 、 タ イ 語
1,218 冊)
2006 年度当事業配
布
(2007 年 4 月)
8,191 冊(ラオス語
4,988 冊 、 タ イ 語
3,203 冊)
850 冊 ( ラ オ ス 語
702 冊、タイ語 148
冊)
1,291 冊(ラオス語
701 冊、タイ語 590
冊)
853 冊 ( ラ オ ス 語
702 冊、タイ語 151
冊)
1,285 冊(ラオス語
702 冊、タイ語 583
冊)
2,895 冊(ラオス語
1,477 冊 、 タ イ 語
1,418 冊)
1,017 冊(ラオス語
704 冊、タイ語 313
冊)
2007 年度当事業配
布
(2008 年 3 月
~4 月)
9,255 冊(ラオス語
6,262 冊 、 タ イ 語
2,993 冊)
929 冊 ( ラ オ ス 語
626 冊、タイ語 303
冊)
1,390 冊(ラオス語
939 冊、タイ語 451
冊)
928 冊 ( ラ オ ス 語
626 冊、タイ語 302
冊)
1,391 冊(ラオス語
939 冊、タイ語 452
冊)
3,691 冊(ラオス語
2,506 冊 、 タ イ 語
1,185 冊)
926 冊 ( ラ オ ス 語
626 冊、タイ語 300
冊)
現在蔵書
(2008.5)
10,303 冊
7,018 冊
12,617 冊
7,714 冊
8,829 冊
9,125 冊
指標 1-2、本のリクエストカードについては全ての図書館において作製されておらず、代わりに利
用者の声を聞くノートが作成されていた。そのため、カード数をもとに 50%リクエストに対処したかど
うかの確認はできなかった。リクエストカードの代わりに、利用者による図書のリクエストあるいは要
望への対応について、各図書館利用者インタビューにより測った。結果、ヴィエンチャン首都以外は 9
割以上読みたい本が見つかると回答しており、リクエストへの対応も、5 館で約 9 割は対応されており、
対応率の低いヴィエンチャン首都で 52%となっていた。よって、本のリクエストに 50%以上対応して
いたということができる。
①ルアンパバーン
24
②シェンクワン
③サワンナケート
④チャンパサック
⑤ヴィエンチャン首都
25
⑥ヴィエンチャン県
リクエストの内容について、ノートに記録されていることは、探す本がどの棚にあるのか聞きに来た
というのが一番多く、中には冷たい水が飲める設備が欲しいとか、もっと遅くまで開館してもらいたい
等の図書館運営についての要望も多い。本についての要望は、歴史(ラオス、その土地)、PC の修理、
PC ソフトの使い方が多く、学習参考書、農作物の作り方の本等であった。これらの要望は、各図書館
自体では本を探す手段が無くまた購入する財源も無いので、SVA に伝えられ次回の配本に反映された。
なお、リクエストノートがあってもカードが使われていなかった主な理由は、図書館員が「リクエス
ト」という言葉を単に「利用者からの要望」と理解していたためである。カードが活用されていない課
題については、中間評価で認識されていたため、SVA による図書館員の研修会、また、モニタリング時
の助言時には本のリクエストカードを紹介、またフォーマットを渡していたということであるが、この
用途の理解が徹底されていなかったことが判明した。
また、リクエストノートとしては「利用者の要望・声を図書館運営に反映させる」意味で成果があっ
たが、図書のリクエストカードが必要と捉えられなかった理由として、①ラオスでは多くの人(図書館
員も利用者も)が本と接する機会に乏しいため、そもそも図書に何を求めるのかイメージできない、②
図書出版情報が全くないラオスでは図書館員、利用者共に読みたい本を具体的なものとして表現できな
い、③利用方法として、「読みたい本を読む」よりも「ある本を読む」傾向が強い、④図書館員は本を
入手できる手段も財源もほとんど無い状況にあり対応を積極的には捉えていなかった、ということが考
えられる。しかし、今後、利用者の意識が高まり、要望のレベルが上がることを想定すると、図書のリ
クエストを促進することが必要と考えられる。
更に図書館サービスの効果・要因を深く理解するために、①利用者の満足度と、②蔵書数、③デュー
イの 10 進分類法の分類に沿った配架、④欲しい本がみつかるかどうか、⑤図書館員が対応してくれて
いるかどうかの相関関係を 6 つの公共図書館の終了時評価調査の利用者への質問紙インタビュー結果か
ら、それぞれ調べた結果が下記の表である。利用者が満足している場合というのは、図書館員が対応し
てくれる割合、本が見つかる割合、分類されている図書の割合、と相関関係が強くみられる。また、読
みたい本が見つかるのは、図書館員が対応してくれる場合に相関関係が強くみられる。反対に、蔵書数
と利用者の満足度の高さ、読みたい本が見つかる割合とはそれぞれ相関関係はみられなかった。公共図
書館の利用者の満足度の高さには、読みたい本が見つかる割合が大きく作用し、そのためには、配架す
る本の数が問題となるのではなく、図書館サービスとして図書の分類、図書館員の対応が鍵となるとい
うことが、6 つの図書館に関していえることがわかった。
26
利用者満足度に関わる図書館サービスの相関関係
利用者が満足
蔵書数
している割合
分類されてい
読みたい本が
図書館員が対
る割合
見つかる割合
応してくれる
割合
-0.0096
利用者が満足
0.605
0.957
0.876
0.706
-0.113
0.067
0.473
0.627
している割合
蔵書数
分類されてい
る割合
0.908
読みたい本が
見つかる割合
下記の表の通り、各図書館を個別にみると、ヴィエンチャン首都図書館の利用者満足度の回答が他の
図書館に比較し低かったことは、読みたい本がみつかりにくく、リクエストの対応が低かったことが理
由と考えられる。
単位(%)
読みたい本が見つかるか
はい
本のリクエスト経験
いいえ
はい
リクエストへの対応
いいえ
ある
無い
ルアンパバーン
84
16
54
46
89
11
シェンクワン
94
6
88
12
95
5
サワンナケート
90
10
58
42
58
42
チャンパサック
94
6
88
12
95
5
ヴィエンチャン首都
40
60
42
58
52
48
ヴィエンチャン県
98
2
67
33
97
3
成果2
移動図書館サービスが適切に稼動する
指標 2-1
年間で 150 日以上移動図書館車が稼動する
指標 2-2 年間の利用者が 10,000 人/台を超える
指標2-1、指標2-2、移動図書館車を利用した移動図書館活動は、以下の表のように実施され、
ほぼ指標を達成している。この表に示されているように、2006 年度(2006.4-2007.3)はサービス回
数 261 回、稼動日数約 148 日、利用者合計 27,655 人。2007 年度(2007.4-2008.3)はサービス回数
193 回、稼動日数 193 日、利用者合計 36,126 人となっている。
(2006 年度は稼動日数の統計がないた
め、2007 年度を基準に計算)
27
移動図書館車活動統計 (2005.12-2008.3)
2005. 2006.
Total
12
1
2
3
32
8
29
30
99
利用者・学生 3,425
567 3,592 4,399
11,983
(女性) 2,461
263 1,878 2,630
7,232
日数
回数
利用者・教師
268
133
247
434
1082
(女性)
163
58
126
221
568
473 1,117 1,422
5,704
貸出者・学生 2,692
貸出者・教師
214
貸出冊数 3,500
67
226
362
869
830 2,091 2,958
9,379
2006.
2007.
Total
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
33
10
15
13
10
21
36
30
24
7
26
36
261
利用者・学生 5,224
660
915
696
309 2,204 4,143 2,280 3,711
373 2,691 4,449
27,655
(女性) 2,743
329
430
301
140 1,028 1,890 1,085 1,714
152 1,309 2,157
13,278
日数
回数
利用者・教師
426
228
227
135
49
177
255
253
127
146
190
381
2594
(女性)
258
112
136
80
46
118
161
152
93
74
117
188
1535
貸出者・学生 1,645
383
499
382
106
458
505
510
148
309
376
965
6,286
貸出者・教師
140
249
94
66
138
389
194
56
101
78
247
1998
774 1,300
917
670 1,172 1,954 1,348
835
631 2,281 3,076
17,416
246
貸出冊数 2,458
2007.
2008.
