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日本頭痛学会ニュースレター <第2号 2010年08月>

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日本頭痛学会ニュースレター <第2号 2010年08月>
日本頭痛学会ニュースレター <第2号 2010年08月> ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 1)温知会間中病院 間中信也先生 「国際頭痛分類の2004年以降の動向と今後について」 2)頭痛学会誌の目次案内 3)最近の頭痛研究トピックス(広報委員会より) 4)第38回日本頭痛学会(東京)の演題募集案内 5)電子メールアドレス登録のお願い 日本頭痛学会 企画・広報委員会 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 1)温知会間中病院 間中信也先生(一般社団法人日本頭痛学会理事)(専門医認定委員会委員長) 「国際頭痛分類の2004年以降の動向と今後について」 日本の頭痛診療レベルは確実に向上している。それに貢献しているのが、頭痛診療のロードマップ=国際頭痛分類、ナ
ビゲータ=診療ガイドライン、運行記録=頭痛ダイアリーの「頭痛診療三点セット」である。ニュースレター2号では、
国際頭痛分類の2004年以降の動向と今後についてふれてみたい。 国際頭痛分類第2版(International Classification of Headache Disorders 2ndEdition; ICHD-Ⅱ) は、1988年の国際
頭痛分類(ICHD-Ⅱ)をベースとし、その後のエビデンスや知識の集積を加えて改訂され、2004年に公表されたものである。
ICHD-Ⅱは、世界中の頭痛専門家の英知が結集されてできた労作で、頭痛の治療・研究には必須のアイテムである。診断
基準は、日常臨床で広く用いられるものであり、10年∼20年の期間での変更は避けるべきとされる。とくに重要な「前兆
のない片頭痛」の診断基準については、ICHD-Ⅰをほぼ踏襲しており、安定している。しかし慢性片頭痛と、それに密接
に関連する薬物乱用頭痛(medication-overuse headache ; MOH)については、ICHD-Ⅱが発表された直後から議論が百出し
ておさまらない。慢性片頭痛とMOHが表裏一体化した「変容性片頭痛」という既存の頭痛概念を、ICHD-Ⅱでは慢性片頭痛
とMOHとに厳密に分離した。そのことが混乱のみなもととなったと私は考えている。国際頭痛分類は、研究の進歩に伴い
改訂される運命にあるとはいえ、頻繁な変更は混乱を招く。にもかかわらず、慢性片頭痛とMOHは、頭痛臨床上きわめて
重要な頭痛概念であり、短期間のうちに改訂せざるを得ない問題点が見つかったということであろう。しかしこの変更が、
国際頭痛分類を複雑にしていることは否めないので、経緯を整理しておきたい。 MOHについては下記の3つのバージョンが存在する。すなわち、初期版(2004)(1)、改訂版(2005)(2)、付録版(2006)(3)
の三つである。Cephalalgia誌上に公表され、国際頭痛学会のサイトでも閲覧できるICHD-Ⅱは、初期版(1)であり、改定
版は学会誌Cephalalgia(2)に掲載されているのみであった。日本語版の翻訳にあたっては、MOH改訂の情報が翻訳段階で
坂井理事長からもたらされたので、それを先取りする形で取り入れ、2004年に日本頭痛学会誌の特集号(1)として刊行さ
れた。2004年初版および2005年改訂版のMOH診断基準の最も大きな問題は、「D.乱用薬物の使用中止後、2ヵ月以内に頭痛
が消失、または以前のパターンに戻る」ことが診断の要件となっている点である。この要件があると、急性期治療薬の乱
用と頭痛がある段階では診断が確定できない。すなわち、乱用薬物を中止して2ヵ月を経た時点で、頭痛が軽快していれ
ば「かつてはMOHではあったが現在はMOHでない」というおかしなことになる。つまりMOHは幻の病名である。この問題を
回避したが、2006年の付録診断基準(3)で「薬物中止による確認条項」が廃止され、より現実的な基準になった。なお ICHDⅠでは、原因除去による頭痛の消失または改善の要件は、MOHを含むすべての二次性頭痛の診断基準の原則とされていた。
(注:D. 頭痛は原因疾患の治療成功または自然寛解後、3ヵ月以内に大幅に軽減または消失する)。 日本頭痛学会では、2007年に、頭痛学会誌特集号に見られた不適切な部分を改訂し、MOHと慢性頭痛の改訂・付録版を
収録した「新訂増補日本語版」(4)を医学書院から刊行した。この新訂増補日本語版が最新かつ正式な頭痛分類である。
日本頭痛学会ではICHD-Ⅱのポケット版も発行しているが、新しい動向は追補版でupdateしている。最近このポケット版
の内容を、スライドキットとして日本頭痛学会のサイト(http://www.jhsnet.org/)に公開したので、ご利用いただければ
さいわいである。 2009年、国際頭痛学会の分類委員会から、二次性頭痛の診断基準改訂の方針と二次性頭痛の一般診断基準の雛形が公表
された(5)。MOHを含む二次性頭痛は、その治療が必ずしも可能とは限らないため「治療成功条項」があると診断が確定で
