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日本企業部門ニュースレター
日本企業部門ニュースレター 本ニュース掲載情報は一般参考情報で あり、各情報につき総合的な分析はさ れておりません。個別事情につき何ら かの判断をする場合は、専門家にご相 談ください。本ニュース掲載情報に基 づいた行為(不作為)につき、PwC は 何ら責任を負いません。 2015年8月 チェコ 連絡先: 山崎 俊幸 シニアマネージャー Tel: 420-251-152-343 [email protected] 発行人: 森山 進 地域統括パートナー Tel: +32 (0)2 710 7432 [email protected] PwC オフィス: PwC チェコ www.pwc.com/cz/en/ PwC ベルギー・中東欧 www.pwc.com/jp/ja/japandesk/belgium チェコVAT‐新たな報告書類 VAT 新報告制度の概要 ‐ 調査用明細書の導入 2016年度より、すべてのVAT登録事業者は、従来のVAT申告書に加え、「調査用明細書(Kontrolní hlášení/Control Statement)」と呼ばれる新たな報告を行うことが義務付けられます。これにより、 他の課税事業者と行うチェコ国内における供給・購入取引のすべての詳細が報告対象となりました。 法人の場合は、月次で電子的に報告することが求められています。 税務当局は、当報告データを「税務調査用の証憑資料」と位置づけ、カルーセル(回転木馬)詐欺 などのVAT不正対策の切り札としており、すべての取引を請求書レベルの詳細度で報告させることを その目的としています。 この新たな申告書類の作成にあたっては、2016年1月以降に、チェコ国内が課税供給地となってい る課税供給取引を行っている場合、発行/受領のすべてのインボイスデータが必要となります。つま り、月間毎の合算表記ではなく、個々のインボイスデータが、別のライン毎に表記され報告されるこ とになります。 ちなみに、隣国スロバキアでは、2014年度より本制度が導入されています。 2ページ 日本企業部門ニュースレター 2015年8月 チェコVAT‐新たな報告書類 新報告様式の効果、リスクと対策 チェコ税務当局は、2015年7月17日、当該VAT調査用明細書の必 報告内容に誤りが認められた場合、その修正報告は、5日間のう 要記載事項を公表しています。これによって、義務対象会社が、 ちに提出することが定められています。遵守できない場合の罰則 ITシステムのセットアップなどに必要となる様式、構造や対応方 も厳格です。当局によって指摘された誤りが、期限内に適切に説 明されなければ、その都度 30 000コルナの罰金となるため、結果 針が明確になりました。 法人の場合、最初の報告書は、 2016年1月を報告対象月間とし 的に、罰金合計が多額に上るリスクもあります。 て、VAT申告書と同じ期限、つまり、2016年2月25日までに提出 加えて、報告義務が適切に履行されなければ、「信頼できない されることになります(対象月の翌月25日までが提出期限)。明 VAT納税者」という烙印が押されることにもつながるため、注意 細書の作成ガイドラインは、当局サイトにてご確認いただけます (レイアウトも公示されています。ただし、該当記事はチェコ語 が必要です。 のみ)。 http://www.financnisprava.cz/cs/dane-aVAT税務調査官の着眼点 pojistne/novinky/2015/nove-struktury-xml-souboru-pro• 物品・サービスの供給取引は、本当に実行されたのか? kontrolni-hlaseni-6250 取引に経済合理性はあるか? • 物品・サービスは、本当に輸出/搬送/移転されたのか? 調査用明細書は、チェコ国内で課税供給取引を行う、もしくは、 • カルーセル(回転木馬)詐欺 インプットVATの仕入税額控除を適用する、すべてのVAT納税者 が提出を義務付けられているため、この報告制度を活用すること で、税務当局は、納税者が発行もしくは受領したインボイスの詳 カルーセル(回転木馬)詐欺とは 細データを、取引の相手方のデータと照らし合わせて検証するこ 物品の売買取引が幾人かのVAT納税義務者の間を流れる間に、 とが可能となります。今後、より効率的かつ有効な税務調査の実 スキームの参加者の一人が、不正にアウトプットVAT(売上取 施につながると期待されています。 引かかるVAT)を納税しない一方で、スキーム参加者の最後の 人物(VAT納税者)によってインプットVAT(仕入税額控除) 多くの会社は、この新制度対応のために、会計処理プログラム による還付申請が行われる結果、当局から多額の還付金だけが を、多少なりとも調節しなければならなくなると考えられます。 流出することになる。貴金属や燃料取引に典型的にみられる VAT詐欺の形態。 3ページ 日本企業部門ニュースレター 2015年8月 チェコVAT‐新たな報告書類 調査用明細書の作成・提出のための今後のステップ 新しい明細資料の作成プロセス導入のために、事前に、相当程 2015年11月 - 12月 度の社内リソースを確保しておく必要があります。 • システムセットアップのテストを実施 • エラーの削除など、問題解決作業 2015年7月 ‐ 8月 • 新報告様式および要求事項への理解促進、および、遵守しない 2016年1月 - 2月 • • • • • • Go LIVE 場合のリスク評価(報告遅延や内容誤りへのペナルティ) 社内関係者(CFO、税務専門家、経理担当、CIO/IT担当、プロ • 2016年2月25日が、初回の調査用明細書の提出期限 ジェクトマネジャーら)との議論 報告書作成に必要となる会計データの識別 当案件に関する詳細情報、その他ご関心事項などがございましたら、 IT部署、ERP/会計システム担当とのコミュニケーション お気軽に山崎までご連絡ください。 報告書の準備・提出を社内で行うか、社外にアウトソースする かの決定(ERP/会計システムが機能を確立するまでの間) 会計システムに、必要な機能のプログラミングを行う 2015年9月 ‐ 10月 • 社内支援プロセスの設定 – 文書の作成、統制活動、提出、チェ コ当局とのコミュニケーションに関する責任の明確化 • 担当者・責任者のトレーニング • 税務部門、IT部門との継続的な協調関係の構築 • 外部に依頼する場合のセットアップ - データ転送方法や資料の 提出方法など www.pwc.com/cz/en 山崎 俊幸 Senior Manager Japanese Business Practice +420 251 152 343 [email protected] © 2015 PricewaterhouseCoopers Česká republika, s.r.o. All rights reserved. In this document, “PwC” refers to PricewaterhouseCoopers Česká republika, s.r.o., which is a member firm of PricewaterhouseCoopers International Limited, each member firm of which is a separate legal entity.