Total
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
日数
12
10
15
15
14
16
22
21
16
16
15
21
193
回数
18
15
23
26
27
35
44
36
40
16
26
35
341
1416 3454 4972 4483 5387
999 2888 4221
36126
16465
利用者・学生 2516 1656 1793 2341
(女性) 1278
673
844
969
691 1627 2326 2106 2512
431 1356 1652
利用者・教師
183
562
403
236
219
230
454
357
254
157
186
130
3371
(女性)
109
291
184
120
119
136
235
185
185
85
110
82
1841
貸出者・学生
270
405
227
189
80
339
585
207
508
261
77
10
3158
貸出者・教師
77
258
140
46
9
151
268
144
145
79
30
14
1361
貸出冊数 1092
691
569
581
492 1049 1481
13940
212 1956 2551 1520 1746
28
移動図書館車の運行先は、原則として同じ場所に1年間、毎週 1 回、1 箇所に 1 時間半から 2 時間滞
在する形をとった。物理的な制約から訪問場所はヴィエンチャン首都内で一日 2 箇所(時には 3 箇所)
を訪問、週 5 日運行で週計 10 箇所から 11 箇所訪問した。訪問先の内訳は小学校が 7 から 8 箇所、その
他は特に図書に接する機会の少ない施設-視覚障害者施設、障害者授産施設、薬物中毒リハビリテーシ
ョン施設、経済的貧困者が多く住む村などが選ばれた。小学校に関しては、学校休暇時期はサービスを
行なわず、1 年毎に対象校を変更しつつ実施した。それぞれの訪問先においては、図書の閲覧、図書の
貸出(翌週に返却)がおこなわれるほかに、読み聞かせ、ゲーム、歌、折り紙、図画などの読書推進活
動が SVA スタッフの指導の元に実施された。
1 年間の訪問の最後には、訪問先の学校教員を対象に「移動図書館研修会」が実施された。これは、
移動図書館車の訪問で実施した活動をあらためて振り返り、移動図書館車の活動終了後も各学校教員が
自分の学校にある図書、資材を使って自分たちで読書推進活動を実施することを促すものである。
成果 3 図書館員が本の分類、サービスの提供、基本の図書館学を理解している
指標 3-1 本の分類、登録、サービスに大きな間違いが無い
指標 3-2 年に一度、利用者、貸出冊数などの統計資料が提出される
指標3-1 終了時評価時の図書分類の正確さ、サービスについては各図書館で以下のようである(A
~E の 5 段階評価)。分類の正確さについては SVA スタッフによる観察、サービスについては各図書館
員自身の判断による。デューイ分類に関する観察調査では、分類できているかどうかについて、強く賛
成が 2 館、賛成が 2 館、まあまあが 1 館シェンクワン、できていない、が 1 館ルアンパバーンであった。
蔵書分類で未分類の書籍がもっとも多かったのはヴィエンチャン首都であるが、これは他の図書館に
も共通して図書館員の分類作業スピードが追いついていないことがその主たる理由である。しかし、分
類の正確さに問題があるルアンパバーン図書館とシェンクワン図書館以外の 4 図書館についてはおおむ
ね問題はないと判断される。自身の図書館サービス能力に関し、大満足 3 館、満足 2 館、普通 1 館とな
り、概ね満足している。理由として、利用者に対する態度(笑顔などで接しているなど)が保てている
ことなどがあげられている。
図書分類の正確さ
図書館サービス
ルアンパバーン
D(disagree)
C(so so)
シェンクワン
C(hard to tell)
A(very much)
サワンナケート
B(agree)
B(good)
チャンパサック
A(strongly agree)
A(veru much)
ヴィエンチャン県
B(agree)
A(very much)
ヴィエンチャン首都
A(strongly agree)
B(good)
また、図書館員が図書館サービスとして定期的に子どものための読書推進活動(おはなし、紙芝居な
ど)を実施しているかを評価するために、利用者のうち子どもに聞き取りを行った。認知度(知ってい
る、知らない)を聞きとり、内知っている子どもの満足度を 5 段階(大満足、満足、普通、やや不満、
不満)で測定した。結果、半数にあたる 3 館(ルアンパバーン、サワンナケート、ヴィエンチャン首都)
29
において、認知度が半数以下で低かったが、他の 3 館はほぼ全員知っていた。また、参加した子どもの
満足度はどの図書館も 8 割以上となった。特にシェンクワン、チャンパサックの子どもは全員知ってお
り、満足度も高かった。結果、図書館員が図書館サービスとして、利用者の子どもに読書推進活動が概
ね認知される程度に実施され、利用者の満足度が高い内容で行われているといえる。
ルアンパバーンQ7.図書館サービス(読書推進活動満足
度)
0%
Satisfied
very much
100%
終了
30
指標3-2
6図書館の図書館員によって利用統計は概ね収集、作成されている
下記の表3-3-1図書館利用統計に見られるように、各図書館は利用者数、貸出者数、新規会員数
をそれぞれ小学生、中学生、高校生、専門・大学生、公務員、一般、僧侶毎に分類、また貸出冊数は
DDC 分類ごとに毎日記録しそれを月次で集約、統計を作成している。添付の表はこの要約である。
利用者数に関しては、利用者自身が図書館に入出する際に記録を残していくシステムでもあり、正確
なものが得られない場合もあり、事業開始時には観察して把握した利用者と統計結果が合わないものも
あった。しかしながら、その後のモニタリング指導などにより、図書館員の統計作成能力は大きな進歩
を遂げており充分な成果を上げているということができる。
表3-3-1公共図書館利用統計(2006.1-2008.8.3)
利用者、貸出者、貸出冊数、新規会員
2006.1
図書館
ルアンパバーン
3
Total
利用者
2,806 1,895 3,167 7,868
貸出者
1,794 1,781 1,900 5,475
-
-
-
-
新会員
54
12
10
76
利用者
33
23
61
117
貸出者
-
-
-
-
貸出冊数
-
-
-
-
貸出冊数
シェンクアン
2
新会員
N/A
N/A
N/A
31
サワンナケート
チャンパサック
利用者
1,721 1,690 1,836 5,247
貸出者
229
189
251
貸出冊数
449
426
499 1,374
新会員
41
23
13
77
利用者
-
-
852
852
貸出者
-
-
122
122
32
101
255
388
46
46
貸出冊数
-
新会員
2006.4
図書館
ルアンパバーン
利用者
貸出者
貸出冊数
シェンクアン
5
6
669
7
8
9
11
12
2007.1
2
3
Total
2,720 2,996 3,937 4,114 3,083 2,584 2,228 2,534 3,779 3,048 1,299 3,931
926 1,177
790 1,717 1,197 1,060
13,992
2,531 2,110 2,802 2,577 2,579 3,386 4,114 3,282 2,856 1,884 1,668 2,661
32,450
40
30
34
28
35
利用者
18
213
358
500
617
貸出者
0
0
0
0
貸出冊数
0
0
0
0
N/A
N/A
N/A
N/A
-
N/A
54
783 1,006 1,814
43
23
429
513 1,373 1,418
671 1,052 1,047 1,202
8,982
187
434
629
29
38
25
416
375
369
2,950
438 1,098 1,299 1,007 1,037
832
942
6,653
44 N/A
540
50
879
36,253
794 1,849
新会員
新会員
10
70
29
21
22
12
15
213
利用者
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
貸出者
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
貸出冊数
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
新会員
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
ヴィエンチャン首都 利用者
-
-
-
-
-
-
-
-
N/A
8,855 6,410 7,733
22,998
貸出者
-
-
-
-
-
-
-
-
N/A
507 1,163 1,411
3,081
貸出冊数
-
-
-
-
-
-
-
-
N/A
674 1,945 2,867
5,486
新会員
-
-
-
-
-
-
-
-
N/A
265
ヴィエンチャン県
サワンナケート
利用者
1,487 2,312 1,683 2,392 2,330 2,360 2,185 2,037 2,246 2,430 1,650 2,443
25,555
277
342
408
412
399
323
372
279
288
272
301
3,865
貸出冊数
379
540
651
813
811
733
643
734
562
588
512
611
7,577
9
21
17
7
24
18
21
22
3
6
10
12
170
313 2,827
652
368
372 1,027 1,482 2,009 1,193
677
399
772
12,091
利用者
貸出冊数
新会員
ルアンパバーン
588
192
貸出者
Province
145
貸出者
新会員
チャンパサック
178
Month
76
84
42
71
176
207
390
471
464
163
314
3,044
195
234
110
194
569
713
934 1,422 1,132
993
377
887
7,760
19
9
6
25
42
80
69
48
63
612
2007.4
5
6
7
8
9
92
10
586
91
11
68
12
2008.1
2
3
Total
利用者
2,308 4,462 5,968 5,858 2,417 3,774 4,231 3,906 3,828 2,433 2,465 2,371
44,021
貸出者
1,181 1,900 5,033 2,053 1,453 1,691 1,531 1,403 1,405 1,251 1,127 1,224
21,252
貸出冊数
2,362 4,261 10,917 4,103 2,934 3,177 2,838 2,873 2,818 2,690 2,041 3,153
44,167
32
シェンクアン
新会員
10
51
80
25
20
70
47
81
85
23
14
22
528
利用者
668
985
773
734
860
475
812
928
841
949
727
852
9,604
貸出者
291
411
325
347
327
406
363
312
271
346
293
4,034
貸出冊数
695
926
853
939
883 1,081
988
832
729
740
548
10,138
13
12
10
17
15
12
13
11
213
利用者
- 2,118 2,057 1,640 1,876 4,103 4,161 5,327 3,646 4,864 5,065 5,334
40,191
貸出者
-
123
261
414
277
189
182
308
392
527
3,492
貸出冊数
-
251
522
810
550
380
364
624
449 1,400 1,104 1,537
7,991
新会員
-
41
45
44
25
11
14
33
12
新会員
ヴィエンチャン県
983
貸出者
貸出冊数
利用者
30
30
19
987
804
1,829 1,740 2,081 1,929 2,073 2,332 2,775 1,817
943
49
905
75
982 1,054 1,203 1,377
102
108
117
112
83 109
296
36
523
8
16
292
7,851 6,400 7,269
87,094
920 1,087
938
12,162
1,241 1,550 1,376
21,686
77
76
63
1,009
1,253 2,744 2,107 2,070 2,336 2,157 1,854 2,462 2,293 2,300 2,041 1,770
25,387
貸出者
203
307
296
309
333
311
308
272
257
296
248
287
3,427
貸出冊数
422
639
630
665
708
679
669
591
563
632
539
616
7,353
7
8
7
11
17
14
9
9
10
5
14
20
131
13,669
新会員
利用者
497 1,611
480 1,094
877 1,193 1,242 1,201 1,637 1,026 1,257 1,554
貸出者
175
194
136
333
356
345
294
233
230
179
268
221
2,964
貸出冊数
467
535
331
958
997
978
801
608
615
419
670
511
7,890
28
36
15
100
157
76
33
53
55
80
119
107
859
新会員
成果4
38
922
38
新会員
チャンパサック
924
5,083 8,001 4,113 4,973 6,033 8,280 13,799 7,713 7,579
ヴィエンチャン首都 利用者
サワンナケート
342
子どもから大人までを対象にした読書推進活動が住民に認知される
指標 4-1 図書館から 5KM 圏内住民の半数は読書推進活動を知っているか、図書
館の存在を知っている
図書館を利用していない地域住民に対するインタビューを行うことが困難と判断し、実施していない。
それに替わるものとして、利用者数の地域住民に対する割合が以下の表に表されている。
尚、ラオスでは「5KM 圏内」の人口統計は存在しないためにそれよりも広い範囲であるが図書館所在
の郡(郡の面積は、小さい郡で7KM×10KM、大きい郡では 15KM×65KM)人口を参考とした。
また、加えて各図書館は移動図書館活動として県内の学校(特に小学校)を訪問する活動をおこなっ
ている(ルアンパバーン、サワンアケート、チャンパサック)。さらに各県教育局を通して県内の全学
校に対して、図書館の存在、その利用については広報・周知がなされているが、その中で各学校が授業
の一環として図書館を訪問する活動も開始されている(ルアンパバーン、チャンパサック、ヴィエンチ
ャン県、サワンナケート、チャンパサック)。
これらを合わせて考えると、図書館の活動は地域住民の読書推進活動の認知に成果をあげているとい
うことができる。
33
郡人口(人)
図書館利用者数
(2006 年度)
図書館利用者数
(2007 年度)
ルアンパバーン県図書館
(ルアンパバーン郡)
77,522
36,253
44,021
シェンクワン県図書館
(パク郡)
69,081
8,982
9,604
ヴィエンチャン県図書館.