きないことになる。この条項は厳密ではあるが実践的ではない。この点を解決しようとする動きが、今回の新標準化一般
診断基準の提案である。この二次性頭痛の診断基準改訂の方針には以下のように述べられている。
・慢性片頭痛とMOHの診
断基準改訂版は早急に診断基準本体に組み入れられるべきであるので、分類委員会はICHD-IIの限定的な修正作業を開始
し、ICHD-ⅡRとすることを決定した。・これには、MOHと慢性片頭痛を含む二次性頭痛の新提案が盛り込まれる。・2010年
にICHD-ⅡRをCephalalgiaの増補として、発行する予定である。・ICHD-ⅡRはその後適切な期間、おそらく10年は変更 がなされず、次回の変更はICHD-Ⅲとして全面的な改訂となるであろう。 本ニュースレターは国際頭痛分類に焦点をあてて動向を述べさせていただいた。執筆中たまたま開いた頭痛患者のブロ
グに「今回私の行った****科のドクター、いかにも面倒くさいオーラ出ていて怖かったので二度と行きたくありませ
ん・・・」と書き込まれていた。患者さんにこのよう不快な思いをさせないように、われわれ日本頭痛学会員は努めてい
かなければならないと痛感した次第である。 文献 (1)The International Classification of Headache Disorders: 2nd edition.Cephalalgia. 2004; 24 Suppl 1: 9-160.
邦訳は日本頭痛学会雑誌. 2004; 31:13-188. (2)Silberstein SD et al, Cephalalgia 25:460-465,2005. 解説と邦訳は五十嵐久佳ら:日本頭痛学会誌, 33:26-9, 2006. (3)Olesen J et al:Cephalalgia 26:742-746.2006. 解説と邦訳は竹島多賀夫ら:日本頭痛学会誌. 34:192-193, 2007. (4)国際頭痛学会・頭痛分類委員会: 国際頭痛分類第2版 新訂増補日本語版. 東京:医学書院; 2007. (5)Olesen J et al: Cephalalgia 29: 1331ー1336, 2009. 解説と邦訳は竹島多賀夫ら:日本頭痛学会誌, 36:235-238, 2010.
∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼ 2) 学会誌の目次案内 37巻1号 2010年 (敬称略) 1.平田幸一. 会長講演 頭痛をめぐる冒険. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):1-3. 2.坂井文彦. 教育講演1 これからの頭痛学会のあり方. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):4-5. 3.安藤直樹, 岡西徹, 小林悟, 服部文子, 藤本伸治, 石川達也, et al. 喜多村賞 「当院頭痛外来を受診した小児頭痛の分類と特徴.」 日本頭痛学会誌.2010;37(1):6-8. 4.喜多村孝幸, 戸田茂樹, 寺本明. シンポジウム1-1 低髄液圧症候群. 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):9-12. 5.寺本純. シンポジウム1-2 緊張型頭痛と二次性頭痛の鑑別. 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):13-6. 6.北見公一. シンポジウム1-3 頚原性頭痛(cervicogenic headache) の見直し. 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):17-20. 7.宮本雅之. シンポジウム1-6 睡眠障害と頭痛. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):21-5. 8.竹島多賀夫, 今村恵子, 房安恵美, 古和久典, 中島健二. シンポジウム2-1 Matrix metalloproteinase-9 (MMP-9)と片頭痛. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):26-31. 9.清水利彦. シンポジウム2-2 TRPV1受容体と片頭痛. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):32-4. 10.渡邉由佳, 田中秀明, 木元一仁, 高嶋良太郎, 南本新也, 平田幸一. シンポジウム2-3 トリプタンの作用部位を探る「近赤外線分光法と皮膚レーザー血流計をもちいた検討」 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):35-9. 11.北島敏光.シンポジウム2-5 頭痛に関するペインクリニックの進歩. 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):40-3. 12.麻生俊彦, 麻生謙二, 福山秀直. シンポジウム2-6 MRIによる頭痛の脳血流・血管反応. 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):44-5. 