(ヴィアンカム郡)
18,188
2007 年 5 月新設
40,191
ヴィエンチャン首都図書館
(チャンタブリ郡)
73,595
2006 年 12 月新設
87,094
サワンナケート県図書館
(カンタブリ郡)
112,505
25,555
25,387
チャンパック県図書館
(パクセ郡)
77,087
12,091
13,660
成果5
全国の公共図書館の間にネットワークが形成され、定期的に交流がおこなわれる
指標 5-1 年に一度は全国の図書館員の会議、ミーティングがおこなわれる
指標 5-2 図書館員相互の連絡が増加し、月に一度は他県の図書館員との連絡や交
流がおこなわれる
指標5-1
全国の図書館員を対象にした「公共図書館研修会」は年 1 回、事業期間中に計 3 回、各 6 日間ヴィエ
ンチャン首都において実施された。この研修会の目的は、図書館運営の基礎的知識を身に付けることに
あるが、同時にこれは各地の図書館員の経験交流を図る場でもあり、指標は達成された。
図書館がほとんど無い、機能していないラオスの現状の中では、図書館員にとって模範となる活動は
無いに等しい。とりわけ首都から遠く離れた地方の図書館員にとって、参考となる活動は身近には全く
無い。このように暗中模索で活動をしている図書館員にとって、全国各地から集まった仲間たちが集っ
たこの研修会は、前後を入れると 7 泊 8 日の「図書館員合宿」となり、相互が経験交流し、苦労を分か
ち合う何よりの場となったのである。
指標5-2
各図書館員間の連絡は、電話や FAX 等を通じて始まったものの、それが定期化し交流がおこなわれ
るまでにはいたっていない。年に一度の図書館員の研修時の会議以外に SVA からの働きかけもあまり
できておらず、現状では、各図書館の予算状況はとても厳しく遠距離の交通費、出張手当等が独自には
計上できない状況であることが理由である。
(b) 成果とプロジェクト目標の間の因果関係
公共図書館が住民に対し適切なサービスを提供できるようになる
34
各公共図書館間に差はあるものの、現時点で住民が求める図書は概ね見つかっていることが見受けら
れ、利用者の満足度も高いことが伺われた。中間評価時において、プロジェクト目標達成のために改善
事項とされた利用者からのリクエストカードの活用徹底については、終了前時点においても、図書館員
の間にリクエストカードの意味について理解が浸透していなかった。しかしながら、図書館ノートを作
成しそれで図書のリクエストへの対応を行い、また配架場所の質問への対応は行われている。利用者の
意識が高まる中、サービス内容として、図書が見つかるかどうか、対応が行われているかどうか、が満
足度に強く影響する因子であることがわかったため、目標への貢献が確認された。これらは、今後も公
共図書館を継続して利用するかどうかに影響することが考えられる。
移動図書館サービスに関しては、指標どおり、年間約 150 日移動図書館車が運行され、年間利用者は
10,000 人を超えている。対象地域では週一度は、図書・読書活動に接する機会を得ている。終了時評価
において移動図書館活動を実施した 30 校中、8 校への質問紙調査を行った結果、移動図書館終了後の
対応について、2 校のみが公共図書館を利用すると回答している。また、独自におはなしを実施してい
る学校は、半数の 4 校で、教員または児童により行われているということであった。その他、月 4 回図
書室を開けている、図書が不足している、移動図書館を継続してほしいという回答もあった。公共図書
館を利用しない理由は、公共図書館へ行くことが困難であるということである。具体的にその理由は聞
きとられなかったが、時間や交通費の制約が理由として考えられる。SVA 職員への聞き取りを合わせる
と、移動図書館活動期間が終了した学校の中には、月一度程度の頻度で、教員が自ら、SVA 運営常設図
書館などに 50 から 60 冊の図書を借りに来ている学校もある。更に、貧困地域の村では、移動図書館車
訪問日以外に、ヴィエンチャン首都図書館をグループで訪れるようになった場所もある。
結果、一部、移動図書館サービスの結果、公共図書館を利用し読書推進が継続して行われていること
が伺えるが、サービスがサービスのみで終わり、多くが本事業により支援した公共図書館あるいは他の
既存図書館への利用促進をつなげる結果とはなっていないといえる。プロジェクト目標への貢献は明確
には見られない。
図書館員の図書館運営・サービスへの理解度については、研修に加えモニタリング時の助言による理
解促進により、本の分類、登録、貸し出しサービス、統計資料作成に大きな間違いはみられない。図書
館員自身の評価でも、上記の通り、ほぼ満足しているようである。しかしながら、更に深く知識を得る
ために更に研修を受けたいという声も多くきかれた。年一度の研修を当初予定から変更し年 1 度 3 回開
催したが、開館が 2 年目となった図書館では研修回数が少ない、図書館員の異動により研修回数が少な
い図書館員もいる。しかし、現時点では図書館の利用し易さとして本が見つけられるか、図書館員がリ
クエストに対応しているか、といった項目が、利用者の満足度に強く影響する中、インタビュー結果で
は対応ができていることから、プロジェクト目標の達成に貢献したと考えられる。今後、サービスを落
とさないために、図書館員同士で指導しあったり、配布した図書館員マニュアルを利用したり、モニタ
リング実施時に個別に助言指導を行ったりすることでのフォローが必要であろう。
公共図書館、読書推進活動の地域での認知度に関しては、指標設定に無理があり取得が困難であった
ため、異なる指標を利用せざるを得なかった。情報文化局、教育局との協力により、ポスター、小学校
へのアナウンスメントなど、サワンナケートのようにラジオによる告知で認知度向上を図る試みがなさ
れたが、人口の半数の認知度を得ているかどうかは不明である。しかしながら、各図書館とも小学生か
35
ら成人、僧侶まで、広い世代で登録者数は着実に増加しており、プロジェクト目標達成への支障はなか
ったと考えられる。
最後に公共図書館の間のネットワーク形成、交流に関しては、事業期間中には大きな成果があげられ
なかった。ラオス図書館協会が 2007 年 1 月に設立され、その後の活動が期待されたものの、弊会が全
面的サポートを行って発行したニュースレター以外に特に目立った活動は行われなかった。また、年に
一度、図書館員研修会において会議、交流を図ったが、独自に相互の連絡や他県図書館員との経験共有、
情報交換につながる関係の構築には至っていない。現時点では外部支援として本事業によるインプット
が行われているため、目標達成への支障は無いものの、今後に懸念が残される。
(c) 促進要因と阻害要因
促進要因として、2 点が確認された。第 1 に、公共図書館の管轄省庁である情報文化省、県情報文化
局に加え、公教育の管轄省庁である教育省、県教育局をカウンターパートとしたことにより、サワンナ
ケート、ヴィエンチャン県では県教育局が他県に比べ積極的に公共図書館に関わることができた。両局
の連携により、公立小学校への移動図書館活動の促進、ヴィエンチャン県では、教育局主導で図書館員
派遣、人件費、運営費の負担が行なわれ、更に教員経験のある図書館員であったことから、図書館運営
に大きな促進成果をもたらしている。第 2 に公共図書館が設立されたことにより、本事業以外で読書推
進活動を実施する団体からの図書寄贈が行われ、蔵書が増えている。
阻害要因として、2 点が確認された。シェンクワン県、ルアンパバーン県では、県情報文化局から派
遣されている図書館員の人数が図書館利用者の増加による業務量の増加に比べ少人数である、主要な人
材である館長の異動があった。図書館研修を受けた図書館員が減ってしまったことによる図書館運営能
力への支障が出た。更に、ラオスでは、地方分権により各県の県庁が各県内の予算配分権を握っている
ということから、図書館への配分予算の決定は中央省庁より地方政府の担当となるために、予算措置に
おける中央からの影響が少ない。
4-3
効率性
本事業の効率性は、投入のタイミングと成果の算出、費用の効率化という観点から高いと判断される。
(a) 投入の量・タイミングと成果の算出
投入はほぼ予定通り実施され、その結果、成果は計画通りに算出された。図書館員の人数や体制につ
いて、ルアンパバーン、シェンクワン両図書館は、正規職員がそれぞれ 1 名、2 名と非常に少なく、パ
ートタイムやボランティアスタッフによって補われている状況である。これは管轄する両県の情報文化
局が予算不足、人員不足を理由に充分な処置をとっていないことによる。解決には情報文化局、ないし
はより上級の政府関係機関の判断が必要である。
図書館員研修に関し、図書館員研修の内容に関しては、全図書館員が「とても良かった」と回答して
いる。全員が図書館に関する研修を初めて受講していることが理由と考えられる。しかし、DDC の分
類法に沿った配架の実践が困難であり、この点を更に深く理解したいとしている。研修期間については、
6 館中 5 館が、「短い」と回答している。県情報文化局、教育局職員では、内容に関して、DDC 分類が
職員には負担というルアンパバーンの教育局を除く全員が「良い」以上の回答であった。期間について
は、4 箇所が「短い」としている。期間の回答についての理由は、研修科目の中で深く理解したい「DDC
分類」については.理解するためにもっと時間が必要であったということである。もっとも分類は研修で
36
全て理解するというより、実践で経験を積む必要がある点で、研修テキストだけではなく、詳細説明が
掲載された参考書が必要である。(2008 年 2 月に SVA 独自事業として国立図書館翻訳編集による初の
DDC 分類のラオス語版『DDC
21』(561 ページ、500 部)が出版され、図書館に配布された)。時期
については、全員の業務が軽い時期、乾季の実施であり「良い」以上の回答としている。
研修会の内容、分野、時期は評価が高いものの、ほとんど初めて図書館研修を受講する人が対象であ
ったため、内容によっては、時間が短かったという点が問題点としてあげられた。特に、専門的知識で
ある DDC 分類法に関しては、その後、図書館運営を実践する際にわからないことが多かったというこ
とである。その他、開館が 2 年目になったヴィエンチャン県でも、事業終了前までに、運営能力は向上
し、他県に劣らない技術を習得していることが特筆される。
なお、蔵書にかかわる図書購入に関して、タイ語図書はタイの書店まで直接行って購入しなければな
らない、また、情報文化省に事前に購入リストを提出しなければならない等の問題があったが、SVA ラ
オス事務所が、陸路で国境を越えて何度かに分け購入して対応を行った。ラオス語図書については、出
版された時の印刷のみで再販されることが無いため、事業期間中に購入できる図書にとどめられた。子
ども向け図書は SVA がラオスで出版してきた在庫絵本や SVA 事業において日本からラオスへ送付して
いる世界で読まれる絵本を使うことができた。新たに地方の公共図書館が独自に入手することは難しい
現状ではあるが、SVA が工夫して入手したといえる。今後については、他ドナーや出版社と調整し、新
刊の出版時に公共図書館への寄贈を呼びかけることで蔵書入手の工夫をすることが必要である。
図書館建設を実施した県については、図書館設計、備品などについて、概ね満足されている。図書館
施設に関しては、図書館員、県情報文化局、県教育局員とも「良い」以上が 5 館、全員が「良くない」
と回答したのはルアンパバーンとなった。ルアンパバーンは狭いことが主な理由であった。他は概ね満
足しているものの「利用者数が増えるに従い、広さが手狭である」、ワンスペースの図書館では、
「子ど
もの声がうるさく大人の邪魔になる」、
「事務室・館内が暑い」という回答がそれぞれ 3 館から出た。他
にトイレが遠い、無い。防犯のための窓柵が必要といった回答があった。日本の専門家の助言により、
公共図書館では大人と子どものスペースを隔てるべきではない、とコメントがあったこと、図書館員人
数と業務量、今後の県情報文化局、教育局の人件費負担面を鑑などから、設計には問題がないと考えて
おり、今一度理解促進していく必要があろう。また、既存施設のあった図書館は対処が難しいが、SVA
が建設支援を行った図書館については、暑さ対策の点で工夫が必要である。
図書館の備品に関しては、いずれも「良い」以上の回答となった。特に本棚についての感想では、大
きな本、価値のある本のための本棚が無いこと、また、本棚が深すぎるといった要望がそれぞれ 2 館ず
つ出ていた。配架する図書のサイズを考慮し、デザインの異なる本棚の供与を行う必要があった。
(b) 費用の効率化
費用面の効率化を図るための工夫としては、ラオス北部、中部、南部という広域な対象地域ながら、
開館直後の図書館にはモニタリング回数を増やし、その後減らしていく方法で、事業運営管理費用の効
率化に勤めた。特に問題が無い図書館に関しては、電話、ファックスなどの通信手段を利用し、各図書
館との連絡を取るようにした。また、技術的指導、運営指導ごとに担当スタッフの役割分担を明確にし、
図書館員との連絡を測った。なお、図書館員派遣、人件費、運営費の負担は県情報文化局、教育局に委
任し、可能な限り県のオーナーシップを促進させる形をとった。一方で、本事業以前から弊会が支援し
ている図書館に関しては、日本人の支援者との繋がりもあり、第三者的に支援を行っている。このよう
な中で、図書館員自ら、資金調達の工夫をするなどする図書館もある。ヴィエンチャン首都は配架をは
37
じめとした図書館員の業務を SVA に依存する状況があるが、他は依存がなく、各県ごとに工夫した運
営を促進させる結果に貢献している。距離・時間の制約により遠隔地を含め全 6 館のモニタリング、指
導を直接頻繁に行うことは困難であったが、各館とある程度の距離を保てたことにより、図書館員自ら
の自立を促すことも可能であった。
4-4
インパクト
(a) 上位目標達成の見込み
上位目標
住民に読書習慣が身につき、読書の頻度が増加する
指標 1 事業終了後も図書館の利用者が年に 10%程度増加していく
指標 2 住民へのサーベイで 2008 年までに読書頻度が開始年より 30%以上増加する
上位目標達成の見込みについて、指標数値は達成されていない図書館もあるが、読書習慣や読書の頻
度が増加する傾向にあるといえる。
指標 1 に関し、利用者数について、各図書館の変化は下記の通りであった。
利用者数
事 業 開 始 月 年間
ルアンパバーン
シェンクワン
サワンナケート
チャンパサック
ヴィエンチャン首都
ヴィエンチャン県
(開館前月)
月平均
2,806 名
35,843
06 年 1 月
2,987
33 名
5,798
06 年 1 月
483
1,721 名
24,279
06 年 1 月
2,023
852 名
12,171
06 年 3 月
1,014
8,855 名
88,572
07 年 1 月
7,381
2,118 名
07 年 5 月
月平均増加割 利用者数
年間平均増加
合
割合
年間
(2 年後)
6.4%
45,030
26%
146%
10,377
79%
17.6%
25,799
6%
19%
12,887
6%
‐17%
―
―
40,191
58%
―
―
3,349
(11 か月後)
事業開始前から開館していた図書館(ルアンパバーン、シェンクワン、サワンナケート、チャンパサ
ック)、事業実施後開館した図書館(ヴィエンチャン県、ヴィエンチャン首都)どちらについても、1
年目については、事業開始月の利用者数と年間平均の月利用者の比較とした。2 年目に関しては、1 年
目以降となる図書館は年間利用者数の増加率をみた。
1 年目に関して、ルアンパバーン、シェンクワン、チャンパサック、ヴィエンチャン県は、年間利用
者の増加が 10%を超えているが、2 年目については、サワンナケート、チャンパサックが、6%の増加
にとどまっている。ヴィエンチャン首都に関しては、1 年目でも月平均利用者数が開館時に比べ減少し
ている。利用者データの収集が確実ではない点もあるが、各図書館で大きな差が出ており、今後、年間
38
で更に 10%増加していくとは言い難い。
指標 2 に関して、住民へのサーベイを行うことは難しいため、図書館利用者をランダムに選出したイ
ンタビューにより、事業前(ベースライン調査)・事業後(終了時評価)の平均差を算出し比較するこ
ととした。なお、2008 年までの読書頻度について、ベースライン、中間評価(30 名)
、終了時評価(50
名)の各図書館データは、下記の通りである。
平均差を算出するにあたる程度の分け方については、利用頻度を月一回未満(ポイント 0)、月に一回
(ポイント 0.25)、2 週間に一回(ポイント 0.5)、週一回以上(ポイント 1.0)の 4 段階に分け、その平
均を出し、ベースライン調査時と終了時評価時の平均差を抽出した。なお、頻度を 4 段階に分けた理由
は、毎日利用から週 2,3 回、3 回以上の選択肢の違いを口頭でのインタビュー回答により分析するの
は確実なデータであるとは言えないこと、週一回以上の利用者には読書習慣がついていると見なせる頻
度であると考えるためである。結果、下記の表の通り、ベースライン調査時に比較し、中間評価時ある
いは終了時では、平均利用頻度はルアンパバーンを除く全図書館において増加がみられた。
一方、終了時と中間評価時を比較すると、平均利用頻度が減少している図書館がある(ルアンパバー
ン、サワンナケート)
。なお、平均差で 30%以上の増加があったのは、チャンパサックのみであった。
また、シェンクワンが 24%、サワンナケートが 11%の増加であった。ルアンパバーンは減少している
39
が、利用者数、登録者数(後に記述)は増加しており、平均利用頻度も他の図書館とは大きな差がない
ため、収集データの誤差であると考える。結果、全体として 30%の増加は達成していない。平均して利
用頻度には若干の増加がみられる程度であったということがいえる。
各図書館利用頻度平均データ
A ベースライン
B 中間評価
C 終了時
平均差 C/A
1.0
0.945
0.898
0.90
シェンクワン
0.759
0.935
0.940
1.24
サワンナケート
0.762
0.892
0.850
1.11
チャンパサック
0.5
0.918
0.940
1.88
ヴィエンチャン首都
0
なし
0.915
―
ヴィエンチャン県
0
なし
0.990
―
ルアンパバーン
①月一回未満(ポイント 0)
、②月一回(ポイント 0.25)③2 週間に一回(ポイント 0.5)
、④週一回以上(ポイント 1.0)
各図書館とも、事業開始後、終了時までに順調に利用者数を伸ばしている。また、県によっては、周
辺の小学校への図書館員による移動図書館活動が行われている。このままのサービスが継続する場合、
利用者数は増加していくことが想定される。しかしながら、一方で、地方では書籍が手に入らないこと、
図書館員独自に選書する能力があまりないこと、書籍購入費用の行政負担の期待は早期には望めない状
況である。出版社への新規出版図書の公共図書館への寄贈をしてもらう仕組みを情報文化省とともに促
したり、ドナーや協力者を募ったり、という仕掛けが必要であろう。
(b) 波及効果
情報文化省国立図書館、教育省ともに、新たに公共図書館予算の増加を行なうなどの新たな政策の計
画は進んでいない。しかしながら、各県レベルの行政では、新たな試みが行なわれていることがみられ
た。サワンナケートにおいては、公共図書館は情報文化局管轄ながら、教育局が小学校による公共図書
館訪問を呼びかけたり、教育局員(図書館担当)によるラジオでの読み聞かせを実施しており、さらに
本事業で制作したおはなし CD の放送を検討している。また、ヴィエンチャン県では、教育局が中心と
なって公共図書館運営のための職員派遣、運営予算の配賦を行っている。また、教育局職員である図書
館員により、県から教育省に向けて、図書館管轄セクションの設立を要請したいという意見があげられ
ている。これらは、地方レベルにおけるボトムアップの新たな試みといえる。また、ヴィエンチャン市
近郊の移動図書館活動では、訪問先の貧困地域において、住民がグループでヴィエンチャン首都図書館
を利用するようになるなどしている。こうして、全図書館とはいえないが、波及効果が発現している。
(c) インパクト発現に対するプロジェクトの貢献度
図書館利用者とそうでない人の読書習慣について、非利用者の調査ができなかった。しかし、登録者
数、利用頻度について、事業開始後、終了時評価には増加が現れており、地域の読書習慣に貢献したと
考えられる。また、他団体とのデマケーションに関しては、該当地域において読書推進活動をしている
他団体との活動内容の重複は無く、ニーズへの直接的介入が可能となったことに加え、図書配布、図書
40
箱(袋)配布を行なう団体からの公立図書館への図書寄贈が行なわれるようになっており、相乗効果が
発現している。
4-5
自立発展性
事業終了までに仕組みを作る必要性があるなど、条件はあるが、一定程度の自立発展性が確保されて
いるといえる。継続的運営管理能力について、現在図書館員派遣、運営費負担を行なっている各県の情
報文化局、教育局が、継続的な運営補助を表明しており、図書館員の意志も高い。情報文化省では、図
書館活動をサポートする新たな政策や予算措置は特に見られていない。しかし、公共図書館活動は高く
評価しており、6 県以外全国に拡大していきたいし、支援を広げてほしいという意向である。
各図書館の管轄行政と図書館員への聞き取りの結果は下記のとおりである。
ルアンパバー
シェンクワン
サワンナケー
チャンパサッ
ヴィエンチャ
ヴィエンチャ
ン県
県
ト県
ク県
ン首都
ン県
情報文化局
情報文化局
情報文化局
情報文化局
教育局
現在
図書館員(正
規職員 1 名、
パート 2 名,
人件費
図書館員 3 名
人件費
光 熱 費 月 30
万キップ(電
気、通信、水
道
図書館員 5
名、職員 1 名
人件費
バイク、携帯
電話、市外活
動日当
図書館員人件
費(8 名、光熱
費(電気、電
話、飲料水
図書館員 6 名
人件費、光熱
費など管理
費、新聞 4 誌
今後
公共図書館か
らの申請に応
じる
同じ
公共図書館の
申請に応じ活
動費
情報文化局
教育局
情報文化局図書館員 3 名
人件費、書籍
代、光熱費(飲
料水、電気、
電話
教育局-職員 1
名、移動図書
館活動費、日
当
同じ
同じ
同じ
図書館敷地フ
ェンス、
TV,DVD プレ
ーヤー
開館時間の延
長(夕方 6 時
まで
9 郡の図書館
建設ドナー
なし
予算なし
郡情報センタ
ーを図書館に
したい
情報省直轄が
希望
学校と図書館
の協力
主要担当行政機関
財政面(人材配置・運営費)
制度面(計画・希望―文章化されていない)
教育局-月例
図書館会議
現在
図書館員によ
る職員への講
義
図書館担当セ
クションと職
員 1 名の配置。
局職員への図
書館研修。
郡図書館の設
置。
生徒の利用情
報が無い
学校が図書館
を利用する
技術面(現在)
今後・
情報文化局
図書館を北部
7 県の中心図
書館とする。
県内郡への図
書貸出。
情報文化省へ
人件費配布の
安定申請。
県内各郡へ図
書館を広げた
い。
図書館委員会
を設置し、関
係団体と協力
強化したい。
今後・教育局
情報文化局と
の協力
全学校の協力
DDC 分類
( SVA 職員
の観察)
図書館員自
身が判断し
たサービス
能力
できていない
関係者の読書
推進会議が必
要
図書を借りる
小学校の増加