13.小山慎一, 河村満. シンポジウム3-1 輪郭に対する過敏性と視覚性前兆.日本頭痛学会誌. 2010;37(1):46-8. 14.辰元宗人, 斎須章浩, 相場彩子, 平田幸一. シンポジウム3-2 視覚・臭いと過敏性. 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):49-53. 15.柴田興一. シンポジウム3-3 VEP. 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):54-60. 16.五十嵐久佳. シンポジウム3-4 女性と脳過敏. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):61-4. 17.竹島多賀夫. シンポジウム3-5 過敏症と片頭痛診断基準. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):65-72. 18.端詰勝敬. 生涯教育セミナー(初級) 心理的バックグランドをもった頭痛患者. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):73-5. 19.藤田光江. 生涯教育セミナー(上級) 子供の頭痛の診かた. 日本頭痛学会誌. 2010;37(1):76-81. 20.日本頭痛学会. 第3回頭痛専門医認定試験実施について. 日本頭痛学会誌.2010;37(1):82-5. ∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼ 3)最近の頭痛研究トピックス この度、広報委員会で討議した結果、頭痛診療に役立つ臨床的な研究報告、または頭痛診療に関連のある疼痛学の基礎的
な研究成果を掲載した最近の論 文内容を紹介するコーナーをホームページに新設することとなりました。 本ホームページを利用される皆様にご活用頂ければ幸いです。これまでにない試みなので、皆様からのご意見をもとに、
より良い形で運営していければと思っております。詳細は頭痛学会ホームページ (http://www.jhsnet.org/) の TOPICS 6月23日をご参照ください。(慶應義塾大学神経内科 企画広報委員 柴田 護) 1. Resolvinの炎症性疼痛に対する効果 Xu Z-Z, et al. Resolvins RvE1 and RvD1 attenuate inflammatory pain via central and peripheral actions.Nat Med 2010;16:592-598. 2. トピラマートの片頭痛予防効果と前兆発生抑制効果についての研究 Reuter U, et al. Migraines with and without aura and their response to preventive therapy with opiramate. Cephalalgia 2010;30:543-551. 3. 慢性緊張型頭痛における中枢性感作成立に関する検討 Cathcart S, et al. Noxious inhibition of temporal summation is impaired in chronic tension-type headache. Headache 2010;50:403-412. ∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼ 4)第38 回日本頭痛学会総会 開催と演題募集のご案内 学会に関する最新の情報は総会ホームページ(http://www2.convention.co.jp/38jhs/)にてご案内中です。 一般演題登録締切を8月16日(月)まで延長いたしました。ぜひご参照ください。 第38 回日本頭痛学会総会 会長 片山 泰朗 1.開催概要 会期:2010 年11 月19 日(金)∼ 20 日(土) 会場:東京ドームホテル 〒112-8562 東京都文京区後楽1-3-61 TEL 03-5805-2111 FAX 03-5805-2200 2.テーマ 「プライマリケアにおける頭痛診療 ‐片頭痛から脳血管障害まで‐」 3.参 加 費 医師・企業関係者 12,000 円 医師以外の医療従事者 5,000 円 4.演題募集要項 ◆発表形式 PC プレゼンテーション ◆募集期間(予定) 2010 年6 月7 日(月)∼ 8 月16日(月)正午 ◆募集内容 一般演題のみとします。 一題でも多くの一般演題が登録されることを、お待ちしております。 ∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼ 5)電子メールアドレス登録のお願い 先日、国際頭痛学会との共通メンバーシップの意向調査に関するアンケート に際し、メールアドレスを登録いただきま
した。これまでに、学会事務局にメールアドレスをご連 絡いただいている会員には、このニュースレターをメールでも
配信しています。メールで受け取っておられない会員、別のメールアドレスでの受信を希望される会員は頭痛学会ホーム
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