(現 3 校)
まあまあ
まあまあ
大変よくでき
ている
大変よくでき
ている。
できている
普通
大満足
満足
大満足
満足
大満足
41
情報文化局と
の協力
どの図書館においても、行政からの支援として図書館員あるいは職員の人件費を供与している。運営
費に関しては、最低限の供与となっている。なお、県レベルの図書館運営予算については、地方分権化
がすすんでいるラオスでは、県レベルの予算配賦の決定権が県庁にあり、カウンターパートである情報
文化省はほとんど予算配賦への権力をもっていない。よって、県情報文化局あるいは情報局が図書館予
算の確保を県庁に求めても、配賦額の増加が行われていなくても、事業としてその働きかけをする相手
が不在である結果となった。人材については、中央省庁が人数を決定することが可能であるため、正規
職員の人材配置が少ないルアンパバーン県とシェンクワン県には中央からの働きかけが可能となって
いる。それ以外の行政は積極的に継続的な職員配置を約束している。
公共図書館を管轄している情報文化省出版局長への終了時評価時聞き取りでは、評価結果の報告とし
て、各県の情報文化局から中央へ公共図書館人材を含めた状況の報告を行うことを進めるとともに、人
件費の確保を依頼した。
行政の予算配賦は不足する運営費用について、図書館員の中には、独自に地域住民、企業、他支援団
体など外部支援を申請し自主財源を確保する試みを開始しているところもある(サワンナケート)。3 館
(ルアンパバーン、チャンパサック、サワンナケート)では募金箱を配置するなどしている。全体とし
て、積極的な資金工面ができていない図書館は多い。
更に、不足する人材に関しては、地域の青少年ボランティア・グループが図書館運営の手伝いや移動
図書館活動の手伝いを行なうという県(ヴィエンチャン県)も発現している。なお既に小学校への移動
図書館活動を実施している図書館(サワンナケート、ヴィエンチャン県)もあるが、教育局が関与した
ため、学校が公共図書館をさらに活用できないかという希望が出ている。
技術移転、蔵書については、現時点で受講済みの研修の知識では他の職員へ研修を行うトレーナーと
なるほどの能力はついていないと見受けられるが、オンザジョブトレーニングで可能な部分については、
行なうことができる。また蔵書については、新たに蔵書を増やすため、上記(効率性)、のとおり、他
ドナーや出版社と調整し、新刊の出版時に公共図書館への寄贈を呼びかけるなど、蔵書を増やす仕組み
を作る必要があると考えられる。
なお、各県レベルの行政機関による公共図書館活動への今後の制度、活動への取り組みに関しては計
画が文章化されているわけではなく、希望にとどまっているため、実現可能性についての確認は難しか
った。今後の発展に向け、各図書館間の交流とラオス図書館協会(LLA)の活動の活性化が期待される
が、現時点では、月一の交流は実施していない。相互に遠距離であること、独自には移動予算が無いこ
とが理由となっている。LLA の必要性が認識されている。
一方、具体的活動計画が明確ではないこと、中心メンバーの多忙が理由となっている。事業終了時ま
でにニュースレターを発行するサポート等のフォローが必要であろう。
4-6
結論
本事業の評価結果は、妥当性、有効性、効率性、インパクト、自立発展性の面から、事業を実施した
価値が高い事業であったと考えられる。ただし、有効性の面では、ヴィエンチャン首都周辺の移動図書
館活動を公立図書館活動につなげる働き、また、管轄行政機関に多くをゆだねる自立発展性については、
事業終了までに更なる働きかけが求められる。
42
第5章
教訓と提言
総じて本事業はプロジェクト目標を達成し、更に上位目標の達成も可能な事業であるということがい
える。
5-1
提言
・ 蔵書数を継続的に増やすために、事業終了後に公共図書館が図書を入手していく手法(仕組み)を
導入する。具体的には、出版社、援助団体など図書出版関係者に、図書出版時には公共図書館に図
書を寄贈するようにしてもらう。このフォローを情報文化省に働きかける。また、その配布は行政
ルート(行政文書の配達時など)で行えるように認可してもらうなど働きかけが必要である。
・ 図書館員の更なる技術向上のため、研修の内容と時間配分について、DDC(デューイの 10 進分類
法)を扱う部分をより具体的に時間をとって実施することが必要である。また、研修で実施するだ
けではなく、SVA から図書の配布時に、図書の分類を明確にして配布するようにする。また、DDC
に沿って配架しているかどうかの実態についてフォローアップし、分類を進めることが必要である。
利用者増加、満足度の向上のため、リクエストとその対応の重要さ、リクエストカードの意味を明
確に図書館員に理解してもらい利用者にそのサービスを行うことが必要である。また、DDC 分類分
類表記を出版するラオス語図書にも印刷する体制を作るよう情報文化省へ提言し、促進する。
・ 図書館員や学校側の意志や発想に任せるのではなく、移動図書館活動と公共図書館活動をより有機
的につなげる方向性を明確にして提示する。移動図書館活動を SVA が実施する際には、終了後の公
共図書館サービスへのアクセスの確保を教育局などに働きかけておく、また、必ずしも事業コンポ
ーネントで実施する必要はなく、他団体や図書館員自身、学校で実施している例から相互のアプロ
ーチが可能であるため、その事例を共有する。
・ LLA は、構築段階であるため、事業終了時までにネットワークを軌道に乗せる試みが必要である。
自立発展のためには、中央からの情報供与や経験共有などの機会を提供するネットワークが重要と
なる。そのために、LLA の役割を明確にし、図書館関係者に周知するとともに、公共図書館にとっ
てニーズを把握して活動計画をたてたサービスを行っていくことが必要となる。また、活動内で図
書館間の視察交流を実施し、相互に図書館員が自ら工夫していることを発表し共有する機会をもつ
ことで、各図書館のサービスの差をなくし、より良い図書館サービスが供給されるようにする。
5-2
教訓
・ 図書館を利用し始めたばかりの時期と慣れてきた時期では、図書館利用者から図書館への要求が高
まることが想定される。図書館利用者の意識の向上が見られる面ではポジティブなインパクトであ
るが、その期待に応える必要性から、図書館員によるサービス(配架分類、図書リクエストへの対
応)がより重要となる。
・ 公共図書館の運営に関し、管轄省庁である情報文化省だけではなく、教育省もカウンターパートに
したことで、両省庁で限られた予算の分担や、子どもや教育に関心がある図書館員の配置が可能と
なっている。県レベルでは、情報文化局か教育局のどちらかの予算で最低限の公共図書館運営(人
件費、光熱費)を拠出し運営を支えることができている。図書館に配置された職員は、一部図書館
では正規職員の配置が少ない場合があるが、研修や利用者の増加により図書館員、図書館担当職員
としての意識を高めている。特に、教育局から図書館員として配属された職員の中には元教員など
がおり、そういった図書館員や図書館担当職員は、公共図書館の役割を子どもや学校教育への関連
付けから認識し、限られた資源でも移動図書館活動などサービスの拡大する姿勢があるようである。
43
この点では、教育局をカウンターパートとしていることの意義が大きい。
・ 事業計画時、公共図書館に焦点をあてており、更なる読書推進の拡大については強調していなかっ
た。実際には、公共図書館員自身、あるいは教育局との連携による学校教員が、公共図書館を「拠
点」にした移動図書館を広げている。公共図書館の役割の中に、周辺への移動図書館活動を入れる
ことが可能であろう。また、反対に SVA による移動図書館サービスからのアプローチとして、サー
ビスがサービスのみで終わってしまうことがあり得るため、継続的移動図書館サービスを SVA 自ら
行うのではなく、移動図書館サービス終了後にも読書推進が続くように学校側から公共図書館を利
用するような働きかけが必要である。
・
ヴィエンチャン首都から広範囲に散っているラオス各地の 6 ヶ所の図書館を対象としており、図
書館によっては、一月に一度もモニタリング活動を実施できなかった場合がある。事業終了後は行
政による自立発展的公共図書館運営が行われることを目指して事業計画しており、広範囲を対象地
とした結果ひとつひとつの図書館へ丁寧な助言指導が行われなかったのではないかということと、
図書館員の能力が十分に向上しなかったのではないか、という影響が危惧されていた。しかし、事
業期間内に必ずしも「頻繁に」図書館員への助言を行わなくても、各図書館員が自発的に行政に運
営資金の供与を働きかけたり、自ら問題の解決方法を考えたりすることが可能となっていた。その
点については、距離を保てたことにより、却って良い結果へつながっていると考えられる。
・ カウンターパートは情報文化省、教育省であったが、地方分権化がすすむラオスにおいて各県行政
機関の予算配賦は各県庁の監督下に置かれているため、運営費の配賦額増加が確保しにくい。しか
しながら、県庁をカウンターパートにするにも、ラオスでは「党員」の立場が強く、キーパーソン
を探し関係を持つことは大変困難であるという課題がある。限られた予算を上手く活用するため情
報文化局と教育局間で、役割分担あるいは協力関係を図り、不足する予算を補っている良い事例が
あった一方、分担することによって、一方の行政機関がほとんど関わりを持たなくなってしまう場
合もあった。立案時のカウンターパート選定と関係行政の協力取り付けは予算配賦システムを把握
し改善が必要である。
・ プロジェクト目標、上位目標の指標は、立案時に入手可能なものを設定する。上位目標の指標 2「住
民へのサーベイで 2008 年までに読書頻度が開始年より 30%以上増加する」については、住民への
サーベイを行うことは難しいため、図書館利用者をランダムに選出したインタビューにより、事業
前(ベースライン調査)
・事業後(終了時評価)の平均差を算出し比較することとした。また、プロ
ジェクト目標の成果 1 では、PDM0 の指標 1 であった「公共図書館から 5 キロ圏内の住民の 10%
が図書館を利用する」に関しては、この圏内の人口を把握すること、利用者の住所を把握し測定す
ることは困難なことから、評価時の PDMe で指標を変更し、登録者数の図書館所在郡の人口比率に
ついて事業前・後の増加率を指標とすることとした。更に、成果 4 の指標 4-1「図書館から 5KM
圏内住民の半数は読書推進活動を知っているか、図書館の存在を知っている」について、図書館を
利用していない地域住民に対するインタビューを行うことが困難と判断し、実施していない。それ
に替わるものとして、利用者数の地域住民に対する割合を図書館所在郡の人口比で算出することと
なった。
44
参考:
終了時評価 利用者質問紙インタビューの回答者属性
利用者質問票回答者の属性
9%
20%
小学生
11%
中学生
高校生
専門学校生
短大生
9%
大学生
16%
公務員
一般市民
僧侶
14%
6%
6%
9%
ルアンパバーン 利用者質問票回答者属性
2
3 0
8
小学生
中学生
7
高校生
専門学校生
短大生
大学生
6
15
公務員
一般市民
7
僧侶
2
シェンクワン図書館 利用者質問票回答者の属性
0
0
0
0
7
小学生
中学生
高校生
20
8
専門学校生
短大生
大学生
公務員
一般市民
9
僧侶
6
45
サワナケート 利用者質問紙回答者属性
5
8
小学生
中学生
2
高校生
9
専門学校生
短大生
8
大学生
4
公務員
一般市民
1
5
僧侶
8
チャンパサック 利用者質問紙回答者属性
0
7
20
0
小学生
0
中学生
0
高校生
専門学校生
8
短大生
大学生
公務員
一般市民
9
6
僧侶
ヴィエンチャン市 利用者質問紙回答者属性
8
7
小学生
中学生
2
高校生
2
専門学校生
短大生
3
大学生
公務員
4
1
23
一般市民
46
ヴィエンチャン県 利用者質問紙回答者属性
3
7
小学生
中学生
8
高校生
8
専門学校生
短大生
大学生
8
公務員
0
2
8
6
一般市民
僧侶
47
48
添付資料1 6 図書館の地図
(■が図書館所在地)
添付資料2 「公共図書館支援を通じた図書・読書活動普及事業」終了時評価グリッド
SVA東京事務所
5項目そ
の他
評価設問
指標
指標入手方法
大項目
小項目
必要なデータ
情報源
上 位 目 標 の 達 成 見 住 民 に 読 書 習 慣 が 身に 1.事業終了後も図書館の利用 1.図書館員の報告書
込み
つ き 、 読 書 の 頻 度 が増 者が年に10%程度増加してい
加する
く
インパ
クト
2.住民へのサーベイで、2008 2.図書館員の報告書
年までに読書頻度が開始年よ
り30%以上増加する
波及効果はあるか、 政策・制度への影響
正負の影響
その他
新公共図書館活動の政策の有 ・省庁
無
関係者の意見
・情報省・県情報局・図書館員
インパクトに発現に 図 書 館 利 用 者 と そ うで 関係者の意見
対するプロジェクト な い 人 の 読 書 習 慣 に差
の貢献度の高さ
があるかどうか。
調査方法
データ収集方法
1.利 用 者 数 に 関 し て は、 四半
期 ご と に 図 書 館 か ら 定期 的に
報 告 さ れ て い る の で 、追 加調
査の必要なし。
2.図 書 館 の 利 用 頻 度 を利 用者 難しい→各図書館につき 、中 間評 価の
に イ ン タ ビ ュ ー な い し ア ン 人数程度(最低30名程度 )の 利用 者男
ケート
女からランダムに選出し 、事 業前 ・後
について、利用頻度の平均差で比較
インタビュー
インタビュー
・図書館員
インタビュー
図 書 館 員 は サ ー ビ ス効 図書館員の仕事
果 を ど の よ う に 自 己評
価しているか
・図書館員
インタビュー
他 の 図 書 館 関 連 活 動と ・関係者の意見
の デ マ ケ 、 相 乗 効 果は
あるか
・図書館員
インタビュー
・情報省、局、図書館員
・他団体
インタビュー
インタビュー
・他団体活動
妥当性
1.ラオス政府の政策
との整合性
1.読書推進及び公共図書館に 1.国立図書館、情報文化省からの政 1.国立図書館インタビュー、
関するラオス政府の政策
策に関する情報を得る
情報文化省出版局インタ
ビュー
2.ターゲットグルー ニーズが高いか
2-1.各県公共図書館の10キロ 2-1.ベースライン調査
プの選定
タ ー ゲ ッ ト グ ル ー プは 圏内に住む住民」はターゲッ
適切か
トとして適切か
2-2.「ヴィエンチャン首都内 2-2.モニタリング報告書
のストリートチルドレン、物
乞いの子ども」はターゲット
と し て 適 切 か ( SVAは彼 らに
アプローチできているか)
備考
2-1. ベースライン調査にて適
切であることが確認済み。
2-2.ス タ ッ フ が ス ト リ ー ト チ
ル ド レ ン へ の 活 動 の 実態 を記
録する。
・ ス ト リ ー ト チ ル ド レン に対
する活動の実態
5項目そ
の他
評価設問
大項目
小項目
3.日本の援助政策
プロジェクトのアプ 援助の重点課題
ローチは手段として
妥当か
JICA国別事業実施計画
技術の比較優位はあ
るか
指標
必要なデータ
日本の重点分野
指標入手方法
情報源
・ラオス援助政策
JICA教育分野事業の有無
・JICA国別事業実施計画
SVA公立図書館・移動図書 ・SVA
館の援助実績
有効性 プ ロ ジ ェ ク ト 目 標 「 公 共 図 書 館 が 住 民に 1.公 共 図書 館か ら5キロ 圏内 1.モニタリング報告書
の達成見込み
対 し 適 切 な サ ー ビ スを の住民の10%が図書館を利用
達成されているか 提 供 で き る よ う に な する
る 」 が 達 成 さ れ て いる
か
2. 利 用 者 へ の ア ン ケ ー ト で 2.モニタリング報告書
サービスへの満足度が開始年
にくらべ30%以上向上する
成 果 ( ア ウ ト プ ッ 1.公 共 図 書 館 に 住 民が 1-1デ ュ ゥ ー イ の 10進分 類法 1-1
ト)は達成されてい 求 め る 図 書 、 資 料 が で各分野の図書
る
か 整っている
モニタリング報告書
調査方法
データ収集方法
備考
資料レビュー
資料レビュー
資料レビュー
1.5 キ ロ 圏 内 の 住 民 に イ ン タ 難しい→事業前・後で以下を比較す
ビューないしアンケート
る。
登録者数/5キロ圏内の小学生以上の人
口数(小学生以上人口が難しければ5キ
ロ圏内の人口、無理なら、5キロ程度に
入る郡人口から割り出す)
2.満足度(5段階評価)と、「求
め る 本 が 得 ら れ る か 」、 「図
書 館 員 は 問 い 合 わ せ に的 確に
答えてくれるか」をインタ
ビューないしアンケート
1-1.各 県 公 共 図 書 館 へ の 本 の ・蔵書数、タイトル数を 開始 前・ 中間
DDCごとの配布数
評価時・終了時の数値
配架状況
1-2住 住 民 の 本 の リ クエ スト 1-2 アンケート結果、モニタリン 1-2. リ ク エ ス ト カ ー ド 受 理 ・各館ごとのリクエスト カー ドの 実数
(リクエストカードによる) グ報告書
後 、 図 書 館 職 員 が ど う対 応し と対応数から算出
に50%は対応できる
ているか
2.移 動 図 書 館 サ ー ビス 2-1 年間で150日以上移動図 2-1
が適切に稼動する
書館車が運行される
モニタリング報告書
2-2 年 間 の 利 用 者 が 10,000 2-2
人/台を超える
モニタリング報告書
3. 図 書 館 員 が 本 の 分 3-1 本 の 分 類 、 登 録、 貸出 3-1
類 、 サ ー ビ ス の 提 供、 しサービスに大きな間違いが
基 本 の 図 書 館 学 を 理解 ない
している
モニタリング報告書
3-2 年 に 一 度 利 用 者数 、貸 3-2 報告書
出し冊数などの統計資料が提
出される
図書館員報告書
2-1.2-2. モ ニ タ リ ン グ 報 告 書
で3月末までの数字を固める。
(今回、追加調査の必要な
3-1.SVAスタッフ、国立図書館
スタッフによる観察
3-2. モ ニ タ リ ン グ 報 告 書 で 3
月末までの数字を固める。
3-3. 図 書 館 員 が 定 期 的 に 子
ど も の た め の 読 書 推 進活 動を
図書館の内外で行う。(頻
度 、 開 催 場 所 、 各 回 の平 均参
加人数)
4.子 ど も か ら 成 人 まで 4-1 図書館から5キロ圏の住 4-1 アンケート結果、モニタリン 4-1.5キロ圏内の住民にインタ
ビューないしアンケート。
を 対 象 に し た 読 書 推進 民 の 半 数 は 読 書 推 進 活 動 を グ報告書
活 動 が 住 民 に 認 知 され 知っているか、図書館の存在
る
を知っている
how often, regularly or not, where,
how many children each time
participate
・実施しない
5項目そ
の他
評価設問
大項目
指標
指標入手方法
小項目
必要なデータ
情報源
5. 全国の公共図書館の 5-1 年 に 最 低 一 度 は 全 国 の 5-1 モニタリング報告書
間 に ネ ッ ト ワ ー ク が形 図書館員の会議、ミーティン
成 さ れ 、 定 期 的 に 交流 グが行われる
が行われる
5-2 図 書 館 員 相 互 の 連 絡 が 5-2 モニタリング報告書
増加し、月に一度は他県の図
書館員との連絡や交流がおこ
なわれる
調査方法
データ収集方法
5-1.ラオス図書館協会による
備考
・図書館員の会議、研修 会等 の具 体的
な実施内容
5-2.ラ オ ス 図 書 館 協 会 の 活 動 ・図書館員の会議、研修 会等 の具 体的
をモニタリングする。
な実施内容
プロジェクトのアウ プ ロ ジ ェ ク ト 以 外 に貢 ・関係者の意見
トプットは目標達成 献した要因
に貢献しているか
(因果関係)
・実施プロセスの情報
・情報局、図書館員
・インタビュー
・モニタリング報告
・資料レビュー
目標達成の阻害要因 異動(外部条件)
・図書館員の異動退職
はあるか
そ の 他 の 外 部 条 件 や他 ・情報文化局の協力
の影響
・異動、退職率理由
・インタビュー
・情報局
・インタビュー
投入の質・量・タイ 人 材 、 専 門 分 野 、 派遣 ・派遣実績
ミング
時期の適正
・実績表(四半期報告)
資料レビュー
研 修 図 書 館 員 数 、 分 ・研修実績
野 、 研 修 内 容 、 研 修期
間、時期の適正
・実績表(四半期報告)
資料レビュー
・関係者の意見
・図書館員
・配置実績表
インタビュー
資料レビュー
C/P人数、配置、能
・C/P配置状況
・関係者の意見
・省、県情報文化局・教育局
インタビュー
資料レビュー
図書館・施設の質、規
模、利便性
・建物・施設の現状
・図書館内 配置図
資料レビュー
・関係者の意見
・機材実績
・省、情報局・教育局、図書館員
・実績表(四半期報告)
インタビュー
資料レビュー
・実績表(四半期報告)
資料レビュー
・関係者の意見
・省、情報局・図書館員
インタビュー
・関係者の意見
・省、情報局・図書館員
インタビュー
外部条件 各館の図書館員の推移(開
館前・時、中間時、終了時)
効率性
機 材 の 種 類 、 量 、 設置 ・機材実績
時期
効率性の阻害要因の
有無
自立発
展性
1. 各県公共図書館
は、将来的に自立し
て事業を継続してい
くか
継続能力
運営管理能力
財務状況
1. 各 県 情 報 文 化 局 ・教 育局 1. 省、各県情報文化局・教育局
の公共図書館に関する計画の
有無とその内容
インタビュー
関係者の意見
予算確保の推移
インタビュー
インタビュー
・省、各県情報文化局・教育局
・省、各県情報文化局・教育局
活動内容(1-1~5-2)までが時系列に
記載されたもの(→実績表とみな
す)。四半期報告をまとめる。
5項目そ
の他
評価設問
大項目
移転技術の定着
2. 移 動図 書館 サー
ビスを受けた小学校
は、図書・読書推進
活動を継続していく
か
3. ラ オス 図書 館協
会は、将来的に自立
して活動を継続して
いくか
指標
小項目
必要なデータ
自 主 財 源 確 保 の 取 り組 関係者の意見
み
指標入手方法
調査方法
情報源
データ収集方法
・省、各県情報文化局・教育局、図 インタビュー
書館員
C/P自身の能力
関係者の意見
人 材 の 定 着 ・ 能 力 の普
及
機材の維持管理
・省、各県情報文化局・教育局
インタビュー
・省、各県情報文化局・教育局、図 インタビュー
書館員
・省、各県情報文化局・教育局、図 インタビュー
書館員
2. 移 動 図 書 館 サ ー ビス の終
了 し た 学 校 ・ 施 設 はSVA図書
館ないしヴィエンチャン市立
図書館から本を借り、活動を
継続するか
2. 移動図書館サービスの終了した 資料レビュー
学校・施設のモニタリング、SVA図
書館・ヴィエンチャン市立図書館の
貸出記録
関係者の意見
・学校教員・施設職員
3. ラ オ ス 図 書 館 協 会の 活動 3. 同左
計画
インタビュー
備考
添付資料3 PDM
対象地域
ヴィエンチャン首都、ヴィエンチャン県、ルアンパバーン県、サワンナ
ケート県、シェンクワン県、チャンパサック県
受益者
各県公共図書館の 10 キロ圏内に住む住民、ヴィエンチャン首都内のストリートチルドレン、物乞いの子ども
プロジェクト概要
上位目標
住民に読書習慣が身につき、読書の頻度が増加する
指標
1.
2.
事業実施団体
(社)シャンティ国際ボランティア会ラオス
事務所図書館事業課
指標入手方法
事業終了後も図書館の利用者が年に 10%程度増加していく
住民へのサーベイで、2008 年までに読書頻度が開始年より 30%以
上増加する
1.
2.
図書館員の報告書
図書館員の報告書
外部条件
プロジェクト目標
公共図書館が住民に対し適切なサービスを提供できるようになる
事業終了時(3 年後)までに
1.
公共図書館から 5 キロ圏内の住民の 10%が図書館を利用する
2.
利用者へのアンケートでサービスへの満足度が開始年にくらべ
30%以上向上する
1.
2.
モニタリング報告書
モニタリング報告書
ラオス国内の出版状況が現在よりも悪
化しない
1.
成果
公共図書館に住民が求める図書、資料が整っている
事業終了時(3 年後)までに
1-1 デュゥーイの 10 進分類法で各分野の図書が揃っている
1-2 住民の本のリクエスト(リクエストカードによる)に 50%は対応で
きる
1-1
1-2
モニタリング報告書
アンケート結果、モニタリング報
告書
大規模な自然災害が起きない(起きた
ら研修会計画、配布計画が変更になる
ため)
2.
移動図書館サービスが適切に稼動する
2-1
2-2
年間で 150 日以上移動図書館車が運行される
年間の利用者が 10,000 人/台を超える
2-1
2-2
モニタリング報告書
モニタリング報告書
3.
図書館員が本の分類、サービスの提供、基本の図書館学を理解し
ている
3-1
3-2
本の分類、登録、貸出しサービスに大きな間違いがない
年に一度利用者数、貸出し冊数などの統計資料が提出される
3-1
3-2
モニタリング報告書
報告書
4.
子どもから成人までを対象にした読書推進活動が住民に認知され
る
4-1 図書館から 5 キロ圏の住民の半数は読書推進活動を知っているか、
図書館の存在を知っている
4-1 アンケート結果、モニタリング報告
書
5.
全国の公共図書館の間にネットワークが形成され、定期的に交流
が行われる
5-1 年に最低一度は全国の図書館員の会議、ミーティングが行われる
5-1 モニタリング報告書
5-2 図書館員相互の連絡が増加し、月に一度は他県の図書館員との連絡
や交流がおこなわれる
5-2 モニタリング報告書
活動
1-1.
1-2.
1-3.
1-4.
2-1.
2-2.
2-3.
3-1.
3-2.
4-1.
4-2.
5-1.
5-2.
投入
公共図書館の建設
現在ある公共図書館への図書の補充支援
障害児者むけの点字および朗読テープコーナーの設置
タイ語英語の絵本などをラオス語への翻訳
移動図書館車の運行マニュアルを整備する
移動図書館車担当スタッフの研修を実施する
ストリートチルドレンや物乞いの子どもなどへの定期的なサービ
スを実施する
公共図書館の手引き・基準を作成する
公共図書館員のための研修会を実施する
読書推進のためのキャンペーン活動を実施する
読書に関するコンテストを実施する
ラオス図書館協会の設立支援をする
ニュースレター「図書館ネットワーク(仮称)」を定期的に発行す
る
SVA
人材
プロジェクトマネジャー(日本人)1 名
事業コーディネータ(ラオス人)1 名
アシスタントコーディネータ(ラオス人)1 名
図書館活動スタッフ(ラオス人)6 名
総務経理スタッフ(ラオス人)2 名
運転手(ラオス人)1 名
国内調整員(日本人)
1名
資材
公共図書館 ヴィエンチャン県1棟
図書、資料
ヴィエンチャン県 10,000 冊/ヴィエンチャン都 5,000 冊/
ルアンパバーン 5,000 冊/サワンナケート 5,000 冊
シェンクワン 5,000 冊/チャンパサック 5,000 冊
計 30,000 冊
コンピュータ、プリンター 4セット
点字朗読テープ図書箱 10セット
読書推進キャンペーンポスター 1,000 枚
読書推進キャンペーン CD 500 枚
各県情報文化局・教育局
人材
図書館員(ラオス人)各県 1~3 名。ヴィエンチャン首都 5 名、ルアンパバーン・サワンナケート各 3、シェンクワン
1、チャンパサック 2.
各県公共図書館の水道光熱費、電話代、ヴィエンチャン県公共図書館の土地
・各県の情報文化局がタイ語の図書を
図書館に入れることを反対しない
・研修を受けた図書館員、移動図書館
車担当員が大幅に異動退職しない
・政府が図書館協会の設立を許可する
前提条件
·
政府情報文化省が事業の実施を
承認する
添付資料4
PDMe
対象地域
ヴィエンチャン首都、ヴィエンチャン県、ルアンパバーン県、サワン
ナケート県、シェンクワン県、チャンパサック県
受益者
各県公共図書館の 10 キロ圏内に住む住民、ヴィエンチャン首都内のストリートチルドレン、物乞いの子ども
プロジェクト概要
上位目標
住民に読書習慣が身につき、読書の頻度が増加する
プロジェクト目標
公共図書館が住民に対し適切なサービスを提供できるようになる
成果
1.
公共図書館に住民が求める図書、資料が整っている
2.
移動図書館サービスが適切に稼動する
3.
図書館員が本の分類、サービスの提供、基本の図書館学を理解
している
子どもから成人までを対象にした読書推進活動が住民に認知
される
全国の公共図書館の間にネットワークが形成され、定期的に交
流が行われる
4.
5.
活動
1-1.
1-2.
1-3.
1-4.
2-1.
2-2.
2-3.
3-1.
3-2.
4-1.
4-2.
5-1.
5-2.
指標
事業実施団体
(社)シャンティ国際ボランティア会ラオ
ス事務所図書館事業課
指標入手方法
1.
2.
事業終了後も図書館の利用者が年に 10%程度増加していく
利用者インタビューで 2008 年までに読書頻度が開始年より
30%以上増加する
(PDM0では、2.住民へのサーベイで、2008 年までに読書頻度が開始
年より 30%以上増加する)
事業終了時(3 年後)までに
1. 利用会員数の図書館所在郡人口比の事業開始前との比較
(PDM0 では、公共図書館から 5 キロ圏内の住民の 10%が図書館を利
用する)
2. 利用者の満足度が高い
,(PDM0 では、利用者へのアンケートでサービスへの満足度が開始年
にくらべ 30%以上向上する)
事業終了時(3 年後)までに
1-1 デュゥーイの 10 進分類法で各分野の図書が揃っている
1-2 住民の本のリクエスト(リクエストカードによる)に 50%は対
応できる
2-1 年間で 150 日以上移動図書館車が運行される
2-2 年間の利用者が 10,000 人/台を超える
3-1 本の分類、登録、貸出しサービスに大きな間違いがない
3-2 年に一度利用者数、貸出し冊数などの統計資料が提出される
4-1 図書館から 5 キロ圏の住民の半数は読書推進活動を知っている
か、図書館の存在を知っている
5-1 年に最低一度は全国の図書館員の会議、ミーティングが行われ
る
5-2 図書館員相互の連絡が増加し、月に一度は他県の図書館員との
連絡や交流がおこなわれる
外部条件
1.
2.
図書館員の報告書
図書館員の報告書
1.
2
モニタリング報告書
モニタリング報告書
ラオス国内の出版状況が現在よりも
悪化しない
1-1
1-2
モニタリング報告書
アンケート結果、モニタリング
報告書
モニタリング報告書
モニタリング報告書
モニタリング報告書
報告書
アンケート結果、モニタリング報
大規模な自然災害が起きない(起き
たら研修会計画、配布計画が変更に
なるため)
2-1
2-2
3-1
3-2
4-1
告書
5-1 モニタリング報告書
5-2
モニタリング報告書
投入
公共図書館の建設
現在ある公共図書館への図書の補充支援
障害児者むけの点字および朗読テープコーナーの設置
タイ語英語の絵本などをラオス語への翻訳
移動図書館車の運行マニュアルを整備する
移動図書館車担当スタッフの研修を実施する
ストリートチルドレンや物乞いの子どもなどへの定期的なサ
ービスを実施する
公共図書館の手引き・基準を作成する
公共図書館員のための研修会を実施する
読書推進のためのキャンペーン活動を実施する
読書に関するコンテストを実施する
ラオス図書館協会の設立支援をする
ニュースレター「図書館ネットワーク(仮称)」を定期的に発
行する
SVA
人材
プロジェクトマネジャー(日本人)1 名
事業コーディネータ(ラオス人)1 名
アシスタントコーディネータ(ラオス人)1 名
図書館活動スタッフ(ラオス人)6 名
総務経理スタッフ(ラオス人)2 名
運転手(ラオス人)1 名
国内調整員(日本人)
1名
資材
公共図書館 (ヴィエンチャン県)1棟
図書、資料
ヴィエンチャン県 10,000 冊/ヴィエンチャン都 5,000 冊/
ルアンパバーン 2,500 冊/サワンナケート 2,500 冊
シェンクワン 5,000 冊/チャンパサック 5,000 冊
計 30,000 冊
コンピュータ、プリンター 4セット
点字朗読テープ図書箱 10セット
読書推進キャンペーンポスター 1,000 枚
読書推進キャンペーン CD 500 枚
各県情報文化局・教育局
人材
図書館員(ラオス人)各県 1~3 名。ヴィエンチャン首都 5 名、ルアンパバーン・サワンナケート・シェンクワ
ン・チャンパサック各 3.
各県公共図書館の水道光熱費、電話代、ヴィエンチャン県公共図書館の土地
・各県の情報文化局がタイ語の図書
を図書館に入れることを反対し
ない
・研修を受けた図書館員、移動図書
館車担当員が大幅に異動退職し
ない
・政府が図書館協会の設立を許可す
る
前提条件
·
政府情報文化省が事業の実施
を承認する
添付資料5 質問紙
Evaluation Questions of
Reading promotion project through supporting the public community libraries
May, 2008
USERS <Questions to Users>
Interviewee’s status : Primary school / Junior high / High school / Technical School, College, University/
Officials / Ordinary People / Monks
Q1. How often do you come to use Provincial Public Library?
A. Almost everyday
B. More than 3 times/week
C. About 2-3 times/week
D. About 1 time/week
E. About 1 time/2 weeks
F. About 1 time/month
G. Less than 1 time/month
Add Q.
Q-1-2 Was that increased?
Why?
Q2. How much are you satisfied with the service of Provincial Public Library?
A. Satisfied very much.
B. Satisfied
C. So so
D. Not so much satisfied
E. Not satisfied at all
Add Q.
Q-2-2
Have there been any library service improved?
If yes, what kind of service?
Q3. Can you find the books which you want to read easily in the library?
Yes /
No
Q4. Have you ever asked or requested about the book which you want to read?
Yes /
No
Add Q
Q4-2. Did you know that you could request to the library? How?
Q5. If you have ever asked or requested about the book which you want to read, could you get the book?
Yes /
No
Q6. Have you ever participated reading promotion activities, such as story-telling, Kamishibai etc.
Yes /
No
Add Q
Q6-1 If no, why have not you?
Q7. If you have ever participated reading promotion activities, how much are you satisfied with it?
A. Satisfied very much.
B. Satisfied
C. So so
D. Not so much satisfied
E. Not satisfied at all
Add Q
7-2 How did you know there were such activities?
Evaluation Questions of
Reading promotion project through supporting the public community libraries
May, 2008
LIBRALIANS
<Questions to Librarians>
・Regarding reading promotion activity, how often, regularly or not, where, how many children each time
participate. See Monitoring Report and DATA
Q1. How they deal with Request Card See monitoring data if available
How many request card do the users submit per month?
How many request did they answer?
Q2. Is there any impact to policy or system of the public library?
Add Q
Q2-2 Please provide documents
Q3. Do they see any difference of reading habit between users and non-users?
Q4. Their own library service? 5 degrees
Q4-1. Regarding their library service, they think the users are:A. Satisfied very much.
B. Satisfied
C. So so
D. Not so much satisfied
E. Not satisfied at all
Add Q
Q4-1-2 Why do you think so?
Q4-1-3 Which part of the service are you confident with? Why?
Q4-2. They locate books according to the DDC. (Observation by SVA)
A. Strongly agree
B. Disagree
C. Hard to tell
D. Agree
E. Strongly agree
Add Q Q4-2-2
What was the difficulty, if there is?
Q5. Is there any other organization’s support/activity to “Library activity”?
Yes / No
if yes-- is it same activity ? Yes / No
if it is different activity, what is the difference? ________________________
Add Q
Q 5-1. Is there any inter related impact to each other?
Q6. Have you worked in this library since opening?
Yes / No
If no-- What is the reasons for transfer/ resignation/ retirement of yourself / the former librarians?
__________________________________________________________
Q7. About workshop
Q7-1 How was contents, is it useful?
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q7-2 How was the duration?
A Long
B Good
C Short
Reasons __________________________________________________
Q7-3 How was the timing of the workshop (month / time) ?
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q8 About the library
Q8-1 How is the library building/facilities (Except books)?
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q9 About the equipment (shelf / desks / books)
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q10 What was the difficulty in management in terms of equipment/facilities or other?
Add Q
Q10-2 Can you manage to overcome it? How?
Q11 Do you manage to fund-raise for the library?
Yes / No
If yes, how _________________________________________________
Add Q.
Q11-2 How do you plan to financially manage?
Add Q 12. Apart from SVA support, are there any activities or causes which had impact on the
result? (Output to project purposes)
Good,
Bad,
Q13. Are there any negative causes for input to achieve the output?
Q14. What kind of “ability” do you think necessary to improve the overall management of the
library?
Evaluation Questions of
Reading promotion project through supporting the public community libraries
May, 2008
MINISTRY, PICS & PES
<Questions to Ministry, PICS & PES in each province>
・Their plan for provincial public library. How they want to support and develop Provincial Public
Library?
Q1. Do they have any plan for provincial public library in the future?
Yes / No
If yes, what _________________________________________________
Add Q
Q1-2 Please provide documents
Q2. Laos Library Association
Q2-1. Do they have plan for Laos Library Association?
Yes / No
If yes,
what is their plan __________________________________________________
If No, Why ____________________________________________________________
Add Q
Q 2-2, How do you want the association to be?
Q2-3 What is necessary for the association ?
Q3. Is there any change or additional policy or system for the public library after the project started?
Yes / No
If yes what _______________________________________________
Q4. Is there any other organization’s support/activity to “Library activity”?
Yes / No
if yes-- is it same activity ? Yes / No
if it is different activity, what is the difference? __________________________________
Add Q
Q 4-1. Is there any inter related impact to each other?
Q5. Is there any improvement for the public library service without SVA activities?
Yes / No
If Yes, what kind of improvement __________________________________________________
Q6. What did they do to support / cooperate public library ?
□ assign librarians
if tick, how many ________________ during the project
Are they capable?
□ assign officers in charge
if yes, how many _________________ during the project
Are they capable?
Add Q
Q6-2 If no, why didn’t they?
Q7. About workshop to librarians
Q7-1 How was contents, is it useful?
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q7-2 How was the duration?
A Long
B Good
C Short
Reasons __________________________________________________
Q7-3 How was the timing of the workshop (month / time) ?
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q8. About workshop to officers
Q8-1 How was contents, is it useful?
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q8-2 How was the duration?
A Long
B Good
C Short
Reasons __________________________________________________
Q8-3 How was the timing of the workshop (month / time) ?
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q9 About the library
Q9-1 How is the library building/facilities (Except books)?
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q9-2 About the equipment (shelf / desks / books)
A Very Good
B Good
C Not Good
Reasons _________________________________________________
Q10 What was the difficulty in management in terms of equipment/facilities or other?
Q11 Did they allocate any budge to the public library ?
Yes / No
If yes, how much per month _________________________________________________
Q12 Are they going to allocate any budge to the public library ?
Yes / No
If yes, how much per month _________________________________________________
Add Q.
Q12-2 How do you plan to financially manage?
Add Q 13. Apart from SVA support, are there any activities or causes which had impact on the
result? (Output to project purposes)
Good,
Bad,
Q14. Are there any negative causes for input to achieve the output?
E,g
Allocation of the librarians, training, sva input
Q15. What kind of “ability” do you think necessary to improve the overall management of the
library?
Q15-2 is the ability transferable? How can they transfer it?
To Director of National Library and Publishing Department MOIC
・Lao Government policy on reading promotion and public library
Q13-1 Have there been any change or additional policy or system for the public library after the project
started during the project?
Yes / No
If yes what _______________________________________________
Q13-2 Is there any plan for new policy or system for the public library after the project started?
Yes / No
If yes what _______________________________________________
Add Q Please provide document.
Evaluation Questions of
Reading promotion project through supporting the public community libraries
May, 2008
TEACHERS
<Teachers of the primary schools which received the ML service in 2006>
・Their plan to organize reading promotion or library service in their school
□
borrow books from public library?
□ story telling?
□ Others _________________________
添付資料6 写真資料
六県公共図書館
ルアンパパーン県図書館
ルアンパパーン県図書館
シェンクワン県図書館
シェンクワン県図書館
ヴィエンチャン県図書館
ヴィエンチャン県図書館
ヴィエンチャン首都図書館
ヴィエンチャン首都図書館
サワンナケート県図書館
サワンナケート県図書館
チャンパサック県図書館
チャンパサック県図書館
移動図書館車
活動
移動図書館車(反対側は別図柄・赤色)
小学校での移動図書館車
小学校で紙芝居
小学校では先生による読み聞かせ
貧困地域の村での活動
視覚障害児施設での活動
図書の配布
タイ・ウドンタニの書店での図書選定
本の背表紙に張られる DDC 分類毎の色紙
図書館に到着した本(シェンクワン)
DDC 分類毎に並べられた書棚(ルアンパバーン)
公共図書館研修会
ヴィエンチャン首都図書館
ヴィエンチャン首都図書館
終了時評価
図書館員のインタビュー(サワンナケート)
会員登録カード(チャンパサック)
ヴィエンチャン首都図書館
利用者へのインタビュー(移動図書館)
蔵書カード(サワンナケート)
図書館員へのインタビュー(ヴィエンチャン県図書館)
ヴィエンチャン首都図書館
図書館員とボランティアの図書分類作業
(ヴィエンチャン県図書館)
JICA 草の根技術協力事業
公共図書館支援を通じた図書・読書活動普及事業(ラオス)
終了時評価報告書
発行日
:2008 年 8 月
執筆・編集
:川村仁、高橋久夫、伊藤解子、佐久間美穂
発行
:社団法人シャンティ国際ボランティア会
〒160-0015 東京都新宿区大京町 31 慈母会館 2・3 階
TEL:03‐6457-4586、FAX:03‐5360‐1220
http://www.sva.or.jp/
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